JP2000121730A - 車両の障害物検知装置 - Google Patents

車両の障害物検知装置

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JP2000121730A
JP2000121730A JP10297130A JP29713098A JP2000121730A JP 2000121730 A JP2000121730 A JP 2000121730A JP 10297130 A JP10297130 A JP 10297130A JP 29713098 A JP29713098 A JP 29713098A JP 2000121730 A JP2000121730 A JP 2000121730A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 濃霧等の影響を受けないミリ波レーダー装置
と、左右方向の分解能が高いレーザーレーダー装置とを
適切に組み合わせて使用することにより、種々の状況に
おいて障害物の検知精度を最大限に高める。 【解決手段】 ステップS11,S12で、ミリ波レー
ダー装置およびレーザーレーダー装置を作動させて障害
物を検知し、ステップS13でレーザーレーダー装置が
障害物を検知していれば、ステップS14,S15で両
レーダー装置の検知結果に基づいて障害物の相対位置お
よび左右幅を算出する。前記ステップS13で濃霧等に
よりレーザーレーダー装置が検知不能になれば、ステッ
プS16で濃霧等の影響を受けないミリ波レーダー装置
の検知結果に基づいて障害物の相対位置を算出するとと
もに、ステップS18で、検知不能になる前のレーザー
レーダー装置の検知結果を用いて障害物の左右幅を算出
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、障害物の検知特性
が異なる第1検知手段および第2検知手段を組み合わせ
た車両の障害物検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自車に搭載したレーダー装置で前走車等
の障害物を検知し、自車が障害物と接触する可能性があ
る場合に自動制動を行って接触を回避する車両の走行安
全装置は公知である。かかる走行安全装置において使用
されるレーダー装置として、ミリ波レーダー装置(例え
ば、特開平8−94749号公報、特開平7−3186
35号公報参照)およびレーザーレーダー装置が知られ
ている。
【0003】ミリ波レーダー装置は濃霧等の気象条件に
左右されずに障害物を検知可能であるが、ビームを細く
絞ることが難しいために左右方向の分解能が劣る問題が
ある。一方、レーザーレーダー装置はビームを細く絞る
ことが可能であるために左右方向の分解能に優れている
が、濃霧等の気象条件により検知不能になる場合があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、ミリ
波レーダー装置およびレーザーレーダー装置はそれぞれ
メリットおよびデメリットを有しているが、両レーダー
装置を適切に組み合わせて使用すれば、両者のデメリッ
トを補って障害物の検知精度を高めることが可能にな
る。
【0005】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、障害物の検知特性が異なる第1検知手段および第2
検知手段を適切に組み合わせて使用することにより種々
の状況において障害物の検知精度を最大限に高めること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明は、自車の前方の検知領
域に向けて送信した信号波の反射波を受信することによ
り障害物を検知する第1検知手段および第2検知手段を
備えてなり、第2検知手段は第1検知手段よりも高い車
幅方向の検知精度を有する車両の障害物検知装置であっ
て、第1検知手段だけで障害物を検知している期間は、
第1検知手段の検知結果に基づいて障害物の位置を算出
するとともに、それ以前の期間における第2検知手段の
検知結果に基づいて障害物の幅を算出することを特徴と
する。
【0007】上記構成によれば、車幅方向の検知精度が
比較的に低い第1検知手段だけで障害物を検知している
期間は、障害物の位置は該第1検知手段の検知結果に基
づいて算出し、障害物の幅は第2検知手段が未だ検知可
能であったそれ以前の期間における該第2検知手段の検
知結果に基づいて算出するので、第2検知手段が検知不
能になっても障害物の幅を高精度で算出することができ
る。
【0008】また請求項2に記載された発明は、請求項
