JP3428441B2 - タイトジャンクション構成膜蛋白質クローディンファミリー - Google Patents
タイトジャンクション構成膜蛋白質クローディンファミリーInfo
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Description
ョン(Tight Junction,以下、TJと記載)の新規な構成
膜蛋白質に関するものであり、医学の分野で利用され
る。
接着の情報は、細胞の増殖、分化、炎症、癌転移などの
生命現象の調節、維持に深く関係している。接着に関与
している細胞間接着分子は細胞表面で集合して、接着の
ための特殊に分化した膜領域をつくることが多い。とく
に、上皮細胞において、カドヘリンなどの細胞間接着分
子は、その細胞質ドメインで細胞骨格と強く結合してい
ることが知られている。このような膜領域は、細胞間接
着装置と呼ばれ、主として次の4つに分類されている。
gap junction(GJ)、adherens junction (AJ)、
desmosome およびtight junction(TJ)である。TJ
は、上皮または内皮細胞層における細胞間接着装置の一
つである。それは、溶質および水が細胞外空間を自由に
通過することを妨げる物理的関門の役目を果たし(関門
機能)、細胞を取り巻く連続した周縁シールを構成す
る。またTJは、先端および基底外側形質膜領域間の境
界として細胞極性を形成し維持する役目を果たす(防壁
機能)と考えられている。オクルディンは、TJのみに
局在し、4個の膜貫通領域を持つ、現在知られている唯
一の構成膜蛋白質であり(Furuse,M.et al.,J.Cell Bio
l.,123,1777-1788,1993, Ando-Akatsuka,Y.et al.,J.Ce
ll Biol.,133,43-47,1996)、その後の研究により、オク
ルディンは、TJ鎖の生成に直接関与することおよびT
Jの機能性成分であることが報告されている。ところが
最近、オクルディンがただ1種のTJ構成膜蛋白質では
ないことが示唆された。すなわち、C端部切断オクルデ
ィンをMDCK細胞に導入すると、内因性オクルディン
は細胞間境界に沿って点状に再分布されるが、TJ鎖の
連続的網目構造は影響を受けない(Balda,M.S.et al.,
J.Cell Biol.,134,1031-1049,1996)。オクルディンの
第2細胞外ループに対応する合成ペプチドを培地に添加
すると、培養上皮細胞の接着装置領域から内因性オクル
ディンを駆逐するが上皮細胞の形態全体に影響を与えな
い(Wong,V.et al.,J.Cell Biol.,136,399-409,199
7)。さらに、いくつかの種における、非神経組織の内
皮細胞およびセルトリ細胞(Seritoli cell)は、TJを
もつがオクルディンは痕跡量しか発現しないことが報告
された(Hirase,T.et al.,J.Cell Sci.,110,1603-1613,
1997)。ごく最近になって、本発明者らは、幹胚葉(emb
ryonic stem , 以下ESと記載)細胞のオクルディン遺
伝子をノックアウトすることに成功したが、オクルディ
ン欠失ES細胞が発生過程で上皮細胞に分化した時、T
Jは隣接上皮細胞間によく発達することが見出されたの
である。この知見は、オクルディンが必ずしもTJの生
成自体に必要なのではないこと、およびオクルディンが
なくても鎖構造を形成し得る未同定のTJ構成膜蛋白質
(類)が存在することを、決定的に示した。オクルディ
ンの機能を理解するため、およびTJの分子体系を更に
明確に理解するために、TJの新しい構成膜蛋白質
(類)の同定が待望された。
白質を同定することにある。
密度に含むニワトリ肝臓より調整した接着装置画分を原
料として、オクルディンと行動を共にする蛋白質の同定
を試みた。まず、4Mグアニジン処理し不溶性画分を不
連続ショ糖密度勾配遠心分離により分画しSDS-PAGEにて
解析した結果、約22kDの幅広いバンドがオクルディンと
ともに行動する事を確認した。このバンドの上半分、下
半分にわけ、直接アミノ酸配列を解析し2種のペプチド
を確認した。ついで、GenBank/EMBL/DDBJからのホモロ
ジー検索の結果2種のESTクローンが見出され、この
EST配列を利用して、マウス肝臓cDNAライブラリーよ
り2種の相互に関連するcDNAを単離構造解析した。これ
ら蛋白質とFLAGペプチドとの融合蛋白質をコードするcD
NAをMDCK細胞に導入し、該蛋白質を安定的に発現するMD
CK細胞を用い、これら蛋白質の細胞内分布を顕微鏡観察
により調べたところTJ特異的に存在する事が確認さ
れ、それぞれクローディン1および2と命名した。クロ
ーディン1および2の塩基配列をもとに、ホモロジー検
索を行ったところRVP1(Rat androgen withdrawal apot
osis protein,Briehl and Miesfeld,Mol.Endocrinol.5:
1381-1388,1991, Peacock et al.,Gemomics 46:443-44
9,1997)、CPE-R(Clostridium perfringens enterotox
in receptor, Katabira et al.,J.Cell Biol.136:1239-
1247,1997)、TMCVF(Transmembrane potein deleted i
