JP3996456B2 - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物に関し、特に、低線膨張率、ポリオレフィン樹脂との接着性、エチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体及び/又はアイオノマー樹脂との接着性、押出成形性及び射出成形性等に優れる熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴム弾性を有する軟質材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性及びリサイクルが可能なスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、履物、雑貨等の分野で多用されている。
【0003】
これらの熱可塑性エラストマーは、各種樹脂の成形体と共に用いられることが多く、その場合は各種樹脂との熱融着性が良いことが望まれている。従来、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は、同系列のポリオレフィン樹脂には熱融着が可能であるが、極性基を有するエチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体及び/又はアイオノマー樹脂には熱融着が困難であり、その用途拡大の障害となっていた。特に、自動車用モール部材などでは、表皮としてTPOを用いる場合は、芯材としてポリオレフィン系の樹脂しか用いることができず、樹脂が限定されるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、低線膨張率、ポリオレフィン樹脂への接着性、エチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体及び/又はアイオノマー樹脂への接着性、成形加工性等に優れるTPO主体の熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、オレフィン系共重合体ゴムにポリプロピレン樹脂、エチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体、無機充填剤、さらに必要に応じて、相溶化剤を配合することにより、低線膨張率、ポリオレフィン樹脂への接着性、エチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体への接着性、アイオノマー樹脂への接着性、成形加工性等に優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
請求項1に記載の発明は、(a)オレフィン系共重合体ゴム15〜60重量部、(b)ポリプロピレン樹脂15〜65重量部、及び(c)エチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体3〜30重量部を含有するエラストマー系樹脂組成物100重量部に対して、(d)無機充填剤10〜65重量部を配合してなることを特徴とする自動車用モール部材用熱可塑性エラストマー組成物である。
請求項2に記載の発明は、エラストマー系樹脂組成物が、(e)相溶化剤1〜20重量部を更に含む請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物である。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形加工してなる自動車用モール部材である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明を構成する成分、製造方法、用途について以下に詳細に説明する。
【0010】
1.熱可塑性エラストマー組成物の構成成分
(1)(a)オレフィン系共重合体ゴム
本発明で用いる(a)オレフィン系共重合体ゴムは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等のα−オレフィンが共重合してなるエラストマーあるいはこれらと非共役ジエンとが共重合してなるオレフィン系共重合体ゴムが挙げられる。
【0011】
非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等を挙げることができる。
【0012】
このようなオレフィン系共重合体ゴムとしては、具体的には、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体ゴム等が挙げられる。
【0013】
成分(a)の配合量は、(a)〜(c)を含有するエラストマー樹脂組成物中で15〜60重量部、好ましくは20〜55重量部である。配合量が15重量部未満では、硬度が高くなりすぎ、成形加工性が悪化する。一方、配合量が60重量部以上では、得られるエラストマー組成物の剛性が低下し、成形加工性が悪化する。
【0014】
(2)(b)ポリプロピレン樹脂
