JP2000104657A - 斜板式油圧ポンプ - Google Patents

斜板式油圧ポンプ

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JP2000104657A
JP2000104657A JP10270249A JP27024998A JP2000104657A JP 2000104657 A JP2000104657 A JP 2000104657A JP 10270249 A JP10270249 A JP 10270249A JP 27024998 A JP27024998 A JP 27024998A JP 2000104657 A JP2000104657 A JP 2000104657A
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康生 大見
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裕史 嶋崎
Tetsuhiro Kondo
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成を小さくし重量を軽減するとともに振動
および騒音の発生を抑制した斜板式油圧ポンプを提供す
る。 【解決手段】 ハウジング31のポンプケーシング32
およびバルブカバー33に回転軸34が回転自在に軸支
され、回転軸34にはシリンダブロック35が連結され
る。シリンダブロック35と一側壁36との間には傾動
軸線L2まわりに傾動可能に斜板37が設けられる。一
側壁36には傾動軸線L2方向に間隔をあけ、回転軸3
4を挟む両側にそれぞれ支持部材52a,52bが設け
られる。各支持部材52a,52bは半球状の摺動支持
部53を有し、斜板37には前記摺動支持部53が嵌ま
り込んで摺動する嵌合凹所50が形成される。前記支持
部材52a,52bのうち、少なくとも一方には高負荷
用支持部材52aから吐出ポートにわたって連通路70
が形成されて摺動部に作動油が供給される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建設機械および一
般産業機械などに用いられる斜板式油圧ポンプに関す
る。
【0002】
【従来の技術】図11は、典型的な従来の斜板式油圧ポ
ンプ1を示す断面図である。斜板式油圧ポンプ1は中空
のハウジング2内に回転軸3が回転自在に軸支され、こ
の回転軸3にはシリンダブロック4が連結され、回転軸
3とともに一体に回転駆動する。シリンダブロック4に
は周方向に間隔をあけて複数のピストン5が収納され
る。ピストン5とハウジング2の一側壁8との間には斜
板6が配置される。斜板6の一側壁8側には円弧面形支
持部9が設けられる。円弧面形支持部9は、回転軸3の
回転軸線L1に垂直な予め定める傾動軸線L2を中心と
する円弧状の摺動面を有し、ハウジング2の一側壁8に
取付けられる斜板支持台10に支持される。斜板支持台
10は、円弧状の支持面を有し、前記円弧面形支持部9
に摺接して斜板6を傾動軸線L2まわりに傾動自在に支
持する。
【0003】シリンダブロック4に収納される各ピスト
ン5の先端部には回動自在にシュー11が装着され、各
シュー11は押え板12によって斜板6の滑り面7に押
し付けられる。またハウジング2の他側壁15にはシリ
ンダブロック4に摺接する弁板13が取付けられる。弁
板13には回転軸3を中心として一方側に半円弧状に延
びる吐出ポート14が形成され、他方側に吸入ポート1
8が形成される。吐出ポート14はハウジング2の他側
壁15に形成される吐出口16に連通し、吸入ポート1
8はハウジング2の他側壁15に形成される吸入口17
に連通する。
【0004】したがって、回転軸3を回転駆動すると、
シリンダブロック4に収納される各ピストン5が斜板6
の滑り面7に沿って案内されて往復動し、これによって
吸入口17から吸入した作動油が吐出口16から吐出さ
れる。またハウジング2の上部には傾動角度調整手段1
9が設けられ、これによって斜板6の傾動角度を調整す
ることによってピストン5の往復移動量を変化させて吐
出量を調整することができる。
【0005】このような斜板式油圧ポンプ1では、斜板
6のほぼ全面にわたって形成される円弧面形支持部9
と、この円弧面形支持部9を傾動可能に支持する斜板支
持台10とを含んで構成されるので、構成が大きくなっ
てしまい斜板式油圧ポンプ1の重量が増大してしまうと
いった問題を有する。また円弧面支持部9を支持する斜
板支持部10の構成が大きいため、ハウジング2と一側
壁8とを一体に形成することが困難であり、斜板支持体
10を別体にする必要があり、またこれらを結合するた
めの締結材も必要となる。また、円弧面によって支持す
るため、円弧面の半径、すなわち傾動軸線L2とから円
弧面にわたる半径R1が大きくなる。斜板6を傾動させ
るのに必要な力は、斜板6のモーメント、すなわち円弧
面形支持部9の円弧面に生じる摩擦力に前記半径R1を
掛けた値に依存する。円弧面支持部9では半径R1が大
きくなるため斜板6を傾動させるために大きな力を必要
とし、これによって斜板6の傾動応答性が悪くなるとい
った問題を有する。なお円弧面に生じる摩擦力はピスト