1の構成に加えて、前記それ以前の期間において第2検
知手段が障害物を検知していないときは、障害物の幅を
予め設定した幅とすることを特徴とする。
【0009】上記構成によれば、前記それ以前の期間に
おいて第2検知手段が障害物を検知していないために障
害物の幅が算出できない場合でも、予め設定した幅を障
害物の幅とすることにより対応することができる。
【0010】また請求項3に記載された発明は、請求項
1の構成に加えて、現時点の障害物の検知状況に基づい
て前記算出された障害物の幅を補正することを特徴とす
る。
【0011】上記構成によれば、前記算出された障害物
の幅を現時点の障害物の検知状況に基づいて補正するの
で、更に精度の高い障害物の幅を得ることができる。
【0012】また請求項4に記載された発明は、請求項
3の構成に加えて、現時点の障害物の検知状況が、障害
物が第1検知手段の検知領域内の自車の進行方向正面領
域外で検知されている第1の状況および障害物の一部が
前記検知領域外にはみ出ている第2の状況の少なくとも
何れかであることを特徴とする。
【0013】上記構成によれば、検知された障害物の位
置が検知領域内の自車の進行方向正面領域外にあって該
障害物の位置に検知誤差が存在する第1の状況におい
て、あるいは検知された障害物の位置が検知領域外には
み出ていて該障害物の位置に検知誤差が存在する第2の
状況とにおいて、前記算出された障害物の幅を補正する
ことにより障害物の幅方向の端点を適切に算出すること
ができる。
【0014】また請求項5に記載された発明は、請求項
3の構成に加えて、前記第1の状況または前記第2の状
況の場合、障害物の幅を小さく補正することを特徴とす
る。
【0015】上記構成によれば、前記第1の状況または
前記第2の状況で障害物の幅を小さく補正するので、障
害物の幅方向の端点を一層適切に算出することができ
る。
【0016】また請求項6に記載された発明は、請求項
5の構成に加えて、前記第2の状況の場合、障害物の全
体が前記検知領域内に納まるように障害物の幅を小さく
補正することを特徴とする。
【0017】上記構成によれば、前記第2の状況で障害
物の全体が検知領域内に納まるように障害物の幅を小さ
く補正するので、障害物の幅方向の端点を一層適切に算
出することができる。
【0018】また請求項7に記載された発明は、請求項
3の構成に加えて、現時点の障害物の検知状況が、前記
それ以前の期間において第2検知手段が障害物を検知し
ていた時点から現時点までに時間が経過している状況で
あり、この経過時間に応じて障害物の幅を小さく補正す
ることを特徴とする。
【0019】上記構成によれば、第2検知手段が障害物
を検知していた時点から現時点までに時間が経過してお
り、そのために第2検知手段で検知した障害物の幅の精
度の信頼性が低下していても、前記経過時間に応じて障
害物の幅を小さく補正することにより障害物の幅が過大
に算出されるのを防止することができる。
【0020】また請求項8に記載された発明は、請求項
3の構成に加えて、現時点の障害物の検知状況が、自車
と障害物との間に旋回方向の相対運動が生じている状
況、自車が旋回している状況および運転者によるステア
リング操作が行われている状況の少なくとも何れかであ
ることを特徴とする。
【0021】上記構成によれば、自車と障害物との間に
旋回方向の相対運動が生じていることにより、あるいは
運転者によるステアリング操作が行われて自車が旋回し
ていることにより障害物の位置の検知精度が低下して
も、障害物の幅を補正して前記検知精度の低下を補償す
ることができる。
【0022】また請求項9に記載された発明は、請求項
8の構成に加えて、前記旋回方向の相対運動あるいは前
記運転者によるステアリング操作が大きいほど障害物の
幅を小さく補正することを特徴とする。
【0023】上記構成によれば、自車および障害物間の
旋回方向の相対運動や運転者によるステアリング操作が
大きいときに障害物の幅を小さく補正するので、障害物
の幅が過大に算出されるのを防止することができる。
【0024】また請求項10に記載された発明は、請求
項1〜9の何れかの構成に加えて、第1検知手段がミリ
波レーダー装置であり、第2検知手段がレーザーレーダ
ー装置であることを特徴とする。
【0025】上記構成によれば、第1検知手段としてミ
リ波レーダー装置を用いることにより天候等の左右され
ずに障害物の位置を検知することができ、また第2検知
手段としてレーザーレーダー装置を用いることにより障
害物の位置および幅を高精度で検知することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0027】図1〜図18は本発明の実施例を示すもの
