JP4445345B2 - ガラス成形体、プレス成形用ガラス素材、光学素子、ガラス基板それぞれの製造方法 - Google Patents

ガラス成形体、プレス成形用ガラス素材、光学素子、ガラス基板それぞれの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熔融ガラスから中実状のガラス、例えば棒状ガラスおよび板状ガラスを成形する方法、およびその方法を用いてプレス成形用ガラス素材を製造する方法、ならびにこのプレス成形用素材を加熱、軟化してプレス成形する光学素子の製造方法に関する。更に、本発明は、上記ガラス成形体を加工してガラス基板を製造する方法に関する。
棒状または板状のガラスを成形する方法としては、熔融ガラスを連続して鋳型に鋳込み、一方の開口部から成形されたガラスを引き出す方法が知られている。例えば、特開昭52−6719号公報(特許文献1)および特開昭52−6720号公報(特許文献2)には、鋳込まれたガラスの流路が水平になるように配置された鋳型に熔融ガラスを流し込み、一方の開口部から成形されたガラスを引き出して、光学ガラスを連続的に成形する方法が開示されている。
ところが、本発明者らの検討により、特許文献1および2に開示されている方法で棒状または板状のガラスを成形すると、ガラス内に不均質性が発生し、脈理と呼ばれる欠陥になってしまうことが判明した。特許文献1および2に開示されている方法では、熔融ガラスは、上方に配置された熔融ガラス流出管から、水平に配置された鋳型に対してほぼ直角に流し込まれる。そのため、鋳込まれたガラスは、鋳型の中でほぼ直角に曲がった後にガラス棒やガラス板に成形される。熔融ガラス流が直角に曲げられる鋳型のコーナー部分では、コーナーの内側を流れる熔融ガラスよりもコーナーの外側を流れる熔融ガラスのほうがより長い経路を通ることになる。そのため、この方法で得られたガラス棒では、鋳型内で異なる経路を経たガラス同士が、流れ方向に対して同じ垂直断面上に位置することになる。このように、鋳型内で冷却、成形される過程で、異なる経路を経たガラス同士が同一断面上に位置することは、ガラス内に不均質性が発生する原因となると考えられる。一般的なガラスでは、このような不均質性は問題にならないが、光学ガラスでは、このような不均質性は、脈理と呼ばれる欠陥になってしまう。上記の問題は、鋳込まれる熔融ガラスの粘度が低い場合に特に顕著であった。
一方、特開昭60−251136号公報(特許文献3)には、パイプ状の型に鋳込まれた熔融ガラスを、垂直または45°に傾けて引き出して棒状ガラスを成形する方法が開示されている。この方法はガラス粘度が102〜103Pa・s程度の熔融ガラスの成形に適した方法である。
特開昭52−6719号公報 特開昭52−6720号公報 特開昭60−251136号公報
ところで、近年、より高い屈折率の光学ガラスが求められている。また、低温でのプレス成形(例えば精密プレス成形)が可能な低温軟化性を備えたガラスの需要も高まっている。このような新種系のガラスは旧来のガラスと比べて成形時の粘度が低い。低粘度のガラスを鋳型等に流し込んで成形しようとすると、成形したガラスに脈理が生じて均質性の高いガラスを得るのが難しい。脈理などのガラスの低粘性に起因する問題をガラスの流出温度を下げて粘度を高めることにより解消しようとすると、ガラスの失透という新たな問題が生じてしまう。このように、現在、光学ガラスなどの高い品質が要求されるガラスの製造分野において、如何にして高い均質性を有するガラスを高い生産性のもとに製造するかという点が大きな課題になっている。
このような観点から特許文献3に記載の技術について考察すると、前記技術は非常に優れたものではあるが、現在主流になりつつあるガラスの成形にそのまま適用しようとすると、脈理発生の問題を完全に解消することは困難である。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、熔融ガラス、特に低粘度の熔融ガラスから光学的に均質な中実状のガラス成形体を製造する方法を提供すること、および前記ガラス成形体からプレス成形に供するためのプレス成形用ガラス素材を製造する方法を提供すること、ならびに前記プレス成形用ガラス素材を使用してプレス成形する光学素子の製造方法を提供すること、前記ガラス成形体からガラスブロックを経て光学素子に加工する光学素子の製造方法、更に、上記ガラス成形体から高品質なガラス基板を製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための手段は、以下の通りである。
[請求項1]貫通孔を有する鋳型を用い、パイプ流出口から流出する熔融ガラス流を前記貫通孔の入り口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に引き出して中実状のガラスに成形するガラス成形体の製造方法において、
前記鋳型を、前記貫通孔の入り口が出口よりも高い位置になるように配置し、
前記鋳型に流し込む前の熔融ガラス流の冷却を冷却促進手段によって促進することにより、該熔融ガラス流の表面温度を、中心部の温度よりも低くすることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
[請求項2]前記冷却促進手段は、パイプ流出口と鋳型貫通孔の入り口の間を囲むカバーと、該カバー内に温度制御された雰囲気ガスを流す手段とを含む、請求項1に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項3]前記冷却促進手段は、前記鋳型に流し込む前に、前記流出する熔融ガラス流表面に冷却ガスを吹き付ける手段である、請求項1に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項4]前記冷却促進手段は、前記パイプの温度を制御する温度制御手段である、請求項1に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項5]前記パイプは、熔融ガラスを蓄積した容器に連接するパイプであり、
前記容器内の熔融ガラスの温度とパイプの下端の温度差を20〜120℃の範囲に制御することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項6]前記温度差の制御を、前記パイプの温度を制御する温度制御手段および前記容器内の熔融ガラスの温度を制御する温度制御手段の少なくとも一方を用いて行う、請求項5に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項7]前記貫通孔に流し込んだ熔融ガラスを貫通孔内周面に接触させて前記熔融ガラス表面の冷却を促進することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項8]前記熔融ガラス流の粘度が102dPa・s未満である請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項9]前記熔融ガラス流の粘度が0.5dPa・s以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項10]前記貫通孔に流し込んだ熔融ガラスを貫通孔内周面に接触させてガラス成形体の外周面を成形することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項11]前記ガラス成形体が前記外周面を除去して使用するものである請求項10に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項12]前記貫通孔は、前記入り口と出口が直線的に連絡している請求項1〜11のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項13]前記鋳型を、前記貫通孔の中心軸が鉛直または傾斜した状態になるように配置する請求項12に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項14]棒状または平板状のガラスを成形する請求項1〜13のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項15]請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によりガラス成形体を製造し、製造したガラス成形体を分割する工程を含むプレス成形用ガラス素材の製造方法。
[請求項16]ガラス素材を加熱し、プレス成形する工程を有する光学素子の製造方法において、
請求項15に記載の方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材を使用することを特徴とする光学素子の製造方法。
[請求項17]前記プレス成形によって作製したプレス成形品を研削および/または研磨する請求項16に記載の光学素子の製造方法。
[請求項18]請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によりガラス成形体を製造し、製造したガラス成形体を分割してガラスブロックを作製し、前記ガラスブロックを加工して光学素子を作製する光学素子の製造方法。
[請求項19]請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によりガラス成形体を製造し、製造したガラス成形体をスライスして板状ガラスにする工程を含むことを特徴とするガラス基板の製造方法。
