JP2000097938A - 毛髪の鑑別法 - Google Patents

毛髪の鑑別法

Info

Publication number
JP2000097938A
JP2000097938A JP10268744A JP26874498A JP2000097938A JP 2000097938 A JP2000097938 A JP 2000097938A JP 10268744 A JP10268744 A JP 10268744A JP 26874498 A JP26874498 A JP 26874498A JP 2000097938 A JP2000097938 A JP 2000097938A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fgf
hair
antibody
ser
expression
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10268744A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3855042B2 (ja
Inventor
Toru Imamura
亨 今村
Kazuo Ozawa
和夫 小澤
Seigo Suzuki
誓吾 鈴木
Satoshi Suzuki
聡 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pola Chemical Industries Inc
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Pola Chemical Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology, Pola Chemical Industries Inc filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP26874498A priority Critical patent/JP3855042B2/ja
Publication of JP2000097938A publication Critical patent/JP2000097938A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3855042B2 publication Critical patent/JP3855042B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は毛髪が毛周期のどの周期の状態にあ
るかを、簡易且つ正確に鑑別する方法を提供することを
課題とする。 【解決手段】 FGF−5に結合しFGF−5Sに結合
しない抗体と、FGF−5S及びFGF−5に結合する
抗体を用いた皮膚切片の免疫染色により、毛包周辺系に
おけるFGF−5Sの発現を指標して毛髪を鑑別する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、毛髪を鑑別する方
法に関する。詳しくは、本発明は、毛髪が毛周期のどの
周期の状態にあるかを鑑別する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】毛成長の因子やメカニズムを知ること
は、近年増大している、薄毛や脱毛などの処置や対策な
どを知る上で非常に重要なことである。この為、毛成長
の因子が種々研究されているが、未だ解明されていな
い。従って、この様な毛成長のメカニズムを明らかにす
ることが望まれていた。この中で、本発明者らがこれま
で行ってきた研究では、FGF−5(線維芽細胞増殖因
子5)を介して、マクロファージが毛成長の制御に関与
している可能性が高いことを見いだしている。尚、ヒ
ト、マウス及びラット由来のFGF−5について、その
アミノ酸配列及びmRNAの塩基配列は既に知られてい
る(Zhan X. et al. Mol.Cell.Biol.8:3487-3495,1988,
Haub O. et at. Proc. Natl. Acad. USA 87:8022-802
6,1996, Hattori Y. et al. Biochim. Biophys Acta 13
06:33-33,1996)。
【0003】一方、FGF−5の関連物質としては、F
GF−5遺伝子の産物であって、選択的スプライシング
により、エクソン2の全体とエクソン3の大部分にあた
る領域が欠落したFGF−5Sが存在することが知られ
ているが、このFGF−5Sについてはその役割等は未
だ明らかにされていない。更に、生体内に於けるその存
在位置も明確には知られていない。尚、FGF−5Sの
アミノ酸配列については既に知られている。
【0004】しかし、FGF−5Sが毛包に於いて存在
し、毛包周辺系付近のマクロファージ中に存在している
FGF−5とともに毛成長をコントロールしていること
は全く知られていない。
【0005】また、毛の成長する基本的生理変化は毛周
期と呼ばれる生理現象であるが、毛は常に成長している
のではなく、一定の周期で成長、退化・中間、休止、へ
と移行して成長が停止し、脱落し再び成長へ移る。頭毛
では成長期2〜6年、中間期約2週間、休止期3〜4ヶ
