JP4599646B2 - 接着用架橋熱可塑性エラストマー組成物及び積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着用架橋熱可塑性エラストマー組成物及び積層体に関するものである。更に詳しくは、本発明は、オレフィン系ゴム、オレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーと優れた接着性を有し、かつ引張強度、伸びなどの機械的特性に優れた接着用架橋熱可塑性エラストマー組成物並びに該樹脂組成物とオレフィン系ゴム又はオレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーとを接着して得られる積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン系樹脂成分及びゴム成分を含有するいわゆる熱可塑性エラストマーは、オレフィン系ゴム、オレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーと接着して用いられる場合が少なくない。かかる用途に用いられる熱可塑性エラストマーには、オレフィン系ゴム、オレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーと優れた接着性が要求される。該要求水準は近年ますます高度化しつつあるが、かかる観点にたつとき、従来の熱可塑性エラストマーは必ずしも満足し得るものとは言い難いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、オレフィン系ゴム、オレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーとの接着性に優れた接着用架橋熱可塑性エラストマー組成物並びに該組成物とオレフィン系ゴム、オレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーとを接着して得られる積層体を提供する点に存する。
【0004】
【問題を解決するための手段】
すなわち、本発明のうち一の発明は、下記の成分(A)〜(D)を含有し、(A)の含有量が5〜50重量%、(B)の含有量が10〜90重量%、(C)の含有量が1〜80重量%(ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%とする。)であり、(A)〜(C)の合計量100重量部あたりの(D)の含有量が0.01〜1.0重量部である接着用架橋熱可塑性エラストマー組成物に係るものである。
(A):オレフィン系樹脂
(B):エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム
(C):鉱物油
(D):造核剤
また、本発明のうち他の発明は、上記の架橋熱可塑性エラストマー組成物と架橋オレフィン系ゴム、オレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーとを接着して得られる積層体に係るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の成分(A)は、オレフィン系樹脂である。オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン又はプロピレンと炭素数が2個以上のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。炭素数が2個以上のα−オレフィンとしては、たとえばエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−デセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどがあげられる。オレフィン系樹脂のメルトフローレート(JIS K 6758に準拠して測定)は通常0.1〜100g/10分であり、好ましくは0.5〜50g/10分の範囲である。
【0006】
本発明の成分(B)は、エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムであり、具体的にはエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム及びエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムをあげることができる。
【0007】
上記のα−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどがあげられ、なかでもプロピレンが好ましい。また、非共役ジエンとしては、たとえば1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどがあげられる。
【0008】
(B)におけるエチレン/α−オレフィンの比率(重量比)は、通常90/10〜30/70である。エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムを用いる場合の非共役ジエンの含有量は、ヨウ素価で通常5〜40である。なお、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムを混合して用いてもよい。なお、油展ゴム及び非油展ゴムのいずれでもよい。なお、油展ゴムを用いる場合の伸展油の含有量は、共重合体ゴム100重量部あたり通常20〜200重量部である。
【0009】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの好ましい具体例として、エチレン/プロピレンの重量比率が85/15〜45/55のエチレン−プロピレン共重合体ゴムをあげることができる。
【0010】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムは、100℃のムーニー粘度(ML1+4 100℃)が10〜350のものが好ましく、更に好ましくは30〜300である。該ムーニー粘度が過小であると機械的強度に劣ることがあり、一方該ムーニー粘度が過大であると成形品の外観が損なわれることがある。
【0011】
本発明の成分(C)は、鉱物油であり、通常ゴムに配合されるアロマ系、ナフテン系、パラフィン系鉱物油があげられる。なかでも、パラフィン系鉱物油が好ましい。
【0012】
本発明の成分(D)は、造核剤である。造核剤としては特に制限されるものではなく、公知のものを使用することができる。たとえば1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−ヘキシルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3,−p−クロルベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール等のソルビトール誘導体、安息香酸ナトリウム、p−tert−ブチル安息香酸アルミニウム等の芳香族カルボン酸金属塩、リン酸ビス(4−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、酸化チタン、タルク等の無機化合物、ナトリウム−ビス(4−tert−ブチルフェニル)フォスフェート等の有機リン系化合物、ポリビニルシクロアルカン等の高分子化合物等があげられる。
【0013】
本発明の接着用熱可塑性エラストマー組成物における各成分の量は、下記のとおりである。(A)〜(C)については、(A)5〜50重量%、(B)10〜90重量%、(C)1〜80重量%(ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%とする。)が好ましく、更に好ましくは(A)10〜40重量%、(B)20〜50重量%、(C)5〜65重量%である。なお、油展ゴムを用いた場合の(B)の量は、伸展油を含まない量を基準とする。(A)成分が過少であると流動性が低下し、外観不良となることがあり、一方(A)成分が過多であると硬くなり、弾性を示さなくなることがある。(B)成分が過少であると弾性を示さなくなることがあり、一方(B)成分が過多であると流動性が低下し、外観不良となることがある。(C)成分については、上記の範囲内で用いることにより流動性が良好になり、外観不良を改善する効果又は硬度を下げ、柔軟性を出す効果を得ることができる。(D)の量は、(A)〜(C)の合計量100重量部あたり0.01〜1.0重量部であり、好ましくは0.05〜0.7重量部である。
(D)が過少であると接着性の改良効果が不十分であり、一方(D)が過多であると(D)の効果が飽和し、コストが高くなり、またブリードによる外観が悪化する問題がある。なお、各成分中において二種以上を混合して用いる場合の各成分の量は、その合計量を基準とする。
【0014】
