JP2000128844A - シアノ安息香酸アルキルエステルの製造方法 - Google Patents

シアノ安息香酸アルキルエステルの製造方法

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JP2000128844A
JP2000128844A JP10302960A JP30296098A JP2000128844A JP 2000128844 A JP2000128844 A JP 2000128844A JP 10302960 A JP10302960 A JP 10302960A JP 30296098 A JP30296098 A JP 30296098A JP 2000128844 A JP2000128844 A JP 2000128844A
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cyanobenzoate
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benzene ring
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Takashi Tani
隆士 谷
Makoto Saito
信 斎藤
Sumio Soya
住男 征矢
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベンゼン環上に置換基を有してもよいシアノ
安息香酸アルキルエステルを工業的に有利な方法により
高選択的、高収率で製造する。 【解決手段】 ベンゼン環上に置換基を有してもよいフ
タロニトリルを塩基の存在下、脂肪族アルコール溶媒中
で1個のニトリル基のみを選択的に水和反応させ、対応
するシアノ安息香酸アミドを酸の存在下、脂肪族アルコ
ールと反応させることにより、アミド基のみをアルキル
エステル基に変換することによるベンゼン環上に置換基
を有してもよいシアノ安息香酸アルキルエステルの製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は置換または無置換シ
アノ安息香酸アルキルエステル、特に一般式(3)で示
されるシアノ安息香酸アルキルエステルの製造法に関す
る。シアノ安息香酸アルキルエステルは医薬・農薬その
他有機化学品などの合成原料または中間体として有用で
ある。
【0002】
【従来の技術】シアノ安息香酸アルキルエステルの製造
方法としては、(1)特開昭58−113145号公報
のクロロベンゾニトリルのようにハロゲンが置換された
ベンゾニトリルを触媒を用いて一酸化炭素及びアルコー
ルと反応させる方法、(2)Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,6,
1985,(1988) とJ.Org.Chem.,51,24,4714,(1986) に報告
されているアミノ安息香酸メチルのようにアミノ化され
た安息香酸アルキルエステルをサンドマイヤー反応によ
りジアゾニウム塩を経由して製造する方法、(3)特公
昭41−18818号公報のニトリルとエステルの不均
化反応による方法等の報告があるが、(1)、(2)は
原料の入手が困難で工業的に有利ではない、(3)は過
酷な条件が必要であること等いずれもシアノ安息香酸ア
ルキルエステルを工業的に有利に製造する方法とはなら
ない。このようにシアノ安息香酸アルキルエステルを製
造する工業的に有利な方法はこれまで知られておらず、
更なる改善が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、工業
的に有利に入手可能な原料であるフタロニトリルから一
般式(3)で示されるシアノ安息香酸アルキルエステル
を温和な条件で高選択的かつ高収率で製造することにあ
り、特に医薬の合成中間体として有用なm−シアノ安息
香酸アルキルエステルまたはp−シアノ安息香酸アルキ
ルエステルを高選択的かつ高収率で製造することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の従
来の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、置換または
無置換フタロニトリルを塩基の存在下、脂肪族アルコー
ル溶媒中で1個のニトリル基のみを選択的に水和反応さ
せてアミド基に変換し、次いで脂肪族アルコールを酸の