n Vela-cardio-facial syndrome, Sirotkin et al.,Gen
omics.42:245-251,1997)がホモロジーを持つことが見
出されクローディンが遺伝子ファミリーを構成する可能
性が示唆された。そこで、さらなるクローディンファミ
リーの構成員を見出すために、クーディン1とのホモロ
ジーで見出されたマウスESTクローンをもとに、PCRを行
って新規なクローディンをコードするcDNAを見出した。
このうちRVP1のマウスホモログをクローディン3、CPE-
Rをクローディン4(マウスCPE-Rの配列は既知であ
る)、TMCVFのマウスホモログをクローディン5と命名
した。さらにクローディン1〜5とは異なるESTクロー
ンの配列をもとにPCRを行ってクローディン6,7,8
を見出した。クローディン3〜8の構造を決定し、これ
ら蛋白質とFLAGペプチドとの融合蛋白質を発現するDNA
をMDCK細胞に導入したところ、クローディン3〜8全て
がクローディン1,2と同様にTJ特異的に存在する事
を見出した。以上の結果より生理学的機能が不明であっ
たRVP1、CPE-R、TMCVF(クローディン3,4,5)を含
め、クローディン1〜8がTJを構成する遺伝子ファミ
リー(以下、配列番号1および2あるいは配列番号18
から22に記載のアミノ酸配列を有するクローディン
1,2,3,5,6,7,8をまとめてクローディンフ
ァミリーと称す。)を形成すること見出し、本発明を完
成するに至った。すなわち本発明は、配列番号1および
2あるいは配列番号18から22に記載の(クローディ
ン4の配列は既知であるので記載していない)アミノ酸
配列を有するTJ構成膜蛋白質クローディン1,2,
3,5,6,7,8、それらをコードするDNA。これ
らDNAを含有するベクター、これらベクターを保持す
る形質転換体、これら形質転換体を培養し発現産物を回
収する事を含む蛋白質の製造方法。クローディンファミ
リーと結合するポリクローナル抗体又はモノクローナル
抗体。クローディンファミリーをコードするDNA配列
に由来する、少なくとも15個の連続する塩基からなる
オリゴヌクレイチドをプライマー又はプローブとして用
いる、生体試料中のクローディンファミリー遺伝子の解
析方法、およびクローディンファミリーの発現に影響を
与える薬物をスクリーニングする方法、に関する。本発
明のDNAは、その一部をプライマーまたはプローブと
して用いることにより、クローディン蛋白質の遺伝子解
析や遺伝子の発現の解析に利用することができる。一部
とは、プライマーまたはプローブとして使用するオリゴ
ヌクレオチドが本発明のDNA配列をもとに少なくとも
10個の対応する塩基配列を含むものからなり、好まし
くは少なくとも15個の塩基配列、さらに好ましくは少
なくとも約20〜30個の塩基配列を含むものからなる
対応するポリヌクレオチドを意味する。またプローブと
しては、さらに高分子のもの、全DNAも使用すること
ができる。本発明のクローディン蛋白質の全部または一
部をエピトープとして用い、抗体の作成、およびその抗
体を用いる研究用、診断用試薬として利用することがで
きる。エピトープとは、ポリペプチドの抗原決定基を意
味し、一般に少なくとも6個のアミノ酸で構成され、6
個のアミノ酸で構成されるポリペプチドが抗体と結合す
ることは公知である(公表特許公報60-500684 号)。本
蛋白質の抗原ペプチドは、本発明のアミノ酸配列に基づ
いて、連続してなる少なくとも6個のアミノ酸、好まし
くは連続してなる少なくとも8個のアミノ酸、より好ま
しくは連続してなる少なくとも約15個のアミノ酸、さ
らに好ましくは連続してなる少なくとも約20個のアミ
ノ酸からなるポリペプチドを意味する。
itaらの方法に調整することができる(Tsukita,Sh.et a
l.,J.Cell Biol.,108,31-41,1989, Furuse,M.et al.,J.
Cell Biol.,123,1777-1788,1993)。遺伝子操作法は成
書(Maniatis et al.,Molecular Cloing:A Laboratory
Manual, Cold Spring Harbor Laboratory,1989)に記載
されている方法にしたがった。本発明のモノクローナル
抗体の調製はクローディンを抗原とし、必要に応じてキ
ャリアー蛋白との複合体を作り、これを動物に接種して
免疫する。上記免疫動物の脾臓あるいはリンパ節から得
られた抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合し、クローディ
ンに強い特異性を示す抗体を産生するハイブリドーマを
選択することにより調製される。その操作は従来既知の
方法に準ずればよい。免疫抗原としては天然精製品、遺
伝子組換手法あるいは化学合成手法による生産品などい
ずれも使用できる。遺伝子組換手法によるクローディン
の調製は、クローディンをコードするcDNAをクロー
ディンの発現に適したベクターのプロモター下流に制限
酵素とDNAリガーゼを用いる公知の方法により再結合
して組換え発現ベクターを作製することでできる。ベク
ターは宿主内で複製、増幅可能であれば特に限定されな
い。プロモーターおよびターミネーターに関してもクロ
ーディンをコードする塩基配列の発現に用いられる宿主
に対応したものであれば特に限定されず、宿主に応じて
適切な組み合わせも可能である。このようにして得られ
た組換え発現ベクターはコンピテント細胞法(J. Mol.
