JP2000095925A - エラストマ―組成物および積層体 - Google Patents

エラストマ―組成物および積層体

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JP2000095925A
JP2000095925A JP11204585A JP20458599A JP2000095925A JP 2000095925 A JP2000095925 A JP 2000095925A JP 11204585 A JP11204585 A JP 11204585A JP 20458599 A JP20458599 A JP 20458599A JP 2000095925 A JP2000095925 A JP 2000095925A
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polyester
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polar
hard
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JP11204585A
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English (en)
Inventor
Yoshiichi Kodera
宣一 小寺
Atsushi Jinno
敦司 神野
Hiroyuki Tsuchida
浩之 土田
Shigeo Kobayashi
重夫 小林
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Maxell Kureha Co Ltd
Original Assignee
Kureha Elastomer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステルその他の極性硬質素材お
よびポリエチレン等の非極性硬質素材、或いは、ポリエ
ステル系およびナイロン系等の極性軟質素材とオレフィ
ン系等の無極性軟質素材との、何れに対しても優れた密
着性を有し、かつ柔軟なゴム弾性を備え、共押出し、多
色射出成形等で硬質素材或いは軟質素材上に表皮層を容
易に積層したり、接着層として用いることができるエラ
ストマー組成物を提供する。 【解決手段】 分子量600〜4000のソフトセグ
メント含有量2.0モル%未満の硬質ポリエステルに対
して、臭素化率3%未満のブチルゴム、アクリル系ター
ポリマーまたはオレフィン系エラストマーの何れか一以
上からなるエラストマーと、スチレン系エラストマーと
の、少なくとも一方を配合してなり、且つ該硬質ポリエ
ステルに対する該エラストマーの重量組成比が90/1
0以下であると共に、該硬質ポリエステルに対する該ス
チレン系エラストマーの重量組成比が80/20以下で
あり、更に硬度(JIS−A)が95度以下であること
を特徴とするエラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルとエ
ラストマーとからなり、他の合成樹脂との密着性に優れ
たエラストマー組成物および該組成物と他の合成樹脂と
からなる積層体等に関し、自動車のインストルメントパ
ネル、センターパネル、ハンドル、モール等の内外装
品、家屋の壁やドアー等の建築用内装品、その他クッシ
ョン性の表皮材付き工業品、スポーツ用品、事務用品及
び自動車のドアガラス用水切りや各種ホース等の製造に
適したものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のインストルメントパネル、セン
ターパネル、ハンドル、モール等の内外装品は、一般
に、ABS樹脂等からなる硬質の基材表面に軟質のポリ
塩化ビニルからなる表皮材を積層して作られているが、
最近は環境保護の観点から上記のポリ塩化ビニルをポリ
エステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーに置
換することが試みられている。しかしながら、ポリエス
テル系エラストマーは、ABS樹脂、ポリエステル、ポ
リカーボネートおよびポリメタクリレート等の極性硬質
素材に対しては比較的良好な密着性を示すが、表皮層を
構成するポリエステル系エラストマーの硬度(JIA−
A)を95度未満に下げるためにポリテトラメチレング
リコール等を多量に共重合した場合は、上記硬質素材に
対する密着性が著しく低下するという問題があった。ま
た、一方、ポリエステル系エラストマーであって、上記
のポリテトラメチレングリコールを含まないものは、硬
度が高くてエラストマーとなり得ず、かつポリエチレン
やポリプロピレン等の非極性硬質素材に対しては全く密
着しないという問題があった。
【0003】なお、上記ポリエステル系エラストマーの
硬度を下げた場合において、硬質素材に対する密着性を
改善するために、スチレン・ブタジエンの共役ジエン重
合体ブロックの水添物を配合することが試みられている
が、この場合は、コストが嵩み、且つポリブチレンテレ
フタレート(PBT)やポリエチレンテレフタレート
(PET)に対する密着性に劣るという問題があった。
また、ポリオレフィン等の非極性硬質素材に対して親和
性のある水素化エラストマーブロックポリマーにエチレ
ン・アクリル酸エステルコポリマーを配合することによ
り、極性硬質素材に対する親和性を向上させることも試
みられているが、所望の親和性が得られず、且つ密着性
も十分でなかった。
【0004】また、近年、自動車のドアガラス用水切等
においても、従来のポリ塩化ビニルに代えて、所望の柔
軟性を持ち、しかも安価で提供され得るオレフィン系エ
ラストマーの使用が試みられている。しかしながら、こ
のオレフィン系エラストマーにおいては、パイル植毛用
のウレタン系固着剤との密着性が悪いという問題があっ
た。
【0005】一方、上記オレフィン系エラストマーは柔
軟で安価であることから、自動車等の内燃機関等で用い
られる各種ホースとしても使用されているが、該ホース
に要求される、耐油性、機械的強度等の特性に劣ること
