JP5438084B2 - ガラス成形体の製造方法、及び、そのガラス成形体を用いる光学素子の製造方法 - Google Patents

ガラス成形体の製造方法、及び、そのガラス成形体を用いる光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス成形体の製造方法、及び、そのガラス成形体を用いる光学素子の製造方法に関する。
光学ガラスからなるガラス成形体を量産する方法として、バッチやカレットと呼ばれるガラス原料を加熱、熔融し、均質かつ泡を含まない熔融ガラスを作製した後、熔融ガラスをパイプ先端部から流出させ、鋳型などにキャストしてガラス素材を成形する方法が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
特公昭45 −19987号公報
特許文献1には、熔融ガラスを流出パイプより流出させ、鋳型に熔融ガラス流を連続して鋳込み、長尺の連続する成形体を成形することができる光学ガラスの連続成形方法及び装置が開示されている。
しかしながら、このようなパイプから流出する熔融ガラス流を鋳型に連続して流し込み、光学素子用のガラス成形体を製造する方法には次のような問題がある。
撮像光学系、投射光学系などの光学系の高機能化、コンパクト化には、高屈折率ガラスを用いた光学素子が有効である。ホウ酸・ランタン含有ガラスでは、高屈折率付与成分であるLa23をはじめとする希土類成分を多量に導入することが出来るため、高屈折率ガラスとしては好ましいが、高屈折率付与成分の含有量を増やすと耐失透性が悪化傾向を示すと共に、比重が増加する。
その結果、失透を防止するために熔融ガラスの流出温度を高くせざるを得ず、流出時の粘度が低下し、ガラスが高比重であることと相まって、流出する熔融ガラス流の流出量が著しく増大し、流出量の制御が困難になってしまう。流出パイプの内径を細くすれば流出量の制御は可能になるが、低粘性の熔融ガラスが細い内径の流出口より流出するため、ガラスの流速が増大するとともに、鋳型の極めて狭いスポットに熔融ガラスが流し込まれることにより、鋳型の前記スポットにおける温度が著しく上昇し、鋳型の劣化、消耗が激しくなり、最悪の場合、熔融ガラスが鋳型に焼きつき、安定した生産が出来なくなってしまう。また、フツリン酸ガラスなどのフッ素含有ガラスにおいても流出時の粘性が旧来のシリケート系光学ガラスの流出粘性よりも低いため、ホウ酸・ランタン含有ガラスほどではないにしても同様の問題が生じることがあった。なお、本明細書中における「焼きつき」とは、鋳型の上記スポットにおいて、鋳型が昇温することにより、熔融ガラスの冷却が不十分となり、スポット上の熔融ガラスを水平方向に引き出せなくなることを意味している。
本発明はこのような状況下になされたものであり、安定性が低い(結晶化しやすい)ガラス種や、高比重高屈折率ガラス等を用いて、熔融ガラスを鋳型に連続的に流し込み、高品質のガラス成形体を安定して製造可能とするガラス成形体の製造方法、及び、その方法を使用して得たガラス成形体を用いて光学素子を製造する光学素子の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の知見を得た。
ガラス流出パイプ中を流れる熔融ガラスを失透させないため、パイプ各部の温度をガラスが失透する危険のある温度よりも高温に設定するとともに、ガラス流出パイプの温度が多少変動してもガラスの温度が失透温度域に入らないよう余裕をもたせることが望ましい。その結果、ガラスの粘性が低下するが、こうした低粘性状態でも所望の流出量に抑えることができるように内径が定められた絞り部をパイプに設ける。すなわち、絞り部は所望の流出量にガラスの流出量を制御できるように内径が定めされており、パイプにおける流量制御部としての機能を果たす。
さらに、絞り部の下流側に絞り部よりも内径の大きい流出部を設ける。絞り部を通過した熔融ガラス流が流出部へと進むと熔融ガラス流の径が拡大し、その結果、熔融ガラスの流速が減少するとともに熔融ガラスの管径方向の流速分布も均一化される。流速減少効果、流速分布均一化効果、ならびに鋳型において熔融ガラス流が流し込まれるスポットの拡大効果の相乗効果により、前記スポットの温度の著しい上昇を防ぐことができ、鋳型の劣化や消耗、鋳型とガラスの焼きつきを防止することができる。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
本発明の請求項1に記載の方法は、容器内に蓄積した熔融ガラスを前記容器に接続したガラス流出パイプにより流下させ、前記ガラス流出パイプの流出口より流出して、前記流出口の下方に配置した鋳型に連続して流し込んで成形し、成形したガラス成形体を取り出すガラス成形体の製造方法において、前記ガラス流出パイプとして、一端にガラス流出口を有し、内径が一定である流出部と、前記熔融ガラスを前記流出部へと導くとともに、前記流出部の内径よりも小さい内径を有する絞り部とを備えるガラス流出パイプを使用して、前記ガラス流出パイプ中を流れる熔融ガラス流の径を拡大してから流出すること、および、鋳型内における前記熔融ガラスの液位が前記ガラス流出パイプの前記流出口より低い状態を維持しながら前記熔融ガラスを鋳型に流し込むこと、を特徴とするガラス成形体の製造方法である。