Biol., 53, 154,1970)、リン酸カルシウム法(Scienc
e, 221, 551, 1983 )、などにより宿主に導入し、形質
転換体が作製される。宿主としては大腸菌および動物細
胞などが用いられ、得られた形質転換体はその宿主に応
じた適切な培地中で培養される。培養は通常20℃〜45
℃、pH5〜8の範囲で行われ、必要に応じて通気、撹拌
が行われる。培養物からのクローディンの分離、精製は
公知の分離、精製法を適宜組み合わせて実施すれば良
い。これらの公知の方法としては塩析、溶媒沈殿法、透
析ゲル炉過法、電気泳動法、イオン交換クロマトグラフ
ィ、アフィニティクロマトグラフィー、逆相高速液体ク
ロマトグラフィなどが挙げられる。
るフラグメントあるいはペプチドであってもよく、クロ
ーディンの全アミノ酸配列から適宜選択することができ
る。クローディンのアミノ酸配列から4箇所の膜貫通部
位を有すると予想されることから、目的に応じて細胞膜
の外部内部など適宜選択し抗原として採用し、目的とす
る抗体を作製することができる。抗原とキャリア蛋白の
複合体の調製は種々の縮合剤を用いることができるが、
グルタルアルデヒド、カルボジイミド、マレイミド活性
エステル等が使用できる。キャリア蛋白は牛血清アルブ
ミン、サイログロブリン、ヘモシアニン等の常用されて
いるものでよく、通常1〜5倍量の割合でカップリング
させる方法が用いられる。免疫される動物としてはマウ
ス、ラット、ウサギ、モルモットなどがあげられ、接種
方法は皮下、筋肉あるいは腹腔内に投与される。投与に
際しては完全フロイントアジュバンドや不完全フロイン
トアジュバンドと混和して投与してもよく、投与は通常
2〜5週毎に1回ずつ行われる。免疫された動物の脾臓
あるいはリンパ節から得られた抗体産生細胞は骨髄腫細
胞と細胞融合させられハイブリドーマとして単離され
る。骨髄腫細胞としてはマウス、ラット、ヒト等由来の
ものが使用され、抗体産生細胞と同種由来のものである
ことが好ましいが、異種間においても可能な場合もあ
る。細胞融合の操作は既知の方法、たとえばケーラーと
ミルスタインの方法(Nature, 256, 495, 1975)に従い
実施できる。融合促進剤としてはポリエチレングリコー
ルやセンダイウイルスなどが挙げられるが、通常20〜50
%程度の濃度のポリエチレングリコール(平均分子量10
00〜4000)を用いて20〜40℃、好ましくは30〜37℃の温
度下、抗体産生細胞数と骨髄腫細胞数の比は通常1:1
〜10:1程度、約1〜10分間程度反応させることによ
り細胞融合を実施することができる。抗クローディン抗
体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の免疫
化学的方法が使用できる。たとえば、クローディンをコ
ートしたマイクロプレートを用いるELISA(Enzyme
-linked immunosorbent assay )法、抗免疫グロブリン
抗体をコートしたマイクロプレートを用いるEIA(En
zyme immunoassay)法、クローディンを含むサンプルを
電気泳動後ニトロセルロース転写膜を用いるウエスタン
ブロット法などがあげられる。このようなウエルから更
に例えば限界希釈法によってクローニングを行いクロー
ンを得る。ハイブリドーマの選別、育種は通常HAT
(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加
して、10〜20%牛胎児血清を含む動物細胞用培地(例、
RPMI1640)で行われる。このようにして得られたク
ローンはあらかじめブリスタンを投与したBALB/C
マウスの腹腔内へ移植し、10〜14日後にモノクローナル
抗体を高濃度に含む腹水を採取し、抗体精製の原料とす
ることができる。また、該クローンを培養し、その培養
物を抗体精製の原料とすることもできる。モノクローナ
ル抗体の回収は免疫グロブリンの精製法として既知の方
法を用いればよく、たとえば、硫安分画法、PEG分画
法、エタノール分画法、陰イオン交換体の利用、さらに
アフィニティクロマトグラフィなどの手段により容易に
達成することができる。本発明によって得られた抗クロ
ーディンモノクローナル抗体を用いる免疫学的方法によ
り生体試料中のクローディンの定性、定量を行うことが
できる。免疫学的方法としては、生体試料を必要に応じ
て適切に処理、たとえば細胞の分離、抽出操作などした
試料について、免疫組織染色法、酵素免疫測定法、凝集
法、競合法、サンドイッチ法など既知の方法を適用する
ことができる。免疫組織染色法は、例えば標識化抗体を
用いる直接法、該抗体に対する抗体の標識化されたもの
を用いる間接法などにより行ないえる。標識化剤として
は螢光物質、放射性物質、酵素、金属、色素など公知の
標識物質はいずれも使用できる。本発明のモノクローナ
ル抗体はFc’あるいはFc領域を除去したFab’あ
るいはFab画分、あるいはその重合体を用いてもよ
い。またそのキメラ抗体、ヒト化抗体であってもよい。
スクリーニングは以下のように実施できる。クローディ
ンを発現する細胞株を、ノーザンブロッティング・RT-P
CR等のクローディンmRNAの発現により選択する。また、
上に述べた方法により得られた抗体を用いて蛍光抗体法
・酵素抗体法等により選択しても良い。選択した細胞を
被験薬剤の存在下に培養し、クローディンmRNA発現量を
ノーザンブロッティング・スロットブロットハイブリダ
イゼーション・RT-PCR等により、あるいはクローディン
の発現量を蛍光抗体法・酵素抗体法等により定量し、被
験薬剤のクローディンの発現に対する影響を測定する。
たとえば、実施例3に記載した方法に準ずることができ
る。また、より容易に大量の薬剤をスクリーニングでき
るように以下のような工夫をしても良い。ヒトDNAライ
ブラリーより、クローディンcDNAの5'領域とハイブリダ
イズするクローンを選び出し、適当なプロモータースク
リーニングシステムに挿入してプロモーター活性を持っ
たクローンを選択する。場合によっては、ここでプロモ
ーター活性に必須の領域を絞り込んでも良い。ここで選
択したクローディンのプロモーター領域を持ったDNA
