JP2000136881A - 高圧ガス圧縮機用軸シール装置 - Google Patents

高圧ガス圧縮機用軸シール装置

Info

Publication number
JP2000136881A
JP2000136881A JP10312763A JP31276398A JP2000136881A JP 2000136881 A JP2000136881 A JP 2000136881A JP 10312763 A JP10312763 A JP 10312763A JP 31276398 A JP31276398 A JP 31276398A JP 2000136881 A JP2000136881 A JP 2000136881A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sliding
seal
lip
rotating
ring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10312763A
Other languages
English (en)
Inventor
Takao Shimomura
孝夫 下村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eagle Industry Co Ltd
Original Assignee
Eagle Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eagle Industry Co Ltd filed Critical Eagle Industry Co Ltd
Priority to JP10312763A priority Critical patent/JP2000136881A/ja
Publication of JP2000136881A publication Critical patent/JP2000136881A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sealing With Elastic Sealing Lips (AREA)
  • Mechanical Sealing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 油分を含むガスを圧縮する圧縮機の駆動時に
メカニカルシール3の摺動端面31a,32aの潤滑を
維持し、停止時に摺動端面31a,32aが乾燥接触状
態となることによる高圧ガスの漏洩を防止する。 【解決手段】 静止側のメイティングリング31と回転
側のシールリング32の摺動端面31a,32aによる
主シール部Sの外周側にリップシール4が配置される。
リップシール4はシールリング32に定着され、メイテ
ィングリング31の摺動端面31aに弾性的に摺接され
る摺動リップ41aの先端に、シールリング32と共に
リップシール4が回転した時にその内周の主シール部S
側へ向けて流体力学的ポンプ作用を生じるスパイラル溝
41cが形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高圧ガス圧縮機、例
えば自動車の車室空調装置(カーエアコン)の冷媒圧縮
機等の軸封部のように、高圧ガス及び油を密封するため
の軸シール装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カーエアコンのような空調装置には、従
来、冷媒として人間に無害で変質せず、不燃性の安全な
フロンR12(CFCl)が使用されて来た。とこ
ろが、フロンR12は大気中に放出されても変質せずに
そのまま溜って大気の大循環により成層圏へ運ばれるた
め、地表付近では殆ど存在しなかった波長0.19〜
0.25μmの紫外線により分解されて塩素Clが分離
し、この塩素が成層圏のオゾンOと結合して酸化塩素
ClOと酸素分子Oを作り、更にこの酸化塩素が周囲
の酸素原子Oと反応することによって、塩素Clと酸素
分子Oを作り、このような反応の繰り返しによって成
層圏のオゾンOと酸素原子Oの量が加速度的に減少し
て行くといったオゾン層破壊が問題となった。そしてこ
のようなオゾン層破壊の防止対策のため、近年、冷媒ガ
スとして塩素を含まないフロンR134aに変更された
が、フロン等は、微量でも地表からの長波(赤外線)放
射を吸収して地球温暖化を来す温室効果に大きく関わっ
ていることが新たな問題となっている。したがって、フ