で、図1は障害物検知装置を備えた車両の全体構成図、
図2は制動系統のブロック図、図3はレーザーレーダー
装置の障害物検知作用の説明図、図4はミリ波レーダー
装置の障害物検知作用の説明図、図5はミリ波レーダー
装置の各ビームの受信強度から障害物の左右相対位置を
特定する手法の説明図、図6はミリ波レーダー装置およ
びレーザーレーダー装置による障害物の相対位置の検知
の説明図、図7は障害物検知ルーチンのフローチャー
ト、図8は障害物の左右幅補正サブルーチンのフローチ
ャート(第1実施例)、図9は障害物の左右幅補正サブ
ルーチンのフローチャート(第2実施例)、図10は障
害物の左右幅補正サブルーチンのフローチャート(第3
実施例)、図11は障害物の左右幅補正サブルーチンの
フローチャート(第4実施例)、図12は障害物の左右
幅補正サブルーチンのフローチャート(第5実施例)、
図13は障害物の位置が自車の正面から左右にずれてい
る場合の作用説明図、図14は障害物の左右相対位置を
補正する領域の説明図、図15は障害物の左右幅補正の
説明図、図16はレーザーレーダー装置で障害物を検知
できなくなってからの時間から補正量を検索するすマッ
プ、図17はヨーレートおよび旋回横加速度から補正量
を検索するすマップ、図18はステアリング舵角速度か
ら補正量を検索するすマップである。
【0028】図1および図2に示すように、本発明の障
害物検知装置を搭載した四輪の車両Vは、エンジンEの
駆動力がトランスミッションTを介して伝達される駆動
輪たる左右の前輪WFL,WFRと、車両Vの走行に伴って
回転する従動輪たる左右の後輪WRL,WRRとを備える。
運転者により操作されるブレーキペダル1は、電子制御
負圧ブースタ2を介してマスタシリンダ3に接続され
る。電子制御負圧ブースタ2は、ブレーキペダル1の踏
力を機械的に倍力してマスタシリンダ3を作動させると
ともに、制動支援時にはブレーキペダル1の操作によら
ずに電子制御ユニットUからの制動指令信号によりマス
タシリンダ3を作動させる。ブレーキペダル1に踏力が
入力され、かつ電子制御ユニットUから制動指令信号が
入力された場合、電子制御負圧ブースタ2は両者のうち
の何れか大きい方に合わせてブレーキ油圧を出力させ
る。尚、電子制御負圧ブースタ2の入力ロッドはロスト
モーション機構を介してブレーキペダル1に接続されて
おり、電子制御負圧ブースタ2が電子制御ユニットUか
らの信号により作動して前記入力ロッドが前方に移動し
ても、ブレーキペダル1は初期位置に留まるようになっ
ている。
【0029】マスタシリンダ3の一対の出力ポート8,
9は油圧制御装置4を介して前輪W FL,WFRおよび後輪
RL,WRRにそれぞれ設けられたブレーキキャリパ
FL,5 FR,5RL,5RRに接続される。油圧制御装置4
は4個のブレーキキャリパ5FL,5FR,5RL,5RRに対
応して4個の圧力調整器6…を備えており、それぞれの
圧力調整器6…は電子制御ユニットUに接続されて前輪
FL,WFRおよび後輪WRL,WRRに設けられたブレーキ
キャリパ5FL,5FR,5RL,5RRの作動を個別に制御す
る。従って、圧力調整器6…によって各ブレーキキャリ
パ5FL,5FR,5RL,5RRに伝達されるブレーキ油圧を
独立に制御すれば、制動時における車輪のロックを抑制
するアンチロックブレーキ制御を行うことができる。
【0030】電子制御ユニットUには、車体前方に向け
てミリ波を発信し、その反射波に基づいて前走車等の障
害物と自車との前後相対位置および左右相対位置を検知
するミリ波レーダー装置S1 と、車体前方に向けてレー
ザーを発信し、その反射波に基づいて前走車等の障害物
と自車との前後相対位置および左右相対位置、並びに障
害物の左右幅を検知するレーザーレーダー装置S2 とが
接続される。更に電子制御ユニットUには、前輪WFL
FRおよび後輪WRL,WRRの回転数をそれぞれ検知する
車輪速センサS3 …と、ステアリングホイール10の舵
角速度を検知する舵角速度センサS4 、車両Vのヨーレ
ートを検知するヨーレートセンサS5 と、車両Vの横加
速度を検知する横加速度センサS6 とが接続される。
【0031】而して、電子制御ユニットUは、ミリ波レ
ーダー装置S1 およびレーザーレーダー装置S2 の検知
結果に基づいて、自車を基準とする前走車等の障害物の
前後相対位置、左右相対位置および左右幅を算出し、こ
れら前後相対位置、左右相対位置および左右幅と、車輪
速センサS3 …で検知した自車の車速および加速度とに
基づいて障害物との接触可能性を判定する。そして自車
が障害物と接触する可能性がある場合には、電子制御ユ
