JP2000130198A - 電磁駆動弁の制御装置 - Google Patents

電磁駆動弁の制御装置

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JP2000130198A
JP2000130198A JP10309055A JP30905598A JP2000130198A JP 2000130198 A JP2000130198 A JP 2000130198A JP 10309055 A JP10309055 A JP 10309055A JP 30905598 A JP30905598 A JP 30905598A JP 2000130198 A JP2000130198 A JP 2000130198A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、電磁駆動弁の制御装置に関し、燃
料噴射カット制御の実行中に、燃焼室内の負圧に起因し
て、排気弁に連結されたアーマチャが開弁側の電磁石か
ら跳ね返るのを防止すると共に、作動音を抑制すること
を目的とする。 【解決手段】 排気弁として機能する弁体44を駆動す
る電磁駆動弁40は、弁体44に連結されたアーマチャ
74と、アーマチャ74の上方に配設されたアッパコア
82及びアッパコイル80と、アーマチャ74の下方に
配設されたロアコア86及びロアコイル84とを備え
る。アッパコイル80とロアコイル84十に交互に励磁
電流を供給することで、弁体44が開閉駆動される。燃
料噴射カット制御の実行中は、弁体44の開弁時に、ア
ーマチャ74をアッパコア82から開放させる際にアッ
パコイル80に開放電流を供給する期間を通常運転時よ
りも長くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁駆動弁の制御
装置に係り、特に、内燃機関の排気弁を開閉駆動するう
えで好適な電磁駆動弁の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平10−1881
9号及び特開平10−18820号に開示される如く、
内燃機関の排気弁を開閉駆動する電磁駆動弁が公知であ
る。この電磁駆動弁は、排気弁に連結されたアーマチャ
を備えている。アーマチャの上方には第1電磁石及びア
ッパスプリングが配設されている。また、アーマチャの
下方には第2電磁石及びロアスプリングが配設されてい
る。アーマチャはアッパスプリング及びロアスプリング
により、第1電磁石と第2電磁石との中間の中立位置に
保持されている。電磁駆動弁は、アーマチャが第1電磁
石に当接した状態では排気弁が全閉状態となり、また、
アーマチャが第2電磁石に当接した状態で排気弁が全開
状態となるように構成されている。
【0003】上記従来の電磁駆動弁において、第1電磁
石へ所定の保持電流が供給された状態では、アーマチャ
が第1電磁石に吸引されることで、排気弁は全閉位置に
保持される。この状態で、第1電磁石への保持電流の供
給が停止されると、アーマチャがアッパスプリングによ
り付勢されることで、排気弁は開弁方向に変位を開始す
る。排気弁が所定位置まで変位した時点で、第2電磁石
へ所定の吸引電流が供給されると、アーマチャに開弁方
向の電磁力が作用することで、摩擦や燃焼残圧による変
位振幅の減衰が補われ、排気弁は全開位置まで変位す
る。
【0004】排気弁が全開位置に達する際、すなわち、
アーマチャが第2電磁石に当接する際に排気弁が大きな
速度で変位していると、作動音の増加や排気弁の跳ね返
り等の問題を招く。そこで、上記従来の電磁駆動弁で
は、排気弁が全開位置の近傍に達した時点で、第2電磁
石へ供給する励磁電流を減少させることで、排気弁が全
開位置に達する際の変位速度を抑制することとしてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両用内燃
機関においては、例えば高速運転時等にアクセル操作が
解除された場合には、燃料噴射を停止する燃料噴射カッ
ト制御が実行される。燃料噴射カット制御の実行中は燃
焼が行われないので、排気弁が開弁されるタイミング、
すなわち、下死点近傍で燃焼室内は負圧となる。この負
圧は、排気弁に対して開弁方向の駆動力として作用す
る。従って、燃料噴射カット制御の実行中に排気弁を開
弁する場合に、燃料噴射カット制御が実行されていない
通常運転時と同様の励磁電流を第2電磁石に供給したの
では、アーマチャが第2電磁石に当接する際の変位速度
が大きくなる。この場合、アーマチャが第2電磁石から
跳ね返され、アーマチャを再び第2電磁石に吸引するた
めに第2電磁石に励磁電流を供給することが必要となっ
て消費電力が増加する。また、アーマチャと第2電磁石
とが高速で衝突することにより大きな作動音が発生す
る。
【0006】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、内燃機関の燃焼が行われていない場合に、上記
の問題を防止し得る電磁駆動弁の制御装置を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、内燃機関の排気弁として機能する弁体
と、該弁体に連結されたアーマチャと、該アーマチャに
電磁力を作用させる電磁石とを備え、電磁力とばね力と
を協働させることにより前記弁体を開閉駆動する電磁駆
動弁の制御装置において、前記内燃機関の燃焼が行われ
ていない場合は、前記弁体の開弁時に前記アーマチャに
閉弁方向の電磁力を付与する電磁力付与手段を備える電
磁駆動弁の制御装置により達成される。
【0008】請求項1記載の発明において、電磁力付与
手段は、内燃機関の燃焼が行われていない場合は、弁
体、すなわち排気弁の開弁時にアーマチャに閉弁方向の
電磁力を付与する。内燃機関の燃焼が行われていない場
合は、排気弁の開弁タイミングである下死点近傍におい
て燃焼室に負圧が発生する。かかる状況下で電磁力付与
手段がアーマチャに閉弁方向の電磁力を付与すること
で、燃焼室の負圧に起因して弁体に作用する開弁方向の
