JP2000141877A - インクジェット記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録媒体およびその製造方法

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JP2000141877A
JP2000141877A JP10319427A JP31942798A JP2000141877A JP 2000141877 A JP2000141877 A JP 2000141877A JP 10319427 A JP10319427 A JP 10319427A JP 31942798 A JP31942798 A JP 31942798A JP 2000141877 A JP2000141877 A JP 2000141877A
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ink
coating
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alumina crystal
jet recording
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JP10319427A
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Atsushi Urasaki
淳 浦崎
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】優れたインク吸収性を示しながら、少なくとも
顔料を含有するインク吸収層に、割れ、裂け等塗膜欠陥
の発生のないインクジェット記録媒体を提供することで
ある。 【解決手段】表面に空洞を持ったポリエステルフィルム
支持体上に、顔料として少なくともγ型アルミナ結晶微
粒子を含有するインク吸収層を設けたインクジェット記
録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを用いて記
録するインクジェット記録媒体に関するものである。更
に詳しくは、インク吸収性に優れ、記録された画像濃度
や鮮明度が高く、透明性に優れ、特に、製造工程時に発
生するインク吸収層の割れ、裂け等の塗膜欠陥のないイ
ンクジェット記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェット記録方式にはイン
クの微小液滴を種々の作動原理により、飛翔させて、紙
などの記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行
う方法が採用されている。インクジェット記録方式は、
高速低騒音、カラー化容易、現像および定着の不要など
の特徴から、画像記録装置として、情報機器をはじめ各
種の用途に急速に普及している。更に多色インクジェッ
ト方式により形成される画像は、製版方式による多色印
刷や、カラー電子写真方式による印画と比較しても遜色
のない記録を得ることも可能である。特に、作成部数の
少ない場合には通常の多色印刷や印画による方法よりも
安価であり、フルカラー画像記録分野まで広く応用され
る様になってきている。記録の高速化、高精細化、フル
カラー化などの記録特性の向上に伴って、記録装置や記
録方法の改良が行われている。また、記録媒体に対して
も、高度な特性が要求される様になってきた。
【0003】高速化、高精細化、カラー化などの記録特
性の向上のために、従来から多種多様の記録媒体の形態
が提案されている。例えば、特開昭55−5830号公
報には支持体表面にインク吸収性の塗工層を設けたイン
クジェット記録用紙が開示され、特開昭55−5158
3号公報には被覆層中の顔料として非晶性のシリカを用
いた例が開示され、特開昭55−146786号公報に
は水溶性高分子塗工層を用いた例が開示されている。ま
た近年、例えば、特開平9−48173号公報、同9−
272257号公報等ににγ型アルミナ結晶微粒子、米
国特許第4879166号、同第5104730号、特
