JP2000120679A - 機械部材間のクリアランス微調整機構 - Google Patents

機械部材間のクリアランス微調整機構

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JP2000120679A
JP2000120679A JP10318369A JP31836998A JP2000120679A JP 2000120679 A JP2000120679 A JP 2000120679A JP 10318369 A JP10318369 A JP 10318369A JP 31836998 A JP31836998 A JP 31836998A JP 2000120679 A JP2000120679 A JP 2000120679A
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screw
tapered
mechanical
clearance
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JP10318369A
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Kazuo Yamada
和夫 山田
Nobuo Enomoto
信雄 榎本
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Enomoto Co Ltd
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Enomoto Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熟練を要せず、クリアランスを正逆微調整可
能な機構を提供する。 【解決手段】 機械部材の対向する面の一面表面から他
面近隣まで所定厚さの弾性変形部を残して、ねじ穴を形
成し、先端が平坦な調整ねじを当該ねじ穴に螺合させ、
調整ねじを正逆微回転させることによって、調整ねじの
先端がねじ穴の底部を押圧する圧力を増減させて、機械
部品の他面の突出寸法を微調整する機械部材間のクリア
ランス微調整機構。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械部材間のクリ
アランス微調整機構に関する。
【0002】
【従来の技術】第1の従来技術 互いに近接する機械部材間のクリアランスを調整する従
来方法の1つとして、図13に示すように、機械部材7
11、712の間にテーパーキー84を挿入し、テーパ
ーキー84を押し込むことによってクリアランスを調整
していた。すなわち、テーパーキーあるいは「かみそ
り」と呼ばれる部材の細幅部841を前方として挿入
し、太幅部842の後端をハンマー等で打ち込み、押し
込んで、クリアランスの調整を行うものである。
【0003】第2の従来技術 また、機械部材間にボールベアリングを介在させる際の
クリアランスを調整する従来方法の1つとしては、わず
かに直径寸法の異なるボールベアリングを用意し、ボー
ルベアリングを交換して、クリアランスが所望範囲内に
おさまるまで、ボールベアリングの交換を繰り返すもの
がある。
【0004】第3の従来技術 さらに、直動ユニットのレールを機械構造部材の表面に
接触させて固定取り付ける際に、レールの凹凸を少なく
し、直線度、平担度を所望範囲内におさめるためには、
取り付け現場において、機械構造部材の表面を人手によ
り、きさげ研削やペーパー研磨を繰返している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
従来技術においては、テーパーキーをたたき込んだり、
押し込むものであるから、微量の移動は再現性良く行え
ず、クリアランスの微量調整を行うのが困難である。ま
た、第1の従来技術においては、互いに近接する機械部
材間には、テーパーキーを挿入するのに十分なスペース
が必要であるため、精密な機械や小型機械への応用が困
難である。さらに、第1の従来技術においてはテーパー
キーを押し込みクリアランスを広げるものであって、逆
にテーパーキを引き抜くのは困難な構造であり、クリア
ランスを狭める調整がほぼ不可能である。
【0006】次に、第2の従来技術においては、直径寸
法の同一のボールベアリングを所定個数用意したグルー
プと、さらに、それに対し直径寸法がわずかに大きな、
同一直径のボールベアリングを所定個数用意した他のグ
ループと、同様にさらに他のグループを入れ替えて、す
きまやガタを少なく、組立て、試験、分解を繰返す必要
