JP2000108737A - リクライニング機構付き車両用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シートの利用時にはリクライニング機構の存
在による違和感がなく、かつ操作の容易化も図ることの
でき、また、シートバックの横幅を十分に確保すること
のできるリクライニング機構付き車両用シートを得るこ
と。 【解決手段】 シートバック１４のシートクッション１
２に対する傾斜角度を変更可能状態とし又は所定の傾斜
角状態を維持する固定状態とするための傾動・固定機構
３０及びその傾斜角度の変更時の切替操作部が、シート
バック側部１４ａに設けられ、且つそれらがシートバッ
ク側部１４ａの他の部分の外表面よりも外側に突出しな
いように設置されている。これにより、シートバック１
４の横幅を全体的に狭くすることなく十分に操作空間を
取ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はリクライニング機構
付き車両用シート、特にシート利用者がレバーなどの操
作により背もたれ部であるシートバックの傾斜角度を自
在に調整することのできるリクライニング機構付き車両
用シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】シートのリクライニング機構は、シート
バック側に設けられたシートアームとシートクッション
側に固定されたブラケットとの連結角度を調整する機構
を一般に有している。そして、このような連結部にリク
ライニング用のレバーを設け、利用者がそのレバーを操
作することによりシートバックの角度調整を行ってい
た。

【０００３】従来のこのようなリクライニング機構の場
合には、操作レバーがシートバックの側部から張り出し
た構成となっていたので、その操作レバーと車体内側面
との隙間が十分に取れずレバーの操作空間が不十分で操
作し難いという問題や操作レバーの部分で指などを挟み
やすいなどの問題があった。また、操作空間を十分に確
保せんとする場合、シートバックの幅を狭くせざるを得
なかった。

【０００４】上記のような構成の他にシートクッション
側に操作部を埋め込んだ構成も開示されている（実開昭
６３−８３０５４号公報）。図５は、シートクッション
側にリクライニング機構の操作部を設けた構成例が示さ
れており、図示のようにシートクッション１の側部に操
作レバー２が設けられている。このような構成によれば
回動動作を行うシートバック３の側部には操作レバーが
設けられないので車体内側面との空間が狭いことによる
操作性不良という問題は解消されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなシートバックのリクライニング機構の操作部をシ
ートクッション側に設置した形式のシートを車両用に用
いる場合、車両の後部座席に居る者が前方の座席のシー
トバックの調整をしようとする場合、又は後部座席後方
の荷室より後部座席のシートバックの調整を行おうとす
る場合に、その操作レバーが遠い位置にあり、また、シ
ートバックを乗り越えた操作を行う必要があることから
その操作は容易ではない場合があった。また、このよう
にシートクッションに材質の異なるリクライニング機構
の操作部を設置した場合には、座席を利用する者にとっ
て違和感があり、それは、特に乗降時においてその材質
の異なる部分を通過する際に感じられる。

【０００６】本発明は、上記種々の課題を解決するため
になされたものであり、その目的はシートの利用時には
リクライニング機構の操作部の存在による違和感はな
く、シートバックの横幅を十分に確保することができ、
かつ車体内側面との間隙の不十分さによる操作困難性の
生じることがなく、しかもシートバックの後方からも容
易に操作しうるリクライニング機構付き車両用シートを
提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１に係るリクライ
ニング機構付き車両用シートは、シートバックのシート
クッションに対する傾斜角度を変更可能状態及び固定状
態に切換えるための切替操作部は、シートバック側部に
設けられ、且つシートバック側部の他の部分の外表面よ
りも外側に突出しないように設置されている。

【０００８】このような構成とすることにより、切換操
作部の操作を行うための空間をこの切換操作部と車体内
側面との間に設けた場合にも、この切換操作部を取り付
けている部分以外のシートバックの部分についてはその
水平方向の幅を狭くする必要がないので、従来のように
シートバックの側部から切換操作部であるレバーなどが
突出しているものに比べ十分に操作空間を取った場合で
もシートバックの幅が狭くなり過ぎるという状況を回避
することができる。