開平2−276670号公報、同4−37576号公
報、同5−32037号公報等に擬ベーマイト構造のア
ルミナ水和物を用いた塗工層を有する記録媒体が開示さ
れている。
【0004】しかしながら、上記の従来技術には以下の
問題点がある。
【0005】高分子化合物などをバインダーとして、コ
ロイダルシリカやアルミナなどの無機顔料を高比率で混
合し、多孔質なインク吸収層を形成するインクジェット
記録媒体は、透明性が劣ったり、インク吸収層が脆く割
れやすいという欠点がある。
【0006】一般的に、無機顔料の粒子径を小さくし、
微粒子化すると、インク吸収層の透明性や平滑性などが
高くなることが明らかとなっている。しかし粒子同士が
密に充填されるために大きな細孔が形成されず、インク
吸収性が悪いという欠点があった。特開平5−3241
3号公報では、小さな一次粒子が凝集した二次粒子を用
いた記録媒体が開示されている。しかし、透明性とイン
ク吸収性が同時に満足することが困難であった。また、
塗膜欠陥の発生が顕著であり、十分なインク吸収能を有
するインク吸収層を形成することが困難であった。これ
に関して特開昭58−65692号公報では、一次粒子
間での凝集結合力が弱いために二次粒子の強度が低下し
てインク吸収層に塗膜欠陥が発生すると記載されてい
る。そこで前記公報では、一次粒子を予め水溶性高分子
の存在下で分散させた後、凝集、乾燥して水溶性高分子
を含んだ強固な二次粒子を顔料として用いた記録用紙が
開示されている。しかしながら、この方法ではインク吸
収性には優れるものの、二次粒子径が大きすぎるために
インク吸収層の透明性や画像濃度が低下し、画像全体が
靄がかかった様になる。また、アルミナ結晶微粒子から
成る被膜は、乾燥時の収縮によって、割れ、裂け等の塗
膜欠陥を発生しやすいという問題を有していた。
【0007】更に、支持体が紙ではなくポリエステルの
ようなフィルムの場合、紙のように支持体によるインク
吸収性を得ることができず、インク吸収層に対する負担
はより大きい。
【0008】γ型アルミナ結晶微粒子からなるインク吸
収層は、塗工量が20g/m2程度以上でなければイン
ク吸収性が充分でないため、特にフィルム支持体上に於
いて、優れたインク吸収性、速乾性を得るためには、厚
膜塗布が必要である。しかし、厚膜塗布をすると乾燥時
にインク吸収層に割れ、裂け等の塗膜欠陥が非常に発生
しやすく、乾燥時の塗膜欠陥の発生を抑制する必要があ
った。
【0009】平均粒径が小さいγ型アルミナ結晶微粒子
を無機充填剤として用いると、透明性に優れ、しかもイ
ンク吸収性などに優れたインクジェット記録媒体を得る
ことができる。アルミナ結晶微粒子は、2次凝集微粒子
を粉砕することにより好適に得ることができるが、この
ような微粒子を含有するインク吸収層を形成するには、
乾燥工程時に発生する粒子間の収縮を抑制し、被膜に割
れや裂け等の塗膜欠陥を防止しなければならない。
【0010】アルミナ水和物から成るインク吸収層に発
生する割れや裂け等の塗膜欠陥を抑制する方法として
は、特開平7−76161号公報に記載されているよう
な、ポリビニルアルコールをバインダーとして用い、ホ
ウ酸またはホウ酸塩でバインダーのポリビニルアルコー
ルをゲル化させ、塗膜の強度を向上させる方法、特開平
6−218324号公報には、アルミナ水和物からなる
塗工液を支持体上に塗布し、溶媒の除去の前にアンモニ
アガスを吹き付け、ゲル化させる方法、特開平7−89
221号公報には、ゼラチンのゾルゲル現象を利用した
方法などが提案されている。しかしながら、γ型アルミ
ナ結晶微粒子からなるインク吸収層に発生する塗膜欠陥
を防止する有効な方法は、未だ見出されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、フィ
ルム支持体上に、少なくとも顔料を含むインク吸収層を
設けたインクジェット記録媒体に於いて、塗工時乃至乾
燥時にインク吸収層に発生する割れ、裂け等の塗膜欠陥
を防止したインクジェット記録媒体を提供することであ
る。特に、カラー記録での要望が高い写真調の光沢を有