本発明の請求項1に記載の方法によれば、流出パイプにおける絞り部をパイプ上流に設けたので、絞り部から直接熔融ガラスを流出する場合に比べて、流出部における熔融ガラスの流速を十分に小さくすることができ(流速減少効果・流速分布均一化効果)、かつ、絞り部よりも径の大きい流出部から鋳型に流出するため、熔融ガラスの流出時に、熔融ガラスが鋳型上にスポット的に流出することがなく、焼きつきを生じることがなく(スポット拡大効果)、鋳型の消耗を低減することができる。
つまり、これらの効果は、熔融ガラスが絞り部を通過する際、層流で流れるため、管径方向の中心を流れる熔融ガラスの流速が最大となり、その後、熔融ガラスは、絞り部よりも管径の大きい流出部を通ることにより流出部の管径方向の中心における熔融ガラスの流速が前記絞り部における前記熔融ガラスの最大流速よりも遅い状態で流出口から流出されるため、得られるものである。
また、前記流出部の内径が一定であるガラス流出パイプを使用するため、流出部で熔融ガラスの流速を所望の速度まで減速することができると共に、流速分布を均一化することができる。

本発明の請求項2に記載の方法は、前記絞り部と前記流出部の間に内径が徐々に大きくなる逆テーパ管部を有するガラス流出パイプを使用することを特徴とする請求項1に記載のガラス成形体の製造方法である。
本発明の請求項2に記載の方法によれば、絞り部と流出部の間に逆テーパ管部を設けたので、熔融ガラス流の径をスムーズに拡大でき高品質なガラス成形体を製造することが出来る。
また、熔融ガラスは逆テーパ管部を通過することにより、熔融ガラス流の中心部の流速をより確実に減速することが出来る。
本発明の請求項に記載の方法は、前記ガラス流出パイプの前記流出部を独立して加熱可能な加熱装置を使用し、前記流出部を加熱することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のガラス成形体の製造方法である。
本発明の請求項に記載の方法によれば、流出部における管壁近傍を流れる熔融ガラス流の粘度を低下することができる。そのため、熔融ガラスの流速分布を均一化した状態を維持しながらで流出口から流出することができる。また、加熱装置の温度制御を行うことができ、流出部を部位毎に加熱することができる。そのため、絞り部における熔融ガラスの流速分布より小さな流速分布になった状態(均一化された状態)で熔融ガラスを流出することが出来る。このため、鋳型に熔融ガラスがスポット的に流出されることをより効果的に抑制することが出来る。
本発明の請求項に記載の方法は、前記ガラス流出パイプの前記流出部の温度を前記絞り部の温度よりも高い温度としたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のガラス成形体の製造方法である。
本発明の請求項に記載の方法によれば、絞り部の温度よりも流出部の温度を高くしたことにより、流出部における管壁近傍の熔融ガラスの流速を速めることが出来、熔融ガラスが層流に戻るのをより効果的に抑えることが出来る。
本発明の請求項に記載の方法は、本発明の請求項1乃至のいずれかに記載の方法によりガラス成形体を作製し、前記ガラス成形体を所定の大きさ及び形状に加工し、加熱により軟化し、成形型によってプレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法である。
本発明の請求項に記載の方法によれば、高品質で高精度な光学素子を製造することができ、所望の光学特性を得ることが出来る。
本発明の請求項に記載の方法は、本発明の請求項1乃至のいずれかに記載の方法によりガラス成形体を作製し、前記ガラス成形体を、研削・研磨・切削加工の何れかの方法によって加工することを特徴とする光学素子の製造方法である。
本発明の請求項に記載の方法によれば、高品質で高精度な光学素子を製造することができ、所望の光学特性を得ることが出来る。
本発明の請求項に記載の方法は、前記ガラス光学素子が、レンズであることを特徴とする請求項又はに記載の光学素子の製造方法である。
本発明の請求項に記載の方法によれば、高品質で高精度なレンズを高い生産性のもと安定して製造することが出来る。
本発明のガラス成形体の製造方法、及び、その方法により製造されたガラス成形体を使用した光学素子の製造方法は下記の効果を奏する。
流出パイプにおける絞り部をパイプ上流に設けたので、絞り部から直接熔融ガラスを流出する場合には比べて、流出部における熔融ガラスの流速を十分に小さくすることができ(流速減少効果・流速分布均一化効果)、かつ、絞り部よりも径の大きい流出部から鋳型に流出するため、熔融ガラスの流出時に、多量の熔融ガラスが鋳型上にスポット的に流出することがなく、焼きつきを生じることがなく(スポット拡大効果)、鋳型の寿命を延ばすことが出来る。
これにより、光学的に均質なガラス成形体を安定して製造することができる。
したがって、本発明のガラス成形体の製造方法、及び、その方法を使用して得た該ガラス成形体を用いて光学素子を製造する光学素子の製造方法によれば、安定性が低い(結晶化しやすい)ガラス種や、高比重高屈折率ガラス等を用いて、高品質なガラス成形体を製造することができ、そのようなガラス成形体を用いて光学素子を成形した場合には、高品質で高性能な光学素子を高い生産性のもと生産することができる。
