JPH1036450A - 炭素材料製造用のポリアクリロニトリル−ピッチ系素原料 - Google Patents
炭素材料製造用のポリアクリロニトリル−ピッチ系素原料Info
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- JPH1036450A JPH1036450A JP8205433A JP20543396A JPH1036450A JP H1036450 A JPH1036450 A JP H1036450A JP 8205433 A JP8205433 A JP 8205433A JP 20543396 A JP20543396 A JP 20543396A JP H1036450 A JPH1036450 A JP H1036450A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ピッチとポリアクリロニトリルの界面の親和
性に優れた炭素材料製造用のポリアクリロニトリル−ピ
ッチ系素原料、それを用いる複合材および複合炭素材料
ならびに該素原料の製造方法を提供する。 【解決手段】 電子供与性溶媒を用いてピッチを溶解分
散し、このピッチを含む溶液中でアクリロニトリルを必
須成分とするモノマーを重合して素原料とし、ついで、
必要に応じて該素原料を成形し、さらに必要に応じて加
熱処理する。
性に優れた炭素材料製造用のポリアクリロニトリル−ピ
ッチ系素原料、それを用いる複合材および複合炭素材料
ならびに該素原料の製造方法を提供する。 【解決手段】 電子供与性溶媒を用いてピッチを溶解分
散し、このピッチを含む溶液中でアクリロニトリルを必
須成分とするモノマーを重合して素原料とし、ついで、
必要に応じて該素原料を成形し、さらに必要に応じて加
熱処理する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能性炭素材料の
素原料として有用な新規ポリアクリロニトリル−ピッチ
系素原料、それを用いた複合材および複合炭素材料なら
びに該素原料の製造方法に関する。
素原料として有用な新規ポリアクリロニトリル−ピッチ
系素原料、それを用いた複合材および複合炭素材料なら
びに該素原料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素材料の素原料としては、従来から石
炭、重質油類、ピッチ、樹脂、高分子等種々のものが知
られており、これらの素原料から得られる炭素材料は、
炭素繊維、高炉用コークス、製鋼用電極、冶金用坩堝、
活性炭、炭素/炭素複合材料等の様々な形態で使用され
ている。様々な高機能性材料の開発に伴い、上記のよう
な炭素材料にも高機能が望まれるようになったため、炭
素材料の素原料についても改質、改良の試みが種々なさ
れており、素原料単独の改質に加え、複数の素原料の併
用により相乗的に特性を発揮させる複合化の手法もいく
つか検討されている。
炭、重質油類、ピッチ、樹脂、高分子等種々のものが知
られており、これらの素原料から得られる炭素材料は、
炭素繊維、高炉用コークス、製鋼用電極、冶金用坩堝、
活性炭、炭素/炭素複合材料等の様々な形態で使用され
ている。様々な高機能性材料の開発に伴い、上記のよう
な炭素材料にも高機能が望まれるようになったため、炭
素材料の素原料についても改質、改良の試みが種々なさ
れており、素原料単独の改質に加え、複数の素原料の併
用により相乗的に特性を発揮させる複合化の手法もいく
つか検討されている。
【0003】中でも炭素繊維については複合化が盛んで
あるが、炭素繊維には、ポリアクリロニトリル(以下、
PANと略記する。)繊維を前駆体とするものと、異方
性ピッチ繊維を前駆体とするものがあり、前者は強度と
伸度に優れるがヤング率が比較的低く、後者は強度とヤ
ング率に優れるが伸度が比較的低いという特性がある。
その外等方性ピッチからも炭素繊維が得られるが、これ
は強度、伸度、ヤング率等の物性に劣る。そこで、近
年、前二者の短所を補完し長所を生かすために、両者を
複合化する方法が報告されている。
あるが、炭素繊維には、ポリアクリロニトリル(以下、
PANと略記する。)繊維を前駆体とするものと、異方
性ピッチ繊維を前駆体とするものがあり、前者は強度と
伸度に優れるがヤング率が比較的低く、後者は強度とヤ
ング率に優れるが伸度が比較的低いという特性がある。
その外等方性ピッチからも炭素繊維が得られるが、これ
は強度、伸度、ヤング率等の物性に劣る。そこで、近
年、前二者の短所を補完し長所を生かすために、両者を
複合化する方法が報告されている。
【0004】例えば、PANとピッチを溶媒の存在下ま
たは不存在下に混合し、紡糸し、焼成する方法(特開平
2−47311号)が提案されている。しかしながら、
この方法は溶媒を用いた場合でもピッチのPAN溶液へ
の単純な混合にすぎず、ピッチとPANの界面が親和性
に欠けることから、繊維とした場合にPAN系炭素繊維
とピッチ系炭素繊維の特性を相乗的に発揮させることは
困難であり、また繊維とした後の熱処理工程においてピ
ッチとPANの界面が剥離するので炭素材料において応
力集中による破壊や疲労を生ずる原因となるという欠点
があった。
たは不存在下に混合し、紡糸し、焼成する方法(特開平
2−47311号)が提案されている。しかしながら、
この方法は溶媒を用いた場合でもピッチのPAN溶液へ
の単純な混合にすぎず、ピッチとPANの界面が親和性
に欠けることから、繊維とした場合にPAN系炭素繊維
とピッチ系炭素繊維の特性を相乗的に発揮させることは
困難であり、また繊維とした後の熱処理工程においてピ
ッチとPANの界面が剥離するので炭素材料において応
力集中による破壊や疲労を生ずる原因となるという欠点
があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来技術の欠点を解決するもので、その目的は、ピッチと
PANの界面の親和性に優れたPAN−ピッチ系素原
料、それを用いる複合材および該素原料の製造方法を提
供することにある。
来技術の欠点を解決するもので、その目的は、ピッチと
PANの界面の親和性に優れたPAN−ピッチ系素原
料、それを用いる複合材および該素原料の製造方法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成するために鋭意研究を進めた結果、ピッチをあ
らかじめ電子供与性溶媒に溶解分散した液の中でアクリ
ロニトリルモノマーの重合を行えば、上記課題を解決で
きることを見出し、本発明を完成するに至った。
的を達成するために鋭意研究を進めた結果、ピッチをあ
らかじめ電子供与性溶媒に溶解分散した液の中でアクリ
ロニトリルモノマーの重合を行えば、上記課題を解決で
きることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の要旨は、第一に軟化点
(メトラー法)が180〜350℃のピッチを電子供与
性溶媒に溶解分散した液中で、アクリロニトリルを必須
成分とするモノマーを重合して得られる炭素材料製造用
のPAN−ピッチ系素原料に存し、第二に該素原料を成
形して得られるPAN−ピッチ系複合材に存し、第三に
該素原料を成形し、酸素を含む雰囲気または不活性雰囲
気下で加熱処理をして得られるPAN−ピッチ系複合炭
素材料に存し、そして第四に軟化点(メトラー法)が1
80〜350℃のピッチを電子供与性溶媒を用いて溶解
