JP3855042B2 - 毛髪の鑑別法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪を鑑別する方法に関する。詳しくは、本発明は、毛髪が毛周期のどの周期の状態にあるかを鑑別する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
毛成長の因子やメカニズムを知ることは、近年増大している、薄毛や脱毛などの処置や対策などを知る上で非常に重要なことである。この為、毛成長の因子が種々研究されているが、未だ解明されていない。従って、この様な毛成長のメカニズムを明らかにすることが望まれていた。この中で、本発明者らがこれまで行ってきた研究では、FGF−5(線維芽細胞増殖因子5)を介して、マクロファージが毛成長の制御に関与している可能性が高いことを見いだしている。尚、ヒト、マウス及びラット由来のFGF−5について、そのアミノ酸配列及びmRNAの塩基配列は既に知られている(Zhan X. et al. Mol.Cell.Biol.8:3487-3495,1988, Haub O. et at. Proc. Natl. Acad. USA 87:8022-8026,1996, Hattori Y. et al. Biochim. Biophys Acta 1306:33-33,1996)。
【0003】
一方、FGF−5の関連物質としては、FGF−5遺伝子の産物であって、選択的スプライシングにより、エクソン2の全体とエクソン3の大部分にあたる領域が欠落したFGF−5Sが存在することが知られているが、このFGF−5Sについてはその役割等は未だ明らかにされていない。更に、生体内に於けるその存在位置も明確には知られていない。尚、FGF−5Sのアミノ酸配列については既に知られている。
【0004】
しかし、FGF−5Sが毛包に於いて存在し、毛包周辺系付近のマクロファージ中に存在しているFGF−5とともに毛成長をコントロールしていることは全く知られていない。
【0005】
また、毛の成長する基本的生理変化は毛周期と呼ばれる生理現象であるが、毛は常に成長しているのではなく、一定の周期で成長、退化・中間、休止、へと移行して成長が停止し、脱落し再び成長へ移る。頭毛では成長期2〜6年、中間期約2週間、休止期3〜4ヶ月である。そして、毛包ごとに独立した周期で活動し、成人頭毛は全体の85%〜90%が成長期、1%が中間期、9〜14%が休止期の毛である。特定の脱毛症は毛周期の異常によることも分かっている。
【0006】
従って、毛髪が毛周期のどの周期の状態にあるかを鑑別することは、成長期にある毛と中間期、休止期にある毛の比率等を知ることが出来、脱毛を防止し、発毛を促進させる上で極めて重要である。しかし、従来は、抜毛により得た毛根像から毛周期の百分率を調べることにより、脱毛症等の診断等が行なわれていたため、充分な結果が得られなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、脱毛を防止し、また、発毛を促進する情報を提供するために、毛髪が毛周期のどの周期の状態にあるかを、簡易且つ正確に鑑別する方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、毛包におけるFGF−5Sが、毛包周辺に存在するマクロファージが発現しているFGF−5とともに、毛成長のコントロールに関わっていることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)毛包周辺系におけるFGF−5Sの発現を指標とすることを特徴とする毛髪の鑑別法。
(2)毛包周辺系の組織が、毛包であることを特徴とする(1)の方法。
(3)FGF−5Sの発現を、FGF−5Sに結合する抗体を用いて検出することを特徴とする(1)の方法。
(4)更に、FGF−5の発現を指標とすることを特徴とする(1)の方法。
(5)FGF−5S及びFGF−5の発現を、FGF−5S及びFGF−5に対する親和性が異なる少なくとも2種類の抗体を用いて検出することを特徴とする前記(4)の方法。
(6)前記抗体が、FGF−5に結合しFGF−5Sに結合しない抗体と、FGF−5S及びFGF−5に結合する抗体である(5)の方法。
(7)前記FGF−5S及びFGF−5の検出を、前記抗体を用いた皮膚切片における比較染色により行う(6)の方法。