存在下反応させ、アミド基のみをアルキルエステル基に
変換することにより、高選択的かつ高収率で置換または
無置換シアノ安息香酸アルキルエステルを製造する方法
を見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の
(1)〜(5)に示される製造方法に関する。
【0005】(1)ベンゼン環上に置換基を有してもよ
いフタロニトリルからベンゼン環上に置換基を有しても
よいシアノ安息香酸アルキルエステルを製造する方法に
おいて、(a)ベンゼン環上に置換基を有してもよいフ
タロニトリルを塩基の存在下、脂肪族アルコール溶媒中
で1個のニトリル基のみを選択的に水和反応させて対応
するシアノ安息香酸アミドを製造する第1反応工程と、
(b)該シアノ安息香酸アミドを酸の存在下、脂肪族ア
ルコールと反応させることにより、アミド基のみをアル
キルエステル基に変換する第2反応工程からなることを
特徴とするベンゼン環上に置換基を有してもよいシアノ
安息香酸アルキルエステルの製造方法。 (2)ベンゼン環上に置換基を有してもよいフタロニト
リルが下記一般式(1)
【化3】 (式中、2つのニトリル基は互いにメタ位またはパラ位
にあり、Xは塩素原子またはフッ素原子を表わし、nは
0〜4の整数を表わす。ただし、nが2以上の場合、X
は同一であっても異なっていてもよい。)で示されるフ
タロニトリルであり、第1反応工程および第2反応工程
における脂肪族アルコールが下記一般式(2) ROH (2) (式中、Rは炭素数が1〜5のアルキル基を表わす。)
で示される脂肪族アルコールであり、ベンゼン環上に置
換基を有してもよいシアノ安息香酸アルキルエステルが
下記一般式(3)
【化4】 (式中、X、nおよびRは前記と同様の意味を表わし、
−COOR基はニトリル基のメタ位またはパラ位にあ
る。)で示されるシアノ安息香酸アルキルエステルであ
る上記(1)に記載のベンゼン環上に置換基を有しても
よいシアノ安息香酸アルキルエステルの製造方法。
【0006】(3)一般式(1)で示されるフタロニト
リルがイソフタロニトリルまたはテレフタロニトリルで
あり、一般式(3)で示されるシアノ安息香酸アルキル
エステルがm−またはp−シアノ安息香酸アルキルエス
テルである上記(1)乃至(2)のいずれかに記載のベ
ンゼン環上に置換基を有してもよいシアノ安息香酸アル
キルエステルの製造方法。 (4)第1反応工程において脂肪族アルコールが第3級
アルコールである上記(1)乃至(3)のいずれかに記
載のベンゼン環上に置換基を有してもよいシアノ安息香
酸アルキルエステルの製造方法。 (5)第2反応工程において脂肪族アルコールがメタノ
ールまたはエタノールである上記(1)乃至(4)のい
ずれかに記載のベンゼン環上に置換基を有してもよいシ
アノ安息香酸アルキルエステルの製造方法。
【0007】すなわち本発明は、置換または無置換フタ
ロニトリルを脂肪族アルコール溶媒中に懸濁または溶解
させ、冷却または加熱下に攪拌し、1個のニトリル基の
みを選択的に水和反応するのに好ましい量の塩基と水を
加えて反応させ、次いで脂肪族アルコールを酸の存在下
反応させることにより、アミド基のみをアルキルエステ
ル基に変換させて置換または無置換シアノ安息香酸アル
キルエステルを高選択的かつ高収率で得る方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明について説明する。本
発明の方法は置換または無置換フタロニトリル、好適に
は一般式(1)で示されるフタロニトリルを脂肪族アル
コール溶媒中で1個のニトリル基のみを選択的に水和反
応するのに好ましい量の塩基と水を加えて反応させるこ
とにより得られる下記一般式(4)
【化5】 (式中、Xおよびnは前記と同様の意味を表わし、−C
ONH2 基はニトリル基のメタ位またはパラ位にあ
る。)で示されるシアノ安息香酸アミドと脂肪族アルコ
ールとアミド基のみをエステル化するのに適した量の酸
を入れてシアノ安息香酸アルキルエステル、特に一般式
(3)で示されるシアノ安息香酸アルキルエステルを製
造する方法を提供する。
【0009】本発明を更に詳細に説明する。先ず、本発
明で用いられるフタロニトリルは、置換または無置換フ
タロニトリルを使用することができる。無置換フタロニ
トリルとしては好適にイソフタロニトリルあるいはテレ
フタロニトリルが例示される。次に置換フタロニトリル
としては、本発明の反応においては不活性な置換基を有
するフタロニトリルが使用できるが、例えばハロゲン原