本発明で用いる(b)ポリプロピレン樹脂は、得られるエラストマー組成物のゴム分散を良好にし、かつ成形品の外観を良好にすると共に、硬度及び収縮率の調整に効果を有するものである。具体的には、例えば、アイソタクチックポリプロピレンやプロピレンと他のα−オレフィン、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどとの共重合体を挙げることができる。
【0015】
上記プロピレン樹脂のホモ部分のDSC測定による融点は、好ましくは、Tmが150〜167℃、△Hmが25〜83mJ/mgの範囲のものである。結晶化度はDSC測定のTm、△Hmから推定することができる。Tm、△Hmが上記の範囲外では、得られるエラストマー組成物の耐油性や100℃以上におけるゴム弾性が改良されない。
【0016】
また、成分(b)のメルトフローレート(MFR、ASTM D−1238、L条件、230℃)は、好ましくは0.1〜200g/10分、更に好ましくは0.5〜100g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では、得られるエラストマー組成物の成形性が悪化し、200g/10分を超えると、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が悪化する。
【0017】
成分(b)の(a)〜(c)を含有するエラストマー樹脂組成物中の配合量は、15〜65重量部であり、好ましくは20〜50重量部である。65重量部を超えると、得られたエラストマー組成物の硬度が高くなりすぎ、成形性が悪化する。一方、15重量部未満であると、オレフィン樹脂への接着性が低下し、成形加工性が悪化する。
【0018】
(3)(c)エチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体
本発明で用いるエチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体としては、エチレンと一般式(I)で表される単量体との共重合体が挙げられる。
【0019】
【化1】
Figure 0003996456
【0020】
一般式(I)中、Rは水素又はメチル基を表し、Mは水素又はNa、Znなどの金属を表す。
【0021】
ここで、一般式(I)で表される単量体としては、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸金属塩、アクリル酸金属塩等が挙げられ、中でもメタクリル酸が好ましい。
【0022】
エチレンとアクリル酸及び/又はメタクリル酸との共重合体において、アクリル酸及び/又はメタクリル酸が3〜20重量%、特に4〜15重量%を占めることが好ましい。アクリル酸及び/又はメタクリル酸含量が3〜20重量%、特に4〜15重量%のエチレン−アクリル酸及び/又はエチレン−メタクリル酸共重合体が好ましい。アクリル酸及び/又はメタクリル酸が3重量%未満では、得られる組成物中に極性基が少なく、エチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体への接着性が低下するという問題点があり、20重量%を超えると極性基が多くなりオレフィン系樹脂及び/又は共重合体への接着性が得られない。また、上記共重合体は、0.5〜15g/10分のメルトフローレート(JIS K 6760に準処し、温度190℃、荷重21.18Nで測定)を有することが好ましい。
【0023】
エチレン・アクリル酸金属塩系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系金属塩共重合体は、高い反発弾性率を持つイオン架橋結合を有するイオン性共重合体であって、具体的にはエチレンとアクリル酸、及び/又はメタクリル酸の如き不飽和有機酸と共重合体であり、一般式(I)のように完全に又は一部中和されて塩を生成したものが良い。陽イオンは、通常、アルカリ金属、亜鉛等であり、特にナトリウムと亜鉛を混合して用いると高い反発弾性率が得られ好適である。
【0024】
エチレンとアクリル酸金属塩及び/又はメタクリル酸金属塩との共重合体において、アクリル酸金属塩及び/又はメタクリル酸金属塩が3〜20重量%、特に4〜15重量%を占めることが好ましい。アクリル酸金属塩及び/又はメタクリル酸金属塩含量が3〜20重量%、特に4〜15重量%のエチレン−アクリル酸金属塩及び/又はエチレン−メタクリル酸金属塩共重合体が好ましい。アクリル酸金属塩及び/又はメタクリル酸金属塩が3重量%未満では、得られる組成物中に充分に分散しないという問題点があり、20重量%を超えると必要な反発弾性が得られない。また、上記共重合体は、0.5〜15g/10分のメルトフローレート(JIS K 6760に準処し、温度190℃、荷重21.18Nで測定)を有することが好ましい。
【0025】
成分(c)の(a)〜(c)を含有するエラストマー樹脂組成物中の配合量は、3〜30重量部であり、好ましくは7〜20重量部である。成分(c)の配合量が30重量部を超えると、得られたエラストマー組成物のオレフィン接着性と成形加工性が悪化する。一方、3重量部未満ではエチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体及び/又はアイオノマー接着性が悪化する。
【0026】