するインクジェット用フィルムを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の課題は、
表面に開孔を有する空洞を持ったポリエステルフィルム
支持体上に、少なくともγ型アルミナ結晶微粒子を含有
するインク吸収層を設けたインクジェット記録媒体によ
って達成された。
【0013】好適には、前記ポリエステルフィルムの表
面空洞の大きさにおいて、直径が0.1μm乃至10μ
mであり、深さが1μm乃至70μmである。より好適
には、γ型アルミナ結晶微粒子の平均粒径が200nm
以下であり、更には、γ型アルミナ結晶微粒子の一次粒
子径が20nm未満である。
【0014】インク吸収層の好ましい製造方法に於いて
は、表面に空洞を持ったポリエステルフィルム支持体上
に、インク吸収層がγ型アルミナ結晶微粒子を含有する
固形分濃度20重量%以上の塗工液を塗工し形成され、
更には、γ型アルミナ結晶微粒子を含有するインク吸収
層が、固形分換算で単位平方メートル当たり20g以上
の塗工量を塗工し形成される。好ましくは、塗工液の固
形分濃度が20重量%以上50重量%以下である。一
方、単位平方メートル当たりの塗工量は、固形分換算で
20g以上60g以下が好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるポリエステル
フィルム支持体は、表面に開孔を有する空洞を形成して
いる。例えば、特開昭63−168441号公報、特開
昭63−193938号公報、特開平3−76727号
公報および特開平8−324096号公報に記載されて
いる如き、無機微粒子またはポリエステルと非相溶性の
樹脂を加え未延伸フィルムを延伸することによって得ら
れる。このようなポリエステルフィルムは、例えば、東
洋紡(株)からクリスパーなる商品名で市販されてい
る。
【0016】表面に形成される空洞は、フィルム上に塗
工液が塗布できるものであれば、いかなるサイズでもよ
い。好ましい空洞の直径としては、0.1μm乃至10
μmであり、より好ましくは0.3μm乃至7μmであ
り、更に好ましくは0.5μm乃至5μmである。深さ
は1μm乃至70μmであり、より好ましくは7μm乃
至50μmであり、更に好ましくは15μm乃至35μ
mである。しかし、大きい空洞径や空洞深さは、画像鮮
鋭性や光沢を低下させ、小さい空洞径や空洞深さでは、
塗膜欠陥発生を防止できない。
【0017】本発明に用いられるポリエステルフィルム
支持体には、インク吸収層と支持体との接着性向上の目
的で、アンカー層を設けてもよい。アンカー層にはゼラ
チン等の親水性高分子、ブチラール樹脂等の溶剤可溶性
バインダー、更には、ラテックス、架橋剤、顔料、界面
活性剤等を適宜組み合わせて添加してもよい。
【0018】本発明に用いられるポリエステルフィルム
には、帯電防止性、送搬性、カール防止性、筆記性、糊
付性のために、各種バックコート層を塗設することがで
きる。
【0019】アルミナ結晶微粒子は、酸化アルミニウム
の結晶微粒子であり、種々の結晶型が存在する中、熱力
学的に安定なα型と不安定なγ型の2種類に大別でき
る。本発明に用いられるのは、γ型結晶であり、結晶学
的に分類すると、さらにγグループとδグループに分け
ることができる。δグループの結晶形態を有する微粒子
の方が好ましい。
【0020】γ型結晶微粒子のアルミナは、1次粒子の
平均粒子径を10nm程度にまで小さくすることが可能
であるが、一般に、1次粒子は2次凝集形態(以下、2
次粒子と記す)を形成して、数千から数万nmにまで粒
子径が大きくなる。このような大粒子径のγ型アルミナ
結晶微粒子を使用すると、インク吸収層の印字性、吸収
性は良好であるものの、透明性に欠け、塗膜欠陥が発生
しやすくなる。一次粒子の平均粒子径は、20nm未満
であることが好ましい。20nm以上の一次粒子からな
る2次粒子を使用すると、脆弱性が増し、塗膜欠陥が非
常に発生しやすくなる。
【0021】γ型アルミナ結晶微粒子を得るには、通
常、数千から数万nmの2次粒子となっているγ型アル
ミナ結晶をビーズミルや超音波ホモジナイザー、高圧式
