JP2000129001A - ポリイミド樹脂成形体 - Google Patents
ポリイミド樹脂成形体Info
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Abstract
性で加工特性の良好なポリイミド樹脂成形体を提供す
る。 【解決手段】曲げ弾性率が5GPa以上、熱変形温度が
400℃以上、線膨張係数が20−50ppm/℃、吸
水率が0.001−0.1%であるポリイミド樹脂成形
体を提供する。
Description
ド樹脂成形体の有する特性を維持しつつ、強靭さ、高耐
熱性、低線膨張係数および低吸水性が優れたポリイミド
樹脂成形体に関する。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸系の
ポリイミド粉末成形体やピロメリット酸系のポリイミド
粉末成形体、あるいはこれらポリイミド前駆体シートの
積層物を加熱・加圧成形した成形体などが知られてい
る。特に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸成分とp−フェニレンジアミン成分とからなるポ
リイミド粉末成形体は高耐熱性、高剛性、低線膨張係数
および低吸水率であることから、これらの特性が必要と
される分野に使用されている。また、ピロメリット酸成
分と4,4’−ジアミノジフェニレエーテルとからなる
ポリイミド粉末成形体は、高靭性および良好な切削加工
性を有しており、幅広く使用されている。
トラカルボン酸系のポリイミド粉末成形体について、例
えば、特特開昭57−200452号公報(特公平2−
48571号公報)、特開昭57−200453号公報
などに、N−メチル−2−ピロリドン中で3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジ
アミン成分とを重合・イミド化させて得たイミド化率が
95%以上の芳香族ポリイミド粉末の加熱・圧縮成形体
を得た例が記載されている。さらに、微粒子状グラファ
イトなどの無機質粉末を含有するポリイミド粉末成形体
が、特開昭63−81160号公報に記載されている。
これらの文献によると、上記ポリイミド粉末成形体は機
械的強度に優れていることが示されている。
脂成形体は、伸びが小さいためか、成形体を切削加工等
によって種々の形状に二次加工するさいなど成形時に欠
けたりして複雑な形状への成形が困難である、つまり強
靭さや切削加工性が低いという問題点が指摘されてい
る。また、ピロメリット酸系のポリイミド粉末成形体
は、線膨張係数および吸水率が大きく、曲げ弾性率や耐
プラズマ性が低いことが知られている。つまり、従来公
知のポリイミド樹脂成形体として、3,3’,4,4’
−ビフェニルテトラカルボン酸成分系ポリイミド樹脂成
形体の有する高剛性、高耐熱性、低線膨張係数、低吸水
率、耐プラズマ性および高強度特性を維持しつつ、ピロ
メリット酸系のポリイミド粉末成形体の有する耐熱性、
高靭性および良好な切削加工性を兼ね備えたものは無か
ったのである。
大きくするために加熱圧縮成形時の粉体どうしの融着性
を改良するための試みがなされた。例えば、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分と芳香族ジ
アミン成分とから得られるポリイミドに熱可塑性ポリイ
ミドを混合して得られるポリイミド粉末を圧縮成形する
方法が試みられたが、性質の全く異なる両成分の均一混
合が困難であり、得られる成形体の機械的強度および伸
びは未だ満足できるレベルに達するものではなく、また
耐熱性が却って低下するという問題点が指摘されてい
る。さらに、ポリアミック酸粉末(凝集体)を一旦取り
出して、加熱・乾燥・粉砕してポリイミド粉末とし、こ
れを圧縮成形して成形体を得る試みもなされている。し
かし、ポリアミック酸粉末凝集体の加熱時の温度コント
ロ−ルが難しく、またポリアミック酸粉末に金属不純物
が混入しやすく、実用的でないという指摘がされてい
る。
知のポリイミド樹脂成形体の有する特性を維持しつつ、
強靭さ、高耐熱性、低線膨張係数および低吸水性が優れ
たポリイミド樹脂成形体を提供することである。
曲げ弾性率(23℃)が5GPa以上、熱変形温度が4
