JP2000115895A - エレクトレットコンデンサマイクロホン及びその製造方法 - Google Patents

エレクトレットコンデンサマイクロホン及びその製造方法

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JP2000115895A
JP2000115895A JP10288851A JP28885198A JP2000115895A JP 2000115895 A JP2000115895 A JP 2000115895A JP 10288851 A JP10288851 A JP 10288851A JP 28885198 A JP28885198 A JP 28885198A JP 2000115895 A JP2000115895 A JP 2000115895A
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condenser microphone
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護 安田
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康雄 杉森
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来のようにエレクトレットコンデンサマイ
クロホンにエレクトレット層の厚さ等のばらつきに起因
する性能の個体差を生じることがなく、しかもより高性
能で、製造の容易なエレクトレットコンデンサマイクロ
ホンとする。 【構成】 振動板7と、その後面側に配置された電極板
としての背極板4と、背極板4の振動板7側の表面に形
成されたエレクトレット層5とでコンデンサ部を形成す
るバックエレクトレット方式のエレクトレットコンデン
サマイクロホンであって、前記背極板4は背極板となる
素材である真鍮板200にFEPの微粒子が分散された
スプレー液100を噴霧した後、焼成してエレクトレッ
ト層5とし、かつ所望の形状に加工した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエレクトレットコン
デンサマイクロホンとその製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】振動板と電極板とエレクトレット材とで
コンデンサ部を形成するエレクトレットコンデンサマイ
クロホンは、振動板とエレクトレット材の位置関係によ
ってバックエレクトレット方式とホイルエレクトレット
方式に大別され、最近ではフロントエレクトレット方式
と呼ばれるものも出願人により開発されている。これら
のうち、バックエレクトレットのコンデンサマイクロホ
ンとフロントエレクトレット方式のコンデンサマイクロ
ホンの各概略構造を図6及び図7に示す。
【0003】バックエレクトレット方式のコンデンサマ
イクロホンは、図6に示されるように、カプセル1内に
後面側から前面側へプリント基板2、保持体3、背極板
4、エレクトレット層5、スペーサ6、振動板7及びリ
ング8を順番に配置し、保持体3の内側にIC素子9を
配置した構造になっている。
【0004】エレクトレット層5は、ここではスペーサ
6により形成された空間を介して振動板7の後面側に位
置している。このために、この方式はバックエレクトレ
ット方式と呼ばれている。そしてエレクトレット層5
は、電極板としての背極板4の表面に溶着された12.
5〜25μm程度の高分子フィルム(通常FEP)によ
り形成されている。なお、背極板4は、幅寸法が365
mmで長さ寸法が1200mmの真鍮板に前記高分子フ
ィルムを溶着した後に、26mm幅の短冊状に切断した
ものをプレス加工することによって製造されている。
【0005】IC素子9はインピーダンス変換用のFE
Tであり、その入力端子9aは前面側の背極板4と接続
され、出力端子9bは後面側のプリント基板2と接続さ
れている。なお、1aはカプセル1の前面部に形成され
た音孔、1′はその前面部の表面に貼り付けられた前面
クロスである。
【0006】一方、フロントエレクトレット方式のコン
デンサマイクロホンは、図7に示されるように、カプセ
ル1内に後面側から前面側へプリント基板2、保持体
3、振動板7、スペーサ6及びエレクトレット層5を順
番に配置し、保持体3の内側にIC素子9を配置した構
造になっている。
【0007】エレクトレット層5は、ここでは振動板7
の前面側に位置する電極板としてのカプセル前面部の裏
面に被覆されており、振動板7の前面側にエレクトレッ
ト層5が配置されている点で、この方式はフロントエレ
クトレット方式と呼ばれている。そしてエレクトレット
層5は、バックエレクトレット方式の場合と同様に、カ
プセル前面部11の裏面に溶着された厚みが12.5〜
25μm程度の高分子フィルム(通常FEP)により形
成されている。
【0008】また、エレクトレット層5と振動板7の間
に空間を形成するためのスペーサ6としては、いずれの
方式の場合も、額縁状に打ち抜いて形成された厚みが3
0μm程度の高分子フィルム(通常PET)が使用され
ている。
【0009】なお、ホイルエレクトレット方式のコンデ
ンサマイクロホンは、背極板の前面側に設けられる振動
板自体をエレクトレット効果をもつ高分子フィルムによ
り形成したものであり、エレクトレット層が振動板から
分離していない点でバックエレクトレット方式及びフロ
ントエレクトレット方式のものとは区別される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のエレクトレットコンデンサマイクロホンには以
下のような問題点がある。すなわち、エレクトレット層
は、電極板としての背極板の表面に溶着及びプレス加工
された厚さが12.5〜25μm程度の高分子フィルム
により形成されているため、高分子フィルムのロット間
の品質、厚みのばらつきや、背極板のプレス加工時に生
じる高分子フィルムのバリ等を原因とするエレクトレッ
