JP2000129370A - アルミニウムの精製方法およびその用途 - Google Patents

アルミニウムの精製方法およびその用途

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Abstract

(57)【要約】 【課題】工業的に有利な、Si、Fe等の共晶不純物の
精製効率の優れた、高純度アルミニウムの製造方法およ
び該方法により得られた精製アルミニウムの用途を提供
する。 【解決手段】(1)偏析原理を利用したアルミニウムの
精製方法において、原料溶融アルミニウムを保持した容
器内で冷却して純度の高いアルミニウムを晶出させた
後、該容器内部に残存する純度の低い溶融アルミニウム
を排出する工程(工程1)と、該容器に新たに原料アル
ミニウムを溶融状態等で供給し、その顕熱等にて工程1
において晶出させたアルミニウムとともに溶融状態とし
た後、再度該容器内で冷却して純度の高いアルミニウム
を晶出させ、次いで該晶出アルミニウムを該容器内部に
残存する純度の低い溶融アルミニウムから分離する工程
(工程2)からなるアルミニウムの精製方法およびその
用途。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウムの精
製方法およびその用途に関する。詳しくは、偏析原理を
利用して、工業的に有利な、Si、Fe等の共晶不純物
の精製効率の優れた、高純度アルミニウムの製造方法お
よび該方法により得られた精製アルミニウムの用途に関
する。
【0002】
【従来の技術】偏析原理を利用したアルミニウムの精製
方法としては、容器内に保持した原料溶融アルミニウム
を下方または側面から冷却凝固させる際に,その凝固界
面近傍の溶融アルミニウムを攪拌する方法や、原料溶融
アルミニウムを保持する容器の内壁や原料溶融アルミニ
ウム中に浸漬した冷却体の表面に晶出したアルミニウム
結晶をかき落して原料溶融アルミニウムの保持容器の底
部にピストン等により押し固める方法、原料溶融アルミ
ニウム中に浸漬した冷却体を回転させながら、冷却体の
表面に純度の高いアルミニウムを晶出させる方法等が知
られている。
【0003】特公昭59−41500号公報には、撹拌
子を備えたるつぼ内に精製すべき溶融アルミニウムを入
れ、るつぼ底部より冷却し、攪拌子を回転、上昇させな
がらアルミニウムを凝固成長させる高純度アルミニウム
の製造方法が開示されている。
【0004】また、特公平1−37458号公報には、
水平な床を備え、側壁が断熱構造となっている容器に溶
融アルミニウムを収容し、該溶融アルミニウム中に攪拌
機を挿入して攪拌しながら、一方では該床内部の冷却媒
体流通管に冷却媒体を流通させ、他方では該溶融アルミ
ニウムの表面を加熱することにより、該床表面にアルミ
ニウム結晶を晶出させるアルミニウムの純化方法が開示
されている。
【0005】また、特開平5−125462号公報に
は、原料溶融アルミニウムを容器中に保持し、該容器の
上部および側部を制御された温度条件下に保温管理し、
該容器底部より冷却しながら、該容器をその垂直軸を中
心に回転させると同時に、該容器中の溶融アルミニウム
を該容器回転方向と逆方向に攪拌子により回転させるこ
とにより容器底部に純度の高いアルミニウムを晶出させ
るアルミニウムの精製方法が開示されている。
【0006】また、特開昭59−170227号公報に
は、溶融アルミニウムを保持した容器の内壁に純度の高
いアルミニウム結晶を晶出させ、該結晶を容器底部に掻
き落とし、沈積した結晶を押し固めるアルミニウムの精
製方法が開示されている。
【0007】また、特開昭62−158830号公報に
は、溶融アルミニウム中に浸漬した冷却体の表面に晶出
したアルミニウム結晶をピストンによって容器底部に圧
縮し、残留する溶融アルミニウムを排出するアルミニウ
ムの精製方法が開示されている。
【0008】また、特公昭61−3385号公報には、
溶融アルミニウム中に浸漬した冷却体を特定の条件で回
転させながら、その表面に純度の高いアルミニウムを晶
出させるアルミニウムの精製方法が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の技術においては、得られる精製アルミニウム中
の不純物を必ずしも十分には低減できない。その理由