00℃以上、線膨張係数(50−200℃)20−50
ppm/℃、吸水率が0.001−0.1%であるポリ
イミド樹脂成形体に関する。
列記する。 1)エッチング速度で測定した酸素プラズマ耐性が8μ
g/cm2・h以下の耐プラズマ性を有する上記のポリ
イミド樹脂成形体。 2)ポリイミド樹脂が、芳香族テトラカルボン酸成分と
して3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン
酸、その酸エステルまたはその酸二無水物および2,
3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、その酸
エステルまたはその酸二無水物の混合物と、芳香族ジア
ミン成分としてp−フェニレンジアミンとを重合、イミ
ド化したものである上記のポリイミド樹脂成形体。
ラカルボン酸成分の割合が、3,3’,4,4’−ビフ
ェニルテトラカルボン酸成分が85−97モル%で、
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分
が15−3モル%である上記のポリイミド樹脂成形体。 4)成形体が、ポリイミド樹脂を金型内で400℃以上
の温度、1000kg/cm2以上の圧力で加熱圧縮し
て成形したものである上記のポリイミド樹脂成形体。 5)成形体が、0.5−2℃/分の冷却速度で冷却して
成形したものである上記のポリイミド樹脂成形体。 6)成形体が、ポリイミド樹脂を金型内で200℃以下
の温度で加圧成形し、その加圧成形体を400℃以上の
温度の加熱オーブン内で1時間以上フリーシンタリング
したものである上記のポリイミド樹脂成形体。 7)成形体が、0.5−2℃/分の冷却速度で冷却して
成形したものである上記のポリイミド樹脂成形体。 8)成形体が、ポリイミド樹脂金型内で室温で加圧成形
し、その加圧成形体を加熱オーブン内でフリーシンタリ
ングしたものである上記のポリイミド樹脂成形体。 9)成形体が、摺動性、加工性、耐熱性、および/また
は耐磨耗性を改良するための無機質あるいは有機質粉末
を含有する上記のポリイミド樹脂成形体。
び場合によりさらに他の無機質粉末を充填した砥石用で
ある上記のポリイミド樹脂成形体。 11)成形体が、切削加工性、耐熱性、真空特性および
靭性を要求されるコレットチャック用である上記のポリ
イミド樹脂成形体。 12)成形体が、耐プラズマ性、真空特性、剛性、切削
加工性および耐熱性を要求される半導体クランプリング
である上記のポリイミド樹脂成形体。 13)成形体が、耐熱性、耐オイル性、摺動特性、切削
加工性および剛性を要求されるベアリングリテーナー用
である上記のポリイミド樹脂成形体。
にはガラス転移温度(Tg)が室温〜400℃の温度範
囲では観測されない高耐熱性の結晶性芳香族ポリイミド
から主としてなる固形分を非結晶性ポリイミドからなる
被覆層で覆ってなり、対数粘度(30℃、0.5g/1
00ml濃硫酸)が0.5−2.0程度で、広角X線回
折法により結晶化度が確認される芳香族ポリイミド粉末
を金型内で加熱圧縮成形することによって製造すること
ができる。
ラス転移温度(Tg)が室温〜400℃の温度範囲では
観測れない高耐熱性の結晶性芳香族ポリイミドから主と
してなる固形分、好適には3,3’,4,4’−ビフェ
ニルテトラカルボン酸成分とパラフェニレンジアミンよ
り誘導されるポリイミド固形分(粒子)を非結晶性ポリ
イミドからなる被覆層で覆ってなり、対数粘度(30
℃、0.5g/100ml濃硫酸)が前記範囲内で、広
角X線回折法により結晶化度約20%以上である、高耐
熱性の結晶性芳香族ポリイミド粒子の表面を非結晶性の
ポリイミドポリマ−からなる被覆層で覆った2層構造を
有するポリイミド粉末、すなわち、粒子の内層部分は結
晶性を有する芳香族ポリイミドであるのに対し、その外
層は非結晶性ポリイミドの薄い層の2層構造となってい
るポリイミド粉末が挙げられる。
は、結晶性芳香族ポリイミド粒子のほぼ全面であること
が好ましい。前記のポリイミド粉末によれば、成形の際
に粉末粒子表面のポリマ−溶融が充分で、かつ相互に融
合し合って結合するため、耐熱性と機械的強度、伸びが
高度にバランスした成形品が得られると考えられる。
は次の方法、すなわち、結晶性芳香族ポリイミドを与え