トコンデンサマイクロホンの性能の個体差があった。こ
れは、フロントエレクトレット方式のものであっても、
カプセルのプレス加工に伴って同様の問題が生じてい
る。
【0011】また、振動板と背極板との間の間隔には、
高分子フィルムであるスペーサの厚み分が含まれるた
め、実質的には大きすぎて性能的に問題が生じていた。
すなわち、スペーサの厚みは30μmであり、エレクト
レット層の厚さは12.5〜25μmであるから、間隔
は42.5〜55μmもあったのである。この点もフロ
ントエレクトレット方式のものでも同様である。
【0012】さらに、従来のバックエレクトレット方式
では、背極板の形成に高分子フィルムの溶着、高分子フ
ィルムが溶着された金属板の切断、プレス加工という3
工程が必要となり、フロントエレクトレット方式では、
プレス加工の代わりに絞り加工となり、これも合計3工
程が必要であった。特に、プレス加工及び絞り加工を行
う機器は、熟練したオペレーターによって操作されるた
め、生産性やコストの面で不利であった。
【0013】本発明は上記事情に鑑みて創案されたもの
で、従来のようにエレクトレットコンデンサマイクロホ
ンにエレクトレット層の厚さ等のばらつきに起因する性
能の個体差を生じることがなく、しかもより高性能で、
製造の容易なエレクトレットコンデンサマイクロホンと
することができるエレクトレットコンデンサマイクロホ
ン及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係るエレクトレ
ットコンデンサマイクロホンは、振動板と、その後面側
に配置された電極板としての背極板と、背極板の振動板
側の表面に形成されたエレクトレット層とでコンデンサ
部を形成するバックエレクトレット方式のエレクトレッ
トコンデンサマイクロホンであって、前記背極板は背極
板となる素材の表面にFEPの微粒子が分散されたスプ
レー液を噴霧した後、焼成してエレクトレット層とし、
かつ所望の形状に加工したものである。
【0015】また、本発明に係る他のエレクトレットコ
ンデンサマイクロホンは、振動板と、この振動板の前面
に配置されたカプセルの前面部と、この前面部の裏面に
形成されたエレクトレット層とがコンデンサ部を構成す
るフロントエレクトレット方式のエレクトレットコンデ
ンサマイクロホンであって、前記カプセルは、カプセル
となる素材の裏面にFEPの微粒子が分散されたスプレ
ー液を噴霧した後、焼成してエレクトレット層とし、か
つ絞り金型で所望のカプセルに加工したものである。
【0016】さらに、本発明に係る他のエレクトレット
コンデンサマイクロホンは、振動板と、この振動板の前
面に配置されたカプセルに取り付けられた電極板と、こ
の電極板の裏面に形成されたエレクトレット層とでコン
デンサ部を構成するフロントエレクトレット方式のエレ
クトレットコンデンサマイクロホンであって、前記エレ
クトレット層は、電極板となる素材の裏面にFEPの微
粒子が分散されたスプレー液を噴霧した後、焼成してエ
レクトレット層としたものである。
【0017】一方、本発明に係るエレクトレットコンデ
ンサマイクロホンの製造方法では、スプレー液は、FE
Pの微粒子が分散されるとともに、増粘剤又は界面活性
剤が混入されたものである
【0018】また、本発明に係る他のエレクトレットコ
ンデンサマイクロホンの製造方法では、スプレー液は、
FEPの微粒子が分散されるとともに、増粘剤又は界面
活性剤が混入され、かつ純水で希釈されたものであっ
て、粘度が30c.p.,25℃以下となっているもの
である。
【0019】さらに、本発明に係る他のエレクトレット
コンデンサマイクロホンの製造方法では、エレクトレッ
ト層を形成する焼成の工程の後に、再度の焼成を行うよ
うになっている。
【0020】さらにまた、本発明に係る他のエレクトレ
ットコンデンサマイクロホンの製造方法では、素材の表
面にFEPの微粒子が分散されたスプレー液を噴霧する
工程と、この素材を焼成して表面にエレクトレット層を
形成する工程とを複数回繰り返して行うようになってい
る。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態に係る
エレクトレットコンデンサマイクロホンの製造方法の各
工程を示す概略的説明図、図2は本発明に係るフロント
エレクトレット方式のエレクトレットコンデンサマイク
ロホンの要部の概略的断面図、図3は本発明の他の実施
の形態に係るエレクトレットコンデンサマイクロホンの
製造方法によった場合のエレクトレット層のエレクトレ
ット電位の安定性を示すグラフ、図4は本発明の実施の
形態に係るエレクトレットコンデンサマイクロホンの製
造方法の1工程を示す概略的説明図、図5は本発明の実
施の形態に係るエレクトレットコンデンサマイクロホン
の製造方法の1工程を示す概略的説明図である。なお、
従来のものと略同一の部品等には同一の符号を付して説
明を行う。
【0022】なお、本発明の第1の実施の形態に係るバ
ックエレクトレット方式のエレクトレットコンデンサマ
イクロホン自体の構成は、エレクトレット層5の形成方
法や厚さ以外は上述した従来のバックエレクトレット方
式のエレクトレットコンデンサマイクロホンと同様であ
るので、図6を流用する。
【0023】本発明の第1の実施の形態に係るエレクト
レットコンデンサマイクロホンは、振動板7と、その後
面側に配置された電極板としての背極板4と、背極板4
の振動板7側の表面に形成されたエレクトレット層5と
でコンデンサ部を形成するバックエレクトレット方式の
エレクトレットコンデンサマイクロホンであって、前記
背極板4は背極板となる素材である真鍮板200にFE
Pの微粒子が分散されたスプレー液100を噴霧した
後、焼成してエレクトレット層5とし、かつ所望の形状
に加工したものである。
【0024】前記エレクトレット層5は、背極板4の表
面にFEP等を直接成膜して形成してあり、その厚みは
5.00μm程度の薄膜である。エレクトレット層5の
周縁部表面には、その前面側に配置される振動板との間
