JP2000141576A - 完全不透明度紙 - Google Patents
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Abstract
かわらず、低坪量で不透明度が100%の完全不透明度
紙を得る。 【解決手段】 高不透明度の白色顔料塗工層2aを表面
に設けた原紙1aと、高不透明度の白色顔料塗工層2b
を表面に設けた原紙1bとが、光吸収性に優れた層3を
介して積層されており、JIS P−8138で規定す
る不透明度が100%であり、JIS P−8123で
規定する白色度が60%以上であることを特徴とする坪
量90〜250g/m2の完全不透明度紙。白色顔料塗
工層2a,2bは、酸化チタン粉末とスチレン・ブタジ
ェン共重合ラテックスなどの接着剤を主成分とする。ま
た、光吸収性に優れた接着剤層3はアニリンブラック、
カーボンブラックなどのような黒色染顔料を含有させる
ことが好ましい。接着剤として、澱粉、ポリビニルアル
コールなどの水溶性接着剤を使用する。
Description
白色度を有しているにもかかわらず、低坪量で不透明度
が100%の完全不透明度紙に関するものである。
その材料であるセルロース繊維が複雑に絡み合った三次
元のシート状の構造となっているために、紙に入射した
光は複雑な反射と屈折を繰り返し、紙と同じようなシー
ト状物である高分子フィルムと比較するとはるかに不透
明度が高いことが特徴である。印刷を表裏に施す用途の
紙においては、不透明度が低いと表面に印刷された文字
などが裏面に透けて見えてしまうので、不透明度は特に
重要な特性となっている。
P−8138に規定する不透明度を意味する。即ち、
試料に所定の白色及び黒色標準板の裏当てをし、所定の
緑色のフィルターを用いてそれぞれの反射率を測定し、
前者に対する後者の比を%で表したものをいい、100
%を示すものを「完全不透明度紙」としている。
IS P−8123に規定する白色度を意味する。即
ち、457nmの光で照射したときの試料の標準板(酸
化マグネシウム板)に対する比反射率を意味する。
その坪量、不透明度、白色度を掲げる(昭和57年中外
産業調査会発行「製紙科学」、535頁から抜粋)。
きくすること、二酸化チタン粉末のような屈折率の大き
な填料を抄紙時に併用(内添)すること、紙の表面にカ
オリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン粉末のような屈
折率の大きな無機粉末とバインダーを主成分とした塗料
を塗工すること等の手段が採られていた。この技術は、
白色か白色に近い色を紙に要求される場合に多く採用さ
れている。
(98.8%)を有した未晒クラフト紙でも、片面に文
字などを印刷したのち、強い光にかざして裏面から見る
と表面に印刷された文字などの輪郭が見えてしまうので
完全な不透明度紙とは言えない。
とでも不透明度を高めることができる。これを達成する
には、光吸収性に優れた黒色の、例えばカーボン粉末を
紙に内添することや、紙の表面にカーボン粉末と接着剤
を主成分とする塗料を塗工すればよい。写真用フィルム
やレントゲン用フィルムの感光を防ぐために使用され遮
光紙はこのようにして製造され、この場合の不透明度は
100%の「完全不透明度」が要求される。
原料として使用するパルプに白色度の高い晒しパルプを
使用すること、白色度の高いクレイ、炭酸カルシウム、
カオリン、タルク、二酸化チタン粉末等の填料を内添す
ること、紙の表面にカオリン、炭酸カルシウム、二酸化
チタン粉末のような白色度の高い無機粉末とバインダー
からなる塗料を塗工すること等の手段が採られている。
m2の紙で、この両方の性質、即ち100%の完全不透
明度を達成し、かつ白色度も高い紙を製造することは特
殊な技術を使用しないと製造できなかった。これを実現
した一例として、アルミ箔やアルミ蒸着フィルムの両面
に白色度の高い紙を貼合した完全不透明度紙が製造され
ている。この例ではアルミ箔やアルミ蒸着層が光の遮断
層と反射層として機能し、高い白色度を保ち、かつ不透
明度100%を達成している。
あること、アルミ箔の貼合には接着剤を用いる必要があ
るので工程が複雑となること、故紙から製紙用繊維の回
収が困難であるため焼却処理を行うが、この焼却処理時
にアルミ箔が焼却されずに残る等の環境上の問題点があ
り、蒸着フィルムの貼合では焼却処理に炉を傷めるこ
と、有害なガスを発生すること等の問題があった。
課題とする。即ち、坪量が低くても高い白色度を保ち、
かつ不透明度100%の完全不透明度紙を得ることを課