は、偏析原理を利用したこれらのアルミニウムの精製方
法においては、1回の精製操作で低減できる共晶不純物
の割合に限界があることにある。
【0010】偏析原理を利用した精製方法において、不
純物の低減割合は、精製効率(=精製アルミニウム中の
不純物元素の濃度/原料アルミニウム中の不純物元素の
濃度)で表わすことができる。例えば、Si、Fe等の
共晶不純物を含む原料アルミニウムを精製する場合、こ
れら共晶元素の精製効率は通常1よりも小さいので低減
は可能であるが、Al−Si、Al−Fe等の状態図等
で示される平衡分配係数(=精製アルミニウム中の不純
物元素の平衡濃度/溶融アルミニウム中の不純物元素の
平衡濃度)未満に低減することは一般的には不可能であ
る。実際には、平衡分配係数よりも大きい実効分配係数
(不純物元素の濃度が凝固界面の溶融アルミニウム側で
平衡濃度よりも増大する場合の分配係数)未満に低減す
ることは一般的には不可能である。また、工業的にアル
ミニウムの精製を行なう場合は、原料溶融アルミニウム
の30〜70%程度を晶出させるため、晶出量の増大に
ともない、溶融アルミニウム中の共晶不純物元素の濃度
が増大する結果、精製効率はより大きい値となり、得ら
れる精製アルミニウム中の不純物を十分には低減できな
いのである。
【0011】本発明の目的は、工業的に有利な、Si、
Fe等の共晶不純物の精製効率の優れた、高純度アルミ
ニウムの製造方法および該方法により得られた精製アル
ミニウムの用途を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる状
況を鑑み偏析原理を利用したアルミニウムの精製方法
について鋭意検討した結果、精製工程を連続化すること
により、工業的に有利な、共晶不純物を極めて効率よく
低減し得るアルミニウムの精製方法を見出し本発明を完
成させるに至った。
【0013】すなわち、本発明は、以下の(1)〜
(4)を提供する。 (1)偏析原理を利用したアルミニウムの精製方法にお
いて、原料溶融アルミニウムを保持した容器内で冷却し
て純度の高いアルミニウムを晶出させた後、該容器内部
に残存する純度の低い溶融アルミニウムを排出する工程
(工程1)と、該容器に新たに原料アルミニウムを供給
し、工程1において晶出させたアルミニウムとともに溶
融状態とした後、再度該容器内で冷却して純度の高いア
ルミニウムを晶出させ、次いで該晶出アルミニウムを該
容器内部に残存する純度の低い溶融アルミニウムから分
離する工程(工程2)からなるアルミニウムの精製方
法。 (2)偏析原理を利用したアルミニウムの精製方法が、
原料溶融アルミニウムを保持した容器の底部を冷却し、
該容器底部に純度の高いアルミニウムを晶出させる精製
方法である上記(1)に記載のアルミニウムの精製方
法。 (3)工程2において、原料アルミニウムを溶融状態で
供給し、その顕熱によって、工程1において晶出させた
アルミニウムとともに溶融状態とする上記(1)又は
(2)に記載のアルミニウムの精製方法。 (4)上記(1)乃至(3)に記載の方法により得られ
た精製アルミニウムを原料として用いた電解コンデンサ
ー用アルミニウム箔。 以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】まず、本発明の方法の工程1につ
いて説明する。本発明の方法の工程1において、原料と
して用いるアルミニウムは、状態図のアルミニウム隅で
共晶反応を示すSi、Fe等の共晶元素を不純物として
含む。その外に、Ti、V等の包晶元素を含む場合もあ
るが、包晶元素は偏析原理を利用した精製方法において
は除去が困難で、逆に濃縮する傾向がある。従って、こ
れらの包晶元素の低減が必要な場合には、溶融アルミニ
ウムにB(硼素)を添加してTi、V等のホウ化物を形
成させ、分離する所謂ボロン処理を実施することが好ま
しい。ボロン処理については、例えば「アルミニウム材
料の基礎と工業技術」(社団法人軽金属協会)の第34
3頁に記載されているように、硼弗化カリやAl−Bの
形でBを投入しTi、V等のホウ化物を形成させ、沈
降、除去することが多い。本発明の方法の工程1におい
て、原料として用いるアルミニウムの純度については特
に限定はないが、99wt%から99.99wt%程度
である。原料アルミニウムは、例えば、別途溶解炉等に
て融解され、精製に用いられる容器に溶融状態で供給さ