に空間を形成するためのスペーサ6が、スクリーン印刷
により30μm程度の厚みに形成されている。
【0025】このような背極板4とエレクトレット層5
とスペーサ6の一体化部材を使用することにより、図6
に示すようなバックエレクトレット方式のエレクトレッ
トコンデンサマイクロホンが構成される。
【0026】前記背極板4及びエレクトレット層5は次
のような工程によって形成される。まず、熱伝導に優れ
た真鍮板からなる背極板4の表面上に高分子FEPの直
径が0.1μm〜0.25μm程度の微粒子で薄膜であ
るエレクトレット層5を直接形成するエレクトレット層
形成工程と、エレクトレット層5が形成された真鍮板2
00をプレス加工する工程とからなっている。
【0027】まず、真鍮板200は、幅寸法が26mm
で、長さ寸法が500〜1000m程度の長尺ものであ
り、ロール状に巻回された状態で供給される。
【0028】詳述すると、前記エレクトレット層形成工
程は、高分子FEPの微粒子を分散したスプレー液10
0を真鍮板200上に噴霧する工程と、高分子FEPの
微粒子を分散したスプレー液100が噴霧された真鍮板
200を加熱してエレクトレット層5を焼成し、分極す
る工程とを有している。
【0029】前記高分子FEPの微粒子としては、例え
ば四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体微粒
子が用いられる。この高分子FEPの微粒子を分散させ
たスプレー液100としては、例えばダイキン工業株式
会社製のネオフロン(商標)FEPディスパージョンで
あるND−1が適している。このND−1は、粘度が1
0〜30c.p.,25℃であり、背極板4となる真鍮
板200へのスプレーに適している。
【0030】この高分子FEPの微粒子を分散させたス
プレー液100の真鍮板200へのスプレーの方法とし
ては、図1(A)に示すように、ロール状に巻回された
真鍮板200を順次矢印A方向に引き出しつつ、噴霧ス
プレー300にて行う方法がある。このようにすること
により、図1(B)に示すように、真鍮板200に5.
0μm程度の膜厚でスプレー液100が塗布される。
【0031】次に、図1(C)に示すように、前記スプ
レー液100がスプレーされた真鍮板200を加熱して
スプレー液100に含まれる有機溶媒110を除去して
エレクトレット層5のベースとなる高分子FEPの微粒
子が堆積した薄膜50を形成する。ここでは電気炉によ
り、300℃程度の雰囲気温度で20分程度加熱する。
この加熱によって有機溶媒110のみが除去され、高分
子FEPの微粒子が堆積した薄膜50が真鍮板200の
上に形成される。
【0032】このようにして真鍮板200に高分子FE
Pの微粒子が堆積した薄膜50が形成されたならば、前
記薄膜50に対して加熱、冷却、プラズマ放電、コロナ
放電等の一般的な分極処理を施してエレクトレット層5
を得る(図1(D)参照)。
【0033】このようにして得られたエレクトレット層
5は、5.0μm程度の厚さに形成され、その表面抵抗
は厚さ2.0μmのもので、1×1013Ωとなってい
た。ここで、従来のように、FEPフィルムを背極板4
の表面に溶着するものであれば、厚さ12.5μmのも
ので2×1013Ωとなっていた。すなわち、本実施例に
係る製造方法で製造するほうが、同等の抵抗値でありな
がら極めて薄いエレクトレット層5を形成できるのであ
る。
【0034】次に、図1(E)に示すように、前記工程
で分極処理が施されたエレクトレット層5が形成された
真鍮板200をプレス機400に順次供給することによ
り、背極板4が形成される。なお、真鍮板200は、ロ
ール状のものであるから、プレス機400への供給は自
動的に行うことが可能となり、背極板4を自動的連続的
に形成することが可能となる。
【0035】このようにしてエレクトレット層5が形成
された背極板4を用いたエレクトレットコンデンサマイ
クロホンは、図6に示すように、カプセル1内に後面側
から前面側に向かってプリント基板2、保持体3、エレ
クトレット層5が形成された背極板4、スペーサ6、振
動板7及びリング8を順番に配置し、保持体3の内側に
IC素子9を配置して構成される。
【0036】なお、上述した実施の形態では、スプレー
液100として、ダイキン工業株式会社製のネオフロン
(商標)FEPディスパージョンであるND−1を用い
たが、このND−1に、DS−101(ユニダイン社
製)、EV−1300(ユニセフ社製)、ポリスタOM
(日本油脂社製)等の増粘剤、界面活性剤を混入し、そ
の粘度は30〜90c.p.,25℃としたものを使用
してもよい。
【0037】例えば、このスプレー液100を純水で希
釈し、粘度を30c.p.,25℃とした希釈スプレー
液を用いると、エレクトレット層5のエレクトレット電
位の残存率が向上する。
【0038】例えば、スプレー液100と純水との比率
を1:4の割合で混合した希釈スプレー液を用いると、
図3に白丸印で示すように、エレクトレット電位の残存
が向上する。すなわち、背極4を150℃の雰囲気内に
長時間晒してもエレクトレット層5のエレクトレット電
位は安定しているのである。
【0039】このエレクトレット電位の残存率が向上す
るのは、その詳細な理由には不明確な部分は残るが、粘
度を低下させたことにより表面粗さの少ないエレクトレ
ット層5が形成されるためであると考えられる。
【0040】また、背極4として完成したものを再焼成
すると、エレクトレット電位の残存率がさらに向上する
ことが確認できた。例えば、330℃で10分の焼成を
行った場合には、図3に黒丸印で示すように、純水で希
釈した希釈スプレー液を用いた場合よりもエレクトレッ
ト電位の残存率が向上したことが確認できた。
【0041】この理由としては、FEPの結晶化度、結
晶性がより高くなったという理由が考えられる。
【0042】さらに、スプレー液100を噴霧した後に
焼成するという工程を繰り返して行うと次のようにな
る。例えば、前記ND−1に増粘剤としてのポリスタO
M(日本油脂社製)を混入し、粘度を35〜40c.
