JP2000119026A - ガラスゴブの製造方法 - Google Patents

ガラスゴブの製造方法

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JP2000119026A JP10290810A JP29081098A JP2000119026A JP 2000119026 A JP2000119026 A JP 2000119026A JP 10290810 A JP10290810 A JP 10290810A JP 29081098 A JP29081098 A JP 29081098A JP 2000119026 A JP2000119026 A JP 2000119026A
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Tamakazu Yogo
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Masayuki Tomita
昌之 冨田
Hiroyuki Kubo
裕之 久保
Isamu Shigyo
勇 執行
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B7/00Distributors for the molten glass; Means for taking-off charges of molten glass; Producing the gob, e.g. controlling the gob shape, weight or delivery tact
    • C03B7/10Cutting-off or severing the glass flow with the aid of knives or scissors or non-contacting cutting means, e.g. a gas jet; Construction of the blades used
    • C03B7/12Cutting-off or severing a free-hanging glass stream, e.g. by the combination of gravity and surface tension forces

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  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 切断痕、脈理、泡がなく、しかも、光学的品
質の良好なガラスゴブ、特に、比較的小さなガラスゴブ
を容易に得るための製造方法を提供する。 【解決手段】 ノズルから流出する溶融ガラス流を受け
部材で受け、その受け部材で一定重量のガラス溜りを受
けた後に、前記ガラス流と前記ガラス溜りとを分離切断
してガラスゴブを製造する方法において、前記受け部材
にガラス流を受け、所定の重量に達した所で、前記受け
部材を第一の下降速度で下降させて、ガラス流に括れ部
を生じさせた後に、前記受け部材を前記第一の下降速度
より遅い第二の下降速度で下降させ、あるいは、実質的
にゼロ速度とし、その時点で、前記括れ部の箇所で、ガ
ラスの自重とその表面張力により、ガラス流を分離・切
断し、その後、前記受け部材の上のガラス溜りを加熱す
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学用途に用いる
ガラスゴブ(ガラス塊)を、溶融ガラス流から分離・切
断して製造する方法に関し、特に、比較的小さなガラス
ゴブを得る際に、切断痕、脈理、泡などの光学的欠陥を
発生させずに、ガラスゴブを得るための製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、高精度な光学レンズの製造方法と
して、押圧成形によってレンズを成形する方法が実用化
されている。これによれば、非球面ガラスレンズやプリ
ズムが安価に製造可能である。この押圧成形で使用する
ガラス素材としては、冷間で一度、球面や平面に研磨も
しくは切断したものを使用する場合もあるが、更なるコ
ストダウンのためには、溶融ガラス流から分離して得
た、所定の重量のガラスゴブを使用する方法がある。
【0003】従来、溶融ガラス流からガラスゴブを得る
ためには、一対の切断刃を用いて流出口から流下するガ
ラス流を切断する方法が一般的に用いられてきた。この
方法では、ゴブ表面に切断痕が残るので、押圧成形によ
ってレンズを作るには、成形前に予め切断痕を除去する