本発明によれば、低粘度の熔融ガラスから光学的に均質な中実状のガラス成形体を製造することができる。また、前記ガラス成形体からプレス成形に供するための均質なプレス成形用ガラス素材を製造することができ、前記プレス成形用ガラス素材を使用してプレス成形することにより、あるいは前記ガラス成形体からガラスブロックを経て光学素子に加工することにより、脈理などの欠陥のない高品質な光学素子を生産性よく製造することができる。さらに、前記ガラス成形体を加工して脈理などの欠陥のない高品質なガラス基板を生産性よく製造することもできる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。

[ガラス成形体の製造方法]
本発明のガラス成形体の製造方法は、第1〜第4の態様からなり、いずれの態様も、貫通孔を有する鋳型を用い、熔融ガラス流を前記貫通孔の入り口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に引き出して中実状のガラスに成形するガラス成形体の製造方法である。
熔融ガラス流、特に低粘性ガラスからなる熔融ガラス流を鋳型に流し込んでガラス成形体を成形する際に発生する脈理の原因は、以下のように推察される。
(1)熔融ガラス流がパイプから流出して鋳型に流し込まれる間に雰囲気に晒されることにより、熔融ガラス流の表面が僅かながら変質する。またパイプ外周に濡れ上がって変質した熔融ガラスが再び熔融ガラス流表面に取り込まれることによっても熔融ガラス流表面に変質した層が発生する可能性がある。
(2)熔融ガラス流が鋳型に流し込まれるとガラスが鋳型内に広がるため、表面に局在していた変質層もガラス内部に広がる。
(3)変質層が広がった部分は、均質な部分との間に屈折率差が生じるため、脈理として観察されることになる。
そこで、本発明者らは、ガラス成形体の製造時に脈理を完全に排除しなくても、脈理が存在する部位をガラス成形体の外周面近傍に限定すれば、その後の工程で外周面近傍を除去することにより、脈理を含まない均質なガラス成形体を得ることができると考え、第1〜第4の態様のガラス成形体の製造方法を完成するに至った。
以下、各態様について説明する。
(第1の態様)
第1の態様のガラス成形体の製造方法は、貫通孔を有する鋳型を用い、熔融ガラス流を前記貫通孔の入り口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に引き出して中実状のガラスに成形するガラス成形体の製造方法において、
前記鋳型を、前記貫通孔の入り口が出口よりも高い位置になるように配置し、
前記鋳型に流し込む熔融ガラス流の表面温度を、中心部の温度よりも低くすることを特徴とするガラス成形体の製造方法である。
本態様では、鋳型に流し込む熔融ガラス流の表面温度を、中心部の温度よりも低くする。これにより、熔融ガラス流の表面近傍の流速は、内部の流速よりも小さくなる。このような流速差を設けることにより、パイプから流出した熔融ガラス流の表面の近傍の異質なガラス(変質したガラス)を含んだ箇所がガラス内部に入り込むことを防ぐことができる。その結果、熔融ガラス流の表面近傍のガラスは鋳型に接触した状態で鋳型内を流れ、熔融ガラス流中央のガラスは鋳型貫通孔の中央部に沿って流れることになり、仮に熔融ガラス流表面が変質したとしても、変質したガラスをガラス成形体の表面近傍に限定させることができ、内部に脈理のないガラス成形体を高い生産性のもとに製造することができる。鋳型に流し込む熔融ガラス流の表面温度を、中心部の温度よりも低くする方法としては、後述の第2および第3の態様の方法を用いることができる。
本態様では、鋳型に流し込む熔融ガラス流の表面温度は、流出パイプ下端の温度と同じと見なすことができる。流出パイプ下端の温度は、熱電対で測定することができる。熔融ガラス流の中心部の温度は、熔融ガラス内部に熱電対を差し込むことによって測定することができる。このように測定される熔融ガラス流の表面温度と中心部の温度との温度差は、好ましくは20〜120℃であり、より好ましくは20〜60℃であり、更に好ましくは30〜50℃である。また、鋳型に流し込む熔融ガラス流の表面温度は、(液相温度+10℃)〜(液相温度+100℃)の範囲であることが好ましい。熔融ガラス流の中心部の温度は、前述の好ましい温度差の範囲内で設定することができる。
(第2の態様)
第2の態様のガラス成形体の製造方法は、貫通孔を有する鋳型を用い、容器内に蓄積された熔融ガラスを、前記容器に連接するパイプの下端から流出して前記貫通孔の入り口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に引き出して中実状のガラスに成形するガラス成形体の製造方法において、
前記鋳型を、前記貫通孔の入り口が出口よりも高い位置になるように配置し、
前記容器内の熔融ガラスの温度を、パイプの下端の温度よりも高くするとともに、前記容器内の熔融ガラスの温度とパイプの下端の温度差を20〜120℃の範囲にすることを特徴とするガラス成形体の製造方法である。
本態様では、容器内に蓄積された熔融ガラスを容器に連接するパイプの下端から流出して貫通孔の入り口に流し込むとともに、容器内の熔融ガラスの温度をパイプの下端の温度よりも高くし、容器内の熔融ガラスの温度とパイプの下端の温度差を20〜120℃、好ましくは20〜60℃、より好ましくは30〜50℃の範囲にする。容器内の熔融ガラスは例えば攪拌により均質化されているので温度はほぼ一定であるが、パイプ中を流れるとパイプによって熱が奪われるため温度が低下する。その際、パイプ内壁に近い部分を流れるガラスのほうがパイプ中央を流れるガラスよりも冷えやすいので、パイプの温度を制御することによって、パイプから流出する熔融ガラス流の表面と中央の温度差を変化させることができる。これにより、前述の第1の態様と同様に、鋳型に流し込む熔融ガラス流の表面温度を、中心部の温度よりも低くすることができる。第2の態様における鋳型に流し込む熔融ガラス流の表面温度、中心部の温度、両者の温度差については、先に第1の態様について述べた通りである。本態様では、このように、容器内の熔融ガラスとパイプ下端の温度差を、所定の値よりも大きくすることにより、流出する熔融ガラス流の表面近傍の流速を内部の流速よりも小さくすることができる。これにより、熔融ガラス流の表面近傍のガラスは鋳型に接触した状態で鋳型内を流れ、熔融ガラス流中央のガラスは鋳型貫通孔の中央部に沿って流れる状態を作ることができる。その結果、熔融ガラス流表面が変質しても変質したガラスをガラス成形体の表面近傍に限定させることができ、内部に脈理のないガラス成形体を高い生産性のもとに製造することができる。
容器内の熔融ガラスの温度は、容器外側の温度と実質的に同一とみなすことができるため、本態様では、容器外側に熱電対を設けて測定された温度を、容器内の熔融ガラスの温度と見なすことができる。また、パイプ下端の温度は、パイプ下端に熱電対を設けることによって測定することができる。容器、パイプとも、熱伝導が良好になるように、白金または白金合金で作製することが好ましい。容器内の熔融ガラスの温度は、好ましくは1230℃〜1430℃であり、パイプ下端の温度は、好ましくは1210〜1310℃である。
容器内の熔融ガラスの温度とパイプ下端の温度の差を制御する方法としては、(1)容器内の熔融ガラスの温度を一定に保ち、パイプ下端の温度を制御する方法、(2)パイプ下端の温度を一定に保ち、容器内の熔融ガラスの温度を制御する方法、(3)容器内の熔融ガラスの温度およびパイプ下端の温度を制御する方法があるが、最も安定した成形を行う上から、一般的には、(1)の方法がより好ましい。
パイプ下端の温度制御を行う場合は、パイプ下端の温度を直接モニターし、モニター結果(例えばモニター信号)に基づきパイプの加熱量を制御してもよいし、パイプ下端よりも上部の部位の温度をモニターし、モニター結果(例えばモニター信号)に基づきパイプの加熱量を制御してもよい。パイプの加熱は、パイプに電流を流して発熱させる通電加熱法、パイプの周りに発熱体を配置して加熱する方法、パイプの周りに高周波コイルを配置して高周波の電磁界を発生して加熱する方法、およびこれらの方法の組み合わせによって行うことができ、加熱のための入力の制御を上記モニター信号に基づいて行うことができる。
(第3の態様)
第3の態様のガラス成形体の製造方法は、貫通孔を有する鋳型を用い、熔融ガラス流を前記貫通孔の入り口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に引き出して中実状のガラスに成形するガラス成形体の製造方法において、
前記鋳型を、前記貫通孔の入り口が出口よりも高い位置になるように配置し、
前記熔融ガラス流の表面の冷却を促進しながら前記鋳型への流し込みを行うことを特徴とするガラス成形体の製造方法である。
本態様では、熔融ガラス流の表面の冷却を促進することによって、鋳型に流し込まれる熔融ガラス流の表面と内部の流速差をつけ、第1の態様、第2の態様と同様に内部が均質なガラス成形体を高い生産性のもとに製造することができる。ここで、「表面の冷却を促進する」とは、熔融ガラス流表面が晒される雰囲気の温度を制御する方法、熔融ガラス流表面にガスを吹き付ける方法、または前記各方法の組み合わせにより、ガラス表面とガラス表面近傍の雰囲気温度との間の温度差を大きくすることをいう。
熔融ガラス流表面の冷却を促進する方法の具体例を図1に示す。図1(a)は、パイプ流出口と鋳型貫通孔の入り口の間を囲むカバーを設置し、カバー内に温度制御された雰囲気ガスを流して雰囲気温度を低下させる方法を示す。この場合、安定したガラス流出を妨げないように冷却ガスがパイプ下端に吹きかからないように注意することが望ましい。図1(b)は、熔融ガラス流表面に冷却ガスを吹き付けることにより、熔融ガラス流表面の冷却を促進する方法を示す。この場合も、上記の点に注意すべきである。そのためには、冷却ガスを熔融ガラス流表面の上方または斜め上方から吹きつけることが望ましく、ガスの流量、温度も一定にすることが望ましい。雰囲気温度、ガスの流量・温度は適宜設定することができ、例えば、熔融ガラス流の表面温度をモニターして適宜調整することができる。雰囲気温度は、例えば100〜500℃、冷却ガスの温度は、例えば20〜300℃、ガス流量は、例えば10〜100l/minとすることができる。