ホモジナイザー等の粉砕手段によって、平均粒子径が2
00nm以下、好ましくは100nm以下の超微粒子に
なるまで粉砕する。平均粒子径が200nmを越える
と、インク吸収性は増加するが、被膜が脆く、透明性が
低下する。粉砕手段としては、超音波ホモジナイザーや
高圧式ホモジナイザーを用いる方法が好ましく、ビーズ
ミル等の他の粉砕方法では、γ型アルミナ結晶が硬い結
晶であるために、粉砕容器から異物が混入しやすく、透
明性の低下や欠陥の発生の原因となる。γ型アルミナ結
晶微粒子は、インク吸収性に優れ、乾燥性、インク定着
性等の印字品質もよく、超微粒子化することで、高比率
でインク吸収層に含有させても透明性に優れたインクジ
ェット記録媒体を得ることができる。
【0022】γ型アルミナ結晶微粒子は、市販品とし
て、δグループに属する酸化アルミニウムC(日本アエ
ロジル(株)製)、γグループに属するAKP−G01
5(住友化学(株)製)などとして入手できる。
【0023】本発明に用いられるγ型アルミナ結晶微粒
子のバインダーとして、高分子化合物を添加しても良
い。好ましい高分子化合物は、インク吸収層の構成成分
として、インクと親和性を有する化合物である。水溶性
または水分散性の高分子として例えば、ポリビニルアル
コール、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、
無水マレイン酸重合体、スチレン−無水マレイン酸共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、でんぷん、ポリ
ビニルピリジン、ゼラチン、カゼイン、アイオノマー、
アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、アルギン
酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、ポリビニルピロ
リドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等である。好ましくは、
ポリビニルアルコールである。また、非水溶性の高分子
として例えば、ポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステ
ル類、ブチラール樹脂などのポリアセタール類、ポリア
クリル酸エチルなどのポリアクリル酸エステル類等であ
る。これらの高分子化合物は、単独乃至複数を併用して
もよく、アルミナ結晶微粒子に対し、5〜30重量%を
添加する。好ましくは、8〜20重量%であることが好
ましい。上記の添加量の範囲以下では皮膜形成が困難に
なり、該範囲以上ではインク吸収性が低下する。
【0024】本発明の優れたインク吸収性と塗膜欠陥の
ない記録媒体は、表面に開孔を有する空洞を持ったポリ
エステルフィルム上に、高分子化合物をバインダーと
し、少なくともγ型アルミナ結晶微粒子を含有する塗工
液を塗工することによって得られた。前記したように、
インク吸収層をγ型アルミナ結晶微粒子で形成すると
き、優れたインク吸収性を得るには、インク吸収層を厚
膜化し、インクを受け取るに十分な細孔を形成しなけれ
ばならない。一方、一般的にインク吸収層が厚膜化する
と乾燥時の収縮による割れ、裂け等の塗膜欠陥が発生し
易くなる。
【0025】表面に空洞を持ったポリエステルフィルム
支持体上に、γ型アルミナ結晶微粒子からなるインク吸
収層を設けたインクジェット記録媒体によって、特にγ
型アルミナ結晶微粒子が平均粒子径が200nm以下で
あるとき、更に好適には、一次粒子径が20nm未満で
あるとき、高いインク吸収性を維持しながら、インク吸
収層に発生する塗膜欠陥を防止することができた。
【0026】本発明に認められる効果が、いかなる理由
で発生するかは不明であるが、支持体上に形成された空
洞に取り込まれる溶媒が瞬時に蒸発せず、乾燥工程時の
アルミナ結晶微粒子の収縮ないし脱水結合の温度制御に
作用し、今までにない効果をもたらしていると考えてい
る。
【0027】特に、γ型アルミナ結晶微粒子からなるイ
ンク吸収層が優れたインク吸収性を発現するために、γ