ロンR134aに代わる冷媒の研究が行われているが、
現在最も有力視されているのは二酸化炭素COであ
る。
【0003】一方、冷媒圧縮機の軸シール装置として用
いられるメカニカルシールの典型的な従来例としては、
図7に示すようなものがある。すなわちこの種のメカニ
カルシールは、シールハウジング1側に非回転状態に装
着されたメイティングリング101に、回転軸2側にケ
ース103及び軸パッキン104を介して軸方向移動自
在に装着されてこの回転軸2と一体的に回転されるシー
ルリング102が、コイルスプリング105の付勢力に
よって押し付けられ、両リング101,102の摺動端
面101a,102aにおいて、その外周側に連なる図
中右側の機内空間Pの冷媒ガス及び冷凍機油が、大気側
空間Qへ漏洩するのを防止しているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし冷媒ガスとして
二酸化炭素を用いた場合、上記従来技術のメカニカルシ
ールによれば次のような問題が発生する。すなわち、フ
ロンR134aからなる冷媒ガスを用いた場合は、通常
の使用条件では冷媒圧縮機は吸入圧力0.2MPa、吐
出圧力1,5MPa、停止時圧力1.0MPa程度であ
ったのに対し、二酸化炭素からなる冷媒ガスを用いた場
合は、吸入圧力3.0MPa、吐出圧力8.0MPa、
停止時圧力5.0MPa程度に上昇してしまう。したが
って、前記メカニカルシールには停止時も大きな冷媒圧
力が作用することになり、メカニカルシールの摺動端面
101a,102aから冷媒ガスの漏洩が起こる問題が
指摘されている。これは、冷媒圧縮機の駆動時において
は、冷媒ガス中にミスト状に混在する冷凍機油が、冷媒
ガスの流れに伴って摺動端面101a,102aの外周
に供給されるので、この摺動端面101a,102a間
には油膜が形成されて冷媒ガスの通過を遮断している
が、冷媒圧縮機停止時は、冷凍機油が機内空間Pの下部
に落下し、機内空間Pは大部分がガスゾーンとなるた
め、前記摺動端面101a,102a間の油膜切れが起
こって高圧の冷媒ガスが漏れてしまいやすくなるからで
ある。
【0005】本発明は、上記のような従来の問題に鑑み
てなされたもので、その技術的課題とするところは、油
分を含むガスを圧縮する圧縮機の駆動時に、その回転軸
の軸周をシールするメカニカルシールの摺動端面の潤滑
状態を維持し、圧縮機の停止時に、前記摺動端面が乾燥
接触状態となることによる機内の高圧ガスの漏洩を有効
に防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した技術的課題を有
効に解決するための第一の手段として、本発明に係る高
圧ガス圧縮機用軸シール装置は、内周に回転軸を挿通し
たシールハウジング側に気密的に設けられた非回転の静
止側摺動環と、前記回転軸側に気密的に設けられてこの
回転軸と共に回転し前記静止側摺動環と軸方向端面同士
で密接される回転側摺動環と、前記両摺動環の互いの密
接による主シール部の外周側に配置されて静止側及び回
転側のいずれか一方に定着されると共に他方に弾性的に
摺接されるリップシールとを備え、このリップシールの
摺動リップ及びこれと密接する相手摺動面のうちいずれ
か一方に、前記摺動リップ及び相手摺動面の相対的な回
転時に前記主シール部側へ向けて流体力学的ポンプ作用
を生じるスパイラル状の溝を形成したものである。
【0007】上記構成によれば、圧縮機の駆動時(軸回
転時)には、リップシールの摺動リップと相手摺動面と
の間にスパイラル溝によって漏れ方向の流体力学的ポン
プ作用を生じると共に、前記スパイラル溝による流体力
学的な動圧によってリップシールの摺動面が押し広げら
れるので、静止側摺動環と回転側摺動環による主シール
部にその外周側から機内の油が供給されて前記両摺動環
の摺動端面間に潤滑油膜を形成し、この潤滑油膜によっ
て前記主シール部における圧縮ガスの通過を遮断する。
圧縮機の停止時には前記ポンプ作用及び動圧が失われる
ので、リップシールの弾性によってその摺動リップが相
手摺動面に密着し、機内のガスが前記主シール部側へ通
過するのを有効に防止する。
【0008】また、上述した技術的課題を有効に解決す
るための他の手段として、本発明に係る高圧ガス圧縮機
用軸シール装置は、上記リップシールの摺動リップに、
上記スパイラル溝に代えて、前記摺動リップ及び相手摺
動面の相対的な回転時に流体力学的な動圧を発生する凹
凸を円周方向所定間隔で反復形成したものである。
【0009】上記構成によれば、圧縮機の駆動時には、