月である。そして、毛包ごとに独立した周期で活動し、
成人頭毛は全体の85%〜90%が成長期、1%が中間
期、9〜14%が休止期の毛である。特定の脱毛症は毛
周期の異常によることも分かっている。
【0006】従って、毛髪が毛周期のどの周期の状態に
あるかを鑑別することは、成長期にある毛と中間期、休
止期にある毛の比率等を知ることが出来、脱毛を防止
し、発毛を促進させる上で極めて重要である。しかし、
従来は、抜毛により得た毛根像から毛周期の百分率を調
べることにより、脱毛症等の診断等が行なわれていたた
め、充分な結果が得られなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、脱毛を防止
し、また、発毛を促進する情報を提供するために、毛髪
が毛周期のどの周期の状態にあるかを、簡易且つ正確に
鑑別する方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、毛包における
FGF−5Sが、毛包周辺に存在するマクロファージが
発現しているFGF−5とともに、毛成長のコントロー
ルに関わっていることを見いだし、本発明を完成させる
に至った。
【0009】すなわち本発明は、以下のとおりである。 (1)毛包周辺系におけるFGF−5Sの発現を指標と
することを特徴とする毛髪の鑑別法。 (2)毛包周辺系の組織が、毛包であることを特徴とす
る(1)の方法。 (3)FGF−5Sの発現を、FGF−5Sに結合する
抗体を用いて検出することを特徴とする(1)の方法。 (4)更に、FGF−5の発現を指標とすることを特徴
とする(1)の方法。 (5)FGF−5S及びFGF−5の発現を、FGF−
5S及びFGF−5に対する親和性が異なる少なくとも
2種類の抗体を用いて検出することを特徴とする前記
(4)の方法。 (6)前記抗体が、FGF−5に結合しFGF−5Sに
結合しない抗体と、FGF−5S及びFGF−5に結合
する抗体である(5)の方法。 (7)前記FGF−5S及びFGF−5の検出を、前記
抗体を用いた皮膚切片における比較染色により行う
(6)の方法。 (8)FGF−5S及びFGF−5の発現を、皮膚切片
中のFGF−5S及びFGF−5のそれぞれをコードす
るmRNAを、これらのmRNAを区別し得る核酸プロ
ーブを用いてイン・サイチュウハイブリダイゼーション
により検出することを特徴とする(4)の方法。 (9)毛包周辺系におけるFGF−5Sの発現を指標と
して毛髪を鑑別するためのキット。 (10)FGF−5に結合しFGF−5Sに結合しない
抗体と、FGF−5S及びFGF−5に結合する抗体と
を含む、毛髪の鑑別用キット。
【0010】尚、本発明においては、「毛包周辺」と
は、毛包および毛包の周辺の皮膚の部分をいう。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、毛包周辺系におけるFGF−5Sの発現を指
標とすることを特徴とする毛髪の鑑別法である。
【0012】FGF−5Sは、FGF−5遺伝子から発
現するタンパク質であって、FGF−5のエクソン2が
欠落したmRNAによりコードされており、FGF−5
より、短いことが知られている。ヒト由来のFGF−5
Sのアミノ酸配列は、鈴木らによって報告されており
(第70回日本生化学大会発表抄録集p778、199
7)、その正確な機能は知られていないが、FGF−5
と関連が極めて深いものと考えられる。
【0013】上記FGF−5Sの発現は、FGF−5S
に結合する抗体や、FGF−5SのmRNAに結合する
RNAプローブまたはDNAプローブを使用することに
より、検出することが出来る。
【0014】まず、本発明のうち、抗体を用いる実施の
形態について詳述する。本発明においてFGF−5Sの
検出は、FGF−5Sに結合する抗体を用いて行う。該
抗体は、FGF−5S又はその部分ペプチドで動物を免
疫することにより得られる。該抗体を用いてFGF−5
Sを検出するには、通常の抗原−抗体反応を利用した免
疫法による抗原の検出に用いられる技術を採用すること
ができる。
【0015】本発明の方法においては、FGF−5Sの
発現に加えて、さらにFGF−5の発現を指標とするこ
とが好ましい。この場合、FGF−5S及びFGF−5
のそれぞれの発現は、分別して検出できることが好まし
い。具体的には、これらの発現は、FGF−5S及びF
GF−5に対する親和性が異なる少なくとも2種類の抗
体を用いて検出することができる。前記抗体としてより
具体的には、FGF−5に結合しFGF−5Sに結合し
ない抗体(以下、「FGF−5特異的抗体」ともいう)
と、FGF−5S及びFGF−5に結合する抗体(以
下、「抗FGF−5S・FGF−5抗体」ともいう)が
挙げられる。FGF−5特異的抗体と抗FGF−5S・
FGF−5抗体は、毛髪の鑑別用のキットを構成するこ
とができる。
【0016】FGF−5特異的抗体は、FGF−5には
存在し、FGF−5Sには存在しないアミノ酸配列、例
えばFGF−5のエクソン2のアミノ酸配列を有するペ
プチドを免疫源として、調製することができる。また、
抗FGF−5S・FGF−5抗体は、FGF−5及びF
GF−5Sに共通するアミノ酸配列を有するペプチド、
例えばFGF−5Sを免疫源として、調製することがで
きる。