から、耐油性および機械的強度に優れたポリエステル系
エラストマーとの併用、例えば、二層チューブとしての
使用が試みられている。しかしながら、オレフィン系エ
ラストマーとポリエステル系エラストマーの相溶解性が
悪いことから、両層間の十分な接着が非常に困難であ
り、二層間での剥離や抜け等の問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここにおいて、本発明
は、上述の如き事情を背景として為されたものであっ
て、その解決課題とするところは、ポリエステル、AB
S樹脂、ポリカーボネートおよびポリメチルメタクリレ
ート等の極性硬質素材だけでなく、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等の非極性硬質素材に対しても優れた密着性
を有すると共に、ポリエステルエラストマー、ポリウレ
タン、ポリアミドエラストマー等の極性軟質素材と、オ
レフィン系エラストマー等の無極性軟質素材との何れと
も高い密着性を示し、且つ柔軟なゴム様弾性を備え、共
押出し、Tダイラミネーション、多色射出成形、インサ
ート成形およびオーバーモールディング等により、上記
の硬質及び軟質の合成樹脂からなる素材に積層されて一
体に形成され得るエラストマー組成物、ならびに上記エ
ラストマー組成物の積層物等を提供ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】以下、このような課題を
解決するために為された本発明の態様を記載する。な
お、以下に記載の各態様は、任意の組合せで採用可能で
ある。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に
記載のものに限定されることなく、明細書全体に記載さ
れ、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出
来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理
解されるべきである。
【0008】本発明の第一の態様に従うエラストマー組
成物は、分子量600〜4000のソフトセグメント含
有量2.0モル%未満の硬質ポリエステルに対して、臭
素化率3%未満のブチルゴム、アクリル系ターポリマー
またはオレフィン系エラストマーの何れか一以上からな
るエラストマーと、スチレン系エラストマーとの、少な
くとも一方を配合してなり、且つ該エラストマーの該硬
質ポリエステルに対する重量組成比が90/10以下で
あると共に、該スチレン系エラストマーの該硬質ポリエ
ステルに対する重量組成比が80/20以下であり、更
に硬度(JIS−A)が95度以下であることを特徴と
する。
【0009】かかる本発明の第一の態様で用いるポリエ
ステルは、分子量600〜4000のソフトセグメン
ト、例えばポリアルキレングリコール、脂肪族エステル
オリゴマー、オキシ酸エステルオリゴマー等の含有量が
2.0モル%未満、好ましくは1.0モル%未満、特に
好ましくは0%のものである。すなわち、かかる第一の
態様では、ポリエステル・ポリエーテルブロック共重合
体やポリエステル・ポリエステルブロック共重合体等の
ゴム様弾性を備えたポリエステル系エラストマーではな
く、ポリエステルランダム共重合体の硬質ポリエステル
を使用することが望ましい。
【0010】本発明の第一の態様において、硬質ポリエ
ステルを構成するグリコールは、主なものとしてエチレ
ングリコールおよび1,4−テトラメチレングリコール
が例示され、これらのグリコールはいずれかを単独で用
いてもよく、また両者およびその他の共重合可能な成分
を混用することもできる。また、ジカルボン酸として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸が例示され、そのいずれかを単独で、また
は、二以上およびその他の共重合可能な成分を混用して
用いることができる。
【0011】一方、エラストマーとしては、耐熱性、柔
軟性および上記のポリエステルとの相溶性の点から、臭
素化率3%未満のブチルゴム、アクリル系ターポリマー
およびオレフィン系エラストマー、例えばエチレン・プ
ロピレン共重合体、オクテン共重合ポリオレフィン、ヘ
キセン共重合ポリオレフィン等が使用可能である。な
お、該エラストマーの前記硬質ポリエステルに対する重
量組成比が、90/10を超えると、極性素材に対し所
望の密着性を発揮し得ない為、90/10以下に設定さ
れる。
【0012】また、スチレン系エラストマーとしては、
スチレン・イソプレンブロックコポリマー(SI)、そ
の水素添加物(SEP)、スチレン・イソプレン・スチ
レンブロックコポリマー(SIS)、その水素添加物
(SEPS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロッ
クコポリマー(SBS)、その水素添加物(SEBS)
またはスチレン・ブタジエンランダムポリマーの水素添
加物(HSBR)等が採用され得る。なお、該スチレン
系エラストマーの前記硬質ポリエステルに対する重量組
成比は80/20を超えると極性素材に対する所望の密
着性を発揮し得ないことから、80/20以下に設定さ
れる。
【0013】なお、特に、軟質の極性あるいは無極性素
材への接着の場合は、スチレン系エラストマーの硬質ポ
リエステルに対する重量組成比が0.5/99.5〜8
0/20であることが望ましい。0.5/99.5に満
たないと、軟性無極性素材との密着性に劣る。かかる重
量組成比は、より好ましくは、1/99〜70/30、
更に好ましくは3/97〜60/40とされる。また、
この場合、硬質ポリエステルに対し、スチレン系エラス
トマーは、前述の如きエラストマーを配合することな
く、該スチレン系エラストマーのみ単独で配合されても
よい。
【0014】一方、硬質の極性あるいは無極性素材への
接着の場合は、好ましくは、前記臭素化率3%未満のブ
チルゴム、アクリル系ターポリマーまたはオレフィン系
エラストマーの何れか一以上からなるエラストマーが、
硬質ポリエステルに対する重量組成比で5/95〜90