p.,25℃としたスプレー液100を噴霧した後、3
30℃で20分間焼成した後、再度スプレー液100を
噴霧し、前記と同じ条件で焼成すると、より安定したエ
レクトレット層5とすることができた。
【0043】この理由は、次のように考えられる。1回
目のエレクトレット層5の形成では、エレクトレット層
5の膜厚にばらつきがあったり、ピンホールがあったり
してエレクトレット層5の平坦度に問題があるが、2回
目のエレクトレット層5の形成により、ピンホールが無
くなって平坦度が向上した膜厚の均一化されたエレクト
レット層5となるのである。
【0044】また、1回目のエレクトレット層5は、背
極板4と2回目のエレクトレット層5とのいわば接着剤
としての役目を果たすものであると考えることもでき
る。
【0045】一方、フロントエレクトレット方式のエレ
クトレットコンデンサマイクロホンでは、バックエレク
トレット方式のものとは違って、カプセル1の前面部1
1の裏面11Aにエレクトレット層5を形成する。
【0046】なお、本発明の第2の実施の形態に係るフ
ロントエレクトレット方式のエレクトレットコンデンサ
マイクロホン自体の構成は、エレクトレット層5の形成
方法や厚さ以外は上述した従来のフロントエレクトレッ
ト方式のエレクトレットコンデンサマイクロホンと同様
であるので、図7を流用する。
【0047】すなわち、このフロントレックトレット方
式のエレクトレットコンデンサマイクロホンは、図7に
示すように、振動板7と、この振動板7の前面に配置さ
れたカプセル1の前面部11と、この前面部11の裏面
11Aに形成されたエレクトレット層5とでコンデンサ
部を構成するフロントエレクトレット方式のエレクトレ
ットコンデンサマイクロホンであって、前記エレクトレ
ット層5は、カプセル1となる素材にFEPの微粒子が
分散されたスプレー液100を噴霧した後、焼成してエ
レクトレット層5とし、かつ絞り金型で所望のカプセル
1に加工したものである。
【0048】このフロントエレクトレット方式のエレク
トレットコンデンサマイクロホンを構成するカプセル1
は、カプセル1を構成する素材としての熱伝導に優れた
アルミニウム板600の表面上に高分子FEPの直径が
0.1μm〜0.25μm程度の微粒子で薄膜であるエ
レクトレット層5を直接形成するエレクトレット層形成
工程と、エレクトレット層が形成されたアルミニウム板
600を絞り加工する工程とからなっている。
【0049】まず、アルミニウム板600は、幅寸法が
26mmで、長さ寸法が500〜1000m程度の長尺
ものであり、ロール状に巻回された状態で供給される。
【0050】詳述すると、前記エレクトレット層形成工
程は、高分子FEPの微粒子を分散したスプレー液10
0をアルミニウム板600上に噴霧する工程と、高分子
FEPの微粒子を分散したスプレー液100が噴霧され
たアルミニウム板600を加熱してエレクトレット層5
を焼成する工程とを有している。すなわち、バックエレ
クトレット方式のエレクトレットコンデンサマイクロホ
ンと相違する点は、バックエレクトレット方式のもので
は背極板4にエレクトレット層5を形成するのに対し
て、フロントエレクトレット方式のものではカプセル1
の前面部11の裏面11Aにエレクトレット層5を形成
する点である。
【0051】前記高分子FEPの微粒子としては、例え
ば四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体微粒
子が用いられる。この高分子FEPの微粒子を分散させ
たスプレー液100としては、例えばダイキン工業株式
会社製のネオフロン(商標)FEPディスパージョンで
あるND−1が適している。このND−1は、粘度が1
0〜30c.p.,25℃であり、カプセル1となるア
ルミニウム板600への塗布に適している。
【0052】この高分子FEPの微粒子を分散させたス
プレー液100のアルミニウム板600へのスプレーの
方法としては、図1(A)に示すように、ロール状に巻
回されたアルミニウム板600を引き出しつつ、噴霧ス
プレー300にて行う方法がある。このようにすること
により、図1(B)に示すように、1.0〜5.0μm
の膜厚でスプレー液100が塗布される。
【0053】このスプレー液100の塗布の際に、図4
に示すように、アルミニウム板600にマスク(図示省
略)を当てておき、マスクの開口部から露出した部分に
のみスプレー液100が塗布されるようにする。このマ
スクは、例えばカプセル1の底面部、すなわちカプセル
1の前面部11の裏面11Aにのみスプレー液100が
塗布されるように開口部が設定されている。
【0054】図4及び図5における610は、アルミニ
ウム板600に形成された送り用ホールを示しており、
この送り用ホール610に相当するものは、図1におけ
る真鍮板200にも形成されている。
【0055】なお、このマスクは、図5(A)及び
(B)に示すように、帯状にスプレー液100を塗布す
るようになっていてもよい。図5(A)に斜線で示すよ
うに、アルミニウム板600の長手方向に沿った帯状に
スプレー液100を塗布する場合には、カプセル1とな
る底面のみにスプレーすることができ、無駄が省けると
いう効果がある。また、図5(B)に斜線で示すよう
に、アルミニウム板600に対して斜め方向になった帯
状にスプレー液100を塗布する場合にも、カプセル1
となる底面のみにスプレーすることができ、無駄が省け
るという効果がある。
【0056】次に、図1(C)に示すように、前記スプ
レー液100がスプレーされたアルミニウム板600を
加熱してスプレー液100に含まれる有機溶媒110を
除去してエレクトレット層5のベースとなる高分子FE
Pの微粒子が堆積した薄膜50を形成する。ここでは電
気炉により、300℃程度の雰囲気温度で20分程度加
熱する。この加熱によって有機溶媒110のみが除去さ
れ、高分子FEPの微粒子が堆積した薄膜50がアルミ