ン5から斜板6への押し付力に比例する。
【0006】このような問題を解決するために、円弧面
形支持部9に代えてピボットボールと呼ばれる支持部材
21によって斜板6を支持する構造の斜板式油圧ポンプ
20がある。図12は、このような斜板式油圧ポンプ2
0を示す断面図であり、特開平1−200068号公報
に開示されている。なお、図11に示される斜板式油圧
ポンプ1に対応する構成には同一の参照符符号を付し説
明を省略する。
【0007】ピボットボールとは、半球状の摺動支持部
23を有する支持部材21であり、この支持部材21が
ハウジング2の一側壁8に傾動軸線L2に沿って回転軸
3を挟んだ両側に配置される。斜板6には、前記支持部
材21の摺動支持部23が嵌まり込む半球状の凹所22
が形成される。したがって、斜板6を一対の支持部材2
1によって傾動軸線L2まわりに傾動自在に支持される
ことになる。
【0008】斜板6を支持する支持部材21は前述の第
1の従来技術の斜板式油圧ポンプ1の斜板支持台10と
異なり、コンパクトに構成されるので重量を軽減するこ
とができるとともに、支持部材21をハウジング2の一
側壁8に嵌め込むだけで装着することができ、締結部材
などを用いることなく簡単に取付けることが可能であ
る。
【0009】このような支持部材21の摺動支持部23
と斜板6の凹所22とは相互に摺動するので、摺動支持
部23と凹所22との間の隙間に潤滑油を供給する必要
がある。したがって、ピストン5に軸線方向に貫通する
第1連通路25を形成し、ピストン5が装着されるシュ
ー11にピストン5と斜板6とを連通する第2連通路2
6を形成し、さらに斜板6にシュー11が滑る滑り面7
から凹所22にわたって連通する第3連通路24を形成
する。これによって、シリンダブロック4が回転し、斜
板6の滑り面7上に開口する第3連通路24上をシュー
11が通過するときに高圧である吐出ポート14と斜板
6の凹所22とが第1〜第3連通路24〜26を介して
連通し、これによって凹所22に作動油が供給され、支
持部材21のかじりまたは焼き付などが防がれる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述した斜板式油圧ポ
ンプ20では、斜板6の滑り面7上を滑るシュー11が
第3連通路24上を通過するときのみ凹所22に作動油
が供給されるので、間欠的に供給されることになる。こ
のように間欠的に作動油が供給されることによって振動
が発生し、騒音の原因となってしまう。
【0011】本発明の目的は、斜板を傾動自在に支持す
る支持部に円弧面形支持部を用いず、かつ振動および騒
音を生じることなく支持部に潤滑するための油を供給す
ることができる斜板式油圧ポンプを提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、ハウジングと、ハウジングに回転自在に軸支される
回転軸と、回転軸に連結されるシリンダブロックと、シ
リンダブロックに周方向に間隔をあけて収納される複数
のピストンと、ハウジングの一側壁とピストンとの間に
配置され、予め定める傾動軸線まわりに傾動可能に設け
られ、シリンダブロックとともに回転するピストンの先
端部を滑らかに案内して往復動させる滑り面を有する斜
板とを備え、ハウジングの他側壁側に高圧ポートおよび
低圧ポートが設けられる斜板式油圧ポンプにおいて、斜
板には、回転軸を挟んで傾動軸線方向に沿う両側に、ハ
ウジングの一側壁に臨んで開口する嵌合凹所が形成さ
れ、ハウジングの一側壁には、前記嵌合凹所に摺動可能
に嵌合して斜板を傾動自在に支持する摺動支持部を有す
る支持部材が設けられ、各支持部材のうち、少なくとも
高負荷側に配置される高負荷用支持部材の摺動支持部と
嵌合凹所との隙間から高圧ポートにわたって連通し、前
記隙間に作動油を供給する連通路がハウジングに形成さ
れることを特徴とする斜板式油圧ポンプである。
【0013】本発明に従えば、回転軸を駆動することに
よってシリンダブロックが回転し、これによってシリン
ダブロックに収納される各ピストンが斜板に案内されて
往復動し、低圧ポートから作動油を吸引するとともに、
高圧ポートから作動油を吐出する。斜板はハウジングの
一側壁で回転軸の両側に設けられる支持部材によって傾
動自在に支持される。前述の第1の従来技術のように円
弧面形支持部によって斜板が支持されるのでなく、一対
の支持部材によって支持されるので、構成が小さくな
り、重量を軽減することができる。支持部材の摺動支持
部と、この摺動支持部が嵌合する斜板の嵌合凹所との間
の隙間にはハウジングに形成される連通路を介して高圧
ポンプから作動油が供給され、これによって摺動部にか
じりや焼き付が生じることが防がれる。このように支持
部材と斜板との間の摺動部の潤滑を行うために供給され
る作動油は、ハウジングに形成される連通路を介して高
圧ポートから直接供給されるので、前述の第2の従来技
術のように間欠的に供給されるのでなく、定常的に潤滑
油が供給され、これによって振動や騒音の発生が防がれ
る。
【0014】請求項2記載の本発明は、支持部材の摺動
支持部の外表面および斜板の嵌合凹所の内表面のうち少
なくともいずれか一方の表面に、表面硬化層を形成する