【0017】FGF−5及びGF−5Sは、既にそのア
ミノ酸配列やDNA配列が知られているので、ペプチド
シンセサイザーで部分ペプチドを合成するか、または、
DNAシンセサイザーを用いてFGF−5又はFGF−
5Sもしくはこれらの部分ペプチドをコードするDNA
を合成した後、この合成DNAをベクターに挿入し、こ
れを大腸菌等の宿主に導入し、部分ペプチドや全タンパ
クを生産させる。これらのペプチド又はタンパク質は、
そのまま、あるいはキーホール・リンペットのヘモシア
ニンなどと結合させて免疫源とし、動物を感作させ、こ
の動物より血清を採取し抗血清を得てもよいし、さら
に、この動物から脾臓細胞を取り出し、ミエローマ等の
癌細胞と融合させ、上記ペプチド又はタンパク質に結合
するモノクロナール抗体を産生するハイブリドーマ細胞
株を選び出し、これを培養してモノクローナル抗体を産
生させてもよい。ハイブリドーマ及びモノクローナル抗
体の調製については、Kohler, Milstein, Nature,256:4
95-492 (1975)等の文献に記載されている。本発明にお
いては、抗体はモノクローナル抗体であることが好まし
い。
【0018】上記のようなFGF−5特異的抗体及び抗
FGF−5S・FGF−5抗体を用いることにより、F
GF−5S及びFGF−5のそれぞれの発現を分別して
検出することができる。これらの抗体を用いてFGF−
5S及びFGF−5を検出するには、通常の抗原−抗体
反応を利用した免疫法による2種類の抗原の検出に用い
られる技術を採用することができる。
【0019】上記免疫法として具体的には、前記抗体を
用いた皮膚切片における比較染色により行う方法が挙げ
られる。すなわち、両抗体を用いて皮膚切片を免疫染色
した後、FGF−5特異的抗体により染色される部位は
FGF−5が存在していることがわかる。また、FGF
−5特異的抗体によっては染色されず、抗FGF−5S
・FGF−5抗体により染色される部位は、FGF−5
Sが存在していることがわかる。
【0020】免疫染色は、上記抗体に標識物質を結合さ
せ、該標識物質を検出する直接法でもよいし、上記抗体
に結合し、標識物質で標識された二次抗体を用いる間接
法でもよい。標識物質としては、蛍光物質を用いる蛍光
抗体法でもよいし、酵素(ワサビペルオキシダーゼ、ア
ルカリホスファターゼ等)を用い、酵素反応により基質
を発色させる酵素抗体法でもよい。また、標識物質とし
て、ビオチンを用い、これに酵素等を結合させたアビジ
ンもしくはストレプトアビジンを結合させることによっ
ても、抗体を検出することができる。さらに、135I等
の等のラジオアイソトープを用いてもよい。また、二次
抗体としては、FGF−5特異的抗体又は抗FGF−5
S・FGF−5抗体の調製に用いた動物のイムノグロブ
リンに結合する抗体を用いる。多種の標識化抗イムノグ
ロブリンが市販されているので、それらを用いることも
できる。
【0021】免疫染色による皮膚組織の染色は、通常、
皮膚組織の固定化、切片の作製、免疫反応、標識物質の
検出の手順で行うことができる。間接法では、免疫反応
は、試料と一次抗体(FGF−5特異的抗体又は抗FG
F−5S・FGF−5抗体)との反応、二次抗体との反
応とからなる。
【0022】組織の固定化は、通常の固定の方法により
行うことができる。即ち、被検動物の背部皮膚を摂取
し、ホルマリン等で固定する。切片を作製する方法に
は、凍結切片法とパラフィン包理法とがあるが、より薄
い切片を作製できるという点からはパラフィン包理法の
ほうが好ましい。免疫反応は、抗体の濃度、反応時間、
ブロッキング溶液の濃度を調節することで、適宜最適な
条件を決定することができる。また、免疫組織学的染色
を行った後に、ヘマトキシリン染色等で細胞核を染める
ことも可能である。
【0023】皮膚切片の試料は、それぞれの抗体を異な
る蛍光を発色する物質で標識した場合は単一の試料を用
いて行うことも可能であるが、隣接する切片を用いて複
数の試料を作製し、一つの試料につき一種類の抗体を用
いてそれぞれ免疫染色してもよい。
【0024】次に、本発明のうち、イン・サイチュウ
(in situ)ハイブリダイゼーション法による実施の形
態について詳述する。この実施の形態においてFGF−
5Sの発現は、FGF−5SをコードするmRNAに結
合する核酸プローブを用いて行う。該プローブは、FG
F−5SをコードするmRNA又はその一部の塩基配列
に相補的な塩基配列を有するDNA又はRNAである。
該プローブを用いてFGF−5Sを検出するには、通常
のハイブリダイゼーションによる核酸の検出に用いられ
る技術を採用することができる。
【0025】本態様においても、FGF−5Sの発現に
加えて、さらにFGF−5の発現を指標とすることが好
ましい。この場合も、FGF−5S及びFGF−5のそ
れぞれの発現は、分別して検出できることが好ましい。
具体的には、これらの発現は、FGF−5mRNAに結
合しFGF−5SmRNAに結合しないプローブ(以
下、「FGF−5特異的プローブ」ともいう)と、FG
F−5SmRNA及びFGF−5mRNAに結合するプ
ローブ(以下、「FGF−5S・FGF−5プローブ」
ともいう)が挙げられる。プローブは、FGF−5Sm
RNA及びFGF−5mRNAの塩基配列は知られてい
るので、その配列に基づいてオリゴヌクレオチドを化学