ニットUからの指令で電子制御負圧ブースタ2が作動
し、マスタシリンダ3が発生したブレーキ油圧が油圧制
御装置4で調圧されてブレーキキャリパ5FL,5FR,5
RL,5RRに伝達され、障害物との接触を回避すべく自動
制動を実行する。
【0032】ミリ波レーダー装置S1 およびレーザーレ
ーダー装置S2 は各々異なる検知特性を有しているた
め、そのときの状況に応じて両レーダー装置S1 ,S2
を使い分けて障害物の前後相対位置、左右相対位置およ
び左右幅を算出する。以下、その詳細を説明する。
【0033】先ず、ミリ波レーダー装置S1 およびレー
ザーレーダー装置S2 の検知特性について説明する。
【0034】レーザーレーダー装置S2 に用いられるレ
ーザーはビームを細く絞ることが可能であるため、図3
に示すように、車体前方に送信した細幅のビームを左右
方向(あるいは左右方向および上下方向)に走査しなが
ら障害物からの反射波を受信することにより、その送信
から受信までの時間に基づいて障害物の前後相対位置を
検知するとともに、反射波が受信されたときのビームの
送信方向に基づいて障害物の左右相対位置を検知する。
【0035】レーザーレーダー装置S2 は左右方向の分
解能に優れており、図6に示すように、障害物が前走車
である場合には、その車体後面に設けられた左右のリフ
レクタを主として検知するため、障害物の左右相対位置
や左右幅の検知精度が極めて良好である。その反面、1
台の自動車の左右のリフレクタを並走する2台の自動二
輪車と誤認識したり、並走する2台の自動二輪車を1台
の自動車と誤認識したりする可能性がある。また光を強
く反射する物体を検知するため、道路に設けられたキャ
ッツアイ等の反射物を障害物として誤検知してしまう可
能性がある。
【0036】一方、ミリ波レーダー装置S1 に用いられ
るミリ波はレーザーに比べて細く絞ることが困難である
ため、図4に示すように複数本のミリ波のビームを車体
前方に放射状に送信して反射波を受信することにより、
その送信から受信までの時間に基づいて障害物の前後相
対位置を検知するとともに、複数本のビームのうちで反
射波が受信されたビームの送信方向に基づいて障害物の
左右相対位置を検知する。このとき、1個の障害物に対
して複数のビームの反射波が受信されるため、図5およ
び図6に示すように、複数のビームの受信強度の重心位
置を算出し、その重心位置を障害物の左右相対位置とし
て推定する。以上の理由からミリ波レーダー装置S1
は障害物の左右幅を検知することが難しいため、その障
害物の左右幅としてレーザーレーダー装置S2 の以前の
検知結果から推定した値や、予め定められた設定値が採
用される。
【0037】以上のように、レーザーレーダー装置S2
は障害物の左右相対位置および左右幅の検知精度におい
てミリ波レーダー装置S1 よりも優れているが、濃霧等
の気象条件でレーザーが散乱してしまう場合には検知で
きないという問題がある。一方、ミリ波レーダー装置S
1 は気象条件に左右されずに検知可能であるが、前述し
たように左右相対位置および左右幅の検知精度において
レーザーレーダー装置S2 に劣っている。そこで、本実
施例ではミリ波レーダー装置S1 およびレーザーレーダ
ー装置S2 が以下のようにして使い分けられる。
【0038】図7のフローチャートのステップS11
で、ミリ波レーダー装置S1 およびレーザーレーダー装
置S2 でそれぞれ障害物の前後相対位置および左右相対
位置を検知し、続くステップS12で相対位置が近い検
知データを一纏めにして障害物として認識する。このと
き、ミリ波レーダー装置S1 の検知データとしては、図
4および図5に示す各ビームの検知データが独立して用
いられる。続くステップS13で、濃霧等の障害がない
ためにレーザーレーダー装置S2 が障害物を検知してい
る場合、つまりミリ波レーダー装置S1 およびレーザー
レーダー装置S2が共に障害物を検知している場合に
は、ステップS14で、両レーダー装置S1,S2 で検
知した障害物の前後相対位置データの最小値を障害物の
前後相対位置とするとともに、両レーダー装置S1 ,S
2 で検知した障害物の左右相対位置データの最大値およ
び最小値の中間値を障害物の左右相対位置とする。更に
ステップS15で、両レーダー装置S1 ,S2 で検知し
た障害物の左右相対位置の最大値および最小値の差を障
害物の左右幅とする。尚、前記ステップS14およびス
テップS15における障害物の左右相対位置は、自車の
前方に延びる直線上で0であり、左方向を正、右方向を
負とすると、その直線から左に離れるほど増加し、右に
離れるほど減少するものとする。
【0039】このように、濃霧等の障害がないためにレ