ことを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、摺動支持部の外表面およ
び嵌合凹所の内表面のうち少なくともいずれか一方の表
面にたとえば硫化鉄の拡散層から成る表面硬化層が形成
される。硫化鉄は、六方晶系の結晶構造であるために非
常に塑性流動しやすい。特にこの性質は摩擦面の金属間
結合を抑制し、真実接触面積を増加させて接触面圧の低
下をもたらすので、初期なじみを改善することができ、
これによって摺動面の摩擦抵抗を低減でき、かじりおよ
び焼き付を抑制することができる。また、浸硫層は、多
孔質なので潤滑油の保持性が大きい。このような表面硬
化層が形成されるので、何らかの理由で油膜が破壊され
ても摺動支持部および嵌合凹所のかじりまたは焼き付の
発生を抑制することができる。
【0016】請求項3記載の本発明は、ハウジングの一
側壁には、各支持部材を装着するための装着用嵌合凹所
がそれぞれ形成され、各支持部材は摺動支持部から突出
し、前記装着用嵌合凹所に嵌まり込む装着用嵌合凸部を
有し、各支持部材のうち、前記高負荷用支持部材のみ
に、高圧ポートからの作動油を前記隙間に導くための油
孔が形成され、低負荷側に配置される低負荷用支持部材
の装着用嵌合凸部の外径は、高負荷用支持部材の装着用
嵌合凹所の内径よりも大きく形成されることを特徴とす
る。
【0017】本発明に従えば、支持部材は回転軸を中心
として両側に配置され、吐出ポートとなる高圧ポート側
に配置される支持部材には高負荷が作用し、吸入ポート
となる低圧ポート側に配置される支持部材には低負荷が
作用する。したがって、高負荷用支持部材には潤滑のた
めに作動油を供給する必要があり、そのために油孔が形
成されるが、低負荷用支持部材には必ずしも作動油を供
給する必要がなく、油孔が形成されてもされなくてもよ
い。油圧ポンプを組立てる際、一側壁に形成される装着
用嵌合凹所に支持部材の装着用嵌合凸部を嵌合させて装
着するが、この際間違って高負荷用支持部材の装着用嵌
合凹所に低負荷用支持部材を装着した場合には、前述し
たように低負荷用支持部材には油孔が形成されていない
ので潤滑するための作動油を供給することができず、か
じりおよび焼き付が生じるおそれがある。これに対して
本発明では低負荷用支持部材の装着用嵌合凸部の外径を
高負荷用支持部材の装着用嵌合凹所の内径よりも大きく
形成しているので、組立時に低負荷用支持部材を高負荷
用支持部材の嵌合凹所に間違って装着するといったこと
が確実に防がれる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある斜板式油圧ポンプ30を示す断面図である。斜板式
油圧ポンプ30は、ハウジング31と、このハウジング
31に回転自在に軸支される回転軸34と、回転軸34
に連結され、ハウジング31内で回転軸34と一体に回
転駆動するシリンダブロック35と、斜板37とを含ん
で構成される。ハウジング31は、ポンプケーシング3
2と、このポンプケーシング32の開口端側を塞ぐバル
ブカバー33とを含んで構成され、ハウジング31の一
側壁であるポンプケーシング32の一側壁36およびハ
ウジング31の他側壁であるバルブカバー33にはそれ
ぞれ軸受38a,38bが設けられ、これらの軸受38
a,38bに回転軸34が回転軸線L1まわりに回転自
在に軸支される。シリンダブロック35は回転軸34に
スプライン結合され、回転軸34とともに一体に回転駆
動する。このシリンダブロック35には回転軸34の軸
線L1を中心として周方向に等間隔に複数のピストン室
40が形成される。各ピストン室40はそれぞれ軸線L
1に平行であり、往復動可能にピストン41がそれぞれ
収納される。
【0019】ピストン室40から突出する各ピストン4
1の先端部42は球状に形成され、それぞれシュー43
に回動自在に装着される。斜板37は、シリンダブロッ
ク35とポンプケーシング32の一側壁36との間に配
置され、シリンダブロック35に臨む平坦な滑り面44
を有する。各シュー43にはシリンダブロック35側か
ら円板状の押え板47が嵌まり込み、この押え板47は
リテーナ45およびシリンダブロック35に収納される
コイルばね46を介して斜板37側に押付けられる。こ
れによってシリンダブロック35が回転すると各シュー
43は滑り面44に沿って滑りながら案内され、ピスト
ン41が軸線L1方向に往復動することになる。
【0020】図2は図1の左側から見た斜板37を示す
正面図であり、図3は図2の切断面線III−IIIか
ら見た断面図である。斜板37には中央に回転軸34が
挿通する回転軸挿通孔51が形成され、この回転軸挿通
孔51を挟んで両側にポンプケーシング32の一側壁3
6に臨んで半球状に開口する一対の嵌合凹所50a,5
0bが形成される。
【0021】図1に示されるように、ポンプケーシング
32の一側壁36には支持部材52a,52bが装着さ
れる。支持部材52a,52bは、回転軸34を挟んで
両側にそれぞれ設けられ、斜板37の前記嵌合凹所50
a,50bに摺動可能に嵌合して斜板37を傾動自在に
支持する半球状の摺動支持部53a,53bをそえぞれ
有する。斜板37の傾動軸線L2は回転軸34の回転軸