合成することによって、作製することができる。
【0026】ハイブリダイゼーンションの方法は特に制
限されないが、FGF−5S又はFGF−5の発現分布
を知るためには、in situハイブリダイゼーション法が
好ましい。この方法は組織中にmRNAを保ったまま組
織切片を作製し、切片上でプローブとmRNAとのハイ
ブリダイゼーションを行うものである。プローブの標識
には135I等のラジオアイソトープを用いる方法と非放
射性物質を用いた方法があるが、いずれであってもよ
い。非放射性物質を用いる方法としては、ジゴキシゲニ
ン(DIG)等を標識物質として用いる方法が例示でき
る。
【0027】in situハイブリダイゼーションは、通
常、組織切片の作製、該切片とプローブとのインキュベ
ーション(ハイブリダイゼーション)、洗浄、標識物質
の検出の手順で行うことができる。
【0028】皮膚切片の作製は、上記の抗体を使用した
比較染色法と同様である。例えば、調製した切片をのせ
たスライドグラスをドライヤーで乾かし、タンパク質の
変性、核酸の固定などの通常の前処理を行う。そして、
使用直前に予め一本鎖に熱変性させたDNA等を含むハ
イブリダイゼーション溶液をプローブと混ぜ、該混合液
に前記スライドグラスを浸漬する。その後、SSC等の
洗浄液を使用して数回プローブ溶液を洗浄する。そし
て、反応を停止したあとで水で洗い、水性封入剤で水性
封入し、標識物質を検出する。最後に組織の染色を行う
ことにより、組織を眺めながらハイブリダイゼーション
の結果を検討することも可能である。
【0029】なお、これらの条件は、発色結果に基づい
て適宜条件に変更を加えることで、最適な条件を決定す
ることができる。
【0030】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。 (1)FGF−5S及びFGF−5の調製 FGF−5Sは、次のようにして調製した。FGF−5
Sとマルトースバインディングプロテインとの融合タン
パク質を発現するように、FGF−5SをコードするD
NAをベクター(pMAL−c2)のEcoRI部位に
挿入し、得られた組換えベクター(pMAL/humF
GF5S)で大腸菌(E.coli BL21株)を形質転換した。
【0031】上記形質転換体を培養し、isopropylthiog
alactoside添加により発現した融合タンパクを、アミロ
ース(アミロースレジン:New England BioLabs 製、Be
verly, MA)にバインディングさせ、10mMマルトー
スでリリースさせ、特異的なプロテアーゼであるファク
ターXaでマルトースバインディングプロテインとFG
F−5Sを分離した後、アミロースカラム(アミロース
レジン:New EnglandBioLabs 製、Beverly, MA)を用い
てマルトースバインディングプロテインを除去し、FG
F−5Sを得た。
【0032】FGF−5については、公知のアミノ酸配
列を基にして、配列番号1に示す合成ペプタイドを作製
した。尚、配列番号1のアミノ酸配列は、FGF−5の
エクソン3のアミノ酸配列の一部である。
【0033】配列番号1に示すアミノ酸配列のうち、N
末端のシステインはもともとの当該部分のアミノ酸配列
には含まれないが、キーホール・リンペットのヘモシア
ニンを結合するために付与した。FGF−5の部分ペプ
タイドは、抗原としてモノクローナル抗体の作製に用い
た。即ち、前記ペプタイド100μgとフロインドの完
全アジュバントとを乳化し、BALB/cマウスに静脈
注射した。更に1週間後と2週間後に100μgの抗原
とフロインドの不完全アジュバントとを静脈注射した。
4週間後には50μgの抗原を生理食塩水に溶解し静脈
注射した。これらの感作したマウスより脾臓細胞を取り
出し、ミエローマ細胞P3X63Ag8.65と融合さ
せ、FGF−5特異的モノクローナル抗体を産生するハ
イブリドーマを選び出し、これを培養してモノクローナ
ル抗体を得た。
【0034】一方、抗FGF−5・FGF−5Sモノク
ローナル抗体は、FGF−5S全タンパクを抗原とし、
他は基本的にFGF−5特異的モノクローナル抗体と同
様の方法で得た。尚、配列番号2、3及び4に、ラット
のFGF−5塩基配列、FGF−5のアミノ酸配列及び
FGF−5Sのアミノ酸配列をそれぞれ示す。
【0035】(2)皮膚切片の染色 ウィスター系ラットの背部皮膚を採取し、ホルマリン固
定後、脱水しパラフィン包埋した。これを切り出し切片
を作製し、ゼラチンコートしたスライドグラス上にマウ
ントし、キシレンで脱パラフィンし、エタノール系列で
水和した。このようなスライドグラスを2枚用意した。
一方のスライドグラスをFGF−5特異的モノクローナ
ル抗体を用いて、他方のスライドグラスを抗FGF−5
S・FGF−5モノクローナル抗体を用いて、それぞれ
処理した。これらの試料をアビジン−ビオチンイムノペ
ルオキシダーゼ法により染色した。即ち、ビオチン結合
ヤギ抗マウス抗体(Chemicon,Temecula,CA)およびペル
オキシダーゼ結合ストレプトアビジン(ニチレイ)溶液
に、前記スライドグラスを順次浸漬した後、基質溶液
[ジアミノベンジジン(SAB-PO(M)キット、ニチレイ)]に
浸漬して、発色させた。このようにして、FGF−5特
