JP2007112697A - 光学ガラス、プレス成形用ガラスゴブ、ガラス成形体、光学素子およびそれらの製造方法 - Google Patents

光学ガラス、プレス成形用ガラスゴブ、ガラス成形体、光学素子およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学機器の小型、高性能化に対応可能な高屈折率を有し、カラーバランスの補正が可能な光学ガラスを提供する。
【解決手段】 ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有する光学ガラスにおいて、添加剤の種類と量の制御または熱処理により、厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
の関係を満たす透過率特性を有する光学ガラスである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学機器の小型、高性能化に対応可能な高屈折率を有し、カラーバランスの補正が可能な光学ガラス、該ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブ、ガラス成形体および光学素子、並びにこれらの製造方法に関する。
光学機器の小型、高性能化に伴い、屈折率の高いガラス材料が求められている。従来、高屈折率のガラスを実現するには特許文献1に記載されているような高濃度の鉛をガラス成分として含むガラスが使用されてきた。
しかしながら、高濃度の鉛を含むガラスは、鉛の毒性のため、環境への影響を配慮してその使用を控えるべきである。屈折率を高める成分としてPbOに代わるものにTiOがある。屈折率が2.0以上の超高屈折率ガラスを実現するには、一般にBあるいはBとSiOを主要なガラスのネットワーク形成成分とする組成系にTiOを多量に導入することが行われている。
しかし、屈折率(nd)が2付近まで高められると、分光透過率の短波長端の長波長側へのシフトが著しくなり、このようなガラスを撮像光学系に使用するとカラーバランスの補正が困難になるという問題があった。
特開昭63−274638号公報
本発明は、このような事情のもとで、光学機器の小型、高性能化に対応可能な高屈折率を有し、カラーバランスの補正が可能な光学ガラス、該ガラスからなるプレス成形用ガラスゴブ、ガラス成形体および光学素子、並びにこれらの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ガラス成分としてTiOを、添加剤としてSbやAsを含むホウ酸塩系光学ガラス、またはガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系光学ガラスであって、透過率と屈折率とが特定の関係を満たす透過率特性を有する光学ガラスが、高屈折率を有し、カラーバランスの補正が可能であること、そしてこの光学ガラスは特定の方法により製造し得ることを見出した。
また、前記光学ガラスを用いることにより、目的のプレス成形用ガラスゴブ、ガラス成形体および光学素子が得られることを見出した。
ホウ酸塩系光学ガラスにおいて、ガラスのネットワーク形成成分として機能するものに、Bがある。SiO、GeOを含む場合は、これら成分をネットワーク形成成分としての働きをする。この組成系において前記ネットワーク形成成分の量が少なく、屈折率を高めるTiOを多量に含む場合、少量のB、Si、Geを補うために4価のTiがネットワーク形成成分と同等の機能を果たすと考えられる。
このようなガラスは、B、SiO、GeOを合計で多量に含むTiO含有ガラスとは基本構造が異なると考えられる。すなわち、B、SiO、GeOの合計量が少なく、TiOを多量に含む組成では、何らかの理由によってTiイオンによる発色機能、すなわち、可視域の短波長側の光吸収機能が飛躍的に高められ、ガラスの着色が著しくなる。それに対してTiOを多量に含むガラスであっても、B、SiO、GeOを合計で多量に含む組成では、上記ガラスほど著しい着色は生じにくい。
さらに、ネットワーク形成成分が少なく、TiOを多量に含むガラスでは、極めて少量のSbやAsといった添加剤を加えると着色低減に著しい効果がある。これは上記ガラスの構造に由来するものと考えられ、他のガラスでは見られない現象である。なお、SbやAsは清澄剤として用いられることはあるが、清澄効果が得られる量と比較すると、上記効果が得られる添加量は極めて少ない。
本発明者らがネットワーク形成成分が少なく、TiOを多量に含むガラスの着色を詳細に分析したところ、後述するλ70という指標で上記ガラスの着色には一定の限界があることがわかった。そして、SbやAsを極めて少量、添加するとともに、添加量を前記指標に基づいて制御することにより、前記限界を超えて着色の少ないガラスをはじめて実現した。
本発明は、かかる知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有する光学ガラスにおいて、厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
の関係を満たす透過率特性を有することを特徴とする光学ガラス、
(2) 質量%表示にて、BとSiOを合計量で20%以下、GeOを0〜10%、TiOを20%以上含むと共に、添加剤としてSbおよび/またはAsを含み、前記添加剤の量が、厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、(1)式の関係を満たす透過率特性を示す範囲に制御されている上記(1)項に記載の光学ガラス(以下、光学ガラスIという)、
(3) Asを含まず、Sbの添加量が、0.004〜0.09質量%の範囲に制御されている上記(2)項に記載の光学ガラス、
(4) BaO5質量%以上を含む上記(2)または(3)項に記載の光学ガラス、
(5) 質量%表示にて、B 1〜20%、SiO 0〜18%、La 10〜50%、TiO 20〜40%、Nb 0〜30%、BaO 5〜35%、WO 0〜7%およびZrO 0〜15%を含む上記(2)〜(4)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(6) 添加剤としてSbを含み、屈折率(nd)が1.95以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、(1)式の関係を満たす透過率特性を有する上記(1)項に記載の光学ガラス(以下、光学ガラスIIという)、
(7) Sbの添加量が、0.004〜0.09質量%である上記(6)項に記載の光学ガラス、
(8) TiOの含有量が、20質量%以上である上記(6)または(7)項に記載の光学ガラス、
(9) BaO 5質量%以上を含む上記(6)〜(8)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(10) 質量%表示にて、B 1〜45%、SiO 0〜30%、La
10〜50%、TiO 20〜40%、Nb 0〜30%、BaO 5〜35
%、WO 0〜7%およびZrO 0〜15%を含む上記(6)〜(9)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(11) 任意成分として、質量%表示にて、Gd 0〜20%、Y 0〜15%、Yb 0〜15%、Ta 0〜18%、Bi 0〜20%、Ga 0〜10%、GeO 0〜10%、MgO、CaOおよびSrOを合計で0〜10%、ZnO 0〜15%、Al 0〜10%、LiO、NaOおよびKOを合計で0〜5%を含む上記(5)または(10)項に記載の光学ガラス、
(12) 屈折率(nd)が2.00以上である上記(1)〜(11)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(13) TiO 22質量%以上を含む上記(1)〜(12)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(14) Ptの濃度が30ppm以下である上記(1)〜(13)項いずれか1項に記載の光学ガラス、
(15) 液相温度において4dPa・s以下の粘度を示す上記(1)〜(14)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(16) 再加熱して成形するための上記(1)〜(15)項のいずれか1項に記載の光学ガラス、
(17) 屈折率(nd)が2.01以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、(1)式の関係を満たす透過率特性を有する上記(1)項に記載の光学ガラス(以下、光学ガラスIIIという)、
(18) 実質的にSbおよびAsを含まない上記(17)項に記載の光学ガラス、
(19) 質量%表示にて、BとSiOを合計量で20%以下、TiOを20%以上含む上記(17)または(18)項に記載の光学ガラス、
(20) 上記(1)〜(19)項のいずれか1項に記載の光学ガラスからなり、軸に沿って一定の外径を有する中実棒状のガラス成形体からなることを特徴とするガラス成形体、
(21) 上記(1)〜(19)項のいずれか1項に記載の光学ガラスからなることを特徴とするプレス成形用ガラスゴブ、
(22) 上記(1)〜(19)項のいずれか1項に記載の光学ガラスからなることを特徴とする光学素子、
(23) ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有する光学ガラスの製造方法において、
質量%表示にて、BとSiOの合計含有量が20%以下、GeOの含有量が0〜10%、TiOの含有量が20%以上である組成のガラスが得られるように、原料を調合するとともに、添加剤としてSbおよび/またはAsを加え、
厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
の関係を満たす透過率特性が得られるように前記添加剤の量を制御して、前記原料を加熱、熔融する工程を備えることを特徴とする光学ガラスの製造方法(以下、製造方法Iという)、
(24) Asを添加せず、Sbの添加量を、0.004〜0.09質量%の範囲で制御する上記(23)項に記載の光学ガラスの製造方法、
(25) BaOの含有量が5質量%以上となるように原料を調合する上記(23)または(24)項に記載の光学ガラスの製造方法、
(26) 質量%表示にて、B 1〜20%、SiO 0〜18%、La
10〜50%、TiO 20〜40%、Nb 0〜30%、BaO 5〜35%、WO 0〜7%およびZrO 0〜15%を含むガラスが得られるように原料を調合する上記(23)〜(25)項のいずれか1項に記載の光学ガラスの製造方法、
(27) ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有し、屈折率(nd)が1.95以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
の関係を満たす透過率特性を有する光学ガラスの製造方法であって、
熔融ガラスを冷却、成形する過程で、前記ガラスの転移温度近辺に相当する温度の酸化性雰囲気中に保持したのち、該ガラスを冷却することを特徴とする光学ガラスの製造方法(以下、製造方法IIという)、
(28) ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有し、屈折率(nd)が1.95以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
の関係を満たす透過率特性を有する光学ガラスの製造方法であって、
TiOを含むホウ酸塩系ガラスを、該ガラスの転移温度近辺に相当する温度の酸化性雰囲気中に保持して熱処理したのち、冷却することを特徴とする光学ガラスの製造方法(以下、製造方法IIIという)、
(29) 貫通孔を有する鋳型を用い、熔融ガラスを前記貫通孔の入口から連続的に流し込んで貫通孔内にガラスを満たし、前記貫通孔の出口から連続的に取り出すことを特徴とする上記(20)項に記載の中実棒状のガラス成形体の製造方法、
(30) 貫通孔を有する鋳型を用い、上記(23)〜(26)項のいずれか1項に記載の方法における熔融工程で得た熔融ガラスを前記貫通孔の入口から連続的に流し込んで貫通孔内にガラスを満たし、前記貫通孔の出口から連続的に取り出し、軸に沿って一定の外径を有する中実棒状のガラス成形体を得ることを特徴とするガラス成形体の製造方法、
(31) 上記(29)または(30)項に記載の製造方法により作製したガラス成形体を、前記ガラス成形体の軸を横切るように割断してガラス片を作製する工程を有することを特徴とするプレス成形用ガラスゴブの製造方法、
(32) 上記(21)項に記載のプレス成形用ガラスゴブ、または上記(31)項に記載の製造方法で作製したプレス成形用ガラスゴブを加熱し、プレス成形する工程を有することを特徴とする光学素子の製造方法、
(33) 上記(1)〜(19)項のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるガラス成形体、または上記(29)または(30)項に記載の製造方法により作製したガラス成形体を加工する工程を有することを特徴とする光学素子の製造方法、および
(34) 熔融ガラスを流出してプレス成形型に供給し、前記成形型でガラスをプレス成形する工程を有し、上記(1)〜(19)項のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子を作製することを特徴とする光学素子の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、TiOを含むホウ酸塩系光学ガラスにおいて、添加剤の種類と量の制御または熱処理により、高屈折率ガラスであるにもかかわらず、着色の少ない光学ガラスおよび該光学ガラスからなる光学素子を提供することができる。
具体的には、Sbおよび/またはAsを必須添加剤とする光学ガラスI、および屈折率(nd)が1.95以上であって、Sbを必須添加剤とする光学ガラスII、該光学ガラスIおよびIIそれぞれからなる光学素子を提供することができる。前記光学ガラスIおよびIIは、必須添加剤としてSbあるいはAsを適量含むため、燃焼ガスを燃焼することによってガラスを加熱、軟化したり、非酸化性雰囲気中でガラスを加熱、軟化しても、ガラスの着色が強まることを防止することができる。このように、ガラスを高温で取り扱った際に、雰囲気が酸化性雰囲気か還元性雰囲気かによってガラスの着色が大きく変わることがないので、透過率特性が一定のガラス成形体、プレス成
形用ガラスゴブ、光学素子などの光学ガラス製品を安定して量産することができる。
また、屈折率(nd)が2.01以上と極めて高く、超高屈折率ガラスであるにも拘らず着色の少ない光学ガラスIII、該光学ガラスIIIからなる光学素子を提供することができる。さらに実質的にSbを含まない態様によれば、Sbを含むガラスよりも着色が一段と少ないガラスを実現することができる。
本発明のガラス成形体は、軸に沿って一定の外径を有する中実棒状のため、前記軸を横切るようにスライス加工することで、一定形状、一定体積のガラス片を効率よく生産することができる。さらに、ガラス成形体の体積に対する表面積を大きくしつつ、側面から均等にガラスが放熱するため、高屈折率ではない普通のガラスよりも安定性が低いガラスであるにもかかわらず、少なくとも内部に失透部位のない、高品質なガラス成形体を製造することができる。
本発明のプレス成形用ガラスゴブによれば、高屈折率領域にあって着色の少ないガラスからなるプレス成形品を製造するためのプレス素材を提供することができる。
本発明の光学素子によれば、高屈折率領域にあって着色の少ないガラスからなる光学素子を提供することができる。
本発明の光学ガラスの製造方法I、IIおよびIIIによれば、高屈折率かつ着色の少ない光学ガラスを製造することができる。