線L1に垂直な平面内に含まれ、かつ上下死点を結ぶ直
線に垂直な線であり、支持部材52a,52bは回転軸
34を挟んで傾動軸線L2方向に間隔をあけて配置され
る。すなわち、支持部材52a,52bの各半球状の摺
動支持部の中心は傾動軸線L2上に存在する。このよう
な一対の支持部材52a,52bの摺動支持部53に斜
板37の一対の嵌合凹所50が嵌まり込むことによって
斜板37は傾動軸線L2まわりに傾動自在に支持される
ことになる。
【0022】ハウジング31の上部には斜板37の傾動
を調整する傾動調整手段55が設けられる。傾動調整手
段55は回転軸34の軸線L1方向に変位するピストン
部材56を有し、このピストン部材56の中央部には連
結部材59が固定され、この連結部材59は斜板37の
上端部に形成される連結凹所58に回動自在に嵌まり込
む連結凸部57を有する。したがって、傾動調整手段5
5のピストン部材56を軸線L1方向に往復変位するこ
とによって連結部材59を介して斜板37が傾動軸線L
2まわりに傾動することになる。
【0023】シリンダブロック35のバルブカバー33
側の一側部には各ピストン室40に連通する連通孔59
がそれぞれ形成される。バルブカバー33にはシリンダ
ブロック35の一側部に摺動する弁板60が取付けられ
る。
【0024】図4は図1の左側から見たバルブカバー3
3の正面図であり、図5は図4の切断面線V−Vから見
た断面図である。弁板60はバルブカバー33に対して
回転軸L1まわりの回転が阻止された状態で取付けら
れ、中央に回転軸34が挿通する挿通孔67が形成され
る。またバルブカバー33は4本のボルト68によって
ポンプケーシング32に固定される。
【0025】弁板60には、回転軸線L1を含み、上下
死点を結ぶ直線を含む面L3に関して一方側(図4にお
ける右方)に低圧ポートとして機能する吸入ポート61
が形成され、他方側に高圧ポートとして機能する第1吐
出ポート62および第2吐出ポート63が形成される。
各ポート61〜63はそれぞれ軸線L1を中心に半円弧
状に形成され、軸線L1に関して一方側に配置される第
1および第2吐出ポートは、半径方向内方に第1吐出ポ
ート62が設けられ、外方に第2吐出ポート63が設け
られる。バルブカバー33には、前記弁板60の吸入ポ
ート61に連通し、一側面(図4の右方)に開口する吸
入口64が形成され、また弁板60の前記第1吐出ポー
ト62に連通し、バルブカバー33の他側面(図4の左
方)に開口する第1吐出口65、および弁板60の第2
吐出ポート63に連通し、バルブカバー33の他側面に
開口する第2吐出口66が形成される。
【0026】シリンダブロック35の各ピストン室40
に連通する各連通孔59は第1吐出ポート62に臨んで
開口するように半径方向内方に開口するものと、第2吐
出ポート63に臨んで開口するように半径方向外方に開
口するものとが交互に存在する。したがって、回転軸3
4を図示しない原動機などによって図1の右側から見て
反時計まわりに回転駆動させると、回転軸34とともに
シリンダブロック35が回転駆動し、図1において手前
側に配置される各ピストン41が下方に移行するにつれ
て斜板37によって左方に移動してピストン室40から
引出され、吸入口64からピストン室40内に作動油を
吸入する。これとともに図1の紙面に対して奥側に配置
されるピストン41は上方に移行するにつれて斜板37
によって右方に案内されてピストン室40に押込まれ、
ピストン室40内の作動油は押し出されて一部は第1吐
出ポート62を介して第1吐出口65から排出され、残
部は第2吐出ポート63を介して第2吐出口66から排
出される。このようにして回転軸39を回転駆動するこ
とによって吸入口64から作動油を吸い込み、第1およ
び第2吐出口65,66から吐出する。また、傾動調整
手段55によって斜板37の傾動角を調整することによ
って各ピストン41の往復移動量を変化させ、吐出量を
調整することができる。
【0027】斜板37を支持する支持部材52a,52
bは回転軸34に関して傾動軸線L2方向両側に配置さ
れ、図1において奥側に配置される一方の支持部材52
aには、高圧ポートである第1および第2吐出ポート6
2,63側に配置されるので、吐出圧がピストン41を
介して反力として作用し、高負荷が作用する。それに対
して図1において手前側に配置される支持部材52bは
低圧ポートである吸入ポート61側に配置されるので、
低負荷が作用する。したがって高負荷用支持部材52a
では摺動部においてかじりおよび焼き付が生じるおそれ
があるので、潤滑のために作動油が供給される。このた
めにハウジングには第1および第2吐出ポート62,6
3からポンプケーシング32の一側壁36に形成される
高負荷用支持部材52aを装着するための装着用嵌合凹
所81aにわたって連通路70が形成され、高負荷用支
持部材52aには、導かれた作動油を摺動支持部53と
斜板37の嵌合凹所50との隙間に導くための油孔71
が形成される。ハウジング31に形成される連通路70
はバルブカバー33に形成される一対の第1連通路7
2,73と、ポンプケーシング32に形成される第2〜
第7連通路とから構成される。図4に示されるように一