異的抗体或いは抗FGF−5S・FGF−5抗体が結合
した位置を検知した。
【0036】(3)結果 図1、図2の染色結果より、抗FGF−5S・FGF−
5モノクローナル抗体では毛包のコルテックスおよび皮
膚のマクロファージ様細胞が染色され、FGF−5特異
的モノクローナル抗体では皮膚のマクロファージ様の細
胞のみが染色された。これより、FGF−5は皮膚のマ
クロファージ様の細胞に存在し、FGF−5Sは毛包の
コルテックスに存在することがわかる。
【0037】更に図1からは、毛成長周期の移行に伴い
毛包のコルテックスの染色強度が変化していることが分
かり、FGF−5Sの発現量の変化が毛成長に関与して
いることがわかる。即ち、毛成長周期の成長期で毛包の
コルテックス周辺でのFGF−5Sの発現量が増加して
いき、成長期後期(図1−b)でFGF−5の発現量が
最大となり、その後退行期で減少していくのが分かる。
またすでに知られているように、FGF−5陽性マクロ
ファージ様細胞は、毛成長周期の移行に伴いその局在位
置を変化させており、これら2種類のタンパクはそれぞ
れ別の役割を担いながら毛成長に関与していることもわ
かる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、毛髪が毛周期のどの周
期の状態にあるかを、簡易且つ正確に鑑別することがで
きる。その結果、脱毛を防止し、また、発毛を促進する
情報を提供することができると期待される。
【0039】
【配列表】 Sequence Listing <110> 工業技術院長 佐藤 壮郎 ポーラ化成工業株式会社 今村 亨 <120> 毛髪の鑑別法 <130> P-5867 <141> 1998-9-22 <160> 1 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 14 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Cys Thr Tyr Ala Ser Ala Ile His Arg Thr Glu Lys Thr Gly 1 5 10 <210> 2 <211> 801 <212> DNA <213> Rattus norvegicus <221> CDS <222> (1)..(798) <400> 2 atgagcctgt ccttgctctt cctcatcttc tgcagccacc tgatcctcag cgctccggct 60 caaggggaga agcgtctcac tcccgaaggg caacccgcgc ctcctaggaa cccgggagac 120 tccagcggca gccggggcag aagtagcgcg acgtttgctt cgtcttctgc ctcttcccca 180 gtcgcagctt ctccgggcag ccaaggaagc ggctcggagc acagcagttt ccagtggagc 240 ccttcggggc gccggaccgg cagcctgtac tgcagagtgg gcatcggttt ccatctgcag 300 atctacccgg atggcaaagt caatggatcc cacgaagcca gtgtgttaag tattttggaa 360 atatttgctg tgtctcaggg gattgtagga atacgaggag ttttcagcaa caaattttta 420 gcgatgtcaa aaaaaggaaa actccatgca agtgccaaat ttacagatga ctgtaagttc 480 agggagagat tccaagaaaa cagctataat acctatgcgt cagcgattca cagaactgaa 540 aagacaggcc gggagtggta tgtggccctg aacaagagag ggaaagccaa aagaggctgc 600 agcccacggg tcaaacccca gcacgtctcc acccacttcc tacccaggtt caagcagtcc 660 gagcaaccgg aactttcctt caccgtcact gttccagaaa agaaaaagcc acctaggccc 720 tggaaaccaa aggttcccct gtcgccatct cgtagaagcc ccagtccagt gaagtacaga 780 ctgaagtttc gcttcggatg a 801 <210> 3 <211> 266 <212> PRT <213> Rattus norvegicus <400> 3 Met Ser Leu Ser Leu Leu Phe Leu Ile Phe Cys Ser His Leu Ile Leu 1 5 10 15 Ser Ala Pro Ala Gln Gly Glu Lys Arg Leu Thr Pro Glu Gly Gln Pro 20 25 30 Ala Pro Pro Arg Asn Pro Gly Asp Ser Ser Gly Ser Arg Gly Arg Ser 35 40 45 Ser Ala Thr Phe Ala Ser Ser Ser Ala Ser Ser Pro Val Ala Ala Ser 50 55 60 Pro Gly Ser Gln Gly Ser Gly Ser