があり、作業が大変であり、時間がかかる。
【0007】さらに、第3の従来技術においては、設置
現場において機械構造の表面をきさげ加工や研磨加工し
て、平面度、直線度を得るものであり、作業が困難であ
り、熟練を必要とするものであり、また、所定の精度を
得るのが困難であり、作業時間がかかる。
【0008】そこで、本発明の目的は、上記問題点を解
決し、熟練を要せず、クリアランスを正逆微調整可能な
機構を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、請求項1に
記載の第1の本発明に係る機械部材間のクリアランス微
調整機構、すなわち、機械部材の対向する面の一面表面
から他面近隣までに所定厚さの弾性変形部を残して、ね
じ穴を形成し、先端が平担な調整ねじを当該ねじ穴に螺
合させ、調整ねじを正逆微回転させることによって、調
整ねじの先端がねじ穴の底部を押圧する圧力を増減させ
て、機械部材の他面の突出寸法を微調整する機械部材間
のクリアランス微調整機構によって、達成される。
【0010】また、上記目的は、請求項2に記載の本発
明に係る機械部材間のクリアランス微調整機構、すなわ
ち、レールにまたがり直線走行する、断面が逆U字形の
直動要素であって、垂下する側部の外面から内面近隣ま
でに所定厚さの弾性変形部を残して、ねじ穴を形成し、
先端が平担な調整ねじを当該ねじ穴に螺合させて、調整
ねじを正逆微回転させることによって、調整ねじの先端
がねじ穴の底部を押圧する圧力を増減し、直動要素側部
内面の微量突出させて、直動要素とレールとの間のクリ
アランスを微調整する機械部材間のクリアランス微調整
機構によっても、達成される。
【0011】さらに、上記目的は、請求項3に記載の本
発明に係る機械部材間のクリアランス微調整機構、すな
わち、レールの上面から下面近隣までに所定厚さの弾性
変形部を残して、ねじ穴を形成し、先端が平担な調整ね
じを当該ねじ穴に螺合させて、調整ねじを正逆微回転さ
せることによって、調整ねじの先端がねじ穴の底部を押
圧する圧力を増減し、レールの下面を機械構造部材の表
面に接触させて固定取り付ける際に生ずるレール下面と
機械構造部材表面との間のクリアランスを微調整する機
械部材間のクリアランス微調整機構によっても、達成さ
れる。
【0012】第1の本発明の好ましい実施形態において
は、請求項4に記載のように、機械部材がステンレス
鋼、工具鋼あるいは高速度鋼製である場合には、所定厚
さが1〜2mmである。
【0013】上記目的は、請求項5に記載の第2の本発
明に係る機械部材間のクリアランス微調整機構、すなわ
ち、円柱形状の機械部材の底面表面から軸心に沿ってテ
ーパー状ねじ穴を形成し、当該テーパー状ねじ穴と当該
機械部材の側面の間に所定範囲厚さの弾性弾性変形部を
設け、対応するテーパー状調整ねじを当該テーパー状ね
じ穴に螺合させ、テーパー状調整ねじを正逆微回転させ
ることによって、テーパー状調整ねじの側面がテーパー
状ねじ穴の側面を押圧する圧力を増減させて、機械部材
の当該底面付近の側面の突出寸法を微調整する機械部材
間のクリアランス微調整機構によっても、達成される。
【0014】また、上記目的は、請求項6に記載の本発
明に係る機械部材間のクリアランス微調整機構、すなわ
ち、多角柱形状の機械部材の底面表面から軸心に沿って
テーパー状ねじ穴を形成し、当該テーパー状ねじ穴と当
該機械部材の側面の間に所定範囲厚さの弾性弾性変形部
を設け、対応するテーパー状調整ねじを当該テーパー状
ねじ穴に螺合させ、テーパー状調整ねじを正逆微回転さ
せることによって、テーパー状調整ねじの側面がテーパ
ー状ねじ穴の側面を押圧する圧力を増減させて、機械部
材の当該底面付近の側面の突出寸法を微調整する機械部
材間のクリアランス微調整機構によっても、達成され
る。
【0015】さらに、上記目的は、請求項7に記載の本
発明に係る機械部材間のクリアランス微調整機構、すな
わち、第1の表面に隣接し直交する第2の表面を有する
機械部材において、第1の表面から垂直にテーパー状ね
じ穴を形成し、当該テーパー状ねじ穴と当該機械部材の
第2の表面の間に所定範囲厚さの弾性弾性変形部を設
け、対応するテーパー状調整ねじを当該テーパー状ねじ
穴に螺合させ、テーパー状調整ねじを正逆微回転させる
ことによって、テーパー状調整ねじの側面がテーパー状
ねじ穴の側面を押圧する圧力を増減させて、機械部材の
当該第1の表面付近の第2の表面の突出寸法を微調整す
る機械部材間のクリアランス微調整機構によっても、達
成される。
【0016】第2の本発明の好ましい実施形態において
は、請求項8に記載のように、機械部材がステンレス
鋼、工具鋼あるいは高速度鋼製である場合には、所定範