る芳香族テトラカルボン酸成分、例えば、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸あるいはその酸
二無水物またはその酸と低級アルコ−ルとのエステル化
物、および非結晶性ポリイミドを与えるテトラカルボン
酸成分、例えば好適には2,3,3’,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸あるいはその酸二無水物またはその
酸と低級アルコ−ルとのエステル化物(いずれも好適に
は酸二無水物)を主成分とし、非結晶性ポリイミドを与
えるテトラカルボン酸成分(好適には2,3,3’,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸類)を全テトラカル
ボン酸成分に対して約3モル%以上15モル%以下の割
合で含む芳香族テトラカルボン酸成分と、p−フェニレ
ンジアミンとを、場合により悪影響を及ぼさない範囲で
さらに他の芳香族テトラカルボン酸二無水物と他の芳香
族ジアミンとを、略等モル量公知の方法で有機極性溶媒
中で、重合およびイミド化、ついで反応系からの粉末回
収によって製造される。芳香ポリイミド粉末は高分子量
で、平均粒子径(一次粒子)が1〜20μm程度である
ことが好ましい。
ミドの微小粒子を生成させながら高分子量化、イミド化
後、非結晶性ポリイミドを不溶性にしてポリイミド粉末
を析出させた後、粉末回収してポリイミド粉末を得るこ
とができる。この方法によれば、2層構造を有するポリ
イミド粉末であって、残存反応溶媒が少なく、均一な粒
子形成を容易に行うことができる。この場合、非結晶性
ポリイミドの割合が多くなると、ポリイミド粒子どうし
が凝集した凝集体多量に生成し、得られた成形体の物性
を低下させる原因となる。
ては、ピロメリット酸またはその酸二無水物、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸また
はその酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)プロパンまたはその酸二無水物、ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)メタンまたはその酸
二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エ−
テルまたはその酸二無水物などを挙げることができる。
フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ
−テル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,
4’−ジアミノジフェニルプロパン、ビス(4−アミノ
フェニル)ジメチルシラン、1,4−ビス(4−アミノ
−フェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−
フェノキシ)ベンゼンなどを挙げることができる。
不活性ガス存在下に、15−100重量%がアミド系溶
媒および85−0重量%が沸点180℃以上の非アミド
系溶媒からなり、水を0.5−5重量%含有する反応溶
媒中に、好適には溶液中の全モノマ−の割合が2−25
重量%、特に3−20重量%となるように、前記の芳香
族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とを略等
モル加え、生成する水を留出させながら昇温し、100
℃以上180℃未満の範囲内の温度で微細粒子を析出さ
せ、160−250℃の範囲内の温度で反応を0.5−
20時間継続して、対数粘度(30℃、0.5g/10
0ml濃硫酸)が0.2−1.5であり、イミド化率が
95%以上でるポリイミド粉末を取得することによって
製造される。前記の非アミド系溶媒、水はポリアミック
酸合成に先立って混合溶媒として使用してもよく、また
はポリアミック酸合成後、反応溶液に添加してもよい。
00℃以上180℃未満に反応溶液の温度を調節後イミ
ド化触媒、好適にはイミダゾ−ル系イミド化触媒を反応
系に添加し前記の加熱条件でイミド化することによっ