を、活性の測定が容易な酵素、例えばルシフェラーゼ・
アルカリフォスファターゼなどをコードするDNAの上流
に挿入してレポーター遺伝子を構築する。このレポータ
ー遺伝子をNeor,hygrなどの適当な耐性遺伝子と共に培
養が可能な細胞、例えばHeLa細胞等に導入後、耐性遺伝
子に対応した薬剤で選択し、クローディンを発現させる
プロモーターの活性を測定できる細胞株を確立する。こ
の細胞株に薬剤を作用させて導入した酵素の活性を測定
し、クローディンの発現に影響を与える薬剤のスクリー
ニングを実施する。別のスクリーニング系として、クロ
ーディンファミリーと結合する化合物の選択に利用する
ことができる。結合する化合物はクローディンの機能に
影響を与える可能性を有し、また実施例に示されるよう
にクローディンファミリーの分布に臓器特異性が見られ
ることから、クローディンファミリーに対する結合能に
特異性を有する化合物であれば、臓器特異的な作用を発
現する可能性がある。スクリーニング法の一例として、
クローディンDNAで形質転換した細胞またはその細胞
膜あるいは単離されたクローディン蛋白質またはその部
分ペプチドなどが使用される。適切な条件下で、クロー
ディンと試験化合物とを反応させ両者の結合の有無を測
定すればよい。測定手法は例えば標識物質を適宜利用す
ることにより測定することができる。また、クローディ
ン4がClostridium perfringensのエンテロトキシンの
レセプターであり、クローディン3もエンテロトキシン
と結合する(Kitahara et al.,J.Biol.Chem.272:26652-
26658,1997)ことから、クローディンファミリーとエン
テロトキシンの結合を阻害する化合物は、エンテロトキ
シン阻害剤として期待され、クローディンファミリーの
遺伝子産物はエンテロトキシン阻害剤のスクリーニング
に利用することが可能である。なお、本発明が構造解析
したクローディンファミリーはマウス由来であるが、本
発明のクローディンファミリー遺伝子解析方法およびス
クリーニング方法はヒト由来のクローディンファミリー
を使用した場合も本発明の範囲に含まれるものである。
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施
例に使用する抗体および細胞は下記の通りである。ウサ
ギ抗ニワトリオクルディンポリクロナール抗体(F44)、
ラット抗ニワトリオクルディンモノクロナール抗体(Oc-
1)およびラット抗マウスオクルディンモノクロナール抗
体(MOC37)は常法により作製した。ラット抗マウスE-カ
ドヘリンモノクロナール抗体(ECCD2)は竹内教授(京都大
学)より譲り受けた。マウス抗FLAGモノクロナール抗体
(M2)(イーストマンコダック社製)とウサギ抗GFPポリク
ローナル抗体(クロンテック社製)は試薬を使用した。
MDCK II細胞(Madin-Darby腎タイプII細胞)は10%ウシ胎
児血清を含むDMEM培養液中にて増殖させた。SDSポリア
クリルアミド電気泳動はLaemmli (1970)の方法に準じ一
次元SDS-PAGE (12.5%)を行い、銀染色にて解析した。イ
ムノブロッティングは、ゲルからニトロセルロース膜に
転写後、抗体と反応させ、結合した抗体はビオチン化第
二抗体およびストレプトアビジン化アルカリホスファタ
ーザ(アマシャム社)を用い検出した。酵素基質はニト
ロブルーテトラゾリウムとブロムクロロインドリルリン
酸を使用した。
合分画のSDS−PAGEにおけるオクルディンおよび
約22kDバンドの同定 オクルディンは最初抗原としてニワトリ肝臓から分離し
た接着装置画分を抗原として作製したモノクローナル抗
体(mAb)により同定されたが(Furuse,M.et al.,J.
Cell Biol.,123,1777-1788,1993)、分画中のオクルデ
ィンが銀染色バンドとして検出するに十分なほど大量に
存在するか否かについては検討されていない。そこで、
分離した接着装置画分を0.1%SDS含有溶液で可溶
化し、オクルディンを抗ニワトリオクルディンポリクロ
ナール抗体(pAb、F44)により免疫吸着した。非
処理群と抗体処理群との銀染色パターンと比較すると、
F44処理接着装置画分のそれは60kD付近のバンド
を特異的に欠失していた。そこで、発明者らは、オクル
ディンは、銀染色ゲルにおいて単一の60kDバンドと
して検出できると結論した。そこで、発明者らは、分離
した結合分画の数々のバンドから、下記の処理において
60kDのオクルディンバンドと行動を共にするバンド
またはバンド類を同定することを試みた。ニワトリ肝臓
からの接着装置画分(Junction fraction)の分離は、1
〜2日齢のヒヨコ肝臓粗膜画分および胆細管画分より本
発明者らの方法により調整した。320 羽ヒヨコより約20
mlの接着装置を含むショ糖溶液を得ることができる。オ
クルディンを免疫吸収するために、100μlの接着装置画
分溶液を10mM Tris-HCl溶液(pH 7.5)にて洗浄し、遠心
分離により得られたペレットを100μl SDS溶液(0.1% SD
S, 150mM NaCl, 10mM Tris-HCl, pH 7.5)にて数回洗浄
した。室温で15分放置後、100μlのNP-40溶液(2% NP-
40, 150mM NaCl, 10mM Tris-HCl, pH 7.5)を添加し、15
000xg, 20分間遠心分離した。25μlのウサギ抗ニワトリ
オクルディン血清(F44)と反応させた40μl容量相当のPr
otein A-Sepharose 4B(ファルマシア製)に前記上清を添
加し、4℃、2時間撹拌した後、その上清をSDS-PAGEに
供した。接着装置画分より、抹消膜蛋白質を完全に除く
ために、400μlの接着装置画分を10mM Tris-HCl溶液(pH
7.5)にて、遠心分離操作(15000xg, 5分)により2回洗
浄した。得られたペレットを800μlのグアニジン溶液(4
M グアニジン-HCl, 10mMTris-HCl, pH 7.5)に懸濁し氷
中30分放置後、700μlの10mM Tris-HCl溶液(pH 7.5)を