(4)(d)無機充填剤
本発明で用いる無機充填剤は、熱可塑性エラストマー組成物の剛性を調整し、かつ成形品の外観を良好にすると共に、寸法を安定させるものである。成分(d)としては、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、珪藻土、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、カーボンブラック、ガラス繊維、中空ガラスバルーン、炭素繊維、チタン酸カルシウム繊維、天然けい酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)等が挙げられる。これらのうち、タルクが特に好ましい。タルクとしては、特に、平均粒径が1〜15μmのタルクが望ましい。
【0027】
成分(d)の配合量は、成分(a)〜(c)のエラストマー樹脂組成物の合計100重量部に対して、10〜65重量部であり、好ましくは35〜55重量部である。成分(d)の配合量が65重量部を超えると、衝撃特性と成形加工性が悪化する。一方10重量部未満であると製品の線膨張率が大きくなり、寸法安定性が悪化する。
【0028】
(5)(e)相溶化剤
本発明の熱可塑性エラストマー組成物においては、必要に応じて、樹脂エラストマー組成物に対して、(e)相溶化剤を配合することができる。(e)相溶化剤としては、以下のような熱可塑性樹脂を極性基を持つ化合物で変性したものが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、ポリエチレン)、環状炭化水素系樹脂(環状オレフィンコポリマー)、ポリスチレン系樹脂(ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・共役ジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、スチレン・共役ジエン共重合体及び/又はその水素添加樹脂(SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS、SEEPS、SBBS)、スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン・共役ジエン共重合体及び/又はその水素添加樹脂を含有する混合物、又は部分架橋物であり、例えば、スチレン・共役ジエン共重合体及び/又はその水素添加樹脂と、オレフィン系樹脂及び/又はオイルを配合した混合物)などがあげられる。特に好ましくは、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂である。
【0029】
変性剤としての極性基を持つ化合物とは、極性基として、例えば、カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、アミノ基、ヒドロキシル基、グリシジル基及びオキサゾリル基よりなる群から選ばれる一つ又はそれ以上の基を持つ化合物であることが推奨される。極性基を持つ化合物としては、例えば、酸、ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル誘導体等が挙げられる。好ましくはカルボキシル基を有する化合物、あるいは不飽和グリシジル化合物及び/又はその誘導体であり、カルボキシル基を有する化合物として、モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、ジカルボン酸としてはマレイン酸、フマル酸が挙げられる。これらのうちジカルボン酸は無水物を使用することが出来る。不飽和グリシジル化合物及び/又はその誘導体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等が挙げられる。特に好ましくは無水マレイン酸(MAH)、グリシジルメタクリレート(GMA)が用いられる。該変性剤により、ポリオレフィン系樹脂と極性樹脂、無機充填剤等との相溶性を一層向上させる。
【0030】
成分(e)の配合量は、配合する場合は、成分(a)〜(c)のエラストマー樹脂組成物に対して、1〜20重量部が好ましく、より好ましくは1〜15重量部である。配合量が20重量部を超えると、組成物に激しい黄変が生じ、また、耐熱変形性、機械特性が悪化するばかりでなく、極性基含有樹脂を配合した際に、該成分の相溶性を改良する効果が認められなくなる。
【0031】
(6)(f)その他の成分
なお、本発明のエラストマー組成物は、上記の成分の他に、さらに必要に応じて、各種のブロッキング防止剤、シール性改良剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、結晶核剤、着色剤等を含有することも可能である。酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。酸化防止剤は、上記の成分(a)〜(c)の合計100重量部に対して、0〜3.0重量部が好ましく、特に好ましくは0.1〜1.0重量部である。
【0032】
なお、本発明の組成物においては、ポリエチレンを含まないことが好ましい。本発明の組成物にポリエチレンを添加した場合、120℃での引張特性、曲げ弾性率で表される耐熱性が著しく低下する傾向がある。