題とする。さらには、必要に応じて古紙処理も容易な完
全不透明度紙を得ることを課題とする。
を解決することを目的に鋭意検討の結果、本発明を完成
させた。図1は本発明の完全不透明度紙の一例を示す一
部拡大断面図であり、本発明は、少なくとも高不透明度
の白色顔料塗工層(2a)を表面に設けた原紙(1a)
と、少なくとも高不透明度の白色顔料塗工層(2b)を
表面に設けた原紙(1b)とが、光吸収性に優れた層
(3)を介して積層されており、JISP−8138で
規定する不透明度が100%であり、JIS P−81
23で規定する白色度が60%以上であることを特徴と
する坪量90〜250g/m2の完全不透明度紙を得る
ことを要旨とする。
抄造するに際しては、原料パルプとして針葉樹晒クラフ
トパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LB
KP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、な
どの木材パルプを主体とし、これに必要に応じて、麻、
竹、ワラ、ケナフ等の非木材パルプを併用することがで
きる。これらの原料パルプに必要に応じてクレー、カオ
リン、タルク、二酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化
アルミニウム粉末等の内添用填料を加え、さらにロジン
サイズ剤等のサイズ剤、ポリアクリルアミド等の乾燥紙
力増強剤、ポリアミド・ポリアミン・エピクロルヒドリ
ンやメラミン樹脂等の湿潤紙力増強剤、硫酸バンド等の
定着剤等の製紙用副資材を適宜添加して紙料を調製し、
一般的にはフリーネス300〜500mlC.S.F.
で円網抄紙機、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の
抄紙機を使用して常法に従い、通常坪量25〜100g
/m2の原紙を抄造する。
させるために、原紙の抄紙段階の途中でサイズプレス装
置等によって、スチレン系樹脂、スチレン・アクリル系
樹脂、スチレン・マレイン酸樹脂、アルキルケテンダイ
マー、澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、カル
ボキシメチル化セルロース、カルボキシメチル化グアー
ガム、リン酸化グアーガム、酸化グアーガム、ポリビニ
ルアルコール、ポリアクリルアミド等の薬品を表面に塗
工してもよい。また、ビルブレードコーター等を使用し
て微塗工紙に使用される塗料を数g/m2塗工すること
も適宜行うことができる。
2bは、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水
酸化アルミニウム粉末等の周知の白色の塗工用粉末の1
種類以上と、スチレン・ブタジエンラテックス、メチル
メタクリレート・ブタジエンラテックス、澱粉、ポリビ
ニルアルコール等の周知の接着剤の1種類以上を主体と
し、これらに分散剤、耐水化剤、防腐剤、防かび剤、等
の塗工用の副資材を適宜併用して塗料を調製し、エアナ
イフコーター、ブレードコーター、ロールコーター等の
周知のコーターを使用して前記原紙の表面に塗工するこ
とで得られる。
える効果が大きいので本発明では二酸化チタン粉末を使
用することが特に好ましい。また故紙からの製紙用繊維
の回収を考慮すると接着剤には澱粉やポリビニルアルコ
ール等の水溶性の接着剤を使用することが特に好まし
い。塗工用粉末に対する接着剤の添加割合は通常粉末1
00重量部に対して10〜30重量部である。またこの
塗工層の塗工量は通常5〜25g/m2である。
a,2bは、上記した以外の方法でも形成することがで
きる。即ち、二酸化チタン粉末を添加したポリエチレン
やポリプロピレン等の樹脂を溶融押し出し塗工機を用い
て原紙の表面に塗工することができる。この場合の樹脂
に対する二酸化チタン粉末の添加量は通常10〜20重
量%である。
に優れた着色染料及び/又は着色顔料と接着剤を主成分
として構成される。光吸収性に優れた着色染料として
は、黒色、黒灰色、黒青色、黒褐色等の明度の低い直接
染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料等の周知の染料
を使用できる。また、光吸収性に優れた着色顔料として
は、同じく明度の低い、レーキ顔料、トーナー顔料等の
有機顔料、紺青、ベンガラ、カーボンブラック等の無機
顔料が使用できる。最も効果の大きなものは黒色の染顔
料であり、黒色の染料、アニリンブラックやカーボンブ
ラックが好ましく使用される。本発明においては、これ