従来のガラス流出パイプの構造の一例を示す説明図である。 本発明に用いるガラス流出パイプの構造の一例を示す説明図である。 本発明に用いるガラス流出パイプの別の構造の一例を示す説明図である。
最初に、本発明のガラス成形体の製造方法について説明する。
[ガラス成形体の製造方法]
ガラスバッチ原料又はカレットを所定の割合で調合し、熔解、均質、清澄工程を含む工程経て、熔融ガラスを後述するガラス流出パイプのガラス流出口より鋳型に連続的に供給しながら、流出した熔融ガラスを鋳型から水平方向へ取り出す。この時、鋳型の上方に設置された流出パイプの流出口は、鋳型上に流出される熔融ガラスの液位よりも高い位置に設けられている。
鋳型から取り出したガラスは連続式アニール炉内へと水平移動し、炉内でアニールされる。鋳型内で成形されたガラス成形体はアニール炉内を通過するまで連続した板状の成形体であるが、アニール炉内を通過したガラス成形体の先端部は、所望の長さでガラス成形体本体から分離される。分離は、切断、割断など公知の方法により行えばよい。
なお、上記の例では鋳型からガラスを水平方向に引き出したが、貫通孔を設けた鋳型を用い、ガラス流出口の下方に貫通孔が垂直方向を向くように鋳型を配置し、貫通孔の高位置側の開口部から熔融ガラス流を流し込み、貫通孔内で成形して低位置側の開口部から成形したガラスを引き出し、アニールしてもよい。アニールしたガラス成形体の先端を所望の長さで分離する。この例でも、鋳型内で成形されたガラスはアニール後に分離されるまで、連続した板状のガラス成形体となる。
長尺の連続するガラス成形体から分離したガラスは、カットピースと呼ばれる複数のガラス片に分割され、研削あるいは研磨などの冷間加工を行い、所定形状・所定体積にすることでプレス成形用のガラス素材となる。
熔融ガラスの流量としては、50cm3/min以上とすることができ、そして、70cm3/min以上がより好ましく、更に好ましくは、100cm3/min以上にしてもよい。流出量が多すぎると鋳型がスポット的に昇温しやすくなり、鋳型が劣化するため、300cm3/min以下とすることが好ましく、250cm3/min以下がより好ましく、230cm3/min以下がさらに好ましく、200cm3/min以下であってもよい。
また、本発明に使用されるガラスの動粘度(又は動粘性率)ν=液相温度における粘度(又は粘性率)μ/密度ρ)ν(cm2/s)は、前記粘度μ(dPa・s)を熔融ガラスがガラス流出パイプ内を流れる時のブレーキを示す指標とし、一方、密度ρ(g/cm3)を同様にアクセルを示す指標として考えることが出来る。ここで密度ρは常温におけるガラスの密度であり、比重を示す値に単位g/cm3を付けたものである。高屈折率ガラスは、前記粘度μが低く、しかも密度ρが大きいため、動粘度νが小さい。そのため、熔融ガラス流の流速が大きくなりやすい。このようなガラスに対し本発明はより有効である。本発明は、動粘度νが1.8cm2/s以下のガラスの製造により有効であり、1.0cm2/s以下のガラスの製造にさらに有効である。
本発明のガラス成形体の製造方法工程で使用されるガラス流出パイプについて説明する。
[ガラス流出パイプ]
図2は、本発明に使用されるガラス流出パイプの構造の一例を示す説明図であり、この図2に従って、本発明のガラス流出パイプの構造を説明する。また、以下の説明において、管径とは、ガラス流出パイプの内径を意味するものとする。
白金製ガラス流出パイプ10は、熔融ガラスを流出させるガラス流出パイプであって、熔融槽1に片側が接続された上流域部2と、上流域部2に片側が接続され、管径が徐々に狭くなるように形成されたテーパ管部3と、テーパ管部3に片側が接続され、管径が最も小さく形成された絞り部4と、絞り部4に片側が接続され、管径が徐々に広くなるように形成された逆テーパ管部5と、逆テーパ管部に片側が接続され、逆テーパ管部5が接続された側と反対側に熔融ガラスの流出口8をもつ流出部7を有する直管状の流出部(下流域部)6と、を有する。
このような白金製ガラス流出パイプ10においては、熔融ガラスの流量を抑制・支配することの出来る管径がガラス流出パイプ10の中で最も小さい絞り部4を流出部(下流域部)6よりも上流に設けることにより、流出部(下流域部)6及び流出先端部7(流出口8)は流量へ影響することなく、温度操作可能な範囲が広くなる。また、以下の説明においては便宜上、流出部6と流出先端部7とを区別するが、流出部6と流出先端部7とで下流域を構成している。流出先端部7の内径は流出部6の内径と同じ大きさになっており、両者は外径のみ異なっている。そして、流出先端部7の下端部が流出口8となっている。
絞り部4を流出部(下流域部)6よりも上流に設けるために、本発明においては、上流域部2と中流域間にテーパ管部3を設け、中流域から下流域(流出部6、流出先端部7と流出口8から構成される)の間に逆テーパ管部5を設けている。該流出部(下流域部)6の長さは管路を広げた時の影響、つまり、熔融ガラスの流速分布が大きくなるため、この大きくなった流速分布を最低限均一化できるだけの長さとすればよく、長さについては後述する。