方の第1連通路72は第1吐出ポート62に連通し、ポ
ンプケーシング32に臨んで開口する開口72aを有す
る。他方の第1連通路73は第2吐出ポート63に連通
し、ポンプケーシング32に臨んで開口する開口73a
を有する。
【0028】図6は、図1の右側から見たポンプケーシ
ング32を示す正面図であり、図7はその平面図であ
り、図8はその右側面図である。ポンプケーシング32
の正面には第2連通路74,75の各開口74a,75
aが形成され、この開口74a,75aはバルブカバー
33に形成される第1連通路72,73の各開口72
a,73aに接続される。各第2連通路74,75は軸
線L1方向に平行に延び、上下方向に延びる1本の第3
連通路76にそれぞれ連なり、第3連通路76は横方向
に延びる第4連通路77を介してポンプケーシング39
の一側壁36側端部に上下方向に延び、高負荷用支持部
材52の装着用嵌合凹所81aに連なる第5連通路80
に連なる。このような第1〜第5連通路72〜80を介
して作動油は高負荷用支持部材52aの装着用嵌合凹所
81aに導かれる。また、ポンプケーシング32に形成
される第2連通路74,75の各開口74a,75aに
はそれぞれチェックバルブ85,86が設けられる。チ
ェックバルブ85,86は吐出ポート62,63側の作
動油を装着用嵌合凹所81aに導くとともに第1吐出ポ
ート62と第2吐出ポート63に圧力差が生じた場合、
高圧側の吐出ポートから低圧側の吐出ポートへ作動油が
流出するのを防止する。
【0029】図9は、高負荷用支持部材52a近傍を示
す断面図である。支持部材52aは略半球状の摺動支持
部53と、この摺動支持部53の平坦面93から突出す
る短円柱状の装着用嵌合凸部94とを含んで構成され、
支持部材52aの軸線L3に沿って油孔71が形成され
る。装着用嵌合凹所81aはポンプケーシング32の一
側壁36から突出する支持凸部100に形成され、この
支持凸部100上に支持部材52aの摺動支持部53が
設けられる。これによって斜板37の大きな傾動を許容
できる。装着用嵌合凸部94と装着用嵌合凹所81aと
の間にはOリング95が介在され、これによって供給さ
れる作動油の油漏れが防がれる。
【0030】支持部材52aの軸線L3に沿って形成さ
れる油孔71は、装着用嵌合凹所81に臨んで開口する
大径の第1油孔90と、斜板37の嵌合凹所50aに臨
んで開口し、第1油孔90に連なる小径の第2油孔91
とを含んで構成される。第7連通路80から供給された
高圧の作動油は支持部材52aの第1油孔90に導か
れ、小径となり絞りとして機能する第2油孔91を介し
て圧力P1で嵌合凹所50aに供給される。嵌合凹所5
0aには第2油孔91の開口に臨む部分が凹状に切欠か
れて凹所92が形成される。
【0031】装着用嵌合凹所81に供給される圧力Pd
はポンプ吐出圧を供給源とするため高圧であるが、前述
したように第2油孔91が絞りとして機能し、これによ
って減圧されて斜板37からの反力と釣り合う圧力P1
として嵌合凹所50aに供給される。またさらに嵌合凹
所52は底部に凹所92が形成されるので、この凹所9
2に充満する作動油によって摺動支持部53は先端部に
均一に反力を作用させることができる。この凹所92の
外径はたとえば斜板37が最大限に傾動したときに第2
油孔91が凹所92に臨む範囲に形成される。
【0032】図10は高負荷用支持部材52aと低負荷
用支持部材52bを示す断面図である。なお、各支持部
材52に関して高負荷用支持部材52aに関する構成に
は参照符号に添字aを付し、低負荷用支持部材52bに
関する構成には参照符号に添字bを付す。高負荷用支持
部材52aの装着用嵌合凸部94の外径をd1とし、こ
の装着用嵌合凹部94aが嵌合する装着用嵌合凹所81
aの内径をD1とし、低負荷用支持部材52bの装着用
嵌合凸部94bの外径をd2とし、この装着用嵌合凸部
94bが嵌合する装着用嵌合凹所81bの内径をD2と
したとき低負荷用支持部材52bの装着用嵌合凸部94
bの外径d2は、高負荷用支持部材52aの嵌合凹所8
1aの内径D1よりも大きく形成される。すなわち高負
荷用支持部材52aの装着用嵌合凹所81aに低負荷用
支持部材52bを装着できない構成となっている。
【0033】高負荷用支持部材52aには潤滑のために
作動油を供給するための油孔71が形成されるが、低負
荷用支持部材52bには高負荷が作用しないため前記油
孔71が形成されていない。斜板式油圧ポンプ30を組
立てる際、高負荷用支持部材52aと低負荷用支持部材
52bが類似しているため、誤って低負荷用支持部材5
2bを高負荷用支持部材52aの装着用嵌合凹所81a
に装着してしまった場合には、低負荷用支持部材52b
には油孔が形成されていないため摺動部に作動油を供給
することができず、かじりおよび焼き付が生じるおそれ
があるが、上述したように高負荷用支持部材52aの装
着用嵌合凹所81aに低負荷用支持部材52bを装着で
きない構成となっているのでこのような問題が防がれ
る。また低負荷用支持部材52bの装着用嵌合凹所81
bに間違って高負荷用支持部材52aを装着したとして
も特に問題は生じない。なお、高負荷用支持部材52a
の装着用嵌合凸部94aの外径d1と低負荷用支持部材