力が相殺される。従って、本発明によれば、アーマチャ
が高い速度で開弁側の電磁石に衝突することが防止さ
れ、これにより、アーマチャが電磁石から跳ね返ること
が防止されると共に、作動音が抑制される。上記の如
く、電磁力付与手段がアーマチャに付与する電磁力によ
り燃焼室の負圧の影響が相殺されるので、燃焼室の負圧
が大きい場合にも上記の効果を得ることができる。ま
た、本発明において、排気弁が開弁されるタイミングは
変化させる必要がないので、燃焼室が負圧となる状態を
形成することができる。内燃機関の燃焼が行われていな
い場合、燃焼室の負圧に応じたエンジンブレーキ力が発
生する。従って、本発明によれば、エンジンブレーキ力
を確保することができる。
【0009】また、上記の目的は、請求項2に記載する
如く、内燃機関の排気弁として機能する弁体と、該弁体
に連結されたアーマチャと、該アーマチャに電磁力を作
用させる電磁石とを備え、電磁力とばね力とを協働させ
ることにより前記弁体を開閉駆動する電磁駆動弁の制御
装置において、前記内燃機関の燃焼が行われていない場
合は、前記内燃機関の燃焼が行われている場合よりも、
前記弁体の開弁時に前記アーマチャに付与する開弁方向
の電磁力を減少させる電磁力減少手段を備える電磁駆動
弁の制御装置により達成される。
【0010】請求項2記載の発明において、電磁力減少
手段は、内燃機関の燃焼が行われていない場合に、内燃
機関の燃焼が行われている場合よりも、弁体、すなわち
排気弁の開弁時にアーマチャに付与する開弁方向の電磁
力を減少させる。この電磁力の減少分だけ、燃焼室の負
圧に起因して弁体に作用する開弁方向の力が相殺され
る。従って、本発明によれば、アーマチャが高い速度で
開弁側の電磁石に衝突することが防止され、これによ
り、アーマチャが電磁石が跳ね返ることが防止されると
共に作動音が抑制される。また、電磁力減少手段がアー
マチャに付与する磁力を減少させることで、電磁駆動弁
の省電力化が図られる。また、本発明において、排気弁
が開弁されるタイミングは変化させる必要がないので、
燃焼室が負圧となる状態を形成することができる。従っ
て、本発明によれば、エンジンブレーキ力を確保するこ
とができる。
【0011】また、上記の目的は、請求項3に記載する
如く、内燃機関の排気弁として機能する弁体と、該弁体
に連結されたアーマチャと、該アーマチャに電磁力を作
用させる電磁石とを備え、電磁力とばね力とを協働させ
ることにより前記弁体を開閉駆動する電磁駆動弁の制御
装置において、前記内燃機関の燃焼が行われていない場
合は、前記内燃機関の燃焼が行われている場合に対し
て、前記弁体の開弁タイミングを進角又は遅角する開弁
タイミング変更手段を備える電磁駆動弁の制御装置によ
り達成される。
【0012】請求項3記載の発明において、開弁タイミ
ング変更手段は、内燃機関の燃焼が行われていない場合
には、内燃機関の燃焼が行われている場合に対して、弁
体、すなわち排気弁の開弁タイミングを進角又は遅角す
る。内燃機関の燃焼が行われていない場合には、排気弁
の開弁タイミングである下死点近傍では、燃焼室内は負
圧となる。これに対して、開弁タイミング変更手段は、
内燃機関の燃焼が行われていない場合には、内燃機関の
燃焼が行われている場合に対して、排気弁の開弁タイミ
ングを進角又は遅角する。このため、排気弁が開弁され
る時点で燃焼室に生じている負圧は小さく抑制され、又
は、燃焼室は正圧となる。従って、本発明によれば、ア
ーマチャが高い速度で開弁側の電磁石に衝突することが
防止され、これにより、アーマチャが電磁石が跳ね返る
ことが防止されると共に作動音が抑制される。また、本
発明では、アーマチャに余分な電磁力を付与することが
不要であるため、消費電力の増加が防止できる。
【0013】更に、上記の目的は、請求項4に記載する
如く、内燃機関の排気弁として機能する弁体と、該弁体
に連結されたアーマチャと、該アーマチャに電磁力を作
用させる電磁石とを備え、電磁力とばね力とを協働させ
ることにより前記弁体を開閉駆動する電磁駆動弁の制御
装置において、前記内燃機関の燃焼が行われていない場
合には、前記弁体の駆動を停止する駆動停止手段を備え
る電磁駆動弁の制御装置により達成される。
【0014】請求項4記載の発明において、駆動停止手
段は、内燃機関の燃焼が行われていない場合に弁体の駆
動を停止する。すなわち、内燃機関の燃焼が行われてい
ない場合は、排気弁が開弁側に駆動されることがないの
で、燃焼室に生ずる負圧に起因して、アーマチャが電磁
石に高速で衝突することが防止される。また、弁体の駆
動が停止されるので、アーマチャを吸引すべく電磁石に
供給する励磁電流が低減され、これにより、電磁駆動弁
の省電力化が図られる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
電磁駆動弁の制御装置が適用された車載用内燃機関の構
成図を示す。本実施例のシステムはECU10により制
御される。内燃機関は、シリンダブロック12を備えて
いる。シリンダブロック12の内部には、シリンダ14
およびウォータジャケット16が形成されている。本実
施例の内燃機関は、複数のシリンダを備える多気筒型内
燃機関である。図1は、複数のシリンダのうち一のシリ
ンダ14を表す。
【0016】シリンダ14の内部にはピストン18が配
設されている。ピストン18は、シリンダ14の内部
を、図1における上下方向に摺動することができる。シ
リンダブロック12の上部には、シリンダヘッド20が
固定されている。シリンダヘッド20には、各シリンダ
毎に吸気ポート22および排気ポート24が形成されて
いる。
【0017】シリンダヘッド20の底面、ピストン18
の上面、およびシリンダ14の側壁は、燃焼室26を画
成している。上述した吸気ポート22および排気ポート
24は、共に燃焼室26に開口している。吸気ポート2
2の燃焼室26側の開口端部、および、排気ポート24
の燃焼室26側の開口端部には、それぞれバルブシート
28,30が形成されている。燃焼室26には、また、