囲厚さが1〜3mmである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の機械部材間のクリ
アランス微調整機構の種々の実施形態について、添付図
面を参照して、詳細に説明する。
【0018】図1は、第1の本発明の機械部材間のクリ
アランス微調整機構の原理を示す図である。機械部材8
の対向する2面のうちの一面801の表面から他面80
2の近隣までに、所定厚さの弾性変形部805を残し
て、ねじ穴を形成する。ねじ穴は円柱状であり、側面8
03には下部を除いてねじ溝が形成され、底面804
は、後述する調整ねじの先端が当接するように平坦な平
面となっている。
【0019】調整ねじ9は、頭部と基部の直径がほぼ同
一であり、円柱状であり、頭部901の中央には、不図
示の六角レンチが嵌合する六角穴902が形成され、側
面903にはねじ溝が切ってあり、先端904は平担で
ある。
【0020】調整ねじ9をねじ穴に螺合させ、正逆(時
計まわりあるいは反時計まわりに)微回転させることに
よって、調整ねじ9の先端904がねじ穴の底部804
を押圧する圧力を増減させて、機械部材8の他面802
の突出部807の突出寸法を微調整するものである。し
たがって、組み立てた後に分解することなく、機械部品
に一面に位置する調整ねじ9を正逆微回転させることに
よって、突出寸法を可逆的に微調整することができる。
これにより、機械部品の他面に隣接する他の機械部品と
のクリアランスを微調整することができる。また、機械
部材8の他面802の突出部807はなだらかな形状と
なるため、他の機械部品に傷をつけることがほぼない。
【0021】第1の実施形態 図2は、第1の本発明の第1の実施形態の直動ユニット
を示す図であり、(a)はその平面図であり、(b)は
(a)中のAーA′断面図である。レール2は、側面2
02、206に、それぞれ、台形溝が長手方向に直線状
に伸びる、ほぼ長方形断面の長尺部材である。なお、2
01はレールの上面である。直動ユニット1は、断面が
逆U字形であり、上部の左右端から垂下する2つの側部
を有しており、レールの上面及び左右側面に接してまた
がるようにして、レールに沿って摺動させるものであ
る。側部内面107、109には直尺方向へ伸びる溝1
30、140が形成されている。溝130、140の断
面は長方形であり、それぞれ、上面112、115、側
面111、114及び下面113、116よりなる。こ
の溝には断面が六角形のすべり部材5、6の結合部が嵌
合している。一方、すべり部材5、6の摺動部はレール
2の台形溝の表面に接触している。そして、直動ユニッ
ト1の上部下面108はレール2の上面201に接触し
ている。直動ユニット1の外表面は、上部上面105、
左側部外面101、左側部下面106及び右側部外面1
03、右側部下面110よりなる。
【0022】左側部外面101から右側部内面107の
溝側面111に向かってねじ穴150、160、170
が間隔をおいて、走行方向へ並んで形成されいてる。ね
じ穴160の底面161と溝側面111との間には所定
厚さt1の弾性変形部が残されている。直動ユニット1
がステンレス鋼、高速度鋼を素材とする場合には、1〜
2mmとするのが好ましい。直動ユニット1の走行方向
の前端及び後端には硬質ゴム製板材3、4が取り付けて
あり、レール2と直動ユニット1との間にごみが混入す
るのを防いでいる。
【0023】図3は、本発明の第1の実施形態の直動ユ
ニットにおけるねじ穴及び弾性変形部の拡大正面断面図
である。ねじ穴160の底面161は平担であり、側面
163には底面近くまでねじ溝が形成され、不図示の調
整ねじの頭部を収納するためのざくり部162が形成さ
れている。不図示の調整ねじの先端は研磨され平担にし
てあり、調整ねじをねじ穴160に螺合して、正回転さ
せると、調整ねじの先端がねじ穴160の底面を押圧し
て、弾性変形部を押し出すようにわずかに変形する。調
整ねじの正回転の量を微調整することによって、弾性変
形部の突出量を微調整することができる。また、調整ね
じを逆回転させると、調整ねじの先端がねじ穴160の
底面を押圧する圧力が徐々に小さくなり、弾性変形部の
突出量を小さくするように微調整することができる。
【0024】弾性変形部の突出量に応じて、直動ユニッ
トの溝側面111も変位して、すべり部材5の左右位置
を可逆的に微調整することができる。よって、すべり部
材の摺動部503、504、505とレール2の台形溝
203、204、205とのクリアランスを可逆的に微
調整することができ、しかも繰返し微調整することがで
きる。