【０００９】請求項２に係るリクライニング機構付き車
両用シートは、切換操作部のシートバックへの取付位置
は、シートバックの上下方向中間位置よりも下方位置に
設定されている。これにより、シートバックにおいて利
用者の体重がかけられるシートバック中間位置から上方
部分はこのような切換操作部のない通常の幅の広いシー
トバック構成とすることができるので、着席者にはこの
切換操作部の存在による違和感はない。すなわち、切換
操作部は着席者の腰の位置あたりに設置されるので、乗
降時などにおいてもそこに接触して材質の相違などによ
る違和感を感じる恐れも少ない。

【００１０】請求項３に係るリクライニング機構付き車
両用シートは、切換操作部の取り付けられるシートバッ
ク側部は、その部分を一部切り欠いて狭幅部分を設ける
ように形成し、その部分に切換操作部を設置するように
している。これにより、上記請求項１のようなシートバ
ック側部の切換操作部の取付部以外の外表面ラインより
も外側に突出しないように切換操作部を設けることを簡
単に行うことができる。そして、この狭幅部分以外の最
も重量のかかる部分は、切換操作部の存在を考慮するこ
となく十分な幅をもったシートバック構成を確保するこ
とができる。

【００１１】請求項４に係るリクライニング機構付き車
両用シートは、切換操作部の操作手段としての操作レバ
ーを露出させ且つその回動動作範囲を確保した状態で切
換操作部全体及び傾動・固定機構を覆うカバー部材を備
えている。また、カバー部材自体もシートバック側部の
他の部分の外表面よりも外方に突出しない構成とされて
いる。これにより、操作レバーに指を挟むなどの事態も
有効に回避され、レバー操作もより簡単なものとなる。

【００１２】請求項５にかかるリクライニング機構付車
両用シートは回転式の操作レバーを前部壁から上部で湾
曲し後部壁に連続する側面視逆Ｕ字状に形成して、この
後部壁を前記狭幅部分においてシートバックの後方より
押圧操作可能に構成している。これにより、シートバッ
クの後方より容易に操作することができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図１は、本発明の実施の形
態に係るリクライニング機構付き車両用シートの正面か
ら見た構成を示している。

【００１４】図示のように、シート１０は座部であるシ
ートクッション１２と背もたれ部であるシートバック１
４を有しており、シートバック１４をシートクッション
１２に対して所定角度に調整することのできるリクライ
ニング機構が内装されている。なお、シートクッション
１２は車体のドア側の脚部１６及び車体中央側の脚部１
８によって車体の床部に固定設置されるものである。

【００１５】図示のように、本実施の形態では、シート
バック１４のほぼ中央位置よりも上部側は、リクライニ
ング機構の設けられていない通常の構成を有し、その横
方向の幅もリクライニング機構の存在に影響されること
なく十分な幅が確保されている。

【００１６】リクライニング機構は、カバー部材２０の
内側に設置されている。このカバー部材２０を含むリク
ライニング機構は、シートバック１４の車体のドア側の
側部のほぼ中央部分から下方にかけて狭幅部分として形
成された部分の空間を用いて設置されている。図におい
てカバー部材２０内に装填されている符号２２で示した
部材が操作レバーである。

【００１７】カバー部材２０内には、後述のようにリク
ライニング機構、すなわちシートバック１４を傾斜角変
更可能な状態とし又は固定状態とするための傾動・固定
機構及びその変更可能状態と固定状態とを切り換えるた
めの操作を行う切換操作部の全てが納めされており、そ
れら全てはシートバック１４の側部１４ａの他の部分の
外表面を結ぶ直線ライン１５よりも外側に突出しない状
態で形成されていることが理解される。

【００１８】図２は、本発明の実施の形態に係るリクラ
イニング機構付き車両用シートの概略斜視図である。な
お、図において図１に示した構成要素と同様の要素には
同一の符号を付している。図示のように、シートバック
１４の側部１４ａの下部位置に切換操作部がその側部１
４ａの外表面から突出することのないように設置されて
いることが理解される。