分散した液中で、アクリロニトリルを必須成分とするモ
ノマーを重合することを特徴とする該素原料の製造方法
に存する。
(メトラー法)が180〜350℃のピッチを電子供与
性溶媒に溶解分散した液中で、アクリロニトリルを必須
成分とするモノマーを重合して得られる炭素材料製造用
のPAN−ピッチ系素原料に存し、第二に該素原料を成
形して得られるPAN−ピッチ系複合材に存し、第三に
該素原料を成形し、酸素を含む雰囲気または不活性雰囲
気下で加熱処理をして得られるPAN−ピッチ系複合炭
素材料に存し、そして第四に軟化点(メトラー法)が1
80〜350℃のピッチを電子供与性溶媒を用いて溶解
分散した液中で、アクリロニトリルを必須成分とするモ
ノマーを重合することを特徴とする該素原料の製造方法
に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。本発明において使用するピッチはメトラー
法による軟化点が、80〜350℃であり、好ましくは
200〜320℃である。軟化点が180℃より低い
と、PAN−ピッチ系素原料を加熱酸化する場合に酸化
温度が軟化点より高くなって素原料中に構築されたピッ
チ相の微細構造やピッチ相とPAN相の界面の構造が不
融化過程で乱れるおそれがある。逆に軟化点が350℃
以上のピッチでは、加熱下に溶媒に溶解しようとしても
十分に溶解しないような高分子量の成分が非常に多くな
り、後述のような電子供与性溶媒を使用しても、ピッチ
の溶解分散が困難になる。このように軟化点はピッチの
溶解分散ならびに素原料の加熱酸化反応を制御する指標
として極めて重要である。
に説明する。本発明において使用するピッチはメトラー
法による軟化点が、80〜350℃であり、好ましくは
200〜320℃である。軟化点が180℃より低い
と、PAN−ピッチ系素原料を加熱酸化する場合に酸化
温度が軟化点より高くなって素原料中に構築されたピッ
チ相の微細構造やピッチ相とPAN相の界面の構造が不
融化過程で乱れるおそれがある。逆に軟化点が350℃
以上のピッチでは、加熱下に溶媒に溶解しようとしても
十分に溶解しないような高分子量の成分が非常に多くな
り、後述のような電子供与性溶媒を使用しても、ピッチ
の溶解分散が困難になる。このように軟化点はピッチの
溶解分散ならびに素原料の加熱酸化反応を制御する指標
として極めて重要である。
【0009】このように高い軟化点を持つピッチとして
は、芳香族縮合環分子が配向構造を取った異方性ピッチ
と配向構造を持たない等方性ピッチが知られているが、
本発明においては目的とする炭素材料に適したピッチを
異方性ピッチあるいは等方性ピッチから任意に選択すれ
ばよく、両者を併用することも可能である。したがっ
て、異方性部分と等方性部分とが混在するピッチ、すな
わち異方性ピッチと等方性ピッチとの中間的なピッチも
勿論使用可能である。
は、芳香族縮合環分子が配向構造を取った異方性ピッチ
と配向構造を持たない等方性ピッチが知られているが、
本発明においては目的とする炭素材料に適したピッチを
異方性ピッチあるいは等方性ピッチから任意に選択すれ
ばよく、両者を併用することも可能である。したがっ
て、異方性部分と等方性部分とが混在するピッチ、すな
わち異方性ピッチと等方性ピッチとの中間的なピッチも
勿論使用可能である。
【0010】また、溶媒に溶解する前にピッチの粒径を
1mm以下程度の大きさとすれば、電子供与性溶媒への溶
解分散性は向上する。
1mm以下程度の大きさとすれば、電子供与性溶媒への溶
解分散性は向上する。
【0011】ピッチの溶解性をさらに高めるために、適
度の酸化、ニトロ化、スルホン化、アミノ化、水素添加
等の変性を行ってもよい。このような変性を受けたピッ
チは電子供与性溶媒中で極めて微細な粒子、あるいは均
一溶液となり、重合後の素原料のピッチとPANとの界
面の親和性を高めることが可能となる。
度の酸化、ニトロ化、スルホン化、アミノ化、水素添加
等の変性を行ってもよい。このような変性を受けたピッ
チは電子供与性溶媒中で極めて微細な粒子、あるいは均
一溶液となり、重合後の素原料のピッチとPANとの界
面の親和性を高めることが可能となる。
【0012】本発明で用いるモノマーはアクリロニトリ
ルを必須成分とし、必要に応じてアクリロニトリルと共
重合しうるコモノマーを加えることができる。コモノマ
ーとしては、例えばPAN系炭素繊維の特性改良のため
にアクリロニトリルと共重合させることが知られてい
る、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、アクリル酸、アクリルアミド、酢酸ビニル、イタコ
ン酸、ヒドロキシエチルアクリロニトリル、メタリルス
ルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
ルを必須成分とし、必要に応じてアクリロニトリルと共
重合しうるコモノマーを加えることができる。コモノマ
ーとしては、例えばPAN系炭素繊維の特性改良のため
にアクリロニトリルと共重合させることが知られてい
る、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、アクリル酸、アクリルアミド、酢酸ビニル、イタコ
ン酸、ヒドロキシエチルアクリロニトリル、メタリルス
ルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0013】モノマー中のアクリロニトリルの量は特に
制限されないが、PAN系炭素繊維用のアクリル共重合
体として、その特性が明瞭に現われるのは共重合体のア
クリロニトリル含有量が約85重量%以上であるので、
本発明のようにピッチを共存させて重合する場合にも、
アクリロニトリル含有量は通常は85重量%以上であ
る。
制限されないが、PAN系炭素繊維用のアクリル共重合
体として、その特性が明瞭に現われるのは共重合体のア
クリロニトリル含有量が約85重量%以上であるので、
本発明のようにピッチを共存させて重合する場合にも、
アクリロニトリル含有量は通常は85重量%以上であ
る。
【0014】また、このようなモノマーとピッチの混合
比率は目的に応じて任意に選定することができるが、通
常はピッチ/モノマーの重量比として5/95〜95/
5の範囲、好ましくは15/85〜85/15の範囲か
ら選択される。
比率は目的に応じて任意に選定することができるが、通
常はピッチ/モノマーの重量比として5/95〜95/
5の範囲、好ましくは15/85〜85/15の範囲か
ら選択される。
【0015】本発明において上記のようなピッチを溶解
分散させる電子供与性溶媒は特に制限はないが、例え
ば、ジメチルスルホキシド(以後、DMSOと称す)、
N,N−ジメチルホルムアミド(以後、DMFと称
す)、N,N−ジメチルアセトアミド(以後、DMAc
と称す)、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチル
リン酸トリアミド、モルホリン、ピリジン、ピペリジン
等が挙げられ、中でもDMSO、DMF、DMAcが好
ましく、特にDMSOがピッチの溶解力に優れていて好
ましい。なお、本発明で溶解分散という用語の意味は、
このような電子供与性溶媒の中で、ピッチは完全に溶解
しているとは限らず、一部分散状態となっている場合も
あることを示す。
分散させる電子供与性溶媒は特に制限はないが、例え
ば、ジメチルスルホキシド(以後、DMSOと称す)、