(8)FGF−5S及びFGF−5の発現を、皮膚切片中のFGF−5S及びFGF−5のそれぞれをコードするmRNAを、これらのmRNAを区別し得る核酸プローブを用いてイン・サイチュウハイブリダイゼーションにより検出することを特徴とする(4)の方法。
(9)毛包周辺系におけるFGF−5Sの発現を指標として毛髪を鑑別するためのキット。
(10)FGF−5に結合しFGF−5Sに結合しない抗体と、FGF−5S及びFGF−5に結合する抗体とを含む、毛髪の鑑別用キット。
【0010】
尚、本発明においては、「毛包周辺」とは、毛包および毛包の周辺の皮膚の部分をいう。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、毛包周辺系におけるFGF−5Sの発現を指標とすることを特徴とする毛髪の鑑別法である。
【0012】
FGF−5Sは、FGF−5遺伝子から発現するタンパク質であって、FGF−5のエクソン2が欠落したmRNAによりコードされており、FGF−5より、短いことが知られている。ヒト由来のFGF−5Sのアミノ酸配列は、鈴木らによって報告されており(第70回日本生化学大会発表抄録集p778、1997)、その正確な機能は知られていないが、FGF−5と関連が極めて深いものと考えられる。
【0013】
上記FGF−5Sの発現は、FGF−5Sに結合する抗体や、FGF−5SのmRNAに結合するRNAプローブまたはDNAプローブを使用することにより、検出することが出来る。
【0014】
まず、本発明のうち、抗体を用いる実施の形態について詳述する。
本発明においてFGF−5Sの検出は、FGF−5Sに結合する抗体を用いて行う。該抗体は、FGF−5S又はその部分ペプチドで動物を免疫することにより得られる。該抗体を用いてFGF−5Sを検出するには、通常の抗原−抗体反応を利用した免疫法による抗原の検出に用いられる技術を採用することができる。
【0015】
本発明の方法においては、FGF−5Sの発現に加えて、さらにFGF−5の発現を指標とすることが好ましい。この場合、FGF−5S及びFGF−5のそれぞれの発現は、分別して検出できることが好ましい。具体的には、これらの発現は、FGF−5S及びFGF−5に対する親和性が異なる少なくとも2種類の抗体を用いて検出することができる。前記抗体としてより具体的には、FGF−5に結合しFGF−5Sに結合しない抗体(以下、「FGF−5特異的抗体」ともいう)と、FGF−5S及びFGF−5に結合する抗体(以下、「抗FGF−5S・FGF−5抗体」ともいう)が挙げられる。FGF−5特異的抗体と抗FGF−5S・FGF−5抗体は、毛髪の鑑別用のキットを構成することができる。
【0016】
FGF−5特異的抗体は、FGF−5には存在し、FGF−5Sには存在しないアミノ酸配列、例えばFGF−5のエクソン2のアミノ酸配列を有するペプチドを免疫源として、調製することができる。また、抗FGF−5S・FGF−5抗体は、FGF−5及びFGF−5Sに共通するアミノ酸配列を有するペプチド、例えばFGF−5Sを免疫源として、調製することができる。
【0017】
FGF−5及びGF−5Sは、既にそのアミノ酸配列やDNA配列が知られているので、ペプチドシンセサイザーで部分ペプチドを合成するか、または、DNAシンセサイザーを用いてFGF−5又はFGF−5Sもしくはこれらの部分ペプチドをコードするDNAを合成した後、この合成DNAをベクターに挿入し、これを大腸菌等の宿主に導入し、部分ペプチドや全タンパクを生産させる。これらのペプチド又はタンパク質は、そのまま、あるいはキーホール・リンペットのヘモシアニンなどと結合させて免疫源とし、動物を感作させ、この動物より血清を採取し抗血清を得てもよいし、さらに、この動物から脾臓細胞を取り出し、ミエローマ等の癌細胞と融合させ、上記ペプチド又はタンパク質に結合するモノクロナール抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を選び出し、これを培養してモノクローナル抗体を産生させてもよい。ハイブリドーマ及びモノクローナル抗体の調製については、Kohler, Milstein, Nature,256:495-492 (1975)等の文献に記載されている。本発明においては、抗体はモノクローナル抗体であることが好ましい。
【0018】
上記のようなFGF−5特異的抗体及び抗FGF−5S・FGF−5抗体を用いることにより、FGF−5S及びFGF−5のそれぞれの発現を分別して検出することができる。これらの抗体を用いてFGF−5S及びFGF−5を検出するには、通常の抗原−抗体反応を利用した免疫法による2種類の抗原の検出に用いられる技術を採用することができる。