雰囲気ガス、冷却ガスとしては各種ガスを使用することができるが、乾燥ガスを用いることが望ましい。上記ガスの種類としては、空気、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、または前記ガスを混合したもの)などを挙げることができる。熔融ガラス流表面の冷却促進により、熔融ガラス流の表面と内部の流速差を形成することができ、更に、ガラス表面の温度を低下させることで表面の変質を低減する効果もある。このように熔融ガラス流の冷却を促進することにより、前述の第1の態様のように、鋳型に流し込む熔融ガラス流の表面温度を、中心部の温度よりも低くすることができる。第3の態様における鋳型に流し込む熔融ガラス流の表面温度、中心部の温度、両者の温度差については、先に第1の態様について述べた通りである。
(第4の態様)
第4の態様のガラス成形体の製造方法は、貫通孔を有する鋳型を用い、熔融ガラス流を前記貫通孔の入り口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に引き出して中実状のガラスに成形するガラス成形体の製造方法において、
鋳型を前記貫通孔の入り口が出口よりも高い位置になるように配置し、
前記貫通孔に流し込んだ熔融ガラスを貫通孔内周面に接触させて前記熔融ガラス表面の冷却を促進することを特徴とするガラス成形体の製造方法である。
ここで「貫通孔内周面」とは貫通孔の内壁であって、鋳込まれたガラスの移動経路を取り囲む面のことである。
本態様は、熔融ガラス流が鋳型に流し込まれて貫通孔内に広がる際に、流し込んだ熔融ガラスを貫通孔内周面に接触させて鋳込まれたガラス表面の冷却を促進することにより、前述の各態様と同様に、表面と内部との温度差をつけて両者の流速を変化させて、ガラス内部の脈理を防ぐことができる。本態様では、ガラス成形体を貫通孔から引き出すときの引き出し方向に対して垂直に切ったときの断面積よりも貫通孔の入り口の面積を小さくして、入り口から出口に向かって徐々に広がる形状の貫通孔を有する鋳型を用いることが好ましい。このように、貫通孔の入り口面積を小さくすることにより、熔融ガラス流の表面がいち早く鋳型に接触して表面の冷却が促進され、前述の効果を得ることができる。前記冷却促進効果を高めるには、貫通孔入り口を熔融ガラス流の流し込みを妨げない範囲で小さくすることが好ましい。
熔融ガラス流の表面近傍のガラスが貫通孔の内周面に沿って流れる状態を作るには、貫通孔の入り口から所定の部分まで、貫通孔の入り口から貫通孔内部に進むにつれて貫通孔の内径または断面積(ガラスの進行方向に対して垂直な断面の断面積)を緩やかに拡大することが望ましい。但し、鋳型によって冷却されたガラスの表面の粘度が過剰に上昇すると貫通孔内へのガラスの充填が不十分になり、所望形状のガラス成形体を得ることが難しくなることがある。したがって貫通孔入り口付近の形状を決めるにあたっては、上記の点に十分配慮することが望ましい。
第4の態様のガラス成形体の製造方法では、貫通孔に流し込まれた熔融ガラス表面が過度に冷却されてガラス充填が不十分にならないように、または、貫通孔に流し込まれた熔融ガラス表面の温度が過度に高いことにより、ガラスと鋳型との間に融着が発生しないように、ヒーター等によって鋳型の温度を制御することが好ましい。
(第1〜第4の態様の共通点)
次に上記各態様の共通点について説明する。
本発明のガラス成形体の製造方法は、特に低粘度のガラスから脈理のないガラス成形体を製造するために好適に用いることができる。流出パイプから流出する熔融ガラス流の粘度は、102dPa・s未満であることが好ましい。成形の容易性の観点から、熔融ガラス流の粘度は0.5dPa・s以上であることが好ましい。本発明によれば、上記のような低粘度を有する熔融ガラスの成形において、優れた脈理防止効果を得ることができる。上記粘度は、2dPa・s以上102dPa・s未満の範囲であることがより好ましく、2〜90dPa・sの範囲であることが更に好ましい。
ガラス成形体の内部にどの方向からも脈理を侵入させないためには、貫通孔に流し込んだ熔融ガラスを貫通孔内周面に接触させてガラス成形体の外周面を成形することが望ましい。ここで「ガラス成形体の外周面」とは、貫通孔出口からガラス成形体を引き出すときの方向に沿って延在するガラス成形体の表面を意味する。上記のような成形は、入り口付近まで貫通孔の内部に熔融ガラスを満たし、ガラス液面下に没する貫通孔内周面に熔融ガラスを接触させることにより行うことができる。このような成形は、ガラス成形体の内部にどの方向からも脈理を侵入させないために有効であるばかりでなく、鋳型内にある熔融ガラスの雰囲気に晒される面積を最小限にしてガラスの変質を防止する上でも有効な方法である。こうして成形されたガラス成形体の前記外周面を除去することにより、脈理のない均質なガラス成形体を得ることができる。
更に、熔融ガラス流の表面近傍にあるガラスが鋳型貫通孔の内周面に沿って安定して流れるようにするために、入り口と出口が直線的に連絡している貫通孔を有する鋳型を用いることが好ましい。これにより、ガラス成形体を引き出す際にガラスに無理な力が加わることを防ぐことができ、ガラスの破損を防止することができる。更に、このような鋳型を用いることにより、貫通孔中心軸に沿って流れるガラスの移動経路の長さと貫通孔内周面に沿って流れるガラスの移動経路の長さとに大きな差が生じなくなり、脈理発生を効果的に防止することができる。
このように貫通孔の入り口と出口が直線的に連絡している鋳型では、貫通孔の中心軸は直線となり、水平面と貫通孔の中心軸のなす角θによって貫通孔の傾斜を定義することができる。角度θは流出する熔融ガラスの粘度、目的とするガラス成形体の形状や寸法などを考慮して決めることができる。θを大きくする(90°に近づける)ことにより、貫通孔内における熔融ガラスの移動経路の長さを中心軸からの距離によらずに一定に近づけ、ガラスの流れを上記中心軸に対して平行に近づけることができる。貫通孔内におけるガラスの流れをこのようにすることは、脈理を低減する上から望ましい。このような観点から、θの好ましい範囲は45°〜90°であり、より好ましい範囲は60°〜90°であり、特に好ましいθは90°である。
図2は、本発明のガラス成形体の製造方法の一例を示したものであり、熔融ガラスが鋳型に流し込まれ棒状ガラスに成形される様子を真横から見た模式図である。鋳型の部分は、内部の様子がわかるように、垂直断面で示してある。図2において貫通孔は、入り口と出口が直線的に連絡するように設けられており、その中心軸が鉛直方向を向くように(θ=90°)固定されている。
以下、図2に基づいて、本発明のガラス成形体の製造方法の一例を説明する。
貫通孔の高位置側にある開口部すなわち貫通孔の入り口13から、熔融ガラス流を連続的に流し込む。ここで、入り口13が、熔融ガラス流を流下する流出パイプ12の真下に位置するように鋳型11を配置し、貫通孔内の熔融ガラス液位面の中央に、熔融ガラス流を流し込むことが好ましい。このようにすることで、鋳型内でのガラスの移動経路の長さを一定に揃えることができ、ガラス成形体内部へ脈理が進入することを効果的に防ぐことができる。
流出パイプ12の上部には、熔融、清澄、均質化された熔融ガラスが蓄積されている熔融ガラス容器(図示せず)を配置し、そこから、熔融ガラスを、流出パイプ12を通して、好ましくは一定の流量で連続して流下させる。流下した熔融ガラス流を、入り口13から貫通孔内に流し込み、図2に示すように、流出パイプ12から連続して途切れずに直線状にガラスが流出するように、貫通孔内の所定の高さまで熔融ガラスを満たす。
貫通孔内に流し込まれた熔融ガラスは、貫通孔内周面と接触し、概ね貫通孔の中心軸方向に沿って鉛直下方に移動しながら冷えていく。鋳型によって熱を奪われ粘度が上昇したガラスを、鋳型貫通孔の低位置側にある開口部である貫通孔出口14から引き出し、棒状のガラス(以下、「ガラス棒」ともいう)に成形することができる。ガラス棒を出口14から引き出すまで、熔融ガラスの粘度や流入量、引出し速度を調整して、熔融ガラスを、貫通孔内周面と隙間なく接触した状態で貫通孔内を移動させる、すなわち、貫通孔の内周面に接触させてガラス成形体の外周面を成形することが望ましい。貫通孔内周面と熔融ガラスとの間に隙間がないように成形を行うことにより、高温状態のガラスが外気に触れる面積を最小限にすることができる。これにより、ガラス中の揮発性成分の揮発を低減することができるため、外気と触れた部分の変質を防止することができ、揮発によって生じる脈理を防止することもできる。
本発明では、熔融ガラス流を流出パイプから流出させる速度(即ち、熔融ガラス流の鋳型への流入速度)と、ガラス成形体を貫通孔出口から引き出す速度を、ともに一定に保つことが望ましい。また、貫通孔内において、熔融ガラス液面が所定の高さに維持されるように、上記流入速度と、ガラス成形体の引出し速度を制御することが好ましい。このような状態を作り出すことにより、鋳型内における熔融ガラスの流れが安定になり、より確実に脈理をガラス表面に限定させることができる。