N,N−ジメチルホルムアミド(以後、DMFと称
す)、N,N−ジメチルアセトアミド(以後、DMAc
と称す)、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチル
リン酸トリアミド、モルホリン、ピリジン、ピペリジン
等が挙げられ、中でもDMSO、DMF、DMAcが好
ましく、特にDMSOがピッチの溶解力に優れていて好
ましい。なお、本発明で溶解分散という用語の意味は、
このような電子供与性溶媒の中で、ピッチは完全に溶解
しているとは限らず、一部分散状態となっている場合も
あることを示す。
【0016】溶媒の電子供与性は、一般にDN値、すな
わち、1,2−ジクロロエタン中の五塩化アンチモン
と、対象とする溶媒との間の1:1付加化合物の生成エ
ンタルピーの負値(kcal/mol、1kcal=4.184kJ)
で定義されるパラメーター(改訂4版化学便覧、基礎編
I、603頁)で表されるが、本発明で使用される溶媒
のDN値は、例えば、DMSOが29.8、DMFが2
6.6、DMAcが27.8である。
わち、1,2−ジクロロエタン中の五塩化アンチモン
と、対象とする溶媒との間の1:1付加化合物の生成エ
ンタルピーの負値(kcal/mol、1kcal=4.184kJ)
で定義されるパラメーター(改訂4版化学便覧、基礎編
I、603頁)で表されるが、本発明で使用される溶媒
のDN値は、例えば、DMSOが29.8、DMFが2
6.6、DMAcが27.8である。
【0017】電子供与性溶媒の使用量は、特に制限され
るものではないが、通常はピッチとモノマーの合計重量
の0.5〜5重量倍、好ましくは1〜4重量倍の範囲か
ら選択される。
るものではないが、通常はピッチとモノマーの合計重量
の0.5〜5重量倍、好ましくは1〜4重量倍の範囲か
ら選択される。
【0018】ピッチの電子供与性溶媒への溶解操作、特
に溶解温度は用いるピッチによって異なるが、通常は、
50〜200℃、好ましくは90〜180℃で攪拌しな
がら加熱する。必要に応じて加圧下に溶媒の沸点よりも
高い温度で溶解することはピッチの溶解力向上に効果的
である。溶解に必要な時間は用いるピッチと溶解温度に
よって変わるが、通常は数時間以下で十分である。一般
に溶媒に難溶性の異方性ピッチでも、電子供与性溶媒を
用いれば高温になると溶解するようになり、特に90℃
以上では容易に溶解分散するようになる。
に溶解温度は用いるピッチによって異なるが、通常は、
50〜200℃、好ましくは90〜180℃で攪拌しな
がら加熱する。必要に応じて加圧下に溶媒の沸点よりも
高い温度で溶解することはピッチの溶解力向上に効果的
である。溶解に必要な時間は用いるピッチと溶解温度に
よって変わるが、通常は数時間以下で十分である。一般
に溶媒に難溶性の異方性ピッチでも、電子供与性溶媒を
用いれば高温になると溶解するようになり、特に90℃
以上では容易に溶解分散するようになる。
【0019】なお、加熱溶解した後、この溶液を冷却す
ると、ピッチの一部が微粒子として析出する場合がある
が、このピッチ微粒子は機械的な粉砕では得られないほ
ど超微細なものである。したがって、ピッチを加熱溶解
し、冷却した後の混合液中においては、ピッチは完全に
溶液とはならず、一部微粒子として分散する場合もある
が、このことは本発明の目的に何等支障となるものでは
ない。
ると、ピッチの一部が微粒子として析出する場合がある
が、このピッチ微粒子は機械的な粉砕では得られないほ
ど超微細なものである。したがって、ピッチを加熱溶解
し、冷却した後の混合液中においては、ピッチは完全に
溶液とはならず、一部微粒子として分散する場合もある
が、このことは本発明の目的に何等支障となるものでは
ない。
【0020】上記のようなピッチを電子供与性溶媒に溶
解分散し、前記のモノマーを加えて重合反応をさせる
が、この重合は公知の方法を採用することができ、例え
ば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、次亜硝酸t
−ブチル、過硫酸アンモニウム、アゾビスジメチルバレ
ロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等
の過酸化物やアゾ化合物を開始剤とするラジカル重合が
通常採用されるが、放射線重合やイオン重合も可能であ
る。重合条件も特に制限されないが、重合温度は通常1
0〜110℃、好ましくは30〜90℃であり、重合時
間は通常5分〜20時間、好ましくは30分〜10時間
である。重合後、電子供与性溶媒を除去することにより
本発明のPAN−ピッチ系素原料が得られるが、後に付
される成形方法によっては電子供与性溶媒の除去をせず
に重合液をそのまま用いることもでき、また、粘度調整
のために溶媒の一部を除去して用いてもよい。本発明で
いう「素原料」はこのような溶媒を含んだものをも包含
する意味で用いている。
解分散し、前記のモノマーを加えて重合反応をさせる
が、この重合は公知の方法を採用することができ、例え
ば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、次亜硝酸t
−ブチル、過硫酸アンモニウム、アゾビスジメチルバレ
ロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等
の過酸化物やアゾ化合物を開始剤とするラジカル重合が
通常採用されるが、放射線重合やイオン重合も可能であ
る。重合条件も特に制限されないが、重合温度は通常1
0〜110℃、好ましくは30〜90℃であり、重合時
間は通常5分〜20時間、好ましくは30分〜10時間
である。重合後、電子供与性溶媒を除去することにより
本発明のPAN−ピッチ系素原料が得られるが、後に付
される成形方法によっては電子供与性溶媒の除去をせず
に重合液をそのまま用いることもでき、また、粘度調整
のために溶媒の一部を除去して用いてもよい。本発明で
いう「素原料」はこのような溶媒を含んだものをも包含
する意味で用いている。
【0021】以上のようにして得られる本発明のPAN
−ピッチ系素原料は、ピッチとPANとを単純に混合し
た混合物とは明らかに特性を異にするもので、非常に優
れた物性を有しており、ピッチとPANとの間の強い親
和性を示唆するものである。その理由は明らかではない
が、分子レベルでは例えば化学結合を形成している可能
性もあり、その場合、ピッチと生長PAN鎖の間でのラ
ジカルの水素引き抜き反応や生長ラジカルの結合による
停止等が起こるのではないかと考えられる。また、マク
ロ的にはピッチ相がPAN相中に極めて微細な分散体と
して存在し、界面の親和性が極めて高い多相分散構造の
一種のポリマーアロイを構成していると考えることもで
きる。
−ピッチ系素原料は、ピッチとPANとを単純に混合し
た混合物とは明らかに特性を異にするもので、非常に優
れた物性を有しており、ピッチとPANとの間の強い親
和性を示唆するものである。その理由は明らかではない
が、分子レベルでは例えば化学結合を形成している可能
性もあり、その場合、ピッチと生長PAN鎖の間でのラ
ジカルの水素引き抜き反応や生長ラジカルの結合による
停止等が起こるのではないかと考えられる。また、マク
ロ的にはピッチ相がPAN相中に極めて微細な分散体と
して存在し、界面の親和性が極めて高い多相分散構造の
一種のポリマーアロイを構成していると考えることもで
きる。