また、以下に述べる熔融ガラスの流速分布とは、ガラス流出パイプの任意の径方向断面における管壁内部〜管中央部〜管壁内部における分布を意味している。
次に、熔融ガラスがガラス流出パイプ内を流れる際の流速及び流速分布について説明する。
熔融炉内で熔融された熔融ガラスがガラス流出パイプ10の上流域部2に流入すると所定の流速で流れ、管壁近傍を流れる熔融ガラス流は管壁の粘性抵抗を受けるため、熔融ガラスは層流となって流れる。その後、絞り部4に流入した熔融ガラスは、管径が小さくなることにより、流速が速くなるものの層流状態は維持している。この時の絞り部4内を流れる熔融ガラスの流速分布を基準流速分布とする。
この後、熔融ガラスは、逆テーパ管部5に流入する。この時、管径が徐徐に拡径していることにより熔融ガラスにかかる圧力が低下し、熔融ガラスの流速は遅くなると共に、流速分布は基準流速分布より大きくなる。これは、逆テーパ管部5に熔融ガラスが流入すると、管径が徐徐に大きくなることに起因して、逆テーパ管部5中央部の流速が圧力の低下により遅くなるものの、それ以上に逆テーパ管部5の管壁近傍を流れる熔融ガラスの流速が管壁抵抗により遅くなるためである。
そして、下流域の流出部6に熔融ガラスが流入すると、一気に熔融ガラスの流速が低下する。そして、熔融ガラスが流出部6に流入した後、流速分布は小さくなり始め、流出部6内を所定距離進んだところで均一化される。流速分布が均一化された後は、熔融ガラスは層流に戻り始め、流速分布は徐徐に大きくなることになる。しかしながら、本発明においては、基準流速分布より小さく、流速分布が均一化された状態、又は、流速分布が均一化された状態に近い状態で流出口8より流出する。これは本発明のパイプに、図示しない加熱手段が流出部6に設けられているため、この加熱手段によって流出部6の管壁近傍を流れる熔融ガラスが加熱され、粘度が低下することになり、均一化された状態を維持、または均一化された状態に近い状態で流出口8より熔融ガラスを流出することができる。
また、中流域(絞り部4)から下流域(流出部6と流出先端部7)にかけて熔融ガラスの流速分布及び/又は流速を抑制するためには、中流域(絞り部4)及び下流域(流出部6と流出先端部7)の管径(内径)がそれぞれの部位において一定となる、つまり、管内の空洞部が円柱状となるように形成されているのがよい。例えば、絞り部4の内径D1に対する流出部6と流出先端部7の内径D2の比(D2/D1)は、1より大きい必要があり、小さすぎると流速抑制効果を得にくくなるため、D2/D1比は1.05以上であることが望ましく、1.40以上とすることが好ましく、2.00以上にすることが更に好ましい。また、2.25以上が好ましく、2.50以上がより好ましく、2.70以上がさらにより好ましく、3.00以上であってもよい。D2/D1比の上限については、選択するガラス種や1日あたりの生産量、逆テーパ管部5及び/又は下流域(流出部6と流出先端部7)の内部でガラスの剥離が生じない範囲で決めることができ、3.20以上でもよく、3.50以上となってもよい。
以上のように、D2/D1は、以下の式を満たしていることが好ましい。
1.05≦D2/D1・・・(1)式
また、中流域(絞り部4)及び下流域(流出部6と流出先端部7)にかけて熔融ガラスの流速を所望の速度分布にまで抑制するためには、例えば、絞り部4の管径D1に対する下流域(流出部6と流出先端部7)の管長L2の比(L2/D1)を、100以下にすればよく、そして、90以下がより好ましく、更に好ましくは、85以下にすればよい。また、上限については選択するガラス種や1日あたりの生産量に応じて決めることができ、80以下が好ましく、78以下がより好ましく、77以下がさらにより好ましく、75以下であってもよい。
また、L2/D1比は小さすぎると抑制効果を得にくくなるため、L2/D1比は30以上であることが望ましく、40以上とすることが好ましく、55以上にすることが更に好ましい。また、下限についても上記と同様のことが考えられ、65以上が好ましく、70以上がより好ましく、73以上であってもよい。
本発明においては、L2/D1比は、例えば30以上であり、好ましくは40以上、より好ましくは55以上、更に好ましくは、60以上である。
以上のように、L2/D1は、以下の式を満たしていることが好ましい。
30≦L2/D1≦100 ・・・(2)式
また、中流域(絞り部4)及び下流域(流出部6と流出先端部7)にかけて熔融ガラスの流速を効率的に抑制するためには、例えば、下流域(流出部6と流出先端部7)の管径D2に対する下流域(流出部6と流出先端部7)の管長(L2)の比(L2/D2)を、60以下にすればよく、そして、55以下がより好ましく、更に好ましくは、53以下にすればよい。また、上限については選択するガラス種や1日あたりの生産量に応じて決めることができ、51以下が好ましく、50以下がより好ましく、48以下が更に好ましく、45以下が更により好ましく、43以下であってもよい。
また、L2/D2比は小さすぎると抑制効果を得にくくなるため、L2/D2比は、15以上であることが望ましく、20以上とすることが好ましく、21以上にすることが更に好ましく、23以上であってもよい。また、下限についても上記と同様のことが考えられ、25以上が好ましく、27以上がより好ましく、29以上が更により好ましく、30以上がさらにさらによく、32以上であってもよい。
