JP2000119342A - アクリロニトリル系ポリマーおよびそれを用いた炭素繊維用前駆体繊維 - Google Patents

アクリロニトリル系ポリマーおよびそれを用いた炭素繊維用前駆体繊維

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JP2000119342A
JP2000119342A JP10293878A JP29387898A JP2000119342A JP 2000119342 A JP2000119342 A JP 2000119342A JP 10293878 A JP10293878 A JP 10293878A JP 29387898 A JP29387898 A JP 29387898A JP 2000119342 A JP2000119342 A JP 2000119342A
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fiber
polymer
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Mitsuo Hamada
光夫 浜田
Hideto Kakita
秀人 柿田
Yoshihiko Hosako
芳彦 宝迫
Teruyuki Yamada
輝之 山田
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、炭素繊維にしたときに容易に高強
度・高弾性率を発現し得るアクリロニトリル系ポリマー
およびそれを用いた炭素繊維用前駆体繊維を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 炭素繊維用前駆体繊維の製造に用いられ
るアクリロニトリル系ポリマーを重合する際に、DSC
を用いて230℃で測定したときの発熱ピーク出現時間
の逆数をV(min-1)とし、カルボン酸基含有ビニル
モノマー単位の共重合量をM(mol%)としたとき
に、Mが(イ)0.5±0.2、(ロ)1.5±0.
2、および(ハ)2.5±0.2の3種類の組成範囲に
入るように重合を行って得られた3種類のポリマーのM
と、各ポリマーについて測定したVの値から最小自乗法
により求められる直線の傾き(dV/dM)が0.1以
上となるような重合条件で重合を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は炭素繊維の製造原料
として用いられるアクリロニトリル系ポリマーに関し、
さらに詳しくは高性能な炭素繊維を与えるアクリロニト
リル系ポリマーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アクリル系繊維を前駆体とする炭
素繊維および黒鉛繊維(本出願では、一括して炭素繊維
という。)はその優れた力学的性質により、航空宇宙用
途を始め、スポーツ、レジャー用途等の高性能複合材の
補強繊維素材として広い範囲で利用されている。さら
に、これら複合材料の高性能化のために炭素繊維の品
質、性能の向上が求められると共に、さらに製造コスト
の低減により産業資材用途への広がりが期待されてい
る。
【0003】炭素繊維の前駆体としてのアクリロニトリ
ル系繊維は、衣料用アクリロニトリル繊維とは異なりあ
くまでも最終製品である炭素繊維を製造するための中間
製品である。従って、品質、性能の優れた炭素繊維を与
えるようなものが求められると同時に、炭素繊維となす
焼成工程において生産性が高く、低コストで提供し得る
ものであることが極めて重要である。
【0004】炭素繊維の製造工程は、前駆体繊維の紡糸
工程、耐炎化工程、炭素化工程、黒鉛化工程から構成さ
れている。この中でアクリロニトリル系前駆体繊維の耐
炎化工程おいては、主にニトリル基の環化反応、酸化反
応、脱水素反応の3つから構成される複合反応が生じる
工程であり、炭素繊維の性能に大きな影響を与えること
が知られている。
【0005】この耐炎化反応を制御するために、従来か
らアクリロニトリルに適当量のカルボン酸基含有ビニル
モノマーを共重合することが提案されている(例えば特