【0022】また、本発明の方法で得たPAN−ピッチ
系素原料を、別途単独で重合したPANあるいはその重
合溶液と混合して使用することも可能であり、あらかじ
め本発明の方法でピッチとPANの親和性を高めておく
ことにより、単独で重合した従来のPANとの混合性、
親和性もよくなる。
系素原料を、別途単独で重合したPANあるいはその重
合溶液と混合して使用することも可能であり、あらかじ
め本発明の方法でピッチとPANの親和性を高めておく
ことにより、単独で重合した従来のPANとの混合性、
親和性もよくなる。
【0023】上記のようにして得たPAN−ピッチ系素
原料は、その後、紡糸、製膜、その他の種々の成形方法
によって、ピッチ相とPAN相の親和性の高い性質を持
った繊維、フィルム、微小粒状体、その他の複合材とす
ることができる。炭素繊維を製造する場合には、乾式
法、湿式法または乾湿式法等を採用することができる。
例えば、湿式法によれば重合して得られた溶媒を含む素
原料をそのまま紡糸ノズルから吐出し、これを凝固液
(通常は水と重合に用いられる溶媒の混合液)と接触さ
せて、溶媒と未反応のモノマーを溶出させて素原料の繊
維を固化させることができ、また、これを加熱下に延伸
して繊維径を変えることもできる。フィルムを製造する
場合には、例えば、溶媒を含む素原料を基盤上に塗布
し、これを上記の凝固液と接触させて固化し、フィルム
とし、さらにこれを加熱下に、あるいは完全に凝固する
前に延伸してもよい。微小粒状体を製造する場合には、
例えば、凝固液を攪拌しながら溶媒を含む素原料を滴下
して固化させる方法、または溶媒を含む重合液を噴霧し
て微細化した後に凝固液と接触させて固化させる方法等
が採用できる。
原料は、その後、紡糸、製膜、その他の種々の成形方法
によって、ピッチ相とPAN相の親和性の高い性質を持
った繊維、フィルム、微小粒状体、その他の複合材とす
ることができる。炭素繊維を製造する場合には、乾式
法、湿式法または乾湿式法等を採用することができる。
例えば、湿式法によれば重合して得られた溶媒を含む素
原料をそのまま紡糸ノズルから吐出し、これを凝固液
(通常は水と重合に用いられる溶媒の混合液)と接触さ
せて、溶媒と未反応のモノマーを溶出させて素原料の繊
維を固化させることができ、また、これを加熱下に延伸
して繊維径を変えることもできる。フィルムを製造する
場合には、例えば、溶媒を含む素原料を基盤上に塗布
し、これを上記の凝固液と接触させて固化し、フィルム
とし、さらにこれを加熱下に、あるいは完全に凝固する
前に延伸してもよい。微小粒状体を製造する場合には、
例えば、凝固液を攪拌しながら溶媒を含む素原料を滴下
して固化させる方法、または溶媒を含む重合液を噴霧し
て微細化した後に凝固液と接触させて固化させる方法等
が採用できる。
【0024】上述のようにして得られる複合材は用途に
応じて酸化性ガス中での加熱、あるいは硝酸、沃素等の
薬剤の使用により酸化して不融化し、さらに加熱炭化し
て高度の機能・物性を有する目的にかなった不融化、炭
化または黒鉛化された繊維、フィルム、微小粒状体その
他の複合材とすることができる。
応じて酸化性ガス中での加熱、あるいは硝酸、沃素等の
薬剤の使用により酸化して不融化し、さらに加熱炭化し
て高度の機能・物性を有する目的にかなった不融化、炭
化または黒鉛化された繊維、フィルム、微小粒状体その
他の複合材とすることができる。
【0025】ここで不融化、炭化、黒鉛化の方法と条件
は、例えばピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維の不融
化、炭化、黒鉛化の方法と条件のようにすでに公知の方
法と条件を採用することができ、特に限定されるもので
はない。また、不融化物あるいは炭化物を酸化性ガス中
で加熱処理する、あるいは、KOHのような賦活薬剤の
存在下に加熱する等の方法により、微細な気孔を意識的
に増加させるような処理をすることも可能である。
は、例えばピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維の不融
化、炭化、黒鉛化の方法と条件のようにすでに公知の方
法と条件を採用することができ、特に限定されるもので
はない。また、不融化物あるいは炭化物を酸化性ガス中
で加熱処理する、あるいは、KOHのような賦活薬剤の
存在下に加熱する等の方法により、微細な気孔を意識的
に増加させるような処理をすることも可能である。
【0026】上述のような本発明の方法に従えば、従来
にはない新規なPANとピッチの親和性の高い炭素材料
製造用の素原料を容易に得ることができ、また該素原料
から種々の形態の新規な複合材を得ることができる。
にはない新規なPANとピッチの親和性の高い炭素材料
製造用の素原料を容易に得ることができ、また該素原料
から種々の形態の新規な複合材を得ることができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。
【0028】(実施例1)重合フラスコ(容量1500
ml)にDMSO1000mlを入れ、これにコールタール
から調製した石炭系異方性ピッチ粉末(メトラー法軟化
点305℃)50gを加え、150℃に加熱してピッチ
を溶解した。ついで、48℃まで急速に冷却した後、ア
クリロニトリル(以下、ANと称す)275gを加え、
この溶液を52℃まで昇温し、この温度に保ちながらA
Nに対し0.25モル%の過硫酸アンモニウム(以下、
APSと称す)を添加して7時間反応を行った。この反
応によりANの重合が進み粘稠で曳糸性を示すPAN−
ピッチ系素原料溶液が得られた。ついで、重合を停止さ
せるため適当量のn−ドデシルメルカプタンを加えた
後、室温に冷却した。室温に冷却された反応溶液は適度
の粘度と曳糸性を示し、ゲル化することなく極めて安定
であった。なお、上記の全ての反応および操作は窒素雰
囲気を保ち攪拌しながら行った(以下の実施例において
も同様である)。
ml)にDMSO1000mlを入れ、これにコールタール
から調製した石炭系異方性ピッチ粉末(メトラー法軟化
点305℃)50gを加え、150℃に加熱してピッチ
を溶解した。ついで、48℃まで急速に冷却した後、ア
クリロニトリル(以下、ANと称す)275gを加え、
この溶液を52℃まで昇温し、この温度に保ちながらA
Nに対し0.25モル%の過硫酸アンモニウム(以下、
APSと称す)を添加して7時間反応を行った。この反
応によりANの重合が進み粘稠で曳糸性を示すPAN−
ピッチ系素原料溶液が得られた。ついで、重合を停止さ
せるため適当量のn−ドデシルメルカプタンを加えた
後、室温に冷却した。室温に冷却された反応溶液は適度
の粘度と曳糸性を示し、ゲル化することなく極めて安定
であった。なお、上記の全ての反応および操作は窒素雰
囲気を保ち攪拌しながら行った(以下の実施例において
も同様である)。
【0029】次に、得られた反応溶液を0.08mmφ×
200holesの紡糸口金を用いて凝固浴(組成:DMS
O/水=55/45重量比、温度:25℃)にて紡糸し
たところ均質な繊維が得られた。また、得られた反応溶
液の適当量を精秤し、非溶媒として水を用いてこれを固
化しAN重合率を測定したところ、90%であった。こ
のANの重合率は、反応溶液中の溶媒と未反応のANな
らびに重合開始剤、停止剤が水に可溶であり、重合して
生成したPANおよびピッチが水に不溶であることを利
用して、用いたANが水不溶性に転化した量として計算