らの染料や顔料の単独あるいは2種類以上を使用する
が、その接着剤に対する添加量は通常数重量%〜30重
量%である。
工層2aを表面に設けた原紙1aと、高不透明度の白色
顔料塗工層2bを表面に設けた原紙1bとを、光吸収性
に優れた層3を介して積層させるには、まず、ポリ酢酸
ビニルエマルジョン、澱粉、ポリビニルアルコール等の
水系の接着剤に前記した光吸収性に優れた着色染料や着
色顔料を添加した塗料を調製し、貼合機を使用して高不
透明度の白色顔料塗工層2a又は2bの上に塗工してか
らこの層を介して白色顔料塗工層同士を貼合し、ついで
乾燥させる。この際、故紙からの製紙用繊維の回収を考
慮すると接着剤として澱粉、ポリビニルアルコールなど
の水溶性の接着剤を使用することが好ましい。光吸収性
に優れた層は通常2〜10g/m2形成する。
リル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を有機溶剤に
溶解させて、必要に応じてイソシアネート樹脂等の硬化
剤を添加し、前記した光吸収性に優れた着色染料及び/
又は着色顔料を添加した塗料を調製し、貼合機を使用し
て高不透明度の白色顔料塗工層2a又は2bの上に塗工
してから白色顔料塗工層同士を貼合し、ついで乾燥させ
る。この際、塗料が高不透明度の白色顔料塗工層に浸透
し易い場合には、白色顔料塗工層の上にさらに溶剤の浸
透を防止する塗工層を設けることも適宜行うことができ
る。
脂等のホットメルト接着剤を溶融させてから光吸収性に
優れた着色染料及び/又は着色顔料を添加した塗料を調
製し、ホットメルト型の貼合機を使用して高不透明度の
白色顔料塗工層2a又は2bの上に塗工してからこの層
を介して白色顔料塗工層同士を貼合する。
/又は着色顔料を添加したポリエチレン樹脂やポリプロ
ピレン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用して溶融押し出し貼
合機(イクストルージョンラミネーター)で高不透明度
の白色顔料塗工層2a又は2bの上に塗工してからこの
層を介して白色顔料塗工層同士を貼合する。
白色顔料塗工層2aを設け、この高不透明度の白色顔料
塗工層の上に、光吸収性に優れた染料及び/又は顔料と
スチレン・ブタジエンラテックス、メチルメタクリレー
ト・ブタジエンラテックス、澱粉、ポリビニルアルコー
ル等の周知の接着剤の1種類以上を主体とした塗工液を
調製し、これをエアナイフコーター、ロールコーター、
グラビアコーター等の周知のコーターを使用して塗工し
この層を介して、原紙1bの表面設けた高不透明度の白
色顔料塗工層2bを貼合する。
に設けた高不透明度の白色顔料塗工層2a、2bの反対
側の面に、さらに白色度を高める目的で白色顔料塗工層
を設けることもできる。この塗工層は基本的には前記し
た高不透明度の白色顔料塗工層の処方と同じであるが、
特に高白色度を要求する場合には高白色度の塗工用粉末
を使用する。こうすることで白色度をさらに向上できる
と共に、印刷適正の向上も期待できる。
ル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポ
リエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂層
や、ワックス、シリコン樹脂等の撥水剤層を設けること
もできる。この層は前記高白色度の白色顔料塗工層の上
に設けても原紙表面に直接設けてもよい。こうすること
で、その特性を生かして光遮断性を要求される食品の包
装材としての用途が期待できる。
工層2aを表面に設けた原紙1aと、別に準備した、高
不透明度の白色顔料塗工層2bを表面に設けた原紙1b
とを、光吸収性に優れた層3を介して積層するに際して
は、同一坪量の原紙や同一塗工量の高不透明度の白色顔
料塗工層を光吸収性に優れた接着剤層3を介して積層し
ても、あるいは原紙の坪量や高不透明度の白色顔料塗工
層の塗工量をそれぞれ変化させて光吸収性に優れた接着
剤層を介して積層してもよい。
燥重量換算の値を意味する。原紙の製造 NBKP30重量部、LBKP70重量部をフリーネス
430mlC.S.F.に調製し、これに二酸化チタン
粉末1重量部、カオリン3重量部、紙力増強剤(商品名
「ポリアクロン」、ミサワセラミックス(株)製造)
0.4重量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE」、
荒川化学工業(株)製造)0.8重量部、硫酸バンド5
重量部を加えて、長網抄紙機を使用して原紙を抄造し
た。