また、ガラスの鋳型からの引出し速度が大きすぎたり、熔融ガラスの流入速度が小さすぎると、貫通孔内周面とガラスの間に隙間ができ、ガラス成形体の外径が安定しない。また引出し速度が遅かったり、流入速度が大きすぎる場合は、熔融ガラスが鋳型から溢れ出したり、ガラス成形体の形状が不良になってしまう。鋳型に流し込む熔融ガラスの液量と、ガラスの引出し速度を、貫通孔内において熔融ガラス液面が所定の高さに維持されるように制御すれば、貫通孔内周面と熔融ガラスとの間、またはガラスとの間に隙間がないように成形を行うことができる。これにより、高温状態のガラスが外気に触れる面積を最小限にすることができ、ガラス中の揮発性成分の揮発を低減することができるため、ガラス成形体側面の変質を防止することができ、揮発によって生じる脈理を防止することもできる。
前記流量、ガラスの引き出しスピードは、ガラス成形体の形状、寸法、使用するガラスの種類によっても変わるが、成形したガラスの脈理を検査し、脈理が存在する層の深さが0.5mm以下になるように条件を設定することが好ましい。脈理の存在する表面層の深さは、対面研磨後の目視検査、点光源とレンズ系からなる脈理検査装置、シュリーレン検査装置などの方法を用いて測定することができる。このようにして目的とするガラス成形体の製造に適した条件をテスト成形によって予め求めて、この条件を適用してガラス成形体の量産を行うことが望ましい。熔融ガラス流表面の冷却促進を雰囲気ガスの制御や冷却ガスの吹きつけによって行う場合にも、雰囲気温度、冷却ガスの温度、冷却ガスの流量などの諸条件についても同様にテスト成形により予め好適な条件を求めておくことが望ましい。
図2に示す方法において、上記のように貫通孔内の熔融ガラス液面の高さを一定に保つには、流出パイプ12から流出する熔融ガラスの流入速度を一定に保つとともに、液面監視装置17を用いて鋳型貫通孔内の熔融ガラス液位を監視し、ガラス成形体の引き出し速度に液位または液位変化の監視結果をフィードバックすればよい。液位の監視は、例えば、温度計やレーザーセンサー等によって行うことができる。
本発明において用いられる鋳型の材質は、カーボン、鋳物、ニッケルなどの耐熱性金属が好ましい。温度制御をしない場合、成形中は、貫通孔入り口側の温度が出口側の温度よりも高温になるため、室温において鋳型貫通孔を一定の内径で形成すると、熱膨張のため、成形時には貫通孔内径が一定にならなくなる。本発明では、貫通孔入り口から出口に行くにつれて、貫通孔内径を大きくし、成形時に貫通孔の内径が一定になるように、熱膨張を考慮して貫通孔の加工形状を決めることが好ましい。なお、前述のように、第4の態様において、貫通孔入り口面積を小さくする場合にも、熱膨張を考慮して貫通孔の加工形状を決めることが好ましい。
本発明において、熔融ガラスからガラス成形体を作製する工程は、鋳型の劣化を防止するという観点から、不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
なお、鋳型は単一の物品で構成してもよいし、複数個の部材を組み立てたものでもよい。複数個の部材によって鋳型を構成する場合は、複数個の部材を密着させて貫通孔を形成してもよいし、1つの部材の貫通孔を設けてもよいし、複数個の部材のそれぞれに貫通孔を設け、各貫通孔が一つにつながるように各部材を密着させてもよい。
鋳型の温度は、(1)ガラスが融着しない、(2)カンワレと呼ばれるガラスの破損が
発生しない、(3)熔融ガラスが鋳型貫通孔内に隙間なく広がる、等の点を考慮して決定することが好ましい。鋳型には、温度制御のために、必要に応じてヒーターを設けたり、冷却器を設けてもよい。また、貫通孔出口におけるガラス成形体表面の温度は、ガラス屈伏点以下の温度であることが好ましい。貫通孔出口でのガラス成形体表面の温度が、ガラス屈伏点以下の温度であれば、鋳型から引き出す際にガラス成形体が変形することを防止することができる。また、ガラスは、屈伏点以上の温度であれば、外力によって変形させることができるため、後述するように、貫通孔出口から引き出したガラスを後工程を行いやすい方向に曲げる場合には、上記出口でのガラス表面の温度は、屈伏点以上の温度であることが好ましい。上記出口でのガラス成形体表面の温度は、温度が高すぎる場合には、鋳型を空冷したり、水冷板を設ける等して冷却することにより、また、温度が低すぎる場合には、ヒーターにより加熱することにより、調整することができる。
鋳型の温度は、貫通孔入り口付近において、ガラス転移温度よりも20〜50℃低い温度とすることができ、貫通孔出口付近において、ガラス転移温度よりも0〜30℃低い温度とし、入り口と出口の中間部において、入り口付近の温度以下であって、出口付近の温度以上とすることができる。
ガラスの融着、カンワレ、広がり、曲がり等を防止するという観点から、貫通孔の内径と長さとの比は、1/50〜1/1の範囲にすることが好ましい。より好ましくは1/20〜1/5の範囲である。また貫通孔内径は、得ようとするガラス成形体の外径を考慮して決定すべきであり、例えば、10〜100mmとすることができる。その際、貫通孔の長さは、100〜500mmの範囲にすることが好ましい。ここで、「貫通孔の長さ」とは、図3に示すように、貫通孔入り口を含む面の中心から、出口を含む面の中心までの、中心軸に沿った長さをいう。また、「貫通孔の内径」とは、成形中に内径が一定になっている部分の直径をいう。
貫通孔出口からのガラスの引き出しは、貫通孔内の熔融ガラスおよび出口から引き出されたガラス成形体に働く重力の引き出し方向成分を利用することによって行うことができる。ガラスと貫通孔内周面の間に働く摩擦力の大小、貫通孔内の容積、ガラスの比重、貫通孔と水平面とのなす角θなどの諸条件によっても異なるが、上記重力の引き出し方向成分によって引き出し速度が過大になる場合は、ガラスを支持しながら、引き出し速度が適正になるよう制御しながら引き出しを行うことが好ましい。上記重力の引き出し方向成分だけでは引き出し速度が過小の場合は、ガラスにさらに引き出し方向に力を加えて、引き出し速度が適正になるよう制御しながら引き出しを行うことが好ましい。ガラスの支持はその下端部を支持してもよいし、側面(貫通孔内周面が転写されて成形された面)を挟むことにより支持してもよい。なお、上記重力の引き出し方向成分はθを90°に近づけると増加する。引き出したガラス成形体の側面を挟んでガラスを支持したり、引き出しの力を加える場合は、貫通孔出口から出て固化したガラスの側面を駆動ローラではさみ、駆動ローラを回転する方法などを用いることができる。
本発明では、必要に応じて、貫通孔から引き出されたガラス成形体の搬送経路を、アニール前に変更するため、貫通孔から引き出されたガラス成形体をアニール等の後工程を行いやすい方向に曲げてもよい。なお、ガラス成形体の搬送経路を変更する前に破損やひずみが生じることを防ぐため、出口から引き出されたガラス成形体を、表面温度がガラス屈伏点以上の温度になるように、再度加熱して軟化させてもよい。但し、過度の加熱は、ガラス成形体の形状を悪化させたり、ガラス成形体側面を変質させることになるため、加熱を行う場合は、この点を考慮して加熱温度を決定すべきである。加熱は、例えば、貫通孔出口の近傍に配置した従動ローラの近くにヒーターを設けて行うことができる。
貫通孔出口から引き出されるガラス成形体の移送経路を変更するには、例えば、上記のように出口近傍に従動ローラを配置するとともに従動ローラから見て移送経路を変えたい方向に駆動ローラを配置する。このような装置では、ガラス成形体を引き出す力は駆動ローラの回転によって得ることができ、従動ローラの間および駆動ローラの間にガラス成形体を通すことによって、ガラス成形体を、所望の方向に曲げることができる。ガラス成形体を安定に引き出すためには、従動ローラと駆動ローラの位置が固定されていることが好ましい。従動ローラおよび駆動ローラの数は、ガラス成形体を引き出して所望の方向に曲げることができれば特に制限はない。貫通孔出口から引き出されたガラス成形体は、従動ローラおよび駆動ローラを経て後工程に付される。
貫通孔出口から引き出されたガラス成形体に対して行う後工程としては、アニール工程、一定長さに切断する工程、梱包工程等が挙げられ、アニール等の後工程を経て、均質なガラス成形体を得ることができる。アニール工程後のガラスを、適当な長さのガラス成形体に切断することもでき、または、プレス成形用ガラス素材として用いるため、所望の寸法のガラスブロックに切断することもできる。
本発明の方法を用いて成形するガラス成形体の形状は、前記成形体の引き出し方向に対して垂直な断面の形状が、前記引き出し方向に沿って合同または略合同であることが望ましい。また、本発明の方法は、ガラス成形体の外径(上記断面における成形体の径)に比べて引き出し方向に沿った長さが長いものの成形に適している。このような観点から、ガラス成形体の好ましい形状として、棒状、例えば、円柱、楕円柱、角柱などや、板状などを例示することができる。所望の断面形状を有する均質なガラス成形体を得るためには、ガラス成形体の鋳型から引き出す方向に垂直な断面形状(ガラス成形体が中心軸を有する場合は中心軸に垂直な断面形状に相当する)と、鋳型貫通孔の中心軸に垂直な断面形状が一致するように、鋳型を設計することが好ましい。
ガラス成形体の上記断面の長径と短径の比率(長径/短径)が1に近い場合は、貫通孔中心軸と水平面とのなす角θを比較的小さくしてもガラス成形体内部から脈理を排除することができるが、上記比率が増加するにつれてθを小さくすると成形体内部からの脈理除去が難しくなる。したがって、板状ガラス成形体を成形する場合は上記比率が大きいので、θを大きくすることが望ましく、棒状ガラス成形体を成形する場合は上記比率が1または1に近づくのでθを小さくしてもよい。形状によらず脈理排除効果を向上するには、先に説明したようにθを90°または90°に近づけることが好ましい。また形状によらず最も効果的に脈理排除効果を得るには、ガラス成形体の形状を円柱にすることが望ましく、次いで比率(長径/短径)が1に近い角柱にすることが望ましい。