本発明のガラス成形体の製造方法によれば、高屈折率ではない普通のガラスよりも安定性が低く、熔融ガラスを成形する際の粘度が極めて低いガラスであるにもかかわらず、少なくとも内部に失透部位や脈理のない高品質なガラス成形体を製造することができる。
そして、前記方法で作製したガラス成形体を軸を横切るように割断することによりガラス片を作製し、前記ガラス片の加工工程を任意に加えることにより、高品質なプレス成形用ガラスゴブを効率よく製造することができる。
本発明の光学素子の製造方法によれば、屈折率が高く、着色も少ない光学ガラスからなる光学素子を製造する方法を提供することができる。
上記各光学素子によれば、屈折率(nd)が1.95以上、あるいは2.01以上と極めて高いので、光学系を構成するレンズなどの部品点数を少なくしたり、レンズを小型化することができるので、光学系を小型化することができる。また、超高屈折率ガラスにあっては着色が少ないので、カラーバランスを補正可能な光学系を提供することもできる。
本発明の光学ガラスは、ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有する光学ガラスにおいて、厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
の関係を満たす透過率特性を有することを特徴とする。
前述のように、高濃度鉛含有ガラスによらず、屈折率(nd)が、例えば1.95以上の超高屈折率を達成するにはTiOが導入される。しかし、リン酸塩系の組成でTiOを多量に導入して屈折率(nd)を1.95以上にすると、分光透過率の短波長端が著しく長波長側へシフトし、ガラスが著しく着色してしまう。したがって、本発明の光学ガ
ラスにおいては、ベース組成としてリン酸塩ガラスを使用せずホウ酸塩系の組成をベースとする。ここでホウ酸塩系の組成とは、ガラス成分としてBを含む組成である。屈折率(nd)が、例えば1.95以上の高屈折率領域では高屈折率付与成分の量が多くなっているため、Bの含有量は数質量%と少ない場合もある。このような場合でもホウ酸塩系の組成では、質量%表示で、Bの含有量はPの含有量(Pを含まない場合も含め)よりも多い。また、好ましい態様において、質量%表示で、Bの含有量はSiOの含有量よりも多い。
ガラスの着色の定量的な取り扱いは次のようにする。厚さ10.0mmの両面が光学研磨された平板上のガラス試料を使用し、前記光学研磨された面の一方の面に垂直に入射する光の強度をIin、他方の光学研磨された面から出射する光の強度をIoutとすると、Iout/Iinを厚さ10.0mm相当の外部透過率と定義する。つまり、Iin−Ioutにはガラス試料の内部損失に加え、試料表面における反射による損失も含まれる。波長280nm〜700nmの波長域で厚さ10.0mm相当の外部透過率が70%になる波長(nm単位)をλ70と定義する。λ70が長波長になるほどガラスの着色は増し、短波長になるほど着色は薄れる。
上記のようにホウ酸塩系ガラスは比較的着色が少ないが、屈折率(nd)が、例えば1.95以上になるようにTiOを増量すると、λ70が長波長側にシフトして着色が増す。そして、TiO含有のホウ酸塩ガラスでは、所定の屈折率(nd)に対し、nm表示したときのλ70の値が、
909×(nd)−3009×nd+2842
で求まる値よりも大きくなるという固有に備わった性質があり、この値がλ70の限界でもあった。
本発明においては、添加剤の種類と量の制御または熱処理により、上記の限界を打破し、屈折率が極めて高いにもかかわらず、着色の少ない光学ガラスを提供するものである。
前記本発明の光学ガラスにおいては、以下に示す光学ガラスI、IIおよびIIIの3つの態様がある。
[光学ガラスIおよびII]
光学ガラスIは、ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有する光学ガラスにおいて、質量%表示にて、BとSiOを合計量で20%以下、GeOを0〜10%、TiOを20%以上含むと共に、添加剤としてSbおよび/またはAsを含み、前記添加剤の量が、厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、前記(1)式の関係を満たす透過率特性を示す範囲に制御されている光学ガラスである。
一方、光学ガラスIIは、ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有する光学ガラスにおいて、添加剤としてSbを含み、屈折率(nd)が1.95以上、好ましくは2.00以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、前記(1)式の関係を満たす透過率特性を有する光学ガラスである。
前記光学ガラスIにおいては、ベース組成をホウ酸塩系とし、BとSiOを合計量で20質量%以下、GeOを0〜10質量%およびTiO 20質量%を含む系で、必須添加剤としてSbおよび/またはAsを加える。その添加量は、前記(1)式で表される透過率特性が得られる量とする。なお、光学ガラスIの屈折率(nd)は1.95以上であることが好ましく、2.00以上であることがより好ましい。
本発明の光学ガラスIにおいては、環境衛生の面からAsを加えず、Sbを添加することが好ましい。
光学ガラスIIでは、光学ガラスIと同様にベース組成をホウ酸塩系とし、前記組成系でSbの量を適正化する。光学ガラスIIにおいてSbは必須添加剤であり、その添加量は(1)式で表される透過率特性が得られる量とする。
光学ガラスIおよびIIにおいては、前述のように、(1)式を満たすガラスを実現するために必要なSbの添加量は微量であるので、上記透過率特性が得られるように管理することで、適正な量のSbを添加することができる。
λ70とともに、透過率特性の指標となるものにλ5がある。λ5は、厚さ10.0mmにおける外部透過率が5%となる波長(nm単位)である。厚さ10.0mm相当のガラスではλ5以下の波長の光をほとんど遮断するため、λ5により透過率特性を規定することも重要である。光学ガラスI、IIの好ましい態様は、下記(1−a)式を満たす透過率特性を有するガラス、すなわち、(1−a)式を満たす透過率特性が得られるようにSbが添加されたガラスである。
λ5≦492×(nd)−1797×nd+2006 …(1−a)
上記好ましい態様によれば、CCDやMOS型センサーなどの半導体撮像素子に被写体からの可視域の画像情報を欠落することなく伝送でき、上記撮像素子の出力データに必要に応じて色補正を行うことにより、色彩等が忠実に再現された画像データを得ることができる。
なお、光学ガラスI、IIのより好ましい態様は、下記(1−b)式を満たす透過率特性を有するガラスであり、さらに好ましい態様は、下記(1−c)式を満たす透過率特性を有するガラスである。
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2832 …(1−b)
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2822 …(1−c)
光学ガラスIおよびIIにおいて、Sbの添加量は上記のように定めればよいが、その上限を0.09質量%とすることが望ましい。上記上限を超えてSbを添加すると、λ70が長波長側にシフトし、ガラスの着色が強まる傾向がある。一方、Sb添加量の下限は0.004質量%とすることが望ましい。上記下限に満たないSbの添加では所望の透過率特性が実現されにくく、また、微量のSbを均質にガラス全体に行き渡らせることが難しくなる。また、Sbの適量添加は後述するように白金製熔融容器からの白金混入量を低減する効果がある。
ホウ酸塩系組成で高品質な高屈折率ガラスを熔解する場合、シリカルツボを使用してガラス原料の粗熔解を行うとルツボが侵蝕されてガラス中にSiOが溶け込み、屈折率が所要値から低下するとともに、ガラスの着色が著しくなってしまう。このような理由からシリカルツボの使用を避けるべきであり、シリカルツボを使用せずに高品質のガラスを熔解するには、白金ルツボを使用することになる。
本発明者らは白金ルツボを使用した熔解で、屈折率(nd)1.95以上のTiO含有ホウ酸塩系ガラスの着色低減を試み、実験化学的に次のような知見を得た。
屈折率(nd)1.95以上の高屈折率ガラス、特に屈折率(nd)2.0以上の超高屈折率ガラスは、TiO等の高屈折率付与成分を多量に含むため、ネットワーク形成成分であるBの含有量が相対的に少なくなる。ネットワーク形成成分となり得るSi
を含む場合も同様である。ネットワーク形成成分の量が少なくなると、ガラスとしての安定性が低下し、高温領域における失透温度域が高温化する。その結果、失透を防止するために熔融ガラスの撹拌温度や流出温度も高温化し、熔融ガラスの粘度は極めて低い値となる。そして、熔融ガラスから脈理や失透のない高品質なガラスを成形したり、着色の少ないガラスを作製することは難しくなるが、清澄工程においても熔融ガラスが低粘性を示すため、清澄剤を加えなくても十分、泡を切ることができる。
Sbは脱泡作用が強い清澄剤として知られているが、脱泡作用を得るには少なくとも0.1質量%の添加量が必要である。しかし、TiO含有の超高屈折率ガラスに清澄剤として0.1質量%以上のSbを加えると、従来のガラスとは異なり、λ70が長波長化し、ガラスの着色が強まってしまう。
光学ガラスI、IIは、清澄剤を加えなくても十分な泡切れが可能なガラスなので、本発明者らは、当初、ガラスの着色を強めるSbを敢えて添加する必要はないと考えていた。また、Sbは強力な酸化性を示すため、白金ルツボを侵蝕し、ガラス中の白金異物を発生させたり、白金の溶け込みによるガラスの着色が危惧されていた。
しかし、Sbを清澄剤として使用するレベルよりも少ない量添加すると、上記予測に反して次のような新しい現象、効果が得られることを見出した。
Sbを極少量添加すると、Sbを添加しない場合よりガラスの着色が弱められる、すなわち、分光透過率の短波長端が短波長側にシフトする。しかし、Sbを増量していくと前記短波長端は長波長側にシフトして着色が強まってしまう。つまり、ガラスの着色を低減する上で、Sbの添加量に最適値が存在する。
ガラス中のPt濃度を分析したところ、意外にもSbを添加しない時よりもSbを添加した時のほうがPt濃度が低下して着色も弱まる。
以上より、清澄剤として使用される量よりも遥かに少ない範囲でSbを添加すると、ガラス中における何らかの着色機構が弱められるとともに、白金ルツボからのPtの溶出も抑えられ、ガラスの着色が低減されるが、着色が極小となる量を超えてSbを増量すると着色が増加することが判明した。
光学ガラスI、IIはこのような知見に基づき、得られたものである。
前述のように、Sbの適正な添加量は極めて少ない。したがって、ガラス原料全体にSbを均一に行き渡らせることが難しくなる。そして、Sbの添加量を許容範囲ぎりぎりに設定すると、Sbが多く分散した原料部分と、少なく分散した原料部分との間で熔解してできたガラスの透過率が著しく変わることが危惧される。このような事態を回避するため、Sbの添加量の下限を規定する場合、その好ましい範囲は0.004質量%以上である。したがって、Sbの添加量の望ましい範囲は0.004〜0.09質量%、より望ましい範囲は0.01〜0.05質量%である。
ガラス中のPt濃度とSbの添加量には前述のように相関があるので、光学ガラスI、IIではSbの最低添加量をガラス中のPt濃度で間接的に管理してもよい。Sbの最低添加量に相当するPt濃度は、脱泡可能ならしめる溶解条件に対して30ppmであり、最低添加量からSbを増量していくとPt濃度は低下するが、Sbの添加量が0.09質量%を超えないように留意することが好ましい。
光学ガラスI、IIにおいて、好ましいPtの濃度は30ppm以下、より好ましい範囲は20ppm以下である。Pt濃度の下限については特に制限はないが、前述のようにPt濃度を低下させるためにSbを過剰に添加するとガラスの着色が悪化するので注
意を要する。
光学ガラスI、IIにおいて添加されるSbは清澄剤としての機能をほとんど期待できない。しかし、光学ガラスI、IIであって、液相温度における粘度(以下、液相粘度という)が4dPa・s以下の特性を有するガラスは、粘性が低く、泡切れもよいから、泡を含まない高品質な低着色ガラスを実現することができる。泡切れの面から好ましい液相粘度の範囲は4dPa・s以下、より好ましい範囲は3dPa・s以下、さらに好ましい範囲は1.5dPa・s以下である。
光学ガラスI、IIにおけるSb添加による着色低減効果は、TiOの含有量が20質量%以上になると顕著になる。したがって、光学ガラスIは、20質量%以上のTiOを含むガラスであり、22質量%以上のTiOを含むガラスが好ましく、25質量%以上のTiOを含むガラスがより好ましい。光学ガラスIIは、20質量%以上のTiOを含むガラスが好ましく、22質量%以上のTiOを含むガラスがより好ましく、25質量%以上のTiOを含むガラスがさらに好ましい。TiO含有量の上限はガラスの安定性等を考慮して決められる。その上限は40質量%を目安とすればよい。
ガラスの泡切れは、前述のように清澄時の粘性に影響されるが、ガラス中の二酸化炭素や窒化酸素などのガス成分量の多少によっても影響を受ける。これらガス成分量が少ない場合、泡切れは悪化傾向を示し、ガス成分量が多い場合は泡切れが改善傾向を示す。そして、上記ガス成分は炭酸塩原料や硝酸塩原料としてガラスに導入される。
光学ガラスI、IIのような屈折率が極めて高いガラスでは、ほとんどのガラス成分は酸化物として導入される。酸化物以外の化合物で導入される成分としては、ネットワーク形成成分であるB(ホウ酸原料により導入可能)と、アルカリ金属成分、アルカリ土類金属成分があるが、アルカリ金属成分は屈折率を高める働きが比較的弱く、またガラスの安定性を損ないやすい成分でもあるので、多量に使用すべきではない。アルカリ土類金属成分の中で、屈折率を低下させずに、ガス成分を導入可能なものはBaOである。したがって、光学ガラスI、IIにおいてガラス成分としてBaOを含むものが好ましい。BaOの好ましい含有量は5質量%以上、より好ましい含有量は7質量%以上、さらに好ましい含有量は8質量%以上、より一層好ましい含有量は10質量%以上である。このようにBaOを導入することにより、Sb量が極めて少ないガラスでも十分な泡切れを実現し、高品質な光学ガラスを得ることができる。BaOを導入するための原料としては、炭酸バリウム、硝酸バリウム、メタリン酸バリウムなどが好ましい。
次に、光学ガラスIの組成について説明する。
〈光学ガラスI〉
光学ガラスIは、質量%表示にて、BとSiOを合計量で20%以下、GeOを0〜10%、TiOを20%以上含むガラスであり、好ましい態様として、B 1〜20%、SiO 0〜18%、La 10〜50%、TiO 20〜40%、Nb 0〜30%、BaO 5〜35%、WO 0〜7%およびZrO 0〜15%を含むガラスを挙げることができる。
なお、以下において、ガラス成分の含有量を単に「%」と表示するが、これは、特記しない限り『質量%』を意味するものとする。
光学ガラスIにおいて、BとSiOはガラスネットワーク形成成分としての役割を果たす。
はガラスの熔融性、流動粘性の温度低下に効果的な成分であり、1%以上導入することが好ましい。しかし、20%を超えて導入すると屈折率が低下する傾向がある。したがって、Bの含有量の好ましい範囲は1〜20%、より好ましい範囲は1〜1
5%、さらに好ましい範囲は2〜10%、より一層好ましくは3〜8%である。
SiOは耐失透性の維持に効果があるが、18%を超えて導入すると熔融性が悪化し、屈折率が低下する傾向がある。したがって、SiOの含有量の好ましい範囲は0〜18%、より好ましい範囲は0〜10%、さらに好ましい範囲は1〜8%、より一層好ましい範囲は2〜6%である。
とSiOの合計量は高屈折率のガラスを得るという点から20%以下であり、好ましくは1〜20%、より好ましくは1〜15%、さらに好ましくは3〜10%である。
