JP2000119233A - 新規ポリアミノ酸誘導体 - Google Patents

新規ポリアミノ酸誘導体

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JP2000119233A
JP2000119233A JP11223291A JP22329199A JP2000119233A JP 2000119233 A JP2000119233 A JP 2000119233A JP 11223291 A JP11223291 A JP 11223291A JP 22329199 A JP22329199 A JP 22329199A JP 2000119233 A JP2000119233 A JP 2000119233A
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acid derivative
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amino
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Sukeyuki Tanaka
祐之 田中
Ken Tabohashi
建 田保橋
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種用途に有用な(新規)ポリアミノ酸誘導体
の提供。 【解決手段】4個以上のアミノ酸分子がアミノ基の窒素
原子を介して例えば、水酸基及び/または炭素鎖内にエ
ーテル結合を有してもよいアルキレン基である架橋基に
より結合されていることを特徴とする新規ポリアミノ酸
誘導体、並びにこのような新規ポリアミノ酸誘導体を含
む、これに類似の構造を有する、アミノ酸分子が1分子
中4未満のポリアミノ酸誘導体のキレート剤、顔料分散
剤、粉体の表面処理剤、化粧料、及び防錆剤としての用
途。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規ポリアミノ酸
誘導体に関し、更に詳しくは、Ca、Mg、Fe、Cu
などの金属イオンに対するキレート剤として有用な新規
ポリアミノ酸誘導体に関する。本発明は、また、このよ
うな新規ポリアミノ酸誘導体を含むポリアミノ酸誘導体
の1)塗料、インキなどの顔料分散剤、2)塗料、イン
キ、樹脂複合材料、化粧料などに用いられる粉体の表面
処理剤、3)化粧料の湿潤剤、4)防錆剤、等としての
用途に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリアミノ酸誘導体としては、種
々のアミノ酸又はその誘導体を熱重合などにより縮合さ
せ、ペプチド結合を介したものが知られており、例え
ば、ポリアスパラギン酸塩は化粧料における保湿剤等と
して用いられている。
【0003】アミノ酸自体は、カルボキシル基とアミノ
基を分子内に含有し両性電解質的性質を有する。しかし
ながら、従来知られているポリアミノ酸はペプチド結合
を介して結合しているため、アミノ酸が本来もつ性質、
例えば両性電解質的性質も失われていた。
【0004】一方、特開平9−194448号公報に
は、生分解性の高いキレート剤としてジハロアルカン又
はエピクロロヒドリン1分子に対して2分子のアミノ酸
が結合したアミノ酸誘導体(ジアミン型ポリアミノ酸)
がキレート剤として有用であることが記載されている。
また、米国特許第3,989,636号明細書には、グ
リシンまたはアスパラギン酸とエピクロロヒドリンとの
共重合体(重合度n=2to 3)がキレート作用を有す
ることが記載されてはいる。
【0005】このように2〜3個のアミノ酸分子をペプ
チド結合を介さずに結合させた化合物は知られているも
のの、より高分子のものについて具体的に合成され、そ
の物性が検討された例は知られていない。また、既に知
られている前記のポリアミノ酸誘導体がキレート剤以外
の用途に応用された例も知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前項記載の従来技術の
背景下に、本発明の目的は、各種用途に有用な新規のポ
リアミノ酸誘導体を提供することにある。また、本発明
は、既に知られているポリアミノ酸の新規用途を提供す
ることをも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
状に鑑み鋭意研究した結果、4個以上のアミノ酸がアミ
ノ基の窒素原子を介して架橋基により結合されているこ
とを特徴とする新規ポリアミノ酸誘導体が、塗料やイン
キなどの顔料分散剤として用ると分散性に優れ、粉体の
表面処理剤として用いると粉体の分散性、粉体感触に優
れ、金属イオンのキレート剤として用いるとキレート力
に優れ、そして化粧料に用いると毛髪や肌に対する湿潤
性で優れ、金属に対して防錆力に優れること、またキレ
ート剤以外の用途が知られていなかった、前記新規ポリ
アミノ酸誘導体と同様の構造を有するがアミノ酸の数が
4個より少ないポリアミノ酸誘導体も顔料分散剤、表面
処理剤、化粧料や防錆剤に使用するのに有効であること
を見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに到
った。
【0008】すなわち、本発明は、4個以上のアミノ酸
分子がアミノ基の窒素原子を介して架橋基により結合さ
れていることを特徴とする新規ポリアミノ酸誘導体、及
びこのような新規ポリアミノ酸誘導体を含むポリアミノ
酸誘導体の新規用途に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】先ず、本発明の新規ポリアミノ酸誘導体そ
のものについて説明する。
【0011】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体は、上記
のように、4個以上のアミノ酸分子がアミノ基の窒素原
子を介して架橋基により結合されていることを特徴とす
るポリアミノ酸誘導体である。
【0012】このようなポリアミノ酸誘導体としては、
例えば、架橋基が水酸基及び/又は炭素鎖内にエーテル
結合を有していてもよいアルキレン基であるものを挙げ
ることができる。単なるアルキレン基は下記式(1)で
示され、水酸基を有するアルキレン基は例えば下記式
(2)で示され、そして炭素鎖内にエーテル結合を有す
るアルキレン基は例えば下記式(3)で示される。本発
明において、炭素鎖内にエーテル結合を有するアルキレ
ン基とは、アルキレン基の炭素鎖内の炭素原子のいくつ
かが酸素原子に置きかわった構造のアルキレン基をい
う。
【0013】
【化4】
【0014】(式(1)中、kは1〜10の整数を示
す。また、式(3)中、Aは例えば下記式(4)〜
(6)のいずれかを示す。
【0015】
【化5】
【0016】(式(4)中、jは1〜10の整数を示
す。また、式(6)中、mは1〜15の整数を示
す。))
【0017】次に、本発明の新規ポリアミノ酸誘導体の
製造法について説明する。
【0018】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体は、例え
ば、エピクロロヒドリン及び/若しくはポリエポキシ化
合物又はジハロアルカンとアミノ酸とを反応せしめて得
ることができる。
【0019】本発明の新規ポリアミノ酸合成反応に用い
られるポリエポキシ化合物としては、オキシラン基を2
つ以上有する化合物であれば良いが、具体的に例示する
と、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチ
レングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレング
リコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシ
ジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ソル
ビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトー
ルポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジ
ルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等
の脂肪族系ポリエポキシ化合物、ハイドロキノンジグリ
シジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテ
ル、エポキシノボラック等の芳香族系ポリエポキシ化合
物を挙げることができる。これらは、一種類を単独に用
いることもできるし、また二種類以上を併用することも
できる。また、ポリエポキシ化合物は市販の試薬を用い
ても良いが、2つ以上の水酸基を有するポリオール化合
物とエピクロロヒドリンを水酸化ナトリウム等の塩基性
触媒存在下、加熱して合成することもできる。
【0020】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体に用いら