/10とされる。また、この場合、該ポリエステルに対
し、かかるエラストマーは、前述の如きスチレン系エラ
ストマーを配合することなく、該エラストマーのみ単独
で配合されてもよい。
【0015】さらに、上記エラストマー組成物の硬度
は、使用したポリエステルおよびエラストマーの種類に
応じ、その配合比を前記の範囲内で増減すること等によ
り、95度(JIS−A)未満に設定される。この硬度
が95度以上になると、硬過ぎて、前述の如き目的とす
る自動車の内外装品、建築用内装品、その他の表皮材付
き工業品の表皮層として不適当になる。
【0016】また、本発明の第二の態様は、前記第一の
態様に従うエラストマー組成物において、前記硬質ポリ
エステルの40重量%以下が分子量600〜4000の
ソフトセグメント含有量の2.0モル%以上のポリエス
テル系エラストマーで置換されたことを特徴とする。こ
のような態様に従う組成物においては、その硬度が有効
に減少され得、規定の95度以内に容易に調整が可能と
なる。また、かかるポリエステル系エラストマーは、硬
質ポリエステルの40重量%以下で置換されるため、組
成物の合成樹脂基材に対する接着性も有利に確保され得
る。なお、ポリエステル系エラストマーの配合量は、硬
質ポリエステルおよびポリエステル系のエラストマーの
総量の40重量%以下、好ましくは30重量%以下、よ
り好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量
%以下に設定される。
【0017】さらに、本発明の第三の態様は、前記第一
又は第二の態様に従うエラストマー組成物において、前
記エラストマーと前記スチレン系エラストマーの両方が
配合されており、且つ該スチレン系エラストマーの該エ
ラストマーに対する重量組成比が30/70以下とされ
たことを特徴とする。このような本態様に従うエラスト
マー組成物においては、スチレン系エラストマーが前記
硬質ポリエステルと前記エラストマーの相溶性を良好に
する相溶化剤として有効に作用する。
【0018】また、本発明の第四の態様は、前記第一乃
至第三の何れかの態様に従うエラストマー組成物におい
て、前記スチレン系エラストマーの組成比が、前記ポリ
エステル及び前記エラストマーの合計100重量部当た
り150重量部以下とされていることを特徴とする。こ
のような本態様に従うエラストマー組成物においては、
スチレン系エラストマーが硬質ポリエステルとエラスト
マーの相溶性を良好にする相溶化剤として作用する。な
お、該相溶化剤としては、スチレン系エラストマーが好
適に採用される他、その1g当たり1〜20mgのCH
ONaのカルボキシル基を含有するエチレン・プロピ
レン共重合体等も採用され得る。なお、スチレン系エラ
ストマーの添加量が、硬質ポリエステル及びエラストマ
ーの合計100重量部当たり150重量部を超えると、
極性素材、特に極性硬質素材に対する密着性が不十分と
なる。また、該スチレン系エラストマーの添加量は、好
ましくは100重量%以下とされる。なお、上記の相溶
化剤としてのスチレン系エラストマーは、その一部また
は全部を、上記のポリエステルとあらかじめ混練し、ペ
レット化しておくことができる。
【0019】更にまた、本発明の第五の態様は、前記第
一乃至第四の何れかの態様に従うエラストマー組成物に
おいて、前記ポリエステルと前記エラストマー及び/又
は前記スチレンエラストマーの合計100重量部当たり
5.0重量部以下のパーオキサイドが添加されているこ
とを特徴とする。このような態様の組成物においては、
パーオキサイドでエラストマー及び/又はスチレンエラ
ストマーを架橋することにより、該組成物の耐油性が飛
躍的に向上され、内燃機関等に用いられる各種ホースに
適した耐油特性を発揮し得るのである。なおパーオキサ
イドとしては、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシ
エステル、ハイドロパーオキサイド等の周知の有機過酸
化物等が好適に採用され得る。また、該パーオキサイド
は、ポリエステルとエラストマー及び/又はスチレンエ
ラストマーの混練時に添加することにより、エラストマ
ーを動的に架橋し、優れた耐油性を示す組成物を得るこ
とができる。また、該パーオキサイドの添加量が少なす
ぎると組成物の耐油性が悪化し、多すぎると流動性が低
下する。具体的には、後述の実施例21の組成を有する
熱可塑性エラストマーにおいて、10重量部を超えるパ
ーオキサイドを添加した場合、MFR(230℃、荷重
10kg下)が0.01g/10分より小さくなる場合
があり、流動性の低下がみられた。従って、パーオキサ
イドは、ポリエステルとエラストマー及び/又はスチレ
ンエラストマーの合計100重量部当たり5.0重量部
以下、より好ましくは0.010〜3.0重量部、さら
に好ましくは0.040〜2.0重量部の割合で添加さ
れる。
【0020】なお、本発明においては、上記以外にも、
パーオキサイド以外の架橋剤、老化防止剤および可塑剤
等を必要に応じて配合することが可能である。架橋剤と
しては、硫黄、硫黄含有化合物、または樹脂加硫剤を用
いることができる。これらの架橋剤においても、ポリエ
ステルおよびエラストマーの混練時に添加することによ
り、エラストマーを動的に架橋し、エラストマー組成物
の強度を更に向上させる。硫黄含有化合物としては、ベ
ンゾチアジルジサルファイド、メルカプトベンゾチアゾ
ール、スルフェンアミド、チウラムモノサルファイド、
チウラムジサルファイド、チウラムテトラサルファイド
等の周知の加硫促進剤が例示される。また、樹脂加硫剤
としては、メチロール基含有アルキルフェノールホルム
アルデヒド樹脂が使用可能である。また、共架橋剤とし
て、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリアリルシアヌレート、マレイミド化合物等のモ
ノマー類が使用可能である。
【0021】また、老化防止剤としては、ヒンダードフ
ェノール系、置換ジフェニルアミン系、キノリン系、ヒ
ドロキノン系等が例示される。また、アジピン酸系誘導
体、フタル酸系誘導体等の可塑化剤等の可塑化剤および
パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等のプロセスオイ
ルは、柔軟性の付与および硬質素材に対する積層時の加
工性、密着性の向上に有効である。
【0022】なお、本発明のエラストマー組成物は、上
記のポリエステルおよびエラストマー及び/又はスチレ
ン系エラストマーをニーダーや押出機等の混練機に投入
し、必要に応じて相溶化剤も同時に投入し、温度180
〜250℃で混練して作られる。混練にニーダーを用
い、エラストマーを架橋させる場合は、上記のポリエス
テルおよびエラストマー及び/又はスチレン系エラスト
マーをあらかじめ混練した後、パーオキサイド、或いは
その他の架橋剤を添加し、更に加熱しながら攪拌してエ
ラストマーに動的加硫を施す。一方、混練に二軸押出機
を用い、エラストマーを架橋させる場合は、ポリエステ
ル,エラストマーおよび架橋剤を同時に投入し、加熱し
ながら攪拌してエラストマーに動的加硫を施す。また、
老化防止剤や可塑剤その他の添加剤は、上記の動的加硫
を施した後に添加して混練することができる。
【0023】さらに、本発明の第六の態様は、前記第一
乃至第五の何れかの態様に従うエラストマー組成物が、
合成樹脂からなる素材に積層されて一体に成形されてい
る積層体であることを特徴とする。ここにおいて、該積
層体は、合成樹脂等からなる素材及び該エラストマー組
成物の二層からなるもののほか、二つの積層された合成
樹脂材間に介在されて、それら素材間の接着層として用
いられるエラストマー組成物を含む積層体であってもよ
い。
【0024】具体的には、前述の如き工程に従って得ら
れたエラストマー組成物は、例えば、温度180〜25
0℃に加熱した後、所望の形に形成される。この成形に
際しては、かかるエラストマー組成物が、ポリエステ
ル、ABS樹脂,ポリカーボネート、ポリメチルメタク
リレート等の極性硬質素材およびポリエチレン、ポリプ
ロピレン等の非極性硬質素材、或いは、軟質ポリエステ
ル、ポリアミド樹脂等の極性軟質素材や、オレフィン系
エラストマー等の無極性軟質素材等に対し優れた密着性
を有することを利用して、例えば、これらの硬質及び軟
質素材が基材を構成し、この基材表面に上記のエラスト
マー組成物が表皮層を構成するように、共押出し、Tダ
イラミネーション、多色射出成形、インサート成形およ
びオーバーモールディング等で成形し、基材および表皮
層或いは接着層を一体化する。
【0025】なお、上記エラストマー組成物からなる表
皮層或いは接着層の硬度は、使用したポリエステルおよ
びエラストマーの種類に応じて、例えばその配合比を前
記の範囲内で増減したり、前記ソフトセグメント含有量
が2.0モル%以上のエステル系エラストマーまたは可
塑剤を添加したりすることによって、95度(JIS−
A)未満に設定される。この硬度が95度以上になる
と、硬過ぎて例えば前記自動車の内外装品、建築用内装
品、その他の表皮材付き工業品の表皮層等として不適当
になる。また、上記表皮層の引張り永久歪み(25℃、
24時間)は、45%以下が好ましく、上記と同様にし
て調整される。この引張り永久歪みが45%を超える
と、表皮層のゴム弾性や柔軟性が低下し、積層体として
クッション性の乏しいものとなる。
【0026】さらに、本発明の第七の態様は、極性エラ
ストマー材と無極性エラストマー材を積層して接着せし
めた積層体であって、それら極性エラストマー材と無極
性エラストマー材の少なくとも一方に対して、前記第一
乃至第五の何れかの態様に従うエラストマー組成物が、
50重量%未満で配合されていることを特徴とする。本
態様に従う積層体においては、前記第一乃至第五の何れ
かの態様に従うエラストマー組成物が、極性および無極
性エラストマー材の少なくとも一方に配合されて、使用
される。これにより、極性エラストマーと無極性エラス
トマー間で有効な密着性を得ることができ、従来接着が
困難であった極性エラストマー/無極性エラストマー材
が所望の強度をもって接着される。
【0027】さらに、本発明の第八の態様は、前記第七
の態様に従う積層体であって、前記エラストマー組成物
において、前記硬質ポリエステルと、該エラストマー組
成物が配合される前記極性エラストマー材又は前記無極
性エラストマー材との相溶性を向上させる相溶化剤が、
該硬質ポリエステルに対する重量組成比が80/20以
下で配合されていることを特徴とする。このような本態
様における相溶化剤は、エラストマー組成物に配合され
た硬質ポリエステルと、該エラストマー組成物が溶解さ
れる極性または無極性エラストマー材との溶解性を好適
に向上させ得る。ここにおいて、該相溶化剤の材質は、
本発明に係るエラストマー組成物が配合されるエラスト
マー材に応じて適宜に決定される。好ましくは、カルボ
キシル基含有SEBS、やカルボキシル基含有エチレン
プロピレン共重合体等が採用され得る。また、前記エラ
ストマー組成物が硬質ポリエステル及びスチレン系エラ
ストマーからなる場合等は、前記スチレン系エラストマ
ーが本態様の相溶化剤として作用し得ることとなり、か
かるスチレン系エラストマーが相溶化剤として認識され
る。
【0028】
【発明の実施の形態】実施形態1 2軸押出機、ブラベンダー、バンバリーミキサー等の通
常の混練機に硬質ポリエステル(分子量600〜400
0のソフトセグメント含有量が2.0モル%未満)およ
びオクテン共重合ポリオレフィンを10/90〜95/
5の重量比で投入し、更に上記ポリエステルおよびオク
テン共重合ポリオレフィンの合計100重量部当たり1
00重量部以下のカルボキシル基含有SEBSを投入
し、温度180〜250℃で混練してポリエステルとオ
クテン共重合ポリオレフィンとからなる熱可塑性エラス
トマー組成物を得、これをペレタイザーに導いてペレッ
ト化する。得られたペレットは、前記共押出し等で前記
ABS等の硬質素材からなる基材と一体の表面層に成形
される。
【0029】実施形態2 実施形態1に用いた硬質ポリエステルの30重量%以下
をエステル系エラストマー(分子量600〜4000の
ソフトセグメント含有量が20モル%以上のポリエステ
ル)で置換する以外は、実施形態1と同様にして熱可塑