れ保持されるが、固体状態で容器に供給された後、容器
内で融解しても何ら差し支えない。溶解効率の良い専用
の溶解炉での融解は、ドロス(酸化アルミニウム)の発
生、混入が少ない原料アルミニウムが得られ、また、ア
ルミニウムのロスも少ないため、工業的に有利である。
【0015】本発明の方法の工程1において、偏析原理
を利用したアルミニウムの精製方法を採用するが、その
方法については特に限定はなく、容器内に保持した原料
溶融アルミニウムを下方または側面から冷却凝固させる
際に,その凝固界面近傍の溶融アルミニウムを攪拌する
方法や、原料溶融アルミニウムを保持する容器の内壁や
原料溶融アルミニウム中に浸漬した冷却体の表面に晶出
したアルミニウム結晶をかき落して原料溶融アルミニウ
ムの保持容器の底部にピストン等により押し固める方
法、原料溶融アルミニウム中に浸漬した冷却体を回転さ
せながら、冷却体の表面に純度の高いアルミニウムを晶
出させる方法等が採用可能である。操作の簡便さから
は、原料溶融アルミニウムを保持した容器の底部を冷却
し、該容器底部に純度の高いアルミニウムを晶出させる
精製方法が好ましい。なお、収率(=晶出アルミニウム
量/初期溶融アルミニウム量)が大きいほど晶出したア
ルミニウムの純度は低下する。従って、通常収率は0.
2〜0.8の範囲にあることが好ましく、0.3〜0.
7の範囲にあることがより好ましい。
【0016】本発明の方法の工程1において、溶融アル
ミニウムを保持した容器内で純度の高いアルミニウムを
晶出させた後、該容器内部に残存する純度の低い溶融ア
ルミニウムを排出するが、排出の方法については特に限
定はない。例えば、容器を傾動させたりメタルポンプを
利用する等の方法が採用可能である。
【0017】次に、本発明の方法の工程2について説明
する。本発明の方法の工程2において、工程1を終了し
た該容器に新たに原料アルミニウムを供給する。原料と
して用いるアルミニウムは工程1の場合と同様、共晶元
素を不純物として含む、純度99wt%から99.99
wt%程度のアルミニウムである。但し、工程2におい
て晶出させるアルミニウムの純度を、工程1において晶
出させるアルミニウムの純度よりも高くするためには、
工程2で原料として用いるアルミニウム中の不純物濃度
は、工程1で原料として用いるアルミニウム中の不純物
濃度と同等か、あるいはそれ以下であることが好まし
い。また、工程2において新たに供給する原料アルミニ
ウムの量は、工程1で晶出させたアルミニウムの量に対
して、好ましくは0.5〜2倍である。この範囲を外れ
る場合には、本発明の効果が小さくなる。
【0018】本発明の方法の工程2において、新たに供
給した原料アルミニウムを、工程1で晶出させたアルミ
ニウムとともに溶融状態とする。工程2で供給する原料
アルミニウムは、工程1の場合と同様、例えば、別途溶
解炉等にて融解され、工程1で晶出させたアルミニウム
を保有する容器に溶融状態で供給されてもよいし、固体
状態で供給された後、容器内で融解されても何ら差し支
えない。但し、工程2において、原料アルミニウムを溶
融状態で供給し、その顕熱によって、工程1において晶
出させたアルミニウムとともに溶融状態とするという、
本発明の方法の好ましい態様を実現するためには、工程
2で供給する原料アルミニウムは、別途溶解炉等にて融
解され、その顕熱により工程1において晶出させたアル
ミニウムを融解するに足る温度に加熱されていることが
必要である。
【0019】本発明の方法の工程2において実施される
精製方法についても、工程1の場合と同様、特に限定は
なく、容器内に保持した原料溶融アルミニウムを下方ま
たは側面から冷却凝固させる際に,その凝固界面近傍の
溶融アルミニウムを攪拌する方法や、原料溶融アルミニ
ウムを保持する容器の内壁や原料溶融アルミニウム中に
浸漬した冷却体の表面に晶出したアルミニウム結晶をか
き落して原料溶融アルミニウムの保持容器の底部にピス
トン等により押し固める方法、原料溶融アルミニウム中
に浸漬した冷却体を回転させながら、冷却体の表面に純
度の高いアルミニウムを晶出させる方法等が採用可能で
ある。また、工程1と工程2においてそれぞれ異なった
精製方法を採用することも可能である。操作の簡便さか
らは、原料溶融アルミニウムを保持した容器の底部を冷
却し、該容器底部に純度の高いアルミニウムを晶出させ