以上のように、L2/D2は、以下の式を満たしていることが好ましい。
15≦L2/D2≦60 ・・・(3)式
また、上述した絞り部4の管径・管長及び下流域(流出部6と流出先端部7)の管径・管長の比とともに、生産効率の観点から絞り部4の管径D1に対する絞り部4の管長L1の比(L1/D1)を10以上にすることがよく、そして、20以上がより好ましく、更に好ましくは、30以上にすればよい。また、下限については上述の理由に応じて決めることができ、50以上でよく、70以上が好ましく、90以上がより好ましく、100以上が更により好ましく、110以上であってもよい。上限についても上記と同様のことが考えられ、200以下でよく、190以下が好ましく、180以下がより好ましく、170以下がさらにより好ましく、160以下であってもよい。
以上のように、L1/D1は、以下の式を満たしていることが好ましい。
10≦L1/D1≦200 ・・・(4)式
白金製ガラス流出パイプの各領域におけるパイプ径や長さ、流出口の径は、使用するガラスの流出粘度や液相温度、比重、及び1日当たりのガラス素材の生産量などによって最適化される。
また、本発明においては、例えば図示しない通電加熱式のヒーター等の温度制御装置によりガラス流出パイプ10、及び、ガラス流出パイプ10を介して熔融ガラスは加熱され、熔融ガラスの温度を最適な温度に制御することが出来るようになっている。少なくとも流出口8を円周上に取り囲む通電加熱式のヒーターを設けておくことにより流出口8を独立して加熱することが出来るようになっている。また、これに加え、温度制御装置は流出口8のみならず、独立して加熱したい部位に設ける事が出来、流出口8及び流出先端部7を独立して加熱できるようにしてもよく、流出口8及び流出先端部7に加えて流出部6をも独立して加熱出来るようにしてもよい。上記実施例においては、温度制御装置を流出口8、流出先端部7、及び、流出部6にそれぞれ設け、独立して温度制御出来るようにした。
温度設定の行い方としては例えば、ガラス流出パイプの絞り部4における温度をガラス流出パイプの他の部分の温度より低く設定、または、同じ温度に設定することが出来る。
本実施例においては、流出口8、流出先端部7、及び、流出部6の温度を同じ温度に設定し、その温度は絞り部の温度よりも高く設定した。このように温度設定することにより流出部8の管壁近傍における熔融ガラスの速度低下を最小限に抑制することが出来ると共に、熔融ガラスの温度分布が均一化された状態を維持したまま流出することが出来る。
これまで、絞り部がガラス流出パイプの管径が最も細い部分である場合について説明したが、絞り部は当該パイプの管径が最も細い部位に限定されない。例えば、ガラス流出パイプの絞り部の上流側(熔融ガラスの流れ)に、絞り部における内径より細い内径を有する部分があってもよい。その場合、絞り部および絞り部の内径より細い内径を有する部位の温度制御を行い、パイプ中を流れる熔融ガラスの流量を制御することが好ましい。また、ガラス流出パイプは、絞り部の一端が熔融ガラスを蓄積する熔融槽に接続される構造となっていてもよい。
(従来例)
一方、図1は、従来のガラス流出パイプの構造の一例を示す説明図であって、ガラス流出パイプ20は、熔融槽11に片側が接続された上流域部12と前記上流域部12に片側が接続され、管径が徐々に狭くなるように形成されたテーパ管部13と、前記テーパ管部13に片側が接続され、管径が最も小さく形成された絞り部14と、前記絞り部14に片側が接続され、その反対側に熔融ガラスのパイプ流出口16をもつ流出先端部15と、を有している。
この従来のガラス流出パイプ20は、前述した図2に示される本発明に使用されるガラス流出パイプ10と異なり、管径が最も小さく形成された流量制御支配部である絞り部14が、中流域でなく、下流域に設けられており、その結果該絞り部14に接続された流出先端部15における熔融ガラスの流出口16の径が小さい状態でもって熔融ガラスを流出しなければならず、結果、流出時における熔融ガラスの流出速度が速い状態で層流のまま流出口から流出することになり、鋳型上の特定の部位がスポット的に昇温してしまい、安定して高均質のガラス成形体得ることが出来ない。
これに対して、本発明に使用されるガラス流出パイプ10は、前述したように、絞り部4を流出部6及び流出先端部7の上流に設けることにより、流出部6及び流出先端部7は温度に対する流量への影響が小さいため、温度操作可能な範囲が広くなると共に、該流出先端部7におけるパイプ流出口(流出口)8を広くすることにより、前述の3つの効果及び当該3つの効果の相乗効果を奏することができる。
具体的には、同一のガラス種を用い、1日当たりのガラス素材の生産量が同じである場合の1例を挙げると、従来のガラス流出パイプ20及び本発明に用いたガラス流出パイプ10の全長は、それぞれ1500mm、絞り部14及び絞り部4の径と長さは、それぞれ3.0mmと350mm、パイプ流出口16及び8の径は、それぞれ3.0mm及び7.5mmであり、流出口16及び8から流出する熔融ガラスの単位体積当たりの表面積は、それぞれ2444mm2/sec及び978mm2/secとなり、本発明のガラス流出パイプ10においては、安定して高均質・高品質な光学ガラスを得ることができる。