性エラストマー組成物のペレットを製造し、このペレッ
トと前記ABS等の硬質素材とを用い、硬質素材の基材
上に熱可塑性エラストマー組成物の表皮層を有する積層
体を共押出し等で一体に形成する。
【0030】実施形態3 上記実施形態1に用いた硬質ポリエステルを二分し、そ
の一方に実施形態1に用いたカルボキシル基含有SEB
Sを添加し、180〜250℃で混練し、ペレット化す
る。このペレットを残りの硬質ポリエステルとエラスト
マーに加え、以下実験形態1と同様にして熱可塑性エラ
ストマー組成物のペレットを製造し、このペレットと前
記ABS等の硬質素材とを用い、硬度素材の基盤上に熱
可塑性エラストマー組成物の表皮層を有する積層体を一
体的に形成する。
【0031】実施形態4 実施形態1に用いたエラストマー(オクテン共重合ポリ
オレフィン)の30重量%以下をスチレン系エラストマ
ーで置換し、その他は実施形態1と同様にして熱可塑性
エラストマー組成物のペレットを製造し、このペレット
と前記ABS等の硬質素材とを用い、硬質素材の基材上
に熱可塑性エラストマー組成物の表皮層を有する積層体
を一体に成形する。
【0032】実施形態5 実施形態1のエラストマー(オクテン共重合ポリオレフ
ィン)に代えて臭素化率3%未満のブチルゴムを使用
し、架橋材として過酸化物をポリエステルおよびエラス
トマーの合計100重量部当たり0.1〜5.0重量部
添加し、混練時に動的加硫を施し、それ以外は実施形態
1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物のペレット
を製造し、このペレットと前記ABS等の硬質素材とを
用い、硬質素材の基材上に熱可塑性エラストマー組成物
の表皮層を有する積層体を一体に成形する。
【0033】実施形態6 実施形態1のエラストマー(オクテン共重合ポリオレフ
ィン)に代えてエチレンプロピレン共重合体(EPM)
を使用する以外は実施形態1と同様にして熱可塑性エラ
ストマー組成物のペレットを製造し、このペレットと前
記ABS等の硬質素材とを用い、硬質素材の基材上に熱
可塑性エラストマー組成物の表皮層を有する積層体を一
体に成形する。
【0034】実施形態7 実施形態1の硬質ポリエステルに対し、実施形態1のエ
ラストマー(オクテン共重合ポリオレフィン)を10/
90〜100/0の重量比で投入することと、該硬質ポ
リエステルと該エラストマーの合計100重量部当たり
0〜5.0重量部のパーオキサイドを添加すること意外
は実施形態1と同様にして熱可塑性エラストマー組成物
のペレットを製造し、このペレットと、前記オレフィン
系エラストマー等の軟質素材とを用い軟質素材の基板上
に熱可塑性エラストマー組成物の表皮層を有する積層体
を一体に形成する。
【0035】実施形態8 実施形態7と同様にして得られた熱可塑性エラストマー
組成物のペレットと、前記極性及び無極性エラストマー
材とを用い、該エラストマー材間に、該エラストマー組
成物からなる接着層を介在せしめた積層体を一体に成形
する。
【0036】
【実施例】種々のポリエステル、エラストマーおよび相
溶化剤を用いて種々のブレンド型熱可塑性エラストマー
を製造し、種々の硬質素材に積層し、その剥離試験を行
って硬質素材に対する密着性を比較した。
【0037】硬質ポリエステルとして下記の組成のA
1、A2、A3を、またポリエステル系エラストマーと
して下記のBを用いた。ただし、ポリテトラメチレング
リコールの分子量は1000のものである。
【0038】 A1 A2 A3 B テレフタル酸 80 85 70 100 イソフタル酸 20 15 30 0 1,4−ブチレングリコール 50 0 70 75 エチレングリコール 50 100 30 0 ポリテトラメチレングリコール 0 0 1 25 ソフトセグメント含有量(モル%) 0 0 1 25 融点(℃) 170 220 140 165
【0039】エラストマーとして下記のE1〜E6を用
いた。 E1:ブチルゴム、ポリサー社製「ポリサーブチルXL
10000」 E2:エチレンプロピレン共重合体、日本合成ゴム社製
「EP02P」 E3:アクリル系ターポリマー、グッドイヤー社製「サ
ニガムP7395」 E4:オクテン共重合ポリオレフィン、旭化成社製「エ
ンゲージEG8180」 E5:SIS、日本ゼオン社製「Quintac 3421」 E6:SEBS(スチレン・ブタジエン共役ジエン重合
体ブロックの水添物)、三菱化学社製「ラバロンSJ4
400」
【0040】相溶化剤として、下記のS1およびS2を
用いた。 S1:カルボキシル基含有SEBS、旭化成社製「タフ
テックM1943」 S2:カルボキシル基含有エチレンプロピレン共重合
体、UCC製「ROYALTUF490」 S3:上記のS1をあらかじめポリエステルA1と混練
し、ペレット化したもの。
【0041】その他の添加剤として下記のものを用い
た。 架橋剤A:2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)へキシン 架橋剤B:オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマ
イド 老化防止剤A:ヒンダフェノール系(日本チバガイギー
社製「IRG1010」) 老化防止剤B:置換ジフェニルアミン(ユニロイヤルケ
ミカル社製「ナウガード445」) 可塑化剤:プロセスオイル(出光興産社製「ダイアナプ
ロセスオイルAH16」)
【0042】無極性エラストマー材及び極性エラストマ
ー材として、下記のTPE−1およびTPE−2をそれ
ぞれ用いた。 TPE−1:オレフィン系エラストマー、AES社製
「サントプレーン201−87」(Hs87A) TPE−2:ポリエステル系エラストマー、東洋紡社製
「ペルプレン P−55B」(Hs94A)
【0043】実施例1〜8および比較例1〜4 上記のポリエステル、エラストマーおよび相溶化剤を加
圧ニーダーに投入し、温度180〜250℃で20〜3
0分間混練した後、ペレタイザーに導いてブレンドタイ
プの熱可塑性エラストマーのペレットにした。次いで、
上記のペレットを単軸押出機(プラスチック工学研究所