リップシールの摺動リップと相手摺動面との間に前記摺
動リップの凹凸による流体力学的動圧を生じるので、こ
の摺動リップが押し広げられ、静止側摺動環と回転側摺
動環による主シール部にその外周側から機内の油が供給
されて前記両摺動環の摺動端面間に潤滑油膜を形成し、
この潤滑油膜によって前記主シール部における圧縮ガス
の通過を遮断する。圧縮機の停止時には前記動圧が失わ
れるので、リップシールの弾性によってその摺動リップ
が相手摺動面に密着し、機内のガスが主シール部側へ通
過するのを有効に防止する。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る高圧ガス圧
縮機用軸シール装置の第一の実施形態を示すもので、図
中の参照符号1は二酸化炭素を冷媒ガスとして用いるカ
ーエアコンにおける冷媒圧縮機のシールハウジング、参
照符号2はこのシールハウジング1の内周から前記冷媒
圧縮機内部に挿通され、エンジンのクランク軸からの駆
動力を電磁クラッチ(図示省略)を介して伝達されるこ
とにより回転して圧縮機の内部機構を駆動させる回転軸
である。前記シールハウジング1と回転軸2との間には
メカニカルシール3が装着されている。
【0011】メカニカルシール3は、シールハウジング
1側に非回転状態に装着された静止側摺動環であるメイ
ティングリング31と、回転軸2側に装着されてこの回
転軸2と一体的に回転する回転側摺動環であるシールリ
ング32が、軸方向に対向する摺動端面31a,32a
同士で密接することによって主シール部Sを構成してい
る。このメカニカルシール3の軸方向両側の軸周空間の
うち、シールハウジング1の図中右側の空間Pが密封対
象の機内空間、前記主シール部Sの内周側に連なる図中
左側の空間Qが機外に開放された大気側空間である。
【0012】メカニカルシール3の構成について更に詳
しく説明すると、メイティングリング31は、シールハ
ウジング1の軸孔の機内側開口部に拡径形成された環状
段差部11に収容され、外周面が、前記環状段差部11
の周面に沿って連続した環状溝11aに装着されたOリ
ング33に固定的に密嵌されている。一方、シールリン
グ32は、メイティングリング31からみて機内空間P
側に配置され、回転軸2の外周面にOリングからなる軸
パッキン34を介して軸方向移動自在に装着されてい
る。
【0013】シールリング32の背面側(メイティング
リング31と反対側)には軸方向に適当な間隔で鍔状の
金属ケース35が配置されており、回転軸2の外周面に
形成されたテーパ状段差部21に軸方向に係止されると
共に、このテーパ状段差部21の円周方向一部に形成さ
れた切欠部21aと円周方向に係合している。軸パッキ
ン34の背面には環状のリテーナ36が当接配置されて
おり、このリテーナ36と前記金属ケース35との間
に、円錐状コイルスプリング37が軸方向に適宜圧縮さ
れた状態で介在されている。また、金属ケース35の外
周部には、軸方向に延在された複数の係合爪35aが円
周方向等配形成されており、シールリング32の外周面
に円周方向等配形成された軸方向溝32bと係合してい
る。すなわちシールリング32は、コイルスプリング3
7による軸方向付勢力をリテーナ36及び軸パッキン3
4を介して与えられることにより、摺動端面32aがメ
イティングリング31の摺動端面31aに適当な面圧で
押し付けられ、回転軸2からの回転トルクを金属ケース
35を介して与えられることにより、回転軸2と共に回
転するようになっている。
【0014】メイティングリング31とシールリング3
2の摺動端面31a,32aによる主シール部Sの外周
側にはリップシール4が配置されている。このリップシ
ール4は、エラストマ材料で成形されたリップシール本
体41と、その肉厚における内周側に偏在して埋設され
た補強用の金属環42とからなるものであって、テーパ
状に開いた前記リップシール本体41の摺動リップ41
aの先端が、メイティングリング31の摺動端面31a
に主シール部Sの外周側の位置で密接されると共に、円
筒状の基部41bの内周面が、シールリング32の摺動
端面32aを形成しているノーズ部32cの外周側の環
状段差部32dに、適当な締め代で密封的に嵌着されて
いる。また、このリップシール4によって、前記主シー
ル部Sの外周側に環状密閉空間Tが画成される。
【0015】メイティングリング31の摺動端面31a
と対向されるリップシール4の摺動リップ41aの先端
部には多数のスパイラル溝41cが形成されている。各