した値である(以下の実施例においても同様である)。
200holesの紡糸口金を用いて凝固浴(組成:DMS
O/水=55/45重量比、温度:25℃)にて紡糸し
たところ均質な繊維が得られた。また、得られた反応溶
液の適当量を精秤し、非溶媒として水を用いてこれを固
化しAN重合率を測定したところ、90%であった。こ
のANの重合率は、反応溶液中の溶媒と未反応のANな
らびに重合開始剤、停止剤が水に可溶であり、重合して
生成したPANおよびピッチが水に不溶であることを利
用して、用いたANが水不溶性に転化した量として計算
した値である(以下の実施例においても同様である)。
【0030】一方、非溶媒として水を用いて固化した固
形分をPANの良溶媒であるDMFで抽出すると全てが
溶出し、PAN−ピッチ系素原料はDMFに溶解するこ
とが確かめられた。
形分をPANの良溶媒であるDMFで抽出すると全てが
溶出し、PAN−ピッチ系素原料はDMFに溶解するこ
とが確かめられた。
【0031】(実施例2)重合フラスコ(容量1500
ml)にDMSO1000mlを入れ、これに実施例1と同
じ異方性ピッチ粉末100gを加え、120℃に加熱し
た。ついで48℃まで急速に冷却した後、AN471g
を加え、この溶液を52℃まで昇温し、この温度に保ち
ながらANに対し0.35モル%のAPSと、0.02
モル%のn−ドデシルメルカプタンを加え7.5時間反
応を行った。この反応によりANの重合が進み粘稠で曳
糸性を示すPAN−ピッチ系素原料溶液が得られた。つ
いで、重合を停止させるため適当量のn−ドデシルメル
カプタンを加えた後、室温に冷却した。
ml)にDMSO1000mlを入れ、これに実施例1と同
じ異方性ピッチ粉末100gを加え、120℃に加熱し
た。ついで48℃まで急速に冷却した後、AN471g
を加え、この溶液を52℃まで昇温し、この温度に保ち
ながらANに対し0.35モル%のAPSと、0.02
モル%のn−ドデシルメルカプタンを加え7.5時間反
応を行った。この反応によりANの重合が進み粘稠で曳
糸性を示すPAN−ピッチ系素原料溶液が得られた。つ
いで、重合を停止させるため適当量のn−ドデシルメル
カプタンを加えた後、室温に冷却した。
【0032】次に、得られた反応溶液を実施例1と同じ
方法で紡糸したところ、均質な繊維が得られた。なお、
実施例1と同様にして測定したANの重合率は80%で
あり、また非溶媒として水を用いて固化した固形分をD
MFで抽出すると、ごく少量のピッチが未溶解分として
残るが、素原料のほとんどはDMFに溶解することが確
かめられた。
方法で紡糸したところ、均質な繊維が得られた。なお、
実施例1と同様にして測定したANの重合率は80%で
あり、また非溶媒として水を用いて固化した固形分をD
MFで抽出すると、ごく少量のピッチが未溶解分として
残るが、素原料のほとんどはDMFに溶解することが確
かめられた。
【0033】(実施例3)重合フラスコ(容量1500
ml)にDMSO1000mlを入れ、これにナフサ分解副
生油から調製した石油系等方性ピッチ粉末(メトラー法
軟化点210℃)350gを加え、120℃に加熱し
た。ついで、48℃まで急速に冷却した後、AN100
gを加え、この溶液を52℃まで昇温し、この温度に保
ちながらANに対し0.52モル%のAPSと、0.1
5モル%のn−ドデシルメルカプタンを加え8.5時間
反応を行った。この反応によりANの重合が進み粘稠で
曳糸性を示すPAN−ピッチ系素原料溶液が得られた。
ついで、重合を停止させるため適当量のn−ドデシルメ
ルカプタンを加えた後、室温に冷却した。この反応溶液
は適度の粘度と曳糸性を示しゲル化することなく極めて
安定であった。
ml)にDMSO1000mlを入れ、これにナフサ分解副
生油から調製した石油系等方性ピッチ粉末(メトラー法
軟化点210℃)350gを加え、120℃に加熱し
た。ついで、48℃まで急速に冷却した後、AN100
gを加え、この溶液を52℃まで昇温し、この温度に保
ちながらANに対し0.52モル%のAPSと、0.1
5モル%のn−ドデシルメルカプタンを加え8.5時間
反応を行った。この反応によりANの重合が進み粘稠で
曳糸性を示すPAN−ピッチ系素原料溶液が得られた。
ついで、重合を停止させるため適当量のn−ドデシルメ
ルカプタンを加えた後、室温に冷却した。この反応溶液
は適度の粘度と曳糸性を示しゲル化することなく極めて
安定であった。
【0034】次に、得られた反応溶液を実施例1と同じ
方法で紡糸したところ、均質な繊維が得られた。なお、
実施例1と同様にして測定したANの重合率は60%で
あり、また、非溶媒として水を用いて固化した固形分を
DMFで抽出すると、素原料の全てがDMFに溶解する
ことが確かめられた。
方法で紡糸したところ、均質な繊維が得られた。なお、
実施例1と同様にして測定したANの重合率は60%で
あり、また、非溶媒として水を用いて固化した固形分を
DMFで抽出すると、素原料の全てがDMFに溶解する
ことが確かめられた。
【0035】(実施例4)重合フラスコ(容量1500
ml)にDMSO1000mlを入れ、これにナフタレンか
ら合成された合成系異方性ピッチ粉末(メトラー法軟化
点285℃)220gを加え、160℃に加熱した。つ
いで、52℃まで急速に冷却した後、ANとイタコン酸
をモル比で95/5に調整したモノマー100gを加
え、この溶液を52℃に保ちながら、ANに対し0.2
5モル%のAPSと、0.01モル%のn−ドデシルメ
ルカプタンを加え7.5時間反応を行った。この反応に
よりANの重合が進み粘稠で曳糸性を示すPAN−ピッ
チ系素原料溶液が得られた。ついで、重合を停止させる
ため適当量のn−ドデシルメルカプタンを加えた後、室
温に冷却した。この反応溶液は適度の粘度と曳糸性を示
しゲル化することなく極めて安定であった。
ml)にDMSO1000mlを入れ、これにナフタレンか
ら合成された合成系異方性ピッチ粉末(メトラー法軟化
点285℃)220gを加え、160℃に加熱した。つ
いで、52℃まで急速に冷却した後、ANとイタコン酸
をモル比で95/5に調整したモノマー100gを加
え、この溶液を52℃に保ちながら、ANに対し0.2
5モル%のAPSと、0.01モル%のn−ドデシルメ
ルカプタンを加え7.5時間反応を行った。この反応に
よりANの重合が進み粘稠で曳糸性を示すPAN−ピッ
チ系素原料溶液が得られた。ついで、重合を停止させる
ため適当量のn−ドデシルメルカプタンを加えた後、室
温に冷却した。この反応溶液は適度の粘度と曳糸性を示
しゲル化することなく極めて安定であった。
【0036】次に、得られた反応溶液を実施例1と同じ
方法で紡糸し、均質な繊維を得た。なお、実施例1と同
様にして測定したAN/イタコン酸混合モノマーの重合
率は82%であり、また、非溶媒として水を用いて固化
した固形分をDMFで抽出すると、ごく少量のピッチが
未溶解分として残るが、素原料のほとんどはDMFに溶
解することが確かめられた。
方法で紡糸し、均質な繊維を得た。なお、実施例1と同
様にして測定したAN/イタコン酸混合モノマーの重合
率は82%であり、また、非溶媒として水を用いて固化
した固形分をDMFで抽出すると、ごく少量のピッチが
未溶解分として残るが、素原料のほとんどはDMFに溶
解することが確かめられた。
【0037】(実施例5)実施例1で得たPAN−ピッ
チ系素原料溶液を、0.08mmφ×200holesの紡糸