製)に供給し、温度190〜250℃、回転速度80rp
mでTダイから押出し、厚さ1.0mmのシートを製造
し、その硬度(JIS−A)、破断強伸度(JIS K
6262)および引張永久歪み(25℃、24時間)を
測定した。
【0044】また、2軸延伸ポリエステルフィルム、A
BSフィルム、ポリカーボネートフィルムおよび高密度
ポリエチレンフィルムをあらかじめ厚さ100μmに成
形し、その上に上記各種の熱可塑性エラストマー組成物
をTダイから1.0mmの厚さに押出し、25℃でニッ
プし、冷却し、得られた積層シートについて引張り試験
機(速度20mm/分)で剥離強度を測定した。上記試
験の結果を組成と共に下記の表1〜2に示す。表中の
「破」は、試験中に熱可塑性エラストマー組成物からな
るシートが破損したことを示す。
【0045】
【表1】 表 1 実施例番号 1 2 3 4 5 6 7 8 A1(重量部) 50 50 − − − − − − A2(重量部) − − − − − − − 20 A3(重量部) − − 50 30 50 40 30 − B (重量部) − − − − − − 10 − E4(重量部) 50 50 50 70 40 60 50 80 E5(重量部) − − − − 10 − − − E6(重量部) − − − − − − 10 − S1(重量部) − 5 5 10 5 − 10 10 S3(重量部) − − − − − 5 − − 硬度(JIS−A) 90 89 83 70 75 73 72 80 破断強度(kgf/cm)160 220 210 190 100 200 160 185 破断伸度(%) 650 760 800 840 850 810 600 700 引張永久歪(%) 40 35 32 20 33 29 25 19 剥離強度(kgf/吋) 対ポリエステル 破 ← ← ← ← ← ← 1.5 対ABS 破 ← ← ← ← ← ← 7.0 対ポリカーボネート 破 ← ← ← ← ← ← 2.5 対高密度ポリエチレン 1.5 1.8 2.2 破 ← ← ← ←
【0046】
【表2】 表 2 比較例番号 1 2 3 4 A3(重量部) 100 − − − B (重量部) − 100 − 50 E4(重量部) − − 100 − E5(重量部) − − − − E6(重量部) − − − 50 硬度(JIS−A) 99 70 60 58 破断強度(kgf/cm) 300 130 100 110 破断伸度(%) 500 800 900 600 引張永久歪(%) >50 45 21 35 剥離強度(kgf/吋) 対ポリエステル 破 <0.1 <0.1 <0.1 対ABS 破 <0.1 <0.1 1.2 対ポリカーボネート 破 <0.1 <0.1 0.3 対高密度ポリエチレン <0.1 <0.1 1.0 <0.1
【0047】実施例9〜15および比較例5、6 前記のポリエステル、エラストマーおよび相溶化剤を加
圧ニーダーに投入し、あらかじめ混練した後、温度15
0℃において架橋剤として過酸化物(日本油脂社製「パ
ーヘキサ25B−40」)を添加し、200℃まで加熱
して約30分間混練して架橋し、以下実施例1〜8と同
様にして弾性シートを製造し、同様の試験を行った。結
果を表3、4に示す。なお、表4において「実」は「実
施例」を、「比」は「比較例」をそれぞれ意味する。
【0048】
【表3】 表 3 実施例番号 9 10 11 12 13 A3(重量部) 30 30 50 70 50 E1(重量部) 70 70 50 30 − E2(重量部) − − − − 50 S1(重量部) − 5 10 30 − S2(重量部) − − − − 10 架橋剤(重量部) 1 − 1 1 − 硬度(JIS−A) 60 56 78 83 80 破断強度(kgf/cm) 90 75 125 180 79 破断伸度(%) 290 280 300 670 600 引張永久歪(%) 16 25 18 33 38 剥離強度(kgf/吋) 対ポリエステル 破 ← ← ← 1.0 対ABS 破 ← ← ← 1.5 対ポリカーボネート 破 ← ← ← 0.9 対高密度ポリエチレン 1.2 1.0 0.9 0.9 0.4
【0049】
【表4】 表 4 試料番号 実14 実15 比5 比6 A2(重量部) − 40 − − A3(重量部) 50 − − − B (重量部) − − 30 50 E1(重量部) − − 70 − E2(重量部) 50 − − 50 E3(重量部) − 30 − − E6(重量部) − 30 − − S1(重量部) − 10 − − S2(重量部) 10 − − − 過酸化物(重量部) 1 − 1 1 硬度(JIS−A) 83 82 64 70 破断強度(kgf/cm) 60 210 40 37 破断伸度(%) 480 760 280 100 引張永久歪(%) 30 22 18 測定不可 剥離強度(kgf/吋) 対ポリエステル 1.4 2.3 <0.1 <0.1 対ABS 1.6 8.1 <0.1 <0.1 対ポリカーボネート 0.7 3.4 <0.1 <0.1 対高密度ポリエチレン 0.5 破 0.2 <0.1 (比較例6は、引張永久歪の測定のための100%伸長
時に切断し、測定不可能であった。)
【0050】実施例16〜18および比較例7 上記の実施例3の熱可塑性エラストマー組成物をABS
樹脂またはポリカーボネ−ト樹脂と射出成形機で正方形
の板(一辺長100mm、厚さ2mm)に二色成形し
た。また、実施例9または比較例4の熱可塑性エラスト
マー組成物を、あらかじめ成形されたポリエチレンテレ
フタレート(PET)の板(一辺長100mm、厚さ1
mm)上に1mmの厚さにオーバーモールドした。次い
で、得られた積層体についてT形剥離試験を行った。結
果を下記の表5に示す。ただし、「オーバーモールド」
は、単に「モールド」と記載した。
【0051】
【表5】 表 5 実施例16 実施例17 実施例18 比較例7 熱可塑性エラストマー 実施例3 実施例3 実施例9 比較例4 硬質樹脂 ABS PCB PET PET 成形方法 射出成形 射出成形 モールド モールド 剥離強度(kgf/吋) 材料破壊 材料破壊 材料破壊 <0.1