スパイラル溝41cは、図1(B)に示すように、シー
ルリング32と一体的に回転するリップシール4の回転
方向Rへ向かって漸次外周側へ偏在するように延びてお
り、このため、回転時に、前記メイティングリング31
の摺動端面31aとの間で、流体を遠心力に抗して内周
側へ送る流体力学的ポンプ作用を発生するものである。
【0016】以上の構成において、まず回転軸2が電磁
クラッチを介してエンジンからの駆動力を与えられて回
転している冷媒圧縮機駆動時には、機内で高圧・高温に
圧縮される冷媒ガス中に冷凍機油がミスト状に混在され
ており、その一部は、リップシール4の摺動リップ41
aとその相手摺動面であるメイティングリング31の摺
動端面31aとの摺動部に介入する。そしてこの摺動部
では、前記摺動リップ41aに形成されたスパイラル溝
41cの回転によって、流体力学的ポンプ作用及び動圧
が発生するため、前記動圧及び摺動リップ41aに作用
する遠心力によって摺動端面31aから摺動リップ41
aの先端部が僅かに離間し、その隙間に、前記ポンプ作
用によって内周の環状密閉空間T側へ向かう冷凍機油の
流れが惹起される。
【0017】環状密閉空間Tに供給された冷凍機油は、
前記主シール部Sにおいて互いに密接摺動するメイティ
ングリング31の摺動端面31aとシールリング32の
摺動端面32aの間に介入して潤滑油膜を形成する。こ
のため、前記摺動端面31a,32a間を良好に潤滑す
ると共に、大気側空間Qへの冷媒ガスの通過を遮断す
る。
【0018】なお、スパイラル溝41cによる流体力学
的ポンプ作用によって、冷凍機油と共に冷媒ガスもリッ
プシール4の摺動リップ41aとメイティングリング3
1の摺動端面31aとの間を環状密閉空間Tへ僅かに漏
洩するが、これによる環状密閉空間Tの機内空間Pに対
する冷媒ガス圧の上昇は僅かであり、主シール部Sにお
ける密封性に悪影響を与えるものではない。
【0019】また、電磁クラッチがエンジンからの駆動
力を遮断し、回転軸2が停止した状態にある時は、冷凍
機油が機内空間Pの下部に落下してこの機内空間Pがガ
スゾーンとなる。しかし、回転軸2の停止時は回転側摺
動環であるシールリング32に装着されたリップシール
4も停止することによって、スパイラル溝41cによる
流体力学的ポンプ作用及び動圧が失われるので、リップ
シール本体41の弾性及び機内空間Pの冷媒ガス圧によ
ってその摺動リップ41aがメイティングリング31の
摺動端面31aに対して密着状態となり、冷媒ガスに対
するシール作用を発揮する。
【0020】この場合、エラストマからなる摺動リップ
41aは、メカニカルシール3の主シール部Sのような
剛体接触と異なり、メイティングリング31の摺動端面
31aに偏摩耗や微小な傷がある場合でもこれに良く馴
染んだ状態で密接する。このため、フロンR134aに
代わる冷媒ガスとして二酸化炭素を採用することによっ
て、圧縮機停止時の機内空間Pの冷媒ガス圧力が5.0
MPa程度の高圧状態になっても、この冷媒ガスは環状
密閉空間Tへの通過が僅かである。したがって、圧縮機
の停止時に主シール部Sが油膜切れによって乾燥接触状
態となっても、大気側空間Qへの冷媒ガスの漏洩を有効
に低減することができる。
【0021】図2は、上述の実施形態の軸シール装置で
冷媒圧縮機を軸封した場合と、先の図7に示すメカニカ
ルシールによる従来の軸シール装置で軸封した場合につ
いて下記の条件で漏洩試験を行い、二酸化炭素CO
らなる冷媒ガスの漏洩量を比較したものである。この試
験結果から明らかなように、上記実施形態の軸シール装
置によれば従来に比較して冷媒ガスの漏洩量を著しく低
減できることが確認された。 試験条件 冷媒ガス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・CO 冷凍機油・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・PAG油 冷媒ガス圧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4MPa 試験温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20℃
【0022】上記実施形態では、スパイラル溝をリップ
シール4の摺動リップ41aに形成したが、逆に、メイ
ティングリング31の摺動端面31aにおける前記摺動
リップ41aとの摺接部分にスパイラル溝を形成して
も、同様の効果を得ることができる。この場合のスパイ