開平5−339813号公報)。しかし、このように共
重合したカルボン酸基含有ビニルモノマーは焼成段階で
環構造に取り込まれにくいために、炭素繊維中に欠陥点
として残存し、機械特性を低下させる原因となる。
【0006】もし、ポリマーに導入したカルボン酸基含
有ビニルモノマーがポリマー中に均一に存在していれ
ば、耐炎化反応を効率よく促進することになり、従っ
て、導入するカルボン酸基含有ビニルモノマー量も抑え
ることができるので、機械特性の面からも好ましい。し
かしながら、これまで前述のようにカルボン酸基含有ビ
ニルモノマーの共重合量についての記載はあっても、ポ
リマーに導入した際のカルボン酸基含有ビニルモノマー
の反応開始効率は全く考慮されていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点に鑑みてなされたものであり、耐炎化反応
開始点であるカルボン酸基含有ビニルモノマーを、効率
的な反応促進が可能になるようにポリマー中に導入する
ことにより、炭素繊維にしたときに容易に高強度・高弾
性率を発現し得るアクリロニトリル系ポリマーおよびそ
れを用いた炭素繊維用前駆体繊維を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、炭素繊維用前
駆体繊維の製造に用いられるアクリロニトリル系ポリマ
ーであって、示差走査熱量計を用いて空気気流中にて2
30℃で測定した等温発熱曲線における発熱ピーク出現
時間の逆数をV(min-1)とし、ポリマー中のカルボ
ン酸基含有ビニルモノマー単位の共重合量をM(mol
%)としたときに、Mが(イ)0.5±0.2、(ロ)
1.5±0.2、および(ハ)2.5±0.2の3種類
の組成範囲に入るようにカルボン酸基含有ビニルモノマ
ーの共重合率を変えた3種類のポリマーのMと、各ポリ
マーについて測定したVの値から最小自乗法により求め
られる直線の傾き(dV/dM)が0.1以上となるよ
うな重合条件で重合を行って得られるアクリロニトリル
系ポリマーに関する。
【0009】本発明では、カルボン酸基含有ビニルモノ
マーがポリマー中にランダムに分散されているため、耐
炎化の際に効率的な反応促進が可能になる。その結果、
本発明のアクリロニトリル系ポリマーでは同じ組成のポ
リマーに比べて耐炎化反応速度が大きくなるため、その
分だけカルボン酸基含有ビニルモノマーの共重合量を減
少することができる。従って、炭素繊維にしたときに容
易に高強度・高弾性率を発現し得る。
【0010】
【発明の実施の形態】ここで、Vは耐炎化反応速度の目
安となる値である。耐炎化反応が効率よく促進されるた
めには、耐炎化反応の開始点となるカルボン酸基含有ビ
ニルモノマーの共重合量と耐炎化反応速度が比例するこ
とが好ましい。dV/dMが0.1以上である場合に
は、カルボン酸基含有ビニルモノマーがポリマー中にラ
ンダムに存在しており、耐炎化反応を効率よく促進して
いることを示している。
【0011】一方、dV/dMが0.1を下回る場合
は、カルボン酸基含有ビニルモノマーの共重合量に関わ
らず、耐炎化反応速度が促進されていないことを示して
いる。これはカルボン酸基含有ビニルモノマーがポリマ
ー中にブロックで存在していて、見かけ上共重合したカ
ルボン酸基含有ビニルモノマーの一部しか耐炎化反応を
促進に関与していないことを意味している。このような
場合、耐炎化反応性を任意にコントロールできないばか
りか、耐炎化反応促進に寄与しない余分なコモノマーを
炭素繊維中に残すことになり、炭素繊維の機械特性の面
からも好ましくない。
【0012】また、Vが小さすぎると耐炎化反応速度が
小さく、耐炎化反応が速やかに進行しないため、Vは
0.01以上であることが好ましく、さらに好ましくは
0.05以上である。
【0013】ここで、前記の(イ)、(ロ)および
(ハ)の範囲にある3種類のポリマーを得るための重合
は、同一重合条件で行われる必要があり、カルボン酸基
含有ビニルモノマーを同一とし、溶液重合または懸濁重
合の区別およびそのときの溶媒または懸濁液、開始剤の
種類、温度、時間を同一としてモノマーの仕込量比のみ
を変えて行う。
【0014】そして、その重合条件がdV/dMが0.