60重量部を分散機で処理した後、これにバインダーと
してスチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名
「ポリラック750」、三井化学(株)製造)を50重
量部加えて白色顔料塗工液を調製した。この塗工液をエ
アナイフコーターを使用して原紙の片面に塗工して高不
透明度の白色顔料塗工層を形成した。
(商品名「タケラックA−975」、武田薬品工業
(株)製造)40重量部を加えて分散した後に、イソシ
アネート硬化剤(商品名「タケネートA3」、武田薬品
工業(株)製造)3.5重量部、酢酸エチル140重量
部を加えて接着剤塗工液を調製した。
吸収性に優れた接着剤塗工液をグラビアコーターラミネ
ーターを使用して塗工し、乾燥ゾーンで溶剤を揮発させ
た後に、前記方法を用いて別に準備した高白色度の白色
顔料塗工層を形成した原紙を繰り出し、コンバイナーロ
ール部分で高不透明度の白色顔料塗工層面を貼合した
(この方法はいわゆる「ドライラミネート法」による貼
合方法である)。
接着剤塗工層の構成比率を表2に示したように変化させ
て前記方法で製造した紙の坪量、白色度、不透明度を測
定した結果を表2に示した。
水と共に強力な剪断力のもと(装置としてパルパーを使
用)で処理し、得られたスラリーを「黄板紙」抄造用の
スラリーに5重量%して使用したが、特に問題は生じな
かった。一方、比較例として示さなかったがアルミ箔を
貼合したタイプの完全不透明度紙はパルパーで処理する
と剪断されたアルミ箔の塊が混入するという致命的な問
題点を生じた。また、実施例としては示さなかったが、
高不透明度の白色顔料塗工層と光吸収性に優れた接着剤
層に使用する接着剤として澱粉を使用した例では(この
例では接着剤塗工後直ちに貼合し、乾燥ゾーンで乾燥す
る)、パルパーによる処理時間を大幅に短縮できた。
得られた紙はいずれも60%以上の白色度と100%の
完全不透明度を達成している。比較例1は各実施例と同
一の紙料組成で抄造した坪量250g/m2の原紙の例
であるが、白色度は60%以上の値を示すのに関わら
ず、不透明度は、表1に掲げた未晒しクラフト紙の値よ
り劣り、完全不透明度となっていなことが判る。
125g/m2)を白色顔料塗工層を設けずに、光吸収
性に優れた接着剤層を介して貼合した例であるが、本発
明の目的とする坪量を越えてしまうことが判る。
紙は構成され、下記に述べるような効果を有する。 1)低い坪量を有するにも関わらず、高い白色度を有し
た完全不透明度紙を得ることができる。 2)高不透明度の白色顔料塗工層と光吸収性に優れた接
着剤層に使用する接着剤に水溶性の接着剤を使用するこ
とにより、損紙や故紙から製紙用繊維の回収が容易に出
来る構成とすることができる。 3)アルミ箔を貼合した従来の完全不透明度紙と比較し
て、焼却処理時にアルミ箔が燃焼せずに残ることがない
ので焼却処理も容易である。 4)必要に応じて、印刷適正付与層、撥水層等を容易に
設けることができる。 5)このような特徴を生かして、本発明の完全不透明度
紙は、遮光紙、食品包装材、食品容器、スクラッチ方式
のクジ(当たりはずれを印刷した上に設けたアルミ粉印
刷部分を爪などでこすり取り、当たりはずれを判定する
方式)用紙等の用途に好適に使用できる。
大断面図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくとも高不透明度の白色顔料塗工層
(2a)を表面に設けた原紙(1a)と、少なくとも高
不透明度の白色顔料塗工層(2b)を表面に設けた原紙
(1b)とが、光吸収性に優れた層(3)を介して積層
されており、JIS P−8138で規定する不透明度
が100%であり、JIS P−8123で規定する白
色度が60%以上であることを特徴とする坪量90〜2
50g/m2の完全不透明度紙。 - 【請求項2】 前記高不透明度の白色の塗工層が二酸化
チタン粉末と接着剤を主成分とする層であることを特徴
とする請求項1記載の完全不透明度紙。 - 【請求項3】 前記光吸収性に優れた層が黒色の染料及
び/又は顔料と接着剤を主成分とする接着剤層であるこ
とを特徴とする請求項1記載の完全不透明度紙。 - 【請求項4】 前記高不透明度の白色の塗工層が二酸化
チタン粉末と水溶性の接着剤を主成分とする層であり、
かつ前記光吸収性に優れた層が黒色の染料及び/又は顔
料と水溶性の接着剤を主成分とする接着剤層であること
を特徴とする請求項2又は3に記載の完全不透明度紙。
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