れるアミノ酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸
等の酸性アミノ酸、リジン、アルギニン、オルニチン等
の塩基性アミノ酸、そしてグリシン、アラニン、β−ア
ラニン、γ−アミノ酪酸、バリン、ロイシン、イソロイ
シン、セリン、スレオニン、フェニルグリシン、フェニ
ルアラニン、トリプトファン等の中性アミノ酸を挙げる
ことができる。これらのアミノ酸は、一種類を各々単独
で用いることもできるし、二種類以上を混合して用いる
こともできる。
【0021】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体を作製す
る際、アミノ酸として塩基性アミノ酸を用いると1分子
当たりに有する遊離のアミノ基の数が多く、高分子量の
新規ポリアミノ酸誘導体を得易い。酸性又は中性アミノ
酸を用いて新規ポリアミノ酸誘導体を作製する際、塩基
性アミノ酸を併用すると高分子量の新規ポリアミノ酸誘
導体を得ることができる。
【0022】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体に用いら
れるアミノ酸は、L体、D体およびラセミ体のいずれで
も良いが、好ましくは工業的に容易に入手できるラセミ
体またはL体、更に好ましくは生成物の生分解性の点で
L体である。
【0023】エピクロロヒドリン及び/又はポリエポキ
シ化合物とアミノ酸との反応(本発明の新規ポリアミノ
酸誘導体の合成反応)は0〜200℃で行えばよいが、
好ましくは40〜150℃で行うと良い。40℃以下、
特に0℃以下で反応を行うと反応が遅く反応時間が長く
なってしまう。150℃以上、特に200℃以上である
と製品に着色を来す。反応は着色を抑える為に窒素気流
下で行っても良い。
【0024】エピクロロヒドリン及び/若しくはポリエ
ポキシ化合物とアミノ酸との反応比は、エピクロロヒド
リンxモルとエポキシ官能基がz個のポリエポキシ化合
物yモルに対してアミノ酸2/3×(x+y×z/2)
〜4/3×(x+y×z/2)モル、より好ましくは3
/4×(x+y×z/2)〜5/4×(x+y×z/
2)モル用いると良い。アミノ酸が3/4×(x+y×
z/2)モル以下、若しくは5/4×(x+y×z/
2)モル以上、特に2/3×(x+y×3/2)以下、
若しくは4/3×(x+y×3/2)モル以上に用いる
と低分子量の小さい化合物多く生成してしまう。
【0025】因みに、前掲特開平9−194448号公
報に記載の(ジアミン型)ポリアミノ酸は原料として、
本発明におけると同様にエピクロルヒドリンとアミノ酸
とを反応させて得られるが、このポリアミノ酸1分子に
含まれるアミノ酸の数は2個(2分子)である。
【0026】詳述すると、同公開公報の記載によれば、
ジハロアルカン又はエピクロロヒドリンのアミノ酸に対
する使用量は0.5〜10倍モル、好ましくは1〜5倍
モルであり(同公報段落0017)、反応の進行をHP
LCを用いて追跡し、アミノ酸が消滅した時点で反応を
停止させ、晶析により2量体を単離している(同003
5)。これに対し、本発明では1分子に含まれるアミノ
酸が2個より高分子量のものを得るため、反応に供する
両者の割合はできるだけ1:1(モル比)が好ましく、
又長時間反応させることにより高分子量化している。
【0027】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体のこのよ
うな合成反応において塩基を用いてアルカリ性条件下で
行うのが好ましい。詳述すると、1)アミノ酸pモルと
エピクロロヒドリンqモルの反応において、0〜(2p
+q+2)モルの塩基を用いると良く、より好ましく
は、a)アミノ酸が酸性アミノ酸の場合は(2p+q)
〜(2p+q+1)モル、b)アミノ酸が中性アミノ酸
の場合は(p+q)〜(p+q+1)モル、そしてc)
アミノ酸が塩基性アミノ酸の場合q〜(p+q+1)モ
ルの塩基を用いると良い。また、2)アミノ酸rモルと
ポリエポキシ化合物sモルの反応において、0〜(2r
+1)モルの塩基を用いると良く、より好ましくは、
a)アミノ酸が酸性アミノ酸の場合は2r〜(2r+
1)モル、b)アミノ酸が中性アミノ酸の場合はr〜
(r+1)モル、そしてc)アミノ酸が塩基性アミノ酸
の場合は0〜(r+1)モルの塩基を用いると良い。な
お、エピクロロヒドリンとポリエポキシ化合物を併用す
る場合は、使用するエピクロロヒドリンとポリエポキシ
化合物のモル比に応じて塩基の使用量を決定すると良
い。塩基を上記の適正量以下で反応を行うと反応が遅く
副反応が生じ、逆に多すぎるとエピクロロヒドリンやポ
リエポキシ化合物の加水分解が生じたり、生成物の中和
(後処理)を行う必要が生じるので、いずれも好ましく
ない。なお、実際の操作においては、反応進行中、pH
を8〜11程度、より好ましくは9〜10程度に調整し
ながら行うのがよい。これにより、より高分子量化した
ポリアミノ酸誘導体を得ることができる。
【0028】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体の合成反
応において用いられるこのような塩基としては、例えば
水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等
のアルカリ金属水酸化物、トリエタノールアミン等を挙
げることができる。これらの中ではアルカリ金属水酸化
物がアミノ酸のアミノ基より塩基性の高い化合物である
ので好ましい。
【0029】反応で過剰に投入したエピクロロヒドリン
及び/またはポリエポキシ化合物を分解させるためには
上記塩基の存在下に加熱をするとよい。これによりエピ
クロロヒドリン、ポリエポキシ化合物等のエポキシ基を
有する化合物が分解せしめられる。
【0030】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体合成反応
において用いられる塩基は、用いる塩基の一部または全
てを予めアミノ酸と反応させてアミノ酸塩の形で用いて
も良い。
【0031】因みに、前掲米国特許第3,989,63
6号明細書に記載の共重合体ポリアミノ酸は原料とし
て、本発明におけると同様にエピクロロヒドリンとアミ
ノ酸とを反応させて得られるが、このポリアミノ酸1分
子に含まれるアミノ酸の数は2〜3個であると記載され
ている。
【0032】本発明者は、ポリアミノ酸誘導体1分子に
含まれるアミノ酸の数を増加せしめてより高分子量化す
るべく研究した結果、このようなアミノ酸の数を増加さ
せる要因として、(1)反応進行中に反応混合物のpH
を8〜11程度、より好ましくは9〜10程度に調整す
ること(アミノ酸及び反応中に生ずるハロゲン(ジハロ
アルカン、エピクロロヒドリン等の場合)を中和するこ
と)、(2)架橋剤(エピクロロヒドリン等)を滴下し
て加え、しかも滴下速度をゆるやかにすること、(3)
アミン化合物を添加すること、等のあることを見出し
た。更に、アミノ酸数が4以上の高分子量化されたポリ
アミノ酸誘導体は各種用途に、より優れた効果を発揮す
ることも見出した。
【0033】上記米国特許明細書には、エピクロロヒド
リンを滴下した旨の記載はなく、pH調整およびアミン
添加の記載もない。更に、アスパラギン酸を用いた実施
例においては、塩基の使用量が少なく、充分なアルカリ
性条件下で反応が行われていない。従って、上記米国特
許明細書に記載の方法で得られている共重合体ポリアミ
ノ酸は、同明細書に記載の通り、アミノ酸数が2〜3個
のものであると考えられる。
【0034】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体の合成反
応は、通常、溶媒を使用して行われる。このような反応
溶媒としては、アミノ酸とエピクロロヒドリン及び/又
はポリエポキシ化合物とが溶解または懸濁するものであ
れば良く、メタノール、エタノール、イソプロパノール
等のモノアルコール類、グリセリン、エチレングリコー
ル等の多価アルコール類、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル等のポリエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン
等のケトン類、ジメチルフォルムアミド、 N−メチル
ピロリドン等のアミド類、酢酸エチル、蟻酸メチル等の
エステル類、ジメチルスルフォキサイド、水等から選ば
れる一種類または二種類以上の混合物(混合溶媒)を用
いると良い。
【0035】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体を製造す
る際、アミン化合物を添加しても良く、これにより容易
に高分子量の化合物を得ることができる。これは、アミ
ン化合物がその有するアミノ基を介して一部のエピクロ
ロヒドリン及び/又はポリエポキシ化合物と反応して本
発明の新規ポリアミノ酸誘導体に取り込まれていること
によるものと考えられる。
【0036】本発明で用いられる、このようなアミン化
合物としては、エチレンジアミン、トリエチレンテトラ