点火プラグ32の先端が露出している。
【0018】シリンダヘッド20には電磁駆動弁38及
び40が組み込まれている。電磁駆動弁38は弁体42
を備えている。弁体42は内燃機関の吸気弁として機能
する。すなわち、弁体42は、バルブシート28に着座
することにより吸気ポート22と燃焼室26との間を遮
断し、また、バルブシート28から離座することにより
吸気ポート22と燃焼室26との間を導通させる。以
下、弁体42を吸気弁42とも称す。一方、電磁駆動弁
40は弁体44を備えている。弁体44は内燃機関の排
気弁として機能する。すなわち、弁体44は、バルブシ
ート30に着座することにより排気ポート24と燃焼室
26との間を遮断し、また、バルブシート30から離座
することにより排気ポート24と燃焼室26との間を導
通させる。以下、弁体44を排気弁44とも称す。
【0019】内燃機関は、吸気マニホールド46を備え
ている。吸気マニホールド46はサージタンク48と各
吸気ポート22とを連通する複数の枝管を備えている。
各枝管には、燃料噴射弁50が配設されている。燃料噴
射弁50はECU10から付与される指令信号に応じて
燃料を枝管内に噴射する。サージタンク48の上流側に
は、吸気管52が連通している。吸気管52には、スロ
ットルバルブ54が配設されている。吸気管52の上流
側端部にはエアクリーナ56が連通している。従って、
吸気管52にはエアクリーナ56により濾過された外気
が流入する。また、内燃機関の排気ポート24には、排
気通路58が連通している。
【0020】内燃機関には、クランク角センサ60が設
けられている。クランク角センサ60の出力信号はEC
U10に供給されている。ECU10はクランク角セン
サ60の出力信号に基づいてクランク角CA及び機関回
転数NEを検出する。本実施例の内燃機関において、機
関回転数NEが所定値以上である高回転運転状態でアク
セル操作が解除された場合には、燃料噴射弁50からの
燃料噴射を停止する燃料噴射カット制御が実行される。
アクセル操作が解除された状態、すなわち、スロットル
バルブ54が閉弁された状態では、スロットルバルブ5
4より下流側の吸気管52、サージタンク48、吸気マ
ニホールド46、及び吸気ポート22(以下、吸気系と
称す)に大きな負圧が発生する。なお、本明細書におい
て、負圧が大きいとは、大気圧との圧力差が大きいこ
と、すなわち、絶対圧としては低圧であることを意味す
るものとする。吸気系に大きな負圧が発生している状況
下で燃料噴射が停止されると、燃焼室26での燃焼が行
われなくなることにより、クランク角CAの下死点近傍
において、燃焼室26内の圧力(筒内圧)は負圧とな
る。燃焼室26に負圧が生ずると、ピストン18のポン
ピングロスにより、負圧に応じたエンジンブレーキ力が
発生する。このように、燃料噴射カット制御が実行され
ると、下死点近傍において燃焼室26に負圧が生じ、こ
の負圧に応じたエンジンブレーキ力が発生する。
【0021】次に、電磁駆動弁38及び40の構成及び
動作について説明する。なお、電磁駆動弁38及び40
は同一の構成を有しているため、それらの代表例とし
て、電磁駆動弁40の構成および動作について説明す
る。図2は、電磁駆動弁40をその軸に沿って切断した
断面図を示す。図2に示す如く、排気弁44は弁軸62
に連結されている。弁軸62はシリンダヘッド20の内
部に固定されたバルブガイド64により軸方向に変位可
能に保持されている。電磁駆動弁40は、また、弁軸6
2の上端部に当接されたアーマチャシャフト66を備え
ている。アーマチャシャフト66は、非磁性材料で構成
されたロッド状の部材である。弁軸62の上端部には、
ロアリテーナ68が固定されている。ロアリテーナ68
の下方にはロアスプリング70が配設されている。ロア
スプリング70の下端は、シリンダヘッド20に当接し
ている。ロアスプリング70は、弁軸62、ロアリテー
ナ68、及びアーマチャシャフト66を図2における上
方へ向けて付勢している。
【0022】アーマチャシャフト66の上端部には、ア
ッパリテーナ72が固定されている。アッパリテーナ7
2の上方には、アッパスプリング76の下端部が当接し
ている。アッパスプリング76の周囲には、その外周を
取り巻くように円筒状のアッパキャップ77が配設され
ている。アッパスプリング76の上端部は、アッパキャ
ップ77に螺着されたアジャストボルト78に当接して
いる。アッパスプリング76は、アッパリテーナ72お
よびアーマチャシャフト66を、図2における下方へ向
けて付勢している。
【0023】アーマチャシャフト66の外周には、アー
マチャ74が接合されている。アーマチャ74は、軟磁
性材料で構成された環状の部材である。アーマチャ74
の上方には、アッパコイル80及びアッパコア82が配
設されている。また、アーマチャ74の下方には、ロア
コイル84及びロアコア86が配設されている。アッパ
コア82およびロアコア86は、共に磁性材料で構成さ
れた部材である。アーマチャシャフト66は、アッパコ
ア82およびロアコア86の中央部に、摺動可能に保持
されている。また、アッパコイル80及びロアコイル8
4は図示しない駆動回路に接続されている。駆動回路は
ECU10から供給される制御信号に応じてアッパコイ
ル80及びロアコイル84に励磁電流を供給する。
【0024】アッパコア82およびロアコア86の外周
には、外筒88が配設されている。アッパコア82およ
びロアコア86は、両者間に所定の間隔が確保されるよ
うに、外筒74により保持されている。また、上述した
アッパキャップ77は、アッパコア82の上端面に固定
されている。アジャスタボルト78は、アーマチャ74
の中立位置がアッパコア82とロアコア86の中央とな
るように調整されている。
【0025】電磁駆動弁40において、アーマチャ74
がアッパコア82に当接した状態では、排気弁44はバ
ルブシート30に着座する。この状態は、アッパコイル
80に所定の励磁電流が供給されることにより維持され
る。以下、排気弁44がバルブシート30に着座した状