ための前加工、例えば、研削研磨工程などが必要とさ
れ、この点で、製造時間とコストが増大するという問題
があった。
【0004】これに対して、本発明者らによって、既
に、切断刃を使わず、切断痕を残さずにガラスゴブを得
る方法が提案されている(特開平7−300319号公
報を参照)。これは、流出口から流下する溶融ガラス流
を受け部材で受け、所定の重量に達した所で、前記受け
部材を2段階の下降速度で下降させて、ガラス流が冷え
て固まらない内に、ガラス流を分離・切断するというも
のである。
【0005】即ち、前記受け部材を第一の下降速度で下
降させて、ガラス流に括れ部を生じさせた後に、前記受
け部材を第一の下降速度より遅い第二の下降速度で下降
させ(場合によっては、速度を実質的にゼロとする)、
その時点で、前記括れ部の箇所で、ガラスの自重とその
表面張力により、ガラス流を分離・切断するというもの
である。これによって、例えば、バリウム・ホウケイ酸
ガラスに対して0.5〜10.0gの重量精度が良く、
切断痕のないガスラゴブが得られることが記されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、最近の傾向
として、静止画用、動画用を問わず、カメラの小型化が
進んでおり、これに伴い撮影用レンズを小型化する必要
があって、前述の押圧成形レンズも、従来より更に小さ
なものが要望されている。このためのガラスゴブも、必
然的に従来より小さなものとする必要がある。即ち、前
述のバリウム・ホウケイ酸ガラスで言えば、0.5〜1
0.0g以上のものに加え、更に、0.5g以下、例え
ば、0.15〜0.4g程度の小さなガラスゴブが望ま
れている。
【0007】しかしながら、溶融ガラスは流出口から外
に出た後は、時間と共に、その温度が低下するため、小
さなゴブを得ようとするほど、ガラス流が冷えて固まり
易くなり、分離・切断部が糸引き状態(突起状に残るな
どの)になり、結果として、良好な光学素子用ガラスゴ
ブを得るための分離・切断が困難になるという問題があ
った。
【0008】これを、回避するには、ガラス流の温度
を、予め高くすれば良いと考えられるが、しかし、ガラ
ス流の温度を高くしすぎると、ガラス流が流出口から外
に出た後で、ガラス成分が揮発し易くなり、ガラスゴブ
表面に脈理が発生してしまうことが実験的に解った。ま
た、リボイルと呼ばれている現象であるが、一度、泡を
除去したガラスの温度を再び高くし過ぎると、ガラス中
に溶け込んでいたガス成分が、泡として発生する場合が
り、光学系の素材として不適当となる。
【0009】本発明は、上述の事情に基づいてされたも
ので、その第1の目的とするところは、切断痕、脈理、
泡がなく、しかも、光学的品質の良好なガラスゴブ、特
に、比較的小さなガラスゴブを容易に得るための製造方
法を提供することにある。
【0010】また、本発明の第2の目的とするところ
は、先の目的を達成するための製造条件を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このため、本発明では、
第1の目的達成に際しては、ノズルから流出する溶融ガ
ラス流を受け部材で受け、その受け部材で一定重量のガ
ラス溜りを受けた後に、前記ガラス流と前記ガラス溜り
とを分離切断してガラスゴブを製造する方法において、
前記受け部材にガラス流を受け、所定の重量に達した所
で、前記受け部材を第一の下降速度で下降させて、ガラ
ス流に括れ部を生じさせた後に、前記受け部材を前記第
一の下降速度より遅い第二の下降速度で下降させ、ある
いは、実質的にゼロ速度とし、その時点で、前記括れ部
の箇所で、ガラスの自重とその表面張力により、ガラス
流を分離・切断し、その後に、前記受け部材上のガラス
溜りを加熱することを特徴とする。
【0012】また、このような製造方法において、前記
受け部材上のガラス溜りを加熱するのに、前記受け部材
を上昇させて、ガラス流の輻射熱を用いることが好まし
く、特に、上下に分離・切断されたガラス流の間隙の距
離を、ガラス流の輻射熱を受ける適当な距離に保つよう
に、前記受け部材を上昇させることが、好ましい。
【0013】これにより、ガラス流の具合の良い分離・
切断が達成でき、また、そのガラス溜りを、例えば、ガ
ラス流切断部の上方に位置するガラス流の輻射熱によっ
て、加熱することで、前記ガラス流の切断部を保温でき
るようになる。この結果、ガラス流の温度をあまり高く
設定しなくても、ガラス流の分離・切断が容易になり、
良好な光学素子用のガラスゴブが得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)初めに、本