以上のように本発明によれば、成形時に脈理が発生しても脈理が存在する領域をガラス成形体の外周面近傍に限定することができるので、外周面近傍を除去することにより脈理を含まない光学的に均質なガラス成形体を得ることができる。
ガラスの種類、成形条件、ガラス成形体の形状、寸法にもよるが、外周面から少なくとも0.5mmまでの表面層を除去すれば、光学的に均質なガラス成形体を得ることができるので、成形にあたっては上記表面層の厚さを考慮して鋳型貫通孔の寸法を決めることが望ましい。
本発明の方法を用いて、光ファイバーのクラッド用ガラスでできた中実状のガラス円柱体を成形し、円柱軸に相当する部分に穴をあけて中空状ガラスとした後、その穴に光ファイバーのコア用ガラスでできたガラス円柱体を嵌めこんでガラスファイバーのプリフォームを作ることもできる。また、中心に穴があけられたクラッド用ガラス製のガラス円柱体に本発明の方法を用いて成形したコア用ガラス製のガラス円柱体を嵌めこみ、ガラスファイバーのプリフォームを作ることもできるし、上記2つの方法を組合せることもできる。このようなプリフォームを線引きして光ファイバーを作製することもできる。
なお、鋳型貫通孔の中心軸に耐熱性材料からなる円柱状のシャフトを配置し、熔融ガラスを流し込んで中心軸に穴を有する中空状のガラス成形体を成形することも考えられるが、上記シャフトによって流し込まれた熔融ガラスの流れが乱され、脈理が発生するおそれがあるため、本発明の方法は、中実柱状(中空を有さない)のガラスを得るために適用すべきである。
本発明において、ガラス成形体を得るための原料となるガラスは、流出時の粘度が上記範囲である点を除けば特に限定されないが、光学的に高い均質性が求められる光学ガラスからなるガラス成形体の製造に、本発明の方法を適用することが望ましい。そのようなガラスとしては、B23および希土類酸化物含有ガラス、SiO2およびTiO2含有ガラス、P25およびNb25含有ガラス、P25およびRO(RはBaおよび/またはZn)含有ガラス、弗燐酸ガラスなどの光学ガラスを例示することができる。
23および希土類酸化物含有ガラスとして、B23およびLa23、Gd23、Y23、Yb23などを含むガラスを例示することができる。具体的には、以下のガラスを例示することができる。
(1)質量%表示で、B23 2〜50%、SiO2 0〜30%、La23 10〜60%、Gd23 0〜20%、Y23 0〜20%、Yb23 0〜10%、Ta25 0〜20%、WO3 0〜20%、Li2O 0〜15%、Na2O 0〜10%、K2O 0〜10%、GeO2 0〜10%、Bi23 0〜20%、TiO2 0〜30%、ZnO 0〜30%、ZrO2 0〜15%、Nb25 0〜35%、BaO 0〜35%、SrO 0〜15%、CaO 0〜15%、MgO 0〜15%、Al23 0〜10%、Sb23 0〜2%、SnO2 0〜1%含有するガラス;
(2)モル%表示で、B23 20〜60%、SiO2 0〜10%、La23 5〜22%、Gd23 0〜20%、Y23 0〜10%、Yb23 0〜10%、Ta25 0〜10%、WO3 0〜8%、Li2O 0〜10%、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%、GeO2 0〜10%、Bi23 0〜8%、TiO2 0〜8%、ZnO 0〜30%、ZrO2 0〜7%、Nb25 0〜8%、BaO 0〜10%、SrO 0〜10%、CaO 0〜10%、MgO 0〜10%、Al23 0〜10%、Sb23 0〜1%、SnO2 0〜1%含有するガラス。
23および希土類酸化物含有ガラスの中でも、屈折率(nd)が1.85以上、アッベ数(νd)が20〜45の特性を示すガラスは、特に流出時の粘性が低いため、本発明の方法の適用がより一層効果的である。また流出時の粘性が低いガラスは、ガラスネットワーク形成成分であるB23やSiO2の量が少なく、ガラス安定性が比較的低い。このようなガラスとしては、B23とSiO2の合計含有量が25質量%以下、特に20質量%未満のものがあるが、本発明の方法は、このようなガラスの成形に特に好適に用いることができる。
さらに上記ガラスは揮発しやすいB23を含む。脈理、特に表面付近の脈理は高温のガラスの表面からガラス成分が揮発することによっても発生する。そこで、本発明において、貫通孔内に流し込まれた熔融ガラスの表面を液面のみで雰囲気に接触させることにより、易揮発成分の揮発を最小限にすることができる。特に第4の態様によれば、貫通孔入り口の開口部を小さくすることにより、易揮発成分の揮発をより効果的に抑制することができる。
23と同じようにアルカリ金属酸化物も揮発しやすい性質を有するため、本発明の方法を、Li2O、Na2OおよびK2Oのいずれか1種または2種以上を含むガラスへ適用することも好ましい。
SiO2およびTiO2含有ガラスとしては、質量%表示で、SiO2 18〜40%、TiO2 20〜40%、BaO 9〜23%、Nb25 7〜20%、Li2O 0〜5%、Na2O 5〜20%、K2O 0〜10%、CaO 0〜5%、SrO 0〜5%、ZrO2 0〜6%、Ta25 0〜5%、WO3 0〜5%、Sb23 0〜1%含有するガラスを例示することができる。
25およびNb25含有ガラスとしては、以下のガラスを例示できる。
(1)質量%表示で、P25 10〜47%、Nb25 20〜65%、TiO2 0〜20%、SiO2 0〜5%、B23 0〜12%、Li2O 0〜10%、Na2O 0〜25%、K2O 0〜15%、MgO 0〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO 0〜30%、ZnO 0〜10%、Bi23 0〜25%、WO3 0〜25%、Ta25 0〜20%、ZrO2 0〜5%、Al23 0〜7%、La23+Y23+Gd23 0〜10%、GeO2 0〜5%、Sb23 0〜1%を含有するガラス;
(2)モル%表示で、P25 10〜45%、Nb25 3〜35%、TiO2 0〜20%、WO3 0〜40%、Bi23 0〜20%、SiO2 0〜15%、B23 0〜30%、Al23 0〜15%、Li2O 2〜35%、Na2O 0〜35%、K2O 0〜30%、ZnO 0〜25%、MgO 0〜20%、CaO 0〜20%、SrO 0〜20%、BaO 0〜25%、ZrO2 0〜5%、La23 0〜10%、Gd23 0〜10%、Y23 0〜10%、Yb23 0〜10%、Ta25 0〜10%、Sb23 0〜1%を含むガラス。
中でも屈折率(nd)1.7以上、アッベ数(νd)35以下(特に屈折率(nd)1.75〜2、アッベ数(νd)17〜30)の光学恒数を有するガラスに、本発明を適用することが好ましい。
25およびRO(RはBaおよび/またはZn)含有ガラスとしては、アッベ数(νd)55以上(特にアッベ数(νd)55〜80)の光学恒数を実現するガラスを例示することができる。このようなもののうち、P25およびBaO含有ガラスとしては、以下のガラスを例示できる。
(1)モル%表示で、P25 20〜65%、BaO 1〜50%、Li2O 0〜30%、Na2O 0〜20%、K2O 0〜15%、ZnO 0〜20%、B23 0〜25%、Al23 0〜10%、Gd23 0〜10%、MgO 0〜20%、CaO 0〜20%、SrO 0〜20%、Bi23 0〜10%、Sb23 0〜1%を含有するガラス;
(2)モル%表示で、P25 20〜65%、ZnO 0.1〜20%、Li2O 0〜30%、Na2O 0〜20%、K2O 0〜15%、B23 0〜25%、Al23 0〜10%、Gd23 0〜10%、MgO 0〜20%、CaO 0〜20%、SrO 0〜20%、BaO 0〜50%、Bi23 0〜10%、Sb23 0〜1%を含有するガラス。
さらに、P25、BaOおよびZnOを含有するガラスとしては、モル%表示で、P25 20〜65%、BaO 1〜50%、ZnO 0.1〜20%、Li2O 0〜30%、Na2O 0〜20%、K2O 0〜15%、B23 0〜25%、Al23 0〜10%、Gd23 0〜10%、MgO 0〜20%、CaO 0〜20%、SrO 0〜20%、Bi23 0〜10%、Sb23 0〜1%を含むガラスを例示することができる。
弗燐酸ガラスとしては、アッベ数(νd)が65以上の低分散ガラスを例示することができる。より具体的には、カチオン成分としてAl、Ca、Srを、アニオン成分としてF、Oを必須成分として含むものを挙げることができる。例えば、モル%表示で、Al(PO33 0〜20%、Ba(PO32 0〜30%、Mg(PO32 0〜30%、Ca(PO32 0〜30%、Sr(PO32 0〜30%、Zn(PO32 0〜30%、NaPO3 0〜15%、AlF3 2〜45%、ZrF4 0〜10%、YF3 0〜15%、YbF3 0〜15%、GdF3 0〜15%、BiF3 0〜15%、LaF3 0〜10%、MgF2 0〜20%、CaF2 2〜45%、SrF2 2〜45%、ZnF2 0〜20%、BaF2 0〜30%、LiF 0〜10%、NaF 0〜15%、KF 0〜15%、Li2O 0〜5%、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%、MgO 0〜5%、CaO 0〜5%、SrO 0〜5%、BaO 0〜5%、ZnO 0〜5%を含むガラスを例示することができる。
[プレス成形用ガラス素材の製造方法]
次に本発明のプレス成形用ガラス素材の製造方法について説明する。
本発明のプレス成形用ガラス素材の製造方法は、前述の本発明のガラス成形体の製造方法により製造したガラス成形体を分割する工程を含むプレス成形用ガラス素材の製造方法である。