態を全閉状態と、また、その際の排気弁44の位置を全
閉位置と称す。
【0026】排気弁44が全閉位置に維持されている状
態で、アッパコイル80に供給されていた励磁電流が遮
断されると、アーマチャ74に作用していた電磁力が消
滅する。アーマチャ74に作用していた電磁力が消滅す
ると、アッパスプリング76に付勢されることにより、
アーマチャ74が図2における下方へ向けて変位する。
アーマチャ74の変位量が所定値に達した時点で、ロア
コイル84に適当な励磁電流が供給されると、今度はア
ーマチャ74をロアコア86側へ吸引する吸引力、すな
わち、排気弁44を図2において下方へ変位させる吸引
力が発生する。
【0027】アーマチャ74に対して上記の吸引力が作
用すると、摺動抵抗や燃焼残圧によるエネルギー損失が
補われ、アーマチャ74は、排気弁44と共に図2にお
ける下方へ向けて変位する。排気弁44の変位は、アー
マチャ74がロアコア86と当接するまで継続する。以
下、アーマチャ74がロアコア86に当接した状態を全
開状態と、また、その際の排気弁44の位置を全開位置
と称す。この全開状態は、ロアコイル84に所定の励磁
電流が供給されることにより維持される。
【0028】排気弁44が全開位置に維持されている状
態で、ロアコイル84に供給されていた励磁電流が遮断
されると、アーマチャ74に作用していた電磁力が消滅
する。アーマチャ74に作用していた電磁力が消滅する
と、ロアスプリング70に付勢されることにより、アー
マチャ74が図2における上方へ向けて変位する。アー
マチャ74の変位量が所定値に達した時点で、アッパコ
イル80に適当な励磁電流が供給されると、今度はアー
マチャ74をアッパコア82側へ吸引する吸引力、すな
わち、排気弁44を図2において上方へ変位させる吸引
力が発生する。
【0029】アーマチャ74に対して上記の吸引力が作
用すると、摺動抵抗等によるエネルギー損失が補われ、
アーマチャ74は、排気弁44と共に図2における上方
へ向けて変位する。排気弁44の変位は、アーマチャ7
4が第1コア62と当接するまで、すなわち、全閉状態
となるまで継続する。上述の如く、電磁駆動弁40によ
れば、アッパコイル80に所定の励磁電流を供給するこ
とにより排気弁44を全閉位置に向けて変位させること
ができると共に、ロアコイル84に所定の励磁電流を供
給することにより排気弁44を全開位置に向けて変位さ
せることができる。従って、電磁駆動弁40によれば、
アッパコイル80とロアコイル84とに交互に励磁電流
を供給することにより、排気弁44を、全開位置と全閉
位置との間で繰り返し往復運動させることができる。
【0030】本実施例において、吸気弁42を備える電
磁駆動弁38は、上述した電磁駆動弁40と同様に作動
する。従って、本実施例によれば、電磁駆動弁38、4
0が備えるアッパコイル80およびロアコイル84に対
して、それぞれ、適当なタイミングで交互に励磁電流を
供給されるように、ECU10が駆動回路に制御信号を
付与することにより、吸気弁42および排気弁44を任
意のタイミングで開閉駆動することができる。
【0031】ところで、弁体42、44が全開位置又は
全閉位置に達する時点、すなわち、アーマチャ74がロ
アコア86又はアッパコア82に当接する時点での弁体
42、44の変位速度が高い場合、アーマチャ74とロ
アコア86又はアッパコア82との衝突に伴う大きな作
動音が発生する。また、アーマチャ74が高速でロアコ
ア86又はアッパコア82に衝突すると、アーマチャ7
4がロアコア86又はアッパコア82から跳ね返ること
がある。この場合、跳ね返ったアーマチャ74を再びロ
アコア86又はアッパコア82へ吸引すべくロアコイル
84又はアッパコイル80に励磁電流を供給しなければ
ならず、電磁駆動弁38、40の消費電力が増大してし
まう。従って、電磁駆動弁38、40においては、弁体
42、44が全開位置及び全閉位置に達する時点で、そ
れらの変位速度が小さくなるように、ロアコイル84及
びアッパコイル80へ供給する励磁電流を制御すること
が望ましい。
【0032】図3は、上記の観点より、弁体42、44
を開閉駆動すべくアッパコイル80に供給される指令電
流の電流波形(図3(A))、ロアコイル84に供給さ
れる指令電流の電流波形(図3(B))、及び、これら
の指令電流により実現される弁体42、44の変位(図
3(C))を示す。図3(A)に示す如く、アッパコイ
ル80に供給される指令電流は、弁体42、44が全開
位置から全閉位置へ向けて変位する吸引期間(期間A及
びB)において、所定期間(期間A)だけ吸引電流I
MAX に維持された後、弁体42、44が全閉位置に到達
する時期にほぼ同期して、遷移期間(期間B)を経て、
吸引電流IMAX よりも小さな保持電流IH に維持される
ように制御される(期間C)。そして、この指令電流
は、弁体42、44の開弁要求が生じた時点で、吸引電
流IMAX 及び保持電流IH とは逆方向の開放電流IR
制御される(期間D)。なお、開放電流IR が供給され
る期間Dは、保持電流IH によりアーマチャ74に生じ
た残留磁気が逆方向の開放電流IR によりちょうど打ち
消される程度の長さに設定されている。
【0033】これと同様に、図3(B)に示す如く、ロ
アコイル84に供給される指令電流は、弁体42、44
が全閉位置から全開位置に向けて変位する吸引期間(期
間A及びB)において、所定期間(期間A)だけ吸引電
流IMAX に維持された後、遷移期間(期間B)を経て保
持電流IH に維持されるように制御される(期間C)。
そして、この励磁電流は、弁体42、44の閉弁要求が
生じた時点で開放電流IR に制御される(期間D)。
【0034】ECU10は、クランク角センサ60の出
力信号に基づいて、クランク角CAに同期したタイミン
グで上記の励磁電流をアッパコイル80及びロアコイル
84に供給する。従って、本実施例によれば、内燃機関
の運転に同期した適切なタイミングで吸気弁42及び排
気弁44を開閉駆動することができる。上述の如く、本
実施例の内燃機関においては、高回転運転時にアクセル