Glu His Ser Ser Phe Gln Trp Ser 65 70 75 80 Pro Ser Gly Arg Arg Thr Gly Ser Leu Tyr Cys Arg Val Gly Ile Gly 85 90 95 Phe His Leu Gln Ile Tyr Pro Asp Gly Lys Val Asn Gly Ser His Glu 100 105 110 Ala Ser Val Leu Ser Ile Leu Glu Ile Phe Ala Val Ser Gln Gly Ile 115 120 125 Val Gly Ile Arg Gly Val Phe Ser Asn Lys Phe Leu Ala Met Ser Lys 130 135 140 Lys Gly Lys Leu His Ala Ser Ala Lys Phe Thr Asp Asp Cys Lys Phe 145 150 155 160 Arg Glu Arg Phe Gln Glu Asn Ser Tyr Asn Thr Tyr Ala Ser Ala Ile 165 170 175 His Arg Thr Glu Lys Thr Gly Arg Glu Trp Tyr Val Ala Leu Asn Lys 180 185 190 Arg Gly Lys Ala Lys Arg Gly Cys Ser Pro Arg Val Lys Pro Gln His 195 200 205 Val Ser Thr His Phe Leu Pro Arg Phe Lys Gln Ser Glu Gln Pro Glu 210 215 220 Leu Ser Phe Thr Val Thr Val Pro Glu Lys Lys Lys Pro Pro Arg Pro 225 230 235 240 Trp Lys Pro Lys Val Pro Leu Ser Pro Ser Arg Arg Ser Pro Ser Pro 245 250 255 Val Lys Tyr Arg Leu Lys Phe Arg Phe Gly 260 265 <210> 4 <211> 121 <212> PRT <213> Rattus norvegicus <400> 4 Met Ser Leu Ser Leu Leu Phe Leu Ile Phe Cys Ser His Leu Ile Leu 1 5 10 15 Ser Ala Pro Ala Gln Gly Glu Lys Arg Leu Thr Pro Glu Gly Gln Pro 20 25 30 Ala Pro Pro Arg Asn Pro Gly Asp Ser Ser Gly Ser Arg Gly Arg Ser 35 40 45 Ser Ala Thr Phe Ala Ser Ser Ser Ala Ser Ser Pro Val Ala Ala Ser 50 55 60 Pro Gly Ser Gln Gly Ser Gly Ser Glu His Ser Ser Phe Gln Trp Ser 65 70 75 80 Pro Ser Gly Arg Arg Thr Gly Ser Leu Tyr Cys Arg Val Gly Ile Gly 85 90 95 Phe His Leu Gln Ile Tyr Pro Asp Gly Lys Val Asn Gly Ser His Glu 100 105 110 Ala Ser Val Leu Ser Gln Ile Tyr Arg 115 120
【図面の簡単な説明】
【図1】 抗FGF−5S・FGF−5モノクローナル
抗体による毛包コルテックスの染色像の顕微鏡写真であ
る。aは成長期初期、bは成長期中期、cは退行期初
期、dは退行期中期、eは退行期終期、fは休止期の状
態を、また、gはネガティブ・コントロールを示す。
【図2】 抗FGF−5S・FGF−5モノクローナル
抗体(a)、およびFGF−5特異的モノクローナル抗
体(b)による皮膚マクロファージ様細胞の染色像の顕
微鏡写真である。
【図3】 ラット由来のFGF−5cDNAの塩基配
列、FGF−5タンパク質のアミノ酸配列およびFGF
−5Sタンパク質のアミノ酸配列である。これらの配列
は、配列番号2、配列番号3および配列番号4に記載し
た配列にそれぞれ対応する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (74)上記2名の代理人 100089244 弁理士 遠山 勉 (外2名) (72)発明者 今村 亨 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 小澤 和夫 千葉県柏市豊四季台3−1−61−207 (72)発明者 鈴木 誓吾 茨城県つくば市千現2−12−4 豊コーポ 112号室 (72)発明者 鈴木 聡 神奈川県横浜市戸塚区柏尾町560 ポーラ 化成工業株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 2G045 AA40 BA13 BB14 BB20 BB22 BB24 BB28 BB30 BB35 BB48 CB01 CB09 CB16 DA13 DA14 DA36 FA16 FB01 FB02 FB03 FB07 FB16 GC12

