JP2000109325A - Ni−Cu−Znフェライト材料の製造方法 - Google Patents
Ni−Cu−Znフェライト材料の製造方法Info
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Abstract
率が1200以上のNi−Cu−Znフェライト材料の
製造方法を提供する。 【解決手段】少なくとも鉄化合物、ニッケル化合物、銅
化合物および亜鉛化合物を混合した後、仮焼し、その後
粉砕する工程を備えたNi−Cu−Znフェライト材料
の製造方法において、鉄化合物として比表面積が8.5
m2/g以上の粉体、ニッケル化合物および亜鉛化合物
としてそれぞれ比表面積が8.0m2/g以上の粉体を
用い、混合後の粉体の比表面積を10.0m2/g以
上、仮焼後の粉体の比表面積を6.0m2/g以上、粉
砕後の粉体の比表面積を8.0m2/g以上とするとと
もに、仮焼後のスピネル合成度を90〜95%とする。
Description
特にチップインダクタ用として好適なNi−Cu−Zn
フェライト材料の製造方法に関する。
用ノイズフィルターとして使用されてきた。そして、小
型化、高密度実装化に対応するため、もれ磁束が少な
く、かつ、占有面積が小さい、フェライトセラミック
(コア)内に内部導電体を備えた構造のチップインダク
タが提案され、実用化されてきた。
フェライト材料層とその層間に形成した導電体材料層と
を同時焼成して得られる。そして、通常、チップインダ
クタのフェライト材料としてはNi−Cu−Znフェラ
イト材料が、また、導電体材料としては電気伝導度の大
きいAgが用いられてきた。
を用いて、同時焼成で上述のチップインダクタを得る場
合、Agの融点は酸素平衡状態(大気中)においては9
50℃であり、900℃以上に加熱すると加熱時間の増
加に伴い、Agの塑性変形が始まり、フェライト中への
浸透・拡散が起る。これにより、内部導電体の断面積が
減少し、直流抵抗値が増加し、消費電力が増大するとい
う不具合が生じる。さらに、高温に加熱し、950℃を
越えると内部導電体の一部が断線し、インダクタとして
の働きを失ってしまうことになる。したがって、Agを
内部導電体としたチップインダクタを得るためには、9
50℃以下、より好ましくは900℃以下の温度で焼成
しなければならない。
コア材(フェライトセラミック)として使用されるNi
−Cu−Znフェライト材料は、緻密な焼結体を得るた
めには1000℃以上の温度で焼成する必要があり、こ
れ以下の温度では、十分な焼結密度が得られず、初透磁
率が低かったり、気孔が多いという問題点があった。
電気回路用ノイズフィルターの特性として、R成分の周
波数曲線とX成分の周波数曲線の交点であるクロスポイ
ント周波数を5MHz以下に抑えることが要求されてい
る。そのためには、チップインダクタのコアであるNi
−Cu−Znフェライトの初透磁率を1200以上にす
ることが必要である。
低温で緻密に焼結でき、初透磁率が1200以上のNi
−Cu−Znフェライト材料の製造方法を提供すること
にある。
め、本発明のNi−Cu−Znフェライト材料の製造方
法は、少なくとも鉄化合物、ニッケル化合物、銅化合物
および亜鉛化合物を混合した後、仮焼し、その後粉砕す
る工程を備えたNi−Cu−Znフェライト材料の製造
方法において、前記鉄化合物として比表面積が8.5m
2/g以上の粉体を用い、前記ニッケル化合物および亜
鉛化合物としてそれぞれ比表面積が8.0m2/g以上
の粉体を用い、混合後の粉体の比表面積を10.0m2
/g以上とし、仮焼後の粉体の比表面積を6.0m2/
g以上とし、粉砕後の粉体の比表面積を8.0m2/g
以上とするとともに、仮焼後のスピネル合成度を90〜
95%とすることを特徴とする。
末X線回折におけるFe2O3の(104)面のピーク強
度(IFe104)と、スピネル結晶の(311)面のピーク
強度(Isp311)より、次式で表わされる値のことであ
る。
ケル化合物はNiOであり、前記亜鉛化合物はZnOで
あることを特徴とする。
nOのうち少なくとも1種は、共に湿式法で合成された
ものであることを特徴とする。
材料は、Fe2O3が48.0〜49.8モル%、ZnO
が20.0〜34.0モル%、CuOが6.0〜20.