添加し希釈する。溶解した抹消膜蛋白質は遠心分離によ
り除去し、得られてペレットをSDS-PAGEに供し抹消膜蛋
白質の有無を確認した。予想通り、60kDのオクルデ
ィンバンドはグアニジン抽出に抵抗した。オクルディン
バンドに加えて、9個のバンドがグアニジン不溶性分画
中に検出され、その量はオクルディンのそれと同様また
はさらに多かった。これらのバンドは、仮に、上からバ
ンド1−9と称した(図1)。次いで、分離した接着装
置画分の分画は下記のように処理した。1.8 mlの画分を
600μlの10 mM HEPES溶液(pH 7.5)にて2回洗浄した
後、Sonifier 250(ブランソンウルトラソニット社製)を
用い10秒間超音波処理した。次いで、50%(wt/wt)ショ糖
溶液を加え、38%(wt/wt)ショ糖溶液とした。ショ糖濃
度50%、46%、42%、38%(サンプル含有)、34%、30
%、25%、20%、0%の不連続ショ糖溶液中で4000回
転、1.8時間、4℃にて遠心分離した(SW41ローター、ベ
ックマン社製)。それぞれの中間相を分取し、0〜20%
層と20〜25%層を、42〜46%層と46〜50%層を併せそれ
ぞれ0〜25%層、42〜50%層と命名した。 それぞれ200
μlに、800μlの10 mM HEPES液(pH 7.5)を添加し、80,0
00回転1時間4℃にて遠心分離した(TLA100.2ロータ
ー、ベックマン社)。得られたそれぞれのペレットはSD
S-PAGE分析に供し、銀染色した後、オクルディンバンド
の分布を他のグアニジン不溶性バンド(バンド1ー9)の
それと比較した。その結果、このショ糖密度勾配条件下
において、オクルディンは25:30%、30:34%
および34:38%の層で大量に回収されたが、0:2
5%、38:42%および42:50%の層では痕跡量
しか回収されず(抗オクルディンmAbを使用して確
認)、バンド1−9の中で、バンド9のみがオクルディ
ンと同一の分布パターンを示す事が判明した。一方、他
のグアニジン不溶性バンド1−8はオクルディンと異な
る行動を示し、バンド1−6&8、およびバンド7はそ
れぞれ0:25%層、および38:42%/42:50
%層に分画されていた。それ故、発明者らは、分離した
結合分画中の数々のバンドの中で、バンド9のみが、グ
アニジン処理のみならず超音波処理とその後のしょ糖密
度勾配遠心分離でも行動を共にしたと結論した。発明者
らは、バンド9中の22kDポリペプチド(類)が、オ
クルディンと共にTJ鎖を構成する内在性膜蛋白質の良
好な候補(類)であると推測した。
をコードしている完全長cDNAのクローニング グアニジン不溶性分画中の22kD付近の幅広いバンド
9を試験的に下半部と上半部に分け、これを直接ペプチ
ド配列決定に付した。ペプチドの構造解析は接着装置4
Mグアニジン不溶性画分を12.5%のポリアクリルアミドゲ
ルにて電気泳動を行い、22 kDに位置する広いバンド
(図1のNo.9のバンド)の上部半分および下部半分を直
接アミノ酸配列の解析に供した。すなわち下部半分のバ
ンドはポリビニリデンジフルオライド (PVDF) 膜(バイ
オラド社製)に転写後、クマシーブリリアントブルーR-
250にて染色し、HPG1005A蛋白シークエンサー(ヒュー
レット・パッカード社)にて解析した。上部半分のバン
ドは、ゲルをCBB染色後抽出しRosenfeld (1992)に従
い、アミノ酸配列をゲル内分解法 (in-gel digestion m
ethod) 解析した(Rosenfeld,I.et al.,Anal. Biochem.
203,173-197,1992)。その結果、22 kDバンドの上部お
よび下部より二つのペプチドを確認した。ホモロジー検
索により2種のESTクローンすなわちヒトESTクロ
ーン(寄託番号AA305424)およびマウスEST
クローン(寄託番号AA116709)が同定された
が、これらはそれぞれペプチド配列1および2に顕著な
ホモロジーを示すアミノ酸配列をコードするものであっ
た。これらのEST配列を使用して、マウス肝臓cDN
Aから2種の異なるが相互に関連するcDNAを分離し
た。cDNAのクローニングは、マウス肝の全RNAをChomzyn
skiの方法 (1987)に従い抽出し、poly A(+) RNAはオリ
ゴdTセルロース(ニューイングランドバイオラボス社
製)を用いて調整した。単鎖cDNAは、このpoly A(+) RN
AをもとにSuperscript TMII reversetranscriptase(ギ
ブコ社製)により作成しPCRに供した。マウス肝のλgt1
0 cDNAライブラリーは、Time Saver TM cDNA Symthesis
キット(ファルマシア社製)を用いて作製しcDNAスクリ
ーニングに供した。塩基配列はDye Terminater Cycle S
equence Kit(アプライドバイオシステムズ社製)を用
いて決定した。
結果ヒトESTクローン(accession No. AA305424)はペプ
チドと高い相同性を有していることがわかった。そこ
で、ヒトEST配列をもとにデザインした配列番号5およ
び配列番号6に記載の二種のプライマーを用い、マウス
肝単鎖cDNAをPCRに供したところ216塩基対を有するDNA
断片の増幅物が得られた。塩基構造解析の結果ヒトEST
のマウス相同体をコードするDNAであることが判明し
た。このcDNA断片を鋳型として、DIG標識プローブをDIG
High Prime標識キット(ベーリンガーマンハイム社
製)を用いて作製し、λgt10 マウス肝cDNAライブラリ
ーのスクリーニングに供した。その結果、0.9 Kbの陽性
クローン(INO1)を得、これをpBluescript SK(-)を用い
サブクローニングを行った。ペプチド1配列はN末端部
分の配列を有していることから、このクローンはORFの
3'-非コード領域を含み、ORFの5'末端部分を含まないこ
とが判明した。そこで、マウスESTクローンのデータベ
ース検索したところAccession No 562761が同定され、
このクローンはINO1の3'末端に5'末端配列が接続しペプ