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 毛包周辺系におけるFGF−5Sの発現
    を指標とすることを特徴とする毛髪の鑑別法。
  2. 【請求項2】 毛包周辺系の組織が、毛包であることを
    特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 FGF−5Sの発現を、FGF−5Sに
    結合する抗体を用いて検出することを特徴とする請求項
    1記載の方法。
  4. 【請求項4】 更に、FGF−5の発現を指標とするこ
    とを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 FGF−5S及びFGF−5の発現を、
    FGF−5S及びFGF−5に対する親和性が異なる少
    なくとも2種類の抗体を用いて検出することを特徴とす
    る請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記抗体が、FGF−5に結合しFGF
    −5Sに結合しない抗体と、FGF−5S及びFGF−
    5に結合する抗体である請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記FGF−5S及びFGF−5の検出
    を、前記抗体を用いた皮膚切片における比較染色により
    行う請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 FGF−5S及びFGF−5の発現を、
    皮膚切片中のFGF−5S及びFGF−5のそれぞれを
    コードするmRNAを、これらのmRNAを区別し得る
    核酸プローブを用いてイン・サイチュウハイブリダイゼ
    ーションにより検出することを特徴とする請求項4記載
    の方法。
  9. 【請求項9】 毛包周辺系におけるFGF−5Sの発現
    を指標として毛髪を鑑別するためのキット。
  10. 【請求項10】FGF−5に結合しFGF−5Sに結合
    しない抗体と、FGF−5S及びFGF−5に結合する
    抗体とを含む、毛髪の鑑別用キット。
JP26874498A 1998-09-22 1998-09-22 毛髪の鑑別法 Expired - Lifetime JP3855042B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26874498A JP3855042B2 (ja) 1998-09-22 1998-09-22 毛髪の鑑別法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26874498A JP3855042B2 (ja) 1998-09-22 1998-09-22 毛髪の鑑別法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000097938A true JP2000097938A (ja) 2000-04-07
JP3855042B2 JP3855042B2 (ja) 2006-12-06