前述の第1〜第4の態様のガラス成形体の製造方法によれば、得られたガラス成形体に脈理などの光学的な不均一な部分があったとしても、その脈理はガラス成形体の表面層(例えば表面から0.5mm以内)に限定される。よって、そのガラス成形体を分割して作製したプレス成形用ガラス素材においても、脈理などの光学的に不均一な部分は、ガラス素材の表面層(例えば表面から0.5mm以内)に限定される。なお、このようなガラス素材をプレス成形して得たプレス成形品の表面を研磨加工および/または研削加工して光学素子を作製する場合は、上記加工により光学的に不均一な表面層が除去されるため、ガラス素材表面の表面層を除去する工程なしに、光学的に均一な光学素子を得ることができる。
前記分割工程では、アニールによって歪を低減したガラス成形体を切断したり、割断するなどして、ガラス成形体を複数個のガラスブロックに分割する。ガラス成形体が柱状のように中心軸を有する形状の場合は、ガラス成形体を中心軸に対して垂直に分割することが望ましい。このようにして分割した柱状のガラスブロックでは、脈理が存在するとしても柱状ブロック側面の表面層(例えば表面から0.5mm以内)に限定される。この表面層が光学素子の光学機能面(制御対象の光線を屈折させたり、反射させたり、回折させたりするための面)に入り込まないようにプレス成形すれば、上記ブロック側面の表面層に脈理が存在していても光学素子の性能を低下させることはない。ガラス成形体を分割したときに形成される面(柱状ブロックの対向する底面)をプレス成形型で加圧することにより、上記プレス成形を実現することができる。
なお、ガラス成形体の外周面近傍には、前述のように脈理が局在している場合があるので、上記プレス成形用ガラス素材の製造過程にガラス成形体の表面を除去する工程を加えてもよい。なお、上記工程により除去される表面層の厚みは前述のとおりである。
ガラス成形体を切断する場合は、ワイヤー、砥石等を用いて切断し、ガラスブロックを得ることができる。また割断する場合はガラス成形体に応力を加えて所望の位置でガラス成形体を破断することが好ましい。
ガラス成形体からプレス成形用ガラス素材を作製するには、前記のようにガラス成形体の中心軸を横切る、またはガラス成形体の引き出し方向を横切るように、好ましくは中心軸または前記引き出し方向に対して垂直な平面で分割することが望ましい。
本発明では、得ようとするプレス成形用ガラス素材の形状、寸法を考慮して、棒状ガラス成形体の外径や板状ガラス成形体の幅と厚みを決めることが好ましい。ガラス成形体を分割する幅(複数の位置で分割する場合の分割面同士の間隔に相当する。)は、得ようとするプレス成形品や光学素子の厚さに応じて適宜設定することができる。得られたガラスブロックを、そのまま加熱、軟化した後にプレス成形してプレス成形品を得ることもできる。その場合は前記のように分割して形成した面をプレス成形型で加圧することが望ましい。また、ガラスブロックに研削加工や研磨加工を加えたものを、加熱、軟化した後にプレス成形してプレス成形品を得ることもできる。本発明では、このように、加熱、軟化すればプレス成形可能なガラス物品を、「プレス成形用ガラス素材」と呼ぶ。
[光学素子の製造方法]
次に本発明の光学素子の製造方法について説明する。
本発明の光学素子の製造方法の第1の態様は、ガラス素材を加熱し、プレス成形する工程を有する光学素子の製造方法において、前記方法により作製したプレス成形用ガラス素材を使用することを特徴とする光学素子の製造方法である。
上記プレス成形は、公知の方法で行うことができる。プレス成形によって作製した成形品をそのまま光学素子として使用することもできるし、上記プレス成形によって作製したプレス成形品を研削および/または研磨して光学素子を作製することもできる。
レンズなどの軸対称形状の光学素子をプレス成形によって作製する場合、円柱状のガラス成形体を成形し、ガラス成形体の中心軸に対し垂直に切断することが好ましい。その他の場合でも、所望の光学素子の形状からプレス成形に適したプレス成形用ガラス素材の形状を決め、その素材を容易に作製できるような形状のガラス成形体を成形することが好ましい。ガラス成形体を分割して得られるプレス成形用ガラス素材の重量は、得ようとする光学素子の重量と等しくなるようにすることができる。または、分割後に機械加工を行い、目的とするプレス成形品の重量を有するプレス成形用ガラス素材を得ることもできる。
光学素子の光学機能面をプレス成形によって形成する精密プレス成形により光学素子を製造する場合、研磨加工等により、プレス成形用ガラス素材の表面を平滑に仕上げることが望ましい。また、酸化性雰囲気中でプレス成形を行うと、離型膜(例えばカーボン製)が劣化するおそれがあるため、プレス成形は、非酸化性雰囲気中にて行うことが好ましい。
精密プレス成形を行った場合、得られたプレス成形品は、徐冷した後、そのまま、非球面レンズ、球面レンズ、マイクロレンズ、レンズアレイなどの各種レンズ、プリズム、ポリゴンミラー、回折格子、フィルタなどの各種光学素子として用いることができる。なお、必要に応じて、光学機能面の周囲にある表面に機械加工を施して光学素子に仕上げてもよい。
または、プレス成形用ガラス素材を、例えば大気中で加熱、軟化した後にプレス成形してプレス成形品とし、そのプレス成形品に研削、研磨を施して各種レンズやプリズムなどの光学素子を作製することもできる。
本発明の光学素子の製造方法の第2の態様は、本発明の第1〜第4の態様のガラス成形体の製造方法により製造したガラス成形体を、分割してガラスブロックを作製し、前記ガラスブロックを加工して光学素子を作製するものである。この場合は、得ようとする光学素子の外径と等しいか、または前記外径に加工代を加えた外径を有する棒状ガラス成形体を成形することが好ましい。また、ガラスブロックの幅は、光学素子の肉厚または肉厚に加工代を加えたものとすることができる。このようにガラス成形体を分割して作製されたガラスブロックに、更に研削、研磨加工を施せば、レンズやプリズムなどの光学素子を作製することができる。
[ガラス基板の製造方法]
次に本発明のガラス基板の製造方法について説明する。
本発明のガラス基板の製造方法は、本発明の第1〜第4の態様のガラス成形体の製造方法により製造したガラス成形体をスライスして板状ガラスにする工程を含むことを特徴とする。本発明のガラス基板の製造方法において使用するガラス成形体を製造するためには、ガラス基板の平面視形状に、真っ直ぐな貫通孔の中心軸に対して垂直な断面の形状が近似する鋳型を使用してガラス成形体を成形することが好ましい。すなわち、円盤形状の基板を得るには円盤の直径に等しいか、または、前記直径に後述する取りしろを加えた外径を有する円柱状のガラス成形体を作製し、角型の基板を得るには角柱状のガラス成形体を作製することが好ましい。そしてガラス成形体の引き出し方向に対して垂直な平面で前記成形体をスライス加工することが好ましい。なお、柱状の成形体の場合は中心軸に垂直にスライス加工することができる。スライス加工を行う前に、ガラスの破損を防止するためにガラス成形体をアニールして歪を低減することが望ましい。このようにして作製した板状ガラスの表面を研磨してガラス基板に仕上げることができる。
本発明によれば、光学的に均質なガラス基板を生産性よく作製することができる。このようにして作製したガラス基板は、光学フィルター、固体撮像素子のカバーガラスなどに好適である。なお、ここで言うガラス基板は基板上に膜などが形成されていない平板状のガラスも含むものとする。
以下実施例により本発明をより詳細に説明する。

(実施例1)
十分清澄、均質化した熔融容器(白金合金製)内の熔融ガラス(ガラス粘度1.1dPa・s、中心部の温度1280℃)を、熔融ガラス流出口を供えた下端の温度が1250℃に制御され、上部が上記熔融容器に接続された白金合金製の流出パイプから一定の流出速度(37.8ml/min)で連続流下し、図2に示す位置に配置されたカーボン製の鋳型に真っ直ぐに設けられた貫通孔の入り口中央に流し込んだ。前述のように、パイプから流出する溶融ガラス流の表面温度は、流出パイプ下端の温度と同じとみなすことができる。なお、熔融容器内の熔融ガラスの温度も上記設定値を保つよう制御した。熔融容器内のガラスの温度と流出パイプの下端の温度差を30℃に設定したため、容器内の熔融ガラスがパイプ内を通過することにより、パイプから流出する熔融ガラス流の表面温度(1250℃)を中心部の温度(1280℃)よりも低くすることができた。ここで鋳型貫通孔の内径はφ20mm、貫通孔中心軸と水平面のなす角θを90°とした。鋳型貫通孔の長さは100mmとし、良好な成形ができるように、鋳型の周囲に図示しないバンドヒータを巻いて加熱した。貫通孔出口からのガラス成形体の引き出しはガラスの自重を利用し、引き出し速度が一定になるようにガラス成形体下端部を支持台によって支持し、支持台の下降速度(ガラス成形体の引き出し速度に相当)が12.0cm/minと一定になるよう設定して行った。なお、支持台の下降速度は鋳型貫通孔内の熔融ガラス液面の高さ(液位)が一定になるように制御してもよい。このような制御はレーザ液位計などの液位計を用いて上記熔融ガラスの液位をモニタし、液位計より出力されるモニタ信号に基づいて支持台の下降速度を増減、または一定とすることによって行うことができる。例えば上記液位が予め設定された基準液位よりも高い場合は支持台の下降速度を増加させ、逆に液位が基準液位よりも低い場合は支持台の下降速度を減少させる。このような制御によって上記液位が一定に保たれるよう制御することができる。
このようにして鋳型貫通孔出口よりφ20mmのガラス棒(円柱状ガラス)を鉛直下方に一定の速度で引き出した。鋳型から引き出したガラス棒の長さが500mmに達した時点でガラス棒を引き出し方向に対して垂直方向(水平方向)から切断し、アニールして歪みを除去した。