チド-1配列と高い相同性をもつポリペプチドをコードし
ていることが判明した。すなわちこのクローンは5'側非
コード領域、ORFの5'末端を含有していた。ESTクローン
およびINO1をもとにデザインした二種のプライマー、す
なわち配列番号7および配列番号8記載のDNAをプライ
マーとして用い、マウス肝単鎖cDNAをPCRに供し、全ORF
を含むcDNAの調整を試みた。増幅産物をpGEM-T Easy Ve
ctor(プロメガ社製)を用いサブクローニングを行い、
pGTCL-1と命名した。構造解析の結果、クローディン1
のcDNAは、推定分子量22.9 kdをもつアミノ酸211個のポ
リペプチドをコードしているORFを含んでいた(配列番
号1)。
ち、Genbankデータベースを用いる相同性解析によりマ
ウスESTクローン (accession No. AA116709)を確認。ペ
プチド2配列と高い相同性を有するペプチドをコードす
るこのクローンはORFの3'末端及び3'非コード領域を含
有し、ORFの5'末端は含有していない。マウス肝cDNAラ
イブラリーをMarathonTM cDNA増幅キット(クローンテ
ック社製)を用し調整し、ESTクローンからデザインし
た配列番号9記載のオリゴヌクレオチドおよびキットに
備えられたAP-1プライマーを用いPCRを実施した。PCR増
幅物の構造解析したところ、5'側の非コード領域および
ORFの5'末端部を含むことが確認された。次いで、EST配
列およびこの増幅物よりデザインされた二種のプライマ
ー、すなわち配列番号10および配列番号11記載のプ
ライマーを用いて全ORFを含むcDNAをPCR法により増幅さ
せた。pGEM-T Easy vector(プロメガ社製)を用いサブ
クローニングを行い、これをpGTCL-2と命名した。。さ
らなるプラスミド構築に関して、挿入物はpGTCL-2のEco
RI分解により調整し、pBluescript SK(-)に挿入し、こ
のプラスミドをpSKCL-2と命名する。これらのcDNAは、
推定分子量24.5 kdをもつアミノ酸230個のポリペプチド
をコードしているORFを含んでいた。これらのポリペプ
チドは互いに配列の類似性(アミノ酸配列レベルで38
%の同一性)を示したが、オクルディンには示さなかっ
た。さらに、親水性プロッティングは、オクルディンと
同様に、クローディン1および2の両者が4個の膜貫通
領域を含むことが推測された。
めに、発明者らはC端にFLAGペプチドまたはGFPを結合さ
せたクローディン1および2の発現ベクターを構築し
た。まず、FLAGペプチドを結合させたクローディン1発
現ベクター(pCCL1F)を作製するために、配列番号12お
よび配列番号13記載のオリゴヌクレオチドをプライマ
ーとするPCRによりクローディン-1のストップコドン部
にBamH1認識配列を導入した。このPCR産物のEcoRI-BamH
I断片とpGTCL-1のSacI-EcoRI断片をSacIおよびBamHIに
て分解したpBluescript SK(-)に同時に導入し、pSKCL-1
CBを構築した。FLAGペプチドをコードするアダプターDN
Aは、配列番号14および配列番号15に記載の二つの
オリゴヌクレオチドをアニールし、T4 polynucleotide
kinaseを作用させリン酸化することにより作製した。FL
AG標識クローディン1をコードするDNAを含有するプラ
スミドpSKCL-1Fは、FLAGアダプターと、BamHIとEcoRVで
消化したpSKCL-1CBを結合させることにより作製した。p
SKCL-1FをSacI-KpnIで消化したのちT4ポリメラーゼで平
滑末端としたDNAをpCAGGS-neodel EcoRI (Niwa et al 1
991)に導入しFLAG標識クローディン1の発現ベクターを
pCCL-1Fを調整した。FLAG標識クローディン2発現ベク
ターpCCL-2Fは上記クローディン1の場合と基本的に同
手法により調整した。配列番号16および配列番号17
記載のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行
い、クローディン2 cDNAのストップコドンにBamHI認識
配列を導入した。pSKCL-2のSacIとXhoIとの消化断片と
このPCR増幅産物のXhoIとBamHIとの消化断片をSacIとBa
mHIで消化したpSKCL-1Fに導入し、FLAG標識ペプチドを
コードするDNAを含有するプラスミドを調整した。このF
LAG標識クローディン2 cDNAはpCAGG neodel EcoRIに導
入し、発現ベクターpCCL-2Fを調整した。GFP標識クロー
ディン1発現ベクター(pBCL-1G) を作製するために、pQ
BI25(クアンタムバイオテクノロジー社製)から調整し
たGFPのcDNAの上流にXbaI認識配列とグアニン12塩基断
片(グリシン4残基をコード)を導入し、pBluescript
に挿入した(pGGLG4)。クローディン1 cDNAのストップ
コドンにXbaI認識配列をPCRを用いて導入したのち、pGG
LG4のXbaI認識配列に挿入した。クローディン1のGFP融
合タンパク質をコードするDNAを発現ベクターpBATEM2(N
ose, 1988) に導入し、発現ベクターpBCL-1Gを作製し
た。MDCKII細胞は形質転換用細胞として使用した。形質
転換効率を良くするために、50 mM Ca++含有DMEM (LCM)
に5% FCS(Ca++を除去したもの)を添加した培養液にて
一晩培養(35 mm dish)したのち、血清フリーLCMで2回
洗浄する。1 mgのpCCL-1F, pCCL2FまたはpBCL-1Gを0.1
mgのpSTneoB (Katoh, 1987)と共に、1 mlのLCM培養液中
(Lipofectamine Plus:ギブコ社製)、上記細胞と反応
させた。5時間反応後、2 ml 10% FCS含有DMEMを添加
し、細胞を一日培養する。次いで、10% FCSおよび300 m
g Geneticine(ギブコ社製)を含むDMEM培養液を用い、
2個の9 cm dishにて培養し安定な形質転換細胞を選択