Family

ID=17462744

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26874498A Expired - Lifetime JP3855042B2 (ja) 1998-09-22 1998-09-22 毛髪の鑑別法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3855042B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005047314A2 (en) * 2003-11-06 2005-05-26 Genencor International, Inc. Fgf-beta binding and supported peptides
JP2013246187A (ja) * 2012-05-23 2013-12-09 Olympus Corp 顕微鏡システム、標本画像生成方法及びプログラム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005047314A2 (en) * 2003-11-06 2005-05-26 Genencor International, Inc. Fgf-beta binding and supported peptides
WO2005047314A3 (en) * 2003-11-06 2006-04-20 Genencor Int Fgf-beta binding and supported peptides
JP2013246187A (ja) * 2012-05-23 2013-12-09 Olympus Corp 顕微鏡システム、標本画像生成方法及びプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP3855042B2 (ja) 2006-12-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7241608B2 (en) Cat kidney disease marker
JP3746790B2 (ja) 抗ヒトVEGF受容体F1t―1モノクローナル抗体
JP3989528B2 (ja) Dna配列及びエンコードされた乳房に特異的な乳癌たんぱく質
JP2003259887A (ja) カドヘリン物質および方法
JP3829226B2 (ja) ビメンチンの切断産物に対する抗体
JP2003250575A5 (ja)
JP3428441B2 (ja) タイトジャンクション構成膜蛋白質クローディンファミリー
JP2690266B2 (ja) ヒト細胞接着分子および核酸配列
US5981712A (en) DNA encoding CAI resistance proteins and uses thereof
JP2000097938A (ja) 毛髪の鑑別法
JP2001122900A (ja) 抗−DNaseγ抗体並びにその製造及び使用
KR20070042994A (ko) 항시노비올린 항체
CA2387576C (en) Immuno-interactive fragments of the .alpha.c subunit of inhibin
JP2001302699A (ja) ヒトkgfrに対する抗体
US5424191A (en) Epithelial cell specific differentiation marker
EP1491890B1 (en) Method of evaluating hair growth-promoting activity
JPH07309900A (ja) 抗ヒトプロカテプシンbモノクローナル抗体、それを産生するハイブリドーマ及びそれを用いたヒトプロカテプシンb又はヒトカテプシンbの測定方法
JPH09506267A (ja) ヒトレストリクチン及び核酸配列
AU782490B2 (en) Immuno-interactive fragments of the alphaC subunit of inhibin
WO2007126160A1 (ja) プロスタシン部分ペプチド及び抗プロスタシン抗体
WO2003076622A1 (en) PRESYNAPTIC PROTEIN p120
JP2002191364A (ja) タンパク質の検出あるいは定量方法
WO2002097088A1 (en) Testicular carnitine transporter and its gene
van Eys et al. Smoothelins: one gene, two proteins, three muscle cell types.... so far
JP2003344414A (ja) Rcas1の測定方法、及びrcas1測定用キット

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20050609

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050610

RD14 Notification of resignation of power of sub attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7434

Effective date: 20050613

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050610

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050805

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060803

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060815

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term