JP2000118657A - パイプコンベア用のローリング抑制装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、搬送ベルトをパイプ状にしてその
内部に粒体、粉体等を保持して搬送するパイプコンベア
に用いられるベルトのローリング抑制装置に関する。 【解決手段】 円周上に沿って配設された複数のローラ
と、該ローラを前記円周の中心方向に対してそれぞれ独
立に移動可能とし、それぞれのローラを前記パイプ状の
ベルト表面に当接するように移動させる移動機構を少な
くとも有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、搬送ベルトをパイ
プ状にしてその内部に粒体、粉体等を保持して搬送する
パイプコンベアに用いられるベルトのローリング抑制装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】パイプコンベアに用いられるベルトの形
状は、運搬物の積込み部でトラフ状となっているが、ベ
ルトの走行に伴い円形のパイプ状となり運搬物を包み込
んで輸送し、排出部では通常のベルトコンベアと同様に
平面上となり、リターン側ベルトもキャリア側と同様に
パイプ状となって走行し、ベルト走行中の運搬物の風に
よる飛散、荷こぼれ、雨濡れ等を防止できることが特徴
である。

【０００３】また、ベルトがパイプ状のため平面方向お
よび縦面方向に適正な半径のカーブ輸送が可能であり、
傾斜輸送もパイプ状のため運搬物とベルト内面との内部
摩擦が増大し、23゜程度の角度まで輸送可能である。直
線のパイプコンベアでは、ローリングの問題はほとんど
発生しないが、２次元、３次元でカーブさせる場合に
は、円形のパイプ形状がくずれ、楕円形状となりやす
く、ローリング発生の原因となる。

【０００４】パイプコンベアをカーブさせることでパイ
プが楕円とならないようにしておくためには、カーブの
半径をパイプ径の300 倍以上（すなわち、パイプ直径を
Ｄとして、300 Ｄ以上）とすれば良いことが一般に知ら
れている。このとき、パイプ状のベルトの円周上に設け
るローラは６個ないし12個とし、それらのローラが常に
円形のパイプに接することでローリングを防ぐのであ
る。

【０００５】図４（ａ）は、ローラやベルトに摩耗等の
無い適正な状態でのパイプコンベアの断面を示した図で
ある。パイプ状となったベルト１内に石炭等の粒体３が
包み込まれて搬送されており、ベルト１は円周に沿って
その周囲を囲んでいる複数のローラ２で保持されてい
る。図では、ローラ２が６個の場合を示しているが、12
個の場合もあり、任意の個数のローラで囲まれて保持さ
れるのである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに適正なカーブ半径としていても、ローラの摩耗、ベ
ルトの摩耗と減肉等によってローラとベルトの接触面で
ある「あたり面」が変化してくると、ベルトにローリン
グが発生しやすくなる。特に、パイプコンベアが雨に濡
れると、スリップし易く、ますますローリングが発生し
やすくなってしまう。

【０００７】図４（ｂ）は、経年変化等によってベルト
１とローラ２が摩耗した場合の様子を示した断面図であ
る。図示のように、ベルトとローラの間に隙間が生じて
スリップしやすく、ローリングも発生しやすい状態とな
っている。特に、コンベアがカーブしている場合は、図
４（ｃ）に示すように、本来円形状となるべきベルト１
が遠心力等によって大きく変形して楕円状となり、側面
のローラや、場合によっては、下面のローラとの接触も
十分でなく、極めてスリップしやすくなっており、ロー
リング発生の原因となる。

【０００８】そのため、荷こぼれが発生したり、搬送停
止を余儀なくされたりするのである。そして、このよう
なトラブルが発生すると、その都度コンベアの運転を停
止し、ローラの調整作業を行うことが必要となる。本発
明は、パイプコンベアのローリングを防止し、ラインを
停止してのローラの調整作業を不要とすることを目的と
する。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、ベルトをパイ
プ状にしてその内部に粒体を保持して搬送するパイプコ
ンベア用のローリング抑制装置であって、円周上に沿っ
て配設された複数のローラと、該ローラを前記円周の中
心方向に対してそれぞれ独立に移動可能とし、それぞれ
のローラを前記パイプ状のベルト表面に当接するように
移動させる移動機構を少なくとも有することを特徴とす
るパイプコンベア用のローリング抑制装置によって上記
課題を解決したのである。