0モル%、NiOが残部、からなることを特徴とする。
ような理由による。まず、粉砕後の粉体の比表面積が
8.0m2/g未満の場合には、粉体の反応性が低いた
め、900℃以下の焼成温度では1200以上の初透磁
率を得ることができない。したがって、粉砕後の粉体の
比表面積は、8.0m2/g以上であることが好まし
い。
2/g未満の場合には、粉体の粒成長が進みすぎてお
り、粉砕後の比表面積を8.0m2/g以上にするため
には、粉砕時間を通常より長くしたり、または、媒体
(メディア)攪拌式の粉砕機を使用する必要がある。そ
の結果、玉石などの媒体から混入する不純物量が増加
し、焼結後のNi−Cu−Znフェライトの特性を劣化
させてしまう。したがって、仮焼後の粉体の比表面積
は、6.0m2/g以上であることが好ましい。
満の場合、未反応のFe2O3が多く残り、焼成時に均一
なNi−Cu−Znフェライトが得られず、1200以
上の初透磁率が得られない。一方、スピネル合成度が9
5%を超えるまで仮焼温度を上げると、スピネル結晶の
粒成長が起こり、粉体の比表面積が減少して反応性が低
下し、900℃以下の温度では十分焼結せず、初透磁率
が1200を下回ってしまう。したがって、仮焼後のス
ピネル合成度は、90〜95%の範囲内が好ましい。
0.0m2/g未満の場合、粉体の反応性が低いため、
仮焼時に90〜95%のスピネル合成度を得ようとする
と、比表面積が10.0m2/g以上のものと比べて高
い温度で仮焼することとなり、結果的に粉体の粒成長が
進み、仮焼後の比表面積が6.0m2/g未満となって
しまう。したがって、化合物混合後の粉体の比表面積は
10.0m2/g以上であることが好ましい。
m2/g未満の場合、または、ニッケル化合物若しくは
亜鉛化合物の粉体の比表面積が8.0m2/g未満の場
合、いずれかの化合物粉体の比表面積を極端に大きくす
れば、化合物混合後の粉体の比表面積を10.0m2/
g以上にすることが可能である。しかし、Ni−Cu−
Znフェライトの仮焼工程においては、温度上昇にとも
ない、まず、低温領域で、Znフェライトが生成し、そ
の後、CuおよびNiが固溶し、Ni−Cu−Znフェ
ライトが生成する。したがって、鉄化合物、ニッケル化
合物および亜鉛化合物のうち、いずれかの化合物の比表
面積が上記値より小さい場合には、その化合物の固相反
応が律速反応となり、最終的に90〜95%のスピネル
合成度を得ようとすると、鉄化合物の粉体の比表面積が
8.5m2/g以上、かつ、ニッケル化合物および亜鉛
化合物の粉体の比表面積が8.0m2/g以上の場合と
比べて高い温度で仮焼する必要が生じる。その結果、粉
体の粒成長が進んでしまい、仮焼後の粉体の比表面積が
6.0m2/g未満となってしまう。したがって、鉄化
合物の粉体の比表面積は、8.5m2/g以上が好まし
く、ニッケル化合物および亜鉛化合物それぞれの粉体の
比表面積は8.0m2/g以上が好ましい。
の組成に関して、Fe2O3量が48.0モル%未満で
は、フェライトの飽和磁化が小さくなるため、初透磁率
が1200を下回ってしまう。一方、Fe2O3量が4
9.8モル%を超えると極端に焼結性が低下し900℃
以下では焼結できなくなってしまう。また、CuO量が
6.0モル%未満では、900℃以下の焼成温度では焼
結密度が高くならない。一方、CuO量が20.0モル
%を超えると、キュリー温度が80℃以下となる。ま
た、ZnO量が20.0モル%未満では、フェリ磁性に
よる飽和磁化が不十分となり、初透磁率が1200を下
回ってしまう。逆に、ZnO量が34.0モル%を超え
るとキュリー温度が80℃以下となる。したがって、N
i―Cu―Znフェライト材料は、Fe2O3が48.0
〜49.8モル%、ZnOが20.0〜34.0モル
%、CuOが6.0〜20.0モル%、NiOが残部、
であることが好ましい。
フェライト材料の製造方法の実施の形態を、実施例に基
づいて説明する。
が12.0m2/gまたは6.2m2/gのα−Fe2O3