52bの装着用嵌合凸部94bの外径d2との差は1m
m程度である。
【0034】斜板37の嵌合凹所50a,50bに摺接
する各支持部材52a,52bの摺動支持部53a,5
3bの外表面および各摺動支持部53a,53bが摺接
する斜板33の嵌合凹所50a,50bの内表面のうち
少なくともいずれか一方、本実施形態では摺動支持部5
3a,53bの外表面にコーベット法と呼ばれる低温浸
硫処理によって硫酸鉄の拡散層からなる表面硬化層が形
成される。
【0035】コーベット法は180℃〜195℃の温度
に保持されたイオウを含むアルカリ金属塩の溶解塩浴中
に被処理品を浸漬し、被処理品に+電極、槽に−電極を
接続し、10〜20分程度の所定時間陽極電解すること
によって表面に硫化鉄の拡散層を形成するプロセスであ
る。コーベット法は、各種炭素鋼、合金鋼、工具鋼、高
速度鋼、鋳鉄などの鉄系合金に焼入焼きもどし、浸炭焼
入焼もどし、浸炭窒化焼入焼もどし、窒化、軟窒化など
の熱処理を施した材料に適用することができ、処理温度
が190℃程度の低温であるので、歪みの発生および熱
処理された部品の機械的強度の低下を防ぐことができ
る。
【0036】本実施形態では、まず、上述した熱硬化処
理を行い、表面硬度をHV860以上、有効硬化層硬度
HV500以上、有効硬化層深さ0.2〜0.5mmと
した状態で、低温浸硫処理を行う。このように熱処理に
よって表面硬度を上げることによって高面圧に対応で
き、さらに摺動面の摩擦係数を低減することができる。
本実施形態で、浸硫層厚さは約5μmとする。
【0037】また硫化鉄は、六方晶形の結晶構造である
ために非常に塑性流動しやすい。特にこの性質は摩擦面
の金属間結合を抑制し、真実接触面積を増加させ接触面
圧の低下をもたらすので初期なじみの改善およびかじ
り、焼き付などの対策に効果がある。また、硫化鉄は固
体潤滑である二硫化モルブデン(MoS2)と同様に無
潤滑で使用可能であり、母材に拡散しているので耐久性
に優れている。
【0038】さらに浸硫層は、多孔質なので潤滑油の保
持性が大きい。したがってなんらかの理由で油膜が破壊
されても、未処理品とは異なり、焼き付の発生が抑制さ
れるため、高速および高負荷で作動する機械部品に効果
がある。
【0039】各支持部材52a,52bにコーベット法
によって浸硫処理を施した場合と施さない場合の比較を
行うために斜板37を最小の傾動角から最大の傾動角に
約30Hzの高速で振幅させる試験を行ったところ、浸
硫処理を行わない場合には10時間で摺動面にかじりが
発生したが、浸硫処理を行った場合には500時間経過
後でも摺動面にかじりおよび焼き付の発生が見られなか
った。このような実験からコーベット法による低温浸硫
処理を各支持部材52a,52bの摺動支持部53a,
53bに施すことによってかじりおよび焼き付の発生を
極めて低減させることができると言える。
【0040】斜板37の傾動軸線L2まわりのモーメン
トは摺動面で生じる摩擦力に傾動軸線L2と摺動面との
距離を掛けた値に依存する。図11に関して説明した従
来の斜板式油圧ポンプでは円弧面形支持部9を備える斜
板の場合には傾動軸L2から円弧面までの半径が非常に
大きくなり、これによって傾動軸線L2まわりのモーメ
ントが大きくなってしまう。これに対して本発明では斜
板に対して1/5程度の直径を有する一対の半球状の摺
動支持部53a,53bによって斜板を支持するので、
傾動軸線L2まわりのモーメントを極めて小さくでき、
これによって斜板37の傾動応答性を向上できる。
【0041】本発明では前述したように吐出ポート6
2,63から支持部材52aの摺動部に作動油を導くよ
うに連通路70および油孔71が形成されるので、定常
的に油が供給され、図12に関して示した従来の斜板式
油圧ポンプ20のように間欠的に油が供給され振動や騒
音が発生するといったことが防がれる。また、図11に
関する斜板式油圧ポンプ1のように円弧面形支持部によ
って斜板が支持される構成でなく、回転軸の両側に設け
られる一対の半球状の支持部材52a,52bによって
斜板37は傾動可能に支持されるので、構成が大きくな
らず重量を軽減することができる。また、支持部材52
a,52bはポンプケーシング32の一側壁36に形成
される装着用嵌合凹所81a,81bに嵌め込んで装着
するだけであるので、一側壁36を別体とするのでな
く、一側壁36をポンプケーシング32に一体に形成す
ることができ、これによって組立工程の簡略化が図られ
る。
【0042】本実施形態では回転軸を回転駆動させて低
圧ポートから油を吸引し、高圧ポートから排出する油圧
ポンプとして説明したが、本発明の実施の他の形態とし
て、高圧ポートから油を供給し、低圧ポートから排出し
て回転軸を回転駆動する斜板式油圧モータに適用しても
よい。
【0043】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、一対の
支持部材によって斜板を支持することによって重量を軽
減でき、さらに高圧ポートから支持部材の摺動部に作動
油を導く連通路をハウジングに形成することによって定
常的に油を供給でき、振動や騒音の発生を防ぐことがで
きる。
【0044】請求項2記載の本発明によれば、摺動支持