含まないことが好ましいポリエチレンの例としては、極性基含有化合物を含まない物であれば特に制限はないが、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)が代表的なものである。LLDPEは、長鎖枝分れがあったとしても従来のLDPEに比べてほとんどわずかしかないことを特徴とする、低密度ポリエチレンのクラスであって、LLDPEを生成するプロセスは当業者に周知である。ここで、LLDPEという用語は、エチレンと、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのその他のα−オレフィンとのコポリマーであってゴムに属さないものを意味する。
【0033】
2.熱可塑性エラストマー組成物の製造
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(d)、又は必要に応じて成分(e)〜(f)等を加えて、各成分を同時にあるいは任意の順に加えて溶融混練することにより製造することができる。
【0034】
溶融混練の方法は、特に制限はなく、通常公知の方法を使用し得る。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等を使用し得る。例えば、適度なL/D(例えば、L/D=47以上)の二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いることにより、上記操作を連続して行うこともできる。ここで、溶融混練の温度は、好ましくは160〜220℃である。
【0035】
3.熱可塑性エラストマー組成物の用途
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性ポリオレフィン組成物を主成分とする樹脂組成物であって、耐熱変形性、耐油性、押出成形性及び射出成形性等に優れ、さらにポリオレフィン樹脂及びエチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体及び/又はアイオノマー樹脂への接着性が優れるため、自動車の内外装部材、建築用部材、家電用部材等の材料として広範囲に用いることができる。
【0036】
【実施例】
本発明を以下の実施例、比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性の測定法及び試料を以下に示す。
【0037】
1.物性測定方法
(1)硬度:JIS K 6253に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシートを用いた。
【0038】
(2)引張強さ:JIS K 6251に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。(室温で測定した。)
【0039】
(3)100%伸び応力:JIS K 6251に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0040】
(4)破断伸び:JIS K 6251に準拠し、試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0041】
(5)曲げ弾性率(MPa):ASTM D 790に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシート使用した。
【0042】
(6)線膨張率(単位:m/m・℃または1/K):ASTM D 696に準拠し、試験片は2mm厚プレスシート使用した。
【0043】
(7)押出成形性:50mm×1mmのシートを押出成形し、ドローダウン性、表面外観や形状を観察し、次の基準で評価した。
○:良い
×:悪い
【0044】
(8)射出成形性:130mm×130mm×2mmのシートを射出成形し、その外観を目視により観察し、フローマーク、ヒケ発生の有無を次の基準で評価した。
○:良い
×:悪い
【0045】
(9)熱融着性:ポリプロピレン樹脂とアイオノマー樹脂の被着体を用いて得られた複合成形体(幅25mm×長さ100mm×厚み5mmの短冊状試験片)を用いて180度剥離試験(引張速度200mm/分)を行い芯材/表皮材の融着界面の剥離強度(kN/m)を室温と80℃で測定した。
【0046】
2.実施例及び比較例において用いた試料
(1)オレフィン系共重合体ゴム(a):エスプレンN0441(EBR;住友化学工業株式会社製)MFR:1.3g/10分(190℃)、ブテン含有量:30%
(2)ポリプロピレン樹脂(b):PP−BC8(ポリプロピレン(PP);日本ポリケム株式会社製)、結晶化度:Tm166℃、△Hm82mJ/mg、MFR1.8g/10分
(3)エチレン・メタクリル酸共重合体(c):ニュクレル0903HC(EMAA;三井デュポンポリケミカル株式会社製)比重:0.93、MFR:3g/10分、MAA含量:9wt%
(4)タルク(d):ハイフィラー#17(松村産業株式会社製)かさ比重:0.17〜0.20、平均粒径:3〜4μm、pH:8〜10、比表面積:20000cm/g以上