ラル溝は、摺動リップ41aに形成した場合とは逆に、
リップシール4の回転方向Rへ向かって漸次内周側へ偏
在するように延びるものとする。
【0023】また、リップシール4の摺動リップ41a
の先端部には、スパイラル溝の代わりに、図3に示す第
二の実施形態のように、うねり状凹凸面41dを円周方
向所定間隔で反復形成しても良い。この場合、メイティ
ングリング31の摺動端面31aに対する前記摺動リッ
プ41aの接触幅、ひいては接触面圧が前記うねり状凹
凸面41dに対応して変化しているので、その接触面間
に介在する流体潤滑層の層厚も前記うねり状凹凸面41
dに対応して変化する。
【0024】すなわち、この第二の実施形態によれば、
冷媒圧縮機の駆動時には、リップシール4の摺動リップ
41aとメイティングリング31の摺動端面31aとの
摺動部では、前記摺動リップ41aのうねり状凹凸面4
1dの回転によって、前記摺動部に介在する流体潤滑層
に流体力学的な動圧が発生するため、前記動圧及び摺動
リップ41aに作用する遠心力によって摺動端面31a
から摺動リップ41aが僅かに離間する。うねり状凹凸
面41dでは、スパイラル溝のようなポンプ作用は生じ
ないが、前記流体潤滑層の層厚が大きい部分では冷凍機
油が容易に介入するので、その一部が先の図1に示す環
状密閉空間Tに侵入する。このため、主シール部Sにお
いて互いに密接摺動するメイティングリング31の摺動
端面31aとシールリング32の摺動端面32aの間に
良好な潤滑油膜が形成される。
【0025】また、回転軸2が停止した圧縮機停止時に
は、リップシール4の回転も停止することによって、う
ねり状凹凸面41dによる流体力学的動圧が失われるの
で、リップシール本体41の弾性及び機内空間Pの冷媒
ガス圧によってその摺動リップ41aがメイティングリ
ング31の摺動端面31aに密着し、冷媒ガスの通過を
遮断する。
【0026】次に図4は、本発明に係る高圧ガス圧縮機
用軸シール装置の第三の実施形態を示すものである。こ
の実施形態においては、メカニカルシール3のメイティ
ングリング31とシールリング32の摺動端面31a,
32aによる主シール部Sの外周側に配置されたリップ
シール4が静止側に固定され、回転側に摺接されるよう
になっている。
【0027】これを更に詳しく説明すると、リップシー
ル4は上述した第一及び第二の実施形態と同様、エラス
トマ材料で成形されたリップシール本体43と、その肉
厚における内周側に偏在して埋設された補強用の金属環
44とからなるものであって、前記リップシール本体4
3の摺動リップ43aが、先端へ向けて漸次小径になる
テーパ状を呈し、円筒状の基部43bの内周面が、シー
ルハウジング1の環状段差部11から露出したメイティ
ングリング31の機内側外周面に適当な締め代で密封的
に嵌着されている。一方、シールリング32のノーズ部
32cの外周側に形成された環状段差部32dには、硬
質の金属又はセラミックス摺動材からなる環状のライナ
5が嵌着されており、前記リップシール4の摺動リップ
43aの先端部が、このライナ5の外周面に密接されて
いる。
【0028】リップシール4の摺動リップ43aの先端
部には多数のスパイラル溝43cが形成されている。各
スパイラル溝41cは、図5に一層明確に示されるよう
に、シールリング32の回転方向(ライナ5の摺動方
向)Rへ向かって漸次環状密閉空間T側へ偏在するよう
に延びており、前記ライナ5の外周面との間で、流体を
メイティングリング31側(環状密閉空間T)へ送る流
体力学的ポンプ作用を発生するものである。
【0029】なお、メカニカルシール3は、メイティン
グリング31の機内側の端部がシールハウジング1の環
状段差部11から機内空間Pへ突出しているほかは、各
部に図1と同一の符号を付して示すように、基本的には
先に説明した第一の実施形態のものと同様の構成を有す
る。
【0030】この構成によれば、回転軸2が回転してい
る冷媒圧縮機駆動時には、機内の高圧の冷媒ガス中にミ
スト状に混在する冷凍機油の一部がリップシール4の摺
動リップ43aとシールリング32に嵌着されたライナ
5との摺動部に介入する。この摺動部では、回転するラ
イナ5の外周面と接する前記冷媒ガスが共回りするの
で、スパイラル溝43cによって流体力学的ポンプ作用
及び動圧が発生し、この動圧によってライナ5の外周面
から摺動リップ43aの先端部が僅かに外周側へ離間
し、その隙間に、前記ポンプ作用によって環状密閉空間
T側へ向かう冷凍機油の流れが惹起される。環状密閉空
間Tに供給された冷凍機油は、前記主シール部Sにおい