操作が解除された場合には、燃料噴射カット制御が実行
されることにより、クランク角CAの下死点近傍におい
て燃焼室26内に負圧が生ずる。図4(A)は、クラン
ク角CAに対する筒内圧の変化を、燃料噴射カット制御
が実行されていない場合(以下、通常運転時と称す)、
及び燃料噴射カット制御が実行されている場合につい
て、それぞれ実線及び破線で示す。また、図4(B)
は、通常運転時に排気弁44が開弁する場合の変位を実
線で、また、燃料噴射カット制御の実行中に通常運転時
と同じ指令電流を用いて排気弁44を開弁させた場合の
変位を破線で、それぞれ示す。
【0035】図4(A)に実線で示す如く、通常運転時
は、上死点近傍で点火が行われることで、筒内圧は極め
て高い値となる。そして、下死点に達した時点でも、燃
焼残圧によって筒内圧は正圧に維持されている。一方、
図4(A)に破線で示す如く、燃料噴射カット制御が実
行されている場合は、燃焼室26の膨張・圧縮に伴う筒
内圧の変化が生ずるのみであるため、下死点近傍では筒
内圧は負圧となるまで低下している。
【0036】図4(B)に示す如く、排気弁44は下死
点近傍で開弁される。これに対応して、図4(A)に実
線で示す如く、通常運転時は、排気弁44の開弁タイミ
ングにおいて筒内圧は正圧Paとなっているので、筒内
圧に起因して排気弁44に開弁方向の力が作用すること
はない。このため、図4(B)に実線で示す如く、全開
位置に達する際の排気弁44の変位速度は抑制され、ア
ーマチャ74の跳ね返りや作動音の増大等の問題は生じ
ない。
【0037】一方、燃料噴射カット制御の実行中は、図
4(A)に破線で示す如く、排気弁44の開弁タイミン
グにおいて筒内圧は負圧Pbとなっている。従って、燃
料噴射カット制御の実行中にも通常運転時と同じタイミ
ングで排気弁44を開弁させると、排気弁44の開弁時
に、燃焼室26内の負圧が開弁方向の力として排気弁4
4に作用することになる。このため、通常運転時と同じ
指令電流(すなわち、図3に示す指令電流)を用いた場
合、排気弁44に作用する開弁方向の力は、燃焼室26
内の負圧に起因する力の分だけ過大となる。その結果、
図4(B)に破線で示す如く、排気弁44が全開位置に
達する際、すなわち、アーマチャ74がロアコア86に
当接する際の変位速度が高くなることにより、排気弁4
4が全開位置から(すなわち、アーマチャ74がロアコ
ア86から)跳ね返る。この場合、上記の如く、アーマ
チャ74をロアコア86に再び吸引すべくロアコイル8
4に余分な励磁電流を供給することが必要となって消費
電力が増大すると共に、アーマチャ74とロアコア86
とが高速で衝突することにより大きな作動音が発生し、
静粛性が損なわれてしまう。また、アーマチャ74とロ
アコア86とが高速で衝突すると、電磁駆動弁40の各
構成部品に衝撃荷重が作用することにより、構成部品の
摩耗や破損を招いてしまう。
【0038】これに対して、本実施例のシステムは、燃
料噴射カット制御の実行中は、排気弁44の開弁時にア
ーマチャ74に対して閉弁方向の電磁力を付与すること
により、上記の不都合を防止し得る点に特徴を有してい
る。図5は、本実施例において、燃料噴射カット制御の
実行中に排気弁44を全閉位置から開弁させる際に、電
磁駆動弁40のアッパコイル80に供給する開放電流I
R の波形、すなわち、図3(A)に示す期間Dの波形を
拡大して示す図である。なお、図5には、通常運転時に
おける開放電流IR の波形を破線で示している。
【0039】図5に示す如く、燃料噴射カット制御の実
行中に開放電流IR が供給される期間Dの長さT1は、
通常運転時における期間Dの長さT0に比して増大され
ている。上述の如く、通常運転時における期間Dの長さ
は、アーマチャ74に生じた残留磁気をちょうど消滅さ
せる程度の時間となるように設定されている。従って、
本実施例では、期間Dの長さがT0よりも大きなT1に
設定されることで、アーマチャ74の残留磁気が打ち消
された後も、開放電流IR が継続してアッパコイル80
に供給されることになる。かかる開放電流IR によりア
ーマチャ74とアッパコア82との間に電磁吸引力が作
用し、この電磁吸引力により、燃焼室26内の負圧によ
り生ずる開弁方向の力が相殺される。従って、本実施例
によれば、燃料噴射カット制御の実行中に、アーマチャ
74が高い速度でロアコア86に衝突することが防止す
ることができ、これにより、アーマチャ74とロアコア
86との衝突に伴う作動音を抑制することができる。ま
た、アーマチャ74がロアコア86から跳ね返ることが
防止されるので、ロアコア86から跳ね返ったアーマチ
ャ74を再びロアコア86に吸引することが不要とな
り、これにより、電磁駆動弁40の省電力化を図ること
ができる。
【0040】また、本実施例では、排気弁44の開弁タ
イミングは、燃料噴射カット制御の実行中と、通常運転
時とで変化しないため、燃料噴射カット制御の実行中に
燃焼室26内に確実に負圧を発生させることができる。
上述の如く、燃料噴射カット制御の実行中は、燃焼室2
6内の負圧に応じたエンジンブレーキ力が発生する。従
って、本実施例によれば、燃料噴射カット制御の実行中
にエンジンブレーキ力を確保しつつ上記の効果を得るこ
とが可能とされている。
【0041】なお、燃料噴射カット制御の実行中に燃焼
室26内の負圧によって排気弁44に作用する開弁方向
の力は、その負圧が大きくなるほど増加する。また、燃
料噴射カット制御の実行中に燃焼室26に生ずる負圧
は、機関回転数NEが高回転になるほど大きくなる。従
って、機関回転数NEに基づいて燃焼室26内の負圧を
推定し、その負圧の上昇に応じて、開放電流IR を供給
する期間Dの長さを大きくすることにより、排気弁44
を確実に全開位置まで変位させつつ、作動音の増大や、
アーマチャ74の跳ね返りに起因する消費電力の増加を
防止することができる。例えば、機関回転数NEが高
く、大きな負圧が発生している場合にも、それに応じ
て、上記期間Dを長く設定することにより、確実に上記
の効果を得ることが可能となる。
