JP4162562B2 - ガラス成形体の製造方法、プレス成形用ガラス素材の製造方法、および光学素子の製造方法 - Google Patents
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Description
[請求項1] 熔融ガラスを、貫通孔を有する鋳型の貫通孔に流し込みながら中実状の棒状ガラスに成形するガラス成形体の製造方法において、
前記貫通孔は、2つの開口部が直線的に連絡しており、
前記鋳型を、前記貫通孔の中心軸が傾斜した状態になるように配置し、
前記貫通孔の高位置側にある開口部から粘度1dPa・S以上102dPa・S未満の熔融ガラスを連続的に流し込み、前記貫通孔の低位置側にある開口部から棒状ガラスを連続的に引き出し、かつ前記熔融ガラスの流し込みを、前記高位置側にある開口部における熔融ガラス液面を所定の高さに維持しつつ行い、
貫通孔から引き出されたガラスを、搬送経路を変更した後にアニールすることを含み、かつ搬送経路変更前にガラスの表面温度がガラス屈伏点以上になるように、ガラスを加熱することを特徴とするガラス成形体の製造方法。
[請求項2] 熔融ガラスを、貫通孔を有する鋳型の貫通孔に流し込みながら板状ガラスに成形するガラス成形体の製造方法において、
前記貫通孔は、2つの開口部が直線的に連絡しており、
前記鋳型を、前記貫通孔の中心軸が傾斜し、かつ板状ガラスの厚みよりも熔融ガラス液面の短辺の長さが長くなるように傾斜した状態になるように配置し、
前記貫通孔の高位置側にある開口部から熔融ガラスを連続的に流し込み、前記貫通孔の低位置側にある開口部から板状ガラスを連続的に引き出し、かつ前記熔融ガラスの流し込みを、前記高位置側にある開口部における熔融ガラス液面を所定の高さに維持しつつ行い、
貫通孔から引き出されたガラスを、搬送経路を変更した後にアニールすることを含み、かつ搬送経路変更前にガラスの表面温度がガラス屈伏点以上になるように、ガラスを加熱することを特徴とするガラス成形体の製造方法。
[請求項3] 貫通孔から引き出されるガラスの表面温度が、ガラス屈伏点以下になるように鋳型の温度を制御する請求項2に記載のガラス成形体の製造方法。
[請求項4] 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法によりガラス成形体を製造し、該ガラス成形体を、その中心軸を横切るように切断する工程を含む、プレス成形用ガラス素材の製造方法。
[請求項5] 前記切断されたガラスに機械加工を施し、プレス成形用ガラス素材を作製する工程をさらに含む、請求項4に記載のプレス成形用ガラス素材の製造方法。
[請求項6] 請求項4または5に記載の方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、該プレス成形用ガラス素材を加熱、軟化した後にプレス成形してプレス成形品を得ることを含む光学素子の製造方法。
[請求項7] プレス成形品を研削および/または研磨する工程をさらに含む、請求項6に記載の光学素子の製造方法。
本発明の第一の態様は、熔融ガラスを、貫通孔を有する鋳型に流し込みながら棒状ガラスに成形するガラス成形体の製造方法に関する。第一の態様の製造方法では、前記貫通孔は、2つの開口部が直線的に連絡しており、前記鋳型を、前記貫通孔の中心軸が傾斜した状態になるように配置し、前記貫通孔の高位置側にある開口部から粘度1dPa・s以上102dPa・s未満の熔融ガラスを連続的に流し込み、前記貫通孔の低位置側にある開口部から棒状ガラスを連続的に引き出し、かつ前記熔融ガラスの流し込みを、前記高位置側にある開口部における熔融ガラス液面を所定の高さに維持しつつ行い、ガラス成形体を製造する。以下、第一の態様について、図面を参照しながら説明する。
なお、鋳型貫通孔の中心軸に耐熱性材料からなる円柱状のシャフトを配置し、熔融ガラスを流し込んで中心軸に穴を有する中空状のガラス成形体を成形することも考えられるが、上記シャフトによって流し込まれた熔融ガラスの流れが乱され、脈理が発生するおそれがあるため、本発明の方法は、中実柱状(中空を有さない)のガラスを得るために適用すべきである。
次に、板状ガラスを成形する本発明の第二の態様について説明する。
本発明の第二の態様は、
熔融ガラスを、貫通孔を有する鋳型の貫通孔に流し込みながら板状ガラスに成形するガラス成形体の製造方法において、
前記貫通孔は、2つの開口部が直線的に連絡しており、
前記鋳型を、前記貫通孔の中心軸が傾斜した状態になるように配置し、
前記貫通孔の高位置側にある開口部から熔融ガラスを連続的に流し込み、前記貫通孔の低位置側にある開口部から板状ガラスを連続的に引き出し、かつ前記熔融ガラスの流し込みを、前記高位置側にある開口部における熔融ガラス液面を所定の高さに維持しつつ行うことを特徴とするガラス成形体の製造方法