ニウム板600の上に形成される。
【0057】このようにしてアルミニウム板600に高
分子FEPの微粒子が堆積した薄膜50が形成されたな
らば、前記薄膜50に対して加熱、冷却、プラズマ放
電、コロナ放電等の一般的な分極処理を施してエレクト
レット層5を得る(図1(D)参照)。
【0058】このようにして得られたエレクトレット層
5は、5.0μm程度の厚さに形成され、その表面抵抗
は厚さ2.0μmのもので、1×1013Ωとなってい
た。ここで、従来のように、FEPフィルムをカプセル
1の前面部11の裏面11Aに溶着するものであれば、
厚さ12.5μmのもので2×1013Ωとなっていた。
すなわち、本実施例に係る製造方法で製造するほうが、
同等の抵抗値でありながら極めて薄いエレクトレット層
5を形成できるのである。
【0059】このようにしてアルミニウム板600にエ
レクトレット層5が形成されたならば、エレクトレット
層5に対して加熱、冷却、プラズマ放電、コロナ放電等
の一般的な分極処理を施す。
【0060】次に、図1(E)に示すように、エレクト
レット層5が形成されたアルミニウム板600に対して
プレス機400の代わりに絞り金型 (図示省略) を用い
てカプセル1を形成する。このカプセル1は、エレクト
レットコンデンサマイクロホンの大きさ、サイズ等に応
じて形成されることは勿論である。
【0061】図4(C)に示すように、カプセル1の前
面部11の裏面11Aにのみエレクトレット層5を形成
するようにした。
【0062】このようにしてエレクトレット層5が形成
されたカプセル1を用いたエレクトレットコンデンサマ
イクロホンは、図6に示すように、カプセル1内に後面
側から前面側に向かってプリント基板2、保持体3、振
動板7、スペーサ6を順番に配置し、保持体3の内側に
IC素子9を配置している。このため、カプセル1の前
面部11の裏面11Aに形成されたエレクトレット層5
は、振動板7とでコンデンサ部を形成している。
【0063】なお、上述したバックエレクトレット方式
のエレクトレットコンデンサマイクロホンの実施の形態
では、真鍮板200で背極板4を形成したが、これらを
ステンレス板やチタン板等で形成してもよい。
【0064】また、上述したフロントエレクトレット方
式のエレクトレットコンデンサマイクロホンでは、カプ
セル1の前面部11の裏面11Aにのみエレクトレット
層5を形成するようなマスクを用いてスプレー液100
を塗布したが、図4(D)に示すように、カプセル1の
前面部11の裏面11Aのみならず、側面にもエレクト
レット層5を形成するようなマスクを用いてもよい。
【0065】また、上述したフロントエレクトレット方
式のエレクトレットコンデンサマイクロホンの実施の形
態では、カプセル1の前面部11の裏面11Aにエレク
トレット層5を形成したが、図2に示すように、電極板
10の裏面にエレクトレット層5を形成し、その電極板
10をカプセル1の前面部11に取り付けるようにして
もよい。なお、この電極板10には、音孔101が開設
されている。
【0066】電極板10のカプセル1の前面部11への
取り付けは、図2(A)に示すように、カプセル1の前
面部11に設けた開口11Bを閉塞するようにして行
う。この場合、電極板10の抜けを防止するため、開口
11Bはカプセル1の外側が小径で、内側が大径の二段
径構成にしておくことが望ましい。なお、この場合には
電極板10の外周部は、この二段径構成に合致するよう
に形成しておく。
【0067】また、この場合、電極板10のカプセル1
への取り付けは、接着剤と圧入を併用することが強度等
の面から最も好ましいが、適宜適切な方法を採用するこ
とができるのは勿論である。さらに、振動板7とエレク
トレット層5との間に空間を設けるため、スペーサ6が
介在されている。
【0068】また、電極板10のカプセル1の前面部1
1への取り付けは、図2(B)に示すようにしてもよ
い。すなわち、カプセル1の前面部11に開口11Bを
設けず、前面部11の裏面側11Aに凹部11Cを形成
し、この凹部11Cに電極板10を取り付けるのであ
る。この場合も、凹部11Cは、二段径構成にしておく
ことが望ましい。なお、この場合には電極板10の外周
部は、この二段径構成に合致するように形成しておく。
なお、この電極板10には、音孔101が開設されてい
る。
【0069】また、この場合、電極板10のカプセル1
への取り付けは、接着剤と圧入を併用することが強度等
の面から最も好ましいが、適宜適切な方法を採用するこ
とができるのは勿論である。さらに、振動板7とエレク
トレット層5との間に空間を設けるため、スペーサ6が
介在されている。
【0070】また、以上のフロントエレクトレット方式
のエレクトレットコンデンサマイクロホンの製造方法に
おいても、スプレー液は、FEPの微粒子が分散される
とともに、増粘剤又は界面活性剤が混入され、かつ純水
で希釈されたものであって、粘度が30c.p.,25
℃以下となっているものであると、上述したバックエレ
クトレット方式のエレクトレットコンデンサマイクロホ
ンの製造方法のと同様の効果を得ることが可能である。
【0071】すなわち、例えば、このスプレー液100
を純水で希釈し、粘度を30c.p.,25℃とした希
釈スプレー液を用いると、エレクトレット層5のエレク
トレット電位の残存率が向上する。
【0072】例えば、スプレー液100と純水との比率
を1:4の割合で混合した希釈スプレー液を用いると、
図3に白丸印で示すように、エレクトレット電位の残存
が向上する。すなわち、背極4を150℃の雰囲気内に
長時間晒してもエレクトレット層5のエレクトレット電
位は安定しているのである。
【0073】また、背極4として完成したものを再焼成
すると、エレクトレット電位の残存率がさらに向上する
ことが確認できた。例えば、330℃で10分の焼成を
行った場合には、図3に黒丸印で示すように、純水で希
釈した希釈スプレー液を用いた場合よりもエレクトレッ