【0042】なお、上記実施例では、負圧に伴って排気
弁44に作用する開弁方向の力を打ち消すべく、開放電
流を供給する期間Dを長くすることにより排気弁44に
閉弁方向の力を作用させることとした。しかしながら、
開放電流として図6又は図7に示す波形を用いてもよ
い。図6は、開放電流を緩やかに減少させた場合の波形
を示す。図6に示す開放電流の波形によれば、アーマチ
ャ74とアッパコア82との間に作用する電磁力が徐々
に低下することで、開放電流をステップ的に減少させる
場合に比して、アーマチャ74とアッパコア82との間
に作用する電磁吸引力は大きくなる。このため、排気弁
44に作用する閉弁方向の力が増加することで、燃焼室
26の負圧に起因して排気弁44に作用する開弁方向の
力を相殺することができる。
【0043】また、図7は、通常運転時と同じ開放電流
R を供給した後、アッパコイル80に再び正方向の指
令電流IP を供給した場合の波形を示す。図7に示す指
令電流の波形によれば、正方向の指令電流IP によりア
ーマチャ74とアッパコア82との間に電磁吸引力が作
用する。かかる電磁吸引力の分だけ、アーマチャ74に
作用する閉弁方向の力が増大することで、燃焼室26の
負圧に起因して排気弁44に作用する開弁方向の力を相
殺することができる。
【0044】なお、上記実施例においては、ECU10
が燃料噴射カット制御の実行中に、図5乃至図7のうち
何れかの開放電流IR をアッパコイル80に供給するこ
とにより特許請求の範囲に記載した電磁力付与手段が実
現されている。ところで、上記実施例においては、開放
電流IR として吸引電流IMAX とは逆方向の指令電流を
用いることとしたが、これに限らず、単に指令電流をゼ
ロとすることしてもよい。この場合、燃料噴射カット制
御の実行中は、アーマチャ74をアッパコア82から開
放させる際に、図6又は図7においてIR =0とした波
形の指令電流をアッパコイル80に供給すればよい。
【0045】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。本実施例では、図1及び図2に示すシステム構成に
おいて、燃料噴射カット制御の実行中には通常運転時に
対して排気弁44の開弁タイミングを変化させる点に特
徴を有している。図8(A)は、上記図4(A)と同様
に、燃料噴射カット制御の実行中におけるクランク角C
Aに対する筒内圧の変化を示す。ただし、図8(A)に
おいては、排気弁44が全閉位置に保持されると仮定し
た場合の筒内圧の変化を示している。
【0046】図8(B)及び(C)は、それぞれ、本実
施例において燃料噴射カット制御の実行中に電磁駆動弁
40のアッパコイル80及びロアコイル84に供給され
る指令電流の波形を示す。なお、図8(B)及び(C)
には、それぞれ、2通りの電流波形(パターン及び
)をそれぞれ実線及び一点鎖線で示しており、また、
通常運転時にアッパコイル80及びロアコイル84に供
給される指令電流の波形を破線で示している。
【0047】また、図8(D)は、パターン及びの
励磁電流波形により実現される排気弁44の変位をそれ
ぞれ実線及び一点鎖線で示し、また、通常運転時の変位
波形を実線で示す。なお、図8(D)には吸気弁42の
変位を実線で示している。図8に示す如く、本実施例で
は、燃料噴射カット制御の実行中は、排気弁44の開弁
タイミングを通常運転時に対して早めることにより(パ
ターン)又は遅延させることにより(パターン)、
燃焼室26に負圧が生じた状態で排気弁44が開弁され
るのを防止している。すなわち、図8(A)に示す如
く、燃料噴射カット制御の実行中には、下死点近傍にお
いて筒内圧は負圧となるのに対し、下死点近傍から外れ
た領域では、筒内圧は正圧となっている。そこで、本実
施例では、筒内圧が正圧である状態、又は、アーマチャ
74がロアコア86に高速で衝突して跳ね返りが生ずる
ことがない程度の小さな負圧である状態で、アッパコイ
ル80に開放電流IR を供給することにより排気弁44
を開弁させることとしている。従って、本実施例によれ
ば、筒内圧に起因して排気弁44に開弁方向の力が作用
するのを防止することができ、これにより、電磁駆動弁
40の作動音の増大や、アーマチャ74のロアコア86
からの跳ね返りを防止することができる。
【0048】また、本実施例では、排気弁44の開弁タ
イミングを変化させることにより上記の効果を得る構成
である。すなわち、本実施例では、燃焼室26内の負圧
に起因する力を相殺すべくアーマチャ74に電磁力を付
与することは不要であるため、電磁駆動弁40の消費電
力の増加を抑制することが可能となっている。なお、上
記第2実施例においては、ECU10が燃料噴射カット
制御の実行中に、アッパコイル80及びロアコイル84
にそれぞれ図8(B)及び(C)に示すパターン又は
パターンの指令電流を供給することにより特許請求の
範囲に記載した開弁タイミング変更手段が実現されてい
る。
【0049】次に、本発明の第3実施例について説明す
る。本実施例は、上記図1及び図2に示すシステム構成
において、燃料噴射カット制御の実行中は、排気弁44
の開弁時にアーマチャ74に付与する開弁方向の電磁力
を抑制し、又は、ゼロとすることにより、燃焼室26内
の負圧に起因する開弁方向の力を相殺する点に特徴を有
している。
【0050】図9は、本実施例において、燃料噴射カッ
ト制御の実行中に排気弁44を開弁させる場合に、電磁
駆動弁44のアッパコイル80に供給する指令電流の波
形(図9(A))、電磁駆動弁44のロアコイル84に
供給する指令電流の波形(図9(B))、及び排気弁4
4の変位(図9(C))をそれぞれ示す。なお、図9
(A)〜(C)において、通常運転中の波形をそれぞれ
破線で示している。
【0051】図9(B)に示す如く、本実施例では、燃
料噴射カット制御の実行中には、排気弁44の開弁時に
ロアコイル84への吸引電流IMAX の供給を開始するタ
イミングが通常運転時に対して遅延され、かつ、吸引電
流IMAX が小さく抑制される。なお、本実施例では、吸
引電流IMAX に続いて保持電流IH を供給することなく