子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基などが1
乃至4置換したフタロニトリルが挙げられる。2以上置
換した場合は同一または相異なる置換基であってもよ
い。
【0010】ハロゲン原子で置換されたフタロニトリル
について説明する。テトラクロロイソフタロニトリル、
テトラクロロテレフタロニトリルなどの塩素化フタロニ
トリル化合物はイソフタロニトリルおよびテレフタロニ
トリルの塩素化反応により製造できる。テトラフルオロ
イソフタロニトリル、テトラフルオロテレフタロニトリ
ルなどのフッ素化フタロニトリル化合物はテトラクロロ
イソフタロニトリルなどの塩素化イソフタロニトリル化
合物およびテトラクロロテレフタロニトリルなどの塩素
化テレフタロニトリル化合物のフッ素化反応で得られ
る。
【0011】第1反応工程であるニトリル基の水和反応
に使用される脂肪族アルコールは特に制約はなく、フタ
ロニトリル化合物を溶解またはスラリー状態にするもの
であればよい。脂肪族アルコールは直鎖状でも分岐状で
もよく、またモノオール、ジオール、トリオールでもよ
い。また、脂肪族アルコールは1、2、3級いずれでも
よいが、第1反応工程の収率は3級のアルコールを使用
した場合が最も高く好ましく、次いで2級、1級の順と
なる。脂肪族アルコールとしては例えば、メタノール、
エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−
ペンタノール、イソプロパノール、イソブタノール、s
ec−ブタノール、tert−ブタノール、イソアミル
アルコール、活性アミルアルコール、ネオペンチルアル
コール、エチレングリコール、プロピレングリコール等
が挙げられる。第1反応工程にシアノ安息香酸アルキル
エステルのアルキル基を有するアルコールを使用する
と、第1反応工程終了後にシアノ安息香酸アミドを取り
出すことなく、そのままの反応液で第2反応工程を行え
るので、工程を簡略化することが可能になり好ましい。
反応は溶解した状態でもスラリーの状態でもよい。
【0012】第1反応工程の反応温度は0℃〜100℃
の範囲内であることがよい。反応温度が低い場合は、反
応性が悪くなり多量のアルカリが必要となり好ましくな
く、反応温度が高い場合は1個のニトリル基だけでなく
もう1個のニトリル基も反応してしまうので不純物が増
えて収率が低下し好ましくない。第1反応工程の反応時
間は10分〜48時間、好ましくは1〜24時間の範囲
内とするのがよい。ただし使用するアルコールによって
反応時間は適時調整される。反応時間が短い場合はフタ
ロニトリルの転化率が低く、また長い場合は反応収率の
低下及び生産性の面で問題がある。
【0013】また第1反応工程では副生物としてシアノ
安息香酸、フタル酸ジアミド等が生成するが、シアノ安
息香酸は次の第2反応工程でエステル化されシアノ安息
香酸アルキルエステルに変換されるので有用である。ま
たフタル酸ジアミドはアルコールへの溶解度が極端に低
く、それに比してシアノ安息香酸アルキルエステルは非
常に溶解度が高いので第2反応工程終了後に塩と一緒に
ろ過をすることで取り除くことが可能である。
【0014】第1反応工程に使用される塩基は、水酸化
リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
ルビジウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;リン酸三
ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸三カリウム
等のアルカリ金属のリン酸塩;水酸化ベリリウム、水酸
化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金
属の水酸化物、アンモニア、トリエチルアミン等のアミ
ン類等のいずれでもよく、好ましくは水酸化ナトリウム
または水酸化カリウムが用いられる。これらの塩基は単
独でも2種以上を任意の割合で組み合わせて使用しても
よい。また反応液に固形のまま投入しても、水溶液の状
態で加えてもいずれの方法でもよい。加える塩基の量
は、少ない場合は反応性が悪く好ましくなく、また多い
場合は反応の選択性が悪くなり、フタロニトリル化合物
のニトリル基の2個とも反応してしまうため好ましくな
い。好ましくはフタロニトリル化合物1モルに対して
0.01モル〜1モルの範囲内とするのがよい。