ト電位の残存率が向上したことが確認できた。
【0074】さらに、エレクトレット層5を2回にわた
って形成することでも同様の効果を発揮する。これは、
上述したように、均一化に問題のある1回目のエレクト
レット層5の上に2回目のエレクトレット層5を形成す
ることにより、均一化を向上させることが理由であると
考えられる。
【0075】なお、エレクトレット層5を2回にわたっ
て形成するとしたが、3回以上にわたって形成してもよ
いことは勿論である。
【0076】
【発明の効果】本発明に係るエレクトレットコンデンサ
マイクロホンは、振動板と、その後面側に配置された電
極板としての背極板と、背極板の振動板側の表面に形成
されたエレクトレット層とでコンデンサ部を形成するバ
ックエレクトレット方式のエレクトレットコンデンサマ
イクロホンであって、前記背極板は背極板となる素材の
表面にFEPの微粒子が分散されたスプレー液を噴霧し
た後、焼成してエレクトレット層とし、かつ所望の形状
に加工したものである。
【0077】このようにして背極板を形成することによ
って、FEPフィルムを背極板に溶着した従来のエレク
トレットコンデンサマイクロホンのような、エレクトレ
ット層の品質、厚みのばらつきがないため、品質の均一
化が図れる。また、背極板に高分子FEPのフィルムを
溶着した後にプレス加工をする必要がないため、従来の
ように性能の劣化の原因となるフィルムのバリが生じる
という問題がない。特に、FEPの微粒子が分散された
ものをスプレーで素材に塗布すると、スピンオンコート
方式やディップ方式より量産性、コスト的に優れたエレ
クトレット層を形成することが可能となる。
【0078】また、本発明に係るエレクトレットコンデ
ンサマイクロホンは、振動板と、この振動板の前面に配
置されたカプセルの前面部と、この前面部の裏面に形成
されたエレクトレット層とがコンデンサ部を構成するフ
ロントエレクトレット方式のエレクトレットコンデンサ
マイクロホンであって、前記カプセルは、カプセルとな
る素材の裏面にFEPの微粒子が分散されたスプレー液
を噴霧した後、焼成してエレクトレット層とし、かつ絞
り金型で所望のカプセルに加工したものである。
【0079】従って、このエレクトレットコンデンサマ
イクロホンも、FEPフィルムを背極板に溶着した従来
のエレクトレットコンデンサマイクロホンのような、エ
レクトレット層の品質、厚みのばらつきがないため、品
質の均一化が図れる。また、背極板に高分子FEPのフ
ィルムを溶着した後にプレス加工をする必要がないた
め、従来のように性能の劣化の原因となるフィルムのバ
リが生じるという問題がない。特に、FEPの微粒子が
分散されたものをスプレーで素材に塗布すると、スピン
オンコート方式やディップ方式より量産性、コスト的に
優れたエレクトレット層を形成することが可能となる。
【0080】さらに、本発明に係るエレクトレットコン
デンサマイクロホンは、振動板と、この振動板の前面に
配置されたカプセルに取り付けられた電極板と、この電
極板の裏面に形成されたエレクトレット層とでコンデン
サ部を構成するフロントエレクトレット方式のエレクト
レットコンデンサマイクロホンであって、前記エレクト
レット層は、電極板となる素材の裏面にFEPの微粒子
が分散されたスプレー液を噴霧した後、焼成してエレク
トレット層としたものである。
【0081】このエレクトレットコンデンサマイクロホ
ンは、上述したエレクトレットコンデンサマイクロホン
の有する効果の他に、カプセルの成形の際にエレクトレ
ット層が剥がれるおそれがないので、より生産効率の高
いエレクトレットコンデンサマイクロホンとすることが
できるという効果を有している。
【0082】一方、本発明に係るエレクトレットコンデ
ンサマイクロホンの製造方法は、振動板と、その後面側
に配置された電極板としての背極板と、背極板の振動板
側の表面に形成されたエレクトレット層とでコンデンサ
部を形成するバックエレクトレット方式のエレクトレッ
トコンデンサマイクロホンの製造方法であって、エレク
トレット層を形成する工程が、背極板となる素材の表面
にFEPの微粒子が分散されたスプレー液を噴霧する工
程と、この素材を焼成して表面にエレクトレット層を形
成する工程と、前記素材を所望の形状に加工する工程と
を有している。
【0083】このようにして形成されたエレクトレット
層は、従来のエレクトレット層より極めて薄く形成する
ことが可能である。これにより、振動膜と背極板との間
の間隔は、55μmから35μmというように従来のも
のより極めて小さくなった。そのため、マイクロホンと
しての感度を向上させることができる。例えば、振動膜
と背極板との間の間隔が55μmの従来品と、前記間隔
が35μmとなった本案品とでは、本案品の方が感度が
最低でも5dB向上したことが実験で確認されている。
しかも、スプレーでエレクトレット層を形成すると、ス
ピンオンコート方式やディップ方式で形成するより量産
性、コスト的に優れたエレクトレット層を形成すること
が可能となる。
【0084】また、他の本発明に係るエレクトレットコ
ンデンサマイクロホンの製造方法は、振動板と、この振
動板の前面に配置されたカプセルの前面部と、この前面
部の裏面に形成されたエレクトレット層とでコンデンサ
部を構成するフロントエレクトレット方式のエレクトレ
ットコンデンサマイクロホンの製造方法であって、エレ
クトレット層を形成する工程が、カプセルとなる素材の
裏面にFEPの微粒子が分散されたスプレー液を噴霧す
る工程と、この素材を焼成して素材の裏面にエレクトレ
ット層を形成する工程と、前記素材を絞り金型で前面部
の裏面側にエレクトレット層が配置されたカプセルに体
鵜する工程とを有している。
【0085】このため、前記エレクトレット層は、従来
のエレクトレット層より極めて薄く形成することが可能
である。これにより、振動膜と背極板との間の間隔は、
55μmから35μmというように従来のものより極め