型アルミナ結晶微粒子によって形成される層が厚膜であ
ることが必要である。塗工液の単位重量当たりに含まれ
るγ型アルミナ結晶微粒子等の固形分量が大きい程、形
成されるインク吸収層は、厚膜化が可能である。具体的
には、塗工液の固形分濃度が20重量%以上によって、
より優れたインク吸収性をもたらす。塗工液の調製の容
易性から、20重量%以上50重量%以下が好ましい。
50重量%を越えると、塗工液を調製することが困難と
なってくる。
【0028】ここで言う塗工液の固形分濃度とは、γ型
アルミナ結晶微粒子および高分子化合物等を含有する塗
工液の重量に対する同塗工液の乾燥重量の占める百分率
である。
【0029】本発明の塗工液を塗工する方法は、Eバー
塗工、カーテン塗工、ストラドホッパー塗工、エクスト
ルージョン塗工、ロール塗工、エアナイフ塗工、グラビ
ア塗工、ロッドバー塗工など各種塗工方式を採用するこ
とができる。
【0030】本発明のγ型アルミナ結晶微粒子からなる
塗工液の、支持体に対する塗工量は、塗工液の濃度によ
るが、固形分換算で単位平方メートル当たり20g以上
であり、本発明のさらなる効果を認めるには、好ましく
は単位平方メートル当たり30g以上60g以下であ
る。
【0031】優れたインク吸収性を具現化するために
は、高固形分濃度の塗工液を使い、固形分換算の塗工量
で単位平方メートル当たり20g以上60g以下を塗布
することである。しかし、高濃度の塗工液を多量に塗布
することは、溶媒成分が少なく、乾燥工程時に割れ、裂
け等の塗膜欠陥が非常に発生し易い。また、60g以上
では乾燥が困難となってくる。本発明によって、塗膜欠
陥の発生もなく優れたインク吸収性を持ったインクジェ
ット記録媒体を提供することができた。
【0032】塗工後に乾燥する手段としては、一般の公
知の方法を用いることができ、限定されない。例えば、
熱源により発生した加熱空気を送風した加温器内に搬送
する方法、ヒーター等の熱源近傍を通過させる方法等で
ある。
【0033】更に、本発明のγ型アルミナ結晶微粒子と
高分子化合物とを含有するインク吸収層を形成する塗工
液は、必要に応じて、界面活性剤、γ型アルミナ以外の
無機顔料、着色染料、着色顔料、インク染料定着剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベ
リング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調整
剤等の公知の各種添加剤を添加することができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、勿
論これに限定されるものではない。
【0035】γ型アルミナ結晶微粒子の調製 δグループのγ型アルミナ結晶粉末である、一次粒子径
13nmのアエロジル酸化アルミニウムC(日本アエロ
ジル(株)製)600gを2400gのイオン交換水中
に撹拌機にて分散し、20重量%のスラリー状の粘性液
を調製した。この液を超音波ホモジナイザーRUS−6
00T(日本精機(株)製)にて下記の所定時間粉砕
し、撹拌した。粉砕の結果得られた分散液中のアエロジ
ル酸化アルミニウムCの平均粒子径は、レーザー回折/
散乱式粒度分布測定装置LA−910(堀場製作所
(株)製)にて測定した。今回、粉砕時間を30分、1
5分および10分としたところ、平均粒子径はそれぞれ
98nm、180nmおよび250nmであった。各粒
子径のγ型アルミナ結晶微粒子をそれぞれS−1、S−
2およびS−3とした。
【0036】γグループのγ型アルミナ結晶微粒子とし
て、一次粒子径15nmのAKP−G015(住友化学
(株)社製)、および一次粒子径55nmのPural
ox−SBa(Condea Chemie社製)に変
更する以外は、上記と同様に調製した。今回、粉砕時間
を30分および10分としたところ、AKP−G015
の平均粒子径はそれぞれ100nm(S−4)および2
50nm(S−5)であり、Puralox−SBaの
平均粒子径はそれぞれ110nm(S−6)および26
0nm(S−7)であった。
【0037】表面に空洞を有するポリエステルフィルム