1以上となることがわかれば、本発明のアクリロニトリ
ル系ポリマーを得るための重合条件が定まり、同一条件
により、さらにVが0.01以上となるようなカルボン
酸基含有ビニルモノマーの仕込量比の条件で本発明のア
クリロニトリル系ポリマーを得ることができる。
【0015】また、ポリマー中のアクリロニトリル単位
は97mol%以上であることが好ましい。共重合体中
のアクリロニトリル含有量が97mol%に満たない場
合、前駆体繊維を炭素繊維にしたときにアクリロニトリ
ル以外のコモノマーが欠陥点となり、炭素繊維の品質並
びに性能を損ない易い。
【0016】また、前記カルボン酸基含有ビニルモノマ
ー単位の含有量は、0.2〜3mol%であり、好まし
くは0.5〜2.5mol%である。
【0017】カルボン酸基含有ビニルモノマーとして具
体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マ
レイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基を
有するビニル系モノマー、およびそれらの塩(例えばア
ンモニウム塩等)が挙げられる。この中でもイタコン酸
が好ましい。
【0018】また、本発明のアクリロニトリル系ポリマ
ーの重合の際に用いられる重合開始剤としてはアゾ系開
始剤を用いることが好ましい。アゾ系開始剤としては、
例えば2、2‘−アゾビス(イソブチロニトリル)、
2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2、2‘−アゾジ−(2、4−ジメチル−4−メ
トキシバレロニトリル)、その他公知のアゾ系開始剤が
挙げられる。本発明では、このようにカルボン酸基含有
ビニルモノマーの種類だけでなく、重合条件(重合方
法、開始剤)も耐炎化反応をコントロールする上で重要
である。
【0019】また、本発明のアクリロニトリル系ポリマ
ーはアクリロニトリルおよび上記カルボン酸基含有ビニ
ルモノマー以外にも本発明の要件を満足する範囲で、ア
クリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロ
トン酸等のビニル基含有カルボン酸のエステル類、酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、メタク
リルアミド、ジアセトンアクリルアミド、無水マレイン
酸、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレ
ン等のモノマーを少量含んでいても良い。この中でも特
に共重合成分としてはアクリルアミドが好ましい。耐炎
化反応速度は、カルボン酸基の含有量が支配的な要因で
あるが、少量のアクリルアミドが共存することで急激に
増大するからである。また、紡糸時に炭素繊維性能向上
に必須のプレカーサーの緻密性向上に寄与する。
【0020】本発明のアクリロニトリル系ポリマーを得
るための重合方法は本発明の要件を満たす範囲におい
て、溶液重合、懸濁重合等公知の方法の何れにも限定さ
れないが、未反応モノマーや重合触媒残査、その他の不
純物類を極力のぞくことが好ましい。また前駆体繊維の
紡糸での延伸性や炭素繊維の性能発現性などの点から、
重合体の重合度は極限粘度[η]が0.8以上、特に
1.4以上が好ましい。また、極限粘度[η]が2.0
以下のものが通常用いられる。
【0021】本発明の前駆体繊維は、このようなアクリ
ロニトリル系ポリマーを公知の溶剤に溶解して紡糸原液
とした後に、公知の方法に従って乾式、乾−湿式、湿式
紡糸法により紡出、凝固、延伸(浴中延伸、または空中
および浴中延伸)および乾燥緻密化を行い、前駆体繊維
にすることができる。
【0022】浴中延伸は凝固繊維を直接行ってもよい
し、また空中にて凝固繊維をあらかじめ延伸した後に行
ってもよい。浴中延伸は通常50〜98℃の延伸浴中で
1回または2回以上の多段に分割するなどして行われ、
その前後あるいは中間にて水洗を行ってもよい。
【0023】これらの操作によって凝固繊維は浴中延伸