て小さくなった。そのため、マイクロホンとしての感度
を向上させることができる。例えば、振動膜と背極板と
の間の間隔が55μmの従来品と、前記間隔が35μm
となった本案品とでは、本案品の方が感度が最低でも5
dB向上したことが実験で確認されている。しかも、ス
プレーでエレクトレット層を形成すると、スピンオンコ
ート方式やディップ方式で形成するより量産性、コスト
的に優れたエレクトレット層を形成することが可能とな
る。
【0086】また、その他の本発明に係るエレクトレッ
トコンデンサマイクロホンは、振動板と、この振動板の
前面に配置されたカプセルに取り付けられた電極板と、
この電極板の裏面に形成されたエレクトレット層とでコ
ンデンサ部を構成するフロントエレクトレット方式のエ
レクトレットコンデンサマイクロホンであって、前記エ
レクトレット層は、電極板となる素材の裏面にFEPの
微粒子が分散されたスプレー液を噴霧した後、焼成して
エレクトレット層としたものである。
【0087】このエレクトレットコンデンサマイクロホ
ンは、上述したエレクトレットコンデンサマイクロホン
の有する効果の他に、カプセルの成形の際にエレクトレ
ット層が剥がれるおそれがないので、より生産効率の高
いエレクトレットコンデンサマイクロホンとすることが
できるという効果を有している。
【0088】また、前記スプレー液として、FEPの微
粒子が分散されるとともに、増粘剤又は界面活性剤が混
入されたものを用いると、増粘剤等を混入しないものを
用いた場合よりもエレクトレット電位の残存率が向上す
る。
【0089】さらに、前記スプレー液として、FEPの
微粒子が分散されるとともに、増粘剤又は界面活性剤が
混入され、かつ純水で希釈されたものであって、粘度が
30c.p.,25℃以下となっているものを使用する
と、粘度を低下させたことにより表面粗さの少ないエレ
クトレット層が形成されると考えられ、その結果、エレ
クトレット電位の残存率が向上する。
【0090】また、エレクトレット層を形成する焼成の
工程の後に、再度の焼成を行うと、FEPの結晶化度、
結晶性がより高くなり、その結果、エレクトレット電位
の残存率がさらに向上することが確認できた。
【0091】さらに、素材の表面にFEPの微粒子が分
散されたスプレー液を噴霧する工程と、この素材を焼成
して表面にエレクトレット層を形成する工程とを複数回
繰り返して行うと、1回目のエレクトレット層の形成で
は、エレクトレット層の膜厚にばらつきがあったり、ピ
ンホールがあったりしてエレクトレット層の平坦度に問
題があるが、2回目のエレクトレット層の形成により、
ピンホールが無くなって平坦度が向上した膜厚の均一化
されたエレクトレット層となり、より安定したエレクト
レット層とすることができる。
【0092】さらに、前記素材として、真鍮板或いはス
テンレス板やチタン板やアルミニウム板をロール状に巻
回したものを使用すると、自動的、連続的に背極板やカ
プセルを製造することができるので、コストの低減に寄
与することができる。特に、バックエレクトレット方式
のエレクトレットコンデンサマイクロホンの場合は、真
鍮板或いはステンレス板やチタン板を用いるが、フロン
トエレクトレット方式の場合には、カプセルへの加工を
考慮してアルミニウム板を用いることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るエレクトレットコン
デンサマイクロホンの製造方法の各工程を示す概略的説
明図である。
【図2】本発明に係るフロントエレクトレット方式のエ
レクトレットコンデンサマイクロホンの要部の概略的断
面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るエレクトレット
コンデンサマイクロホンの製造方法によった場合のエレ
クトレット層のエレクトレット電位の安定性を示すグラ
フである。
【図4】本発明の実施の形態に係るエレクトレットコン
デンサマイクロホンの製造方法の1工程を示す概略的説
明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るエレクトレットコン
デンサマイクロホンの製造方法の1工程を示す概略的説
明図である。
【図6】従来のエレクトレットコンデンサマイクロホン
(バックエレクトレット方式)の概略的縦断面図であ
る。
【図7】従来のエレクトレットコンデンサマイクロホン
(フロントエレクトレット方式)の概略的縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1 カプセル 4 背極板 5 エレクトレット層 100 スプレー液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉森 康雄 大阪府八尾市北久宝寺1丁目4番33号 ホ シデン株式会社内 (72)発明者 条邊 文彦 大阪府八尾市北久宝寺1丁目4番33号 ホ シデン株式会社内 Fターム(参考) 5D021 CC08 CC20

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動板と、その後面側に配置された電極
    板としての背極板と、背極板の振動板側の表面に形成さ
    れたエレクトレット層とでコンデンサ部を形成するバッ
    クエレクトレット方式のエレクトレットコンデンサマイ
    クロホンにおいて、前記背極板は背極板となる素材の表
    面にFEPの微粒子が分散されたスプレー液を噴霧した
    後、焼成してエレクトレット層とし、かつ所望の形状に
    加工したものであることを特徴とするエレクトレットコ
    ンデンサマイクロホン。
  2. 【請求項2】 振動板と、この振動板の前面に配置され
    たカプセルの前面部と、この前面部の裏面に形成された
    エレクトレット層とがコンデンサ部を構成するフロント
    エレクトレット方式のエレクトレットコンデンサマイク