【0052】実施例19、20および比較例9 単軸2層押出機(プラスチック工学研究所製)を用い、
種々の熱可塑性エラストマー組成物からなるペレットお
よびABS樹脂ペレットを供給し、ABS樹脂からなる
厚さ0.2mmの硬質素材層および熱可塑性エラストマ
ー組成物からなる厚さ0.2mmのエラストマー層(表
皮層)を温度180℃で一体に積層成形し、厚さ0.4
mmの積層シートを得た。この積層シートについて前記
同様の剥離試験を行った。結果を下記の表6に示す。
【0053】
【表6】 表 6 実施例19 実施例20 比較例8 熱可塑性エラストマー 実施例3 実施例3 比較例4 添加剤 − プロセスオイル − 剥離強度(kgf/吋) 3.5 材料破壊 <0.1 表中のプロセスオイルは、出光興産社製「ダイアナプロ
セスオイルPW90」であり、添加量は10重量部に設
定した。また、実施例20の材料破壊はエラストマー層
(表皮層)に発生した。
【0054】上記の表1ないし表6に示すように、実施
例1〜20は、いずれも硬度(JIS−A)が95度以
下、引張永久歪みが45%以下で柔軟なゴム弾性を示
し、しかもポリエステル、ABS樹脂、ポリカーボネ−
ト、高密度ポリエチレン等に対する密着性に優れてい
た。これに対し、比較例1は、硬質ポリエステルのみか
らなり、エラストマー成分を有しないため、硬度が高
く、引張永久歪みが大きく、高密度ポリエチレンに対す
る密着性が劣っていた。また、比較例2は、エステル系
エラストマーのみからなるため、全ての硬質素材に対し
て剥離強度が劣っていた。また、比較例3は、エラスト
マーのみからなり、ポリエステルを有しないため、全て
の硬質素材に対して密着性が劣っていた。また、比較例
4、7、8は、エステル系エラストマーとスチレン系エ
ラストマーを用いたので、ポリエステル、ポリカーボネ
ート、高密度ポリエチレンおよびABS樹脂に対する密
着性が劣っていた。また、比較例5および6は、ポリエ
ステルにエステル系エラストマーを用いたので、全ての
硬質素材に対して密着性が劣っていた。
【0055】実施例21〜26および比較例9 上記のポリエステル、エラストマーおよび相溶化剤を加
圧ニーダーに投入し、あらかじめ混練した後、温度15
0℃において架橋剤として2,5−ジメチル−2,5ジ
(t−ブチルパーオキシ)へキシンを添加し、200℃
まで過熱して約30分間混練して架橋し、以下実施例1
〜8と同様にして、弾性シートを製造し、その硬度(J
IS−A)と破断強伸度(JIS−K6262)を同様
に測定した。また、耐油性について、JIS−K625
8に準拠し、No3号油を用い120℃で72時間浸漬
後の重量変化で測定すると共に、MFRについて、JI
S−K7112に準拠し、230℃、10Kgの荷重で
測定した。
【0056】
【表7】 表7 実施例番号 21 22 23 24 25 26 A3 (重量部) 40 40 50 40 80 60 E4/TPE2(重量部) 50/- 50/- -/- 40/10 -/- 0/20 S1 (重量部) 10 10 50 10 20 20 架橋剤A(重量部) 0.8 - - 0.8 0.4 - 硬度(JIS−A) 75 75 82 79 89 91 破断強度(kgf/cm)130 145 200 110 160 140 破断伸度(%) 460 600 900 430 700 560 耐油性(重量増加%) 40 70 29 35 31 40 MFR(g/10分) 12 17 35 11 20 13
【0057】
【表8】表8 比較例番号 9 A3 (重量部) 15 E4/TPE2(重量部) -/- S1 (重量部) 85 架橋剤A(重量部) − 硬度(JIS−A) 85 破断強度(kgf/cm)100 破断伸度(%) 850 耐油性(重量増加%) 60 MFR(g/10分) 15
【0058】実施例27〜36および比較例10〜13 単軸3層押出機(プラスチック工学研究所製)を用い、
上記実施例21〜26の熱可塑性エラストマー組成物か
らなるペレットおよび前記無極性エラストマーTPE1
および前記極性エラストマーTPE2のからなるペレッ
トとを該押出機へ供給し、TPE1からなる無極性素材
層およびTPE2からなる極性素材層を該熱可塑性エラ
ストマー組成物からなる接着層を介在せしめて、温度2
30℃で一体に積層成形し、厚保さ1.0mmの積層シ
ートを得た。一方、前記無極性および極性エラストマー
TPE1/TPE2の何れか一方に上記実施例21〜2
6および比較例9の熱可塑性エラストマー組成物を混練
し、ペレットを準備し、単軸2層押出機(プラスチック
工業研究所製)を用い、該ペレットと、熱可塑性エラス
トマーが混練されいないもう一方の極性或いは無極性エ
ラストマーからなるペレットを供給し、熱可塑性エラス
トマー混練の極性或いは無極性のエラストマー層と、熱
可塑性エラストマーの混練されていない極性或いは無極
性のエラストマー層とを、温度230℃で一体に積層成
形し、厚さ1.0mmの積層シートを得た。上記の製法
に従って得られた各積層シートについて前記と同様の破
断強度試験、耐油性試験、T型剥離試験を行った。結果
を下記の表9に示す。
【0059】
【表9】
【0060】上記の表7および表9に示すように、実施
例21〜36は、いずれも優れた耐油性を示し、硬度
(JIS−A)が95度以下で柔軟なゴム弾性を有する
と共に、十分な破断強伸度を示しており、内燃機関用ホ
ースに対する要求特性を十分に満たすものである。ま
た、上記実施例27〜36において、エラストマー組成
物を接着層として用いるか或いは、極性あるいは無極性
素材に混練して、極性エラストマー層および無極性エラ
ストマー層を接着せしめて、その剥離強度を測定したと
ころ、何れも優れた接着性を示し、材料破壊となった。
これに対し、比較例9は、ポリエステル樹脂に対するス
チレン系エラストマーの重量組成比が本願の所定値を満
たしていないため、該比較例9の組成物を用いて極性お
よび無極性素材の接着を行った比較例13において、密
着性が劣り、十分な剥離強度が得られなかった。また、
比較例10および12においては、本願のエラストマー
組成物を用いずに極性および無極性素材層の接着を行っ