【0015】第1反応工程で加える水の量はフタロニト
リル化合物1モルに対して0.2モル〜10モル、好ま
しくは0.5モル〜5モルの範囲内とするのがよい。塩
基と水は同時に加えてもどちらか一方を先に加えてもよ
いが、好ましくは水溶液として1時間〜24時間、好ま
しくは1時間〜15時間かけて所定量を加えるのがよ
い。添加時間が長い場合は反応収率の低下及び生産性の
面で問題がある。
【0016】第1反応工程終了後の反応液は、シアノ安
息香酸アルキルエステルのアルキル基を有する脂肪族ア
ルコールを使用した場合、そのまま第2反応工程に使用
することができる。第2反応工程の収率を上げるために
は反応液中の水分を減少させることが好ましく、第1反
応工程終了後に水と一緒に一部の溶媒を留去するとなお
好ましい。また第1反応工程にシアノ安息香酸アルキル
エステルのアルキル基とは異なるアルキル基を有する脂
肪族アルコールを用いた場合、第2反応工程にそのまま
使えないので、析出したシアノ安息香酸アミド化合物の
結晶を分離するか、反応液を濃縮して得られる結晶をろ
別し第2反応工程に使用する。また第1反応工程終了後
は酸で中和することが好ましい。その際に使用される酸
は濃硫酸、塩化水素等水分含有量の少ない酸が好まし
い。また留去したアルコールは第1反応工程に再利用可
能である。
【0017】第2反応工程であるアミド基のアルキルエ
ステル化に使用される脂肪族アルコールは、シアノ安息
香酸アルキルエステルのアルキル基を有するアルコール
を使用する。また第1反応工程にシアノ安息香酸アルキ
ルエステルのアルキル基を有するアルコールを使用した
場合は、反応液をそのまま使用できる。第2反応工程に
使用される脂肪族アルコールとしては、炭素数が1〜5
のアルキル基を有するアルコールが好ましく、例えばメ
タノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノ
ール、n−ペンタノール、イソプロパノール、イソブタ
ノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、
イソアミルアルコール、活性アミルアルコール、ネオペ
ンチルアルコール等が挙げられ、メタノール、エタノー
ルが特に好ましい。
【0018】第2反応工程の反応温度は特に制限はない
が、0℃〜100℃の範囲内であることがよい。反応温
度が低い場合は反応性が悪くなり、大量の酸が必要とな
り好ましくなく、また反応温度が高い場合はアミド基が
アルキルエステル基に変換されるばかりでなくニトリル
基も脂肪族アルコールと反応してアルキルイミノエーテ
ル基に変換されるため収率が低下し好ましくない。第2
反応工程の反応時間は10分〜48時間、好ましくは1
〜24時間の範囲内とするのがよい。ただし使用する脂
肪族アルコールによって反応時間は適時調整される。反
応時間が短い場合はシアノ安息香酸アミドの転化率が低
く、また長い場合は収率の低下及び生産性の面で問題が
ある。
【0019】第2反応工程で使用される酸としては、塩
酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸、ギ酸、酢酸などの有
機酸、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化第一スズ、塩化ア
ルミ等のルイス酸が挙げられる。好ましくは塩化水素、
濃硫酸が用いられる。これらの酸は単独でも2種以上を
任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
【0020】加える酸の量は、出発原料であるフタロニ
トリル化合物1モルに対して0.1モル〜7.0モル、
好ましくは0.8モル〜5.0モルの範囲内とするのが
よい。酸の量を少なくすると反応性が悪くなり収率が低
下し、また多すぎるとアミド基がアルキルエステル基に
変換されるだけでなく、ニトリル基がアルキルイミノエ
ーテル基に変換してしまい、収率が低下し好ましくな
い。またこのアルキルイミノエーテル基は水を加えるこ
とにより更にアルキルエステル基に変換され、フタル酸
ジアルキルエステルが生成するため、シアノ安息香酸ア
ルキルエステルの精製効率を低下させ収率低下を招くの
で好ましくない。また加える酸は反応液に直接添加して
も、反応溶媒と同じ脂肪族アルコールにあらかじめ吸収
させてから添加してもどちらでもよい。
【0021】第2反応工程終了後、アルカリを加えて中
和を行うことが好ましい。中和に使用されるアルカリは