    ロホンにおいて、前記カプセルは、カプセルとなる素材
    の裏面にFEPの微粒子が分散されたスプレー液を噴霧
    した後、焼成してエレクトレット層とし、かつ絞り金型
    で所望のカプセルに加工したものであること特徴とする
    エレクトレットコンデンサマイクロホン。
  3. 【請求項3】 振動板と、この振動板の前面に配置され
    たカプセルに取り付けられた電極板と、この電極板の裏
    面に形成されたエレクトレット層とでコンデンサ部を構
    成するフロントエレクトレット方式のエレクトレットコ
    ンデンサマイクロホンにおいて、前記エレクトレット層
    は、電極板となる素材の裏面にFEPの微粒子が分散さ
    れたスプレー液を噴霧した後、焼成してエレクトレット
    層としたものであることを特徴とするエレクトレットコ
    ンデンサマイクロホン。
  4. 【請求項4】 前記スプレー液は、FEPの微粒子が分
    散されるとともに、増粘剤又は界面活性剤が混入された
    ものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の
    エレクトレットコンデンサマイクロホン。
  5. 【請求項5】 前記スプレー液は、FEPの微粒子が分
    散されるとともに、増粘剤又は界面活性剤が混入され、
    かつ純水で希釈されたものであって、粘度が30c.
    p.,25℃以下となっているものであることを特徴と
    する請求項1、2、3又は4記載のエレクトレットコン
    デンサマイクロホン。
  6. 【請求項6】 振動板と、その後面側に配置された電極
    板としての背極板と、背極板の振動板側の表面に形成さ
    れたエレクトレット層とでコンデンサ部を形成するバッ
    クエレクトレット方式のエレクトレットコンデンサマイ
    クロホンの製造方法において、エレクトレット層を形成
    する工程が、背極板となる素材の表面にFEPの微粒子
    が分散されたスプレー液を噴霧する工程と、この素材を
    焼成して表面にエレクトレット層を形成する工程と、前
    記素材を所望の形状に加工する工程とを具備したことを
    特徴とするエレクトレットコンデンサマイクロホンの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 振動板と、この振動板の前面に配置され
    たカプセルの前面部と、この前面部の裏面に形成された
    エレクトレット層とでコンデンサ部を構成するフロント
    エレクトレット方式のエレクトレットコンデンサマイク
    ロホンの製造方法において、エレクトレット層を形成す
    る工程が、カプセルとなる素材の裏面にFEPの微粒子
    が分散されたスプレー液を噴霧する工程と、この素材を
    焼成して素材の裏面にエレクトレット層を形成する工程
    と、前記素材を絞り金型で前面部の裏面側にエレクトレ
    ット層が配置されたカプセルに体鵜する工程とを具備し
    たこと特徴とするエレクトレットコンデンサマイクロホ
    ンの製造方法。
  8. 【請求項8】 振動板と、この振動板の前面に配置され
    たカプセルに取り付けられた電極板と、この電極板の裏
    面に形成されたエレクトレット層とでコンデンサ部を構
    成するフロントエレクトレット方式のエレクトレットコ
    ンデンサマイクロホンの製造方法において、前記エレク
    トレット層を形成する工程が、電極板となる素材の裏面
    にFEPの微粒子が分散されたスプレー液を噴霧する工
    程と、この素材を焼成して裏面にエレクトレット層を形
    成する工程と、前記素材を所望の形状に加工する工程と
    を具備したことを特徴とするエレクトレットコンデンサ
    マイクロホンの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記スプレー液は、FEPの微粒子が分
    散されるとともに、増粘剤又は界面活性剤が混入された
    ものであることを特徴とする請求項6、7又は8記載の
    エレクトレットコンデンサマイクロホンの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記スプレー液は、FEPの微粒子が
    分散されるとともに、増粘剤又は界面活性剤が混入さ
    れ、かつ純水で希釈されたものであって、粘度が30
    c.p.,25℃以下となっているものであることを特
    徴とする請求項6、7、8又は9記載のエレクトレット
    コンデンサマイクロホンの製造方法。
  11. 【請求項11】 エレクトレット層を形成する焼成の工
    程の後に、再度の焼成を行うことを特徴とする請求項
    6、7、8、9又は10記載のエレクトレットコンデン
    サマイクロホンの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記素材の表面にFEPの微粒子が分
    散されたスプレー液を噴霧する工程と、この素材を焼成
    して表面にエレクトレット層を形成する工程とを複数回
    繰り返して行うことを特徴とする請求項6、7、8、
    9、10又は11記載のエレクトレットコンデンサマイ
    クロホンの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記素材は、アルミニウム板、真鍮
    板、ステンレス板又はチタン板をロール状に巻回したの
    ものであることを特徴とする請求項6、7、8、9、1
    0、11又は12記載のエレクトレットコンデンサマイ
    クロホンの製造方法。
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