口金を使用し、凝固浴(1浴=組成:DMSO/水=5
5/45重量比、温度:25℃、および2浴=組成:D
MSO/水=20/80重量比、温度:25℃)中にて
紡糸速度2m/minで紡糸し凝固糸を得た。引き続いて延
伸浴(組成:ポリエチレングリコール、温度:130
℃)中で連続して延伸し、十分に水洗した後、150℃
で5分乾燥し延伸糸を得た。なお、延伸倍率は可能な範
囲で調整した。
チ系素原料溶液を、0.08mmφ×200holesの紡糸
口金を使用し、凝固浴(1浴=組成:DMSO/水=5
5/45重量比、温度:25℃、および2浴=組成:D
MSO/水=20/80重量比、温度:25℃)中にて
紡糸速度2m/minで紡糸し凝固糸を得た。引き続いて延
伸浴(組成:ポリエチレングリコール、温度:130
℃)中で連続して延伸し、十分に水洗した後、150℃
で5分乾燥し延伸糸を得た。なお、延伸倍率は可能な範
囲で調整した。
【0038】紡糸口金孔径0.08mmφは通常のアクリ
ル繊維の紡糸と同一レベルで紡糸が可能であることを示
しており、ピッチ粒子による紡糸性の低下は見られなか
った。得られた繊維の物性を表1に示す。なお、強度、
伸度、ヤング率は標準条件(1気圧、20℃、湿度65
%)で測定した値である(以下においても同じであ
る)。表中の単位dはデニールの意であり、沸水収縮率
は沸騰水中の収縮率をJIS規格(L1013)に準拠
して測定したものである。
ル繊維の紡糸と同一レベルで紡糸が可能であることを示
しており、ピッチ粒子による紡糸性の低下は見られなか
った。得られた繊維の物性を表1に示す。なお、強度、
伸度、ヤング率は標準条件(1気圧、20℃、湿度65
%)で測定した値である(以下においても同じであ
る)。表中の単位dはデニールの意であり、沸水収縮率
は沸騰水中の収縮率をJIS規格(L1013)に準拠
して測定したものである。
【0039】同表から、延伸比を上げると繊維の強度、
ヤング率が著しく向上する一方、伸度はそれほど低下し
ておらず、全体として繊維の物性が大きく向上している
ことがわかる。なお、延伸比5.2で得た繊維の側面の
走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。写真の下の線分の
長さが10μに相当する。繊維の組織は均一でピッチが
極めて微細に分散していることがわかる。
ヤング率が著しく向上する一方、伸度はそれほど低下し
ておらず、全体として繊維の物性が大きく向上している
ことがわかる。なお、延伸比5.2で得た繊維の側面の
走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。写真の下の線分の
長さが10μに相当する。繊維の組織は均一でピッチが
極めて微細に分散していることがわかる。
【0040】また、延伸比5.0で得た繊維を180
℃、20分の条件で熱処理し、熱処理効果を調べた。同
処理品の物性を表1にあわせて示す。同表から、熱処理
によって力学的性質がさらに向上することがわかる。
℃、20分の条件で熱処理し、熱処理効果を調べた。同
処理品の物性を表1にあわせて示す。同表から、熱処理
によって力学的性質がさらに向上することがわかる。
【0041】
【表1】
【0042】上記で得た延伸糸を270℃、15時間、
空気雰囲気で酸化処理し、ついで1,500℃、15
分、アルゴン雰囲気で炭化処理した。
空気雰囲気で酸化処理し、ついで1,500℃、15
分、アルゴン雰囲気で炭化処理した。
【0043】これらの処理後の繊維物性を測定したとこ
ろ、酸化、炭化処理後も十分な柔軟性と力学的性質を保
持していることが確認された。
ろ、酸化、炭化処理後も十分な柔軟性と力学的性質を保
持していることが確認された。
【0044】(比較例1)実施例1で用いたのと同じピ
ッチを24時間ボールミルで粉砕し、これをあらかじめ
重合して調製したPAN溶液(溶媒:DMSO、溶液濃
度:25重量%)に52℃で、ピッチ/PAN重量比=
1/5で添加混合した。この溶液を0.20mmφ×75
holesの紡糸口金を使用し、実施例5と同じ凝固浴中に
て紡糸速度1.5m/minで紡糸し凝固糸を得た。引き続
いて実施例5と同じ延伸浴中で連続して延伸し、十分に
水洗した後、乾燥し、延伸糸を得た。得られた繊維の物
性を表2に示す。
ッチを24時間ボールミルで粉砕し、これをあらかじめ
重合して調製したPAN溶液(溶媒:DMSO、溶液濃
度:25重量%)に52℃で、ピッチ/PAN重量比=
1/5で添加混合した。この溶液を0.20mmφ×75
holesの紡糸口金を使用し、実施例5と同じ凝固浴中に
て紡糸速度1.5m/minで紡糸し凝固糸を得た。引き続
いて実施例5と同じ延伸浴中で連続して延伸し、十分に
水洗した後、乾燥し、延伸糸を得た。得られた繊維の物
性を表2に示す。
【0045】この単純混合紡糸ではピッチの粒子が大き
く、紡糸口金の孔径は0.20mmφ以下の使用は不可能
であり、紡糸速度も低いものとなった。また、表2か
ら、この繊維の物性を実施例5の場合と比較すると、繊
維の強度、伸度が明らかに劣ることがわかる。なお、延
伸比4.0で得た繊維の側面の走査型電子顕微鏡写真を
図2に示す。写真の下の線分の長さが10μに相当す
る。繊維の組織にピッチが粗く剥離して分散しており、
ピッチ粒子とPANとの親和性が悪いことが観察され
る。
く、紡糸口金の孔径は0.20mmφ以下の使用は不可能
であり、紡糸速度も低いものとなった。また、表2か
ら、この繊維の物性を実施例5の場合と比較すると、繊
維の強度、伸度が明らかに劣ることがわかる。なお、延
伸比4.0で得た繊維の側面の走査型電子顕微鏡写真を
図2に示す。写真の下の線分の長さが10μに相当す
る。繊維の組織にピッチが粗く剥離して分散しており、
ピッチ粒子とPANとの親和性が悪いことが観察され
る。
【0046】以上のように、本発明の重合法と単純混合
法とではピッチ粒子のサイズ、分散性、ピッチとPAN
との親和性に明らかな違いが認められる。
法とではピッチ粒子のサイズ、分散性、ピッチとPAN
との親和性に明らかな違いが認められる。
【0047】
【表2】
【0048】上記で得た延伸糸を270℃、15時間、
空気雰囲気で酸化処理し、ついで1,500℃、15
分、アルゴン雰囲気で炭化処理した。
空気雰囲気で酸化処理し、ついで1,500℃、15
分、アルゴン雰囲気で炭化処理した。
【0049】これらの処理後の繊維物性を測定したとこ
ろ、酸化処理によって強度が非常に弱くなり、さらに炭
化処理によっても力学的性質の向上は認められなかっ
た。
ろ、酸化処理によって強度が非常に弱くなり、さらに炭
化処理によっても力学的性質の向上は認められなかっ
た。
【0050】(実施例6)実施例4で得たPAN−ピッ
チ系素原料溶液と、これとは別に重合して調製したPA
N溶液(組成:AN/イタコン酸=95/5モル比、溶
媒:DMSO、溶液濃度:32重量%)を混合し、ピッ
チ/PAN重量比で55/45の溶液を調製した。この
混合溶液は均一でゲル化することなく安定で十分な曳糸
性を示した。
チ系素原料溶液と、これとは別に重合して調製したPA
N溶液(組成:AN/イタコン酸=95/5モル比、溶
媒:DMSO、溶液濃度:32重量%)を混合し、ピッ
チ/PAN重量比で55/45の溶液を調製した。この
混合溶液は均一でゲル化することなく安定で十分な曳糸
性を示した。
【0051】ついで、この溶液を紡糸原液として、0.