水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化ルビジウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;リン
酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸三カリ
ウム等のアルカリ金属のリン酸塩;水酸化ベリリウム、
水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土
類金属の水酸化物、アンモニア、トリエチルアミン等の
アミン類等のいずれでもよく、これらは単独でも2種以
上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
【0022】第2反応工程終了後は中和によって生成し
た塩と脂肪族アルコールへの溶解度が非常に小さい副生
物のフタル酸ジアミドが析出しているのでこれをろ別す
ることが好ましい。ろ過した後、ろ液に水を添加する、
またはろ液を濃縮してから水を加えた後、加熱溶解後冷
却して粗シアノ安息香酸アルキルエステルを得ることが
できる。あるいは有機溶媒を使用して抽出し、濃縮を行
って結晶を分離することもできる。抽出に使用する有機
溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の炭化水素
系、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系、ジ
エチルエーテル等のエーテル系、酢酸エチル等のエステ
ル系等の有機溶媒を使用することができる。また、必要
ならば脂肪族アルコール水溶液等を使用した再結晶等や
減圧蒸留により精製を行う。
【0023】
【実施例】以下に実施例を用いてさらに詳しく本発明を
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。 (実施例1)テレフタロニトリル64g(0.5mo
l)とエタノール850.3gを2Lの四つ口フラスコ
に入れ、攪拌しながら78℃まで加熱し、20%水酸化
ナトリウム水溶液20gを6時間かけてチューブポンプ
で添加した。反応終了後液体クロマトグラフを用いて分
析することにより、反応液中にp−シアノ安息香酸アミ
ド48.2g(収率66%)、p−シアノ安息香酸7.
4g(収率10%)が存在することを確認した。反応液
を30℃まで冷却後、濃硫酸で中和し、減圧下で濃縮
し、エタノール508gを留去した。常圧に戻して反応
液を再び78℃まで加熱し、あらかじめ調整していた2
0%塩化水素/エタノール溶液162.4gを6時間か
けてチューブポンプで加え、更に6時間加熱下で攪拌し
た。ガスクロマトグラフを用いて分析することにより、
反応液中にp−シアノ安息香酸エチル65.6g(収率
75%−テレフタロニトリル基準)、テレフタル酸ジエ
チル11.1g(収率10%−テレフタロニトリル基
準)が存在することを確認した。反応液を30℃に冷却
した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和し、析出した無
機塩結晶をろ別した。このろ液を濃縮して350gの水
を加えた後、加熱溶解後に8℃まで冷却して再晶析させ
たところ、純度98.0%のp−シアノ安息香酸エチル
53.6gを得た。得られた粗結晶を水120g/エタ
ノール120gの混合溶液で再結晶を行ったところ純度
99.5%のp−シアノ安息香酸エチルの結晶46.6
gを得た(収率53%−テレフタロニトリル基準)。
【0024】(実施例2)テレフタロニトリル64g
(0.5mol)とメタノール850.3gを2Lの四
つ口フラスコに入れ、攪拌しながら64℃まで加熱し、
20%水酸化ナトリウム水溶液60gを6時間かけてチ
ューブポンプで添加した。反応終了後液体クロマトグラ
フを用いて分析することにより、反応液中にp−シアノ
安息香酸アミド40.9g(収率56%)、p−シアノ
安息香酸7.4g(収率10%)が存在することを確認
した。反応液を30℃まで冷却後、濃硫酸で中和し、減
圧下で濃縮し、メタノール508gを留去した。常圧に
戻して反応液を再び64℃まで加熱し、あらかじめ調整
していた20%塩化水素/メタノール溶液162.4g
を6時間かけてチューブポンプで加え、更に6時間加熱
下で攪拌した。ガスクロマトグラフを用いて分析するこ
とにより、反応液中にp−シアノ安息香酸メチル52.