直ちに開放電流IR を供給し、それに応じて、アッパコ
イル80に対する吸引電流IMAX の開始タイミングを早
めることにより、排気弁44を全開位置に保持すること
なく、閉弁方向へ変位させることとしている。
【0052】上記の如く、本実施例では、ロアコイル8
4に対する吸引電流IMAX の開始タイミングが遅延さ
れ、かつ、吸引電流IMAX が小さく抑制されることによ
り、排気弁44に付与される開弁方向の運動エネルギー
が低減される。かかる運動エネルギーの低減により、燃
焼室26の負圧に伴って排気弁44に作用する開弁方向
の力が相殺される。従って、本実施例によれば、アーマ
チャ74とロアコア86が高速で衝突することに起因す
る作動音の増大や、アーマチャ74の跳ね返りを防止す
ることができる。
【0053】次に、本発明の第4実施例について説明す
る。図10は、本実施例において、燃料噴射カット制御
の実行中に排気弁44を開弁させる場合の、電磁駆動弁
44のアッパコイル80に供給する指令電流の波形(図
10(A))、電磁駆動弁44のロアコイル84に対す
る指令電流の波形(図10(B))、及び排気弁44の
変位(図10(C))をそれぞれ示す。なお、図10
(A)〜(C)には、通常運転中の場合の波形をそれぞ
れ破線で示している。
【0054】図10に示す如く、本実施例では、上記第
3実施例と同様に、ロアコイル84への吸引電流IMAX
の供給を開始するタイミングが通常運転時に対して遅延
され、かつ、その吸引電流IMAX が小さく抑制されるこ
とにより、燃焼室26の負圧に伴って排気弁44に作用
する開弁方向の力が相殺される。更に、本実施例では、
通常運転時と同様に、ロアコイル84に対して吸引電流
MAX に続いて保持電流IH を供給することにより、排
気弁44を全開位置に保持することが可能となってい
る。
【0055】なお、上記第3及び第4実施例において
は、燃料噴射カット制御の実行中に電磁駆動弁40のロ
アコイル84に対する吸引電流IMAX の開始タイミング
を遅延させ、かつ、吸引電流を通常運転時に比して小さ
く抑制することにより、アーマチャ74に付与する運動
エネルギーを低減することとした。しかしながら、本発
明はこれに限定されるものではなく、吸引電流IMAX
開始タイミングを遅延させることのみ、又は、吸引電流
MAX を小さく抑制することのみにより、アーマチャ7
4に付与する運動エネルギーを低減することとしてもよ
い。また、燃焼室26に生ずる負圧が大きい場合には、
ロアコイル84に対する指令電流をゼロとし、負圧に起
因する力のみで排気弁44を開弁させることとしてもよ
い。
【0056】なお、燃焼室26内の負圧が大きく、電磁
駆動弁40のロアコイル84に吸引電流IMAX が供給さ
れなくともアーマチャ74が高い速度でロアコア86に
向けて変位するような場合は、上記第3及び第4実施例
の手法によっては作動音の増大やアーマチャ74の跳ね
返り等の問題を完全には回避することができない。この
意味で、上記第3及び第4実施例の手法は、燃焼室26
に生ずる負圧が比較的小さい場合に有効である。
【0057】なお、上記第3及び第4実施例において
は、ECU10が燃料噴射カット制御の実行中にロアコ
イル84に対して図9(B)又は図10(B)に示す指
令電流を供給することにより特許請求の範囲に記載した
電磁力減少手段が実現されている。次に、本発明の第5
実施例について説明する。
【0058】本実施例は、上記図1及び図2に示すシス
テム構成において、燃料噴射カット制御の実行中は、E
CU10が電磁駆動弁40のアッパコイル80に保持電
流I H を供給した状態を維持することにより、排気弁4
4を全閉位置に保持する点に特徴を有している。本実施
例によれば、燃料噴射カット制御の実行中は、排気弁4
4が開弁側に変位することがないので、アーマチャ74
とロアコア86との衝突に伴う上記の問題が回避され
る。また、排気弁44が全閉位置に保持されることで、
エンジンブレーキ力は減少するものの、排気弁44を全
閉位置に保持すべく電磁駆動弁40のアッパコイル80
に保持電流IH を供給すれば足り、ロアコイル84に吸
引電流IMAX を供給することが不要となる。従って、本
実施例によれば、上記第3及び第4実施例と比較して、
電磁駆動弁40の更なる省電力化を図ることができる。
【0059】なお、上記第5実施例では、燃料噴射カッ
ト制御の実行中に排気弁44を全閉位置に保持するもの
としたが、これに限らず、ロアコイル84に保持電流I
H を供給することで、排気弁44を全開位置に保持して
もよい。また、燃料噴射カット制御の実行中は、アッパ
コイル80及びロアコイル84の何れについても通電を
停止し、排気弁44を中立位置に保持することとしても
よい。この場合は、電磁駆動弁40の一層の省電力化を
図ることができる。
【0060】なお、上記第5実施例においては、ECU
10が燃料噴射カット制御の実行中にアッパコイル80
又はロアコイル84に保持電流IH を供給した状態を維
持し、又は、アッパコイル80及びロアコイル84の何
れについても通電を停止することにより、特許請求の範
囲に記載した駆動停止手段が実現されている。
【0061】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、内燃機関の燃焼が行われていない場合に、エンジン
ブレーキ力を確保しつつ、燃焼室に生ずる負圧が大きい
場合であっても、排気弁の開弁時にアーマチャが開弁側
の電磁石から跳ね返るのを防止することができると共
に、作動音を抑制することができる。
【0062】また、請求項2記載の発明によれば、内燃
機関の燃焼が行われていない場合に、エンジンブレーキ
力を確保し、かつ、電磁駆動弁の省電力化を図りなが
ら、排気弁の開弁時にアーマチャが開弁側の電磁石から
跳ね返るのを防止することができると共に、作動音を抑
制することができる。また、請求項3記載の発明によれ
ば、内燃機関の燃焼が行われていない場合に、電磁駆動
弁の消費電力を抑制しつつ、排気弁の開弁時にアーマチ