完了時までに約6倍以上延伸されることが好ましい。
【0024】浴中延伸、洗浄後の繊維は公知の方法によ
って油剤処理を行った後、乾燥緻密化する。乾燥緻密化
は公知のいずれの方法によっても可能であるが、乾燥速
度、設備の簡便さ、繊維の緻密化効果など考慮した場合
100〜200℃程度の加熱ローラーによる方法が好ま
しい。また必要に応じて乾燥緻密化前あるいは後に、繊
維をさらに高温の加熱ローラーあるいは加圧スチームに
よって延伸を施してもよい。
【0025】このようにして得られた前駆体繊維は、2
00℃〜400℃の酸化性雰囲気中で加熱処理(耐炎化
処理)することにより耐炎化繊維に転換することができ
る。さらに、公知の方法により1000℃〜1500℃
程度の不活性雰囲気中で炭素化することにより炭素繊維
が得られる。
【0026】本発明の前駆体繊維を用いると、耐炎化処
理の際に高速焼成が可能で、得られる炭素繊維の性能も
優れている。
【0027】
【実施例】以下に実施例を示してさらに本発明を具体的
に説明する。実施例および比較例における共重合体組
成、共重合体の極限粘度[η]および等温DSC発熱曲
線は次の方法で測定した。
【0028】(イ)「共重合体組成」1 H−NMR法(日本電子GSX−400型超伝導FT
−NMR)により測定した。
【0029】(ロ)「共重合体極限粘度[η]」 25℃のジメチルホルムアミド溶液で測定した。
【0030】(ハ)「等温DSC発熱曲線」 セイコー電子工業製DSC220Cを用いて、アクリロ
ニトリル系ポリマーを4.0mgを秤量しアルミニウム
製試料容器に入れステンレス製メッシュカバーで押さえ
た状態で乾燥空気気流中で230℃にて測定した。得ら
れた等温発熱曲線が極大値をとるときの発熱ピーク時間
t(min)の逆数をV(min-1)とした。
【0031】また、実施例中の「AN」はアクリロニト
リル、「IA」はイタコン酸、「MAA」はメタクリル
酸、「AAm」はアクリルアミドを表す。
【0032】[実施例1]セパラブルフラスコにジメチ
ルスルホキシド(以下DMSOと略す)を入れ60℃に
保持した。そこへ、アゾ系開始剤の2,2=|アゾジ−
(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)を
入れ、引き続いてAN、IAを一定速度で滴下した。そ
の後、内温を60℃に維持しながら攪拌を続け、滴下終
了後から2時間経過したところで重合を止めた。得られ
た溶液を大量の水へ少しづつ投入し、析出してきた沈殿
を濾過、洗浄、乾燥してアクリロニトリル系ポリマーを
得た。同様な方法でさらに組成が異なるポリマーを2種
類重合した。得られたポリマーのNMR分析から、組成
はそれぞれ、AN/IA=99.5/0.5、98.5
/1.5、97.5/2.5(mol%)であった。ま
た、ポリマーの固有粘度は1.8であった。
【0033】このポリマーの等温発熱曲線をDSCによ
り測定した。その代表例としてAN/IA=99.5/
0.5の組成のポリマーの等温発熱曲線を図1に示し
た。この発熱曲線から、発熱ピーク出現時間は3.1分
であり、Vは0.32であった。他の2種のポリマーに
ついても同様に測定を行った結果を表1にまとめて示
す。3種類のポリマーの共重合量M(mol%)と発熱
ピーク時間の逆数V(min-1)の値から最小自乗法に
よりdV/dMの値を求めたところ、2.0×10 -1
あった(図2参照)。
【0034】[実施例2]セパラブルフラスコに十分窒
素置換した蒸留水/ジメチルアセトアミド(DMAc)
=6/1の割合で入れ60℃に保持した。そこへ、アゾ
ビスイソブチロニトリルを入れ、引き続いてAN、IA
の水/DMAc溶液を一定速度で滴下した。その後、内
温を60℃に維持しながら攪拌を続け、滴下終了後から
2時間経過したところで重合を止めた。析出してきた沈
殿を濾過、洗浄、乾燥してアクリロニトリル系ポリマー
を得た。同様な方法でさらに組成が異なるポリマーを2
種類重合した。得られたポリマーのNMR分析から、組
成はそれぞれ、AN/IA=99.7/0.3、98.