次に、本発明の適用が好ましいガラスを例示する。
[ホウ酸・ランタン含有ガラス]
本発明において使用されるホウ酸・ランタン含有ガラスとは、ガラス成分としてB2O3およびLa2O3を含むガラスを意味し、下記の条件(1)〜(5)を満たすガラスを適用することが好ましい。
(1)ガラスの組成が、酸化物換算で、B2O3を3〜50質量%およびLa2O3を10〜60質量%を含むガラスであり、中でもB2O3を3〜30質量%およびLa2O3を20〜60質量%を含むガラスとすることがより好ましい。
(2)屈折率ndが1.60以上のガラス、特に下記(i)式を満たす屈折率nd、アッベ数νdを有するガラスとすることがより好ましい。
nd≧2.085−0.0075×νd(ただし、νd≦62)・・・(i)式
ガラスの熱的安定性を維持する観点から、屈折率ndの上限としては2.20を目処とすればよい。また、アッベ数νdの下限については17を目処とすればよい。
(3)比重が4.0以上のガラスが好ましく、中でも比重が4.5以上のものがより好ましく、4.7以上のものがさらに好ましく、5.0以上のものが一層好ましい。比重の上限は6を目安とすればよい。
(4)液相温度における粘度が5.0dPa・s以下のガラスが好ましく、更に好ましくは4.5dPa・s以下のガラスであり、中でも前記粘度が3.0dPa・s以下のガラスへの適用がより好ましい。
(5)液相温度が600℃以上のガラスが好ましく、更に好ましくは、650℃以上のガラスであり、中でも液相温度が900℃以上のガラスへの適用がより好ましい。
上記条件(1)〜(5)を任意に組合せたガラスへの適用がさらに好ましい。
[フッ素含有ガラス]
本発明において使用されるフッ素含有ガラスとは、ガラス成分としてFを含むガラスを意味し、アニオン成分として酸素とフッ素を含むガラスを例示することができる。このようなガラスとして次のようなガラスを例示することができる。
フッ素含有ガラスとしては、F含有量が10〜80アニオン%以上、O2−含有量が20〜90アニオン%以下のガラス、F含有量が25〜80アニオン%以上、O2−含有量が20〜75アニオン%以下のガラスなどがある。フッ素含有ガラスは、アッベ数νdが62以上、特に66以上の低分散性ガラスや異常部分分散性を有する光学素子材料として有効である。
アニオン成分として、O2−とFを合計で95アニオン%以上含み、かつFの含有量が0.1アニオン%以上のガラス。
次に、本発明のガラス成形体の製造方法により得たガラス素材を用いた光学素子の製造方法について説明する。
[光学素子の製造方法]
本発明の光学素子の製造方法は、上記方法によりガラス素材を製造し、該ガラス素材を成形及び/または加工して光学素子を作製する方法である。
以下、本発明の光学素子の製造方法の態様について説明する。
(第1の態様)
第1の態様は、上記方法によりガラス成形体を作製し、そのガラス成形体を機械加工して光学素子を作製する光学素子の製造方法である。例えば、切削・研削・研磨等の機械加工をガラス素材に施すことにより、球面レンズ等の光学素子を得ることが出来る。
(第2の態様)
第2の態様は、上記方法によりガラス成形体を作製し、前記ガラス成形体を機械加工してプレス成形用ガラス素材を作製し、該ガラス素材を加熱、軟化して成形型によるプレス成形工程を有する光学素子の製造方法である。
第2の態様としては、プレス成形工程により目的とする光学素子の形状に近似する光学素子ブランクを成形し、該ブランクを研削、研磨して光学素子を作製する方法や、プレス成形工程において該ガラス素材を精密モールドプレス成形して光学素子を作製する方法がある。
後者、すなわち、精密モールドプレス成形により光学素子を作製する方法としては、成形面に緻密な面形状を施した成形型を使用し、ガラス素材と成形型とを一緒に加熱、軟化し、プレス成形して、成形面の面形状をガラス素材に転写することにより非球面レンズなどの光学素子を作製する方法(等温加熱方式による精密モールドプレス成形)や、成形面に緻密な面形状を施した成形型を使用し、ガラス素材と成形型とを別々に加熱しておき、軟化したガラス素材を成形型内に供給後、プレス成形を行い、成形面の面形状をガラス素材に転写することにより非球面レンズなどの光学素子を作製する方法(非等温加熱方式による精密モールドプレス成形)などを例示することができる。
上記方法により、各種光学素子、例えばレンズ、プリズムなどを作製することができる。また、レンズの例としては、レンズ面が球面または非球面またはそれらの組合せである、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどの各種レンズを挙げることができる。
光学素子の表面には必要に応じて反射防止膜などのコーティングや、面取り加工や芯取り加工を行ってもよい。また、プレス時のガラス素材の延伸性を高めることやガラス素材と成形型との融着を防ぐことを目的に、成形型の成形面に炭素コート等の薄膜を成膜してもよい。成膜の方法としては従来から既知の方法を用いることができ、例えばスパッタリング法や化学気相蒸着法(CVD)等が挙げられる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られたガラス成形体を製造する時に焼きつきが生じたかどうかを目視で確認して評価した。