【0025】第2の実施形態 図4は、第1の本発明の第2の実施形態のレールを示す
部分断面図である。レール51は、不図示の直動ユニッ
トを案内する長尺直線状部材であり、機械構造部材60
(例えば、ベースプレートや支柱)の表面601に接触
させてねじ止めされ取り付けられる。そのため、レール
51には間隔をおいて、ねじ止め用貫通孔510、52
0が形成され、一方、機械構造部材60には、それに対
応して、ねじ穴610、620が形成されている。
【0026】さらに、レール51には、ねじ止め用貫通
孔510と520の中間に、レール5の上面511から
ねじ穴530が形成されているが、その底面532は平
担であり、レール51の下面512へは到達せず、ねじ
穴530の底面532とレール51の下面512との間
には厚さt2の弾性変形部513が設けてある。ねじ穴
530の側面531にはねじ溝が切ってある。
【0027】不図示の調整ねじの先端は研磨され平担に
なっており、調整ねじをねじ穴530に螺合させ、正回
転すると、調整ねじの先端がねじ穴530の底面532
を押圧し、弾性変形部513を下へ押し出すようにわず
かに変形させる。調整ねじの頭部には、プラスドライバ
ー、マイナスドライバーあるいは六角レンチを用いて回
転するために、プラス溝、マイナス溝あるいは六角溝が
形成してある。調整ねじの正回転の量を調整することに
よって、弾性変形部513の突出量を微調整することが
できる。逆に、調整ねじを逆回転すると、調整ねじの先
端がねじ穴530の底面532を押圧する圧力が徐々に
小さくなり、弾性変形部513の突出量を小さくするこ
とができる。このようにして、調整ねじを正逆回転し
て、弾性変形部513の突出量を微調整することによっ
て、レール51の下面512と機械構造部材60の表面
601とのすきまをほとんどなくすことができ、レール
51の上面511の直線性、平担性を所定範囲内におさ
めることが容易にできる。
【0028】第3の実施形態 図5は、第1の本発明の第3の実施形態のボールベアリ
ング無限循環部の断面図である。第1の機械部材52の
内面522には、ボールベアリング71、72が回転走
行する半円溝523、524が形成されている。一方、
第1の機械部材52の外面521には、円柱状のねじ穴
540、550が形成され、その底面542、552は
平担であり、半円溝523、524との間にはそれぞれ
厚さt3、t4の弾性変形部525、526が設けてあ
る。
【0029】同様に、第2の機械部材62の内面621
にも半円溝623、624が形成されている。
【0030】第1、第2の実施形態と同様に、不図示の
調整ねじを正逆回転すると、弾性変形部525、526
の突出量を微調整することができ、半円溝523とボー
ルベアリング71とのクリアランス、半円溝623とボ
ールベアリング71とのクリアランスを微調整すること
ができ、また、半円溝524とボールベアリング72と
のクリアランス、半円溝624とボールベアリング72
とのクリアランスを可逆的に微調整することができる。
このようにして、ボールベアリングの与圧を微調整し
て、第1の機械部材と第2の機械部材との直線運動の抵
抗を変化させるとともに、両者間のガタの量を変化させ
ることができる。
【0031】第4の実施形態 図6は、第1の本発明の第4の実施形態の円環部材と円
柱シャフトの組立て、接着を示す平面図である。位置微
動治具83の中空円内に円環部材75を配置し、円環部
材75の中空円内に円柱シャフト61を挿入し固定す
る。位置微動治具83の外面831に半径方向へ円柱状
のねじ穴560、570、580が中心のまわりに12
0°間隔で形成されている。ねじ穴560、570、5
80の底面562、572、582は平担である。第1
〜3の実施形態と同様に、それぞれのねじ穴560、5
70、580に不図示の調整ねじを螺合し、正逆回転さ
せて、底面562、572、582を押圧して、弾性変
形部833、834、835の突出量をそれぞれ微調整
して、円環部材75を移動させて、位置を微調整する。
以上のように円環部材75の微移動させることによっ
て、円環部材75の内面752と円柱シャフト61の表
面611との間のクリアランスが均等になるように調整
することができ、その後に、そのクリアランスに接着剤
を注入し固化する。すると、円環部材75の中心と円柱
シャフト61の中心とが一致した状態で組立て固化する
ことができる。
【0032】他の実施形態としては、第4の実施形態に
おける円柱シャフトが円環部材に対し垂直になるよう
に、円柱シャフトの傾き、あるいは、たおれを微調整す
ることもできる。
【0033】第5の実施形態 図7は、第1の本発明の第5の実施形態の円環部材と円