ーザーレーダー装置S2 が検知可能な場合には、検知精
度の高いレーザーレーダー装置S2 の検知データを含む
両レーダー装置S1 ,S2 の検知データによって障害物
の前後相対位置、左右相対位置および左右幅を検知する
ので、その検知精度はレーザーレーダー装置S2 の検知
精度と同等以上の高いものとなる。
【0040】前記ステップS13で、濃霧等の障害によ
りレーザーレーダー装置S2 による検知が不能になり、
ミリ波レーダー装置S1 による検知だけが可能な場合に
は、ステップS16に移行する。ステップS16で、ミ
リ波レーダー装置S1 の各ビームで検知した障害物の前
後相対位置データの最小値を障害物の前後相対位置とす
るとともに、ミリ波レーダー装置S1 の各ビームの左右
相対位置データの重心位置を障害物の左右相対位置とす
る(図5参照)。続くステップS17で、その障害物が
以前にレーザーレーダー装置S2 で検知されていた場合
には、以前にレーザーレーダー装置S2 で検知した左右
幅を障害物の左右幅として採用する。そしてステップS
20で、前記ステップS18で算出した障害物の左右幅
を補正する。この補正には複数の手法があり、その各々
を後から詳述する。一方、ステップS17で前記障害物
が以前にレーザーレーダー装置S2 で検知されていない
場合には、ステップS19で、その障害物の左右幅を予
め設定した値(例えば、0.5m)とする。
【0041】このように、障害物の左右幅の検知精度が
高いレーザーレーダー装置S2 が検知不能の場合には、
それが検知可能であったときに検知した障害物の左右幅
を援用することにより、障害物の左右幅の検知精度が低
いミリ波レーダー装置S1 の弱点を補うことができる。
【0042】次に、前記ステップS20における障害物
の左右幅の補正の複数の実施例を順次説明する。
【0043】障害物の自車正面からのずれに応じた補
図15(a)に示すように、障害物が自車の正面に位置
すれば、ミリ波レーダー装置S1 で検知した障害物の左
右相対位置Sは該障害物の左右方向の中央位置PC に一
致するため、以前にレーザーレーダー装置S2 で検知し
た障害物の左右幅Wを前記障害物の左右相対位置Sの両
側に均等に振り分ければ、障害物の左右の端点PL ,P
R は実際の端点に良く一致する。
【0044】しかしながら、図13に示すように、障害
物が自車の正面から例えば左側にずれている場合を考え
ると、ミリ波が障害物の斜め右後方から当たるために、
ミリ波レーダー装置S1 で検知される障害物の左右相対
位置Sは、図15(b)に示すように、障害物の左右方
向の中央位置PC よりも右側(自車の正面側)に移動す
る。従って、以前にレーザーレーダー装置S2 で検知し
た障害物の左右幅Wを前記障害物の左右相対位置Sの両
側に均等に振り分けると、障害物の左右の端点PL ,P
R は実際の端点と一致せず、特に障害物の右側の端点P
R は実際の端点よりも右側(自車の正面側)にずれてし
まう。
【0045】障害物の左右の端点PL ,PR のうち、自
車の正面側に位置する端点PR は接触可能性の判定を行
う上で重要なものであるが、その端点PR が実際の端点
よりも自車の正面側にずれて算出されると、接触可能性
が本来の値よりも高めに算出されて自動制動制御が的確
に行われなくなる可能性がある。そこで、図14(a)
あるいは図14(b)に斜線で示すように、自車の正面
に沿う領域Aを設定し、障害物が前記領域Aにあるとき
には、ミリ波レーダー装置S1 で検知した障害物の左右
相対位置Sが障害物の左右方向の中央位置PC に一致し
ていると見做して補正を実行せず、障害物が前記領域A
にないときには、ミリ波レーダー装置S 1 で検知した障
害物の左右相対位置Sが障害物の左右方向の中央位置P
C に一致していないと見做し、以前にレーザーレーダー
装置S2 で検知した障害物の左右幅Wを、それよりも所
定値(例えば、1m)小さいW′に補正する。
【0046】その結果、図15(b)に示すように、障
害物の左右相対位置Sの左右両側に補正した障害物の左
右幅W′を均等に振り分けると、新たな端点は補正をし
ない場合のPL ,PR からPL ′,PR ′に移動し、実
際の端点に良く一致するようになって接触可能性の算出
精度が向上する。
【0047】以上の説明を纏めたものが図8のフローチ
ャートであり、ステップS31で障害物が領域Aから外
れており、障害物の左右相対位置Sが障害物の左右方向
の中央位置PC に一致していない場合には、ステップS
32で、以前にレーザーレーダー装置S2 で検知した障
害物の左右幅Wから所定値を減算した値を補正後の障害
物の左右幅W′とする。尚、前記所定値を固定せず、そ