て互いに密接摺動するメイティングリング31の摺動端
面31aとシールリング32の摺動端面32aの間に毛
細管現象により介入して潤滑油膜を形成し、前記摺動端
面31a,32a間を良好に潤滑すると共に、大気側空
間Qへの冷媒ガスの通過を遮断する。
【0031】なお、スパイラル溝43cによる流体力学
的ポンプ作用によって、冷凍機油と共に冷媒ガスもリッ
プシール4の摺動リップ43aとライナ5の外周面との
間を環状密閉空間Tへ漏洩するが、これによる環状密閉
空間Tの冷媒ガス圧の上昇は僅かであり、主シール部S
における密封性に悪影響を与えるものではない。
【0032】回転軸2の回転が停止した圧縮機停止時
は、冷凍機油が機内空間Pの下部に落下してこの機内空
間Pがガスゾーンとなる。しかし、この時はシールリン
グ32も非回転であって、ライナ5とリップシール4の
摺動リップ43aの間にはスパイラル溝43cによる流
体力学的動圧が生じないので、リップシール本体43の
弾性及び機内空間Pの冷媒ガス圧によってその摺動リッ
プ43aがライナ5の外周面に密着する。このため、機
内空間Pの高圧の冷媒ガスは環状密閉空間Tへ通過でき
ず、主シール部Sから大気側空間Qへの冷媒ガスの漏洩
を有効に低減することができる。
【0033】上記第三の実施形態では、スパイラル溝を
リップシール4の摺動リップ43aに形成したが、逆
に、相手摺動面であるライナ5の外周面にスパイラル溝
を形成しても、同様の効果を得ることができる。この場
合のスパイラル溝は、摺動リップ43aに形成した場合
とは逆に、リップシール4の回転方向Rへ向かって漸次
機内空間P側へ偏在するように延びるものとする。
【0034】また、リップシール4の摺動リップ43a
には、スパイラル溝43cの代わりに、図6に示す第四
の実施形態のように、うねり状凹凸面43dを円周方向
所定間隔で反復形成しても良い。
【0035】すなわち、この第四の実施形態によれば、
先の第二の実施形態で説明したのと同様に、ライナ5の
外周面と摺動リップ43aとの摺動部に介在する流体潤
滑層の層厚がうねり状凹凸面43dに対応して円周方向
に変化しているので、冷媒圧縮機の駆動時には、ライナ
5と摺動リップ43aの摺動によって前記流体潤滑層に
流体力学的な動圧が発生し、この動圧によってライナ5
の外周面から摺動リップ43aが外周側へ僅かに離間す
るため、冷凍機油が前記摺動部に容易に介入してその一
部が先の図4に示す環状密閉空間Tに侵入する。このた
め、主シール部Sにおいて互いに密接摺動するメイティ
ングリング31の摺動端面31aとシールリング32の
摺動端面32aの間に良好な潤滑油膜が形成される。
【0036】また、回転軸2が停止する圧縮機停止時に
は、シールリング32(ライナ5)の回転も停止し、う
ねり状凹凸面43dによる流体力学的動圧が失われるの
で、リップシール本体43の弾性及び機内空間Pの冷媒
ガス圧によってその摺動リップ43aがライナ5の外周
面に隙間なく密着し、冷媒ガスの通過を遮断する。
【0037】なお、本発明は図示の実施形態に限定され
るものではない。例えばメカニカルシール3の構成は図
示の構成以外のものも適用することができる。また、リ
ップシール4の摺動リップの凹凸面も、停止時に相手摺
動面に対して密接可能であれば、図示のようなうねり形
状以外であっても良い。また、図4乃至図6の実施形態
においては、ライナ5を設けずに摺動リップ43aの先
端を直接シールリング32に密接させる構成とすること
もできる。
【0038】
【発明の効果】本発明に係る高圧ガス圧縮機用軸シール
装置によると、静止側及び回転側摺動環による主シール
部の外周側に配置されたリップシールが、圧縮機の駆動
時(軸回転時)には相手摺動面との間に漏れ隙間を形成
して、前記主シール部側への機内油の漏洩を許容し、圧
縮機の停止時(軸停止時)には前記相手摺動面と密着す
るため、前記軸回転時には、主シール部における静止側
摺動環と回転側摺動環の摺動端面が機内油の介入によっ
て良好に潤滑されると共に大気側への圧縮ガスの漏洩が
有効に防止され、前記軸停止時には、機内の高圧ガスの
漏洩を前記リップシールにおいて防止する。したがっ
て、例えば空調装置の冷媒圧縮機において、環境保全の
目的で冷媒ガスを従来のフロンから二酸化炭素に変更す
ることによって、停止時の冷媒圧力が高圧になることに
よる冷媒ガスの漏洩にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高圧ガス圧縮機用軸シール装置の