実施例1
図2に示すガラス流出パイプ10を製作した。各領域部の寸法及び温度を以下に示す。
熔融槽1(熔融ガラスを蓄積する熔融槽)の温度:1300℃;上流域部2の管径(内径):7.5mm、長さ650mm、温度:1280℃;テーパ管部3の温度:1280℃;絞り部4の管径(内径):3.5mm、長さ:350mm、温度:1260℃;逆テーパ管部5の温度:1260℃;流出部(下流域部)6の径:7.5mm、長さ:流出先端部7を含め250mm、温度:1280℃;流出先端部7の径:7.5mm;パイプ流出口8の熔融ガラス温度:1280℃である。
前記のガラス流出パイプ10を用い、下記のガラスAの熔融液を流量120cm3/minで流してガラス成形体を製造した。その際、ガラスの鋳型への焼きつきは認められず、鋳型の消耗、劣化も認められなかった。
また、絞り部の管径D1に対する流出部(下流域部)の管径D2の比(D2/D1)は、2.5、絞り部の管径D1に対する流出部(下流域部)の管長L2の比(L2/D1)は、83.3、流出部(下流域部)の管径D2に対する流出部(下流域部)の管長L2の比(L2/D2)は、33.3、絞り部の管径D1に対する絞り部の管長L1の比(L1/D1)は、100であった。
本実施例において用いたガラスAの特性は以下の通りである。上記条件(1)〜(5)を満たすホウ酸・ランタン含有ガラスを使用した。
<ガラスAの特性>
比重:5.42
密度ρ:5.42 g/cm3
流出粘度:0.23Pa・s
屈折率(nd):1.88300
アッべ数(νd):40.80
液相温度:1240℃
液相温度における粘度μ:0.27Pa・s
動粘度ν:0.50cm2/s
実施例2
図2に示す形状のガラス流出パイプ10を製作した。全長2000mmのガラス流出パイプ10において、内径4mm、長さ500mmの絞り部を中流域に設置し、その下流に径7mm、長さ300mmの流出部を有する構造の流出パイプを用いて、流量:200mm2/min、流出粘度;0.30Pa・sの条件で、下記のガラスBを連続的に15mm厚みの棒状に成形したところ、鋳型への焼きつきは認められず、鋳型の消耗、劣化も認められなかった。なお、上流域における管径(内径)は8mmとした。
また、絞り部の管径D1に対する流出部(下流域部)の管径D2の比(D2/D1)は、1.75、絞り部の管径D1に対する流出部(下流域部)の管長L2の比(L2/D1)は、75.00、流出部(下流域部)の管径D2に対する流出部(下流域部)の管長L2の比(L2/D2)は、42.86、絞り部の管径D1に対する絞り部の管長L1の比(L1/D1)は、125であった。
本実施例において用いたガラスBの特性は以下の通りである。本実施例においても上記実施例と同様に上記条件(1)〜(5)を満たすホウ酸・ランタン含有ガラスを使用した。
<ガラスBの特性>
比重:4.73
密度ρ:4.73g/cm3
流出粘度:0.37Pa・s
屈折率(nd):1.83481
アッべ数(νd):42.72
液相温度:1130℃
液相温度における粘度μ:0.32Pa・s
動粘度ν:0.68cm2/s
実施例3
図3に示すように、本実施例においては上記実施例におけるガラス流出パイプ10とは別の構造のガラス流出パイプ30を製作した。各領域部の寸法及び温度を以下に示す。
熔融槽31の温度:1300℃;上流域絞り部32の管径(内径):4mm、長さ1250mm、温度:1270℃;逆テーパ管部33の温度:1270℃;流出部(下流域部)34の内径:8.5mm、長さ:流出先端部35を含め250mm、温度:1280℃;流出先端部35の径:8.5mm;パイプ流出口38の熔融ガラス温度:1280℃である。
本実施例においてはガラス流出パイプ30を用い、上記のガラスBの熔融液を流量120cm3/minで流してガラス成形体を製造した。その際、鋳型への焼きつきは認められず、鋳型の消耗、劣化も認められなかった。
また、上記実施例1〜3においては、上記構成により流速減少効果、流速分布減少効果、スポット拡大効果により、揮発し変質した表面部分の成形体内部への浸入を低減することができ、光学的に均質なガラス成形体を効率よく安定して生産することが出来た。
本発明においては、上記実施例1〜3で得たガラス成形体を使用し、上述の方法(第1の態様および第2の態様)により光学素子を得た。
比較例1
図1に示すガラス流出パイプ20を製作した。各領域部の寸法及び温度を以下に示す。
熔融槽1の温度:1300℃、絞り部よりも上流側にある上流域部12の管径(内径):7.5mm、長さ950mm、温度1285℃;テーパ管部13の温度:1285℃;絞り部14の管径:3.0mm、長さ:流出先端部15を含め350mm、温度:1255℃;流出先端部15の温度:1230℃;流出先端部15の流出口16の管径:3.0mmである。
前記ガラス流出パイプ20を用い、前出のガラスAの熔融液を流量120cm3/minで流してガラス成形体を製造した。この時、得られたガラス成形体に焼きつきが発生していた。
比較例2