部の外表面および斜板の嵌合凹所の内表面のうち少なく
ともいずれか一方の表面に硫化鉄の拡散層が形成される
ので摺動面の摩擦係数を低減でき、摺動部においてかじ
りおよび焼き付の発生を低減することができる。
【0045】請求項3記載の本発明によれば、低負荷用
支持部材の装着用嵌合凸部の外径を高負荷用支持部材の
嵌合凹所の内径よりも大きく形成することによって、組
立時に誤って油孔が形成されない低負荷用支持部材を高
負荷用支持部材の嵌合凹所に装着してしまうといったこ
とが確実に防がれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である斜板式油圧ポンプ
30を示す断面図である。
【図2】斜板37を示す正面図である。
【図3】図2の切断面線III−IIIから見た断面図
である。
【図4】バルブカバー33の正面図である。
【図5】図4の切断面線V−Vから見た断面図である。
【図6】ポンプケーシング32の正面図である。
【図7】ポンプケーシング32の平面図である。
【図8】ポンプケーシング32の右側面図である。
【図9】高負荷用支持部材52a近傍を示す断面図であ
る。
【図10】高負荷用支持部材52aおよび低負荷用支持
部材52bを示す断面図である。
【図11】第1の従来技術の斜板式油圧ポンプ1を示す
断面図である。
【図12】第2の従来技術の斜板式油圧ポンプ20を示
す断面図である。
【符号の説明】
30 斜板式油圧ポンプ 31 ハウジング 32 ポンプケーシング 33 バルブカバー 34 回転軸 35 シリンダブロック 37 斜板 41 ピストン 50 嵌合凹所 52a,52b 支持部材 53a,52b 摺動支持部 70 連通路 71 油孔 81a,81b 装着用嵌合凹所 94a,94b 装着用嵌合凸部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年8月16日(1999.8.1
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、ハウジングと、ハウジングに回転自在に軸支される
回転軸と、回転軸に連結されるシリンダブロックと、シ
リンダブロックに周方向に間隔をあけて収納される複数
のピストンと、ハウジングの一側壁とピストンとの間に
配置され、予め定める傾動軸線まわりに傾動可能に設け
られ、シリンダブロックとともに回転するピストンの先
端部を滑らかに案内して往復動させる滑り面を有する斜
板とを備え、ハウジングの他側壁側に高圧ポートおよび
低圧ポートが設けられる斜板式油圧ポンプにおいて、斜
板には、回転軸を挟み、傾動軸線方向に沿う両側に、ハ
ウジングの一側壁に臨んで開口する嵌合凹所が形成さ
れ、ハウジングの一側壁には、前記嵌合凹所に摺動可能
に嵌合して斜板を傾動自在に支持する摺動支持部を有す
る支持部材が設けられ、各支持部材のうち、高負荷側に
配置される高負荷用支持部材の摺動支持部と嵌合凹所と
の隙間から高圧ポートにわたって連通し、前記隙間に作
動油を供給する連通路がハウジングに形成され、ハウジ
ングの一側壁には、各支持部材を装着するための装着用
嵌合凹所がそれぞれ形成され、各支持部材は摺動支持部
から突出し、前記装着用嵌合凹所に嵌まり込む装着用嵌
合凸部を有し、前記高負荷用支持部材には、高圧ポート
からの作動油を減圧して前記隙間に導くために、絞りを
有する油孔が形成されるとともに、装着用嵌合凸部と装
着用嵌合凹所との間に、Oリングが介在されることを特
徴とする斜板式油圧ポンプである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】本発明に従えば、回転軸を駆動することに
よってシリンダブロックが回転し、これによってシリン
ダブロックに収納される各ピストンが斜板に案内されて
往復動し、低圧ポートから作動油を吸引するとともに、
高圧ポートから作動油を吐出する。斜板はハウジングの
一側壁で回転軸の両側に設けられる支持部材によって傾
動自在に支持される。前述の第1の従来技術のように円
弧面形支持部によって斜板が支持されるのでなく、一対
の支持部材によって支持されるので、構成が小さくな
り、重量を軽減することができる。支持部材の摺動支持
部と、この摺動支持部が嵌合する斜板の嵌合凹所との間
の隙間にはハウジングに形成される連通路を介して高圧
ポンプから作動油が供給され、これによって摺動部にか
じりや焼き付が生じることが防がれる。このように支持
部材と斜板との間の摺動部の潤滑を行うために供給され
る作動油は、ハウジングに形成される連通路を介して高
圧ポートから直接供給されるので、前述の第2の従来技
術のように間欠的に供給されるのでなく、定常的に潤滑
油が供給され、これによって振動や騒音の発生が防がれ
る。また、高負荷用支持部材に絞りを用する油孔が形成
されるので、これによって高圧ポートからの作動油が減
圧され、斜板からの反力と釣合うことができる。また、
装着用凸部と装着用嵌合凹所との間にはOリングが介在
されるので、これによって供給される作動油の油漏れが
防がれる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】請求項2記載の本発明は、支持部材の摺動