した。10〜14日後Geneticine抵抗性コロニーを選択し、
融合タンパク質を発現するクローンを抗FLAG抗体又はGF
Pフルオレセインを用いて蛍光顕微鏡にてスクリーニン
グした。上記の方法により、発明者らは、FLAGペプチド
またはGFP(緑色蛍光蛋白質)で標識したクローディン
1および2を培養MDCK細胞に導入したところ、予想通り
の分子量をもったFLAG標識クローディン1、FLAG標識ク
ローディン2およびGFP標識クローディン1を安定的に
発現するMDCK細胞が得られた。次いで、これらの標識蛋
白質の細胞下分布を、オクルディンおよびEカドヘリン
のそれと比較しながら共焦点顕微鏡法で調べた。図2に
示すように、導入したFLAG標識クローディン1およびFL
AG標識クローディン2の両者がTJでオクルディンと精
確に並置された。コンピューターで作成した断面像か
ら、FLAG標識クローディン1およびFLAG標識クローディ
ン2が密集して遺伝子導入したMDCK細胞膜頂端部におい
てオクルディンと精確に並置されることを明らかにした
が、Eカドヘリンはさらに下側に局在するようであり、
これはクローディン1またはクローディン2の分布と重
ならないことを示すものであった。同様な結果が、GFP
標識クローディン1発現MDKCK細胞でも得られたが、こ
れは標識蛋白質が導入蛋白質の細胞下分布に影響した可
能性を除外するものであった。これらの知見は、クロー
ディン1および2の両者がTJに濃縮されていることを
示した。これらの蛋白質がTJ鎖自体上に局在するか否
かを調べるために、FLAG標識クローディン1、FLAG標識
クローディン2およびGFP標識クローディン1を発現す
るMDCK細胞を、抗FLAGモノクローナル抗体または抗GFP
ポリクローナル抗体を使用して免疫凍結破砕レプリカ法
により分析した。すべての場合に、TJ鎖は特異的に標
識されたが、これはクローディン1および2の両者がT
J鎖に直接取りこまれたことを示すものであった。最後
に、発明者らは、種々の組織におけるクローディン1お
よび2の発現をノザーンブロッティングにより調べた。
クローディン1および2をコードするDNAを32PdCTPでラ
ベルし、ExpressHybTM Hybridization Solution (Clont
ech)中で68℃12時間ハイブリダイズ後、2xSSC, 0.1%SDS
中にて室温で30分、0.1xSSC, 0.1%SDS中にて50℃で30分
洗った。その後、Bio-Imageing Analyzer BAS2000(フ
ジ写真フィルム社製)イメージングプレートに12時間露
光し、BAS2000にて解析した。クローディン1のmRN
Aは試験したすべての組織において大きな4.0kbバ
ンドおよび小さな1.3kbバンドとして検出され、特
に肝臓および腎臓で大量に検出された。対照的に、クロ
ーディン2の発現(大きな4.0kbおよび小さな2.
0kbのmRNA)は肝臓と腎臓(および脳に少量)に
限定されていた。この事は、クローディン類は組織特異
性を有する可能性があると推察される。
をコードしている完全長cDNAのクローニング クローディン1の配列をもとにしてGenBank/EMBL/DDBJ
の検索を行ったところ、15個のマウスESTクローンを見
出した。このうちRVP-1とホモロジーを持つ重複する4
つのEST配列をもとにPCRを行い、RVP-1マウスホモログ
のクローディン3のcDNAを得た(配列番号18)。ま
た、TMVCFとホモロジーを持つ重複する2つのEST配列を
もとにPCRを行い、TMVCFマウスホモログのクローディン
5のcDNAを得た(配列番号19)。クローディン3のcD
NAは、推定分子量23.3 kdをもつアミノ酸219個のポリペ
プチドをコードしているORFを含んでいた。また、クロ
ーディン5のcDNAは、推定分子量23.1 kdをもつアミノ
酸218個のポリペプチドをコードしているORFを含んでい
た。残った9個のESTクローンはクローディン1および
2とホモロジーが認められるものの、クローディン1な
いし5とは異なることが見出された。この配列をもとに
プライマーを設定しPCRを行って、クローディン6,
7,8のORFを含む完全長のcDNAを得た。クローディン
6のcDNAは、推定分子量23.4 kdをもつアミノ酸219個の
ポリペプチドをコードしているORFを含んでいた(配列
番号20)。クローディン7のcDNAは、推定分子量22.6
kdをもつアミノ酸211個のポリペプチドをコードしてい
るORFを含んでいた(配列番号21)。クローディン8
のcDNAは、推定分子量24.9 kdをもつアミノ酸225個のポ
リペプチドをコードしているORFを含んでいた(配列番
号22)。また、クローディン1および2と同様にクロ
ーディン3ないし8も4個の膜貫通領域を含むことが推
定された。
の細胞内および臓器分布 マウスクローディン3ないし8の細胞内分布 マウスクローディン3ないし8の細胞内分布を調べるた
めに、発明者らはC端にFLAGペプチドを結合させたクロ
ーディン3ないし8の発現ベクターを構築した。クロー
ディン3ないし8のcDNAの3'端にEcoRI認識配列を導入
し、pBluescriptSK(-)-HA-tagに挿入した。その後SalI-
XbaIで切り出し、T4 polymeraseで平滑末端化してpCAGG
SneodelEcoRIに挿入した。構築したFLAG標識クローディ
ン3ないし8発現ベクターを、実施例3と同様にMDCK細
胞にトランスフェクション後Geneticineで選択し、Gene
ticine抵抗性で安定してFLAG標識クローディン3ないし
8を発現するクローンを分離した。FLAGに対するモノク
ローナル抗体を用いクローディン3ないし8の細胞内分
布を共焦点顕微鏡で調べた。コンピューターで作製した
断面像より、クローディン3ないし8は培養したMDCK細
胞の頂端部のTJにオクルジンと共に存在し、基底部に
存在するカドヘリンとは異なった分布をすることが見出
された。 マウスクローディン3ないし8の臓器分布 クローディン3ないし8に特異的なプローブをデザイン
し、ノーザンブロティングを行ってその臓器分布を調べ