る精製方法が好ましい。なお、収率については、工程1
の場合と同様に大きいほど晶出したアルミニウムの純度
は低下する。従って、通常収率は0.2〜0.8の範囲
にあることが好ましく、0.3〜0.7の範囲にあるこ
とがより好ましい。
【0020】本発明の方法の工程2において、得られた
純度の高いアルミニウムを容器内部に残存する純度の低
い溶融アルミニウムから分離するが、その方法について
は特に限定はない。例えば、容器を傾動させたりメタル
ポンプを利用する等して純度の低い溶融アルミニウムの
みを排出してもよいし、得られた純度の高いアルミニウ
ムのみを容器から取り出してもよい。本発明において、
純度の低い溶融アルミニウムから分離され、最終的に得
られる純度の高いアルミニウムを精製アルミニウムと呼
ぶ。なお、工程2において、純度の低い溶融アルミニウ
ムのみを排出した後、再度工程2と同じ工程を繰り返し
て行なうことも可能である。工程2と同じ工程を繰り返
して行なうことにより、さらに純度の高いアルミニウム
を得ることが可能となる。
【0021】本発明の方法によれば、共晶不純物が極め
て効率よく低減される。例えば、従来技術による偏析原
理を利用した精製方法においては、収率を0.5程度と
した場合、Si、Feの精製効率はそれぞれおよそ0.
2、0.1程度である。一方、本発明の方法において、
工程1の収率を0.5とし、工程2で原料として用いる
アルミニウム中の不純物濃度を、工程1で原料として用
いたアルミニウム中の不純物濃度と同等とし、工程2に
おいて供給する原料アルミニウムの量を、工程1で晶出
させたアルミニウムの量と同量とし、工程2の収率を
0.5とした場合、Si、Feの精製効率はそれぞれお
よそ0.12、0.06程度となり、従来技術の約60
%程度となる。すなわち、本発明の方法によれば、S
i、Fe等の共晶不純物が、従来技術に比較して約40
%程度余計に低減されることになり、より純度の高い精
製アルミニウムを得ることが可能となる。なお、本発明
の精製効率は、工程1の収率、工程2で原料として用い
るアルミニウム中の不純物濃度、工程2において供給す
る原料アルミニウムの量、工程2の収率により多少変動
するが、工程2で原料として用いるアルミニウム中の不
純物濃度が、工程1で原料として用いるアルミニウム中
の不純物濃度と同等か、あるいはそれ以下であれば、同
様の収率の従来技術に比較して小さい数値となり、共晶
不純物が極めて効率よく低減される。
【0022】本発明の方法により得られる精製アルミニ
ウムは、電解コンデンサー用アルミニウム箔の原料とし
て使用することができる。本発明の方法により得られる
精製アルミニウムは、例えば「アルミニウム材料の基礎
と工業技術」(社団法人軽金属協会)の第347頁〜第
350頁に記載されているように、スラブ鋳造、熱間圧
延、冷間圧延、箔圧延等の工程を経て電解コンデンサー
用アルミニウム箔に加工される。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
の実施例に限定されるものではない。
【0024】実施例1 側壁および蓋部に保温用加熱ヒーターを有し、耐火煉瓦
を内張りした鉄製容器を、容器底部が空気冷却可能なタ
ーンテーブル上に固定した。また、ターンテーブルとは
別に、昇降可能な攪拌子を容器上部から吊るした。 (工程1)該容器に、不純物としてSiを0.02wt
%、Feを0.037wt%含有する原料溶融アルミニ
ウム280kgを供給し、670℃に保持し、攪拌子を
溶融アルミニウム中に浸漬した。ターンテーブルの回転
数25rpm、攪拌子の回転数200rpmで双方を逆
に回転させながら、容器底部を空気冷却して容器底部か
らアルミニウムを晶出させた。晶出の進行とともに、容
器底部の晶出アルミニウムの表面と攪拌子の間隔が約1
00mmになるように、攪拌子を上昇させながら、6時
間かけて精製を行なった。その後、攪拌子の回転を停止
し、攪拌子を溶融アルミニウムから引き上げるととも
に、ターンテーブルの回転を停止し、直ちに該容器を傾
動して内部に残存する溶融アルミニウムを排出した。排
出した溶融アルミニウムの重量は130kgであった。
従って、該容器内に晶出したアルミニウムは150kg
であった。 (工程2)次いで、工程1において溶融アルミニウムを