【0019】
上記免疫法として具体的には、前記抗体を用いた皮膚切片における比較染色により行う方法が挙げられる。すなわち、両抗体を用いて皮膚切片を免疫染色した後、FGF−5特異的抗体により染色される部位はFGF−5が存在していることがわかる。また、FGF−5特異的抗体によっては染色されず、抗FGF−5S・FGF−5抗体により染色される部位は、FGF−5Sが存在していることがわかる。
【0020】
免疫染色は、上記抗体に標識物質を結合させ、該標識物質を検出する直接法でもよいし、上記抗体に結合し、標識物質で標識された二次抗体を用いる間接法でもよい。標識物質としては、蛍光物質を用いる蛍光抗体法でもよいし、酵素(ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)を用い、酵素反応により基質を発色させる酵素抗体法でもよい。また、標識物質として、ビオチンを用い、これに酵素等を結合させたアビジンもしくはストレプトアビジンを結合させることによっても、抗体を検出することができる。さらに、135I等の等のラジオアイソトープを用いてもよい。また、二次抗体としては、FGF−5特異的抗体又は抗FGF−5S・FGF−5抗体の調製に用いた動物のイムノグロブリンに結合する抗体を用いる。多種の標識化抗イムノグロブリンが市販されているので、それらを用いることもできる。
【0021】
免疫染色による皮膚組織の染色は、通常、皮膚組織の固定化、切片の作製、免疫反応、標識物質の検出の手順で行うことができる。間接法では、免疫反応は、試料と一次抗体(FGF−5特異的抗体又は抗FGF−5S・FGF−5抗体)との反応、二次抗体との反応とからなる。
【0022】
組織の固定化は、通常の固定の方法により行うことができる。即ち、被検動物の背部皮膚を摂取し、ホルマリン等で固定する。切片を作製する方法には、凍結切片法とパラフィン包理法とがあるが、より薄い切片を作製できるという点からはパラフィン包理法のほうが好ましい。免疫反応は、抗体の濃度、反応時間、ブロッキング溶液の濃度を調節することで、適宜最適な条件を決定することができる。また、免疫組織学的染色を行った後に、ヘマトキシリン染色等で細胞核を染めることも可能である。
【0023】
皮膚切片の試料は、それぞれの抗体を異なる蛍光を発色する物質で標識した場合は単一の試料を用いて行うことも可能であるが、隣接する切片を用いて複数の試料を作製し、一つの試料につき一種類の抗体を用いてそれぞれ免疫染色してもよい。
【0024】
次に、本発明のうち、イン・サイチュウ(in situ)ハイブリダイゼーション法による実施の形態について詳述する。
この実施の形態においてFGF−5Sの発現は、FGF−5SをコードするmRNAに結合する核酸プローブを用いて行う。該プローブは、FGF−5SをコードするmRNA又はその一部の塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNA又はRNAである。該プローブを用いてFGF−5Sを検出するには、通常のハイブリダイゼーションによる核酸の検出に用いられる技術を採用することができる。
【0025】
本態様においても、FGF−5Sの発現に加えて、さらにFGF−5の発現を指標とすることが好ましい。この場合も、FGF−5S及びFGF−5のそれぞれの発現は、分別して検出できることが好ましい。具体的には、これらの発現は、FGF−5mRNAに結合しFGF−5SmRNAに結合しないプローブ(以下、「FGF−5特異的プローブ」ともいう)と、FGF−5SmRNA及びFGF−5mRNAに結合するプローブ(以下、「FGF−5S・FGF−5プローブ」ともいう)が挙げられる。プローブは、FGF−5SmRNA及びFGF−5mRNAの塩基配列は知られているので、その配列に基づいてオリゴヌクレオチドを化学合成することによって、作製することができる。
【0026】
ハイブリダイゼーンションの方法は特に制限されないが、FGF−5S又はFGF−5の発現分布を知るためには、in situハイブリダイゼーション法が好ましい。この方法は組織中にmRNAを保ったまま組織切片を作製し、切片上でプローブとmRNAとのハイブリダイゼーションを行うものである。プローブの標識には135I等のラジオアイソトープを用いる方法と非放射性物質を用いた方法があるが、いずれであってもよい。非放射性物質を用いる方法としては、ジゴキシゲニン(DIG)等を標識物質として用いる方法が例示できる。