である。
本発明の第二の態様では、鋳型を、貫通孔の中心軸が傾斜した状態になるように配置する際に、鉛直上方から見たときの溶融ガラス液面の短辺に接する鋳型貫通孔の内壁面が、水平面に対して垂直になるように、つまり、図4に示すように、板状ガラスの厚みtよりも、熔融ガラス液面の短辺aの長さが長くなるように、鋳型を傾斜させることが好ましい。鋳型をこのように配置することにより、鋳型内の熔融ガラス液面を鉛直上方から見たときの長辺に対する短辺の比(短辺/長辺)は、水平方向に対する中心軸の傾斜角が増加するにつれて増加する。つまり、鋳型貫通孔中心軸を傾斜させることにより、熔融ガラス液面の上記(短辺/長辺)の比率を、成形される板状ガラスの幅に対する厚みの比(厚み/幅)よりも大きくすることができる。本発明の第二の態様によれば、厚みに対する幅の比(幅/厚み)が2を超える長方形の断面形状を有する板状ガラスを製造する場合に、このようにして熔融ガラス液面の上記(短辺/長辺)の比率を大きくすることにより、鋳込まれたガラスを短辺方向にも長辺方向にもほぼ均等に広げることができ、鋳型内のガラスの流れに大きな偏りができないので、脈理を低減することができる。
その他の点については、前記第一の態様と同様にすることができる。
また、別の態様としては、プレス成形用ガラス素材を、例えば大気中で加熱、軟化した後にプレス成形してプレス成形品とし、そのプレス成形品に研削、研磨を施して各種レンズやプリズムなどの光学素子を作製することもできる。
(実施例1)
十分清澄、均質化した熔融ガラス(ガラス粘度10dPa・s)を、流出パイプから一定の流出速度(106ml/min)で連続流下し、図1に示す位置に配置されたカーボン製の鋳型に設けられた貫通孔の鋳込み口中央に流し込んだ。鋳型貫通孔の内径はφ30mm、貫通孔中心軸と水平面のなす角θを45°とした。鋳型貫通孔の長さは250mmとし、良好な成形ができるように、鋳型の周囲に図示しないバンドヒータを巻いて加熱した。駆動ローラーの回転速度は、ガラス棒の引出し速度が15cm/minになるよう設定し、φ30mmのガラス棒(丸棒)を引き出した。このガラス棒を、従動ローラーおよび駆動ローラーによって水平方向に曲げた後、アニールして歪みを除去した。
このようにして、SiO2、TiO2およびアルカリ金属酸化物を含む光学ガラスよりなるガラス棒を作製した。得られた中実柱状のガラス棒は、均質かつ透明であり、脈理などの欠陥は認められなかった。
図2に示すような鋳型を、θが10°になるように配置し、φ20mmのガラス棒(丸棒)を成形した。このとき、熔融ガラス(ガラス粘度5Pa・s)の流出速度を47ml/min、ガラス棒の引出し速度を15cm/minとした。本参考例1では、引き出した中実柱状のガラス棒は、曲げずにそのままアニールした。
このようにして、SiO2、TiO2およびアルカリ金属酸化物を含む光学ガラスよりなるガラス棒を作製した。得られたガラス棒は均質かつ透明であり、脈理などの欠陥は認められなかった。
なお、実施例1、参考例1において、SiO2、TiO2およびアルカリ金属酸化物を含む光学ガラス以外の光学ガラスを用いても、良好な成形が可能である。
実施例1、参考例1で成形したガラス棒を、中心軸に対して垂直方向に切断し、厚み10mmの円柱ブロックとした。さらに円柱ブロックに研削または研磨加工を施して、軸対称形状のプレス成形用ガラス素材を作製した。このようにして作られたプレス成形用ガラス素材には、脈理などの欠陥は認められなかった。
また、得られた円柱ブロックをプレス成形せずに研削、研磨加工を施してレンズなどの光学素子を作ることもできる。こうして得られた光学素子には、脈理などの欠陥は認められなかった。
実施例3において作製した表面が滑らかなプレス成形用ガラス素材を、加熱、軟化し、窒素に水素を混ぜた混合ガス雰囲気中でプレス成形型を用いて精密プレス成形し、アニールして非球面レンズを得た。得られたレンズは、脈理などの欠陥のない良好なものであった。
実施例3において作製したプレス成形用ガラス素材を、素材を加熱、軟化し、大気中でプレス成形型を用いてプレス成形し、アニールして球面レンズを得た。実施例5で作製されたレンズは、脈理などの欠陥のない良好なものであった。
実施例1で使用した鋳型を貫通孔の中心軸に対する垂直断面の形状が長方形(縦20mm、横200mm)のものに替え、貫通孔中心軸と水平面のなす角θを30°にして、高位置側の開口部が流出パイプの真下になるように鋳型を設置した。このとき、貫通孔の上記垂直断面の長辺が水平になるようにする。そして、前記開口部に流出パイプから一定の流出速度(150ml/min)で熔融ガラス(ガラス粘度10dPa・s)を連続流下し、厚み20mm、幅200mmの板状ガラスに成形して鋳型低位置側の開口部から引き出した。板状ガラスを実施例1と同様にして従動ローラーおよび駆動ローラーによって水平方向に曲げた後、アニールして歪みを除去した。なお、使用したガラスは実施例1と同じものである。