本実施例では鋳型貫通孔入り口に流し込まれる熔融ガラス流の表面温度を中心部の温度よりも低くなるように制御したので、熔融ガラス流表面部が鋳型貫通孔の内周面に沿って流れる状態を作ることができた。
このようにして、B23およびLa23含有の屈折率(nd)が1.883、アッベ数(νd)が40.8の光学ガラス(液相温度1200℃)よりなるガラス棒を作製した。得られた中実柱状のガラス棒は均質かつ透明であり、対面研磨後に目視観察したところ、表面から内部に入り込んだ脈理は認められなかった。
同様にして、屈折率(nd)が1.497、アッベ数(νd)が81.6のフツリン酸光学ガラス(液相温度645℃)や屈折率(nd)が1.457、アッベ数(νd)が90.3のフツリン酸光学ガラス(液相温度680℃)よりなり、内部に脈理などの欠陥は認められない均質かつ透明な中実柱状のガラス棒を成形することができた。
(実施例2)
50℃に保たれた乾燥空気を実施例1と同じようにして流出する熔融ガラス流の表面に吹きかけて熔融ガラス流の表面の冷却を促進した。その他については実施例1と同様にした。このようにして得られた中実柱状のガラス棒は均質かつ透明であり、対面研磨後に目視観察したところ、表面から内部に入り込んだ脈理は認められなかった。
同様にして、実施例1で使用した、屈折率(nd)が1.497、アッベ数(νd)が81.6のフツリン酸光学ガラスや屈折率(nd)が1.457、アッベ数(νd)が90.3のフツリン酸光学ガラスよりなり、内部に脈理などの欠陥は認められない均質かつ透明な中実柱状のガラス棒を成形することができた。
(実施例3)
流出パイプ下端と鋳型貫通孔入り口、および前記パイプ下端と貫通孔入り口の間の空間を含む領域をカバーにより覆い、カバー内に30℃の乾燥空気を流してカバー内雰囲気温度を低下させ、パイプから流出する熔融ガラス流表面の冷却を促進した。その他については実施例1と同様にした。このようにして得られた中実柱状のガラス棒は均質かつ透明であり、対面研磨後に目視観察したところ、表面から内部に入り込んだ脈理は認められなかった。
同様にして、実施例1、2で使用した、屈折率(nd)が1.497、アッベ数(νd)が81.6のフツリン酸光学ガラスや屈折率(nd)が1.457、アッベ数(νd)が90.3のフツリン酸光学ガラスよりなり、内部に脈理などの欠陥は認められない均質かつ透明な中実柱状のガラス棒を成形することができた。
(実施例4)
実施例1の鋳型を貫通孔入り口の開口径を10mmと貫通孔の内径よりも小さくし、中心軸に沿った貫通孔の断面が内部に行くにしたがってテーパー状に拡大して実施例1の貫通孔内径に達した後ほぼ一定となるものに交換し、流し込んだ熔融ガラス液位が上記テーパー状に形成された貫通孔内周面に接触する位置になるようにして円柱状のガラス棒を成形した。貫通孔に流し込まれた熔融ガラス表面は上記テーパー状の内周面によって熱が奪われるため冷却が促進され、貫通孔内周面に沿って下降することになる。その他については実施例1と同様にした。このようにして得られた中実柱状のガラス棒は均質かつ透明であり、対面研磨後に目視観察したところ、表面から内部に入り込んだ脈理は認められなかった。
なお、上記実施例1と実施例4、実施例2と実施例4、実施例3と実施例4を組み合わせて高品質なガラス成形体を製造することもできた。
同様にして、屈折率(nd)が1.497、アッベ数(νd)が81.6のフツリン酸光学ガラスや屈折率(nd)が1.457、アッベ数(νd)が90.3のフツリン酸光学ガラスよりなり、内部に脈理などの欠陥は認められない均質かつ透明な中実柱状のガラス棒を成形することができた。
(実施例5)
実施例1、2、3、4で成形したB23およびLa23含有光学ガラスからなるガラス棒を、中心軸に対して垂直方向に切断し、厚み10mmの円柱ブロックとした。さらに円柱ブロックに研削または研磨加工を施して、軸対称形状のプレス成形用ガラス素材を作製した。このようにして作られたプレス成形用ガラス素材には、脈理などの欠陥は認められなかった。
また、得られた円柱ブロックをプレス成形せずに研削、研磨加工を施してレンズなどの光学素子を作ることもできる。こうして得られた光学素子には、脈理などの欠陥は認められなかった。
さらに実施例1、2、3、4で成形した2種類のフツリン酸光学ガラスからなるガラス棒を使用して同様に脈理などの欠陥が認められないプレス成形用ガラス素材やレンズなどの光学素子を作製することもできた。
なお、実施例1、2、3、4で成形したB23およびLa23含有光学ガラスまたは2種類のフツリン酸光学ガラスからなるガラス棒を中心軸に対して垂直方向に分割して得た円柱ブロックをそのまま、または分割した断面を研磨してプレス成形用ガラス素材または精密プレス成形用ガラス素材とすることもできる。その場合は、ガラス素材の上記対向する断面をプレス成形型により加圧して成形することが望ましい。プレス成形または精密プレス成形ではプレス成形型成形面をガラスに転写してレンズ面などの光学機能面を成形するため、ガラス素材の上記断面が光学素子の光学機能面になる。そしてガラス素材の側面は光学素子の光学機能面の外側(光学機能面を囲む部分)になるので、ガラス素材の側面近傍に脈理が局在した本実施例のガラス素材であれば脈理が光学素子の光学機能面あるいは内部に入り込まず、高品質な光学素子を作製することができる。
(実施例6)
実施例5において作製した表面が滑らかなプレス成形用ガラス素材を、加熱、軟化し、窒素に水素を混ぜた混合ガス雰囲気中でプレス成形型を用いて精密プレス成形し、アニールして非球面レンズを得た。得られたレンズは、脈理などの欠陥のない良好なものであった。本実施例では上記B23およびLa23含有光学ガラスと上記2種類のフツリン酸光学ガラスを使用して非球面レンズを作製した。
(実施例7)
実施例5において作製したプレス成形用ガラス素材を、素材を加熱、軟化し、大気中でプレス成形型を用いてプレス成形し、アニールして球面レンズを得た。実施例で作製されたレンズは、脈理などの欠陥のない良好なものであった。本実施例では上記B23およびLa23含有光学ガラスと上記2種類のフツリン酸光学ガラスを使用して球面レンズを作製した。
(実施例8)
実施例1で使用した鋳型を貫通孔の中心軸に対する垂直断面の形状が長方形(縦10mm、横100mm)のものに替え、貫通孔中心軸と水平面のなす角θを90°にして、高位置側の開口部(貫通孔入り口)が白金合金製の流出パイプの真下になるようにカーボン製の鋳型を設置した。本実施例では実施例1と同様に白金合金製の熔融容器内の熔融ガラスの温度(1280℃)が一定になるよう制御し、熔融容器に接続する流出パイプの下端の温度(1250℃)も一定になるように制御した。このようにしてパイプから流出する熔融ガラス流表面の温度を中心部の温度よりも低くなるように制御した。四角柱状のガラス成形体の引き出しは実施例1と同様、ガラスの自重を利用した。引き出し速度は実施例1と同様、成形体下端部を支持台で支持し、支持台の下降速度(ガラス成形体の引き出し速度に相当)が3.8cm/分と一定になるように行った。鋳型内の熔融ガラス液位の制御、ガラス成形体の引き出し速度の制御等については実施例1と同様に行った。
このようにして、実施例1と同じB23およびLa23含有の屈折率(nd)が1.883、アッベ数(νd)が40.8の光学ガラスよりなる四角柱状のガラス棒を作製した。得られた中実柱状のガラス棒の表面から0.3mm以上の部分は、均質かつ透明であり、脈理などの欠陥は認められなかった。
同様にして、屈折率(nd)が1.497、アッベ数(νd)が81.6のフツリン酸光学ガラスや屈折率(nd)が1.457、アッベ数(νd)が90.3のフツリン酸光学ガラスよりなり、内部に脈理などの欠陥は認められない均質かつ透明な四角柱状のガラス棒を成形することができた。
(実施例9)
30℃に保たれた乾燥空気を実施例2と同じようにして流出する熔融ガラス流の表面に吹きかけて熔融ガラス流の表面の冷却を促進した。その他については実施例8と同様にした。このようにして得られた中実柱状のガラス棒の表面から0.3mm以上の部分は、均質かつ透明であり、脈理などの欠陥は認められなかった。なお、上記ガラス棒は上記B23およびLa23含有光学ガラスからなるもの、上記2種類のフツリン酸光学ガラスのそれぞれからなるものの3種類を作製した。
(実施例10)
流出パイプ下端と鋳型貫通孔入り口、ならびに前記パイプ下端と貫通孔入り口の間の空間を含む領域をカバーにより覆い、カバー内に30℃の乾燥空気を流してカバー内雰囲気温度を低下させ、パイプから流出する熔融ガラス流表面の冷却を促進した。その他については実施例8と同様にした。このようにして得られた中実柱状のガラス棒の表面から0.3mm以上の部分は、均質かつ透明であり、脈理などの欠陥は認められなかった。
なお、上記ガラス棒は上記B23およびLa23含有光学ガラスからなるもの、上記2種類のフツリン酸光学ガラスのそれぞれからなるものの3種類を作製した。
(実施例11)
実施例8の鋳型を貫通孔入り口の一方向の内径を10mm、前記方向と直交する方向の内径を10mmと貫通孔の内径よりも小さくし、中心軸に沿った貫通孔の断面が内部に行くにしたがってテーパー状に拡大して実施例1の貫通孔内径に達した後ほぼ一定となるものに交換し、流し込んだ熔融ガラス液位が上記テーパー状に形成された貫通孔内周面に接触する位置になるようにして円柱状のガラス棒を成形した。貫通孔に流し込まれた熔融ガラス表面は上記テーパー状の内周面によって熱が奪われるため冷却が促進され、貫通孔内周面に沿って下降することになる。その他については実施例8と同様にした。このようにして得られた中実柱状のガラス棒の表面から0.3mm以上の部分は、均質かつ透明であり、脈理などの欠陥は認められなかった。