発明の第1の実施の形態について、図面を用いて説明す
る。図1は本発明で使用する装置の概念図であり、図2
の(a)〜(g)は、本発明の製造方法を工程順に示し
た説明図である。図1において、符号1は溶融ガラスの
収容容器(流出槽)で、ガラス原料の溶融・清澄槽(図
示せず)から溶融ガラス3が連続的に供給され、その液
面2が一定に保たれるようになっている。流出槽1の下
部にはガラス流出ノズル4が設けられていて、流出ノズ
ルの下部は、その径が細くなるように、レデュース部5
が設けられ、その下に先端部6が続き、先端の流出口7
から、ガラス流8が流出されるようになっている。
【0015】流出槽1の大きさは、例えば、内径:11
0mm、高さ:120mmであり、流出ノズル4は内
径:5.5mm、長さ:300mmで、ノズル先端部6
は内径:1.5mm、長さ:5mmである。また、ノズ
ル4と先端部6との間は、内径が5.5mmから1.5
mmに連続的に細くなるように作られたレデュース部5
によって、接合されている。なお、この実施の形態で
は、レデュース部5の長さは8mmとなっている。
【0016】なお、流出槽1、流出ノズル4、レデュー
ス部5、先端部6、ならびに、図示しない溶融・清澄槽
は、いずれも、白金あるいは白金合金で作られている。
流出槽1は、ガラス溶融炉(図示せず)内に設置され、
溶融炉の壁は、耐火物などで構成される耐火断熱部材
(図示せず)で作られていて、炉内の高熱が炉外に漏れ
ないようになっている。流出槽1の周りには、(流出槽
と炉壁の間において)加熱用のヒーター(図示せず)が
配置され、また、流出ノズル4は、前記断熱部材を貫通
して、溶融炉外に露出している。また、図示しないが、
流出ノズル4、レデュース部5、先端部6には、直接、
通電加熱用の電極が複数個、設けられており、それらの
電極を通じて電流を流すことで、流出ノズル4から先端
部6にかけての温度を調節できるようになっている。
【0017】符号10は、ガラス流8を受けるための受
け部材であり、適当な駆動装置(図示せず)により、上
下水平方向に動かすことができる。また、受け部材10
には、ガラス流8から分離・切断されたガラスゴブ21
の下面を所要の形状に成形するためのガラス接触面31
が形成されている。特に、この実施の形態では、受け部
材10の材料に、高密度カーボンを用い、そのガラス接
触面31にはR=2.3mmの曲率に研磨仕上げしたも
のを用いた。
【0018】次に、図1の装置を使用して、光学素子用
のガラスゴブを製造する工程を、図2の(a)〜(g)
を用いて、具体的に説明する。なお、ここで製造される
ガラスゴブの材料には、比重が3.05であり、温度が
1200℃の時に101.6 (dPa・s)、1000℃
の時に102.2 (dPa・s)、890℃の時に10
2.9(dPa・s)、610℃の時に107.6 (dPa
・s)、498℃の時に1013(dPa・s)となるよ
うな粘度特性を持ったバリウム・ホウケイ酸塩系のガラ
スを用いている。
【0019】まず、前記のガラス原料をガラス溶融・清
澄槽(図示せず)に投入し、溶融、清澄(脱泡)し、更
に、均質化された溶融ガラス3を、流出槽1に供給す
る。流出槽内の溶融ガラス3は深さ100mmに保たれ
ていて、その温度は960℃に調整されている。また、
流出ノズル4とレデュース部5は850℃、先端部6は
1180℃とした。この時のガラスの流出速度(ガラス
流先端の流下速度)は1.91mm/秒である。
【0020】この状態のもとで、図2(a)に示すよう
に、受け部材10を流出口7の直下に持って行き、更
に、図2(b)のように、接触面31の中央部が流出口
7から6.8mmの位置になるように、受け部材10を
流出口7に接近させ、ガラス流8bを受ける。次に、溶
融ガラスが、接触面31上に十分に溜まって、ガラス溜
り9aが形成されたところで、図2(c)に示すよう
に、受け部材10を、平均120mm/秒の速度で、6
mm程、下降させて、ガラス流8cに括れ23を発生さ
せる。この状態で、受け部材の位置(高さ)を0.1秒
保つと、括れ23は図2(d)に示すように、ガラスの
表面張力とガラス溜り9cの自重とにより、分離・切断
される。この切断直後には、切断痕20a,20bが発
生する。
【0021】この直後に、図2(e)〜(f)に示すよ
うに、受け部材10を平均75mm/秒の速度で3.7
mm上昇させると、上昇中に、ガラスの表面張力によ
り、切断痕は、ガラス流8fとガラスゴブ30にそれぞ
れ吸収され、ほとんど上昇終了と同時に消滅する(図2
の(f)を参照)。切断痕が消滅した時点で、ガラス流
8fの下面と、ガラスゴブ30の上面との間隔Aは1.