は、下記の要領で作製した。固有粘度0.62のポリエ
チレンテレフタレート樹脂75重量%に、一般用ポリス
チレン樹脂(三井東圧化学(株)製T575−57U)
20重量%、マレイミド変性ポリスチレン樹脂(三井東
圧化学(株)製NH1200)1.5重量%、平均粒径
0.35μmのアナターゼ型二酸化チタン(富士チタン
(株)製TA−300)3.5重量%からなる混合物
を、2軸スクリュー押出機に供給し、T−ダイスより2
90℃で溶融押出しし、冷却回転ロールに静電気的に密
着固化し、約1100μmの未延伸フィルムを得た。こ
の未延伸フィルムをロール延伸機に導入し、80℃の加
熱温度、および3.1の縦延伸倍率で配向処理を施し
た。次いで、テンター中で125℃の加熱温度および
2.7の横延伸倍率で配向処理を施した。引き続きテン
ター中で220℃の加熱温度および1.5の横延伸倍率
で配向処理を施した。次いで、4%横方向に緩和させな
がら235℃で熱処理し、表面に空洞を有するポリエス
テルフィルムを得た(F−1)。
【0038】別に、ポリスチレン樹脂に変えて、結晶性
ポリプロピレン樹脂(三井東圧化学(株)製FO−50
F)および環状オレフィン樹脂(三井東圧化学(株)製
アペルAPL6011)を用いる以外はF−1と同様に
作製した(それぞれF−2およびF−3)。
【0039】F−1、F−2、F−3の各フィルムの断
面および表面を、電子顕微鏡で観察したところ、平均空
洞径がそれぞれ0.1μm、3μm、0.5μmであ
り、深さがそれぞれ2μm、30μm、20μmであっ
た。
【0040】また、比較用のアルミナ(S−8)とし
て、非晶質のアルミナ(日産化学工業(株)アルミナゾ
ル100)を、比較用ポリエステルフィルム(F−4)
として、表面に空洞を有していない透明なポリエステル
フィルム(東レ(株)製ルミラー125T)を使用し
た。
【0041】インクジェット記録媒体は、表1〜3に基
づき下記の要領で作製した。前記の20重量%のγ型ア
ルミナ分散液を用いて、アルミナ分散液100部に対
し、10重量%のポリビニルアルコール(クラレ(株)
製PVA235)水溶液を30部混合した。混合後、ホ
モミキサーに1万rpmで10分間かけ、均一分散化し
た。分散液は、所定の濃度になるようにエバポレータに
より濃縮化し、塗工液とした。
【0042】塗布は、B4サイズのポリエステルフィル
ム上に、ワイヤーバーを用いて所定の塗工量になるよう
に塗布した。塗布後、90℃中に10分間放置し乾燥し
た。
【0043】塗膜の評価は、塗布物を10cm角に裁断
し、膜面に発生している割れ、裂け等塗膜欠陥の個数を
数えた。割れの個数が3個未満のものをa、3個以上8
個未満のものをb、8個以上13個未満のものをc、1
3個以上のものをdとした。また、裂けの大きさによっ
て、裂けの無いものをAランク、1mm以下のものをB
ランク、1mmから3mm以下のものをCランク、3m
mより大きいものをDランクとして評価した。割れ個数
の評価は、a、bが良好で、c、dは使用上問題があ
る。また裂け評価は、A、Bが良好で、C、Dは使用上
問題がある。
【0044】一方、インク吸収性の評価は、インクジェ
ット記録装置であるキャノン(株)製BJC−420J
を使い、シアンインク、マゼンタインクで重色の升目形
パターンを印字し、この印字パターンと未印字部分の境
界部分を下記の基準に従って、目視にて評価した。 A:境界部分には滲みが認められない B:境界部分には部分的に僅かに滲みが認められる C:境界部分には僅かに滲みが認められる D:境界部分に顕著に滲みが認められる 良好なインク吸収性を示すのは、A乃至Bの評価であ
る。
【0045】インクジェット記録媒体の被膜の透明性
は、JIS規格測定装置である日本電色工業(株)社製
濁度計NDH−300Aを用いて、JISK7105記
載されている如く散乱光量および全光線透過量を計測
し、ヘーズ値として全光線透過量に対する散乱光量の百
分率として評価した。表に記載のヘーズ値は、表面に空
洞を有するポリエステルフィルム支持体による影響を削
除するために、インク吸収層を設けたインクジェット記