3gを確認した(収率65%−テレフタロニトリル基
準)。
【0025】(実施例3)テレフタロニトリル64g
(0.5mol)とtert−ブタノール1216gを
四つ口フラスコに入れ、攪拌しながら80℃まで加熱
し、20%水酸化ナトリウム水溶液20gを3時間かけ
てチューブポンプで添加した。反応終了後液体クロマト
グラフを用いて分析することにより、反応液中にp−シ
アノ安息香酸アミド62.8g(収率86%)が存在す
ることを確認した。反応液を30℃まで冷却後、濃硫酸
で中和し、減圧下で濃縮し、tert−ブタノール83
2gを留去した。常圧に戻して30℃まで冷却した後、
析出したp−シアノ安息香酸アミドの粗結晶58.4g
(収率80%)をろ別した。得られたp−シアノ安息香
酸アミドの粗結晶をエタノール371.9gと混合して
78℃まで加熱し、あらかじめ調整していた20%塩化
水素/エタノール溶液162.4gを6時間かけてチュ
ーブポンプで加え、更に6時間加熱下で攪拌した。ガス
クロマトグラフを用いて分析することにより、反応液中
にp−シアノ安息香酸エチル65.6g(収率75%−
テレフタロニトリル基準)、テレフタル酸ジエチル2.
4g(収率2.2%−テレフタロニトリル基準)が存在
することを確認した。反応液を30℃に冷却した後、水
酸化ナトリウム水溶液で中和し、析出した無機塩結晶を
ろ別した。このろ液を濃縮し、350gの水を加えた
後、加熱溶解後に8℃まで冷却して再晶析させたとこ
ろ、純度98.0%のp−シアノ安息香酸エチルの結晶
58.0gを得た(収率66%−テレフタロニトリル基
準)。
【0026】(実施例4)イソフタロニトリル64g
(0.5mol)とメタノール576.0gを2Lの四
つ口フラスコに入れ、攪拌しながら64℃まで加熱し、
20%水酸化ナトリウム水溶液50gを6時間かけてチ
ューブポンプで添加した。反応終了後液体クロマトグラ
フを用いて分析することにより、反応液中にm−シアノ
安息香酸アミド65.7g(収率90%)が存在するこ
とを確認した。反応液を30℃まで冷却後、濃硫酸で中
和し、減圧下で濃縮し、メタノール320gを留去し
た。常圧に戻して反応液を再び64℃まで加熱し、あら
かじめ調整していた20%塩化水素/メタノール溶液1
62.4gを6時間かけてチューブポンプで加え、更に
6時間加熱下で攪拌した。ガスクロマトグラフを用いて
分析することにより、反応液中にm−シアノ安息香酸メ
チル70.0g(収率87%−イソフタロニトリル基
準)が存在することを確認した。反応液を30℃に冷却
した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和し、析出した無
機塩結晶をろ別した。このろ液を濃縮し、120gの水
を加えて加熱溶解させて8℃まで冷却後、再晶析させて
純度99.0%のm−シアノ安息香酸メチル62.8g
を得た(収率78%−イソフタロニトリル基準)。
【0027】(実施例5)テトラクロロテレフタロニト
リル53.2g(0.2mol)とtert−ブタノー
ル1064gを四つ口フラスコに入れ、攪拌しながら8
0℃まで加熱し、20%水酸化ナトリウム水溶液10g
を3時間かけてチューブポンプで添加した。反応液を冷
却後、濃硫酸で中和し、減圧下で濃縮してtert−ブ
タノール520gを留去した。常圧に戻して30℃まで
冷却した後、析出した2,3,5,6−テトラクロロ−
4−シアノ安息香酸アミドの粗結晶48.2gをろ別し
た。得られた2,3,5,6−テトラクロロ−4−シア
ノ安息香酸アミドの粗結晶をエタノール371.9gと
混合して78℃まで加熱し、あらかじめ調整していた2
0%塩化水素/エタノール溶液162.4gを6時間か
けてチューブポンプで加え、更に6時間加熱下で攪拌し
た。ガスクロマトグラフを用いて分析することにより、
反応液中に2,3,5,6−テトラクロロ−4−シアノ
安息香酸エチル31.9gが存在することを確認した
(収率51%−テトラクロロテレフタロニトリル基