柱シャフトの組立て、嵌合を示す図であり、(A)はそ
の正面図であり、(B)はその平面図である。円柱シャ
フト63の側面633の下部には、半径方向へ円柱状の
ねじ穴59が形成されている。ねじ穴59の底面592
は平担である。第1〜4の実施形態と同様に、ねじ穴5
9に不図示の調整ねじを螺合し、正逆回転させて、底面
592を押圧して、弾性変形部634の突出量を微調整
する。以上のように円柱シャフト63の下部の直径を微
調整することによって、円環部材73の内面732と円
柱シャフト63の下部との間のクリアランスを調整する
ことができ、適切なはめ具合の嵌合を行うことができ
る。
【0034】第6の実施形態 図8は、第1の本発明の第6の実施形態の板材とクラン
プ部材の嵌合を示す図である。断面がC字形状のクラン
プ部材33の上あご部331の外面334から内面33
6との間に所定の厚さの弾性変形部330を残して、ね
じ穴70が形成されている。ねじ穴70の底面は平担で
あり、第1〜5の実施形態と同様に、ねじ穴70に不図
示の調整ねじを螺合し、正逆回転させて、底面を押圧し
て、弾性変形部330の突出量を微調整する。このよう
にクランプ部材33の上あご部内面336の突出量を微
調整することによって、板材64とクランプ部材33の
内面336、338との間のクリアランスを調整するこ
とができ、適切なはめ具合の嵌合を行うことができる。
【0035】第7の実施形態 図9は、第1の本発明の第7の実施形態のプレートの斜
視図である。プレート65は鋼鉄製の厚板であり、上面
651から、下面652へ向かって所定厚さの弾性変形
層を残してねじ穴が上下左右方向に間隔を置いて6個形
成してある。ねじ穴の底部は平坦である。ねじ穴には調
整ねじ701、702、703、704、705、70
6が、それぞれ、螺合している。調整ねじ701、70
2、703、704、705、706の頭部には六角レ
ンチが嵌る六角溝が形成され、先端は平坦になるように
研磨されている。
【0036】第7の実施形態のプレートを定盤などの平
板の上に載せると、プレートと平板との間に部分的に隙
間が生ずるが、隙間が生じた部分の直上近辺の調整ねじ
を主として正逆回転して、調整ねじの先端によってねじ
穴の底面を押圧し、弾性変形部の突出量を微調整する。
このようにして、プレートの下面に微妙な凹凸を設け、
プレートと平板との間の隙間をほとんど無くし、密着さ
せることが容易に、しかも、再現性良く実施することが
できる。
【0037】次に、第2の本発明について、説明する。
図10は、第2の本発明の機械部材間のクリアランス微
調整機構の原理を示す図である。機械部材81の端面8
11に直交する第1面814及び第2面815があり、
端面811にテーパーねじ穴を形成し、テーパーねじ穴
と第1面814との間に所定厚さの弾性変形部820を
形成し、同様に、テーパーねじ穴と第2面815との間
に所定厚さの弾性変形部821を形成する。テーパーね
じ穴は入り口から奥へ向かうにつれて直径が直線的に減
少し、その側面812にはねじ溝が切ってあり、底面8
13は調整テーパーねじの先端が当接しないように設計
されている。機械部材81が板材の場合には図10に示
すように第1面814と第2面815とが平行であって
もよく、あるいは、他の態様として、第1面と第2面と
が直交しても良いし、他の任意の角度をなしていても良
い。一方、機械部材81が円柱材や多角柱材の場合に
は、1つの底面が端面であり、第1面及び第2面は側面
に相当する。
【0038】テーパーねじ91はテーパーねじ穴に対応
した截頭円錐形であり、側面913にはねじ溝が切って
あり、頭部911には六角レンチが嵌る六角溝912が
形成されている。六角溝の代わりに、ドライバーを用い
て回転させるには、プラス溝やマイナス溝を形成しても
しても良く、あるいは、コイン等を用いて回転させるに
は、広幅のマイナス溝形成しても良い。
【0039】テーパーねじ91をテーパーねじ穴に螺合
し、テーパーねじ91を正逆回転すると、テーパーねじ
91の側面913がテーパーねじ穴の側面812を押圧
する圧力を微調整することができ、弾性変形部820、
821の突出量822、823を同時に、同量だけ可逆
的に微調整することができる。この第2の本発明によ
り、機械部品の側面に隣接する他の機械部品とのクリア
ランスを微調整することができる。また、機械部材81
の側面814、815の突出部822、823はなだら
かな形状となるため、他の機械部品に傷をつけることが
ほぼない。
【0040】第8の実施形態 図11は、第2の本発明の第8の実施形態の円環部材と
円柱シャフトの組立てを示す図であり、(a)はその正