れを障害物の自車前方からのずれの程度に応じて変化さ
せても良い。
【0048】障害物のミリ波レーダー装置の検知範囲
からの逸脱に応じた補正 図13および図15(c)に示すように、障害物が自車
の正面から例えば右側にずれており、その一部がミリ波
レーダー装置S1 の検知範囲から逸脱している場合を考
えると、ミリ波が障害物の斜め左後方から当たり、かつ
障害物の右側の一部のミリ波により照射されないため
に、ミリ波レーダー装置S1 で検知される障害物の左右
相対位置Sは、障害物の左右方向の中央位置PC よりも
左側(自車の正面側)に移動する。その結果、以前にレ
ーザーレーダー装置S2 で検知した障害物の左右幅Wを
前記障害物の左右相対位置Sの両側に均等に振り分ける
と、障害物の左右の端点PL ,PR のうちの右側の端点
R が検知範囲外にはみ出すことがある。そこで、以前
にレーザーレーダー装置S2 で検知した障害物の左右幅
Wを、右側の端点PR が検知範囲外に納まるように減少
方向に補正してW′とする。
【0049】以上の説明を纏めたものが図9のフローチ
ャートであり、ステップS41で、以前にレーザーレー
ダー装置S2 で検知した障害物の左右幅Wを用いて障害
物の端点を算出した結果、ステップS42で何れかの端
点がミリ波レーダー装置S1の検知範囲から外れていれ
ば、ステップS43で前記端点がミリ波レーダー装置S
1 の検知範囲に納まるように前記障害物の左右幅Wを減
少方向に補正する。
【0050】レーザーレーダー装置が検知不能になっ
てからの時間に応じた補正 レーザーレーダー装置S2 が検知不能になってからの時
間が長くなるに応じて障害物の左右幅Wの信頼性は低下
するため、同じ左右幅Wを継続的に使用すると接触可能
性の算出精度が低下する虞がある。
【0051】そこで、図10のフローチャートのステッ
プS51で、レーザーレーダー装置S2 が検知不能にな
ってからの時間に基づいて、図16のマップから障害物
の左右幅の補正量を検索する。続くステップS52で、
以前にレーザーレーダー装置S2 で検知した障害物の左
右幅Wから前記補正量を減算した値を補正後の障害物の
左右幅W′とする。但し、補正後の障害物の左右幅W′
は最小値を0.5mとし、負値にならないようにする。
【0052】自車の旋回方向の運動状態に応じた補正 自車が旋回すると障害物に対して斜め方向からミリ波を
照射することになり、検知される左右相対位置が実際の
左右相対位置からずれて接触可能性の算出精度が低下す
る場合がある。また運転者が自発的に旋回している場合
に、障害物と接触する可能性が有ると判定されて自動制
動や警報が行われると、運転者が煩わしく感じることが
ある。そこで、自車の旋回方向の運動状態に基づいて、
以前にレーザーレーダー装置S2 で検知した障害物の左
右幅Wを減算するように補正すれば、障害物の左右幅が
小さく認識されるようになり、接触可能性が必要以上に
大きく判定されて不要な自動制動が行われるのが防止さ
れる。
【0053】図11のステップS61で、ヨーレートセ
ンサS5 で自車のヨーレートを検知するとともに、横加
速度センサS6 で自車の横加速度を検知する。続くステ
ップS62で、前記ヨーレートおよび前記横加速度をパ
ラメータとして、図17のマップから補正量を検索し、
続くステップS63で、以前にレーザーレーダー装置S
2 で検知した障害物の左右幅Wから前記補正量を減算し
た値を補正後の障害物の左右幅W′とする。
【0054】運転者のステアリング操作による舵角速
度に応じた補正 運転者が障害物との接触可能性を認識して回避のための
ステアリング操作を行ったとき、障害物と接触する可能
性が有ると判定されて自動制動や警報が行われると、前
記ステアリング操作に自動制動が干渉して運転者が違和
感を受ける場合がある。これを防止するために、運転者
のステアリング操作による舵角速度に応じて、以前にレ
ーザーレーダー装置S2 で検知した障害物の左右幅Wを
減算するように補正する。これにより障害物の左右幅が
小さく認識されるようになり、接触可能性が必要以上に
大きく判定されて不要な自動制動が行われるのを防止す
ることができる。
【0055】図12のステップS71で、舵角速度セン
サS4 の出力に基づいて舵角速度を算出し、この舵角速
度を図18のマップに適用して補正量を検索する。そし
てステップS72で、以前にレーザーレーダー装置S2
で検知した障害物の左右幅Wから前記補正量を減算した
値を補正後の障害物の左右幅W′とする。
【0056】尚、舵角速度に代えて、操舵トルクや操舵
トルクの時間変化量を用いることも可能である。
【0057】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0058】例えば、実施例では通常時にミリ波レーダ