なお、熔融性、耐失透性を維持する上から、Bの含有量をSiOの含有量よりも多くすることが好ましい。
Laは高屈折率低分散のガラスを得る上で重要な成分である。その含有量が10%よりも少ないと所望の屈折率を実現するのが難しくなり、50%を超えると耐失透性が悪化するおそれがある。したがって、Laの含有量の好ましい範囲は10〜50%、より好ましい範囲は18〜47%、さらに好ましい範囲は20〜47%、より一層好ましい範囲は20〜40%、なお一層好ましい範囲は25〜40%、さらに一層好ましい範囲は26〜38%、特に好ましい範囲は27〜36%である。
TiOは低濃度鉛含有ガラスあるいは鉛非含有ガラスにおいて屈折率を高めるために重要な働きをする成分であり、化学的耐久性、耐失透性を向上させる働きをする。前述のように、屈折率(nd)1.95以上のガラスを実現する上からTiOの含有量は20%以上であるが、40%を超えて導入すると耐失透性が低下する傾向がある。したがって、TiOの含有量の好ましい範囲は20〜40%、より好ましい範囲は20〜38%、さらに好ましい範囲は20〜38%、より一層好ましい範囲は20〜36%、なお一層好ましい範囲は22〜35%である。
Nbはガラスに高屈折率を付与する成分であり、適量の導入により耐失透性を改善する働きをする。しかし、30%を超えて導入するとガラスの着色が強まる傾向がある。したがって、Nbの含有量の好ましい範囲は0〜30%、より好ましい範囲は1〜30%、さらに好ましい範囲は1〜20%、より一層好ましい範囲は1〜15%、なお一層好ましい範囲は5〜15%、さらに一層好ましい範囲は6〜13%、特に好ましい範囲は6〜12%である。
BaOは前述のように、熔融ガラス中にガス成分を導入し、脱泡作用を高める働きをする成分であり、このような成分の中では屈折率を高める働きをする成分でもある。また、適量の導入によりガラスの着色を低減する。しかし、35%を超えて導入すると耐失透性が悪化する傾向がある。したがって、BaOの含有量の好ましい範囲は5〜35%、より好ましい範囲は5〜30%、さらに好ましい範囲は5〜25%、より一層好ましい範囲は7〜17%、さらに一層好ましい範囲は8〜15%、特に好ましい範囲は10〜15%である。
WOは少量の導入によって耐失透性を良化する働きをするが、過剰の導入によりガラスの着色が強まる。WOの含有量の好ましい範囲は0〜7%、より好ましい範囲は0〜3%である。前記範囲内でガラス中の泡低減を優先する場合は、WOの量を導入しないことが好ましく、前記範囲内で耐失透性の維持を優先する場合は、WOを0%超導入することが好ましく、0.1%以上導入することがより好ましく、0.5%以上導入することがさらに好ましい。
ZrOはガラスに高屈折率を付与する成分であり、耐失透性を改善する働きもする。しかし、15%を超えて導入すると耐失透性が低下し、熔融性も低下する傾向がある。したがって、ZrOの含有量の好ましい範囲は0〜15%、より好ましい範囲は1〜10%、さらに好ましい範囲は2〜10%、より一層好ましい範囲は4〜8%、なお一層好ましい範囲は5〜7.5%、さらに一層好ましい範囲は5.5〜7.5%である。
上記好ましい態様において、B、SiO、La、TiO、Nb、BaO、WO、ZrOおよびSbの合計含有量が95%を超えるガラスが好ましく、98%を超えるガラスがより好ましく、99%を超えるガラスがさらに好ましく、100%のガラスが特に好ましい。
上記好ましい態様のガラスは、任意成分として、質量%表示にて、Gd 0〜20%、Y 0〜15%、Yb 0〜15%、Ta 0〜18%、Bi 0〜20%、Ga 0〜10%、GeO 0〜10%、MgO、CaOおよびSrOを合計で0〜10%、ZnO 0〜15%、Al 0〜10%、LiO、NaOおよびKOを合計で0〜5%を含むガラスを示すことができる。
GdはLaとの置換で20%まで導入できるが、20%を超えると耐失透性が悪化する傾向がある。したがって、Gdの含有量の好ましい範囲は0〜20%、より好ましい範囲は0〜15%、さらに好ましい範囲は0〜10%、より一層好ましい範囲は0〜5%である。
もLaと同様に屈折率を高める働きをするが、15%を超えて導入すると耐失透性が悪化する傾向がある。したがって、Yの含有量の好ましい範囲は0〜15%、より好ましい範囲は0〜5%、さらに好ましい範囲は0〜3%、より一層好ましい範囲は0%以上2%未満、なお一層好ましい範囲は0〜1.5%である。
YbもLaと同様に屈折率を高める働きをするが、15%を超えて導入すると耐失透性が悪化する傾向がある。したがって、Ybの含有量の好ましい範囲は0〜15%、より好ましい範囲は0〜10%、さらに好ましい範囲は0〜5%、より一層好ましい範囲は0〜4%、なお一層好ましい範囲は0〜3%である。
Taはガラスに高屈折率、低分散特性を付与する働きをするが、18%を超えて導入すると熔融性が低下する傾向がある。Taの含有量の好ましい範囲は0〜18%、より好ましい範囲は0〜10%、さらに好ましい範囲は0〜5%、より一層好ましい範囲は0〜3%、なお一層好ましい範囲は0〜1%である。高価な原料を使用しないという観点からはTaを導入しないことが好ましい。
Biは少量の導入でガラス転移温度を低下させる働きをするが、20%を超えて導入すると耐失透性が低下し、着色が強まる傾向がある。したがって、Biの含有量の好ましい範囲は0〜20%、より好ましい範囲は0〜10%、さらに好ましい範囲は0〜5%、より一層好ましくは0〜3%、なお一層好ましくは0〜1%である。なお、着色の低減をより優先する場合は、Biを導入しないことが好ましい。
Gaは10%まで導入可能ではあるが、高価な成分であり、過剰の導入により耐失透性が低下するおそれがある。したがって、Gaの含有量の好ましい範囲は0〜10%、より好ましい範囲は0〜5%、さらに好ましい範囲は0〜3%、より一層好ましくは0〜1%である。高価な原料を使用しないという観点からはGaを導入しないことが好ましい。
GeOはSiOと同様の働きをし、SiOよりも屈折率を高める働きが強い。しかし、高価な成分であるとともに、10%を超えて導入すると耐失透性が低下する傾向がある。したがって、GeOの含有量の好ましい範囲は0〜10%、より好ましい範囲は0〜5%、さらに好ましい範囲は0〜3%、より一層好ましくは0〜1%である。高価な原料を使用しないという観点からはGeOを導入しないことが好ましい。
MgO、CaO、SrOは、BaOと置換可能な任意成分であるが、合計含有量が10%を超えると屈折率が低下する傾向がある。したがって、MgO、CaOおよびSrOの合計含有量の好ましい範囲は0〜10%、より好ましい範囲は0〜5%、さらに好ましい範囲は0〜2%、より一層好ましい範囲は0〜1%である。なお、屈折率をより高めることを優先させる場合には、MgO、CaO、SrOを導入しないことが好ましい。
ZnOはガラスに高屈折率低分散特性を付与する働きをする成分であり、耐失透性の良化、粘性流動の温度を低下させる効果を有する成分でもある。しかし、15%を超えて導入すると耐失透性が低下する傾向がある。したがって、ZnOの含有量の好ましい範囲は0〜15%、より好ましい範囲は0〜12%、さらに好ましい範囲は0〜7%、より一層好ましい範囲は0〜5%、なお一層好ましい範囲は0〜3%である。前記範囲内で、分光透過率の短波長端の立ち上がりを急峻にして、λ70とλ5を近づけることを優先する場合、あるいはガラス転移温度の低下を優先させる場合にはZnOを0%超導入することが好ましい。一方、ガラスの安定性の維持をより優先させる場合には、ZnOを導入しないことが好ましい。いずれを優先させるかにより、ZnOの有無を決めればよい。
なお、ZnOはBaOと比べ、TiO、Nbの含有量を増やしたときにガラスの安定性を維持する働きが弱い成分である。したがって、ガラスの安定性の一層の良化を優先する場合には、BaO含有量に対するZnO含有量の質量比(ZnO/BaO)を0〜0.120の範囲にすることが好ましく、0〜0.090の範囲にすることがより好ましく、0〜0.080の範囲にすることがさらに好ましく、0〜0.050の範囲にすることがより一層好ましく、0にすることがなお一層好ましい。
Alは少量の導入により耐失透性を改善する働きをするが、10%を超えて導入すると屈折率が低下する傾向がある。したがって、Alの含有量の好ましい範囲は0〜10%、より好ましい範囲は0〜5%、さらに好ましい範囲は0〜3%、より一層好ましい範囲は0〜1%である。屈折率をより高めることを優先する場合には、Alを導入しないことが好ましい。
LiO、NaO、KOはガラス転移温度を低下させる働きを有する。中でもLiOの前記働きが最も大きい。しかし、合計で5%を超えて導入すると耐失透性が悪化する傾向がある。したがって、LiO、NaOおよびKOの合計含有量の好ましい範囲は0〜5%、より好ましい範囲は0%以上1.5%未満、さらに好ましい範囲は0〜1%、導入しないことがより一層好ましい。
次に光学ガラスIIの組成について説明する。
〈光学ガラスII〉
光学ガラスIIにおいて好ましい態様のガラスは、質量%表示にて、B 1〜45%、SiO 0〜30%、La 10〜50%、TiO 20〜40%、Nb 0〜30%、BaO 5〜35%、WO 0〜7%およびZrO 0〜15%を含むガラスである。
光学ガラスIIにおいて、BとSiOはガラスネットワーク形成成分としての役割を果たす。
はガラスの熔融性、流動粘性の温度低下に効果的な成分であり、1%以上導入することが好ましい。しかし、45%を超えて導入すると屈折率が低下する傾向がある。したがって、Bの含有量の好ましい範囲は1〜45%、より好ましい範囲は1〜24%、さらに好ましい範囲は1〜20%、より一層好ましい範囲は1〜15%、なお一層好ましい範囲は2〜10%、特に好ましい範囲は3〜8%である。
SiOは耐失透性の維持に効果があるが、30%を超えて導入すると熔融性が悪化し、屈折率も低下する傾向がある。したがって、SiOの含有量の好ましい範囲は0〜30%、より好ましい範囲は0〜18%、さらに好ましい範囲は0〜10%、より一層好ましい範囲は1〜8%、なお一層好ましい範囲は2〜6%である。
なお、熔融性、耐失透性を維持する上から、Bの含有量をSiOの含有量よりも多くすることが好ましい。
La、TiO、Nb、BaO、WOおよびZrOについては、前述の光学ガラスIにおいて説明したとおりである。
上記好ましい態様において、B、SiO、La、TiO、Nb、BaO、WO、ZrOおよびSbの合計含有量が95%を超えるガラスが好ましく、98%を超えるガラスがより好ましく、99%を超えるガラスがさらに好ましく、100%のガラスが特に好ましい。
上記好ましい態様のガラスは、任意成分として、質量%表示にて、Gd 0〜20%、Y 0〜15%、Yb 0〜15%、Ta 0〜18%、Bi 0〜20%、Ga 0〜10%、GeO 0〜10%、MgO、CaOおよびSrOを合計で0〜10%、ZnO 0〜15%、Al 0〜10%、LiO、NaOおよびKOを合計で0〜5%を含むガラスを示すことができる。
この任意成分であるGd、Y、Yb、Ta、Bi、Ga、GeO、MgO、CaO、SrO、ZnO、Al、LiO、NaOおよびKOについては、前述の光学ガラスIにおいて説明したとおりである。
前述のように光学ガラスIIは屈折率が極めて高いため、ガラスの安定性維持には細心の注意を払うことが望まれる。上記好ましい態様において、ガラスの安定性維持にとってより好ましい態様は以下のとおりである。
〈より好ましい態様〉
La、Gd、Y、Yb、TiO、Nb、WOは屈折率を高める高屈折率付与成分としての役割を果たす。屈折率を高めるには高屈折率付与成分の導入量を増やす必要があるが、高屈折率付与成分の導入量を増やしていくとガラスの安定性が低下して失透傾向が増大する。そこで、失透傾向を抑えつつ、高屈折率付与成分の導入量を増加させるため、MgO、CaO、SrO、BaOの少なくとも1種を導入するとともに、高屈折率付与成分の合計含有量とネットワーク形成成分であるBとSiOの合計含有量の比率、高屈折率付与成分の合計含有量とMgO、CaO、SrO、BaOの合計含有量の比率を所定の範囲にする。
高屈折率付与成分のうち、La、Gd、Y、Ybの導入量を失透傾向を増大させずに増加させるには、高屈折率付与成分の合計含有量とネットワーク形成成分であるBとSiOの合計含有量の比率が重要な意味をもち、TiO、Nb、WOの導入量を失透傾向を増大させずに増加させるには、高屈折率付与成
分の合計含有量とMgO、CaO、SrO、BaOの合計含有量の比率が重要な意味をもつ。
そこで、より好ましい態様では、質量%表示あるいは質量比表示にて、BとSiOの合計含有量を1〜25%、La、Gd、Y、Yb、TiO、NbおよびWOの合計含有量に対するBとSiOの合計含有量の比率「(B+SiO)/(La+Gd+Y+Yb+TiO+Nb+WO)」を0.05〜0.3、La、Gd、Y、Yb、TiO、NbおよびWOの合計含有量に対するMgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量の比率「(MgO+CaO+SrO+BaO)/(La+Gd+Y+Yb+TiO+Nb+WO)」を0.1〜0.4とする。
とSiOの合計含有量が1%に満たないとガラスの安定性が低下して、ガラスの失透傾向が増大する傾向があり、25%を超えると屈折率を高めることが困難になる。したがって、BとSiOの合計含有量の好ましい範囲は1〜25%、より好ましい範囲は2〜18%、さらに好ましい範囲は3〜14%である。
高屈折率付与成分のうちLa、Gd、Y、Ybをガラスの安定性を損なわずにどれだけ導入できるかは、高屈折率付与成分の合計含有量に対するBとSiOの合計含有量の割合が重要なファクターとなり、TiO、Nb、WO3をガラスの安定性を損なわずにどれだけ導入できるかは、高屈折率付与成分の合計含有量に対するMgO、CaO、SrO、BaOの合計含有量の割合が重要なファクターとなる。
上記2つのファクターのうち、(B+SiO)/(La+Gd+Y+Yb+TiO+Nb+WO)が0.05よりも小さいとガラスの安定性が低下し、失透傾向が増大する傾向があり、0.3よりも大きくすると屈折率を所要の範囲にまで高めることが困難になるため、(B+SiO)/(La+Gd+Y+Y3+TiO+Nb+WO)を0.05〜0.3の範囲とすることが好ましい。
また、(MgO+CaO+SrO+BaO)/(La+Gd+Y+Yb+TiO+Nb+WO)が0.1よりも小さいとガラスの安定性が低下し、失透傾向が増大する傾向があり、0.4よりも大きくなると良好な耐失透性を維持したまま、屈折率を所要の範囲にまで高めることが困難になるため、(MgO+CaO+SrO+BaO)/(La+Gd+Y+Yb+TiO+Nb+WO3)を0.1〜0.4の範囲とすることが好ましい。
La、Gd、Y、Ybは高屈折率付与成分であるとともに、低分散特性を付与するための成分である。La、Gd、Y、Ybの合計含有量が25%未満になるとガラスの安定性を維持しつつ所望の光学特性を維持することが難しくなる傾向が生じ、45%を超えるとガラスの安定性が低下し、ガラスを安定して量産することが難しくなるため、上記合計含有量を25〜45%とすることがより好ましく、28〜40%とすることがさらに好ましく、30〜38%とすることがより一層好ましい。
TiO、Nb、WOはともに、La、Gd、Y、Ybよりも屈折率を高める働きが大きい。また、化学的耐久性、耐失透性を向上させる働きをする。特にTiOは上記高屈折率付与成分の中で分子量が最小なので、質量%で比
較的多量に導入してもガラスの安定性が損なわれにくい。
高屈折率付与成分中、屈折率を高める働きが強いTiOとNbでは、分子量が小さいこともあって、TiOをNbより多く導入することがガラスの安定性向上の面から望ましい。ただし、Nbもガラス成分として存在するほうがガラスの安定性をより高めることができること、Nbの含有量を高めることによりTiOの量を過剰にしなくても所望の屈折率を達成することができるので、ガラスの着色を低減できることから、光学ガラスIにおいて、TiO2の含有量に対するNbの含有量の割合(Nb/TiO)を0.1以上0.5未満とすることが好ましい。Nb/TiOが0.1未満だとガラスの安定性が低下し、着色傾向も強まり、前記割合が0.5以上になるとガラスの安定性を維持しつつ屈折率を高めることが難しくなる。