面図であり、(b)はその平面図である。
【0041】円柱シャフト66の一方の底面662の中
心に軸方向へテーパーねじ穴664を形成してある。テ
ーパーねじ穴は、截頭円錐形であり、直径は入り口から
奥へ向かうに伴い直線状に減少し、側面665にはねじ
溝が形成され、頂面666は平面である。対応したテー
パーねじ92が当該テーパーねじ穴に螺合されている。
【0042】円環部材74は上面743、下面744、
外側面741及び内側面742で囲まれた形状である。
円柱シャフト66の直径は円環部材74の内径よりわず
かに小さい。
【0043】円柱シャフト66のテーパーねじ穴92を
有する底面662を円環部材74の中空部に嵌挿して、
円柱シャフト66の底面662と円環部材74の下面7
44とをほぼ同一面上になるように組み立てる。次に、
円柱シャフト66の底面662に設けてあるテーパーね
じ穴664に螺合しているテーパーねじ92を正回転し
て、テーパーねじ穴664の側面665を押圧して、側
面665の周囲の弾性変形部667の突出量を微調整
し、円柱シャフト66を円環部材74の中空部にしっか
りと固定する。他方、円柱シャフト66と円環部材74
を分解するには、テーパーねじ92を逆回転して、テー
パーねじ穴664の側面665への押圧をなくし、弾性
変形部667の突出量をゼロにして、円柱シャフト66
の側面663と円環部材74の内側面742との間に隙
間を作り、引き抜き、分解する。引き抜く際に、隙間が
あるので、スリキズ等がほとんど生じない。
【0044】第9の実施形態 図12は、第2の本発明の第9の実施形態のレールを示
す斜視図である。
【0045】レール44は、不図示の直動ユニットを案
内する長尺直線状部材であり、不図示の機械構造部材
(例えば、ベースプレートや支柱)の表面に接触させて
ねじ止めされ取り付けられる。そのため、レール44の
上面451には間隔をおいて、ねじ止め用貫通孔44
5、446、447、448が形成され、一方、機械構
造部材には、それに対応して、ねじ穴が形成されてい
る。そして、レール44の下面443を機械構造部材の
表面に接触させ、次いで、ねじをレール44の上面45
1のねじ止め用貫通孔445、446、447、448
から挿入し、ねじ穴に螺合してねじ止めしている。さら
に、レール44の側面442には、所定の間隔をおい
て、テーパーねじ穴が、その軸が下面443に平行にな
るように形成されている。対応した形状のテーパーねじ
921、922、923、924、925、926が当
該テーパーねじ穴に螺合されている。
【0046】レール54の側面542に設けてあるテー
パーねじ穴に螺合しているテーパーねじ921、92
2、923、924、925、926を、それぞれ、正
逆回転して、テーパーねじ穴の側面をテーパーねじが押
圧する圧力を微調整して、テーパーねじ穴と下面543
との間の弾性変形部の突出量を微調整する。このように
して、レール54の下面543と機械構造部材の表面と
の間の隙間を無くし、密着させることができる。
【0047】
【発明の効果】第1の本発明の機械部材間のクリアラン
ス微調整機構においては、調整ねじを正逆回転すること
により、調整ねじの先端が押圧する弾性変形部の突出量
を可逆的に微調整することができ、簡単な操作で、微妙
な調整を可逆的に行なうことができるという効果が得ら
れる。
【0048】また、第1の本発明の機械部材間のクリア
ランス微調整機構においては、弾性変形部の外表面が滑
らかな曲面になっているため、機械部材の表面に押しキ
ズやスリキズ等の損傷がほとんど生じない。
【0049】第2の本発明の機械部材間のクリアランス
微調整機構においては、テーパーねじを正逆回転するこ
とにより、テーパーねじの側面がテーパーねじ穴の側面
を押圧する圧力微調整して、テーパーねじ穴の側面の周
囲の弾性変形部の突出量を可逆的に微調整することがで
き、簡単な操作で、微妙な調整を可逆的に行なうことが
できるという効果が得られる。
【0050】また、第2の本発明の機械部材間のクリア
ランス微調整機構においては、弾性変形部の外表面が滑
らかな曲面になっているため、機械部材の表面に押しキ
ズやスリキズ等の損傷がほとんど生じない。
【0051】第1及び第2の本発明の機械部材間のクリ
アランス微調整機構は、いずれも、サイズが小さいの
で、小型の機械部材に取り付けることができる。また、
第1及び第2の本発明の機械部材間のクリアランス微調
整機構は衝撃を機械部材に与えることなくクリアランス
微調整ができるので、精密機械や光学器械や半導体製造
装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の本発明の機械部材間のクリアランス微調