なお、上記ガラス棒は上記B23およびLa23含有光学ガラスからなるもの、上記2種類のフツリン酸光学ガラスのそれぞれからなるものの3種類を作製した。
なお、上記実施例8と実施例11、実施例9と実施例11、実施例10と実施例11を組み合わせて高品質なガラス成形体を製造することもできる。
(実施例12)
実施例8、9、10、11で成形したガラス棒を、中心軸に対して垂直方向に切断し、厚み100mmの四角柱ブロックとした。さらに四角柱ブロックに研削または研磨加工を施して、軸対称形状のプレス成形用ガラス素材を作製した。このようにして作られたプレス成形用ガラス素材には、脈理などの欠陥は認められなかった。
また、得られた四角柱ブロックをプレス成形せずに研削、研磨加工を施してレンズなどの光学素子を作ることもできる。こうして得られた光学素子には、脈理などの欠陥は認められなかった。
(実施例13)
実施例12において作製した表面が滑らかなプレス成形用ガラス素材を、加熱、軟化し、窒素に水素を混ぜた混合ガス雰囲気中でプレス成形型を用いて精密プレス成形し、アニールして非球面レンズを得た。得られたレンズは、脈理などの欠陥のない良好なものであった。
(実施例14)
実施例12において作製したプレス成形用ガラス素材を、素材を加熱、軟化し、大気中でプレス成形型を用いてプレス成形し、アニールして球面レンズを得た。実施例12で作製されたレンズは、脈理などの欠陥のない良好なものであった。
(実施例15)
銅含有フツリン酸ガラスが得られる熔融ガラスを十分清澄、均質化して白金合金製の熔融容器に蓄積し、容器内の熔融ガラスの温度が700℃になるように制御した。上記容器に接続され、下端に熔融ガラス流出口が設けられている流出パイプから一定の流出速度(54.5ml/min)で熔融ガラス流を連続流下し、図2に示す位置に配置されたカーボン製の鋳型に真っ直ぐに設けられた貫通孔の入り口中央に流し込んだ。なお、流出パイプの下端の温度は585℃に制御され、熔融容器内のガラスの温度と流出パイプの下端の温度差を115℃に設定した。このような状態で容器内の熔融ガラスがパイプ内を通過することにより、パイプから流出する熔融ガラス流の表面温度を中心温度よりも低くすることができた。ここで鋳型貫通孔の内径はφ20mm、貫通孔中心軸と水平面のなす角θを90°とした。鋳型貫通孔の長さは100mmとし、良好な成形ができるように、鋳型の周囲に図示しないバンドヒータを巻いて加熱した。貫通孔出口からのガラス成形体の引き出しはガラスの自重を利用し、引き出し速度が一定になるようにガラス成形体下端部を支持台によって支持し、支持台の下降速度(ガラス成形体の引き出し速度に相当)が17.3cm/minと一定になるよう設定して行った。なお、支持台の下降速度は鋳型貫通孔内の熔融ガラス液面の高さ(液位)が一定になるように制御してもよい。このような制御はレーザ液位計などの液位計を用いて上記熔融ガラスの液位をモニタし、液位計より出力されるモニタ信号に基づいて支持台の下降速度を増減、あるいは一定とすることによって行うことができる。例えば上記液位が予め設定された基準液位よりも高い場合は支持台の下降速度を増加させ、逆に液位が基準液位よりも低い場合は支持台の下降速度を減少させる。このような制御によって上記液位が一定に保たれるよう制御することができる。
このようにして鋳型貫通孔出口よりφ20mmのガラス棒(円柱状ガラス)を鉛直下方に一定の速度で引き出した。鋳型から引き出したガラス棒の長さが500mmに達した時点でガラス棒を引き出し方向に対して垂直方向(水平方向)から切断し、アニールして歪みを除去した。
本実施例では鋳型貫通孔入り口に流し込まれる熔融ガラス流の表面温度を中心部の温度よりも低くなるように制御しているので、熔融ガラス流表面部が鋳型貫通孔の内周面に沿って流れる状態を作ることができた。
なお、本実施例においても実施例2、3、4のように熔融ガラス流表面の冷却を促進してもよい。
このようにして得た円柱状の銅含有フツリン酸ガラスからなるガラス棒を中心軸に対して直交する方向にスライス加工し、円盤状のガラスを作製した。次いでスライス加工により形成した面に研削、研磨加工を施して近赤外線吸収機能を有するガラス基板を得た。このようにして作製したガラス基板は光学的に均質なガラスからなるため、CCDやCMOSセンサーなどの半導体撮像素子の色補正用フィルターとして好適である。なおガラス基板の表面には必要に応じて光学多層膜を設けてもよい。
本発明によれば、脈理のない、または極めて少ないガラス成形体を生産性よく製造することができる。本発明の製造方法は、各種光学ガラスからなるガラス成形体を製造、保管し、需要に応じて所定の寸法に切断等の機械加工を行ってプレス成形用ガラス素材を作るか、または、そのガラス素材をプレス成形して光学素子を製造することにより、需要に柔軟かつ迅速に対応することができる。
熔融ガラス流表面の冷却を促進する方法の具体例を示す。 本発明のガラス成形体の製造方法の一例を示す。 貫通孔の長さの説明図である。

Claims (19)

  1. 貫通孔を有する鋳型を用い、パイプ流出口から流出する熔融ガラス流を前記貫通孔の入り口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に引き出して中実状のガラスに成形するガラス成形体の製造方法において、
    前記鋳型を、前記貫通孔の入り口が出口よりも高い位置になるように配置し、
    前記鋳型に流し込む前の熔融ガラス流の冷却を冷却促進手段によって促進することにより、該熔融ガラス流の表面温度を、中心部の温度よりも低くすることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  2. 前記冷却促進手段は、パイプ流出口と鋳型貫通孔の入り口の間を囲むカバーと、該カバー内に温度制御された雰囲気ガスを流す手段とを含む、請求項1に記載のガラス成形体の製造方法。
  3. 前記冷却促進手段は、前記鋳型に流し込む前に、前記流出する熔融ガラス流表面に冷却ガスを吹き付ける手段である、請求項1に記載のガラス成形体の製造方法。
  4. 前記冷却促進手段は、前記パイプの温度を制御する温度制御手段である、請求項1に記載のガラス成形体の製造方法。
  5. 前記パイプは、熔融ガラスを蓄積した容器に連接するパイプであり、
    前記容器内の熔融ガラスの温度とパイプの下端の温度差を20〜120℃の範囲に制御することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  6. 前記温度差の制御を、前記パイプの温度を制御する温度制御手段および前記容器内の熔融ガラスの温度を制御する温度制御手段の少なくとも一方を用いて行う、請求項5に記載のガラス成形体の製造方法。
  7. 前記貫通孔に流し込んだ熔融ガラスを貫通孔内周面に接触させて前記熔融ガラス表面の冷却を促進することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  8. 前記熔融ガラス流の粘度が102dPa・s未満である請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  9. 前記熔融ガラス流の粘度が0.5dPa・s以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  10. 前記貫通孔に流し込んだ熔融ガラスを貫通孔内周面に接触させてガラス成形体の外周面を成形することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  11. 前記ガラス成形体が前記外周面を除去して使用するものである請求項10に記載のガラス成形体の製造方法。
  12. 前記貫通孔は、前記入り口と出口が直線的に連絡している請求項1〜11のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  13. 前記鋳型を、前記貫通孔の中心軸が鉛直または傾斜した状態になるように配置する請求項12に記載のガラス成形体の製造方法。
  14. 棒状または平板状のガラスを成形する請求項1〜13のいずれか1項に記載のガラス成形体の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によりガラス成形体を製造し、製造したガラス成形体を分割する工程を含むプレス成形用ガラス素材の製造方法。
  16. ガラス素材を加熱し、プレス成形する工程を有する光学素子の製造方法において、
    請求項15に記載の方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、作製したプレス成形用ガラス素材を使用することを特徴とする光学素子の製造方法。
  17. 前記プレス成形によって作製したプレス成形品を研削および/または研磨する請求項16に記載の光学素子の製造方法。
  18. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によりガラス成形体を製造し、製造したガラス成形体を分割してガラスブロックを作製し、前記ガラスブロックを加工して光学素子を作製する光学素子の製造方法。
  19. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法によりガラス成形体を製造し、製造したガラス成形体をスライスして板状ガラスにする工程を含むことを特徴とするガラス基板の製造方法。
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