光学ガラスIIにおいて、ガラスの安定性を維持しつつ、屈折率をより一層高め、ガラスの熔融性、成形性を向上し、ガラスの着色を低減するには、Bの含有量に対するSiOの含有量の割合(SiO/B)を0.3〜2とすることが好ましい。
AsもSbと同様の働きをするものと考えられるが、毒性があるため、環境負荷の面から使用しないことが望ましい。
前記の光学ガラスI、IIにおいては、鉛とその化合物は、ガラスの着色を著しく増大させずに屈折率を高める成分であるが、環境負荷が大きいので、導入量を低減すべきであり、導入しないことが望ましい。
Cdとその化合物、Crとその化合物、Tlとその化合物も毒性があるため、ガラスから排除すべきものである。同様にU、Th、Raなどの放射性物質も排除するべきである。またガラスを意図的に着色する場合は別として、ガラスを著しく着色させるCu、Cr、V、Fe、Ni、Co、Pr、Nd、Er、Hoなども導入しないことが好ましい。また、Te、Seも環境影響に配慮すると使用を避けるべきである。その他、Cs、Rb、Hfなどの高価な成分も製造コストを増大させるだけなので、使用しないことが好ましい。
さらに、光学ガラスI、IIはLuを導入しなくても高屈折率化が可能であり、Luは高価であるため、経済性を考慮するとLuを導入しないことが好ましい。
また、Fはガラスの均質性に悪影響を及ぼすから、Fも導入しないことが望ましい。
光学ガラスI、IIは、適量のSbを含むため、高屈折率ガラスとしては着色が少ないことに加え、一旦得られたガラスの着色が変化しにくい特徴を備えている。すなわち、後述する方法によりSbを添加せずに着色の少ないガラスを得ても、そのようなガラスは非酸化性雰囲気中あるいは還元性雰囲気中で加熱すると、ガラスの着色が増してしまう。例えば、燃料ガスを燃焼してガラスを加熱する場合、燃料ガスが高温のガラスに接することによりガラスを還元してしまい、その結果、ガラスの着色度が増してしまったり、非酸化性雰囲気中あるいは還元性雰囲気中でガラスをプレス成形する場合に、加熱されたガラスが雰囲気によって還元されてしまい、成形したガラスの着色度が増してしまうことがある。しかし、光学ガラスI、IIのようにSbを適量添加すれば、非酸化性雰囲気中や還元性雰囲気中でガラスを加熱してもガラスの着色増大を防止することができる。その結果、製造工程によってガラスの着色にばらつきが生じるという問題を解決することができる。さらに、製造工程で生じたガラスの着色を低減するための酸化性雰囲気中での熱処理も不要になるため、製造工程を簡素化することもできる。
[光学ガラスIII]
光学ガラスIIIは、ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有する光学ガラスにおいて、屈折率(nd)が2.01以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
の関係を満たす透過率特性を有する光学ガラスである。
なお、光学ガラスIIIにおいてもホウ酸塩系の組成、λ70、λ5の意味は光学ガラスI、IIにおける意味と同じである。
光学ガラスIIIは、添加剤としてSbを含み、屈折率(nd)が1.95以上である光学ガラスIIにおいて、屈折率(nd)が2.01以上の態様(光学ガラスIII−1という。)を含むほか、SbおよびAsを含まずに、屈折率(nd)が2.01以上である態様(光学ガラスIII−2という。)も含む。光学ガラスIII−1については、屈折率(nd)が2.01以上であること以外は既に説明した光学ガラスI、IIと同様であるので、以下、SbおよびAsを含まずに、屈折率(nd)が2.01以上である光学ガラスIII−2について説明する。
光学ガラスIII−2は、ガラスを転移温度付近の温度域に保持することにより得ることができる。具体的には後述する本発明の光学ガラスI、IIまたはIIIにより製造される。
転移温度付近の温度域にガラスを保持するにあたり、雰囲気を酸化性雰囲気とすることが好ましい。酸化性雰囲気は大気、空気、不活性ガスに酸素などの酸化性ガスを混合した雰囲気、空気に酸素などの酸化性ガスを添加した雰囲気等である。中でも、取り扱いが最も容易である大気雰囲気中で上記ガラスの保持を行うことが好ましい。
また、酸化性雰囲気中の水分量も着色低減効果に影響するため、乾燥状態の酸化性雰囲気を使用することが望ましく、露点が−10℃以下の酸化雰囲気とすることがより望ましく、露点が−25℃以下の酸化雰囲気とすることががさらに望ましく、露点が−30℃以下の酸化雰囲気とすることががより一層望ましい。
従来のホウ酸塩系光学ガラスの製造では、熔融ガラスを急冷、成形し、ガラス転移温度付近に保持することなく、一定の降温速度、例えば1時間あたり30℃の割合で冷却するという方法が取られていた。ホウ酸塩系光学ガラスをガラス転移温度付近の温度域に保持することにより、着色が低減される機構は完全に解明されたわけではないが、本発明者らは、ガラス表面から内部に向けての何らかの拡散現象によって着色が低減されるものと考えている。そして、拡散現象にはガラス保持時の雰囲気が関係しているものと考えている。その理由は、上記保持の時間を変えたガラス試料を作って半分に切断し、断面を観察すると、保持時間が短い試料では試料の表面近傍では着色が少ないものの、内部に強い着色が見られるが、保持時間を長くしていくと着色の強い部分が次第に中心部分に限られるようになり、さらに保持時間を長くすると着色の強い部分が消滅するからである。
したがって、ガラスを転移温度付近の温度に保持する時間は、拡散によってガラスの中心部の着色が低減されるのに必要な時間以上とし、その上で、透過率特性が上記(1)式を満たすように保持時間を設定すればよい。この時間はガラスの体積、形状、ガラスを保持する温度、雰囲気中の酸化還元の担い手の濃度などによって変わるため、ガラスの生産開始前に予め実験等により保持時間を決めることが望ましい。
ここでガラス転移温度付近の温度とは、[ガラス転移温度(Tg)−100℃]以上かつ[ガラス転移点(Tg)+100℃]以下の範囲を目安にすればよく、[ガラス転移温
度(Tg)−50℃]以上かつ[ガラス転移点(Tg)+50℃]以下の範囲とすることが好ましい。上記温度範囲であればガラスを一定温度に保つ必要はない。
一般的には、上記温度範囲内にガラスを8時間以上保持することが好ましく、9時間以上保持することがより好ましく、10時間以上保持することがさらに好ましい。
光学ガラスIII−2の好ましい組成については、SbおよびAsを含まないこと以外は光学ガラスI、IIと同様であるが、BとSiOの合計量で20%以下、TiOを20%以上含むことが望ましい。
光学ガラスIII−1はSbを含むため、光学ガラスI、IIと同様、熔融ガラスからガラスを成形した後の工程で、ガラスに熱処理を加えても着色が増大することがないという特徴を有する。一方、光学ガラスIII−2はSbおよびAsを含まないため、還元性雰囲気でガラスを熱処理するとガラスが着色する場合があるが、後述する酸化性雰囲気中における熱処理により着色を低減することができる。
なお、光学ガラスIIIの好ましい態様も、光学ガラスI、IIと同様、次の(1−a)式を満たすものである。
λ5≦492×(nd)−1797×nd+2006 …(1−a)
上記好ましい態様によれば、前述のようにCCDやMOS型センサーなどの半導体撮像素子に被写体からの可視域の画像情報を欠落することなく伝送でき、上記撮像素子の出力データに必要に応じて色補正を行うことにより、色彩等が忠実に再現された画像データを得ることができる。
なお、光学ガラスI、IIと同様、光学ガラスIIIのより好ましい態様は、下記(1−b)式を満たす透過率特性を有するガラスであり、さらに好ましい態様は、下記(1−c)式を満たす透過率特性を有するガラスである。
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2832 …(1−b)
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2822 …(1−c)
光学ガラスI、II、光学ガラスIII−1については酸化性雰囲気中においてガラス転移温度付近の温度でガラスを保持しても保持しなくても、製造することは可能であるが、光学ガラスIII−2は以下の本発明の光学ガラスの製造方法I、II又はIIIにより製造する。
[光学ガラスの製造方法I]
本発明の光学ガラスの製造方法Iは、ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有する光学ガラスの製造方法において、
質量%表示にて、BとSiOの合計含有量が20%以下、GeOの含有量が0〜10%、TiOの含有量が20%以上である組成のガラスが得られるように、原料を調合するとともに、添加剤としてSbおよび/またはAsを加え、
厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
の関係を満たす透過率特性が得られるように前記添加剤の量を制御して、前記原料を加熱、熔融する工程を備えることを特徴とする。
この方法においては、Asを添加せずに、Sbの添加量を0.004〜0.09質量%の範囲で制御することが好ましく、またBaOの含有量が5質量%以上となるように原料を調合することが好ましい。
さらに、質量%表示にて、B 1〜20%、SiO 0〜18%、La
10〜50%、TiO 20〜40%、Nb 0〜30%、BaO 5〜35%、WO 0〜7%およびZrO 0〜15%を含むガラスが得られるように原料を調合することが好ましい。なお、λ70の意味は上述のとおりである。
本発明を実施するにあたり、各条件の設定は、上記(1−a)式が満たされるように行うことが好ましく、上記(1−b)式が満たされるように行うことがより好ましく、上記(1−c)式が満たされるように行うことがさらに好ましい。
[光学ガラスの製造方法II]
本発明の光学ガラスの製造方法IIは、ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有し、屈折率(nd)が1.95以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
の関係を満たす透過率特性を有する光学ガラスの製造方法であって、
熔融ガラスを冷却、成形する過程で、前記ガラスの転移温度近辺に相当する温度の酸化性雰囲気中に保持したのち、該ガラスを冷却することを特徴とする。
本発明における、転移温度付近、酸化性雰囲気、λ70の意味は、上述のとおりである。また、転移温度付近に相当する温度の酸化性雰囲気中に保持する時間、前記時間の設定方法も上述のとおりである。
本発明を実施するにあたり、各条件の設定は、上記(1−a)式が満たされるように行うことが好ましく、上記(1−b)式が満たされるように行うことがより好ましく、上記(1−c)式が満たされるように行うことがさらに好ましい。
[光学ガラスの製造方法III]
次に本発明の光学ガラスの製造方法IIIは、ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有し、屈折率(nd)が1.95以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
の関係を満たす透過率特性を有する光学ガラスの製造方法であって、
TiOを含むホウ酸塩系ガラスを、該ガラスの転移温度近辺に相当する温度の酸化性雰囲気中に保持して熱処理したのち、冷却することを特徴とする。
本発明は前述の本発明の光学ガラスの製造方法IIと基本的に同じであるので、以下、相違する点のみについて説明する。
本発明の製造方法IIIは、熔融ガラスを成形してガラス転移温度付近に相当する温度よりも低い温度域にしたガラスを加熱して、ガラス転移温度付近に相当する温度に保持する。
本発明の製造方法IIIも本発明の光学ガラスIII−2を得る方法として好適である。
[ガラス成形体およびその製造方法]
次に本発明の光学ガラスからなるガラス成形体およびその製造方法について説明する。
本発明のガラス成形体は本発明の光学ガラスからなる。本発明の光学ガラスは、前述のように成形に供する熔融ガラスの粘度が極めて低い。これは、成形時においてガラスの失透を防止するため、屈折率がさほど高くない熔融ガラスよりも高い温度域に置かれた熔融ガラスを急冷、成形しなければならず、そのため、熔融ガラスの粘度が低くなるからであ
る。また、ガラスをパイプから流出して成形する場合、パイプから同時に流出するガラスでもパイプ内周面に沿って流出するガラスとパイプ中心軸に沿って流出するガラスでは組成が極めて僅かではあるが相違する。流出するガラスの粘性が低くなると、この組成の相違が次第に大きくなる。このように組成が僅かに異なるガラスが混じるとガラス成形体に脈理が発生する。つまり、流出する粘度が低い本発明の光学ガラスは、成形時に脈理が極めて発生しやすいガラスである。
このようなガラスを脈理を発生させないで成形するには、パイプ内周面に沿って流出するガラスとパイプ中心軸に沿って流出するガラスが極力混じらないようにすればよい。すなわち、パイプ内周面に沿って流出するガラスはガラス成形体の表面を形成し、パイプ中心軸に沿って流出するガラスはガラス成形体の内部を形成するようにすればよい。このようなコンセプトを実現する手段の一つが以下のガラス成形体の製造方法である。
すなわち、ガラス成形体の製造方法は、入口と出口とを連絡する貫通孔を備えた鋳型を使用し、熔融ガラス流を前記貫通孔の入口から流し込んで前記貫通孔内に満たし、前記貫通孔内で成形したガラス成形体を貫通孔の出口から連続して取り出すことにより、本発明の光学ガラスからなるガラス成形体を製造するものである。
上記方法の中でも好ましい態様は、貫通孔を有する鋳型を用い、パイプから流出する熔融ガラスを前記貫通孔の入口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に取り出して中実状のガラスに成形するガラス成形体の製造方法であって、前記貫通孔内の少なくとも一部の領域(冷却領域)において、前記貫通孔内のガラス側面を前記貫通孔の内壁に接触させることにより前記ガラスの熱を前記側面から奪うとともに、前記冷却領域を通過したガラスを前記ガラスの転移温度(Tg)よりも150℃低い温度(Tg−150℃)以上の環境下を通過させることにより、前記ガラスの中心部と側面の温度を近づける方法である。
上記ガラス成形体の製造方法では、貫通孔を有する鋳型を用い、パイプから流出する熔融ガラスを前記貫通孔の入口に連続的に流し込み、前記貫通孔の出口から連続的に取り出して中実棒状のガラスに成形する。
光学的に均質なガラス成形体を製造するには、鋳型内においても熔融ガラスの流れを乱さないことが重要である。中空状のガラスを成形するには、中空部分、すなわちガラスを充填させない部分に熔融ガラスが流れ込まないよう、鋳型内にガラスの流れを部分的に阻止する機構を設けることになる。例えば、棒状ガラス成形体の中心軸部分を中空に成形したいときには、鋳型の中心軸に沿って鋳型同様、耐熱性の高い棒を配置し、この棒を囲むように熔融ガラスを流し込む。その際、上記棒に相当する中空部分へのガラスの充填を阻止する機構が熔融ガラスの流れを乱すことになる。一方、上記製造方法は光学的に均質なガラス成形体を得ることを目的としており、そのためガラス成形体も中空部分が存在しない中実状のガラス成形体とする。