ミン、ポリエリレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビ
ニルアミン等の脂肪族ポリアミン、アンモニア、メチル
アミン、エチルアミン等の1級モノアミン等が挙げられ
る。
【0037】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体をジハロ
アルカンとアミノ酸との反応により作成する場合のジハ
ロアルカンとしては、ジクロロエタン、ジブロモエタ
ン、ジクロロプロパン、ジブロモプロパン等の低級ジハ
ロアルカンを挙げることができる。アミノ酸は、先に挙
げたものと同じである。
【0038】このような反応は、例えば、次のようにし
て行うことができる。すなわち、水酸化ナトリウム等の
塩基の存在下、ジハロアルカンとアミノ酸とを、前者の
ハロゲン原子と後者のアミノ基の水素原子とからの脱ハ
ロゲン化水素反応の反応に付することで行うことができ
る。
【0039】以上のようにして合成される本発明の新規
ポリアミノ酸誘導体は、例えば、アミノ酸が中性または
酸性アミノ酸の場合、用いた塩基の塩として得られる。
この塩は、用途により必要に応じて酸で処理して遊離酸
の形態とすることもできるし、また塩交換反応により他
の金属の塩など、他の対イオンの塩にすることもでき
る。
【0040】かくして、本発明の新規ポリアミノ酸誘導
体の一部としては、下記一般式(7)〜(9)のいずれ
かで示されるポリアミノ酸誘導体が含まれる。
【0041】
【化6】
【0042】式中、Bはアミノ酸側鎖(アミノ酸分子か
らα−炭素原子をそれに結合しているアミノ基およびカ
ルボキシル基と共に除いた残基を云い、アミノ酸が酸性
アミノ酸の場合、B自体にも−COOMの構造が含まれ
る)を示し、Mは水素原子または対イオン、すなわち、
ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マグネシウ
ム、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウ
ム、亜鉛などの典型金属、鉄、ニッケル、ルテニウム、
ロジウム、パラジウム、白金などの還移金属、プロトン
化したトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モ
ノエタノールアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミ
ン、モノエチルアミン、ジメチルラウリルアミン、アン
モニアなどの4級アミン等を示し,nは4以上の整数を
示し、kは1〜10の整数を示し、そしてAは前記式
(4)〜(6)のいずれかを示す。本発明に係わる用途
には、Mとしては水素原子、アルカリ金属および4級ア
ミンが好ましい。
【0043】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体はNMR
分光法によるその数平均分子量は100,000以下が
好ましく、より好ましくは10,000以下である。数
平均分子量が100,000以上であると水、アルコー
ルなどの溶剤中での安定性を欠くことがある。
【0044】また、本発明の新規ポリアミノ酸誘導体
は、様々なpHで用いることができ、使用時に又は予め
塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機系酸性物質やクエン
酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機系酸性物
質、或いは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
リチウム、水酸化マグネシウム等の無機系塩基性物質や
トリエタノールアミン、トリエチルアミン、アンモニア
等の有機系塩基性物質でpHを調整しても良い。
【0045】次に、本発明の新規ポリアミノ酸誘導体の
用途について説明する。
【0046】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体は、上述
の通り、粉体の表面処理剤、塗料やインキの顔料分散
剤、金属イオンのキレート剤、化粧料、防錆剤等に用い
ることが出来るが、酸性アミノ酸を用いて製造された新
規ポリアミノ酸誘導体は特に分散剤(無機顔料)、表面
処理剤(無機顔料)、キレート剤(Ca、Mgなど)、
化粧料(保湿剤)などで有用であり、一方、特に塩基性
アミノ酸を用いて製造された新規ポリアミノ酸誘導体は
分散剤(有機顔料)、表面処理剤(有機顔料)、キレー
ト剤(Fe、Cuなど)、化粧料(毛髪処理)などで有
用である。
【0047】本発明の分散剤は、上に説明した本発明の
新規ポリアミノ酸誘導体を有効成分としたものである。
本発明の分散剤は、粉体を利用するあらゆる分野で用い
ることができ、樹脂複合材料、塗料、インキ、化粧料な
どにおける粉体の分散に用いられる。樹脂複合材料は、
自動車部品、電機部品、構造材料などの素材として用い
られる。塗料やインキは、着色や記録を目的とし、紙、
プラスチック、木材等に塗布されて用いられる。化粧料
には、ファンデーション、乳液、口紅等に用いられる粉
体を分散させることを目的に用いられる。
【0048】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体を分散剤
として用いる場合、粉体に対して新規ポリアミノ酸誘導
体換算にて0.01〜200重量%使用される。
【0049】本発明の分散剤を用いて分散に処せられる
粉体を例示すれば、二酸化チタン、酸化鉄、硫化カドミ
ウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、
クレー、タルク、黄鉛、カーボンブラックなどの無機顔
料、ならびにアゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオイン
ジゴ系、インダンスロン系、キナクリドン系、アントラ
キノン系、ベンゾイミダゾロン系、ペリレン系、ペリノ
ン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン
系、アントラピリジン系、ジオキサジン系などの有機顔
料が挙げられる。
【0050】前述のように、酸性アミノ酸を用いた新規
ポリアミノ酸誘導体は無機顔料との相性が良く、そして
塩基性アミノ酸を用いた新規ポリアミノ酸誘導体は有機
顔料との相性が良い。
【0051】樹脂複合材料とは、樹脂と粉体からなるも
のであり、用いられる樹脂としてはポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン共重合物などの熱可塑
性樹脂;アクリル樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ
樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化樹
脂;等のあらゆる樹脂が用いられる。粉体は、本発明の
分散剤を用いて分散に処せられる上述の粉体と同様であ
る。
【0052】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体を樹脂複
合材料に用いる場合、必要に応じてまたは所望により酸
化防止剤、滑材、難燃剤等の樹脂添加剤を併用しても良
い。
【0053】塗料およびインキとは、(着色)塗料、印
刷インキ、複写用トナーなどの着色や記録を目的にして
いるものが挙げられる。本発明に係わる塗料やインキ
は、本発明の顔料分散剤を含有することを除いては、従
来の塗料やインキとは、その組成及び調製法において異
なるところはない。塗料やインキが、樹脂、顔料、顔料
分散剤、有機溶剤、その他適宜の添加剤などからなるこ
とは周知の通りである。
【0054】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体は親水性
が高いため、エマルション塗料、エマルションインキ、
水溶性塗料、水溶性インキ等の塗料やインキに対して特
に相性が良い。
【0055】なお、着色塗料は、樹脂などの塗膜形成主
要素、主要素に少量加えられる塗膜形成副要素(以上、
両要素は併せて塗膜要素(不揮発分)と称される)、お
よび溶剤または希釈剤の塗膜助要素(塗膜要素およぴ塗
膜助要素は併せて透明塗料(展色剤)と称される)に粉
体(顔料)を加え、混練して製造される。インキは、樹
脂を溶剤に溶解した展色剤に顔料を加えて製造される。
複写用トナーは、樹脂と磁性材料を混練することにより
製造される。
【0056】本発明では、これらの組成物に本発明の新
規ポリアミノ酸誘導体を加えることで優れた塗料やイン
キを作製することができるのである。
【0057】塗料やインキにおいて本発明の分散剤の適
用される樹脂としては、アルキッド樹脂、ポリエステル
樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹
脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、メラミン樹脂、ベン
ゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、フェノ
ール樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン樹脂等、広範囲の
樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】本発明の分散剤は、これと顔料、樹脂、溶
剤、その他添加剤などと混練して直接顔料含有樹脂組成
物を調製することもできるが、また、いわゆる顔料分散
ベースの形態とした後に、これと樹脂、溶剤などとを使
用して塗料、インキとすることもできる。
【0059】顔料分散ベースは、本発明の顔料分散剤、
顔料及び有機溶剤の3成分で構成されても良いし、その
3成分に分散用樹脂(造膜用樹脂)の一部または全部を
加えた4成分、更には消泡剤や表面調整剤等の添加剤を
加えた成分から構成されても良いことは、従来の顔料分
散ベースと同じである。
【0060】なお、本発明の顔料分散ベースはさらに分
散用樹脂やその他の樹脂を加えることで塗料として使用
できるし、そのままで塗料やインキとして使用すること
もできる。
【0061】塗料やインキにおける溶剤としては、トル
エン、キシレン、高沸点石油炭化水素、n−ヘキサン、
シクロヘキサン、n−ヘプタンなどの炭化水素系溶剤、
塩化メチレン、クロロホルム、ジクロルエタンなどのハ
ロゲン化炭化水素系溶剤、ジオキサン、テトラヒドロフ
ラン、ブチルエーテル、ブチルエチルエーテル、ジグラ
イムなどのエーテル系溶剤、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤、酢
酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチル
エーテルアセテート、2−メトキシプロピルアセテート
などのエステル系溶剤、メチルアルコール、エチルアル
コール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、
t−ブチルアルコール、アミルアルコール、n−ヘキシ
ルアルコール、n−ヘプチルアルコール、2−エチルヘ
キシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルア
ルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサール、ベ
ンジルアルコール、p−t−ブチルベンジルアルコール
などのアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチ
ルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、
エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレング
リコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエ
ーテなどのアルキレングリコールのモノエーテル系溶剤
の他、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドな
どのアミド系溶剤、水、等が挙げられ、これらは顔料分
散ベース又は塗料やインキの用途により適宜選択され、
またこれらは単独または2種以上を混合して適宜使用す
ることができる。
【0062】上記の顔料分散ベース並びに塗料及びイン
キは、所要の成分原料をロールミル、ボールミル、サン
ドグランドミル、ペイントシェーカー、ニーダー、ディ
ゾルバー、超音波分散機などを、顔料分散ベース並びに
塗料及びインキそれぞれの用途に応じて、適宜用いて分
散することで作製できる。
【0063】この場合、後に説明する表面処理粉体を樹
脂と混練してもよく、また顔料分散剤、粉体および樹脂
を同時に混練するインテグラルブレンド法をもちいても
良い。
【0064】本発明に係わる塗料及びインキは、その作
成に当り有機溶剤の量を適宜加減することにより、その
まま使用に供し得る濃度のものとして流通に置くことも
できるし、また濃厚物の形態で流通に置き、購入者にお
いて溶剤で薄めて適当な濃度に調整して使用することも
できることはもちろんである。
【0065】本発明の表面処理粉体は、本発明の新規ポ
リアミノ酸誘導体で表面処理を行った粉体であり、この
ような処理粉体は塗料、インキ、樹脂複合材料、化粧料
等のあらゆる分野で用いることができる。表面処理の方
法自体には、特別の制限はなく、通常の粉体の表面処理
に用いられる方法に準ずることができる。例えば、ヘン
シェルミキサー、ボールミル、アトマイザー、コロイド
ミル、バンバリミキサ等を用いた乾式法、及び溶剤中で
処理した後、溶剤を除去する湿式溶剤法を適宜用いるこ
とができる。湿式溶剤法で用いる溶剤を例示するなら
ば、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール
類、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどのエーテ
ル類、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、
酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、水等を挙げ
ることができる。
【0066】本発明の表面処理粉体を作製する場合、粉
体に対して新規ポリアミノ酸誘導体換算にて0.01〜
200重量%使用される。
【0067】表面処理に付せられる粉体は、特に限定さ
れず、本発明の分散剤を用いて分散に処せられる先に説
明した粉体と同様のものを挙げることができる。すなわ
ち、例示すれば、二酸化チタン、酸化鉄、硫化カドミウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、ク
レー、タルク、黄鉛、カーボンブラックなどの無機顔
料、ならびにアゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオイン
ジゴ系、インダンスロン系、キナクリドン系、アントラ
キノン系、ベンゾイミダゾロン系、ペリレン系、ペリノ
ン系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン
系、アントラピリジン系、ジオキサジン系などの有機顔
料が挙げられる。
【0068】本発明のキレート剤は、本発明の新規ポリ
アミノ酸誘導体を有効成分としたものである。本発明の
キレート剤は、Ca、Mg、Fe、Cu等の金属イオン
をキレート(化合物)化する必要のあるあらゆる分野で
用いることができ、洗浄剤、冷却水処理、ボイラー水処
理、脱塩、フラッシュエバポレータ等に用いることがで
きる。
【0069】本発明のキレート剤の使用量は用いる水中
に含まれる金属イオンの存在量によって異なるが、Ca
イオンの場合、キレートするCaイオン1gに対して固
形分換算で1〜2000mg用いると良い。
【0070】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体を用いる
ことにより毛髪や肌に湿潤性を与える本発明の化粧料
は、種々の形態に調製することができる。例えば、シャ
ンプー、リンス、トリートメント、ヘアコンディショナ
ー、ヘアローションなどの毛髪化粧料;クレンジング
料、マッサージクリームなどの基礎化粧品;及びボディ
ーシャンプーなどの身体洗浄剤、殺菌洗浄剤、台所用洗
剤、洗濯洗剤などの各種化粧料(化粧料配合組成物)に
用いることができる。いずれも、本発明の新規ポリアミ
ノ酸誘導体の毛髪や肌に湿潤性を与える特性を利用した
ものである。
【0071】酸性アミノ酸を用いた新規ポリアミノ酸誘
導体は、湿潤性の点で特に優れ、そして塩基性アミノ酸
を用いた新規ポリアミノ酸誘導体は毛髪をしっとり落ち
つかせ、毛髪に光沢を付与し、髪をまとめやすくすると
同時にトリートメント効果を併せもつ。
【0072】これらの化粧料(配合組成物)における、
本発明の新規ポリアミノ酸誘導体の使用量は、用途、剤
型などにより適宜決定できるが、化粧料に占める割合は
通常は重量比で0.1〜95%の範囲で使用される。
【0073】なお、このような化粧料(配合組成物)に
おいて、本発明の効果を阻害しない範囲において化粧料
に通常用いられる界面活性剤を添加することももちろん
できる。例えば、高級脂肪酸、ポリオキシアルキルエー
テル硫酸塩、N−アシルアミノ酸カルボン酸塩、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシ
ルタウリン塩、スルホコハク酸系界面活性剤等の陰イオ
ン界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、
高級脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイ
ン、イミダゾリン系界面活性剤等の両性イオン型界面活
性剤、アルキルサッカロイド系界面活性剤、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル系界面活性剤、高級脂肪酸ア