(5)相溶化剤(e):酸変性スチレン系熱可塑性エラストマー AC−2030N(リケンテクノス株式会社製)
(6)酸化防止剤(f):HP2215(チバスペシャリティケミカルズ社製)
(7)被着体樹脂
(i)ポリプロピレン樹脂:PP−BC8(ポリプロピレン(PP);日本ポリケム株式会社製)、結晶化度:Tm166℃、△Hm82mJ/mg、MFR1.8g/10分
(ii)アイオノマー:ハイミラン1544(三井デュポンポリケミカル株式会社製)比重:0.94、MFR:1g/10分、曲げ弾性率:250MPa
【0047】
実施例1〜4、比較例1〜8
表1および表2に示す量の各成分を用い、L/Dが47の二軸押出機に投入して、混練温度200℃、スクリュー回転数350rpmで溶融混練をして、ペレット化した。次に、得られたペレットを射出成形して試験片を作成し、夫々の試験に供した。さらに、得られたエラストマー樹脂組成物を表皮材とし、条件1で成形した芯材の被着体樹脂成形体に以下の条件2で熱融着させて複合成形体を得、その熱融着性を測定した。評価結果を表1及び表2に示す。
また、芯材の被着体樹脂成形体の射出条件は、使用した樹脂メーカーの推奨射出条件に準拠して成形した。概略的には、下記の成形条件(条件1)にて行った。
射出成形機:日精樹脂工業社製FS−120
成形温度 200℃
金型温度 40℃
射出速度 55mm/秒
射出圧力 1400kg/cm
保圧圧力 400kg/cm
射出時間 6秒
冷却時間 45秒
このようにして作成した樹脂板を金型内にインサートし(なお、このとき図2にも示されているように、樹脂板の一部に紙を両面テープで貼り付けておく)、上記のようにして得られた本発明の組成物を下記の成形条件で射出成形し、図1および図2に示すような試験片を作成した。
【0048】
本発明の樹脂組成物の射出条件は、下記の成形条件(条件2)で成形した。
射出成形機:日精樹脂工業社製FS−120
成形温度 220℃
射出温度 40℃
射出速度 55mm/秒
射出圧力 1400kg/cm
保圧圧力 0kg/cm
射出時間 6秒
冷却時間 45秒
被着体毎に成形温度を変更した。又、保圧圧力は、剥離試験に影響を与えるため、保圧圧力を無し(0kg/cm)とした。
続いて、得られた試験片について180度剥離強さを測定した。なお、測定は、図3のように本発明の組成物を折り曲げて樹脂板と組成物の両端をそれぞれ矢印の方向に引張ることにより行った。
【0049】
【表1】
Figure 0003996456
【0050】
【表2】
Figure 0003996456
【0051】
表1及び表2より明らかなように、実施例1〜4は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物である。任意成分である成分(e)の有無にかかわらず、いずれの熱可塑性エラストマー組成物も良好な性状を示した。
【0052】
一方、比較例1〜4は成分(a)及び(b)の配合量を本発明の範囲外にしたものである。成分(a)が少ないとあるいは成分(b)が多いと柔軟性が失われ、成形加工性が悪化する。成分(a)が多いとあるいは成分(b)が少ないと機械特性が悪化し、成形加工性が低下する。比較例5及び6は、成分(c)の配合量を本発明の範囲外にしたものである。成分(c)が少ないと、アイオノマー樹脂への接着性が低下する。成分(c)が多いとポリオレフィン樹脂への接着性が低下する。比較例6及び7は、成分(d)の配合量を本発明の範囲外にしたものである。成分(d)が少ないと、線膨張率が悪化する。成分(d)が多いと成形加工性が悪化する。
【0053】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、低線膨張率、ポリオレフィン樹脂への接着性、エチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体及び/又はアイオノマー樹脂への接着性に優れ、押出成形性、射出成形性に優れるため、複合成形体の成形に有効であり、自動車の内外装部材、建築用部材、家電用部材等の材料として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた試験片を説明する平面図である。
【図2】実施例で用いた試験片を説明する断面図である。
【図3】実施例での熱融着試験を説明する図である。
【符号の説明】
2 本発明の組成物
3 樹脂板
4 紙
A 熱融着部分

Claims (3)

  1. (a)オレフィン系共重合体ゴム15〜60重量部、(b)ポリプロピレン樹脂15〜65重量部、及び(c)エチレン・アクリル酸系共重合体及び/又はエチレン・メタクリル酸系共重合体3〜30重量部を含有するエラストマー系樹脂組成物100重量部に対して、(d)無機充填剤10〜65重量部を配合してなることを特徴とする自動車用モール部材用熱可塑性エラストマー組成物。
  2. エラストマー系樹脂組成物が、(e)相溶化剤1〜20重量部を更に含む請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物を成形加工してなる自動車用モール部材
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