【００１０】そして、前記移動機構をバネで構成するこ
とが好適であることを見出したのである。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明のパイプコンベア用のロー
リング抑制装置の概念図を図１に示す。本発明は、図１
（ａ）に示すように、従来固定式であった円周上に設置
したローラ２に移動機構10を付設し、それぞれのローラ
が独立して移動できるようにしたことが特徴である。こ
こで、ローラ２は、円周の中心に向かって前後方向に移
動可能とされる。移動機構は、油圧シリンダ、空圧シリ
ンダ、サーボモータ等さまざまな駆動機構で構成するこ
とができる。また、それぞれのローラ移動は、ローラ面
がベルト面に当接されるように独立して制御されてお
り、ローラ面とベルト面の接触は、ギャップセンサによ
るギャップ測定や、荷重検出器による接触圧の検出等に
よって制御される。

【００１２】ここで、本発明においては、ローラ面とベ
ルト面が必ず当接するようにしておけば良いことから、
図２に示すように、各ローラ２の移動機構に替えて、バ
ネ11を付設し、ベルト面とローラ面が必ず当接するよう
にしておくことも可能である。ここで、図２では、バネ
11を例示したが、これは、ゴム等の弾性体としてもよ
く、また、油圧、空圧等のダンパーやクッション材等を
応用してもよいことは言うまでもない。

【００１３】

【実施例】石炭ホッパーから高炉まで石炭を搬送するパ
イプコンベアラインに本発明を適用した。図３（ａ）に
そのコンベアラインの平面図を示す。石炭ホッパー６か
ら高炉７までは、総延長700 ｍを越えるラインである。
コンベアのパイプ径を230mm φとしたことから、カーブ
は半径70ｍとしており、高低差を設けた３次元のカーブ
としている。コンベアの搬送速度は最大120 ｍ／分であ
る。

【００１４】図３（ｂ）は、このパイプコンベアの断面
を示しており、ベルト１は６個のローラ２で保持されて
おり、内部の運搬物は粒状の石炭３である。ベルトは、
多数のローラ支持台４で保持されてラインを構成してお
り、上側のキャリア側で運搬物を搬送し、下側のリター
ン側で一巡して戻るようになっている。このラインにお
いて、従来は、ローリングによる荷こぼれが３回／月の
頻度で発生し、ベルト片よりに起因するライン停止も５
％程度の割合で発生していたが、本発明の適用によっ
て、ローリングによる荷こぼれとライン停止のいずれの
トラブルも皆無とすることができた。

【００１５】

【発明の効果】本発明によって、パイプコンベアのロー
リングを有効に防止することができるようになり、荷こ
ぼれやライン停止のトラブルを解消することができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のパイプコンベア用ローリング抑制装置
を説明する概念図（ａ）と、カーブ状態での動作を説明
する断面図（ｂ）である。

【図２】本発明のパイプコンベア用ローリング抑制装置
の実施態様の一例を示す断面図である。

【図３】本発明のパイプコンベア用ローリング抑制装置
を適用したパイプコンベアラインの平面図（ａ）と断面
図（ｂ）である。

【図４】パイプコンベアにおける従来の保持ローラを説
明する断面図であり、（ａ）は正規の状態を示し、
（ｂ）はローラ等の摩耗が進行した状態を示し、（ｃ）
はその状態でコンベアがカーブしている状態を示す。

【符号の説明】

１ ベルト ２ ローラ ３ 石炭（粒体） ４ ローラ支持台 ５ パイプコンベアライン ６ 石炭ホッパー ７ 高炉 10 移動機構 11 バネ（弾性体）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベルトをパイプ状にしてその内部に粒体
   を保持して搬送するパイプコンベアのローリング抑制装
   置であって、パイプコンベアを囲んで円周上に沿って配
   設された複数のローラと、該ローラを前記パイプコンベ
   アの中心方向に対してそれぞれ独立に移動可能とし、そ
   れぞれのローラを前記パイプ状のベルト表面に当接する
   ように移動させる移動機構を少なくとも有することを特
   徴とするパイプコンベア用のローリング抑制装置。
2. 【請求項２】 前記移動機構がバネで構成されているこ
   とを特徴とする請求項１記載のパイプコンベア用のロー
   リング抑制装置。