ルカノールアミド、アミンオキシド等の非イオン型界面
活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、
N−アシルアルギニン低級アルキルエステルピロリドン
カルボン酸塩等のカチオン型界面活性剤、等である。
【0074】なお、上記の界面活性剤の他にも、化粧料
に通常使用される各種添加剤を添加することができる。
例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトー
ル等の保湿剤、グリセリンモノステアレート、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノラウレート等の乳化剤、流動
パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素、イソ
プロピルミリステート、ミリスチン酸オクチルドデシル
等のエステル類、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース
等のセルロース誘導体、アクリル酸系ポリマー等のアニ
オンポリマー、各種シリコン誘導体、カチオン系ガーガ
ム等のカチオン系ポリマーを配合する事ができる。ま
た、必要に応じてまたは所望により、パラベン誘導体等
の防腐剤、香料、色素、粘度調整剤、パール化剤、酸化
防止剤、殺菌剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、pH調整
剤、生薬などの薬剤、等を配合することができる。
【0075】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体の防錆剤
としての用途については、次の通りである。防錆剤とし
ての用途;具体的にはa)金属加工油剤(金属切削用油
剤、研磨用油剤、圧延用油剤)、b)工業用潤滑剤、
c)燃料油、d)金属表面保護剤に添加して用いられ
る。より詳しくは、金属加工油剤とは金属を加工する際
に工作機の摩耗劣化を防ぎ、加工スピードを高めるため
に用いられ、加工後の金属に防錆性が求められる。工業
用潤滑剤は機械等の金属が回転、摩擦する部分の摩擦を
低下させる為に用いられ、錆の発生は機械に重大な問題
を引き起こす。燃料油は自動車や飛行機、船等の燃料で
あり、エンジンルームの防錆は重要である。金属表面保
護を目的とし金属加工後の金属表面の防錆を行う為、塗
膜、油膜を塗布する。
【0076】本発明の防錆剤をa)金属加工油剤(金属
切削用油剤、研磨用油剤、圧延用油剤)、b)工業用潤
滑剤、c)燃料油、d)金属表面保護剤として用いる際
に、種々の添加剤を添加しても良く、具体的には界面活
性剤、消泡剤、酸化防止剤、防腐剤、防錆剤、有機また
は無機インヒビター、清浄分散剤、極圧剤(摩耗防止
剤)、粘度指数向上剤、流動点降下剤、脂肪酸、油脂、
塩基性化合物等が挙げられる。
【0077】界面活性剤としては、特に限定されない
が、アニオン型、カチオン型、ノニオン型、両性型のい
ずれを使用しても良い。アニオン型としては、オレイン
酸トリエタノールアミン塩、ラウリン酸Na塩、リシノ
ール酸Na塩等の脂肪酸系、N−ラウリルザルコシンN
a塩、N−ラウリルグルタミン酸Na塩、N−ラウリル
グルタミン酸トリエタノールアミン塩等のアミノ酸系、
ラウリルスルホン酸Na塩、ノニルフェニルスルホン酸
Na塩、ナフタリンスルホン酸Na塩等のスルホン酸
系、2−エチルヘキシルリン酸Na塩等のリン酸エステ
ル系、ナフテン酸Na塩等が挙げられる。カチオン型と
してはアルキルアミノトリアゾール類、アルキルオキサ
ゾリン類、アルキルアミン類、アマイド類が挙げられ
る。ノニオン型としては、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエ−テル、ポリエチレングリコールモノ脂肪酸
エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レンアルキルアミド等が挙げられる。両性型としては、
コハク酸アルキルベタイン、N−アルキルトリグリシン
等が挙げられる。
【0078】消泡剤としては、特に限定されないが、シ
リコン系、オレイルアルコール等のアルコール系、ポリ
メタクリレート等のポリアクリレート系、トリブチルホ
スフェート等のリン酸エステル系が挙げられる。酸化防
止剤としては、特に限定されないが、2,6−ジターシ
ャリーブチル−4−メチルフェノール等のフェノール
系、ジオクチルジフェニルアミン等のアミン系、ジンク
ジアリルジチオホスフェート等のジチオリン酸亜鉛系、
ジベンジルサルファイド等の有機硫黄系を挙げることが
できる。防腐剤としては、特に限定されないが、o−フ
ェニルフェノール、2,3,4,6−テトラクロロフェ
ノール等のフェノール類、2−ヒドロキシフェニル−2
−ニトロ−プロパンジオール、ヘキサヒドロ−1,3,
5−トリエチルトリアジン等のホルムアルデヒド供与
体、サリチルアニリド等が挙げられる。清浄分散剤とし
ては、特に限定されないが、アルキルベンゼンスルホン
酸カルシウム等のスルホネート系、アルキルフェノール
サルファイドカルシウム塩等のフェネート系、ポリブテ
ニルコハク酸イミド等のコハクイミド系、アリアルキル
メタクリレート−ビニルピロリドン共重合物を挙げるこ
とができる。極圧剤(摩耗防止剤)としては、特に限定
されないが、高分子脂肪酸トリグリセライド、脂肪酸エ
ステル、油脂重合物、脂肪族アミン、高級アルコール、
塩素化パラフィン等の塩素化物類、ジアルキルジサルフ
ァイド、硫化テレピン等の硫黄化合物、ジチオリン酸亜
鉛等が挙げられる。粘度指数向上剤としては、特に限定
されないが、ポリアルキルメタクリレート、ポリイソブ
チレン、ポリエチレンポリプロピレンコポリマー等の化
合物が挙げられる。流動点降下剤としては、特に限定さ
れないが、ポリアルキルメタクリレート、塩素化パラフ
ィンとナフタリンの縮合物等が挙げられる。脂肪酸とし
ては、特に限定されないが、オレイン酸、ステアリン
酸、ラウリン酸等が挙げられる。油脂としては、特に限
定されないが、ひまし油、なたね油、ラード油、鯨油、
大豆油等が挙げられる。塩基性化合物としては、特に限
定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム
等の無機系塩基性物質やトリエタノールアミン、トリエ
チルアミン、アンモニア等の有機系塩基性物質が挙げら
れる。
【0079】本発明の新規ポリアミノ酸誘導体が上に説
明した用途に適するメカニズムは、例えば、分散剤の場
合は、本発明のポリアミノ酸誘導体は一分子中に多くの
アミノ基とカルボキシル基を有するため、顔料の表面に
良く吸着し電気的反発により良い分散状態が得られ、更
にポリマーであることより立体的反発による分散効果を
得易いことにあるものと考えられる。
【0080】本発明者は、1分子中に4個以上のアミノ
酸を含む新規ポリアミノ酸誘導体は、上に説明したよう
に、キレート剤、顔料分散剤、粉体の表面処理剤、化粧
料の湿潤剤、防錆剤等の用途を有することを見いだした
が、本発明者の更なる知見によれば、1分子中に含まれ
るアミノ酸の個数(ユニット数)が2〜4未満であって
も、同様の構造を有するポリアミノ酸誘導体(前掲米国
特許第3,989,636号明細書)は、同様の用途に
供され得る。ポリアミノ酸に含まれるアミノ酸の個数に
関しては、前記各種の用途については、4以上が好まし
く、更に好ましくは5以上、更に好ましくは6以上、更
に好ましくは7以上である。
【0081】なお、本発明におけるポリアミノ酸誘導体
を合成するに当たっては、通常単一組成のものは得られ
ず、一分子中に含まれるアミノ酸の数が異なる誘導体の
混合物として得られる。これらはクロマトグラフィー等
の手法により単一組成のものに精製して用いることもで
きるが、実際の使用に当たっては混合物のまま用いるの
が通常と考えられる。このようなポリアミノ酸誘導体の
混合物の一分子当たりの平均アミノ酸数は3を超えるも
のが好ましく、更には4を超えるものが好ましく、更に
は5を超えるものが好ましく、更には6を超えるものが
好ましい。
【0082】
【実施例】次に、本発明に係わるポリアミノ酸誘導体並
びにそれを用いた分散剤、粉体表面処理剤、キレート剤
及び化粧料について、その内容を実施例及び比較例を挙
げて詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明の技
術的範囲を限定するものではなく、本発明の内容をより
明確に例示するためにのみ使用される。又、各例におけ
る「部」および「%」はいずれも重量基準によるもので
あり、「モル」はモル比を意味する。
【0083】実施例1 温度計、攪拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、グルタミン酸(味の素社製)29.43部
(0.2モル)、水酸化ナトリウム(純正化学社製)1
6.0部(0.4モル)及び水200部を仕込み、窒素
気流下で、エピクロロヒドリン(純正化学社製)18.