ャが開弁側の電磁石から跳ね返るのを防止することがで
きると共に、作動音を抑制することができる。
【0063】また、請求項4記載の発明によれば、電磁
駆動弁の更なる省電力化を図りつつ、排気弁の開弁時に
アーマチャが開弁側の電磁石から跳ね返るのを防止する
ことができると共に、作動音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電磁駆動弁の制御装置
が適用された内燃機関の構成図である。
【図2】本実施例において排気弁又は吸気弁を駆動する
電磁駆動弁の断面図である。
【図3】図3(A)は、本実施例において、内燃機関の
通常運転時にアッパコイルに供給される指令電流の波形
を示す図である。図3(B)は、本実施例において、内
燃機関の通常運転時にロアコイルに供給される指令電流
の波形を示す図である。図3(C)は、図3(A)及び
(B)に示す指令電流により排気弁が駆動される場合の
変位を示す図である。
【図4】図4(A)は、クランク角に対する筒内圧の変
化を、通常運転時(実線)及び燃料噴射カット制御の実
行中(破線)について示す図である。図4(B)は、ク
ランク角に対する排気弁の変位を示す図である。
【図5】本実施例において、燃料噴射カット制御の実行
中に、排気弁を駆動する電磁駆動弁のアッパコイルに供
給される開放電流の波形を示す図である。
【図6】本実施例において、燃料噴射カット制御の実行
中に、排気弁を駆動する電磁駆動弁のアッパコイルに供
給される開放電流の別の波形を示す図である。
【図7】本実施例において、燃料噴射カット制御の実行
中に、排気弁を駆動する電磁駆動弁のアッパコイルに供
給される開放電流の更に別の波形を示す図である。
【図8】図8(A)は、クランク角に対する筒内圧の変
化を示す図である。図(B)は、本発明の第2実施例に
おいて、燃料噴射カット制御の実行中に、排気弁を駆動
する電磁駆動弁のアッパコイルに供給する指令電流の波
形の2つのパターンを示す図である。図8(C)は、本
発明の第2実施例において、燃料噴射カット制御の実行
中に、排気弁を駆動する電磁駆動弁のロアコイルに供給
する指令電流の波形の2つのパターンを示す図である。
図8(D)は、図8(B)及び(C)の指令電流波形を
用いて実現される排気弁の変位を示す図である。
【図9】図9(A)は、本発明の第3実施例において、
燃料噴射カット制御の実行中に、排気弁を駆動する電磁
駆動弁のアッパコイルに供給する指令電流の波形の2つ
のパターンを示す図である。図9(B)は、本発明の第
3実施例において、燃料噴射カット制御の実行中に、排
気弁を駆動する電磁駆動弁のロアコイルに供給する指令
電流の波形の2つのパターンを示す図である。図9
(C)は、図9(A)及び(B)の指令電流波形を用い
て実現される排気弁の変位を示す図である。
【図10】図10(A)は、本発明の第4実施例におい
て、燃料噴射カット制御の実行中に、排気弁を駆動する
電磁駆動弁のアッパコイルに供給する指令電流の波形の
2つのパターンを示す図である。図10(B)は、本発
明の第4実施例において、燃料噴射カット制御の実行中
に、排気弁を駆動する電磁駆動弁のロアコイルに供給す
る指令電流の波形の2つのパターンを示す図である。図
10(C)は、図10(A)及び(B)の指令電流波形
を用いて実現される排気弁の変位を示す図である。
【符号の説明】
10 ECU 38、40 電磁駆動弁 44 排気弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 昌彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 服部 宏之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気弁として機能する弁体
    と、該弁体に連結されたアーマチャと、該アーマチャに
    電磁力を作用させる電磁石とを備え、電磁力とばね力と
    を協働させることにより前記弁体を開閉駆動する電磁駆
    動弁の制御装置において、 前記内燃機関の燃焼が行われていない場合は、前記弁体
    の開弁時に前記アーマチャに閉弁方向の電磁力を付与す
    る電磁力付与手段を備えることを特徴とする電磁駆動弁
    の制御装置。
  2. 【請求項2】 内燃機関の排気弁として機能する弁体
    と、該弁体に連結されたアーマチャと、該アーマチャに
    電磁力を作用させる電磁石とを備え、電磁力とばね力と
    を協働させることにより前記弁体を開閉駆動する電磁駆
    動弁の制御装置において、 前記内燃機関の燃焼が行われていない場合は、前記内燃
    機関の燃焼が行われている場合よりも、前記弁体の開弁
    時に前記アーマチャに付与する開弁方向の電磁力を減少
    させる電磁力減少手段を備えることを特徴とする電磁駆
    動弁の制御装置。
  3. 【請求項3】 内燃機関の排気弁として機能する弁体
    と、該弁体に連結されたアーマチャと、該アーマチャに
    電磁力を作用させる電磁石とを備え、電磁力とばね力と
    を協働させることにより前記弁体を開閉駆動する電磁駆
    動弁の制御装置において、 前記内燃機関の燃焼が行われていない場合は、前記内燃
    機関の燃焼が行われている場合に対して、前記弁体の開
    弁タイミングを進角又は遅角する開弁タイミング変更手
    段を備えることを特徴とする電磁駆動弁の制御装置。
  4. 【請求項4】 内燃機関の排気弁として機能する弁体
    と、該弁体に連結されたアーマチャと、該アーマチャに
    電磁力を作用させる電磁石とを備え、電磁力とばね力と
    を協働させることにより前記弁体を開閉駆動する電磁駆
    動弁の制御装置において、 前記内燃機関の燃焼が行われていない場合は、前記弁体
    の駆動を停止する駆動停止手段を備えることを特徴とす
    る電磁駆動弁の制御装置。
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