9mmであった。
【0022】なお、受け部材10の上昇が速すぎると、
切断痕21aと21bとが接触してしまい、ガラス流8
eとガラス溜り9dが分離できなくなるのであるが、こ
の実施の態様では、切断痕が吸収されて、間隔Aの広が
る速さと、受け部材10の上昇速度をほぼ等しくしたた
め、そのような問題が発生しなかった。また、この結
果、受け部材の上昇中に、間隔Aは、およそ1.9mm
に保たれていた。
【0023】受け部材10の上昇の後は、その高さで受
け部材を保持することはせずに、直ちに、図2の(g)
に示すように、受け部材10を移動させる。そして、再
び、図2の(a)に示すように、次の受け部材を流出口
7の直下に持って行く。こうして、前述の動作を繰返
し、ガラスゴブを連続して製造するのである。
【0024】この時のタクト(図2の(a)の状態か
ら、再び、図2(a)の状態になるまでに要する時間)
は、平均8.45秒で、しかも、得られたガラスゴブの
重量は0.155g±0.001gの範囲に納まり、重
量的に安定していた。また、ガラスゴブには切断痕がな
く、脈理、泡も認められず、光学的に良好な品質を有し
ていた。
【0025】ここで、比較実験を試みた。第1の比較と
して、受け部材10の上昇速度を遅くしてみた。それ以
外のガラスゴブ製造条件は、基本的に実施例1と同じで
ある。即ち、受け部材でガラス流を受けて、ガラス溜り
を形成した後(図2の(b)を参照)、受け部材を下降
させて、括れ部を形成し(図2の(c)を参照)、その
位置(高さ)で、受け部材を保持して、ガラス流を分離
・切断する(図2の(d)を参照)。その後の受け部材
の上昇速度が、およそ60mm/秒より遅くなると、図
2の(e)に示されるように、切断痕21a、21bの
吸収速度が相対的に速くなり、間隔Aが2mmを越える
ようになった。
【0026】従来、一般に形成される大きさより小さ
な、例えば、この実施の形態のようなガラスでは、0.
5g以下の重量のガラスゴブを得る場合、当然、ガラス
溜り9aも従来より小さくなる。そうすると、ガラス溜
りが速く冷えてしまうから、その輻射熱で、ガラス溜り
の切断痕21bを十分に加熱・保持することができなく
なる。更に、間隔Aが2mmより広くなると、切断痕2
1bは、上方のガラス流8eからの輻射熱をも十分に受
けられず、その結果として、ガラス溜りの上に突起状に
残ってしまった。
【0027】これを補う目的で、ノズル先端部6の温度
を上げてみた。しかしながら、切断痕21bを吸収させ
るには、先端部の温度が、最低でも1220℃以上が必
要であり、この時に得られたガラスゴブを検査すると、
表面に脈理が観察された。これは、ノズル先端温度が高
い分、流出口から外に流出したガラス表面で、ガラス成
分の一部が揮発し易くなり、得られたガラスゴブ表面に
屈折率の変化した部分が生じて、これが脈理として観察
されたと考えられる。
【0028】第2の比較として、ガラス流の切断後に、
受け部材10を上昇させない実験を試みた。それ以外の
ガラスゴブ製造条件は、基本的に本発明の第1の実施の
形態と同じである。即ち、受け部材にてガラス流を受け
て、ガラス溜りを形成した後(図2の(b)を参照)、
受け部材を下降させて、括れ部を形成し(図2の(c)
を参照)、その位置(高さ)で、受け部材を保持して、
ガラス流を分離・切断する(図2の(d)を参照)。こ
の状態のまま、受け部材10を上昇させずに、その高さ
で保持すると、切断痕が吸収されるに連れて、間隔Aが
広がって行き、前記の第1の比較例と同様の理由で、切
断痕20bは、上方のガラス流8dからの輻射熱を十分
に受けられず、結果として、ガラス溜り上に突起状に残
ってしまった。
【0029】ここで、ガラス流(例えば、8d)からの
輻射熱が十分に得られるように、流出ノズル先端部6の
温度を上げてみた。その結果、先端部が1300℃以上
になると、切断痕21bの吸収が可能で、突起状の切断
痕のないガラスゴブが得られたが、しかし、得られたガ
ラスゴブには表面に脈理があると共に、泡が含まれてい
た。脈理の発生理由は、前述の第1の比較実験のところ
で説明した内容と同じである。また、一般に、泡を取り
除いた溶融ガラスの温度を、再び高くし過ぎると、リボ
イルと呼ばれる現象が起こって、ガラス中に溶け込んで
いたガス成分が泡となることが知られている。今回は、
ノズル先端温度が高過ぎるために、所謂、リボイルした
のだと考えられる。
【0030】以上説明したように、本発明によれば、ノ
ズルから流出する溶融ガラス流を受け部材で受け、所定
の重量に達した所で、前記受け部材を下降させて、ガラ
ス流に括れ部を生じさせる。次いで、前記受け部材をそ
の位置で保持させて、その時点で、前記括れ部の箇所
で、ガラスの自重とその表面張力とにより、ガラス流を
分離・切断する。その直後に、上下に分離・切断された
ガラス流とガラス溜りとの間隙の距離が2mm以下を保
つように、前記受け部材を上昇させることにより、前記
ガラス流の切断部を、その上方に位置するガラスからの