整機構の原理を示す図である。
【図2】第1の本発明の第1の実施形態の直動ユニット
を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の直動ユニットにおけ
るねじ穴及び弾性変形部の拡大正面断面図である。
【図4】第1の本発明の第2の実施形態のレールを示す
部分断面図である。
【図5】第1の本発明の第3の実施形態のボールベアリ
ング無限循環部の断面図である。
【図6】第1の本発明の第4の実施形態の円環部材と円
柱シャフトの組立て、接着を示す平面図である。
【図7】第1の本発明の第5の実施形態の円環部材と円
柱シャフトの組立て、嵌合を示す図である。
【図8】第1の本発明の第6の実施形態の板材とクラン
プ部材の嵌合を示す図である。
【図9】第1の本発明の第7の実施形態のプレートの斜
視図である。
【図10】第2の本発明の機械部材間のクリアランス微
調整機構の原理を示す図である。
【図11】第2の本発明の第8の実施形態の円環部材と
円柱シャフトの組立てを示す図である。
【図12】第2の本発明の第9の実施形態のレールを示
す斜視図である。
【図13】互いに近接する機械部材間のクリアランスを
調整する従来方法の概略図である。
【符号の説明】
1 直動ユニット 101 左側部
外面 102 後面 103 右側部
外面 104 前面 105 上部上
面 106 左側部下面 107 側部内
面 108 上部下面 109 側部内
面 110 右側部下面 111 側面 112 上面 113 下面 114 側面 115 上面 116 下面 130 溝 140 溝 150 ねじ穴 160 ねじ穴 161 底面 162 ざくり部 163 側面 170 ねじ穴 2 レール 201 上面 202 側面 203 台形溝 204 台形溝 205 台形溝 206 側面 3 硬質ゴム製板材 33 クランプ部材 330 弾性変
形部 331 上あご部 332 連結部 333 下あご部 334 外面 335 前面 336 内面 337 内面 338 内面 339 前面 340 外面 341 外面 4 硬質ゴム製板材 44 レール 451 上面 442 側面 443 下面 445 ねじ止め用貫通孔 446 ねじ止
め用貫通孔 447 ねじ止め用貫通孔 448 ねじ止
め用貫通孔 5 すべり部材 503 摺動部 504 摺動部 505 摺動部 6 すべり部材 51 レール 510 ねじ止
め用貫通孔 520 ねじ止め用貫通孔 511 上面 512 下面 513 弾性変
形部 52 第1の機械部材 521 外面 522 内面 523 半円溝 524 半円溝 525 弾性変
形部 526 弾性変形部 530 ねじ穴 531 側面 532 底面 540 ねじ穴 541 側面 542 底面 550 ねじ穴 551 側面 552 底面 560 ねじ穴 561 側面 562 底面 570 ねじ穴 571 側面 572 底面 580 ねじ穴 581 側面 582 底面 59 ねじ穴 591 側面 592 底面 60 機械構造部材 601 表面 610 ねじ穴 620 ねじ穴 61 円柱シャフト 611 表面 62 第2の機械部材 621 内面 623 半円溝 624 半円溝 63 円柱シャフト 631 上底面 632 下底面 633 側面 634 弾性変形部 64 板材 641 上面 642 前面 643 下面 644 後面 65 プレート 651 上面 652 下面 66 円柱シャフト 661 上底面 662 底面 663 側面 664 テーパーねじ穴 665 側面 666 頂面 667 弾性変
形部 70 ねじ穴 701 調整ねじ 702 調整ね
じ 703 調整ねじ 704 調整ね
じ 705 調整ねじ 706 調整ね
じ 71 ボールベアリング 72 ボールベ
アリング 711 機械部材 712 機械部
材 73 円環部材 731 外面 732 内面 733 上面 734 下面 74 円環部材 741 外側面 742 内側面 743 上面 744 下面 75 円環部材 751 外面 752 内面 8 機械部材 801 一面 802 他面 803 側面 804 底面 805 弾性変
形部 807 突出部 81 機械部材 811 端面 812 側面 813 底面 814 第1面 815 第2面 820 弾性変形部 821 弾性変
形部 822 突出量 823 突出量 83 位置微動治具 831 外面 833 弾性変形部 834 弾性変
形部 835 弾性変形部 84 テーパーキー 841 細幅部 842 太幅部 9 調整ねじ 901 頭部 902 六角穴 903 側面 904 先端 91 テーパーねじ 911 頭部 912 六角溝 913 側面 92 テーパーねじ 921 テーパーねじ 922 テーパ