粉体、亜鉛化合物として比表面積が45.3m2/gま
たは4.1m2/gのZnO粉体、およびニッケル化合
物として比表面積が9.0m2/gまたは4.1m2/g
のNiO粉体を用意した。また、銅化合物としてCuO
粉体を用意した。その後、表1に示すように粉体の比表
面積を選択して、これら化合物をFe2O3が48.7モ
ル%、ZnOが26.9モル%、CuOが10.5モル
%、残りがNiOとなるように秤量し、ボールミルで湿
式混合し、乾燥させた。
で仮焼した。その後、仮焼後の粉体をボールミルで湿式
粉砕した。得られた粉砕後の粉体にバインダを加えて、
乾燥、造粒し、プレス成形で直径20mm、内径10m
m、高さ2mmのトロイダルリングに成形した。これを
870℃で2時間焼成して、フェライトセラミックを得
た。
体、粉砕後の粉体それぞれについて、BET法により比
表面積を測定した。また、仮焼後の粉体についてX線回
折分析を行ない、下式により、スピネル合成度を求め
た。なお、下式において、IFe104はFe2O3の(10
4)面のピーク強度であり、Isp311はスピネル結晶の
(311)面のピーク強度である。以上の結果を表1に
示す。 スピネル合成度=Isp311/(IFe104+Isp311)×100 (%)。
いて、アルキメデス法で密度を求め、理論密度に対する
相対密度(%表示)を算出した。また、インピーダンス
アナライザにより初透磁率を測定した。以上の結果を表
1に示す。なお、表1において、試料番号に*印を付し
たものは本発明の範囲外のものであり、その他は本発明
の範囲内のものである。
に、鉄化合物として比表面積が8.5m2/g以上のα
―Fe2O3粉体を用い、前記ニッケル化合物および亜鉛
化合物としてそれぞれ比表面積が8.0m2/g以上の
粉体を用い、混合後の粉体の比表面積を10.0m2/
g以上とし、仮焼後の粉体の比表面積を6.0m2/g
以上とし、粉砕後の粉体の比表面積を8.0m2/g以
上とするとともに、仮焼後のスピネル合成度を90〜9
5%とした、本発明の製造方法によるNi−Cu−Zn
フェライト材料は、870℃で焼成したときの相対焼結
密度は98%以上の高い値を示す。そして、フェライト
セラミックの初透磁率としては、チップインダクタのク
ロスポイント周波数を5MHz以下に抑えるために必要
な1200以上が得られる。
鉄化合物としてのα―Fe2O3粉体の比表面積が8.5
m2/g以上であって、亜鉛化合物としてのZnO粉体
およびニッケル化合物としてのNiO粉体の比表面積
が、ともに8.0m2/g未満の場合には、仮焼温度を
700℃以下と低くすることにより、仮焼後の粉体の比
表面積を6.0m2/g以上に、さらには粉砕後の粉体
の比表面積を8.0m2/g以上にすることができる
が、スピネル合成度が90%未満にとどまり、1200
以上の初透磁率が得られず好ましくない。
の比表面積が、ともに8.0m2/g未満の場合、試料
番号5〜7のように、仮焼温度を750℃以上に高くす
ると、スピネル合成度を高めることができるものの、1
200以上の初透磁率が得られず好ましくない。
e2O3粉体の比表面積が8.5m2/g未満であって、
ZnO粉体およびNiO粉体の比表面積がともに8.0
m2/g未満の場合には、仮焼温度を上下させても、
6.0m2/g以上の比表面積を有する仮焼後の粉体を
得ることができない。また、仮焼温度を上げることによ
り、スピネル合成度を高めることができるが、粉体の反
応性が低くなる。このため、相対焼結密度を高めること
ができず、1200以上の初透磁率を得ることができず
好ましくない。
粉体の比表面積が6.0m2/g以上、粉砕後の粉体の
比表面積が8.0m2/g以上と大きい場合でも、仮焼
後のスピネル合成度が90〜95%外であって低い場合
は、1200以上の初透磁率が得られず好ましくない。
また、試料番号14、15のように、仮焼後の粉体の比
表面積が6.0m2/g未満、粉砕後の粉体の比表面積
が8.0m2/g未満と小さく、仮焼後のスピネル合成