第一の実施形態を、軸心を通る平面で切断して示す断面
図である。
【図2】試験結果を示す説明図である。
【図3】本発明に係る高圧ガス圧縮機用軸シール装置の
第二の実施形態としてのリップシールを示す部分断面図
である。
【図4】本発明に係る高圧ガス圧縮機用軸シール装置の
第三の実施形態を、軸心を通る平面で切断して示す断面
図である。
【図5】上記第三の実施形態におけるリップシールを示
す部分断面図である。
【図6】本発明に係る高圧ガス圧縮機用軸シール装置の
第四の実施形態としてのリップシールを示す部分断面図
である。
【図7】従来技術に係る高圧ガス圧縮機用軸シール装置
を、軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【符号の説明】
1 シールハウジング 2 回転軸 3 メカニカルシール 31 メイティングリング(静止側摺動環) 31a,32a 摺動端面 32 シールリング(回転側摺動環) 4 リップシール 41a,43a 摺動リップ 41c,43c スパイラル溝 41d,43d うねり状凹凸 5 ライナ P 機内空間 Q 大気側空間 S 主シール部 T 環状密閉空間

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周に回転軸を挿通したシールハウジン
    グ側に気密的に設けられた非回転の静止側摺動環と、 前記回転軸側に気密的に設けられてこの回転軸と共に回
    転し前記静止側摺動環と軸方向端面同士で密接される回
    転側摺動環と、 前記両摺動環の互いの密接による主シール部の外周側に
    配置されて静止側及び回転側のいずれか一方に定着され
    ると共に他方に弾性的に摺接されるリップシールとを備
    え、 このリップシールの摺動リップ及びこれと密接する相手
    摺動面のうちいずれか一方に、前記摺動リップ及び相手
    摺動面の相対的な回転時に前記主シール部側へ向けて流
    体力学的ポンプ作用を生じるスパイラル状の溝が形成さ
    れたことを特徴とする高圧ガス圧縮機用軸シール装置。
  2. 【請求項2】 内周に回転軸を挿通したシールハウジン
    グ側に気密的に設けられた非回転の静止側摺動環と、 前記回転軸側に気密的に設けられてこの回転軸と共に回
    転し前記静止側摺動環と軸方向端面同士で密接される回
    転側摺動環と、 前記両摺動環の互いの密接による主シール部の外周側に
    配置されて静止側及び回転側のいずれか一方に定着され
    ると共に他方に弾性的に摺接されるリップシールとを備
    え、 このリップシールの摺動リップに、前記摺動リップ及び
    相手摺動面の相対的な回転時に流体力学的な動圧を発生
    する凹凸が円周方向所定間隔で反復形成されたことを特
    徴とする高圧ガス圧縮機用軸シール装置。
JP10312763A 1998-11-04 1998-11-04 高圧ガス圧縮機用軸シール装置 Pending JP2000136881A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10312763A JP2000136881A (ja) 1998-11-04 1998-11-04 高圧ガス圧縮機用軸シール装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10312763A JP2000136881A (ja) 1998-11-04 1998-11-04 高圧ガス圧縮機用軸シール装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000136881A true JP2000136881A (ja) 2000-05-16

Family

ID=18033137

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10312763A Pending JP2000136881A (ja) 1998-11-04 1998-11-04 高圧ガス圧縮機用軸シール装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000136881A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007198264A (ja) * 2006-01-26 2007-08-09 Sanden Corp 圧縮機のメカニカルシール装置