録媒体のヘーズ値からポリエステルフィルム支持体単独
のヘーズ値を差し引いたヘーズ値の差を示している。ヘ
ーズ値の差が7%以下であるとき、被膜の透明性に優れ
ると言える。
【0046】結果を表1、2および3に示す。表1に
は、表面に空洞を持ったポリエステルフィルムとγ型ア
ルミナ結晶微粒子の評価結果を、表2には、δグループ
とγグループのγ型アルミナ結晶微粒子の評価結果を、
表3には、塗工液の固形分濃度と塗工量の評価結果を記
載した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】表2に記載された実施例の塗工液の濃度お
よび塗工量は、それぞれ20.8%および35g/m2
であった。
【0050】
【表3】
【0051】表1より、支持体として表面に空洞を持っ
たポリエステルフィルムを使用した場合では、明らかに
塗膜欠陥が減少し、特にF−2とF−3では顕著であっ
た。一方表2より、γ型アルミナの平均粒子径が200
nm以下であるとき、更には、一次粒子径が20nm未
満であるとき、塗膜欠陥がより減少し、被膜の透明性も
よく、表3より、塗工液の濃度および塗工量を制御する
ことによって、より塗膜欠陥が減少し、インク吸収性も
向上した。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の表面空洞
を有するポリエステルフィルム支持体上に、γ型アルミ
ナ結晶微粒子からなるインク吸収層を設けたインクジェ
ット記録媒体は、高いインク吸収性を持ち、且つインク
吸収層に発生する割れ、裂け等の塗膜欠陥のないもので
ある。特に、ポリエステルフィルムが有する空洞の大き
さが、直径で0.1乃至10μmであり、深さが1乃至
70μmの時に著しく向上する。また、γ型アルミナ結
晶微粒子の平均粒子径が200nm以下であるとき、更
には一次粒子径が20nm未満であるとき、より好適と
なり、γ型アルミナ結晶微粒子を含有する塗工液の固形
分濃度が20重量%以上であるとき、および塗工量が固
形分換算で単位平方メートル当たり20g以上であると
き、いっそう好適となる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルム支持体上に、少なくとも顔料を
    含むインク吸収層を設けたインクジェット記録媒体に於
    いて、該フィルム支持体が表面に空洞を持ったポリエス
    テルフィルムであり、且つ、該顔料がγ型アルミナ結晶
    微粒子であることを特徴とするインクジェット記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 フィルム支持体の表面に、直径が0.1
    μm乃至10μmであり、深さが1μm乃至70μmで
    ある空洞を持っていることを特徴とする請求項1記載の
    インクジェット記録媒体。
  3. 【請求項3】 該γ型アルミナ結晶微粒子の平均粒径が
    200nm以下であることを特徴とする請求項1または
    2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 【請求項4】 該γ型アルミナ結晶微粒子の一次粒子径
    が20nm未満であることを特徴とする請求項1乃至3
    のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 【請求項5】 少なくともγ型アルミナ結晶微粒子を含
    む固形分濃度が20重量%以上である塗工液を、表面に
    空洞を持ったポリエステルフィルム支持体上に塗工し
    て、インク吸収層を形成させることを特徴とするインク
    ジェット記録媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 インク吸収層の塗工量が、単位平方メー
    トル当たり、固形分換算で20g以上であることを特徴
    とする請求項5に記載のインクジェット記録媒体の製造
    方法。
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