【0027】
in situハイブリダイゼーションは、通常、組織切片の作製、該切片とプローブとのインキュベーション(ハイブリダイゼーション)、洗浄、標識物質の検出の手順で行うことができる。
【0028】
皮膚切片の作製は、上記の抗体を使用した比較染色法と同様である。例えば、調製した切片をのせたスライドグラスをドライヤーで乾かし、タンパク質の変性、核酸の固定などの通常の前処理を行う。そして、使用直前に予め一本鎖に熱変性させたDNA等を含むハイブリダイゼーション溶液をプローブと混ぜ、該混合液に前記スライドグラスを浸漬する。その後、SSC等の洗浄液を使用して数回プローブ溶液を洗浄する。そして、反応を停止したあとで水で洗い、水性封入剤で水性封入し、標識物質を検出する。最後に組織の染色を行うことにより、組織を眺めながらハイブリダイゼーションの結果を検討することも可能である。
【0029】
なお、これらの条件は、発色結果に基づいて適宜条件に変更を加えることで、最適な条件を決定することができる。
【0030】
【実施例】
以下実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(1)FGF−5S及びFGF−5の調製
FGF−5Sは、次のようにして調製した。FGF−5Sとマルトースバインディングプロテインとの融合タンパク質を発現するように、FGF−5SをコードするDNAをベクター(pMAL−c2)のEcoRI部位に挿入し、得られた組換えベクター(pMAL/humFGF5S)で大腸菌(E.coli BL21株)を形質転換した。
【0031】
上記形質転換体を培養し、isopropylthiogalactoside添加により発現した融合タンパクを、アミロース(アミロースレジン:New England BioLabs 製、Beverly, MA)にバインディングさせ、10mMマルトースでリリースさせ、特異的なプロテアーゼであるファクターXaでマルトースバインディングプロテインとFGF−5Sを分離した後、アミロースカラム(アミロースレジン:New England BioLabs 製、Beverly, MA)を用いてマルトースバインディングプロテインを除去し、FGF−5Sを得た。
【0032】
FGF−5については、公知のアミノ酸配列を基にして、配列番号1に示す合成ペプタイドを作製した。尚、配列番号1のアミノ酸配列は、FGF−5のエクソン3のアミノ酸配列の一部である。
【0033】
配列番号1に示すアミノ酸配列のうち、N末端のシステインはもともとの当該部分のアミノ酸配列には含まれないが、キーホール・リンペットのヘモシアニンを結合するために付与した。FGF−5の部分ペプタイドは、抗原としてモノクローナル抗体の作製に用いた。即ち、前記ペプタイド100μgとフロインドの完全アジュバントとを乳化し、BALB/cマウスに静脈注射した。更に1週間後と2週間後に100μgの抗原とフロインドの不完全アジュバントとを静脈注射した。4週間後には50μgの抗原を生理食塩水に溶解し静脈注射した。これらの感作したマウスより脾臓細胞を取り出し、ミエローマ細胞P3X63Ag8.65と融合させ、FGF−5特異的モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選び出し、これを培養してモノクローナル抗体を得た。
【0034】
一方、抗FGF−5・FGF−5Sモノクローナル抗体は、FGF−5S全タンパクを抗原とし、他は基本的にFGF−5特異的モノクローナル抗体と同様の方法で得た。尚、配列番号2、3及び4に、ラットのFGF−5塩基配列、FGF−5のアミノ酸配列及びFGF−5Sのアミノ酸配列をそれぞれ示す。
【0035】
(2)皮膚切片の染色
ウィスター系ラットの背部皮膚を採取し、ホルマリン固定後、脱水しパラフィン包埋した。これを切り出し切片を作製し、ゼラチンコートしたスライドグラス上にマウントし、キシレンで脱パラフィンし、エタノール系列で水和した。このようなスライドグラスを2枚用意した。一方のスライドグラスをFGF−5特異的モノクローナル抗体を用いて、他方のスライドグラスを抗FGF−5S・FGF−5モノクローナル抗体を用いて、それぞれ処理した。これらの試料をアビジン−ビオチンイムノペルオキシダーゼ法により染色した。即ち、ビオチン結合ヤギ抗マウス抗体(Chemicon,Temecula,CA)およびペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン(ニチレイ)溶液に、前記スライドグラスを順次浸漬した後、基質溶液[ジアミノベンジジン(SAB-PO(M)キット、ニチレイ)]に浸漬して、発色させた。このようにして、FGF−5特異的抗体或いは抗FGF−5S・FGF−5抗体が結合した位置を検知した。