このようにして均質かつ透明であり、脈理などの欠陥がない光学ガラスからなるガラス板を作製することができた。
参考例1で使用した鋳型を貫通孔の中心軸に対する垂直断面の形状が長方形(縦10mm、横100mm)のものに変え、貫通孔中心軸と水平面のなす角θを45°にして、高位置側の開口部が流出パイプの真下になるように鋳型を設置した。このとき、貫通孔の上記垂直断面の長辺が水平になるようにする。そして、前記開口部に流出パイプから一定の流出速度(50cc/min)で熔融ガラスを連続流下し、厚み10mm、幅100mmの板状ガラスに成形して鋳型低位置側の開口部から引き出し、参考例1と同様にして曲げずにそのままアニールして歪みを除去した。なお、使用したガラスは実施例2と同じものであり、鋳型に流し込む際の熔融ガラスの粘度は5dPa・sとした。
このようにして均質かつ透明であり、脈理などの欠陥がない光学ガラスからなるガラス板を作製することができた。
実施例6、7で成形した板状ガラスを、ガラス板の主表面に対して垂直に縦横方向に切断し、カットピースと呼ばれるガラス片を作り、バレル研磨して面取り及び重量調整をしてプレス成形用ガラス素材とした。そして、大気中において前記素材を加熱、軟化し、プレス成形してレンズブランクを作製した。次に、レンズブランク表面を研削、研磨してレンズに仕上げた。
また、前記カットピースを研磨して滑らかな表面をもつプレス成形用ガラス素材とした。そして、前記ガラス素材を、実施例4と同様の方法で精密プレス成形し、非球面レンズを得た。
本実施例のいずれのレンズとも、脈理などの欠陥のない良好なものであった。
Claims (7)
- 熔融ガラスを、貫通孔を有する鋳型の貫通孔に流し込みながら中実状の棒状ガラスに成形するガラス成形体の製造方法において、
前記貫通孔は、2つの開口部が直線的に連絡しており、
前記鋳型を、前記貫通孔の中心軸が傾斜した状態になるように配置し、
前記貫通孔の高位置側にある開口部から粘度1dPa・s以上102dPa・s未満の熔融ガラスを連続的に流し込み、前記貫通孔の低位置側にある開口部から棒状ガラスを連続的に引き出し、かつ前記熔融ガラスの流し込みを、前記高位置側にある開口部における熔融ガラス液面を所定の高さに維持しつつ行い、
貫通孔から引き出されたガラスを、搬送経路を変更した後にアニールすることを含み、かつ搬送経路変更前にガラスの表面温度がガラス屈伏点以上になるように、ガラスを加熱することを特徴とするガラス成形体の製造方法。 - 熔融ガラスを、貫通孔を有する鋳型の貫通孔に流し込みながら板状ガラスに成形するガラス成形体の製造方法において、
前記貫通孔は、2つの開口部が直線的に連絡しており、
前記鋳型を、前記貫通孔の中心軸が傾斜し、かつ板状ガラスの厚みよりも熔融ガラス液面の短辺の長さが長くなるように傾斜した状態になるように配置し、
前記貫通孔の高位置側にある開口部から熔融ガラスを連続的に流し込み、前記貫通孔の低位置側にある開口部から板状ガラスを連続的に引き出し、かつ前記熔融ガラスの流し込みを、前記高位置側にある開口部における熔融ガラス液面を所定の高さに維持しつつ行い、
貫通孔から引き出されたガラスを、搬送経路を変更した後にアニールすることを含み、かつ搬送経路変更前にガラスの表面温度がガラス屈伏点以上になるように、ガラスを加熱することを特徴とするガラス成形体の製造方法。 - 貫通孔から引き出されるガラスの表面温度が、ガラス屈伏点以下になるように鋳型の温度を制御する請求項2に記載のガラス成形体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法によりガラス成形体を製造し、該ガラス成形体を、その中心軸を横切るように切断する工程を含む、プレス成形用ガラス素材の製造方法。
- 前記切断されたガラスに機械加工を施し、プレス成形用ガラス素材を作製する工程をさらに含む、請求項4に記載のプレス成形用ガラス素材の製造方法。
- 請求項4または5に記載の方法によりプレス成形用ガラス素材を作製し、該プレス成形用ガラス素材を加熱、軟化した後にプレス成形してプレス成形品を得ることを含む光学素子の製造方法。
- プレス成形品を研削および/または研磨する工程をさらに含む、請求項6に記載の光学素子の製造方法。
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