て、イミド化速度を調節することにより、生成ポリイミ
ド粉末の粒度および粒度分布を調節することもできる。
−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルカプロラク
タムが挙げられ、特にN−メチル−2−ピロリドンが好
適に使用される。
末を取得する方法としては特に制限はなく、例えば、反
応混合物をそのままあるいは室温まで冷却した後、芳香
族ポリイミド粉末を濾別し、その粉末を溶媒で洗浄し、
乾燥する方法が採用できる。前記の洗浄用の溶媒として
は、反応溶媒と置換しうる低沸点溶媒であれば何でもよ
く、水、あるいはメタノールやエタノールなどのアルコ
ール類が好適である。また、乾燥は250℃以下の常
圧、減圧のいずれでも、好ましくは200℃以下で、好
ましくは350℃で1時間加熱による重量減少率が1%
以下、特に0.5%以下となる乾燥状態とすることが好
ましい。前記の芳香族ポリイミド粉末は、特に粉砕しな
くてもよいが、ヘンシェルミキサ−、ウイリ−ミルなど
によって粉砕してもよい。また、重合時に生成するごく
少量の凝集体を分離除去する目的で振動ふるいにより凝
集体を分離することが成形体の物性向上のため好まし
い。
には前記の芳香族ポリイミド粉末を金型内に充填し、圧
力および熱を同時あるいは別々に加え加熱圧縮成形して
製造することができる。前記の芳香族ポリイミドの粉末
を金型に充填し、100−150℃で5−60分程度予
備加熱してポリイミド樹脂に付着した水分を除去し、次
いで成形温度430−470℃、および成形圧力100
0−10000Kg/cm2で5−30分程度圧縮成形
することによって好適に製造することができる。これら
の温度や圧力は前記の範囲内であれば任意に選択すれば
よい。加熱圧縮成形された成形体を金型内で0.5−2
℃/分の冷却速度で冷却することが成形体の物性向上に
好ましい。さらに、圧縮成形した成形体を、非圧縮下、
400−460℃にて後焼結してもよい。焼結した成形
体は0.5−2℃/分の冷却速度で冷却することが成形
体の物性向上及び成形体の割れ発生をなくすため好まし
い。
に、人造ダイヤモンド、シリカ、マイカ、カオリン、窒
化ほう素、酸化アルミニウム、酸化鉄、グラファイト、
硫化モリブデン、硫化鉄などの無機充填剤、あるいは、
ふっ素樹脂などの有機充填剤などの各種の充填剤を前記
のポリイミド粉末と混合(内部添加、外部添加のいずれ
の方法で配合したものでもよい。)して使用することが
できる。
粉末成形体を製造する装置としては、例えば、4柱式油
圧式プレス、高圧ホットプレス、WIP装置などを挙げ
ることができる。また、前記の予備成形体は、例えば、
Wet−CIP、Dry−CIP、高圧プレス、油圧プ
レス、ロ−タリ−プレス、タブレットマシ−ンを使用す
る方法によって形成することが好ましい。また、この発
明のポリイミド樹脂成形体は、前記の加熱圧縮成形法
を、シート状積層物に適用して製造することもできる。
イミド樹脂成形体は、従来公知の3,3’,4,4’−
ビフェニルテトラカルボン酸類とパラフェニレンジアミ
ンとから得られるポリイミド粉末成形体の優れた耐熱
性、寸法安定性等を低下させることなく、高い伸び、低
吸水性、低線膨張性を実現することができる。
質あるいは有機質粉末を含有させて、摺動性、加工性、
耐熱性、および/または耐磨耗性が要求される用途の成
形体にすることができる。また、この発明のポリイミド
樹脂成形体は、ダイヤモンド微粒子および場合によりさ
らに他の無機質粉末を充填した砥石用の成形体にするこ
とができる。さらに、この発明のポリイミド樹脂成形体
は、切削加工性、耐熱性、真空特性および靭性を要求さ
れるコレットチャック用の成形体にすることができる。
さらに、この発明のポリイミド樹脂成形体は、耐プラズ
マ性、真空特性、剛性、切削加工性および耐熱性を要求
される半導体クランプリング用の成形体にすることがで
きる。さらに、この発明のポリイミド樹脂成形体は、耐
熱性、耐オイル性、摺動特性、切削加工性および剛性を
要求されるベアリングリテーナー用の成形体にすること
ができる。
において、ポリイミド粉末成形体の種々の物性は、次の
試験方法によって測定したものである。 引張り特性:ASTM D−638に準拠して測定し
た。 曲げ特性:ASTM D−790 に準拠して測定し