【００１９】図３は、このシートバック１４へのリクラ
イニング機構の取付構成を示す分解斜視図であり、図１
の構成要素と同一の要素には同一の符号を付している。
図示のように、リクライニング機構は、シートバック１
４の中央より下部位置に形成された切欠部１４ｂの部
分、すなわち上部位置よりも狭幅に形成された部分に取
り付けられる。

【００２０】リクライニング機構のうち傾動・固定機構
３０は、シートバック側１４に固定されるアーム３２と
シートクッション１２側（図示せず）に取り付けられる
ブラケット３４を有しており、アーム部３２がシートバ
ック１４の切欠部１４ｂの側面部分にボルト３６にて固
定され、他方ブラケット３４がシートクッション１２を
載置固定した状態で車体に固定されるベース３８に対し
てボルト３９によって固定される。

【００２１】さらに、そのブラケット下部分を覆うため
の中間カバー部材４０がボルト４２によってベースに固
定される。そして、その上部側からそれら傾動・固定機
構３０を覆うようにカバー部材２０が切欠部１４ｂの部
分にボルト４４によって取り付けられる。カバー部材２
０には開口部２０ａが設けられ、この部分から操作レバ
ー取付け用の芯材３３が露出するようになっている。そ
して、このレバー芯材３３に操作レバー２２がボルト４
８によって取り付け固定される。この操作レバー２２は
カバー部材２０のシートバック１４の側部１４ａ側の外
表面を結ぶ直線ラインの範囲内で回動動作が可能であ
る。

【００２２】図４は、傾動・固定機構３０の概略構成を
示している。レバー芯材３３は、軸５０を中心として回
動動作する。そして、矢印１００方向に押されて回動す
ることにより、レバー連動部材５２が回動し、そのレバ
ー連動部材５２によってラチェット５４が押され、軸５
６を中心に矢印２００方向に回動動作する。このラチェ
ット５４の図上下部位置には、シートクッションに固定
されるブラケット３４の上部に形成された歯部３４ａと
噛合する歯部５４ａが形成されている。そして上記２０
０方向への回動動作によりこの噛合状態が解除される。

【００２３】すなわち、操作レバーの矢印１００方向の
操作によってシートバック１４はシートクッション１２
に対して傾動自在な状態となる。そして、所望の角度に
調整された後、再度操作レバーを矢印３００方向に戻す
ことによりラチェット５４の歯部５４ａとブラケット３
４の歯部３４ａとが噛合し固定状態が確保される。この
ように、カバー部材２０から突出していない、操作レバ
ー２２を押しあるいは引き戻す動作を行うことによって
簡単且つ小スペース内でリクライニング機構の動作を行
うことができる。なお、図示していないが、シートバッ
ク１４は、付勢手段により常に前方に傾斜方向に付勢さ
れている。

【００２４】上記実施の形態によれば、着席者の重量の
かかるシートバック１４の上部位置は、十分な水平方向
幅が確保され着席者にはリクライニング機構設置による
違和感は何ら感じられない。

【００２５】また、リクライニング機構は、シートバッ
ク１４の下部位置にその側部１４ａから突出することの
ないようにカバー部材２０にて覆われた状態で設置され
ている。そして、リクライニング機構を機能させるため
の操作レバー２２もそのカバー部材２０の内部における
動作で操作することが可能である。

【００２６】さらに、操作レバー２２の上部を側面視逆
Ｕ字形状に形成し、後部に押圧操作用の押し壁面２２ａ
を設けているので、後部座席又は荷室などシートバック
１４の後方からその側部に手を挿し入れ操作レバー２２
の押し壁面２２ａを押す動作をすることにより簡単にシ
ートバック１４の傾き調整を行うことができる。