ー装置S1 およびレーザーレーダー装置S2 の両方で障
害物を検知しているが、通常時にレーザーレーダー装置
2だけで障害物を検知し、レーザーレーダー装置S2
が検知不能になったときにミリ波レーダー装置S1 で障
害物を検知することも可能である。
【0059】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、車幅方向の検知精度が比較的に低い第1検知
手段だけで障害物を検知している期間は、障害物の位置
は該第1検知手段の検知結果に基づいて算出し、障害物
の幅は第2検知手段が未だ検知可能であったそれ以前の
期間における該第2検知手段の検知結果に基づいて算出
するので、第2検知手段が検知不能になっても障害物の
幅を高精度で算出することができる。
【0060】また請求項2に記載された発明によれば、
前記それ以前の期間において第2検知手段が障害物を検
知していないために障害物の幅が算出できない場合で
も、予め設定した幅を障害物の幅とすることにより対応
することができる。
【0061】また請求項3に記載された発明によれば、
前記算出された障害物の幅を現時点の障害物の検知状況
に基づいて補正するので、更に精度の高い障害物の幅を
得ることができる。
【0062】また請求項4に記載された発明によれば、
検知された障害物の位置が検知領域内の自車の進行方向
正面領域外にあって該障害物の位置に検知誤差が存在す
る第1の状況において、あるいは検知された障害物の位
置が検知領域外にはみ出ていて該障害物の位置に検知誤
差が存在する第2の状況とにおいて、前記算出された障
害物の幅を補正することにより障害物の幅方向の端点を
適切に算出することができる。
【0063】また請求項5に記載された発明によれば、
前記第1の状況または前記第2の状況で障害物の幅を小
さく補正するので、障害物の幅方向の端点を一層適切に
算出することができる。
【0064】また請求項6に記載された発明によれば、
前記第2の状況で障害物の全体が検知領域内に納まるよ
うに障害物の幅を小さく補正するので、障害物の幅方向
の端点を一層適切に算出することができる。
【0065】また請求項7に記載された発明によれば、
第2検知手段が障害物を検知していた時点から現時点ま
でに時間が経過しており、そのために第2検知手段で検
知した障害物の幅の精度の信頼性が低下していても、前
記経過時間に応じて障害物の幅を小さく補正することに
より障害物の幅が過大に算出されるのを防止することが
できる。
【0066】また請求項8に記載された発明によれば、
自車と障害物との間に旋回方向の相対運動が生じている
ことにより、あるいは運転者によるステアリング操作が
行われて自車が旋回していることにより障害物の位置の
検知精度が低下しても、障害物の幅を補正して前記検知
精度の低下を補償することができる。
【0067】また請求項9に記載された発明によれば、
自車および障害物間の旋回方向の相対運動や運転者によ
るステアリング操作が大きいときに障害物の幅を小さく
補正するので、障害物の幅が過大に算出されるのを防止
することができる。
【0068】また請求項10に記載された発明によれ
ば、第1検知手段としてミリ波レーダー装置を用いるこ
とにより天候等の左右されずに障害物の位置を検知する
ことができ、また第2検知手段としてレーザーレーダー
装置を用いることにより障害物の位置および幅を高精度
で検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】障害物検知装置を備えた車両の全体構成図
【図2】制動系統のブロック図
【図3】レーザーレーダー装置の障害物検知作用の説明
【図4】ミリ波レーダー装置の障害物検知作用の説明図
【図5】ミリ波レーダー装置の各ビームの受信強度から
障害物の左右相対位置を特定する手法の説明図
【図6】ミリ波レーダー装置およびレーザーレーダー装
置による障害物の相対位置の検知の説明図
【図7】障害物検知ルーチンのフローチャート
【図8】障害物の左右幅補正サブルーチンのフローチャ
ート(第1実施例)
【図9】障害物の左右幅補正サブルーチンのフローチャ
ート(第2実施例)
【図10】障害物の左右幅補正サブルーチンのフローチ
ャート(第3実施例)
【図11】障害物の左右幅補正サブルーチンのフローチ
ャート(第4実施例)
【図12】障害物の左右幅補正サブルーチンのフローチ
ャート(第5実施例)
【図13】障害物の位置が自車の正面から左右にずれて
いる場合の作用説明図
【図14】障害物の左右相対位置を補正する領域の説明
【図15】障害物の左右幅補正の説明図