上記成形体の製造方法で使用する鋳型は、貫通孔を有し、該貫通孔は、熔融ガラスを流し込む入口と中実状のガラスを取り出す出口を備えている。本発明では、熔融ガラス流出パイプから流出する熔融ガラスを、貫通孔の入口に連続的に流し込む。そして、前記貫通孔内の少なくとも一部の領域(冷却領域)において、熔融状態から少なくとも表面が固化するまでのガラスの側面、すなわち、ガラスが全体として移動する方向に対して垂直方向を向く面を前記貫通孔の内壁に接触させることにより、ガラスの熱を側面から奪う。これにより、脈理の発生しやすいガラス、特に流出時の粘度が低いガラスやフッ素含有ガラスにおける脈理発生を低減または防止することができる。特に、側面と貫通孔内壁との間に隙間が生じないように側面全周を貫通孔の内壁に接触させることにより、効率的にガラス
を冷却することができる。
後述するように、ガラスの失透を防ぐためには、パイプから流出して貫通孔入口に流し込まれる熔融ガラスの温度は、液相温度近傍以上の温度とすることが好ましい。具体的には、貫通孔入口に流し込む熔融ガラスの表面温度は、(液相温度+10℃)〜(液相温度+100℃)の範囲とすることが好ましい。貫通孔入口に流し込む熔融ガラス流の表面温度は、流出パイプ下端の温度と同じと見なすことができ、流出パイプ下端の温度は、熱電対で測定することができる。また、貫通孔入口に流し込む熔融ガラスの中心部の温度は、熔融ガラス内部に熱電対を差し込むことによって測定することができる。このように測定される熔融ガラス流の表面温度と中心部の温度との温度差を、120℃以内にすることが好ましく、60℃以内にすることがより好ましく、50℃以内にすることが更に好ましい。
鋳型(貫通孔内壁)の温度は、(1)ガラスが融着しない、(2)熔融ガラスが貫通孔内に隙間なく広がる、等の点を考慮して決定することが好ましい。鋳型には、温度制御のために、必要に応じてヒーターを設けたり、冷却器を設けてもよい。貫通孔出口でのガラス成形体表面の温度が高すぎる場合には、鋳型を空冷したり、水冷板を設ける等して冷却することにより、また、温度が低すぎる場合には、ヒーターにて加熱することにより、調整することができる。
前記冷却領域における貫通孔上部内壁の温度は、例えば、成形するガラスのガラス転移温度よりも50〜150℃低い温度とすることができる。後述するように貫通孔内のガラス流路全体を冷却領域とする場合、貫通孔内壁の温度は、入口付近において、成形するガラスのガラス転移温度よりも20〜50℃低い温度とすることができ、成形炉を使用する場合は、出口付近において、ガラス転移温度よりも100〜400℃低い温度とし、入口と出口の中間部において、入口付近の温度以下であって、出口付近の温度以上とすることができる。なお、貫通孔内壁の温度は、鋳型に穴を開けて熱電対を貫通孔内壁に近いところまで挿入して測定することができる。
このように、冷却領域において、ガラス側面を貫通孔内壁に接触させて熱を奪うことにより、ガラスの冷却を促進し、脈理の発生を防止または低減することができる。しかし、先に説明したように、特に流出時の粘度が低いガラスでは、鋳型から取り出したガラスの内部と表面との温度差が過度に大きいと、内部応力によってガラスが破壊または破損することがある。そこで、上記製造方法では、前記冷却領域を通過したガラスを、前記ガラスの転移温度(Tg)よりも150℃低い温度(Tg−150℃)以上の環境下を通過させることにより、前記ガラスの中心部と側面の温度を近づける。これにより、脈理の低減、防止のために冷却領域において急速に冷却されたガラスが、冷却領域通過後に内部応力によって破壊または破損することを防ぐことができる。
前記冷却領域は、貫通孔内のガラス流路全体であることができる。この場合、前記(Tg−150℃)以上の環境は、貫通孔出口から取り出されたガラスが曝される雰囲気であることができる。このように、貫通孔出口から取り出されたガラスを、(Tg−150℃)以上の雰囲気中を通過させて、ガラスの中心部と側面の温度を近づける場合、貫通孔出口から取り出されたガラスを即、前記雰囲気中に入れることが好ましい。
また、上記ガラス成形体の製造方法では、貫通孔内を入口側と出口側の2つの領域に大別し、入口側の領域でガラス側面を貫通孔内壁に接触させてガラスの熱を側面から奪う操作を行うとともに、出口側の領域の貫通孔内壁温度を、ガラス転移温度(Tg)よりも150℃低い温度(Tg−150℃)以上に制御することもできる。この場合、前記(Tg−150℃)以上の環境は、上記温度制御された出口側の領域である。ここで、入口側の
領域と出口側の領域を断熱して両領域における温度の制御を容易にするようにしてもよい。
上記いずれの場合も、ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作は、ガラス転移温度よりも100℃低い温度(Tg−100℃)以上の環境下にガラスを通過させて行うことが好ましく、ガラス転移温度よりも50℃低い温度(Tg−50℃)以上の環境下にガラスを通過させて行うことがより好ましく、ガラス転移温度(Tg)の環境下にガラスを通過させて行うことがさらに好ましい。
前記環境下の温度を低くしすぎると、ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を成形炉内で行う場合は、炉を長大にしなければならなくなる。また、鋳型内でガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を行う場合は、鋳型を長大にしなければならなくなる。その結果、大きなスペースが必要になったり、貫通孔出口からのガラスの取り出し速度を制御することが難しくなる。
また、ガラス成形体を割断する場合は、ガラスの温度が低くなりすぎると、ガラスのヤング率が増加するので割断しにくくなる。本発明において、熔融ガラスからガラス成形体になるまでガラスは連続体であり、大きな力でガラス成形体を割断するとその衝撃が鋳型中の熔融ガラスにまで及び、ガラスの流れを乱すなど、高品質なガラス成形体を得る上で不具合を生じるおそれがある。ワイヤーソーや砥石などによる切断も可能ではあるが、ガラスを室温付近まで冷却しなければならず、このような冷却には、長さ数十mにも及ぶ徐冷のためのスペースが必要となるため好ましくない。ガラス成形体の割断を良好に行うためには、ガラスの温度は転移温度付近以下であることが好ましく、転移温度よりも150℃低い温度以上かつ転移温度以下であることがより好ましく、転移温度よりも100℃低い温度以上かつ転移温度以下であることが更に好ましく、転移温度よりも50℃低い温度以上かつ転移温度以下で行うことがより一層好ましく、転移温度付近で行うことが特に好ましい。以上の点を考慮し、この方法では、ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を、(Tg−150℃)以上の環境下で行う。ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を行った後、すなわち歪みを低減した後に、ガラス成形体の割断あるいは切断を行うことで、ガラス成形体を所望の位置で破損させることなく分離することができる。
ガラスの内部と側面の温度を近づける操作を行うための温度の上限は、ガラス側面の急冷によって形作られたガラスの外径形状(取り出し方向に垂直な断面形状)が変形しない温度にすればよく、好ましくはガラスの軟化温度以下、より好ましくは軟化温度未満にすればよい。
上記操作を雰囲気中で行う場合は、成形炉と呼ばれる炉を貫通孔出口に連接し、貫通孔の出口から連続して取り出されるガラスがそのまま炉内へと進み、中心部と側面の温度が近づいた状態になったときに炉外へと出るようにすればよい。また、炉内を通過する時間は、ガラス成形体の内部応力を爆発的な破壊が起きない程度、または僅かな熱的衝撃や機械的衝撃により破損しない程度にまで低減可能な時間とすればよい。そのためには、ガラスの取り出し速度と炉内通過時間を考慮して、ガラスの取り出し方向に沿う成形炉の長さを適宜、実験等により決めればよい。炉内の雰囲気温度制御は、例えば炉内に配置したヒーターに流す電流値または電流を流す時間をコントロールすることにより行うことができる。
上記ガラス成形体の製造方法では、前記ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を行うことにより、ガラス中心部と側面の温度差を、例えば0〜150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは0〜50℃とすることができる。なお、前記ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作は、ガラスを室温付近まで徐冷する操作であるアニールとは異
なり、ガラスの温度が室温よりもかなり高温の状態で終了するものである。
次に、上記ガラス成形体の製造方法において使用される鋳型について説明する。
ガラスの融着、広がり、曲がり等を防止するという観点から、鋳型において、貫通孔の長さに対する内径の比(内径/長さ)を、1/50〜3倍の範囲にすることが好ましい。より好ましくは1/20〜2倍の範囲である。また貫通孔内径は、得ようとするガラス成形体の外径を考慮して決定すべきであり、例えば、10〜100mmとすることができる。但し、この寸法に限定する意図ではない。
鋳型内でのガラスの動きを妨げないようにするには、鋳型のガラスが通過する任意の部分のガラス移動方向に垂直な断面形状を、ガラス成形体の移動方向に垂直な断面形状と等しくすることが望ましい。鋳型の温度分布を制御しない場合は、成形中の鋳型の入口側の温度は出口側の温度よりも高くなるため、室温において貫通孔の内径を一定に形成すると、鋳型の熱膨張のため、成形時にはガラスの移動方向に沿った貫通孔の内径が一定にならなくなる。この成形方法では、入口から出口に行くにつれて、貫通孔内径を大きくし、成形時にガラスの移動方向に沿って前記内径が一定になるように、または出口に向けて僅かに拡大するように、熱膨張を考慮して貫通孔をテーパー状とし、テーパーの傾きを決めることが好ましい。特に、流出時の粘性が低いガラスを成形する場合やガラスの濡れ性が高い材質からなる鋳型を使用する場合、ガラスが鋳型に焼き付かないようにするため、テーパーの傾きを大きくすることが望ましい。
用いられる鋳型の材質としては、カーボン、鋳物、ニッケルなどの耐熱性金属が好ましい。また、熔融ガラスからガラス成形体を作製する工程は、鋳型の劣化を防止するという観点から、不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
雰囲気がガラス成形体の品質に影響を及ぼす場合には、パイプ流出口と貫通孔入口との間の熔融ガラスの流れる経路を囲んで、その中の雰囲気を制御することが好ましい。この成形方法では、高温のガラスの雰囲気に曝される面の面積は、従来の成形方法のように大きくないので、パイプ先端と成形装置全体を密閉してその内部の雰囲気を置換しなくても、上記のように必要最小限の狭い範囲を囲んで内部雰囲気を所望のガスと置換すれば、雰囲気制御の目的を達成することができる。高温のガラス表面から揮発を抑制したり、パイプ先端の外周面へのガラスの濡れ上がりを低減、防止してガラス成形体の品質を向上させる上から、上記雰囲気を乾燥雰囲気、不活性ガス雰囲気、または乾燥状態の不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。
この方法は、冷却領域を通過したガラスを、前記ガラスの転移温度よりも150℃低い温度以上の環境下を通過させて、前記ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作の有無によらず、揮発成分、例えばフッ素成分を含むガラスから成形体を作製する場合、脈理を低減、防止する方法として好適である。
このガラス成形体の製造方法の好ましい例は、入口と出口が直線的に連絡する貫通孔を備えた鋳型を用いる方法である。この方法では、入口が出口よりも高位置になるように鋳型を配置し、貫通孔内における熔融ガラス液面の高さが一定になるように、熔融ガラスの流し込みを行うことが好ましい。
上記好ましい例を図1に示す。図1は、上記ガラス成形体の製造方法に用いられる製造装置の一例の概略図である。図1に示すように、パイプ1内を流下した熔融ガラス2を鋳型3に流し込んで高位置から低位置へとガラスが移動する過程で、ガラス成形体4に成形する。図1に示すように、流し込まれたガラスの通過する部分が入口と出口を直線的に連
絡する貫通孔となっていれば、鋳型内においてより一層熔融ガラスの流れがスムーズになり、流れが乱れにくくなり、結果として光学的に均質なガラス成形体をより安定して作製することができる。
このガラス成形体の製造方法では、図1に示すように、貫通孔の中心軸が鉛直になるように(鉛直線に一致するように)鋳型3を配置することが好ましい。但し、前記中心軸を鉛直線に対して傾けて配置してもよい。中心軸を鉛直にして鋳型3を配置すると、パイプ1中を鉛直下方に流下した熔融ガラスの流れが、全体としての流れの向きを変えずに鋳型内を出口方向に向かって進むため、鋳型内の流れの乱れはより一層低減され、脈理低減効果をより一層高めることができる。
また、入口と出口が直線的に連絡した貫通孔に熔融ガラスを流し込むことにより、真っ直ぐなガラス成形体を得ることができる。真っ直ぐなガラス成形体は、ガラス成形体を加工してプレス成形用ガラスゴブを作製したり、光学素子を作製する上で都合がよい。このように直線状の中心軸を有し、中心軸に対して垂直な断面の形状、寸法が任意の位置において等しいガラス成形体を得るためには、入口と出口を直線的に連絡する貫通孔を有する鋳型を使用するとともに、鋳型から取り出したガラスを均一に冷却することが望ましい。均一な冷却を行うことにより、ガラスの収縮を均等にし、ガラス成形体の直進性を維持することができる。また、この成形方法では、前述のようにガラスの中心部と側面の温度を近づける操作をすることにより、ガラス成形体の直進性を向上することができるという利点もある。
成形条件を安定化するためには、貫通孔内における熔融ガラス液面の高さを一定にすることが好ましい。そのためには、パイプ1からの熔融ガラスの流出量を一定にし、ガラスを出口から取り出す速度を一定にすればよい。但し、熔融ガラスの流出量は時間経過とともに僅かながら変動することがあるため、常に上記液面の高さが一定になるように、ガラスを鋳型から取り出す速度を制御することが望ましい。
次に、貫通孔出口からのガラスの取り出しについて説明する。
このガラス成形体の製造方法において貫通孔出口からのガラスの取り出し方法としては、ガラスの自重による下方移動、ガラスを貫通孔出口から引き出すこと、ガラスに働く重力に加え、ガラスに引き出しの力を加えて引き出すことのいずれの取り出し方法を用いることもできる。また、取り出しによってガラスはほとんど延びないので、ガラスの取り出し速度とは、上記取り出されたガラス成形体の移動速度に相当する。取り出し速度の制御とは、取り出し速度が所望の速度になるようにガラス成形体を引き出す力を制御したり、ガラスが自重によって下方に所望の速度よりも大きな速度で移動する場合には、ガラス成形体が減速するような力を加え、取り出し速度が所望の速度になるよう制御することを意味する。
貫通孔出口からのガラスの取り出し速度が大きすぎたり小さすぎると、貫通孔内における熔融ガラス液面の高さが一定にならず、貫通孔内壁とガラスの間に隙間ができ、ガラス成形体の寸法が安定しない。極端な場合には、熔融ガラスが鋳型から溢れ出したり、ガラス成形体の形状が不良になってしまう。そのため、上記取り出し速度を制御することが好ましい。
ガラス成形体の取り出し速度の制御の一例としては、図1に示すように、貫通孔出口から取り出されるガラスの、貫通孔内壁によって成形された面(側面)を保持して、ガラス成形体の出口から取り出される速度を制御する方法を挙げることができる。例えば、複数のローラ5でガラス成形体の側面を挟持して、ローラ5とガラス成形体の側面6とが滑ら