た。その結果、クローディン3は肺と肝臓に大量に発現
し、腎臓と精巣に少量発現していた。クローディン4,
7,8は肺と腎臓に発現していた。これに対しクローデ
ィン5は調べた全ての臓器に発現し、特に肺に大量に発
現していた。クローディン6は調べた臓器で発現は認め
られなかったが、RT-PCRで腎臓での発現が認められた。
クローディン6に対応するマウスESTクローンは全てマ
ウス胎児由来であり、クローディン6の発現が発達段階
により制御を受けている可能性が考えられた。また、ク
ローディン3,5には大きさの異なる2つのmRNAが認め
られ、alternative-splicingが起きていることが考えら
れた。
に対するポリクローナル抗体の作製 クローディンに対する家兎ポリクローナル抗体の作製を
試みた。クローディン3,4,8のカルボキシ末端に対
応するペプチド(配列番号22,23,24)をシステ
インを介してKeyhole limpet hemocyaninと結合させ、
家兎に免疫した。その抗血清をクローディン3,4,8
のカルボキシ末端の細胞質領域とGSTとの融合蛋白でア
フィニティ精製し、 クローディン3,4,8に対する
ポリクローナル抗体を得た。そして、ウェスタンブロッ
ティングにより、それぞれのポリクローナル抗体がクロ
ーディン3,4,8のカルボキシ末端の細胞質領域とGS
Tとの融合蛋白を特異的に認識することを確認した。肝
臓と腎臓の凍結切片をクローディン3,4,8に対する
ポリクローナル抗体とオクルジンに対するモノクローナ
ル抗体で2重染色した。その結果、肝臓ではクローディ
ン3がオクルディンと一致して細胆管(bile canalicul
i)に沿って存在した。また、腎臓の遠位尿細管ではク
ローディン3,4,8がオクルディンと一致して存在し
ていたが、近位尿細管では少量しか存在していなかっ
た。
ディン不溶性画分のSDS-PAGE解析の図である。
標識クローディン1及び2、とオクルディンの分布を示
すMDCK細胞染色像の図である。
Claims (22)
- 【請求項1】 タイトジャンクション構成膜蛋白質のク
ローディンファミリーをコードするDNAであって、配
列番号1に記載のアミノ酸配列を有するクローディン1
をコードするDNA。 - 【請求項2】 タイトジャンクション構成膜蛋白質のク
ローディンファミリーをコードするDNAであって、配
列番号2に記載のアミノ酸配列を有するクローディン2
をコードするDNA。 - 【請求項3】 タイトジャンクション構成膜蛋白質のク
ローディンファミリーをコードするDNAであって、配
列番号18に記載のアミノ酸配列を有するクローディン
3をコードするDNA。 - 【請求項4】 タイトジャンクション構成膜蛋白質のク
ローディンファミリーをコードするDNAであって、配
列番号19に記載のアミノ酸配列を有するクローディン
5をコードするDNA。 - 【請求項5】 タイトジャンクション構成膜蛋白質のク
ローディンファミリーをコードするDNAであって、配
列番号20に記載のアミノ酸配列を有するクローディン
6をコードするDNA。 - 【請求項6】 タイトジャンクション構成膜蛋白質のク
ローディンファミリーをコードするDNAであって、配
列番号21に記載のアミノ酸配列を有するクローディン
7をコードするDNA。 - 【請求項7】 タイトジャンクション構成膜蛋白質のク
ローディンファミリーをコードするDNAであって、配
列番号22に記載のアミノ酸配列を有するクローディン
8をコードするDNA。 - 【請求項8】 請求項1ないし7に記載のDNAを含有
するベクター。 - 【請求項9】 請求項8に記載のベクターを保持する形
質転換体。 - 【請求項10】 配列番号1に記載のアミノ酸配列を有
するタイトジャンクション構成膜蛋白質クローディン
1。 - 【請求項11】 配列番号2に記載のアミノ酸配列を有
するタイトジャンクション構成膜蛋白質クローディン
2。 - 【請求項12】 配列番号18に記載のアミノ酸配列を
有するタイトジャンクション構成膜蛋白質クローディン
3。 - 【請求項13】 配列番号19に記載のアミノ酸配列を
有するタイトジャンクション構成膜蛋白質クローディン
5。 - 【請求項14】 配列番号20に記載のアミノ酸配列を
有するタイトジャンクション構成膜蛋白質クローディン
6。 - 【請求項15】 配列番号21に記載のアミノ酸配列を
有するタイトジャンクション構成膜蛋白質クローディン
7。 - 【請求項16】 配列番号22に記載のアミノ酸配列を
有するタイトジャンクション構成膜蛋白質クローディン
8。 - 【請求項17】 請求項9に記載の形質転換体を培養す
る工程、及び、発現産物を回収する工程を含む、請求項
10ないし16に記載のクローディンファミリーの製造
方法。 - 【請求項18】 請求項1ないし7に記載のDNAがコ
ードするクローディンファミリーと反応するポリクロー
ナル抗体またはモノクローナル抗体。 - 【請求項19】 請求項18に記載のポリクローナル抗
体またはモノクローナル抗体を使用することを特徴とす
る、生体試料中のクローディンファミリーの免疫学的測
定方法。 - 【請求項20】 請求項1ないし7に記載のクローディ
ンファミリーをコードするDNAに由来する、少なくと
も15個の連続する塩基からなるオリゴヌクレオチドを
プライマーまたはプローブとして使用することを特徴と
する、生体試料中のクローディンファミリー遺伝子の解
析方法。 - 【請求項21】 請求項1ないし7に記載のDNAがコ
ードするクローディンファミリーを用いることを特徴と
する該蛋白質と反応性を有する化合物のスクリーニング
法。 - 【請求項22】 請求項1ないし7に記載のDNAがコ
ードするクローディンファミリーのいずれか1つを発現
している細胞、または請求項1ないし7に記載のクロー
ディンファミリーをコードする遺伝子のプロモーター配
列もしくは請求項1ないし7に記載のクローディンファ
ミリーをコードする遺伝子を導入した細胞を用いること
を特徴とする該クローディンファミリーの発現に影響を
与える化合物をスクリーニングする方法。
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