5部(0.2モル)をすばやく滴下して1時間放置後、
加熱して還流しながら3時間保持して反応させ、IR分
光法(infrared spectroscopy)でエポキシ基由来の特
性吸収が消失したことをを確認して反応を終了した。な
お、数平均分子量(Mn)をNMR分光法(nuclear ma
gnetic resonance spectroscopy)による面積より算出
し、またGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)でPE
G(ポリエチレングリコール)を標準物質に使用して測
定した。因みに、このようにして生成した化合物は、ア
ルキレン基が前記式(2)のポリアミノ酸誘導体であ
る。
【0084】IR(cm−1);3350,1570,
1410,1350,1040. Mn;850(NMR)、800(GPC)。
【0085】実施例2 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、グルタミン酸(味の素社製)29.43部
(0.2モル)、水酸化ナトリウム(純正化学社製)
8.0部及び水200部を仕込み,pHが10になるよ
うに27%NaOH水溶液を滴下しながら窒素気流下
で、エピクロロヒドリン(純正化学社製)18.5部
(0.2モル)をゆっくり滴下して1時間放置後、加熱
して還流しながら3時間保持して反応させ、IRでエポ
キシ基由来の特性吸収が消失したことを確認して反応を
終了した。なお、数平均分子量(Mn)を実施例1にお
けると同様にして求めた。因みに、このようにして生成
した化合物も、アルキレン基が前記式(2)のポリアミ
ノ酸誘導体である。
【0086】IR(cm−1);3350,1570,
1410,1350,1040. Mn;3,000(NMR)、2,800(GPC)。
【0087】実施例3 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、リジン塩酸塩(味の素社製)54.8部
(0.3モル)、水酸化ナトリウム(純正化学社製)1
8部(0.45モル)及び水200部を仕込み、pHが
10になるように27%NaOH水溶液を滴下しながら
窒素気流下で、エピクロロヒドリン(純正化学社製)2
7.75部(0.3モル)をゆっくり滴下して1時間放
置後、加熱して還流しながら3時間保持して反応させ、
IRでエポキシ基由来の特性吸収が消失したことを確認
して反応を終了した。なお、数平均分子量(Mn)をN
MR分光法による面積より算出した。因みに、このよう
にして生成した化合物は、アルキレン基が前記式(2)
のポリアミノ酸誘導体である。
【0088】IR(cm−1);3400,1560,
1470,1410,1320,1025〜1125. Mn;4,500(NMR)。
【0089】実施例4 実施例1におけると同じ反応フラスコ内に、グルタミン
酸(味の素社製)29.43部(0.2モル)、水酸化
ナトリウム(純正化学社製)16.0部及び水200部
を仕込み、窒素気流下で、ジエチレングリコールジグリ
シジルエーテル「SR−2EG」(坂本薬品社製)8
7.2部(0.4モル)をすばやく滴下して1時間放置
後、加熱して還流しながら3時間保持して反応させ、I
Rでエポキシ基由来の特性吸収が消失したことをを確認
して反応を終了した。因みに、このようにして生成した
化合物は、アルキレン基が前記式(3)で、そしてAが
前記式(6)のポリアミノ酸誘導体である。
【0090】IR(cm−1);3400,2860,
1460,1410,1350,1250,1020〜
1160,940,860. Mn;750(NMR)。
【0091】実施例5 実施例1におけると同じ反応フラスコ内に、グルタミン
酸(味の素社製)22.07部(0.15モル)、水酸
化ナトリウム(純正化学社製)16.0部及び水200
部を仕込み、窒素気流下で、エピクロロヒドリン(純正
化学社製)18.5部(0.2モル)をすばやく滴下
し、さらにリジン塩酸塩(味の素社製)9.43部
(0.05モル)を加えて1時間放置後、加熱して還流
しながら3時間保持して反応させ、IRでエポキシ基由
来の特性吸収が消失したことをを確認して反応を終了し
た。因みに、このようにして生成した化合物は、アルキ
レン基が前記式(2)のポリアミノ酸誘導体である。
【0092】IR(cm−1);3300,2950,
1550,1410,1330,1120,1040. Mn;880(NMR)。
【0093】実施例6 実施例1におけると同じ反応フラスコ内に、グルタミン
酸(味の素社製)29.43部(0.2モル)、水酸化
ナトリウム(純正化学社製)16.0部及び水200部
を仕込み、窒素気流下で、ジエチレングリコールジグリ
シジルエーテル(「SR−2EG」坂本薬品社製)1
8.5部(0.15モル)をすばやく滴下し、さらにエ
チレンジアミン(純正化学社製)3.01部(0.05
モル)を加えて1時間放置後、加熱して還流しながら3
時間保持して反応させ、IRでエポキシ基由来の特性吸
収が消失したことをを確認して反応を終了した。因み
に、このようにして生成した化合物は、アルキレン基が
前記式(3)で、そしてAが前記式(6)のポリアミノ
酸誘導体である。
【0094】IR(cm−1);3300,2900,
1570,1420,1340,1030〜1150. Mn;4,877(NMR)。
【0095】実施例7 実施例1におけると同じ反応フラスコ内に、アスパラギ
ン酸(味の素社製)20.0部(0.15モル)、グリ
シン(味の素社製)3.8部(0.05モル)、水酸化
ナトリウム(純正化学社製)14.0部及び水200部
を仕込み、窒素気流下で、ジエチレングリコールジグリ
シジルエーテル(「SR−2EG」坂本薬品社製)4
3.6部(0.2モル)をすばやく滴下して1時間放置
後、加熱して還流しながら3時間保持して反応させ、I
Rでエポキシ基由来の特性吸収が消失したことをを確認
して反応を終了した。因みに、このようにして生成した
化合物は、アルキレン基が前記式(3)で、そしてAが
前記式(6)のポリアミノ酸誘導体である。
【0096】IR(cm−1);3150,2900,
1560,1400,1360,1250,1025〜
1160. Mn;1,600(NMR)。
【0097】実施例8 実施例1におけると同じ反応フラスコ内に、アルギニン
(味の素社製)17.4部(0.1モル)、水150部
及びイソプロピルアルコール(純正化学社製)150部
を仕込み、窒素気流下で、グリセリンジグリシジルエー
テル(「SR−GLG」坂本薬品社製)31.6部
(0.15モル)をすばやく滴下して1時間放置後、8
5℃に加熱してこの温度に3時間保持して反応させ、I
Rでエポキシ基由来の特性吸収が消失したことをを確認
して反応を終了した。因みに、このようにして生成した
化合物は、アルキレン基が前記式(3)で、そしてAが
前記式(5)のポリアミノ酸誘導体である。
【0098】IR(cm−1);3300,2870,
1680,1560,1460,1360,1050〜
1150. Mn;604(NMR)。
【0099】実施例9 実施例1におけると同じ反応フラスコ内に、リジン塩酸
塩(味の素社製)54.8部(0.3モル)、水酸化ナ
トリウム(純正化学社製)36部及び水200部を仕込
み、窒素気流下で、エピクロロヒドリン(純正化学社
製)27.75部(0.3モル)をすばやく滴下し、加
熱して還流しながら3時間保持して反応させ、IRでエ
ポキシ基由来の特性吸収が消失したことをを確認して反
応を終了した。因みに、このようにして生成した化合物
は、アルキレン基が前記式(2)のポリアミノ酸誘導体
である。
【0100】IR(cm−1);3400,1560,
1470,1410,1320,1025〜1125. Mn;2,060(NMR)。