支持部の外表面および斜板の嵌合凹所の内表面のうち少
なくともいずれか一方の表面に、低温浸硫処理によって
硫化鉄の拡散層から成る表面硬化層を形成することを特
徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】本発明に従えば、摺動支持部の外表面およ
び嵌合凹所の内表面のうち少なくともいずれか一方の表
面に硫化鉄の拡散層から成る表面硬化層が形成される。
硫化鉄は、六方晶系の結晶構造であるために非常に塑性
流動しやすい。特にこの性質は摩擦面の金属間結合を抑
制し、真実接触面積を増加させて接触面圧の低下をもた
らすので、初期なじみを改善することができ、これによ
って摺動面の摩擦抵抗を低減でき、かじりおよび焼き付
を抑制することができる。また、浸硫層は、多孔質なの
で潤滑油の保持性が大きい。このような表面硬化層が形
成されるので、何らかの理由で油膜が破壊されても摺動
支持部および嵌合凹所のかじりまたは焼き付の発生を抑
制することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】請求項3記載の本発明は、低負荷側に配置
される低負荷用支持部材の装着用嵌合凸部の外径は、高
負荷用支持部材の装着用嵌合凹所の内径よりも大きく形
成されることを特徴とする。
フロントページの続き (72)発明者 嶋崎 裕史 兵庫県神戸市西区櫨谷町松本234番地 川 崎重工業株式会社西神戸工場内 (72)発明者 近藤 哲弘 兵庫県神戸市西区櫨谷町松本234番地 川 崎重工業株式会社西神戸工場内 Fターム(参考) 3H070 AA01 BB04 CC01 CC34 DD46 DD55 DD68 DD91 EE15

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングと、ハウジングに回転自在に
    軸支される回転軸と、回転軸に連結されるシリンダブロ
    ックと、シリンダブロックに周方向に間隔をあけて収納
    される複数のピストンと、ハウジングの一側壁とピスト
    ンとの間に配置され、予め定める傾動軸線まわりに傾動
    可能に設けられ、シリンダブロックとともに回転するピ
    ストンの先端部を滑らかに案内して往復動させる滑り面
    を有する斜板とを備え、ハウジングの他側壁側に高圧ポ
    ートおよび低圧ポートが設けられる斜板式油圧ポンプに
    おいて、 斜板には、回転軸を挟んで傾動軸線方向に沿う両側に、
    ハウジングの一側壁に臨んで開口する嵌合凹所が形成さ
    れ、 ハウジングの一側壁には、前記嵌合凹所に摺動可能に嵌
    合して斜板を傾動自在に支持する摺動支持部を有する支
    持部材が設けられ、 各支持部材のうち、少なくとも高負荷側に配置される高
    負荷用支持部材の摺動支持部と嵌合凹所との隙間から高
    圧ポートにわたって連通し、前記隙間に作動油を供給す
    る連通路がハウジングに形成されることを特徴とする斜
    板式油圧ポンプ。
  2. 【請求項2】 支持部材の摺動支持部の外表面および斜
    板の嵌合凹所の内表面のうち少なくともいずれか一方の
    表面に、表面硬化層を形成することを特徴とする請求項
    1記載の斜板式油圧ポンプ。
  3. 【請求項3】 ハウジングの一側壁には、各支持部材を
    装着するための装着用嵌合凹所がそれぞれ形成され、 各支持部材は摺動支持部から突出し、前記装着用嵌合凹
    所に嵌まり込む装着用嵌合凸部を有し、 各支持部材のうち、前記高負荷用支持部材のみに、高圧
    ポートからの作動油を前記隙間に導くための油孔が形成
    され、低負荷側に配置される低負荷用支持部材の装着用
    嵌合凸部の外径は、高負荷用支持部材の装着用嵌合凹所
    の内径よりも大きく形成されることを特徴とする請求項
    1または2記載の斜板式油圧ポンプ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008232118A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Komatsu Ltd 軸受潤滑装置
WO2016093469A1 (ko) * 2014-12-11 2016-06-16 현대중공업 주식회사 유압 펌프
WO2016098999A1 (ko) * 2014-12-19 2016-06-23 현대중공업 주식회사 유압 펌프

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008232118A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Komatsu Ltd 軸受潤滑装置
WO2016093469A1 (ko) * 2014-12-11 2016-06-16 현대중공업 주식회사 유압 펌프
WO2016098999A1 (ko) * 2014-12-19 2016-06-23 현대중공업 주식회사 유압 펌프

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