3/1.7、97.4/2.6(mol%)であった。
また、共重合体の固有粘度は1.8であった。
【0035】各ポリマーについて等温DSC測定を行っ
た結果を表1にまとめて示す。3種類のポリマーのM、
Vの値から最小自乗法によりdV/dMの値を求めたと
ころ、2.0×10-1であった。
【0036】[比較例1]セパラブルフラスコに十分窒
素置換した蒸留水を入れ55℃に保持した。そこへ、レ
ドックス系重合開始剤である過硫酸アンモニウム、亜硫
酸水素アンモニウムおよび硫酸を入れ、引き続いてA
N、IA水溶液を一定速度で滴下した。その後、内温を
55℃に維持しながら攪拌を続け、滴下終了後から2時
間経過したところで重合を止め、析出した重合スラリー
から濾過、洗浄、乾燥してアクリロニトリル系ポリマー
を得た。同様な方法でさらに組成が異なるポリマーを2
種類重合した。得られたポリマーのNMR分析から、組
成はそれぞれ、AN/IA=99.5/0.5、98.
4/1.6、97.5/2.5(mol%)であった。
また、ポリマーの固有粘度は1.8であった。
【0037】各ポリマーについて等温DSC測定を行っ
た結果を表1にまとめてしめす。3種類のポリマーの
M,Vの値から最小自乗法によりdV/dMの値を求め
たところ、2.7×10-2であった。
【0038】[比較例2]比較例1と同様な重合方法に
より、表1に示した組成および固有粘度1.8のポリマ
ーを重合した。各ポリマーについて等温DSC測定を行
った結果を表1にまとめて示す。3種類のポリマーの
M、Vの値から最小自乗法によりdV/dMの値を求め
たところ、4.4×10-2であった。
【0039】[比較例3]実施例1と同様な重合方法に
より、表1に示した組成および固有粘度1.8のポリマ
ーを重合した。各ポリマーについて等温DSC測定を行
った結果を表1にまとめて示す。3種類のポリマーの
M、Vの値から最小自乗法によりdV/dMの値を求め
たところ、5.0×10-3であった。
【0040】
【表1】 [実施例3]実施例2で得られたポリマーのうち、AN
/IA=98.3/1.7(mol%)の組成のポリマ
ーをジメチルホルムアミド(以下DMFと略す)に23
重量%になるように溶解し、紡糸原液とした。この紡糸
原液を直径0.15mmの口金から空気中に吐出し、D
MF/水の混合溶媒中で凝固させた。その後、さらに空
気中で1.5倍、さらに温水中で3.4倍延伸しながら
洗浄・脱溶剤した後、シリコン系油剤溶液中に浸漬し、
140℃の加熱ローラーにて乾燥緻密化した。引き続い
て、180℃の熱板上で1.5倍延伸し、捲取速度77
m/minにて1.2d texの前駆体繊維を得た。
【0041】この前駆体繊維を空気中210〜240℃
の熱風循環式耐炎化炉にて5%の伸張を付与しながら9
0分間処理し、耐炎化繊維となし、引き続きこの繊維を
窒素雰囲気下最高温度600℃、伸張率5%にて1.5
分間低温熱処理し、さらに同雰囲気下で最高温度が12
00℃の高温処理炉にて−4%の伸張の下、約1.5分
間処理した。得られた炭素繊維ストランド強度は5.4
GPa、弾性率は240GPaであった。
【0042】[比較例4]比較例1で得られた98.4
/1.6(mol%)の組成のポリマーをDMFに23
重量%になるように溶解し、紡糸原液とした。この紡糸
原液を実施例3と同様に処理して1.2d texの前
駆体繊維を得た。
【0043】この前駆体繊維を実施例3と同様に処理し
て炭素繊維に転換した。得られた炭素繊維ストランド強
度は4.5GPa、弾性率は234GPaであった。
【0044】
【発明の効果】本発明のアクリロニトリル系ポリマーで
は耐炎化反応を促進するカルボン酸基含有ビニルモノマ
ーがランダムに導入されているので、反応促進が効率的
に行われ、少量の共重合量で十分な耐炎化反応性を確保
することができる。その結果、本発明のアクリロニトリ
ル系ポリマーでは同じ組成のポリマーに比べて耐炎化反
応速度が大きくなるため、その分だけカルボン酸基含有
ビニルモノマーの共重合量を減少することができる。従
ってそれを用いて得られた炭素繊維は高強度・高弾性率
等の品質・性能が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】示差走査熱量計(DSC)により測定したアク