【0101】実施例10 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、グルタミン酸(味の素社製)29.43部
(0.2モル)、水酸化ナトリウム(純正化学社製)
8.0部及び水200部を仕込み、pHが10になるよ
うに27%NaOH水溶液を滴下しながら窒素気流下
で、エピクロロヒドリン(純正化学社製)18.5部
(0.2モル)をすばやく滴下して1時間放置後、加熱
して還流しながら3時間保持して反応させ、IRでエポ
キシ基由来の特性吸収が消失したことを確認して反応を
終了した。なお、数平均分子量(Mn)をNMRの面積
より算出した。因みに、このようにして生成した化合物
は、アルキレン基が前記式(2)のポリアミノ酸誘導体
である。
【0102】IR(cm−1);3350,1570,
1410,1350,1040. Mn;1,800(NMR)、2,000(GPC)。
【0103】実施例11 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、グルタミン酸(味の素社製)29.43部
(0.2モル)、水酸化ナトリウム(純正化学社製)1
6.0部(0.4モル)及び水200部を仕込み、窒素
気流下でエピクロロヒドリン(純正化学社製)18.5
部(0.2モル)を非常にすばやく滴下して1時間放置
後、加熱して還流しながら3時間保持して反応させ、I
Rでエポキシ基由来の特性吸収が消失したことを確認し
て反応を終了した。なお、数平均分子量(Mn)をNM
Rの面積より算出した。因みに、このようにして生成し
た化合物は、アルキレン基が前記式(2)のポリアミノ
酸誘導体である。
【0104】IR(cm−1);3350,1570,
1410,1350,1040. Mn;550(NMR)、500(GPC)。
【0105】実施例12 温度計、撹拌機、窒素導入口及び還流管を備えた反応フ
ラスコ内に、グルタミン酸(味の素社製)29.43部
(0.2モル)、水酸化ナトリウム(純正化学社製)1
8.0部(0.6モル)及び水200部を仕込み、窒素
気流下でエピクロロヒドリン(純正化学社製)18.5
部(0.2モル)をすばやく滴下して1時間放置後、加
熱して還流しながら3時間保持して反応させ、IRでエ
ポキシ基由来の特性吸収が消失したことを確認して反応
を終了した。なお、数平均分子量(Mn)をNMRの面
積より算出した。因みに、このようにして生成した化合
物は、アルキレン基が前記式(2)のポリアミノ酸誘導
体である。
【0106】IR(cm−1);3350,1570,
1410,1350,1040. Mn;880(NMRにより算出)。
【0107】(表面処理粉体における評価) 実施例13 二酸化チタン「タイペークCR−50」(石原産業
(株)製)70重量部に実施例1で得られたポリアミノ
酸誘導体2重量部(固形分換算)とメタノール(純正化
学社製)10重量部を混合したものを添加し、ヘンシェ
ルミキサー(三井金属社製)で10分間撹拌した後、真
空乾燥機で2時間乾燥して表面処理粉体を得た。
【0108】この表面処理粉体について、JIS K
6223に従い、流動パラフィン(純正化学社製)を用
いて、吸油量(単位:mg/100g)を測定し、また
粉体の感触(しっとり感)を◎、○、△及び×の4段階
で評価した。これを詳述すると、◎しっとりする、○;
ややしっとりする、△;普通、そして×;劣る、とし
た。結果は後記第1表に示す。
【0109】実施例14 実施例1で得られたポリアミノ酸誘導体を用いる代わり
に実施例4で得られたポリアミノ酸誘導体を用いたこと
を除いては実施例13におけると同様の操作を行って表
面処理粉体を得た。この表面処理粉体について、同実施
例におけると同様の測定および評価をした。結果を後記
第1表に示す。
【0110】実施例15 実施例1で得られたポリアミノ酸誘導体を用いる代わり
に実施例6で得られたポリアミノ酸誘導体を用いたこと
を除いては実施例13におけると同様の操作を行って表
面処理粉体を得た。この表面処理粉体について、同実施
例におけると同様の測定および評価をした。結果を後記
第1表に示す。
【0111】実施例16 実施例1で得られたポリアミノ酸誘導体を用いる代わり
に実施例8で得られたポリアミノ酸誘導体を用いたこと
を除いては実施例13におけると同様の操作を行って表
面処理粉体を得た。この表面処理粉体について、同実施
例におけると同様の測定および評価をした。結果を後記
第1表に示す。
【0112】比較例1 実施例1で得られたポリアミノ酸誘導体を用いる代わり
にラウリン酸(純正化学社製)を用いたことを除いては
実施例13におけると同様の操作を行って表面処理粉体
を得た。この表面処理粉体について、同実施例における
と同様の測定および評価をした。結果を後記第1表に示
す。
【0113】比較例2 実施例1で得られたポリアミノ酸誘導体を用いなかった
ことを除いては実施例13におけると同様の操作を行っ
て表面処理粉体を得た。この表面処理粉体について、同
実施例におけると同様の測定および評価をした。結果を
下記第1表に示す。
【0114】
【表1】
【0115】(分散剤としての評価)下記第2表に代表
的な塗料配合例を示す。
【0116】
【表2】
【0117】実施例17〜23 顔料として、二酸化チタン「タイペークCR−50」
(石原産業(株)製)またはカーボンブラック「MA−
100」(三菱化学(株)製)を用い、さらに増粘剤と
して、「チローゼH10000P」(ヘキスト合成
(株)製;不揮発分=1%)、消泡剤として、「サーフ
ィノール104H」(日信化学(株)製;不揮発分=7
5%)、分散剤として、実施例1、4および7〜9のい
ずれかで作製したポリアミノ酸誘導体(ただし、実施例
21では、本発明のポリアミノ酸誘導体を分散剤として
直接使用する代わりに実施例13で作成した本発明の、
二酸化チタン(顔料)の表面処理粉体を使用)、および
水(脱イオン水)を下記第3表に示す割合で配合し、ホ
モミキサー(特殊機化工業(株)製)を使用して均一に
混合した後、ペイントシェーカー(レッドデビル(株)
製)で顔料分散を行い、顔料ベースを得た。
【0118】得られた顔料ベースは、B型粘度計を使用
して20℃における粘度(6及び60rpm)を測定
し、この粘度の値からチキソトロピーインデックス値
(TI値)(6/60rpm)を求め、この粘度比をレ
オロジー特性の指標とした(粘度とレオロジー特性の把
握)。測定結果も同表に示す。
【0119】次に、上で得た顔料ベースを使用して、同
じく第3表に示す割合で、アクリルエマルション樹脂と
して「ボンコート3990」(大日本インキ化学工業
(株)製;不揮発分=50%)、さらに溶剤として、エ
チレングリコールおよびブチルセロソルブを配合し、ホ
モミキサー(特殊機化工業(株)製)を使用して、均一
になるまで撹拌混合を行って、塗料組成物(エマルショ
ン塗料)を得た。
【0120】更に、得られた塗料組成物は、アセトンに
より脱脂したガラス板にバーコーターを使用して塗布
し、常温で乾燥後、JIS K5400 7.1に従い
塗膜外観の良否を判断した(塗膜特性の把握)。判断結
果も第3表に示す。
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【0123】比較例3〜6 これらの比較例は、分散剤として、本発明のポリアミノ
酸誘導体を使用せずに、一般的に用いられている分散剤
を使用したものである。
【0124】すなわち、顔料として酸化チタン「タイペ
ークCR−50」またはカーボンブラック「MA−10
0」を使用し、分散剤として、「デモールN」若しくは
「ディスコートN−14」を使用しまたは使用せずに、
これらを上記第3表に示す割合で配合し、上記実施例1
7〜23におけると同様な作成方法により、顔料ベース
を得、また、これより塗料組成物(エマルション塗料)
を得た。これらの顔料ベースおよび塗料組成物の諸特性
の把握も同様に行い、結果も上記第3表に併記した。