ないようにした状態で、ローラ5の回転速度を制御してガラス成形体の下方への移動速度を制御する。上記複数のローラ5をガラス成形体の移動経路に沿って複数組配置し、ガラス成形体に働く重力を複数組のローラで分散して支持することが望ましい。このようにすることで、ローラ間をガラス成形体が滑って取り出し速度の制御が不能になることを、より確実に防止することができる。上記ローラは上記成形炉7内に配置することが望ましい。成形炉7内を通過したガラス成形体は歪みが低減されており、かつ、ローラ5よりも下方のガラス成形体は、ローラ5による保持によって吊り下げ状態になっている。よって、ローラ5よりも下方のガラス支持体を、上部のガラスから分離しても、ガラスの取り出し速度の制御に悪影響を及ぼすことはない。また、成形炉7を出たガラス成形体は歪みが低減されているので、ガラス成形体の分離によってガラスを破損することもない。更に、アニールを行ったガラス成形体を、上記保持位置を通過した後の位置において切断または割断すれば、熔融ガラスの鋳型への流し込みを中断しなくてもよいので好都合である。このようにすれば、保持すべきガラス成形体の重量が過大にならずに済むため、ガラスの取り出し速度制御の面から有利であり、しかも、ガラス成形体を成形しながら切り離したガラス成形体を次の工程へ送ることができ、ガラス成形体の生産性を高めることもできる。
他方、ガラス側面を保持して取り出し速度を制御する方法では、ガラスを挟持する力を大きくし過ぎるとガラスが破損するため、所定の力以上の力を加えることができない。そのため、ガラス成形体の重量が大きくなるとガラス成形体がローラ間を滑って、速度制御が困難となる。このような事態を避けるには、貫通孔の出口から取り出されたガラスの先端部を支持することにより、貫通孔からのガラスの取り出し速度を制御する方法を用いればよい。その一例を、図2に示す。図2は、このガラス成形体の成形方法に用いられる製造装置の別の例の概略図である。この方法は、側面を保持する方法と異なり、摩擦力によってガラス成形体を保持するものではないため、大重量のガラス成形体の製造に好適である。
上記いずれの取り出し速度制御法においても、取り出し速度の制御は鋳型内の熔融ガラス液面の高さを液面センサ8によってモニターし、前記モニター信号に基づき液面の高さが基準高さよりも高い場合は取り出し速度を増加し、液面の高さが基準高さよりも低い場合は取り出し速度を減少させる制御を行うことができる。例えば、上記モニター信号を取り出し速度コントローラ9に入力し、コントローラ9において基準高さとモニターした液面の高さを比較して、その結果を取り出し速度にフィードバックする。ローラ5(図1参照)によるガラス側面の挟持により取り出し速度を制御する方法では、コントローラ9が出力する制御信号をローラ5を回転するモータのコントローラに入力し、ローラ5の回転速度を制御することができる。貫通孔出口から取り出されたガラスの先端部を支持して取り出し速度を制御する方法(図2参照)では、先端部を支持する機構(支持機構10)のアクチュエータにコントローラ9が出力する制御信号を入力して、ガラス先端部を支持する部材の移動速度が所望の速度になるように制御することができる。鋳型内の熔融ガラス液面の高さのモニターの方法は特に限定されず、温度計やレーザーセンサー等を用いる方法を例示することができる。
ところで、貫通孔の中心軸と鉛直線のなす角を増加していくと、鋳型貫通孔とガラス成形体側面の摩擦力が増加し、ガラス成形体が大重量になってもガラス成形体側面を保持する方法でも取り出し速度の制御が可能になる。したがって、流出時における粘性が極端に低くないガラスから、大重量のガラス成形体を製造する場合は、貫通孔の中心軸を鉛直線に対して傾けて鋳型を配置することもできる。
次に、取り出し中のガラス成形体の分離方法について説明する。
貫通孔出口より取り出したガラスは、内部と側面の温度を近づける操作によって内部応力が低減され、爆発的な破壊、または僅かな熱的衝撃や機械的衝撃による破損の危険は解
消されている。さらに、このガラスを室温まで冷却するには、鋳型からガラスを長く引き出さなければならない。そのためには、鋳型下方に大きなスペースが必要になったり、ガラス成形体の重量が過大になって取り出し速度の精密な制御が困難になるおそれがある。そこで、この成形方法では、ガラス成形体の温度がガラス転移温度付近になったところでガラス成形体の切り離しを行うことが望ましい。
切り離し方法の具体例を、図3〜図5に示す。図3、図4および図5は、それぞれ前述のガラス成形体の成形方法において、ガラス成形体の切り離し方法の態様を示す説明図である。図3に示すように、所定の位置においてガラス成形体の側面の一部に、スクライブ加工によってガラス成形体の取り出し方向に対して垂直な方向にケガキ線(刻線)を形成し、ガラス成形体の中心軸を挟んで前記スクライブ加工を施した位置の反対側の側面を局所的に支持する支点を置き、前記支点により、該支点から上部のガラス成形体の動きを制限しつつ、ガラス成形体側面のスクライブ加工位置の下方に水平方向に圧力を加えて、図4に示すように支点を中心にスクライブ加工を施した部分からガラス成形体を破断させてガラス成形体を割断する方法が好ましい。
また、外径が大きいガラス成形体を割断する場合には、図5に示すように内部に水路が形成された金属製のジャケットをスクライブ加工部位に局所的に接触させて、熱衝撃によりケガキ線からガラス内部へと向かうクラックを発生させ[(b)図]、ガラス成形体の中心軸を挟んでケガキ線の反対側の側面を支点で支え[(c)図]、ケガキ線よりも下方のガラス成形体に力を加えて、クラックが支点により支えられている部位に向けて成長するようにトルクを働かせてガラス成形体を割断する[(d)図]、ことが好ましい。
冷却過程において発生する内部応力の大小は、ガラス成形体の形状やサイズによっても変わる。例えば、光ファイバのように極めて細いガラス成形体の場合は、内部と表面の温度差ができにくい。また、厚みが極めて薄いシート状のガラスでも、内部と表面の温度差ができにくい。逆に、外径が大きい棒状ガラスや厚い板状ガラスでは内部と表面の温度差が大きくなり、冷却過程において大きな内部応力が発生しやすい。このようなガラス成形体としては、3mm以上の厚みを有する板状ガラス、または3mm以上の外径を有する棒状ガラスがある。したがって、本発明は、3mm以上の厚みを有する板状ガラスの成形に好適であり、5mm以上の厚みを有する板状ガラスの成形により好適である。また、3mm以上の外径を有する棒状ガラスの成形に好適であり、5mm以上の外径を有する棒状ガラスの成形により好適であり、10mm以上の外径を有する棒状ガラスの成形にさらに好適である。
なお、本明細書において、「棒状ガラス」とは、円、楕円、正方形、短辺長に対する長辺長の比(長辺長/短辺長)が2以下の長方形、多角形等の断面形状を有するガラス成形体をいう。また、「板状ガラス」とは、厚みに対する幅の比(幅/厚み)が2を超えるガラス板をいう。
また、棒状ガラスの外径とは、棒状ガラスの中心軸に対し垂直な断面において、ガラスの厚みが最も薄い部分の長さを意味する。例えば、円柱状ガラスでは円柱の中心軸に対して垂直な断面は円になるので、外径は前記円の直径であり、楕円柱ガラスでは中心軸に対して垂直な断面は楕円になるので、外径は前記楕円の短径であり、正四角柱状ガラスでは中心軸に対して垂直な断面は正方形になるので、外径は前記正方形の一辺の長さになる。中心軸に対して垂直な断面が長方形の四角柱状ガラスは、外径が前記長方形の短辺の長さに相当する。
これまで説明した方法は、パイプから流出する熔融ガラスを途切れることなしに鋳型に連続して流し込むものであり、熔融ガラスを流出するパイプの流出口の下方に鋳型を一つ
配置することにより、ガラス成形体を連続して製造することを可能にするものである。
次に、複数の鋳型を使用する例について説明する。
この例では、前記鋳型を複数用意するとともに、そのうちの一つを前記パイプの下方に配置し、前記パイプの下方に配置した鋳型に熔融ガラスを連続的に流し込んでガラス成形体を成形し、次いで鋳型への熔融ガラスの流し込みを中断して、熔融ガラスが流し込まれた鋳型を前記パイプ下方から搬出し、該搬出された鋳型からガラス成形体を取り出す工程、前記搬出後、前記熔融ガラスが流し込まれた鋳型とは異なる鋳型を前記パイプ下方に搬入、配置し、前記搬入した鋳型に熔融ガラスの流し込みを行う工程を繰り返し行うこともできる。
この方法は、流出時の粘性が低いガラスからなる大重量のガラス成形体を製造する場合に好適である。この方法には、複数の鋳型と、それら鋳型を順次パイプの下方に移動する機構と、熔融ガラスの鋳型への流し込みを中断するための機構が必要になるが、鋳型への熔融ガラスの流し込みと、同じ鋳型からガラス成形体を完全に取り出す操作を同時に行わなくても済むという利点がある。そのため、ガラス成形体の長さが所定の長さに達した時点で鋳型への熔融ガラスの流し込みを中断し、パイプの下方からガラス成形体を鋳型ごと搬出してガラス成形体を切断、割断することなく、鋳型から取り出すことができる。したがって、ガラス成形体の先端部(下端部)を支持してガラス成形体の取り出す速度を制御することができるので、摩擦力を利用したガラス成形体側面を保持する方法とは異なり、大重量のガラス成形体の取り出し速度を高精度に制御することができる。
上記熔融ガラスの流し込みを中断するには、例えば、パイプの流出口と貫通孔入口の間に流出時の粘性が低い熔融ガラス流の切断に好適な一枚刃からなる切断刃を入れて、熔融ガラス流の流れを切断し、鋳型の搬出、搬入が終わった時点で切断刃を退避して熔融ガラスの流し込みを再開すればよい。この方法も上記熔融ガラスの流し込み中断以外ではパイプから流出する熔融ガラスを途切れることなしに鋳型に流し込むことが好ましい。
鋳型の移送は、例えば2つの鋳型を使用し、鋳型を交互にパイプ流出口に搬入、搬出したり、3つ以上の鋳型をターンテーブル等の複数の鋳型を同期して移送する機構上に載せ、上記テーブルをインデックス回転し、鋳型が順次、パイプ流出口の下方で停留するようにすることで行うことができる。
1つの鋳型を使用する方法、複数の鋳型を使用する方法のいずれにおいても、パイプを鉛直に配置し、パイプ流出口の中心の鉛直下方に鋳型内の熔融ガラス液面の中心が位置するよう、鋳型を配置することが好ましい。このようにすることで、熔融ガラスを入口側から出口側に向かってそろった状態で鋳型内を流すことができ、光学的に均質なガラス成形体を得る上で好都合である。
上記方法の好ましい例は、ガラスの液相温度における粘度を室温における密度で割った動粘性率が7×10−5/s未満のガラスの成形にも好適である。ガラス成形体の脈理低減、防止を主要目的とする場合、貫通孔の中心軸が直線である(入口と出口が直線的に連絡した)鋳型を使用して、鋳型貫通孔の中心軸を鉛直にして鋳型を配置し、鋳型貫通孔の入口から熔融ガラスを連続して流し込み、上記動粘性率が7×10−5/s未満のガラスからなるガラス成形体を作製することは有効である。鋳型貫通孔の形状、寸法、鋳型の材質については前述の条件をそのまま適用することができる。そして、貫通孔中では、ガラス側面の全周を貫通孔内壁に接触させてガラスの熱を前記側面から奪うことが好ましい。この例でも、前述のように、熔融ガラスを流出するパイプを鉛直にすることが望ましい。このようにすることにより、パイプ中のガラスの流れ、鋳型中でのガラスの移動方向、およびガラスに働く重力の方向を揃えることができる。これにより、ガラス表面と
内部とが混じり合わないようにすることができ、脈理低減、防止効果を向上させることができる。脈理低減、防止効果の向上という観点から、パイプの中心軸と鋳型貫通孔の中心軸とが一致するようにパイプと鋳型の位置関係を調整して、熔融ガラスの流し込みを行うことが好ましい。
動粘性率が7×10−5/s未満のガラスは液相粘度が低いだけでなく密度が大きいため、ガラス成形体中に脈理が生じやすいが、上記方法によれば、脈理をガラス成形体の表面層に局在化させ、内部が脈理を含まない光学的に均質なガラス成形体を大きい体積にわたって得ることができる。このようにして得たガラス成形体は、後述するように、プレス成形用ガラスゴブに加工したり、光学素子に加工したり、上記プレス成形用ガラスゴブを加熱し、プレス成形して光学素子ブランクや光学素子を作製したり、前記光学素子ブランクを加工して光学素子を作製することもできる。
従来の方法で、動粘性率が3×10−5/s未満のガラスを成形しようとすると、光学ガラスおよびその他の光学用途に使用するレベルの高品質なガラス成形体を得ることは困難である。同様に、動粘性率が4×10−5/s以下のガラスでは上記高品質なガラス成形体を得ることは極めて困難であり、動粘性率が5×10−5/s以下のガラスでは上記高品質なガラス成形体を得ることは困難である。同様に、動粘性率が6.5×10−5/s以下のガラスでは脈理による不良部分が大きくなる。
それに対し、このガラス成形体の製造方法は、本発明の光学ガラスの中でも、動粘性率が6.5×10−5/s以下のガラスの成形により好適であり、5×10−5/s以下のガラスの成形にさらに好適であり、4×10−5/s以下のガラスの成形により一層好適であり、3×10−5/s未満のガラスの成形に特に好適である。このように動粘性率が小さいガラスでも高品質のガラス成形体を大きな体積で得ることができる。
このようなガラス成形体の製造方法によれば、上記光学ガラスからなる光学的に均質なガラス成形体を破損することなく、高い生産性のもとに製造することができる。
[プレス成形用ガラスゴブおよびその製造方法]
本発明のプレス成形用ガラスゴブは、本発明の光学ガラスからなる。
本発明のプレス成形用ガラスゴブを製造する方法の一例は、前述の本発明のガラス成形体の製造方法により作製したガラス成形体を用い、これを加工するものである。
このガラス成形体の製造方法におけるガラスの中心部と側面の温度を近づける操作は、大きな内部応力によってガラス成形体が破壊することを防止するためのものであって、屈折率をはじめとするガラスの光学特性を精密に目標とする値に一致させるような精密アニールではないし、ガラスを炉内で室温まで徐冷するアニールでもない。鋳型から取り出したガラス成形体をそのまま上記アニールするには、鋳型下方に長大なアニール炉を設けなければならず、現実的ではない。また、前述のようにガラス成形体を室温まで冷却してから割断しようとすると、ガラスのヤング率が増大しているため、容易に割断することができない。
そこで、前述のガラスの中心部と側面の温度を近づける操作は、ガラスの温度(ガラス側面の温度)がガラス転移温度よりも150℃低い温度になる前、好ましくはガラス転移温度よりも100℃低い温度になる前、より好ましくはガラス転移温度よりも50℃低い温度になる前、さらに好ましくはガラス転移温度付近で終了し、ヤング率が増大する前の状態でガラス成形体を割断することが好ましい。割断方法としては、前述のようにガラス成形体側面にスクライブ加工によりケガキ線を形成し、ケガキ線からクラックが成形体内部に成長するようにガラス成形体にトルクを加えて割断する方法を用いることができる。
ただし、ガラス成形体の外径が40mm以上になるとトルクを加えただけではガラスの割断が困難になる。この場合には、ガラス成形体が高温であることを利用し、スクライブ加工部位を局所的に冷却することにより熱衝撃を加え、スクライブ加工部位からガラス内部にクラックを成長させてからトルクを加え、ガラス成形体を割断することが好ましい。このようにすれば、外径が40mm以上のガラス成形体でも比較的容易に割断することができる。ガラス成形体にトルクを加えるには、スクライブ加工部位の反対側のガラス成形体側面を支点で支持し、支点よりも先のガラス成形体側面にスクライブ加工部位が広がるように力を加えればよい。
ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作によってガラス内部の歪みが低減された状態で割断を行うことができるので、トルクを加えることによって、または熱衝撃を併用することによって、良好な割断が可能になる。
このようにして鋳型または成形炉から取り出されたガラス成形体から分離された先端部分のガラスは徐冷炉内に搬入され、室温付近まで徐冷される。
前述の複数の鋳型を使用する方法でも、ガラスの中心部と側面の温度を近づける操作を行ったガラス成形体を徐冷炉内に搬入し、室温付近まで徐冷する。