輻射熱によって保温できるようになる。この結果、ガラ
ス流の温度をあまり高温にし過ぎなくとも、ガラス流の
分離・切断が容易になるのである。このようにして、切
断痕、脈理、泡を発生させずに、比較的小さなガラスゴ
ブを容易に製造することができるようになる。
【0031】(第2の実施の形態)次に、上述の第1の
実施の形態と同じシステムを用いて、0.4gのガラス
ゴブを連続して製造するための、別の実施態様を以下に
示す。ここでは、受け部材10の材料にはグラッシーカ
ーボンを用い、そのガラス接触面31がR=3.3mm
の曲率の研磨面に仕上げられたものを用いる。また、ガ
ラス原料は第1の実施の形態で使用されたものと同じも
のを用いる。
【0032】まず、上記のガラス原料を、第1の実施の
形態の場合と同様に、ガラス溶融・清澄槽に投入し、溶
融、清澄(脱泡)し、更に、均質化された溶融ガラス3
を流出槽1に供給する。流出槽内の溶融ガラス3は、深
さ:100mmに保たれていて、その温度は960℃に
調整されている。なお、流出ノズル4とレデュース部5
とは960℃、先端部6は1180℃とした。この時の
ガラスの流出速度は、4.17mm/秒であった。
【0033】この状態のもとで、図2の(a)に示すよ
うに、受け部材10を流出口7の直下に持って行き、更
に、図2の(b)に示すように、接触面31の中央部が
流出口7から9.4mmの位置になるように、受け部材
10を流出口7に接近させ、ガラス流8bを受ける。
【0034】次に、接触面31上に、液溜り(ガラス溜
り)9aが形成されたところで、図2の(c)に示すよ
うに、受け部材10を、平均:220mm/秒の第一の
下降速度で10mm下降させて、ガラス流8cに括れ2
3を発生させる。次に、受け部材10を、第2の下降速
度1mm/秒で0.3mm下降させると、第二の下降の
間に、括れ23は、ガラスの表面張力とガラス溜り9c
の自重とにより、分離・切断される(図2の(d)を参
照)。切断直後には、切断痕20a、20bが発生す
る。この直後に、図2の(e)〜(f)に示すように、
受け部材10を平均:130mm/秒の速度で、8mm
上昇させると、上昇中に、ガラスの表面張力により、切
断痕は、ガラス流8fとガラスゴブ30にそれぞれ吸収
され、ほとんど、上昇終了と同時に消滅する(図2の
(f)を参照)。切断痕が消滅した時点で、ガラス流8
fの下面と、ガラスゴブ30の上面との間隔は2.0m
mであった。
【0035】ここでも、受け部材10の上昇が速すぎる
と、切断痕21aと21bとが接触してしまい、ガラス
流8eとガラス溜り9dとが分離できなくなるが、この
実施の形態では、切断痕が吸収されて、間隔Aの広がる
速さと、受け部材10の上昇速度とをほぼ等しくしたた
め、そのような問題は発生しなかった。また、この結果
として、受け部材の上昇中に、間隔Aはおよそ2.0m
mが保たれていた。
【0036】受け部材10の上昇の後は、その高さで受
け部材を保持することはせずに、直ちに、図2の(g)
に示すように、受け部材10を移動させる。そして、再
び、図2の(a)に示すように、次の受け部材を流出口
7の直下に持って行く。こうして、前述の動作を繰返
し、ガラスゴブを連続して製造することができる。
【0037】而して、この実施の形態の場合も、第1の
実施の形態と同様に、切断痕がなく、重量が0.400
g±0.003gの範囲のガラスゴブが安定して得られ
た。また、ゴブには、脈理、泡も認められず、光学的に
良好な品質を有していた。
【0038】以上説明したように、本発明によれば、ノ
ズルから流出する溶融ガラス流を受け部材で受け、所定
の重量に達したところで、前記受け部材を第一の下降速
度で下降させて、ガラス流に括れ部を生じさせる。次い
で、前記受け部材を第一の下降速度より遅い第二の下降
速度で下降させ、その時点で、前記括れ部の箇所で、ガ
ラスの自重とその表面張力とにより、ガラス流を分離・
切断することができるのである。
【0039】その直後に、上下に分離切断されたガラス
流の間隙の距離が2mm以下を保たれるように、前記受
け部材を上昇させることにより、前記ガラス流の分離・
切断部を、その上方に位置するガラスからの輻射熱によ
って保温できるようになる。この結果、ガラス流の温度
をあまり高温にし過ぎなくても、ガラス流の分離・切断
が容易になる。こうして、切断痕、脈理、泡を発生させ
ずに、比較的小さなガラスゴブを容易に製造することが
できるようになる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ノズルから流出する溶融ガラス流を受け部材で受け、そ
の受け部材で一定重量のガラス溜りを受けた後に、前記
ガラス流と前記ガラス溜りとを分離切断してガラスゴブ
を製造する方法において、前記受け部材にガラス流を受
け、所定の重量に達した所で、前記受け部材を第一の下
降速度で下降させて、ガラス流に括れ部を生じさせた後
に、前記受け部材を前記第一の下降速度より遅い第二の
下降速度で下降させ、あるいは、実質的にゼロ速度と