【００２７】また、シートバック１４の側部１４ａから
リクライニング機構が突出していないので、シートバッ
ク１４の上部の側部１４ａを車体内部面に近接した状態
として設置することが可能となる。そして、そのような
設置状態であっても操作レバーはその側部外表面１４ａ
よりも内側にあるので、操作空間は確保され、簡単にリ
クライニング機構を操作することができる。

【００２８】なお、本発明は、上記実施の形態の構成に
限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の
変形が可能である。操作レバーをカバー部材２０で覆う
構成例を示したが、このようなカバー部材は本発明にお
ける必須の構成要素ではなく、傾動・固定機構のみをカ
バー部材２０で覆い、操作レバー２２は露出させた状
態、すなわちシートバック１４の狭幅部分にできた切欠
空間において操作レバーが露出した状態とすることも可
能である。また、傾動・固定機構についても上記図４に
示した構成例に限定されるものではなく、種々の機構を
応用することができることは勿論である。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るリク
ライニング機構付き車両用シートによれば、シートバッ
クの横幅を十分に確保しつつリクライニング機構の作動
動作をシートバックの後方からであっても容易に行うこ
とが可能となっている。また、シートバックの側部外表
面からリクライニング機構の切換操作部が突出していな
いので、その切換操作部と車体内部との間で指を挟んだ
りその部分の空間の狭さによる操作の困難性も解消され
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の概略正面図である。

【図２】本発明の実施の形態に係る車両用シートの概略
斜視図である。

【図３】本発明の実施の形態に係る車両用シートの主要
部分の分解斜視図である。

【図４】本発明の実施の形態に用いた傾動・固定機構の
構成説明図である。

【図５】シートクッション側に切換操作部を設けた従来
の構成例を示す斜視図である。

【符号の説明】

１０ リクライニング機構付き車両用シート １２ シートクッション １４ シートバック １４ａ シートバックの側部 １４ｂ 切欠部 ２０ カバー部材 ２２ 操作レバー ２２ａ 押し壁面 ３０ 傾動・固定機構

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体床側に固定されるシートクッション
   と、これに背もたれ部として連結されるシートバック
   と、 前記シートバックのシートクッションに対する傾斜角度
   を変更可能状態とし又は所定の傾斜角状態を維持する固
   定状態とするための傾動・固定機構と、 該傾動・固定機構による前記変更可能状態と固定状態と
   を切り換える操作を行うための切換操作部と、 を有するリクライニング機構付きシートにおいて、前記
   傾動・固定機構及び切換操作部は、前記シートバックの
   側部に設けられ、かつ当該シートバックの側部の他の部
   分の外表面よりも外側に突出しないように設置されたこ
   とを特徴とするリクライニング機構付き車両用シート。
2. 【請求項２】 前記傾動・固定機構及び切換操作部は、 前記シートバックの上下方向中間位置よりも下方位置に
   設けられたことを特徴とする請求項１に記載のリクライ
   ニング機構付き車両用シート。
3. 【請求項３】 前記傾動・固定機構及び切換操作部は、 前記シートバックにその側部を一部切り欠いた狭幅部分
   を設け、その部分に設置されたことを特徴とする請求項
   １又は２の何れかに記載のリクライニング機構付き車両
   用シート。
4. 【請求項４】 前記切換操作部は回動式の操作レバーを
   有し、 前記操作レバー及びその回動動作範囲を外方からレバー
   操作可能な状態で囲み且つ前記傾動・固定機構を覆うカ
   バー部材であって前記シートバック側部外表面よりも外
   方へ突出しないカバー部材を備えたことを特徴とする請
   求項１から３の何れかに記載のリクライニング機構付き
   車両用シート。
5. 【請求項５】 前記回転式の操作レバーを前部壁から上
   部で湾曲し後部壁に連続する側面視略逆Ｕ字状に形成す
   ると共に、前記後部壁を前記狭幅部分において前記シー
   トバック後方より押圧操作可能に構成したことを特徴と
   する請求項３に記載のリクライニング機構付車両用シー
   ト。