【0125】(化粧料における評価(その1)−毛髪化
粧料における評価) 実施例24〜25および比較例7〜8 下記第4表に示す組成よりなる化粧料(4種類)を毛髪
10gに対し0.5gの割合で毛髪に塗布したのちの毛
髪のしっとり感、光沢、まとめ易さ及びトリートメント
効果を評価した。トリートメント効果は、コールドウエ
ーブ毛を用いて毛先のバサつきのないものをトリートメ
ント効果があると評価した。比較として、カチオン化セ
ルロース「レオガードGP」(ライオン(株))を用い
た。
【0126】なお、評価は5段階で行った。すなわち、
◎;良い、○;やや良い、△;同等、×;やや劣る、そ
して××;劣る、とした。評価結果も第4表に併記す
る。
【0127】
【表5】
【0128】(化粧料における評価(その2)−湿潤化
粧料としての評価) 実施例26〜27および比較例9 下記第5表に示す組成の化粧料(3種類)を皮膚に塗布
し、感触の変化(しっとり感の付与)を観察した。な
お、評価は5段階で行った。すなわち、◎;良い、○;
やや良い、△;普通、×;劣る、そして××;非常に劣
る、とした。評価結果も、第5表に併記する。
【0129】
【表6】
【0130】(キレート剤としての評価) 実施例28〜34および比較例10〜13 塩化カルシウム(純正化学社製)1.1gを蒸留水に溶
解させて10mlとし、これに、下記第6および第7表
に示すポリアミノ酸誘導体を含むキレート剤を10mg
(固形分換算で)を添加した後、更に蒸留水を加えて9
0mlとした。硫酸ナトリウム(純正化学社製)1.4
2gを蒸留水に溶解させて10mlとした溶液を、上記
混合溶液に撹拌しながら添加し、生じた沈殿物の重量を
測定した。測定結果も同表に併示する。なお、沈殿物が
少ない程キレート力が高いことを示す。
【0131】
【表7】
【0132】
【表8】
【0133】(防錆剤としての評価) 実施例35〜38および比較例14 みがき棒鋼用一般鋼材(JIS G3108準拠)試験片をイオ
ソクタンで洗浄後、研磨布150番で予備研磨後、研磨
布280番で研磨した(研磨布;JIS R 6521準拠)。実
施例1〜3および10で得られたアミノ酸誘導体を各
0.33g(固形分)と水道水330mlを混合し、研
磨済みの試験片を浸漬させて60℃で1時間放置して、
錆の発生状態を観察し、(1)軽微(試験片の表面に直
径1mm以下の錆のはん点が6個を越えない場合)、
(2)中度((1)を超え、試験片の表面の5%以下に
錆が認められる場合)、そして(3)高度(試験片表面
の5%を超える錆が認められる場合)の3段階で評価し
た。結果を下記第8表に示す。
【0134】
【表9】
【0135】
【発明の効果】以上のように、本発明に係わるポリアミ
ノ酸誘導体は分散剤、金属イオンのキレート剤および防
錆剤として優れており、またこのポリアミノ酸誘導体を
用いた表面処理粉体は撥水性が向上せしめられ、化粧料
に配合して用いると毛髪にしっとり感、光沢、まとめ易
さ及びトリートメント効果を付与でき、肌にしっとり感
を付与できることが分かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/00 C09D 201/00 C09K 3/00 108 C09K 3/00 108C C10M 107/40 C10M 107/40 // C10N 30:12

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4個以上のアミノ酸がアミノ基の窒素原子
    を介して架橋基により結合されていることを特徴とする
    新規ポリアミノ酸誘導体。
  2. 【請求項2】該架橋基が水酸基及び/または炭素鎖内に
    エーテル結合を有していてもよいアルキレン基であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の新規ポリアミノ酸誘導
    体。
  3. 【請求項3】該アルキレン基が下記式(1)〜(3)の
    いずれかで示されるものであることを特徴とする請求項
    2記載の新規ポリアミノ酸誘導体。 【化1】 (式(1)中、kは1〜10の整数を示す。また、式
    (3)中、Aは下記式(4)〜(6)のいずれかを示
    す。 【化2】 (式(4)中、jは1〜10の整数を示す。また、式
    (6)中、mは1〜15の整数を示す。))
  4. 【請求項4】下記式(7)〜(9)のいずれかで示され
    るものであることを特徴とする請求項1記載の新規ポリ
    アミノ酸誘導体。 【化3】 (式中、Bはアミノ酸側鎖を示し、Mは水素原子または
    対イオンを示し、nは4以上の整数を示し、kは1〜1
    0の整数を示し、そしてAは前記式(4)〜(6)のい
    ずれかを示す。)
  5. 【請求項5】エピクロロヒドリン及び/又はポリエポキ
    シ化合物とアミノ酸とをエピクロロヒドリンxモルとエ
    ポキシ官能基がz個のポリエポキシ化合物yモルに対し
    てアミノ酸2/3×(x+y×z/2)〜4/3×(x
    +y×z/2)モルの割合で反応して得られうることを
    特徴とする請求項1記載の新規ポリアミノ酸誘導体。
  6. 【請求項6】ポリエポキシ化合物がポリグリシジルエー
    テルであることを特徴とする請求項5記載の新規ポリア
    ミノ酸誘導体。
  7. 【請求項7】アミン化合物を更に添加して反応させるこ
    とを特徴とする請求項5又は6記載の新規ポリアミノ酸
    誘導体。
  8. 【請求項8】NMR分光法による数平均分子量が10
    0,000以下であることを特徴とする請求項1〜7の
    いずれかに記載の新規ポリアミノ酸誘導体。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の新規ポリ
    アミノ酸誘導体を有効成分とすることを特徴とするキレ
    ート剤。
  10. 【請求項10】2個以上のアミノ酸がアミノ基の窒素原
    子を介して架橋基により結合されているポリアミノ酸誘
    導体を有効成分とすることを特徴とする顔料分散剤。
  11. 【請求項11】2個以上のアミノ酸がアミノ基の窒素原
    子を介して架橋基により結合されているポリアミノ酸誘
    導体を用いて表面処理を行ったことを特徴とする表面処
    理粉体。
  12. 【請求項12】2個以上のアミノ酸がアミノ基の窒素原
    子を介して架橋基により結合されているポリアミノ酸誘
    導体を配合してなることを特徴とする化粧料。
  13. 【請求項13】2個以上のアミノ酸がアミノ基の窒素原
    子を介して架橋基により結合されているポリアミノ酸誘
    導体を有効成分とする防錆剤。
  14. 【請求項14】該架橋基が水酸基及び/または炭素鎖内
    にエーテル結合を有していてもよいアルキレン基である
    ことを特徴とする請求項10記載の顔料分散剤、請求項
    11記載の表面処理粉体、請求項12記載の化粧料又は
    請求項13記載の防錆剤。
  15. 【請求項15】前記アルキレン基が前記式(1)〜
    (3)のいずれかで示されるものであることを特徴とす
    る請求項10記載の顔料分散剤、請求項11記載の表面
    処理粉体、請求項12記載の化粧料又は請求項13記載
    の防錆剤。
  16. 【請求項16】2個以上のアミノ酸がアミノ基の窒素原
    子を介して架橋基により結合されているポリアミノ酸誘
    導体のNMR分光法による分子量が100,000以下
    であることを特徴とする請求項10記載の顔料分散剤、
    請求項11記載の表面処理粉体、請求項12記載の化粧
    料又は請求項13記載の防錆剤。
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