JP2008051252A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 Eagle Ind Co Ltd シール装置
JP2008232439A (ja) * 2007-03-21 2008-10-02 Ab Skf シール組立体
JP2009236161A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Jtekt Corp 転がり軸受用密封装置
JP2018066397A (ja) * 2016-10-17 2018-04-26 Nok株式会社 密封装置
JP2018071702A (ja) * 2016-10-31 2018-05-10 イーグル工業株式会社 冷凍機コンプレッサの軸封装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007198264A (ja) * 2006-01-26 2007-08-09 Sanden Corp 圧縮機のメカニカルシール装置
JP2008051252A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 Eagle Ind Co Ltd シール装置
JP2008232439A (ja) * 2007-03-21 2008-10-02 Ab Skf シール組立体
JP2009236161A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Jtekt Corp 転がり軸受用密封装置
JP2018066397A (ja) * 2016-10-17 2018-04-26 Nok株式会社 密封装置
JP2018071702A (ja) * 2016-10-31 2018-05-10 イーグル工業株式会社 冷凍機コンプレッサの軸封装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5860656A (en) Seal for rotating shaft
US6290470B1 (en) Shaft sealing assembly and compressor incorporating the same
JPWO2008013147A1 (ja) メカニカルシール装置
EP2000712A9 (en) Shaft seal device for fluid machine
KR20040055648A (ko) 유체냉각제 유니언
EP1098117A1 (en) Mechanical seal for compressor
JP2000136881A (ja) 高圧ガス圧縮機用軸シール装置
TWI629415B (zh) Oil-free screw compressor
JP2002257056A (ja) スクロール圧縮機
JP2001004034A (ja) Co2圧縮機用メカニカルシール
CN102734157A (zh) 压缩机
JP4606545B2 (ja) メカニカルシールによる圧縮機の軸封機構
JP2018071702A (ja) 冷凍機コンプレッサの軸封装置
JP2000193099A (ja) ガス圧縮機用メカニカルシ―ル
US2158297A (en) Seal for refrigerating apparatus
JP3305196B2 (ja) 軸封装置
EP3742027A1 (en) Seal structure and seal to be used in same
JP2008184926A (ja) 往復動圧縮機
JP7325975B2 (ja) 開放型圧縮機
JP2006177500A (ja) メカニカルシール
JPH11344126A (ja) 冷凍機コンプレッサ用軸封装置
JP2003343737A (ja) 回転軸シール
KR20210028466A (ko) 전동압축기의 배압형성 장치 및 이를 적용하는 방법
JP4008098B2 (ja) 冷凍機コンプレッサの軸封構造
JPH11344125A (ja) 冷凍機コンプレッサ用軸封装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051020

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080206

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080625