【0036】
(3)結果
図1、図2の染色結果より、抗FGF−5S・FGF−5モノクローナル抗体では毛包のコルテックスおよび皮膚のマクロファージ様細胞が染色され、FGF−5特異的モノクローナル抗体では皮膚のマクロファージ様の細胞のみが染色された。これより、FGF−5は皮膚のマクロファージ様の細胞に存在し、FGF−5Sは毛包のコルテックスに存在することがわかる。
【0037】
更に図1からは、毛成長周期の移行に伴い毛包のコルテックスの染色強度が変化していることが分かり、FGF−5Sの発現量の変化が毛成長に関与していることがわかる。即ち、毛成長周期の成長期で毛包のコルテックス周辺でのFGF−5Sの発現量が増加していき、成長期後期(図1−b)でFGF−5の発現量が最大となり、その後退行期で減少していくのが分かる。またすでに知られているように、FGF−5陽性マクロファージ様細胞は、毛成長周期の移行に伴いその局在位置を変化させており、これら2種類のタンパクはそれぞれ別の役割を担いながら毛成長に関与していることもわかる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、毛髪が毛周期のどの周期の状態にあるかを、簡易且つ正確に鑑別することができる。その結果、脱毛を防止し、また、発毛を促進する情報を提供することができると期待される。
【0039】
【配列表】
Figure 0003855042
Figure 0003855042
Figure 0003855042
Figure 0003855042

【図面の簡単な説明】
【図1】 抗FGF−5S・FGF−5モノクローナル抗体による毛包コルテックスの染色像の顕微鏡写真である。aは成長期初期、bは成長期中期、cは退行期初期、dは退行期中期、eは退行期終期、fは休止期の状態を、また、gはネガティブ・コントロールを示す。
【図2】 抗FGF−5S・FGF−5モノクローナル抗体(a)、およびFGF−5特異的モノクローナル抗体(b)による皮膚マクロファージ様細胞の染色像の顕微鏡写真である。
【図3】 ラット由来のFGF−5cDNAの塩基配列、FGF−5タンパク質のアミノ酸配列およびFGF−5Sタンパク質のアミノ酸配列である。これらの配列は、配列番号2、配列番号3および配列番号4に記載した配列にそれぞれ対応する。

Claims (10)

  1. 毛包周辺系におけるFGF−5Sの発現を指標とすることを特徴とする毛髪の鑑別法。
  2. 毛包周辺系の組織が、毛包であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. FGF−5Sの発現を、FGF−5Sに結合する抗体を用いて検出することを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 更に、FGF−5の発現を指標とすることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. FGF−5S及びFGF−5の発現を、FGF−5S及びFGF−5に対する親和性が異なる少なくとも2種類の抗体を用いて検出することを特徴とする請求項4記載の方法。
  6. 前記抗体が、FGF−5に結合しFGF−5Sに結合しない抗体と、FGF−5S及びFGF−5に結合する抗体である請求項5記載の方法。
  7. 前記FGF−5S及びFGF−5の検出を、前記抗体を用いた皮膚切片における比較染色により行う請求項6記載の方法。
  8. FGF−5S及びFGF−5の発現を、皮膚切片中のFGF−5S及びFGF−5のそれぞれをコードするmRNAを、これらのmRNAを区別し得る核酸プローブを用いてイン・サイチュウハイブリダイゼーションにより検出することを特徴とする請求項4記載の方法。
  9. 毛包周辺系におけるFGF−5Sの発現を指標として毛髪を鑑別するためのキット。
  10. FGF−5に結合しFGF−5Sに結合しない抗体と、FGF−5S及びFGF−5に結合する抗体とを含む、毛髪の鑑別用キット。
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