リロニトリル系ポリマーの等温発熱曲線の1例である。
【図2】実施例および比較例について、カルボン酸基含
有ビニルモノマーの共重合量Mと発熱ピークの逆数Vの
関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宝迫 芳彦 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 山田 輝之 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4J015 AA04 AA05 4J100 AJ01Q AJ02Q AJ08Q AJ09Q AM02P CA04 DA00 FA03 JA11 4L035 BB04 BB06 BB12 BB59 BB66 BB69 BB72 BB77 BB85 BB91 FF01 GG02 GG04 HH10 MB03 MB04 4L037 CS02 CS03 CT10 FA06 FA07 PA55 PA61 PA65 PC11 PC13 PF44 PS02 PS11 PS17 PS20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維用前駆体繊維の製造に用いられ
    るアクリロニトリル系ポリマーであって、示差走査熱量
    計を用いて空気気流中にて230℃で測定した等温発熱
    曲線における発熱ピーク出現時間の逆数をV(mi
    -1)とし、ポリマー中のカルボン酸基含有ビニルモノ
    マー単位の共重合量をM(mol%)としたときに、M
    が(イ)0.5±0.2、(ロ)1.5±0.2、およ
    び(ハ)2.5±0.2の3種類の組成範囲に入るよう
    にカルボン酸基含有ビニルモノマーの共重合率を変えた
    3種類のポリマーのMと、各ポリマーについて測定した
    Vの値から最小自乗法により求められる直線の傾き(d
    V/dM)が0.1以上となるような重合条件で重合を
    行って得られるアクリロニトリル系ポリマー。
  2. 【請求項2】 前記V(min-1)が0.01以上であ
    る請求項1記載のアクリロニトリル系ポリマー。
  3. 【請求項3】 ポリマー中のアクリロニトリル単位の含
    有量が97mol%以上であり、前記カルボン酸基含有
    ビニルモノマー単位の含有量が0.2〜3mol%であ
    る請求項1または2記載のアクリロニトリル系ポリマ
    ー。
  4. 【請求項4】 前記共重合成分であるカルボン酸基含有
    ビニルモノマーがイタコン酸であることを特徴とする請
    求項1または2記載のアクリロニトリル系ポリマー。
  5. 【請求項5】 重合開始剤としてアゾ系開始剤を用いる
    重合条件にて得られた請求項3または4記載のアクリロ
    ニトリル系ポリマー。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のアクリ
    ロニトリル系ポリマーからなる炭素繊維用前駆体繊維。
  7. 【請求項7】 請求項6の炭素繊維用前駆体繊維を耐炎
    化し、炭素化して得られる炭素繊維。
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Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05320266A (ja) * 1992-05-26 1993-12-03 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維用アクリロニトリル系重合体

Patent Citations (1)

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JPH05320266A (ja) * 1992-05-26 1993-12-03 Mitsubishi Rayon Co Ltd 炭素繊維用アクリロニトリル系重合体

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