ガラス成形体の徐冷炉への移送はロボット機構などを用いて行えばよい。その際、保持部分でガラスを急冷してしまうとガラスが熱衝撃により破損するおそれがあるので、ガラス成形体を保持する部分を比熱の小さい材料で構成するか、または、保持部分をヒータで加熱する機構を設けるか、比熱の小さい材料でガラス成形体を保持する部分を構成するとともに保持部分をヒータで加熱することが望ましい。
徐冷炉内ではガラス成形体を室温付近まで冷まし、歪みを除去する。徐冷炉としてはLehrと呼ばれる連続式徐冷炉や置き冷ましと呼ばれるタイプの徐冷炉などを使用することができる。
次いで歪みを除去したガラス成形体を所望の大きさに分割する。分割方法としては、ワイヤーソー、砥石などを用いた切断法、分割したい部位にスクライブ加工を施してケガキ線を形成し、ケガキ線から破断が拡張してガラスが割断するようにガラス成形体に圧力を加える方法などを用いることができる。
この方法によれば、ガラス成形体が棒状ガラスであっても板状ガラスであっても、中心軸を有し、中心軸に対する垂直断面形状が中心軸に沿って同一形状であるガラス成形体を得ることができるので、中心軸に対して垂直にガラス成形体を切断または割断する加工をすることが望ましい。切断または割断の位置を等間隔にすれば、体積が等しいガラスブロックを容易に得ることができる。また、切断または割断の位置の間隔を変えれば、その間隔の比率に応じてガラスブロック間の体積配分を行うこともできる。棒状ガラスの場合、このような中心軸を垂直方向から切る加工によってカットピースと呼ばれるガラス片を得ることができる。また、板状ガラスの場合は、このようにして得たガラスブロックをさらに切断または割断することによりカットピースと呼ばれるガラス片を得ることができる。
上記各種カットピースをもってプレス成形用ガラスゴブとすることもできるが、カットピースに研削加工、研磨加工、研削および研磨加工を施してプレス成形用ガラスゴブにすることが好ましい。カットピースは鋭利なエッジをもつので、上記機械加工を施すことによってエッジを丸めることができるし、プレス成形の際に赤外線によってガラスゴブを均一に加熱するには上記加工によってガラスゴブを粗面化しておくことが望ましい。粗面化加工によって、プレス成形に使用する粉末状離型剤をガラスゴブの全表面に均一に塗布す
ることもできる。このような粗面化加工にはバレル研磨が適している。
プレス成形用ガラスゴブを精密プレス成形に使用する場合には、ガラスゴブの少なくとも精密プレス成形型の成形面を転写する面、好ましくは全表面を研磨加工によって滑らかな面に仕上げることが望ましい。
このようにして、ガラス成形体からプレス成形用ガラスゴブを作製することができる。
次に徐冷したガラス成形体の割断方法として特に好ましい方法である側圧切断法について説明する。この方法は、ガラス成形体を棒状ガラスとし、棒状ガラス側面の一部にスクライブ加工を施し、スクライブ加工を施した部位および前記部位を挟む両側の棒状ガラス側面に、前記部位を挟む両側の棒状ガラスが互いに離間する動きを妨げない状態にて圧力を加え、前記スクライブ加工を施した部位で棒状ガラスを割断する方法である。
その具体例を、図6および図7に基づき説明する。図6および図7は、それぞれ側圧切断法の説明図である。
まず、図6に示すように、側面の割断したい位置にスクライブ加工した棒状ガラス(ガラス成形体)11と高圧容器12を用意する。この高圧容器12には棒状ガラスを挿通する開口部と液体導入口13が設けられており、前記開口部と液体導入口を除いては密閉構造になっている。そして、前記開口部に棒状ガラスを挿通して開口部を塞ぐとともに、スクライブ加工部位が高圧容器12内の中央付近にくるようにする。上記開口部では高圧容器と棒状ガラスの間はシールされ、高圧容器内に液体を入れて前記液体の圧力を高めたときに高圧容器から液体が漏れ出さないようにする。なお、上記シールは、棒状ガラスの長手方向の動きが妨げられないものとする。上記シールは例えばゴム製のチャックなどを用いて行えばよい。
次に高圧容器12の液体導入口13から液体を導入して前記容器内を液体で満たし、さら液体の圧力を加えて密閉された高圧容器内の圧力を高める。高圧容器内の棒状ガラス側面のスクライブ加工されていない部分には均等に圧力が加わるが、スクライブ加工部位では前記圧力が加工部位を押し開くように作用し、棒状ガラスの中心軸に対して垂直方向にクラックを成長させて、図7に示すようにスクライブ加工部位の両側を分断する。
丸棒状ガラス、例えば中心軸に対し垂直な断面形状が円、楕円、長円などの棒状ガラスを側圧切断法で分断することは比較的容易にできるが、角棒状ガラスを側圧切断法で分断するのは難しいので、側圧切断法は丸棒状ガラスの割断に適用することが望ましい。
側圧切断法による割断で棒状ガラスを中心軸に対して垂直に分断するには、徐冷によって棒状ガラス中の歪みを十分低減しておくことが有効である。このようにして割断した棒状ガラスの割断面は鏡面になっており、また、切断と異なり切断しろが不要であって切り屑もでないので、ガラスを有効利用することができる。側圧切断法に限らず、割断法はガラスを削って切断する方法と違い、ガラスを破断して分断するため切り屑が出ず、ガラスを有効利用できるとともに廃棄物の量を低減することもできる。
このようにして得たガラスブロックをカットピースとして上述のようにしてプレス成形用ガラスゴブを得ることができる。
なお、側圧切断法で使用する液体はガラス表面、高圧容器、シール材、高圧容器の液体導入口に接続して液体の圧力を高める加圧装置を劣化させることがなく、スクライブ加工部位内に完全に充填される表面張力が小さいもので、取り扱いが容易なものが好ましい。
上記液体としては、水が好適である。
また、側圧切断を行う際の液体の圧力はガラスの機械的性質、形状、寸法などにより適宜、調整すればよいが、約20MPaを目安とすればよく、最高圧力に対して十分耐え得る耐圧性(例えば耐圧50MPa)を備えた高圧容器を使用すればよい。
プレス成形用ガラスゴブの重量は、目的とするプレス成形品の重量に等しくなるようにし、形状、寸法は上記プレス成形品の形状、プレス成形型の形状などを考慮して適宜決めることができる。
[光学素子およびその製造方法]
次に本発明の光学素子およびその製造方法について説明する。
本発明の光学素子は、本発明の光学ガラスからなるものである。
また、本発明の光学素子の製造方法は、2つの態様からなる。
第1の態様(以下、光学素子の製法Iという。)は、前述の製造方法により作製したプレス成形用ガラスゴブを加熱し、プレス成形型を用いてプレス成形することにより、光学素子を製造する方法である。
光学素子の製法Iは、さらに2つの態様に分けることができ、第1の方法はプレス成形用ガラスゴブを加熱、軟化し、プレス成形型内に導入してプレス成形し、プレス成形品を徐冷した後、研削、研磨して光学素子に仕上げる方法である。この方法では光学素子の形状に研削しろ、研磨しろを加えた形状にガラスゴブをプレス成形する。加熱、軟化から徐冷までの工程を大気中で行うことができる。この方法ではバレル研磨などにより全表面が粗面化されたガラスゴブを使用し、ガラスゴブ全表面に窒化ホウ素などの粉末状離型剤を均一に塗布する。そして加熱炉内に導入して加熱、軟化してプレス成形型に導入する。そして上型と下型で加圧して成形した後、型を開いてプレス成形品を取り出し、徐冷炉に入れて歪みを低減するとともにガラスの屈折率を目的とする値に精密に一致させる。成形品が室温まで冷めた後、ガラス製光学素子を作製するための研削、研磨法として周知の方法を用いて研削、研磨加工して光学素子に仕上げる。このようにして球面レンズ、プリズムなどの各種光学素子を作製する。光学素子の表面には必要に応じて反射防止膜などの光学多層膜を形成してもよい。
光学素子の製法Iの第2の方法は、表面が滑らかに仕上げられたプレス成形用ガラスゴブを加熱し、精密プレス成形して光学素子を作製する方法である。精密プレス成形はモールドオプティクス成形とも呼ばれ、精密に加工した成形面を有する型部材を備え、前記型部材が高精度に組まれたプレス成形型を使用し、光学素子全体の形状を成形するとともに、前記成形面を精密にガラスに転写して光学機能面を形成する方法である。この方法では複数の光学機能面の位置精度も高精度に成形することができる。例えば、レンズ両面の光学機能面の中心軸の傾き(チルト)および前記中心軸のずれ(ディセンター)を抑えたレンズの成形が可能である。第2の方法では光学機能面、すなわち、光線を屈折させたり、回折させたり、反射させたり、透過させたりする光学素子の表面を研削や研磨などの機械加工によらずに形成できるので、非球面レンズなどの機械加工では手間とコストがかかる光学素子を高い生産性のもとに製造することができる。精密プレス成形は公知の方法にしたがって行えばよい。例えば、プレス成形用ガラスゴブの全表面にカーボン膜などの離型性を高め、ガラスと型成形面の滑りをよくする機能を有する膜を形成し、非酸化性雰囲気中にて前記ガラスゴブを加熱し、同雰囲気中で精密プレス成形する。次いでプレス成形型を開いてプレス成形品を取り出し、徐冷して光学素子を得る。こうして得た光学素子に必要に応じて光学機能面の周囲の部分、例えばレンズの心取りなどの機械加工を行ってもよい。このような方法により、非球面レンズ、球面レンズ、レンズアレイ、マイクロレンズ、回折格子、プリズムなどの光学素子を高い生産性のもと製造することができる。光学素
子の表面には必要に応じて反射防止膜などの光学多層膜を形成してもよい。
上記方法において、非酸化性雰囲気中でガラスゴブをプレス成形する場合、光学ガラスIII−2からなるガラスゴブを使用すると、Sbを含まないガラスを非酸化性雰囲気中(還元性雰囲気中も含む)で熱処理することになるので、ガラスの着色が増してしまうことがある。したがって、非酸化性雰囲気中でプレス成形する場合は、光学ガラスI、IIあるいは光学ガラスIII−1からなるガラスゴブを使用することが望ましい。ただし、Sbを含まないガラス、例えば光学ガラスIII−2からなるガラスゴブを非酸化性雰囲気中でプレス成形し、ガラスの着色が増しても本発明の熱処理方法によりガラスの着色を低減することもできる。ただし、酸化性雰囲気中におけるプレス成形品の保持温度を高くしすぎると成形品が変形し、形状精度が低下するおそれがあるため、保持温度は[ガラス転移温度(Tg)−100℃]以上かつ[ガラス転移温度(Tg)−5℃]以下の範囲とすることが望ましく、[ガラス転移温度(Tg)−60℃]以上かつ[ガラス転移温度(Tg)−20℃]以下の範囲とすることがより望ましい。
本発明の光学素子の製造方法の第2の態様(以下、光学素子の製法IIという。)は、前述の成形方法により作製したガラス成形体を成形し、機械加工することにより、光学素子を製造する方法である。
まず、上述のプレス成形用ガラスゴブの製造方法の工程と同様、ガラス成形体を精密アニールし、屈折率を所望の値に精密にあわせるとともにガラス中の歪みを低減し、ガラス成形体を切断または割断してカットピースを作製する。ガラス成形体の形状としては棒状ガラス、板状ガラスなどを例示できる。プレス成形用ガラスゴブの製造方法と同様、丸棒状ガラスの中心軸に垂直にガラスの割断を行う場合には側圧切断法を適用することが望ましい。
次にカットピースを研削して光学素子の形状に研磨しろを加えた光学素子ブランクを作製し、このブランクを研磨して光学素子に仕上げる。
光学素子の製法IIにおいて棒状ガラスを使用する場合、棒状ガラスの外径を光学素子の外径と等しくするか、または光学素子の外径に研削しろや研磨しろを加えた外径に成形することが好ましい。なお、光学素子の製法Iで棒状ガラスを使用する場合も、棒状ガラスの外径をプレス成形用ガラスゴブの外径と等しくするか、またはプレス成形用ガラスゴブの外径に研削しろや研磨しろを加えた外径に成形することが好ましい。
このようにしてレンズ、プリズムなどの各種光学素子をガラスを破損させることなく高い生産性のもとに製造することができる。光学素子の表面には反射防止膜などの光学多層膜を形成してもよい。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
本実施例では、以下に示す方法により、屈折率(nd)が2.08313、アッベ数(νd)が22.23、液相温度が1270℃、液相温度における粘度が0.824dPa・s、ガラス転移温度が701℃、室温における密度が4.780、動粘性率が1.724×10−5/sであり、質量%表示にて、SiOを3.59%、Bを6.24%、Laを32.44%、TiOを26.73%、Nbを11.12%、ZrOを6.14%、BaOを13.74%、Sbを0.00%含有する光学ガラス(光学ガラス1という)からなる丸棒状のガラス成形体を成形した。
まず、表1に示す光学ガラス1が得られるようにガラス原料を秤量し、十分混合した後、熔融容器内に導入し、加熱、熔解した。次いで、十分清澄、均質化した熔融ガラスを0.6dPa・sの粘度で鉛直に配置したパイプ流出口から一定の流出速度(15ml/分)で連続流出し、図1に示す位置に配置されたカーボン製の鋳型に設けられた貫通孔の入口中央に連続して途切れることなく流し込んだ。貫通孔入口へ流し込まれる熔融ガラスの温度は1320℃であった。鋳型貫通孔の内径はφ12mm、貫通孔中心軸が鉛直方向に一致するようにし、パイプの中心軸と上記貫通孔の中心軸とが一致するようにした。鋳型貫通孔の長さは100mmとし、良好な成形ができるように、鋳型の周囲に図示しないバンドヒータを巻いて加熱し、貫通孔内壁の温度を520〜600℃に制御した。貫通孔出口から取り出される丸棒状ガラスの側面を2つのローラで挟持し、丸棒状ガラスの取り出し速度を制御した。鋳型貫通孔内の熔融ガラス液面の高さを、レーザセンサーを用いてモニターし、前記センサーが出力するモニター信号をローラコントローラに入力し、前記液面が一定になるようにローラを回転するモータへの電気入力を制御した。本実施例では丸棒状ガラスの取り出し速度を2.2mm/分になるよう設定し、上記液面の高さの変動に応じてローラの回転速度にフィードバックをかけ、液面の高さを一定に維持するようにした。
このようにしてφ12mmの丸棒状ガラス棒を連続的に貫通孔出口より取り出した。鋳型の直下に成形炉を配置し、鋳型から取り出した丸棒状ガラスを即、成形炉内へと移動させた。成形炉内には図示しないヒータを配置し、炉内雰囲気の温度を780℃に維持した。上記ローラを成形炉内に配置した。成形炉の丸棒状ガラスの移動方向の長さは360mmであり、この中を時間をかけて丸棒状ガラスは通過するが、その間に丸棒状ガラスの中心部と表面の温度が近づくため、丸棒状ガラス自体を爆発的に破壊するような内部応力は発生せず、ガラスを破損させずに丸棒状ガラスを成形することができた。
次に成形炉から出た丸棒状ガラスの側面の一部に、丸棒状ガラスの中心軸に垂直な方向にスクライブ加工によってケガキ線を形成した。そしてケガキ線を形成した部分を局部的に冷やしてケガキ線から中心に向けてクラックが延びるように、内部水路に水を流した金属製ジャケットをケガキ線に接触させた。このとき、金属製ジャケットを丸棒状ガラスの動きに追従させて、ケガキ線と接触した状態を保つようにした。クラックが成長した時点で丸棒状ガラスの中心軸に対し、ケガキ線が形成された部位の反対側の部位を支点で支え、ケガキ線よりも下方のガラス成形体側面を押圧してケガキ線を形成した高さよりも上の丸棒状ガラスから下の丸棒状ガラスを分離した。なお、本実施例の丸棒状ガラスは外径が12mmと比較的細いので、金属製ジャケットを接触させることによる熱衝撃を加えなくても良好な分離を行うことができた。
分離の際、分離する丸棒状ガラスの側面をロボットアームで保持し、分離後に前記アームで保持した状態で鋳型と成形炉の脇に置かれた連続式徐冷炉入口に丸棒状ガラスを移送した。連続式徐冷炉内にヒータとガラスを搬送するベルトコンベアを配置し、温度分布が制御された炉中でベルト上に載置した丸棒状ガラスを移動させながら徐冷して歪みを除いた。
連続式徐冷炉から取り出した丸棒状ガラスを切断し、切断面を研磨して内部を観察したところ、脈理は表面から0.5mm以内の極浅い層内にのみ見られ、それよりも深い部分に脈理は認められなかった。つまり丸棒状ガラスの大部分は光学的に均質であった。