度が95%を超えて高すぎる場合は、相対焼結密度を高
めることができず、1200以上の初透磁率を得ること
ができず好ましくない。
−Fe2O3粉体を、亜鉛化合物としてZnO粉体を、ニ
ッケル化合物としてNiO粉体をそれぞれ用いたが、こ
れら粉体としては、細かい粉体が得られるため粉砕工程
を簡略化することが可能な湿式法で合成されたものが、
不純物の混入による特性劣化を防ぐために、より好まし
い。
に限定されるものでなく、Fe3O4、FeOOHなどの
鉄化合物を適宜用いることができる。ニッケル化合物
は、NiOに限定されるものでなく、Ni2O3などのニ
ッケル化合物を適宜用いることができる。
は、比表面積が4.0m2/g以上のものが、均一な反
応性を得るために、より好ましい。
よれば、900℃以下の低温で緻密に焼結でき、初透磁
率が1200以上の高透磁率のNi−Cu−Znフェラ
イト材料を得ることができる。
u−Znフェライト材料は、クロスポイント周波数を5
MHz以下に抑えたチップインダクタ用として最適であ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 少なくとも鉄化合物、ニッケル化合物、
銅化合物および亜鉛化合物を混合した後、仮焼し、その
後粉砕する工程を備えたNi−Cu−Znフェライト材
料の製造方法において、前記鉄化合物として比表面積が
8.5m2/g以上の粉体を用い、前記ニッケル化合物
および亜鉛化合物としてそれぞれ比表面積が8.0m2
/g以上の粉体を用い、混合後の粉体の比表面積を1
0.0m2/g以上とし、仮焼後の粉体の比表面積を
6.0m2/g以上とし、粉砕後の粉体の比表面積を
8.0m2/g以上とするとともに、仮焼後のスピネル
合成度を90〜95%とすることを特徴とする、Ni−
Cu−Znフェライト材料の製造方法。 - 【請求項2】 前記鉄化合物はα−Fe2O3であり、前
記ニッケル化合物はNiOであり、前記亜鉛化合物はZ
nOであることを特徴とする、請求項1に記載のNi−
Cu−Znフェライト材料の製造方法。 - 【請求項3】 前記α−Fe2O3、NiOおよびZnO
のうち少なくとも1種は、共に湿式法で合成されたもの
であることを特徴とする、請求項2に記載のNi−Cu
−Znフェライト材料の製造方法。 - 【請求項4】 前記Ni−Cu−Znフェライト材料
は、Fe2O3が48.0〜49.8モル%、ZnOが2
0.0〜34.0モル%、CuOが6.0〜20.0モ
ル%、NiOが残部、からなることを特徴とする、請求
項1から3のいずれかに記載のNi−Cu−Znフェラ
イト材料の製造方法。
Priority Applications (2)
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---|---|---|---|
JP28015598A JP3580145B2 (ja) | 1998-10-01 | 1998-10-01 | Ni−Cu−Znフェライト材料の製造方法 |
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Applications Claiming Priority (1)
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1998
- 1998-10-01 JP JP28015598A patent/JP3580145B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2013121972A1 (ja) * | 2012-02-13 | 2013-08-22 | 戸田工業株式会社 | Ni-Zn-Cu系フェライト粉末、該Ni-Zn-Cu系フェライト粉末を含有するグリーンシート及びNi-Zn-Cu系フェライト焼結体 |
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