排出し、晶出したアルミニウムを底部に保有する該容器
に、工程1で用いた原料アルミニウムと同じ不純物濃度
のアルミニウム220kgを、溶解炉にて融解し、90
0℃に加熱して供給した。その顕熱により、該容器底部
に晶出していたアルミニウムは融解し、該容器内のアル
ミニウムは溶融状態となった。その後、工程1と同様の
方法で8時間かけて精製を行い、残存する溶融アルミニ
ウムの排出を行なった。排出した溶融アルミニウムの重
量は170kgであった。従って、晶出したアルミニウ
ムは200kgであった。実験終了後、該容器に晶出し
たアルミニウムを再融解して精製アルミニウムとして採
取した。精製アルミニウムを分析したところ、不純物と
してSiを0.003wt%、Feを0.002wt%
含有していた。精製効率はSi、Feそれぞれ0.1
5、0.05であった。工程1、2で供給した原料アル
ミニウムは合計で500kg、精製アルミニウムは20
0kgで、全体の収率は40%であった。
【0025】比較例1 原料溶融アルミニウムの重量を500kg、精製時間を
8時間とした以外は実施例の工程1と同様にして、精製
ならびに残存する溶融アルミニウムの排出を行なった。
排出した溶融アルミニウムの重量は300kgであっ
た。従って、容器内に晶出したアルミニウムは200k
gであった。実験終了後、該容器に晶出したアルミニウ
ムを再融解して精製アルミニウムとして採取した。精製
アルミニウムを分析したところ、不純物としてSiを
0.004wt%、Feを0.003wt%含有してい
た。精製効率はSi、Feそれぞれ0.2、0.08で
あった。供給した原料アルミニウムは500kg、精製
アルミニウムは200kgで、収率は40%であった。
【0026】上記に示された結果から明らかなように、
本発明によれば、Si、Feの精製効率ならびに精製ア
ルミニウム中のSi、Feの濃度は比較例に比べてそれ
ぞれ75%、67%に低減されており、共晶不純物が効
率よく除去できることがわかる。
【0027】
【発明の効果】本発明は、Si,Fe等の共晶不純物を
含む溶融アルミニウムから効率よく純度の高いアルミニ
ウムを晶出させてアルミニウムを精製することができ
る。また、得られた高純度アルミニウムは、電解コンデ
ンサー用箔、スパッタリングターゲット、ハードディス
ク用基板、超伝導安定化材、ボンディングワイヤー等に
好適に使用される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】偏析原理を利用したアルミニウムの精製方
    法において、原料溶融アルミニウムを保持した容器内で
    冷却して純度の高いアルミニウムを晶出させた後、該容
    器内部に残存する純度の低い溶融アルミニウムを排出す
    る工程(工程1)と、該容器に新たに原料アルミニウム
    を供給し、工程1において晶出させたアルミニウムとと
    もに溶融状態とした後、再度該容器内で冷却して純度の
    高いアルミニウムを晶出させ、次いで該晶出アルミニウ
    ムを該容器内部に残存する純度の低い溶融アルミニウム
    から分離する工程(工程2)からなるアルミニウムの精
    製方法。
  2. 【請求項2】偏析原理を利用したアルミニウムの精製方
    法が、原料溶融アルミニウムを保持した容器の底部を冷
    却し、該容器底部に純度の高いアルミニウムを晶出させ
    る精製方法である請求項1に記載のアルミニウムの精製
    方法。
  3. 【請求項3】工程2において、原料アルミニウムを溶融
    状態で供給し、その顕熱によって、工程1において晶出
    させたアルミニウムとともに溶融状態とする請求項1又
    は2に記載のアルミニウムの精製方法。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3に記載の方法により得られ
    た精製アルミニウムを原料として用いた電解コンデンサ
    ー用アルミニウム箔。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102534246A (zh) * 2011-12-27 2012-07-04 昆明冶金研究院 一种高纯铝的制备方法

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