同様にして、表1に示す光学ガラス2〜9の各ガラスからなる丸棒状ガラスを破損させずに成形することができた。これら丸棒状ガラスを連続式徐冷炉で徐冷した後、炉から取り出して切断し、切断面を研磨して内部を観察してところ、脈理は表面から0.5mm以
内の極浅い層内にのみ見られ、それよりも深い部分に脈理は認められなかった。つまり丸棒状ガラスの大部分は光学的に均質であった。
各光学ガラス1〜9のガラス組成を表1に、諸特性を表2および表3に示す。
Figure 2007112697
Figure 2007112697
Figure 2007112697
なお、Sb 0.00%の光学ガラス1および8は、大気中700℃で40時間保持し、着色低減の熱処理を行った。
比較例1
表4に示すガラス組成の光学ガラス10〜12からなる丸棒状のガラス成形体を、実施例1と同様にして成形した。諸特性を表4に示す。
Figure 2007112697
図8は、実施例1における光学ガラス1〜9および比較例1における光学ガラス11〜
12の屈折率(nd)とλ70の関係を示すグラフであり、図8から分かるように、実施例1の光学ガラス1〜9のλ70は、いずれも式(1)で求まる値よりも小さく、光学ガラス5、6、8、9は式(1−b)で求まる値と同等又はそれよりも小さく、光学ガラス5は式(1−c)で求まる値よりも小さい。これに対し比較例1の光学ガラス11および12のλ70は式(1)で求まる値よりも大きい。なお、比較例1の光学ガラス10は、図8においてプロットされていないが、λ70>700nm、屈折率(nd)が2.0425であり、式(1)で求まる値よりも大きいことは明らかである。
なお、諸特性は、下記の方法に従って測定した。
(1)屈折率(nd)およびアッベ数(νd) 1時間あたり30℃の降温速度で冷却して得られた光学ガラスについて測定した。
(2)密度 アルキメデス法により測定した。
(3)転移温度 熱機械分析装置を用いて4℃/分の昇温速度で測定した。
(4)動粘性率 光学ガラスの液相温度およびこの液相温度における粘度を以下に示す方法で測定し、該粘度を室温における密度で除し、動粘性率を求めた。
(イ)液相温度 複数個の白金製坩堝を用意し、各坩堝に50cm3のガラスを入れて蓋をし10℃刻みに温度が設定されている炉内に入れて、設定温度が異なる条件下に2時間保持し、目視で結晶が認められない最低温度をもって液相温度とした。
(ロ)液相温度における粘度(液相粘度) JIS Z8803に規定された方法により共軸円筒粘度計を用いて測定した。
(5)λ70およびλ5 明細書本文記載の方法に従って測定した分光透過率において、透過率70%の波長をλ70、透過率5%の波長をλ5とした。
(6)Pt濃度 ICP質量分析法により測定した。
実施例2
実施例1で作製した徐冷済みの各丸棒状ガラスを使用してプレス成形用ガラスゴブを作製した。まず丸棒状ガラス側面の割断した部位にスクライブ加工によりケガキ線を形成した。そして高圧容器中に丸棒状ガラスを挿通し、容器内中央にケガキ線を形成した部位が位置するようにし、中心軸方向の動きを制限しないよう丸棒状ガラスを容器開口部にゴムシールでチャックし、容器内に水を注入して内部に泡が入らないように容器内を水で満たした。
この状態で容器内の水圧を約20MPaに加圧してケガキ線の位置で丸棒状ガラスを中心軸に垂直にガラスを分断した。このようにして所定の間隔で丸棒状ガラスを割断し、カットピースを作製した。
次に、上記カットピースをバレル研磨して目的とするプレス成形品の重量と等しい重量に調整するとともに、鋭利なエッジを丸め、表面を粗面化してプレス成形用ガラスゴブとした。
実施例3
実施例2で作製したカットピースを研削、研磨して表面が滑らかなプレス成形用ガラスゴブを作製した。
実施例4
次に実施例2で作製したプレス成形用ガラスゴブの全表面に窒化ホウ素からなる粉末状離型剤を均一に塗布し、加熱炉内に入れて炉内で移送しながら大気中で加熱、軟化させた。
軟化したガラスゴブを上型、下型、胴型からなるプレス成形型に導入して大気中でプレス成形し、型を開いてプレス成形品を取り出し、徐冷炉に入れて精密アニールを行い、室温まで冷まして光学素子ブランクとした。
次に、上記ブランクを研削、研磨して光学ガラス1〜9のそれぞれのガラスからなる球
面レンズを作製した。
レンズ内部には失透、脈理は見られず、光学的に均質な光学素子を得ることができた。
実施例5
次に実施例3で作製したプレス成形用ガラスゴブの全表面にカーボン膜を形成し、窒素と水素の混合ガス雰囲気中にて加熱し、SiC製の型材の成形面上に離型膜としてカーボン膜を付けたプレス成形型を用いて精密プレス成形した。次いで精密プレス成形品を徐冷して、光学ガラス1〜9のそれぞれのガラスからなる非球面レンズを得た。
レンズ内部には失透、脈理は見られず、光学的に均質な光学素子を得ることができた。
実施例6
実施例1で作製した精密アニール済みの各丸棒状ガラスを側圧切断法で中心軸に垂直に分断し、カットピースを作製した。次いで、カットピースを研削、研磨して光学ガラス1〜9のそれぞれのガラスからなる球面レンズを作製した。
レンズ内部には失透、脈理は見られず、光学的に均質な光学素子を得ることができた。
本発明の光学ガラスは、光学機器の小型、高性能化に対応可能な高屈折率を有し、カラーバランスの補正が可能であって、各種の光学素子に好適に用いられる。
本発明のガラス成形体の製造方法に用いられる製造装置の一態様の説明図である。 本発明のガラス成形体の製造方法に用いられる製造装置の別の態様の説明図である。 本発明のガラス成形体の製造方法において、ガラス成形体の切り離し方法の態様を示す説明図である。 本発明のガラス成形体の製造方法において、ガラス成形体の切り離し方法の態様を示す説明図である。 本発明のガラス成形体の製造方法において、ガラス成形体の切り離し方法の態様を示す説明図である。 側圧切断法の説明図である。 側圧切断法の説明図である。 実施例1および比較例1における光学ガラスの屈折率(nd)とλ70の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 パイプ
2 熔融ガラス
3 鋳型
4 ガラス成形体
5 ローラ
6 ガラス成形体の側面
7 成形炉
8 液位センサ
9 コントローラ
10 支持機構
11 ガラス成形体
12 高圧容器
13 液体導入口

Claims (34)

  1. ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有する光学ガラスにおいて、厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
    λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
    の関係を満たす透過率特性を有することを特徴とする光学ガラス。
  2. 質量%表示にて、BとSiOを合計量で20%以下、GeOを0〜10%、TiOを20%以上含むと共に、添加剤としてSbおよび/またはAsを含み、前記添加剤の量が、厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、(1)式の関係を満たす透過率特性を示す範囲に制御されている請求項1に記載の光学ガラス。
  3. Asを含まず、Sbの添加量が、0.004〜0.09質量%の範囲に制御されている請求項2に記載の光学ガラス。
  4. BaO5質量%以上を含む請求項2または3に記載の光学ガラス。
  5. 質量%表示にて、B 1〜20%、SiO 0〜18%、La 10〜50%、TiO 20〜40%、Nb 0〜30%、BaO 5〜35%、WO 0〜7%およびZrO 0〜15%を含む請求項2〜4のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  6. 添加剤としてSbを含み、屈折率(nd)が1.95以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、(1)式の関係を満たす透過率特性を有する請求項1に記載の光学ガラス。
  7. Sbの添加量が、0.004〜0.09質量%である請求項6に記載の光学ガラス。
  8. TiOの含有量が、20質量%以上である請求項6または7に記載の光学ガラス。
  9. BaO 5質量%以上を含む請求項6〜8のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  10. 質量%表示にて、B 1〜45%、SiO 0〜30%、La 10〜50%、TiO 20〜40%、Nb 0〜30%、BaO 5〜35%、WO 0〜7%およびZrO 0〜15%を含む請求項6〜9のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  11. 任意成分として、質量%表示にて、Gd 0〜20%、Y 0〜15%、Yb 0〜15%、Ta 0〜18%、Bi 0〜20%、Ga 0〜10%、GeO 0〜10%、MgO、CaOおよびSrOを合計で0〜10%、ZnO 0〜15%、Al 0〜10%、LiO、NaOおよびKOを合計で0〜5%を含む請求項5または10に記載の光学ガラス。
  12. 屈折率(nd)が2.00以上である請求項1〜11のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  13. TiO 22質量%以上を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  14. Ptの濃度が30ppm以下である請求項1〜13のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  15. 液相温度において4dPa・s以下の粘度を示す請求項1〜14のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  16. 再加熱して成形するための請求項1〜15のいずれか1項に記載の光学ガラス。
  17. 屈折率(nd)が2.01以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、(1)式の関係を満たす透過率特性を有する請求項1に記載の光学ガラス。
  18. 実質的にSbおよびAsを含まない請求項17に記載の光学ガラス。
  19. 質量%表示にて、BとSiOを合計量で20%以下、TiOを20%以上含む請求項17または18に記載の光学ガラス。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学ガラスからなり、軸に沿って一定の外径を有する中実棒状のガラス成形体からなることを特徴とするガラス成形体。
  21. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学ガラスからなることを特徴とするプレス成形用ガラスゴブ。
  22. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学ガラスからなることを特徴とする光学素子。
  23. ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有する光学ガラスの製造方法において、
    質量%表示にて、BとSiOの合計含有量が20%以下、GeOの含有量が0〜10%、TiOの含有量が20%以上である組成のガラスが得られるように、原料を調合するとともに、添加剤としてSbおよび/またはAsを加え、
    厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
    λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
    の関係を満たす透過率特性が得られるように前記添加剤の量を制御して、前記原料を加熱、熔融する工程を備えることを特徴とする光学ガラスの製造方法。
  24. Asを添加せず、Sbの添加量を、0.004〜0.09質量%の範囲で制御する請求項23に記載の光学ガラスの製造方法。
  25. BaOの含有量が5質量%以上となるように原料を調合する請求項23または24に記載の光学ガラスの製造方法。
  26. 質量%表示にて、B 1〜20%、SiO 0〜18%、La 10〜50%、TiO 20〜40%、Nb 0〜30%、BaO 5〜35%、WO 0〜7%およびZrO 0〜15%を含むガラスが得られるように原料を調合する請求項23〜25のいずれか1項に記載の光学ガラスの製造方法。
  27. ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有し、屈折率(nd)が1.95
    以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
    λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
    の関係を満たす透過率特性を有する光学ガラスの製造方法であって、
    熔融ガラスを冷却、成形する過程で、前記ガラスの転移温度近辺に相当する温度の酸化性雰囲気中に保持したのち、該ガラスを冷却することを特徴とする光学ガラスの製造方法。
  28. ガラス成分としてTiOを含むホウ酸塩系の組成を有し、屈折率(nd)が1.95以上であり、かつ厚さ10.0mmにおける外部透過率が70%となる波長をλ70[nm]とした場合、下記(1)式
    λ70≦909×(nd)−3009×nd+2842 …(1)
    の関係を満たす透過率特性を有する光学ガラスの製造方法であって、
    TiOを含むホウ酸塩系ガラスを、該ガラスの転移温度近辺に相当する温度の酸化性雰囲気中に保持して熱処理したのち、冷却することを特徴とする光学ガラスの製造方法。
  29. 貫通孔を有する鋳型を用い、熔融ガラスを前記貫通孔の入口から連続的に流し込んで貫通孔内にガラスを満たし、前記貫通孔の出口から連続的に取り出すことを特徴とする請求項20に記載の中実棒状のガラス成形体の製造方法。
  30. 貫通孔を有する鋳型を用い、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法における熔融工程で得た熔融ガラスを前記貫通孔の入口から連続的に流し込んで貫通孔内にガラスを満たし、前記貫通孔の出口から連続的に取り出し、軸に沿って一定の外径を有する中実棒状のガラス成形体を得ることを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  31. 請求項29または30に記載の製造方法により作製したガラス成形体を、前記ガラス成形体の軸を横切るように割断してガラス片を作製する工程を有することを特徴とするプレス成形用ガラスゴブの製造方法。
  32. 請求項21に記載のプレス成形用ガラスゴブ、または請求項31に記載の製造方法で作製したプレス成形用ガラスゴブを加熱し、プレス成形する工程を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  33. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学ガラスからなるガラス成形体、または請求項29または30に記載の製造方法により作製したガラス成形体を加工する工程を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  34. 熔融ガラスを流出してプレス成形型に供給し、前記成形型でガラスをプレス成形する工程を有し、請求項1〜19のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子を作製することを特徴とする光学素子の製造方法。
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