085mmφ×100holesの紡糸口金を使用し、凝固浴
(1浴=組成:DMSO/水=55/45重量比、温
度:25℃、2浴=組成:DMSO/水=30/70重
量比、温度:30℃、および3浴=組成:DMSO/水
=10/90重量比、温度:45℃)中にて紡糸速度
2.5m/minで紡糸し凝固糸を得た。凝固に引き続いて
十分に水洗を行い、さらに弛緩率17%、120℃で熱
板乾燥を行った後、280℃で熱板延伸を行った。得ら
れた熱板延伸繊維の物性を表3に示す。
085mmφ×100holesの紡糸口金を使用し、凝固浴
(1浴=組成:DMSO/水=55/45重量比、温
度:25℃、2浴=組成:DMSO/水=30/70重
量比、温度:30℃、および3浴=組成:DMSO/水
=10/90重量比、温度:45℃)中にて紡糸速度
2.5m/minで紡糸し凝固糸を得た。凝固に引き続いて
十分に水洗を行い、さらに弛緩率17%、120℃で熱
板乾燥を行った後、280℃で熱板延伸を行った。得ら
れた熱板延伸繊維の物性を表3に示す。
【0052】紡糸口金孔径0.085mmφは通常のアク
リル繊維の紡糸と同一レベルで紡糸が可能であることを
示しており、ピッチ粒子による紡糸性の低下は見られな
かった。また、表3から、延伸によって繊維の物性が大
きく向上し、特に強度、ヤング率が著しく高くなること
がわかる。
リル繊維の紡糸と同一レベルで紡糸が可能であることを
示しており、ピッチ粒子による紡糸性の低下は見られな
かった。また、表3から、延伸によって繊維の物性が大
きく向上し、特に強度、ヤング率が著しく高くなること
がわかる。
【0053】さらに、延伸比5.2で得た繊維を180
℃、20分の条件で熱処理し、熱処理効果を調べた。同
処理品の物性を表3にあわせて示す。同表から、熱処理
によって繊維の力学的性質がさらに向上することがわか
る。
℃、20分の条件で熱処理し、熱処理効果を調べた。同
処理品の物性を表3にあわせて示す。同表から、熱処理
によって繊維の力学的性質がさらに向上することがわか
る。
【0054】
【表3】
【0055】上記で得た延伸糸を270℃、15時間、
空気雰囲気で酸化処理し、ついで1,500℃、15
分、アルゴン雰囲気で炭化処理した。
空気雰囲気で酸化処理し、ついで1,500℃、15
分、アルゴン雰囲気で炭化処理した。
【0056】これらの処理後の繊維物性を測定したとこ
ろ、酸化、炭化処理後も十分な柔軟性と力学的性質を保
持していることが確認された。
ろ、酸化、炭化処理後も十分な柔軟性と力学的性質を保
持していることが確認された。
【0057】(比較例2)実施例4で用いたのと同じピ
ッチを24時間ボールミルで粉砕し、これを実施例6と
同じPAN溶液に50℃で添加混合した。このときの混
合溶液のPAN濃度、ピッチ/PAN重量比は実施例6
と同じになるように調製した。この溶液を0.25mmφ
×75holesの紡糸口金を使用し、実施例6と同じ凝固
浴中にて紡糸速度1.5m/minで紡糸し凝固糸を得た。
引き続いて実施例6と同様にして熱板延伸し、延伸糸を
得た。得られた繊維の物性を表4に示す。
ッチを24時間ボールミルで粉砕し、これを実施例6と
同じPAN溶液に50℃で添加混合した。このときの混
合溶液のPAN濃度、ピッチ/PAN重量比は実施例6
と同じになるように調製した。この溶液を0.25mmφ
×75holesの紡糸口金を使用し、実施例6と同じ凝固
浴中にて紡糸速度1.5m/minで紡糸し凝固糸を得た。
引き続いて実施例6と同様にして熱板延伸し、延伸糸を
得た。得られた繊維の物性を表4に示す。
【0058】単純混合溶液の紡糸ではピッチの粒子が大
きく、紡糸口金の孔径は0.25mmφ以下の使用は不可
能であり、紡糸速度も低いものであった。また、表4か
ら、この延伸糸は延伸比3.5倍以上の十分な延伸を行
うことができず、強度も実施例6のものと比較すると低
いことがわかる。
きく、紡糸口金の孔径は0.25mmφ以下の使用は不可
能であり、紡糸速度も低いものであった。また、表4か
ら、この延伸糸は延伸比3.5倍以上の十分な延伸を行
うことができず、強度も実施例6のものと比較すると低
いことがわかる。
【0059】以上のように、本発明の重合法と単純混合
法とではピッチ粒子のサイズ、分散性、ピッチとPAN
との親和性等に明らかな違いが認められる。
法とではピッチ粒子のサイズ、分散性、ピッチとPAN
との親和性等に明らかな違いが認められる。
【0060】
【表4】
【0061】上記で得た延伸糸を270℃、15時間、
空気雰囲気で酸化処理し、ついで1,500℃、15
分、アルゴン雰囲気で炭化処理した。
空気雰囲気で酸化処理し、ついで1,500℃、15
分、アルゴン雰囲気で炭化処理した。
【0062】これらの処理後の繊維物性を測定したとこ
ろ、酸化処理によって強度が非常に弱くなり、さらに炭
化処理によっても力学的性質の向上は認められなかっ
た。
ろ、酸化処理によって強度が非常に弱くなり、さらに炭
化処理によっても力学的性質の向上は認められなかっ
た。
【0063】(実施例7)実施例2で得たPAN−ピッ
チ系素原料溶液と、これとは別に重合して調製したPA
N溶液(組成:AN/イタコン酸=95/5モル比、溶
媒:DMSO、溶液濃度:27重量%)を混合し、ピッ
チ/PAN重量比で10/90の溶液を調製した。この
混合溶液は均一でゲル化することなく安定で十分な曳糸
性を示した。
チ系素原料溶液と、これとは別に重合して調製したPA
N溶液(組成:AN/イタコン酸=95/5モル比、溶
媒:DMSO、溶液濃度:27重量%)を混合し、ピッ
チ/PAN重量比で10/90の溶液を調製した。この
混合溶液は均一でゲル化することなく安定で十分な曳糸
性を示した。
【0064】ついで、この溶液を紡糸原液として、0.