【図16】レーザーレーダー装置で障害物を検知できな
くなってからの時間から補正量を検索するすマップ
【図17】ヨーレートおよび旋回横加速度から補正量を
検索するすマップ
【図18】ステアリング舵角速度から補正量を検索する
すマップ
【符号の説明】
1 ミリ波レーダー装置(第1物体検知手段) S2 レーザーレーダー装置(第2物体検知手
段) V 車両(自車) W 障害物の幅
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 羽田 智 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 市川 章二 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 5H180 AA01 BB04 CC03 CC12 CC14 LL01 LL09 5J070 AB24 AC01 AC20 AE01 AE20 AF03 AG01 AH33 AH50 AK04 AK22 AK40 BD06 BF07 BF16 BF19 5J084 AA04 AA20 AB01 AB20 AC02 BA03 BA14 CA76 EA11

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自車(V)の前方の検知領域に向けて送
    信した信号波の反射波を受信することにより障害物を検
    知する第1検知手段(S1 )および第2検知手段
    (S2 )を備えてなり、第2検知手段(S2 )は第1検
    知手段(S1 )よりも高い車幅方向の検知精度を有する
    車両の障害物検知装置であって、 第1検知手段(S1 )だけで障害物を検知している期間
    は、第1検知手段(S 1 )の検知結果に基づいて障害物
    の位置を算出するとともに、それ以前の期間における第
    2検知手段(S2 )の検知結果に基づいて障害物の幅
    (W)を算出することを特徴とする車両の障害物検知装
    置。
  2. 【請求項2】 前記それ以前の期間において第2検知手
    段(S2 )が障害物を検知していないときは、障害物の
    幅(W)を予め設定した幅とすることを特徴とする、請
    求項1に記載の車両の障害物検知装置。
  3. 【請求項3】 現時点の障害物の検知状況において前記
    算出された障害物の幅(W)を補正することを特徴とす
    る、請求項1に記載の車両の障害物検知装置。
  4. 【請求項4】 現時点の障害物の検知状況が、障害物が
    前記検知領域内の自車の進行方向正面領域外で検知され
    ている第1の状況および障害物の一部が前記検知領域外
    にはみ出ている第2の状況の少なくとも何れかであるこ
    とを特徴とする、請求項3に記載の車両の障害物検知装
    置。
  5. 【請求項5】 前記第1の状況または前記第2の状況の
    場合、障害物の幅(W)を小さく補正することを特徴と
    する、請求項4に記載の車両の障害物検知装置。
  6. 【請求項6】 前記第2の状況の場合、障害物の全体が
    前記検知領域内に納まるように障害物の幅(W)を小さ
    く補正することを特徴とする、請求項5に記載の車両の
    障害物検知装置。
  7. 【請求項7】 現時点の障害物の検知状況が、前記それ
    以前の期間において第2検知手段が障害物を検知してい
    た時点から現時点までに時間が経過している状況であ
    り、この経過時間に応じて障害物の幅(W)を小さく補
    正することを特徴とする、請求項3に記載の車両の障害
    物検知装置。
  8. 【請求項8】 現時点の障害物の検知状況が、自車と障
    害物との間に旋回方向の相対運動が生じている状況、自
    車(V)が旋回している状況および運転者によるステア
    リング操作が行われている状況の少なくとも何れかであ
    ることを特徴とする、請求項3に記載の車両の障害物検
    知装置。
  9. 【請求項9】 前記旋回方向の相対運動あるいは前記運
    転者によるステアリング操作が大きいほど障害物の幅
    (W)を小さく補正することを特徴とする、請求項8に
    記載の車両の障害物検知装置。
  10. 【請求項10】 第1検知手段(S1 )がミリ波レーダ
    ー装置であり、第2検知手段(S2 )がレーザーレーダ
    ー装置であることを特徴とする、請求項1〜9の何れか
    に記載の車両の障害物検知装置。
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