準)。
【0028】
【発明の効果】本発明により、入手が容易で比較的安価
なフタロニトリル化合物を原料として温和な条件で高純
度のシアノ安息香酸アルキルエステルを収率よく合成で
きる。シアノ安息香酸アルキルエステルは医薬・農薬そ
の他有機化学品などの合成原料または中間体として広く
利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 征矢 住男 東京都港区芝大門1−13−9 昭和電工株 式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 AC53 BA66 BA69 BB14 BD70 BE60 QN30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベンゼン環上に置換基を有してもよいフ
    タロニトリルからベンゼン環上に置換基を有してもよい
    シアノ安息香酸アルキルエステルを製造する方法におい
    て、(a)ベンゼン環上に置換基を有してもよいフタロ
    ニトリルを塩基の存在下、脂肪族アルコール溶媒中で1
    個のニトリル基のみを選択的に水和反応させて対応する
    シアノ安息香酸アミドを製造する第1反応工程と、
    (b)該シアノ安息香酸アミドを酸の存在下、脂肪族ア
    ルコールと反応させることにより、アミド基のみをアル
    キルエステル基に変換する第2反応工程からなることを
    特徴とするベンゼン環上に置換基を有してもよいシアノ
    安息香酸アルキルエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 ベンゼン環上に置換基を有してもよいフ
    タロニトリルが下記一般式(1) 【化1】 (式中、2つのニトリル基は互いにメタ位またはパラ位
    にあり、Xは塩素原子またはフッ素原子を表わし、nは
    0〜4の整数を表わす。ただし、nが2以上の場合、X
    は同一であっても異なっていてもよい。)で示されるフ
    タロニトリルであり、第1反応工程および第2反応工程
    における脂肪族アルコールが下記一般式(2) ROH (2) (式中、Rは炭素数が1〜5のアルキル基を表わす。)
    で示される脂肪族アルコールであり、ベンゼン環上に置
    換基を有してもよいシアノ安息香酸アルキルエステルが
    下記一般式(3) 【化2】 (式中、X、nおよびRは前記と同様の意味を表わし、
    −COOR基はニトリル基のメタ位またはパラ位にあ
    る。)で示されるシアノ安息香酸アルキルエステルであ
    る請求項1に記載のベンゼン環上に置換基を有してもよ
    いシアノ安息香酸アルキルエステルの製造方法。
  3. 【請求項3】 一般式(1)で示されるフタロニトリル
    がイソフタロニトリルまたはテレフタロニトリルであ
    り、一般式(3)で示されるシアノ安息香酸アルキルエ
    ステルがm−またはp−シアノ安息香酸アルキルエステ
    ルである請求項1乃至2のいずれかに記載のベンゼン環
    上に置換基を有してもよいシアノ安息香酸アルキルエス
    テルの製造方法。
  4. 【請求項4】 第1反応工程において脂肪族アルコール
    が第3級アルコールである請求項1乃至3のいずれかに
    記載のベンゼン環上に置換基を有してもよいシアノ安息
    香酸アルキルエステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 第2反応工程において脂肪族アルコール
    がメタノールまたはエタノールである請求項1乃至4の
    いずれかに記載のベンゼン環上に置換基を有してもよい
    シアノ安息香酸アルキルエステルの製造方法。
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