ーねじ 923 テーパーねじ 924 テーパ
ーねじ 925 テーパーねじ 926 テーパ
ーねじ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機械部材の対向する面の一面表面から他
    面近隣までに所定厚さの弾性変形部を残して、ねじ穴を
    形成し、先端が平担な調整ねじを当該ねじ穴に螺合さ
    せ、調整ねじを正逆微回転させることによって、調整ね
    じの先端がねじ穴の底部を押圧する圧力を増減させて、
    機械部材の他面の突出寸法を微調整する機械部材間のク
    リアランス微調整機構。
  2. 【請求項2】 レールにまたがり直線走行する、断面が
    逆U字形の直動要素であって、垂下する側部の外面から
    内面近隣までに所定厚さの弾性変形部を残して、ねじ穴
    を形成し、先端が平担な調整ねじを当該ねじ穴に螺合さ
    せて、調整ねじを正逆微回転させることによって、調整
    ねじの先端がねじ穴の底部を押圧する圧力を増減し、直
    動要素側部内面の微量突出させて、直動要素とレールと
    の間のクリアランスを微調整する機械部材間のクリアラ
    ンス微調整機構。
  3. 【請求項3】 レールの上面から下面近隣までに所定厚
    さの弾性変形部を残して、ねじ穴を形成し、先端が平担
    な調整ねじを当該ねじ穴に螺合させて、調整ねじを正逆
    微回転させることによって、調整ねじの先端がねじ穴の
    底部を押圧する圧力を増減し、レールの下面を機械構造
    部材の表面に接触させて固定取り付ける際に生ずるレー
    ル下面と機械構造部材表面との間のクリアランスを微調
    整する機械部材間のクリアランス微調整機構。
  4. 【請求項4】 機械部材がステンレス鋼、工具鋼あるい
    は高速度鋼製である場合には、所定厚さが1〜2mmで
    あることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1
    つに記載の機械部材間のクリアランス微調整機構。
  5. 【請求項5】 円柱形状の機械部材の底面表面から軸心
    に沿ってテーパー状ねじ穴を形成し、当該テーパー状ね
    じ穴と当該機械部材の側面の間に所定範囲厚さの弾性弾
    性変形部を設け、対応するテーパー状調整ねじを当該テ
    ーパー状ねじ穴に螺合させ、テーパー状調整ねじを正逆
    微回転させることによって、テーパー状調整ねじの側面
    がテーパー状ねじ穴の側面を押圧する圧力を増減させ
    て、機械部材の当該底面付近の側面の突出寸法を微調整
    する機械部材間のクリアランス微調整機構。
  6. 【請求項6】 多角柱形状の機械部材の底面表面から軸
    心に沿ってテーパー状ねじ穴を形成し、当該テーパー状
    ねじ穴と当該機械部材の側面の間に所定範囲厚さの弾性
    弾性変形部を設け、対応するテーパー状調整ねじを当該
    テーパー状ねじ穴に螺合させ、テーパー状調整ねじを正
    逆微回転させることによって、テーパー状調整ねじの側
    面がテーパー状ねじ穴の側面を押圧する圧力を増減させ
    て、機械部材の当該底面付近の側面の突出寸法を微調整
    する機械部材間のクリアランス微調整機構。
  7. 【請求項7】 第1の表面に隣接し直交する第2の表面
    を有する機械部材において、第1の表面から垂直にテー
    パー状ねじ穴を形成し、当該テーパー状ねじ穴と当該機
    械部材の第2の表面の間に所定範囲厚さの弾性弾性変形
    部を設け、対応するテーパー状調整ねじを当該テーパー
    状ねじ穴に螺合させ、テーパー状調整ねじを正逆微回転
    させることによって、テーパー状調整ねじの側面がテー
    パー状ねじ穴の側面を押圧する圧力を増減させて、機械
    部材の当該第1の表面付近の第2の表面の突出寸法を微
    調整する機械部材間のクリアランス微調整機構。
  8. 【請求項8】 機械部材がステンレス鋼、工具鋼あるい
    は高速度鋼製である場合には、所定範囲厚さが1〜3m
    mであることを特徴とする請求項5から7までのいずれ
    か1つに記載の機械部材間のクリアランス微調整機構。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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