し、その時点で、前記括れ部の箇所で、ガラスの自重と
その表面張力により、ガラス流を分離・切断し、その後
に、前記受け部材上のガラス溜りを加熱することを特徴
とする。
【0041】これにより、ガラス流の切断部を、例え
ば、その上方に位置するガラス流の輻射熱によって、加
熱することで、前記ガラス流の切断部を保温できる。こ
のような処置の結果、ガラス流の温度をあまり高く設定
しなくても、ガラス流の分離・切断が容易になり、比較
的小さなガラスゴブでも、切断痕、脈理、泡を発生させ
ずに、良好な光学素子用素材として容易に得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態において使用する装置の概
念図である。
【図2】本発明のガラスゴブの製造における製造手順を
示すものであり、(a)は初期状態を示す図、(b)は
ガラス流を受けている状態を示す図、(c)はガラス流
に括れ部を発生させている状態を示す図、(d)はガラ
ス流の切断直後の状態を示す図、(e)は受け部材を上
昇させている状態を示す図、(f)はガラス流からガラ
スゴブを形成させた状態を示す図、また、(g)はガラ
スゴブを取出す状態を示す図である。
【符号の説明】
1 流出槽 2 溶融ガラス液面 3 溶融ガラス 4 流出ノズル 5 レデュース部 6 先端部 7 流出口 8 ガラス流 8a〜8f ガラス流 9 ガラス溜り 9a〜9d ガラス溜り 10 受け部材 20a,20b,21a,21b 切断痕 30 ガラスゴブ 31 接触面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 裕之 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 執行 勇 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルから流出する溶融ガラス流を受け
    部材で受け、その受け部材で一定重量のガラス溜りを受
    けた後に、前記ガラス流と前記ガラス溜りとを分離切断
    してガラスゴブを製造する方法において、前記受け部材
    にガラス流を受け、所定の重量に達した所で、前記受け
    部材を第一の下降速度で下降させて、ガラス流に括れ部
    を生じさせた後に、前記受け部材を前記第一の下降速度
    より遅い第二の下降速度で下降させ、あるいは、実質的
    にゼロ速度とし、その時点で、前記括れ部の箇所で、ガ
    ラスの自重とその表面張力により、ガラス流を分離・切
    断し、その後に、前記受け部材上のガラス溜りを加熱す
    ることを特徴とするガラスゴブの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記受け部材上のガラス溜りを加熱する
    のに、前記受け部材を上昇させて、ガラス流の輻射熱を
    用いることを特徴とする請求項1に記載のガラスゴブの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のガラスゴブの製造方法
    において、上下に分離・切断されたガラス流の間隙の距
    離を、ガラス流の輻射熱を受ける適当な距離に保つよう
    に、前記受け部材を上昇させることを特徴とするガラス
    ゴブの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8091387B2 (en) 2003-03-19 2012-01-10 Hoya Corporation Method of manufacturing glass articles, method of manufacturing glass gobs, and method of manufacturing optical elements
JP2014001088A (ja) * 2012-06-15 2014-01-09 Hoya Corp ガラス塊成形装置、ガラス塊の製造方法、ガラス光学素子の製造方法及びガラス塊成形装置におけるガラス塊のキャスト方法

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US8091387B2 (en) 2003-03-19 2012-01-10 Hoya Corporation Method of manufacturing glass articles, method of manufacturing glass gobs, and method of manufacturing optical elements
JP2014001088A (ja) * 2012-06-15 2014-01-09 Hoya Corp ガラス塊成形装置、ガラス塊の製造方法、ガラス光学素子の製造方法及びガラス塊成形装置におけるガラス塊のキャスト方法

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