た。 線膨張係数:ASTM D−696 に準拠して測定し
た。 熱変形温度:ASTM D−648 に準拠して測定し
た。 吸水率:ASTM D−570 に準拠し、成形体を水
中、23℃×24時間放置の値吸水率を測定した。 耐プラズマ特性:株式会社モリエンジニアリング製のプ
ラズマ発生装置を使用し、RIEモードで、酸素ガス
中、出力700W、圧力65Pa、温度145℃の条件
で成形体にプラズマ照射し、成形体のエッチング速度を
経時的に測定した。 真空特性:電子科学株式会社製の高精度昇温脱離ガス分
析装置EMD−WA1000を使用して100℃での到
達真空度を測定した。
四ツ口フラスコに、窒素ガスを通しながら、乾燥した
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物408.03g、2,3,3’,4’−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物30.71gおよびN−メチ
ル−2−ピロリドン2930gを仕込み、攪拌しながら
50℃に昇温し、完全に溶解して均一な溶液とした。こ
れにp−フェニレンジアミン161.26gを加え、
0.5時間保った。次いで、1.5時間で190℃に昇
温し、この温度で3時間反応させた。途中161℃でポ
リイミド樹脂粒子の析出が観察された。また、反応中に
留出する水は速やかに系外に除去した。N−メチル−2
−ピロリドン溶液中に分散した黄色のポリイミド樹脂粒
子を濾過によって回収し、更に、これを水中で3回煮沸
(98N−メチル−2−ピロリドン、1時間)洗浄し、
常圧下、130℃で熱風乾燥した後、に減圧下、200
℃でポリイミド樹脂粒子中に少量存在するN−メチル−
2−ピロリドンを乾燥除去して、ポリイミド樹脂粒子を
得た。
子顕微鏡による観察(断面図を示す)から結晶性ポリイ
ミド粒子の表面の全部を非結晶性のポリイミドからなる
被覆層で覆ってなる2層構造を有しており、そのポリマ
−の対数粘度(30℃、0.5g/100ml濃硫酸)
が約0.6であり、平均粒径(一次粒子)は6μmであ
り、広角X線回折法(ル−ランド法)による解析で結晶
化度は38%であった。またガラス転移温度は400℃
まで観測されず、また、常温から350℃までの加熱減
量は0.7%であり、平均粒子径は7.5μmであっ
た。
し、130℃で5時間程度予備加熱して予備形成し、次
いで成形温度450℃、成形圧力約3000Kg/cm
2で5分程度圧縮成形して、加熱圧縮成形し、1℃/分
の冷却速度で加熱オーブン中でプログラム冷却して、成
形体を得た。得られた成形体を所定の形状に切削加工し
て、物性を評価した。この切削加工のさいに、成形品に
欠けが生じることはなかった。
2 上記の結果は、実施例1で得られたポリイミド樹脂成形
体が、良好な高耐熱性、低線膨張係数、低吸水率、耐プ
ラズマ性および高真空特性を維持しつつ、高靭性および
良好な切削加工性を兼ね備えていることを示す。
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物−4,4’−ジ
アミノジフェニルエーテル系のポリイミド樹脂粉末(市
販品1)を使用して、成形体を得た。評価結果を次に示
す。 引張り強度:116Mpa 引張り伸び:5.0% 曲げ弾性率:4.2Gpa 線膨張係数:55ppm/℃ 熱変形温度:336℃ 吸水率:0.40% 耐酸素プラズマ特性:14.6μm/cm2・hr 真空特性:4.6×10-5Torr・L/sec・cm
2
水物−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル系のポリ
イミド樹脂粉末(市販品2)を使用して、成形体を得
た。評価結果を次に示す。 引張り強度:72Mpa 引張り伸び:7.5% 曲げ弾性率:2.5Gpa 線膨張係数:54ppm/℃ 熱変形温度:360℃ 吸水率:0.24% 耐酸素プラズマ特性:9.2μm/cm2・hr 真空特性:1.8×10-4Torr・L/sec・cm
2
(20−30μm)をポリイミドに対して25容量%添
加して重合した以外は同様にして、ダイヤモンド微粒子
入りのポリイミド樹脂粉末を得た。このダイヤモンド入