たが、両量層の接着性がほとんど得られなかった。
【0061】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従うエラストマー組成物は、ポリエステル、ABS樹
脂、ポリカーボネートおよびポリメチルメタクリレート
等の極性硬質素材だけでなく、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン等の非極性硬質素材に対しても優れた密着性を有
し、かつ柔軟なゴム弾性を備え、共押出し、Tダイラミ
ネーション、多色射出成形、インサート成形およびオー
バーモールデイング等により、上記の硬質素材上に剥離
強度に優れた表皮層を、従来広く用いられたポリ塩化ビ
ニルと同様に容易に積層することができる。
【0062】さらに、本発明に従うエラストマー組成物
は、ポリエステル系エラストマー等の極性軟質樹脂と、
オレフィン系エラストマー等の無極性軟質樹脂との何れ
に対しても優れた接着性を示す。従って、例えば上記の
ポリ塩化ビニルに替えてオレフィン系エラストマーを使
用する場合等においては、本願エラストマー組成物を使
用することにより、該オレフィン系エラストマーを何れ
の軟質素材に対しても接着せしめることができ、オレフ
ィン系エラストマーの広範な使用が実現されることとな
る。特に、パーオキサイドを添加した場合には、エラス
トマー組成物の耐油性が飛躍的に向上されることとな
り、内燃機関等に用いられる各種ホース等に好適に用い
られ得る。
【0063】また、本発明に従う積層体においては、極
性と無極性とに拘わらず複数の樹脂素材間での密着性が
飛躍的に向上されて、大きな接着強度が発揮される。そ
れ故、このような積層物は、自動車の内外装品、建築用
内装品、その他の表皮材付き工業品、スポーツ用品、事
務用品、自動車用品や各種ホース等の広い分野に利用す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/00 C08L 23/00 33/00 33/00 53/02 53/02 (72)発明者 土田 浩之 三重県津市観音寺町255番地 クレハエラ ストマー株式会社津工場内 (72)発明者 小林 重夫 三重県津市観音寺町255番地 クレハエラ ストマー株式会社津工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子量600〜4000のソフトセグメ
    ント含有量2.0モル%未満の硬質ポリエステルに対し
    て、臭素化率3%未満のブチルゴム、アクリル系ターポ
    リマーまたはオレフィン系エラストマーの何れか一以上
    からなるエラストマーと、スチレン系エラストマーと
    の、少なくとも一方を配合してなり、且つ該エラストマ
    ーの該硬質ポリエステルに対する重量組成比が90/1
    0以下であると共に、該スチレン系エラストマーの該硬
    質ポリエステルに対する重量組成比が80/20以下で
    あり、更に硬度(JIS−A)が95度以下であること
    を特徴とするエラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 前記硬質ポリエステルの40重量%以下
    が分子量600〜4000のソフトセグメント含有量
    2.0モル%以上のポリエステル系エラストマーで置換
    された請求項1に記載のエラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 前記エラストマーと前記スチレン系エラ
    ストマーの両方が配合されており、且つ該スチレン系エ
    ラストマーの該エラストマーに対する重量組成比が30
    /70以下とされた請求項1または2に記載のエラスト
    マー組成物。
  4. 【請求項4】 前記スチレン系エラストマーの組成比
    が、前記ポリエステルおよび前記エラストマーの合計1
    00重量部当たり150重量部以下とされている請求項
    1乃至3の何れかに記載のエラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 前記ポリエステルと前記エラストマー及
    び/又は前記スチレン系エラストマーの合計100重量
    部当たり5.0重量部以下のパーオキサイドが添加され
    ている請求項1乃至4の何れかに記載のエラストマー組
    成物。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5の何れかに記載されたエ
    ラストマー組成物が合成樹脂からなる素材に積層されて
    一体に成形されていることを特徴とする積層体。
  7. 【請求項7】 極性エラストマー材と無極性エラストマ
    ー材を積層して接着せしめた積層体であって、それら極
    性エラストマー材と無極性エラストマー材の少なくとも
    一方に対して、請求項1乃至5の何れかに記載されたエ
    ラストマー組成物が、50重量%未満で配合されている
    ことを特徴とする積層体。
  8. 【請求項8】 前記エラストマー組成物において、前記
    硬質ポリエステルと、該エラストマー組成物が配合され
    る前記極性エラストマー材または前記無極性エラストマ
    ー材との相溶性を向上させる相溶化材が、該硬質ポリエ
    ステルに対する重量組成比が80/20以下で配合され
    ている請求項7に記載の積層体。
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JP2002067252A (ja) * 2000-08-25 2002-03-05 Hagihara Industries Inc 積層シート
JP2007051242A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Asahi Kasei Chemicals Corp 熱可塑性軟質組成物

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