15mmφ×100holesの紡糸口金を使用し、エアーギ
ャップ(ノズルと凝固液との間の距離)を2mmとして、
凝固浴(1浴=組成:DMSO/水=55/45重量
比、温度:25℃、2浴=組成:DMSO/水=30/
70重量比、温度:30℃、および3浴=組成:DMS
O/水=10/90重量比、温度:45℃)中にて紡糸
速度7m/minで紡糸し凝固糸を得た。凝固に引き続いて
十分に水洗を行い、さらに弛緩率15%、120℃で熱
板乾燥を行った後、280℃で熱板延伸を行った。これ
らの紡糸、延伸はともにスムーズで、通常のアクリル繊
維の乾湿式紡糸と同一レベルで紡糸が可能であり、ピッ
チ粒子による紡糸性の低下は見られなかった。得られた
熱板延伸繊維の物性を表5に示す。
15mmφ×100holesの紡糸口金を使用し、エアーギ
ャップ(ノズルと凝固液との間の距離)を2mmとして、
凝固浴(1浴=組成:DMSO/水=55/45重量
比、温度:25℃、2浴=組成:DMSO/水=30/
70重量比、温度:30℃、および3浴=組成:DMS
O/水=10/90重量比、温度:45℃)中にて紡糸
速度7m/minで紡糸し凝固糸を得た。凝固に引き続いて
十分に水洗を行い、さらに弛緩率15%、120℃で熱
板乾燥を行った後、280℃で熱板延伸を行った。これ
らの紡糸、延伸はともにスムーズで、通常のアクリル繊
維の乾湿式紡糸と同一レベルで紡糸が可能であり、ピッ
チ粒子による紡糸性の低下は見られなかった。得られた
熱板延伸繊維の物性を表5に示す。
【0065】同表から、延伸によって繊維の物性が大き
く向上し、特に強度、ヤング率が著しく高くなることが
わかる。
く向上し、特に強度、ヤング率が著しく高くなることが
わかる。
【0066】また、延伸比7.2で得た繊維を180
℃、20分の条件で熱処理し、熱処理効果を調べた。同
処理品の物性を表5にあわせて示す。同表から、熱処理
によって繊維の力学的性質がさらに向上することがわか
る。
℃、20分の条件で熱処理し、熱処理効果を調べた。同
処理品の物性を表5にあわせて示す。同表から、熱処理
によって繊維の力学的性質がさらに向上することがわか
る。
【0067】
【表5】
【0068】上記で得た延伸熱処理糸を270℃、15
時間、空気雰囲気で酸化処理し、ついで1,500℃、
15分、アルゴン雰囲気で炭化処理した。これらの処理
後の繊維物性を測定したところ、酸化処理後および炭化
処理後の繊維はともに十分な柔軟性と力学的性質を保持
していることが確認された。
時間、空気雰囲気で酸化処理し、ついで1,500℃、
15分、アルゴン雰囲気で炭化処理した。これらの処理
後の繊維物性を測定したところ、酸化処理後および炭化
処理後の繊維はともに十分な柔軟性と力学的性質を保持
していることが確認された。
【0069】
【発明の効果】本発明の方法によれば、電子供与性溶媒
に溶解分散したピッチの存在下にアクリロニトリルを必
須成分とするモノマーを重合することにより、ピッチと
PANの親和性が高く、ピッチとPANを単に混合した
場合に比べ物性(強度、伸度、ヤング率等)の優れた新
規な炭素材料製造用のPAN−ピッチ系素原料を得るこ
とができる。また、この素原料から容易に繊維、フィル
ム、微小粒状体等の成形物を得ることが可能であり、さ
らに、得られた成形物を従来法と同様に加熱処理するこ
とにより、高度の機能・物性を有する炭化、黒鉛化され
た繊維、フィルム、微小粒状体等の炭素複合材を得るこ
とができる。
に溶解分散したピッチの存在下にアクリロニトリルを必
須成分とするモノマーを重合することにより、ピッチと
PANの親和性が高く、ピッチとPANを単に混合した
場合に比べ物性(強度、伸度、ヤング率等)の優れた新
規な炭素材料製造用のPAN−ピッチ系素原料を得るこ
とができる。また、この素原料から容易に繊維、フィル
ム、微小粒状体等の成形物を得ることが可能であり、さ
らに、得られた成形物を従来法と同様に加熱処理するこ
とにより、高度の機能・物性を有する炭化、黒鉛化され
た繊維、フィルム、微小粒状体等の炭素複合材を得るこ
とができる。
【図1】実施例5で延伸比を5.2倍として得た繊維の
側面の走査型電子顕微鏡写真である。
側面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】比較例1で延伸比を4.0倍として得た繊維の
側面の走査型電子顕微鏡写真である。
側面の走査型電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 95/00 LSS D01F 9/22 D01F 9/22 C10C 3/02 Z // C10C 3/02 C04B 35/52 A
Claims (7)
- 【請求項1】 軟化点(メトラー法)が180〜350
℃のピッチを電子供与性溶媒に溶解分散した液中で、ア
クリロニトリルを必須成分とするモノマーを重合して得
られる炭素材料製造用のポリアクリロニトリル−ピッチ
系素原料。 - 【請求項2】 該モノマーの組成がアクリロニトリルが
85重量%以上であり、残余がアクリロニトリルと共重
合しうるコモノマーである請求項1に記載のポリアクリ
ロニトリル−ピッチ系素原料。 - 【請求項3】 請求項1に記載のポリアクリロニトリル
−ピッチ系素原料を成形して得られるポリアクリロニト
リル−ピッチ系複合材。 - 【請求項4】 請求項1に記載のポリアクリロニトリル
−ピッチ系素原料を成形し、酸素を含む雰囲気または不
活性雰囲気下で加熱処理をして得られるポリアクリロニ
トリル−ピッチ系複合炭素材料。 - 【請求項5】 軟化点(メトラー法)が180〜350
℃のピッチを電子供与性溶媒を用いて溶解分散した液中
で、アクリロニトリルを必須成分とするモノマーを重合
することを特徴とする該ポリアクリロニトリル−ピッチ
系素原料の製造方法。 - 【請求項6】 該電子供与性溶媒がジメチルスルホキシ
ド、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメ
チルアセトアミドから選ばれた少なくとも1種である請
求項5に記載の製造方法。 - 【請求項7】 該モノマーの組成がアクリロニトリルが
85重量%以上であり、残余がアクリロニトリルと共重
合しうるコモノマーである請求項5または6に記載の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8205433A JPH1036450A (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 炭素材料製造用のポリアクリロニトリル−ピッチ系素原料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8205433A JPH1036450A (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 炭素材料製造用のポリアクリロニトリル−ピッチ系素原料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1036450A true JPH1036450A (ja) | 1998-02-10 |
Family
ID=16506794
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8205433A Pending JPH1036450A (ja) | 1996-07-16 | 1996-07-16 | 炭素材料製造用のポリアクリロニトリル−ピッチ系素原料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1036450A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003048705A (ja) * | 2001-08-03 | 2003-02-21 | Hitachi Chem Co Ltd | 中空状カーボン粒子及びその製造法 |
JP2011517650A (ja) * | 2008-03-26 | 2011-06-16 | ハッチンソン | ラテックスから誘導された炭素系材料 |
JP2012119079A (ja) * | 2010-11-29 | 2012-06-21 | Hiramatsu Sangyo Kk | 負極活物質、負極製造方法、負極、及び二次電池 |
CN103172959A (zh) * | 2011-12-26 | 2013-06-26 | 财团法人工业技术研究院 | 复合原料、碳纤维材料及其形成方法 |
-
1996
- 1996-07-16 JP JP8205433A patent/JPH1036450A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003048705A (ja) * | 2001-08-03 | 2003-02-21 | Hitachi Chem Co Ltd | 中空状カーボン粒子及びその製造法 |
JP2011517650A (ja) * | 2008-03-26 | 2011-06-16 | ハッチンソン | ラテックスから誘導された炭素系材料 |
JP2012119079A (ja) * | 2010-11-29 | 2012-06-21 | Hiramatsu Sangyo Kk | 負極活物質、負極製造方法、負極、及び二次電池 |
CN103172959A (zh) * | 2011-12-26 | 2013-06-26 | 财团法人工业技术研究院 | 复合原料、碳纤维材料及其形成方法 |
US8865106B2 (en) | 2011-12-26 | 2014-10-21 | Industrial Technology Research Institute | Composite raw material, carbon fiber material and method for forming the same |
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