本発明の接着用架橋熱可塑性エラストマー組成物を得る方法としては、たとえば(B)成分をバンバリーミキサーなどを用いて混練し、更に(A)、(C)成分及び(D)成分を添加して溶融混練し、更に該溶融混練物に架橋剤を添加し、いわゆる動的架橋を行うことにより、接着用架橋熱可塑性エラストマー組成物とする。また、(B)成分をバンバリーミキサーなどを用いて混練し、更に(A)及び(C)成分を添加して溶融混練し、更に該溶融混練物に架橋剤を添加し、いわゆる動的架橋を行った後、(D)成分を添加し、接着用架橋熱可塑性エラストマー組成物としてもよい。架橋剤としては、硫黄、有機過酸化物、フェノール樹脂などを用いることができる。なかでも有機過酸化物が好ましい。
【0015】
有機過酸化物としては2,5-ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルシクロヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾイル)ヘキシン、ジクミルパーオキサイドなどを用いることができる。有機過酸化物の添加量としては、(A)〜(C)の合計量100重量部あたり0.01〜2.0重量部の範囲が好ましい。
【0016】
また、必要に応じて架橋助剤を配合することができる。架橋助剤としては、たとえばN,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トルイレンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン等のパーオキサイド架橋助剤、又は、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能モノマーがあげられる。
なお、上記の混練時に、必要に応じて、タルク、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、老化防止剤、離型剤などの添加剤、顔料などを用いてもよい。
【0017】
次に、本発明の積層体について説明する。本発明の積層体は、上記の接着用架橋熱可塑性エラストマー組成と架橋オレフィン系ゴム、オレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーとを接着して得られるものである。
【0018】
架橋オレフィン系ゴムの具体例としては、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム及びエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムをあげることができる。α−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどがあげられ、なかでもプロピレンが好ましい。また、非共役ジエンとしては、たとえば1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどがあげられる。
【0019】
オレフィン系樹脂の具体例としては、オレフィンを単独重合又は共重合した樹脂であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン又はそれらの共重合体などをあげることができる。
【0020】
オレフィン系熱可塑性エラストマーとは、オレフィン系樹脂とエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムからなり、オレフィン系樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン又はそれらの共重合体などをあげることができる。
【0021】
エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムの具体例としては、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム又はエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムをあげることができ、α−オレフィン及び非共役ジエンとしては、前記の架橋オレフィン系ゴムにおけるものを使用可能である。
【0022】
オレフィン系熱可塑性エラストマー中のエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムは、未架橋、部分架橋、全体架橋などの架橋状態で存在させることができる。
【0023】
接着方法としては、たとえば射出成形機によるインサート成形及び二色成形、押出機による共押出及びラミネート押出する方法をあげることができる。
【0024】
本発明の積層体は、たとえば自動車部品、家電、建築、雑貨などの接合部品、表皮などの装飾部品などに使用され得る。なかでも自動車用ウェザストリップに好適に用いることができる。
【0025】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって説明する。
実施例1及び比較例1
表1〜2の配合をバンバリーミキサーを用いて混練し、得られた混練物をロールに通してシート状にし、シートペレタイザーで角ペレットにした。次いで、この角ペレット100重量部に対して架橋剤である2,5-ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.8重量部をタンブラーミキサーを用い10分間均一混合し、2軸押出し機を用いて200±10℃で押出して動的架橋を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
9cm×3cm×厚さ2mmの熱可塑性エラストマー組成物(住友TPE3782)(1)の平板を金型に入れ込み、該熱可塑性エラストマー組成物(2)をシリンダー温度250℃、金型温度50℃設定で射出成形し、インサート成形法により接着された成形体を得た。該成形体を図1のような2cm×6cm短冊に打ち抜き200mm/minの引張速度で引張り、(1)と(2)の接着面の接着強度を評価した。結果を表1に示した。
【0026】
結果から次のことがわかる。本発明の実施例は、比較例と比べ、接着力に優れる。
【0027】
【表1】
PP:ポリプロピレン(メルトフローレート=3.5)
油展EPDM:エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム(エチレン/プロピレン重量比=72/28、ヨウ素価=22、ML1+4 100℃=53、油展量=100phr)
架橋助剤:スミファインBM(住友化学工業社製)
造核剤:p−tert−ブチル安息香酸アルミニウム
【0028】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、オレフィン系ゴム、オレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーと優れた接着性を有する接着用架橋熱可塑性エラストマー組成物並びに該樹脂組成物とオレフィン系ゴム、オレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーとを接着して得られる積層体を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例における接着力の評価方法を示す図である。
【符号の説明】
(1)実施例及び比較例の熱可塑性エラストマー
(2)熱可塑性エラストマー組成物(住友TPE3782)
Claims (5)
- 下記の成分(A)〜(D)を含有し、(A)の含有量が5〜50重量%、(B)の含有量が10〜90重量%、(C)の含有量が1〜80重量%(ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%とする。)であり、(A)〜(C)の合計量100重量部あたりの(D)の含有量が0.01〜1.0重量部である接着用架橋熱可塑性エラストマー組成物。(A):オレフィン系樹脂
(B):エチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム
(C):鉱物油
(D):ソルビトール誘導体、芳香族カルボン酸金属塩、リン酸ビス(4−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、および有機リン系化合物からなる群から選択される造核剤 - (D)造核剤が芳香族カルボン酸金属塩である、請求項1に記載の架橋熱可塑性エラストマー組成物。
- インサート成形法による接着用である請求項1または2記載の架橋熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の架橋熱可塑性エラストマー組成物と架橋オレフィン系ゴム、オレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーとを接着して得られる積層体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の架橋熱可塑性エラストマー組成物と架橋オレフィン系ゴム、オレフィン系樹脂又はオレフィン系熱可塑性エラストマーとをインサート成形法により接着する積層体の製造方法。
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