りポリイミド樹脂粉末を使用して、成形体を得た。評価
結果を次に示す。 引張り強度:152Mpa 引張り伸び:2.5% 曲げ弾性率:8.5Gpa 線膨張係数:22ppm/℃ 熱変形温度:472℃ 吸水率:0.02%
2で使用したダイヤモンド微粒子25容量%とをヘンシ
ェルミキサーでブレンドし、この混合物を金型に充填
し、室温で5000Kg/cm2の圧力で加圧成形し、
成形されたポリイミド成形体を金型から取り出し、45
0℃の加熱オーブン中で5時間焼成した。この焼成体を
実施例1と同様に評価した。評価結果を次に示す。 引張り強度:143Mpa 引張り伸び:3.0% 曲げ弾性率:5.2Gpa 線膨張係数:36ppm/℃ 熱変形温度:471℃ 吸水率:0.02%
しているため、下記のような効果を奏する。この発明の
ポリイミド樹脂成形体は、良好な高耐熱性、低線膨張係
数、および低吸水率を維持しつつ、高靭性および良好な
切削加工性を兼ね備えていることを示す。
Claims (13)
- 【請求項1】曲げ弾性率(23℃)が5GPa以上、熱
変形温度が400℃以上、線膨張係数(50−200
℃)20−50ppm/℃、吸水率が0.001−0.
1%であるポリイミド樹脂成形体。 - 【請求項2】エッチング速度で測定した酸素プラズマ耐
性が8μg/cm2・h以下の耐プラズマ性を有する請
求項1に記載のポリイミド樹脂成形体。 - 【請求項3】ポリイミド樹脂が、芳香族テトラカルボン
酸成分として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸、その酸エステルまたはその酸二無水物および
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、そ
の酸エステルまたはその酸二無水物の混合物と、芳香族
ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンとを重合、
イミド化したものである請求項1に記載のポリイミド樹
脂成形体。 - 【請求項4】ポリイミド樹脂を構成する芳香族テトラカ
ルボン酸成分の割合が、3,3’,4,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸成分が85−97モル%で、2,
3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸成分が1
5−3モル%である請求項1に記載のポリイミド樹脂成
形体。 - 【請求項5】成形体が、ポリイミド樹脂を金型内で40
0℃以上の温度、1000kg/cm2以上の圧力で加
熱圧縮して成形したものである請求項1に記載のポリイ
ミド樹脂成形体。 - 【請求項6】成形体が、0.5−2℃/分の冷却速度で
冷却して成形したものである請求項5に記載のポリイミ
ド樹脂成形体。 - 【請求項7】成形体が、ポリイミド樹脂を金型内で20
0℃以下の温度で加圧成形し、その加圧成形体を400
℃以上の温度の加熱オーブン内で1時間以上フリーシン
タリングしたものである請求項1に記載のポリイミド樹
脂成形体。 - 【請求項8】成形体が、0.5−2℃/分の冷却速度で
冷却して成形したものである請求項7に記載のポリイミ
ド樹脂成形体。 - 【請求項9】成形体が、摺動性、加工性、耐熱性、およ
び/または耐磨耗性を改良するための無機質あるいは有
機質微粉末を含有する請求項1に記載のポリイミド樹脂
成形体。 - 【請求項10】成形体が、ダイヤモンド微粒子および場
合によりさらに他の無機質粉末が充填された砥石用であ
る請求項1に記載のポリイミド樹脂成形体。 - 【請求項11】成形体が、切削加工性、耐熱性、真空特
性および靭性を要求されるコレットチャック用である請
求項1に記載のポリイミド樹脂成形体。 - 【請求項12】成形体が、耐プラズマ性、真空特性、剛
性、切削加工性および耐熱性を要求される半導体クラン
プリングである請求項1に記載のポリイミド樹脂成形
体。 - 【請求項13】成形体が、耐熱性、耐オイル性、摺動特
性、切削加工性および剛性を要求されるベアリングリテ
ーナー用である請求項1に記載のポリイミド樹脂成形
体。
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