図1に示すガラス流出パイプ20を製作した。各領域部の寸法等を以下に示す。
全長2,000mmであって、上流から管径(内径)8mm、長さ1200mmの領域及び管径(内径)7mm、長さ300mmの下流に、径4mm、長さ500mmの流出部を有する構造の流出パイプを用いて、流量200cm3/min、流出粘度0.3Pa・sの条件で、比重4.7の高屈折率系ガラス(上記ガラスB)を連続的に15mmの厚みの棒状に成形したところ、得られたガラス成形体に焼きつきが発生し不良品となった。
比較例3
図1に示すガラス流出パイプ20を製作した。各領域部の寸法等を以下に示す。
全長2,000mmであって、内径4mm、長さ40mmの絞り部を流出先端から80mmの位置に設け、その下流に流出部径7mmにテーパ状に連続的に広げた構造の流出パイプを用いて、流量200cm3/min、流出粘度0.3Pa・sの条件で、比重4.7の高屈折率系ガラス(上記ガラスB)を連続的に15mmの厚みの棒状に成形したところ、得られたガラス成形体に焼きつきが発生した。
なお、上述の実施例において、流出粘度は、0.23Pa・s及び0.30Pa・sの例を示したがこれに限定されるものではない。流出粘度は、0.1〜0.5Pa・sの範囲であることが好ましく、0.2〜0.4Pa・sの範囲であることがより好ましい。
また、上述の実施例において、絞り部は、上流域部から絞り部へ流れ、そして流出部(下流域部)に流れる例、及び、絞り部から流出部(下流域部)に流れる例を示したが、これに限られず、流出部(下流域部)より上流に位置し、流出部(下流域部)のパイプの径より小さく、熔融ガラスの流出速度・流出分布を制御できるようになっていればよい、つまり、絞り部から流出部(下流域部)へ流れていればよい。
また、絞り部がガラス流出パイプにおいて一番管径の小さい場所に設けられた例を示したが、上述したようにこれに限定されず、管径が二番目に小さい部位また、それ以上に大きい部位に絞り部を設けてもよく、この場合には、絞り部の温度制御を行い、管径の小さい部位より絞り部の方の流量調整機能が高くなっていることが好ましい。流量調整機能をパイプ内のどこの部位に設定するかは、熔融ガラスの組成、粘度、流出量、パイプの径・寸法を考慮し、温度調整手段を制御して決定することができる。
本発明のガラス成形体の製造方法、及び、その方法を使用して得たガラス成形体を用いて光学レンズなどの光学素子を製造する光学素子の製造方法により、安定性が低い(結晶化しやすい)ガラスや、高比重高屈折率ガラス等を用いて、高均質・高品質なガラス成形体及び光学素子を得ることができる。
1.11.31 熔融槽
2.12 上流域部
3.13 テーパ管部
4.14.32 絞り部
5.33 逆テーパ管部
6.34 流出部(下流域部)
7.15.35 流出先端部
8.16 パイプ流出口(流出口)
10. ガラス流出パイプ
20. 従来のガラス流出パイプ
30. ガラス流出パイプ

Claims (7)

  1. 容器内に蓄積した熔融ガラスを前記容器に接続したガラス流出パイプにより流下させ、前記ガラス流出パイプの流出口より流出して、前記流出口の下方に配置した鋳型に連続して流し込んで成形し、成形したガラス成形体を取り出すガラス成形体の製造方法において、
    前記ガラス流出パイプとして、一端にガラス流出口を有し、内径が一定である流出部と、前記熔融ガラスを前記流出部へと導くとともに、前記流出部の内径よりも小さい内径を有する絞り部とを備えるガラス流出パイプを使用して、前記ガラス流出パイプ中を流れる熔融ガラス流の径を拡大してから流出すること、および、
    鋳型内における前記熔融ガラスの液位が前記ガラス流出パイプの前記流出口より低い状態を維持しながら前記熔融ガラスを鋳型に流し込むこと、
    を特徴とするガラス成形体の製造方法。
  2. 前記絞り部と前記流出部の間に内径が徐々に大きくなる逆テーパ管部を有するガラス流出パイプを使用することを特徴とする請求項1に記載のガラス成形体の製造方法。
  3. 前記ガラス流出パイプの前記流出部を独立して加熱可能な加熱装置を使用し、前記流出部を加熱することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のガラス成形体の製造方法。
  4. 前記ガラス流出パイプの前記流出部の温度を前記絞り部の温度よりも高い温度としたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のガラス成形体の製造方法。
  5. 請求項1乃至のいずれかに記載の方法によりガラス成形体を作製し、前記ガラス成形体を所定の大きさ及び形状に加工し、加熱により軟化し、成形型によってプレス成形することを特徴とする光学素子の製造方法。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の方法によりガラス成形体を作製し、前記ガラス成形体を、研削・研磨・切削加工の何れかの方法によって加工することを特徴とする光学素子の製造方法。
  7. 前記ガラス光学素子が、レンズであることを特徴とする請求項又はに記載の光学素子の製造方法。
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