JP2000094442A - プリプレグの製造方法 - Google Patents

プリプレグの製造方法

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JP2000094442A
JP2000094442A JP26667898A JP26667898A JP2000094442A JP 2000094442 A JP2000094442 A JP 2000094442A JP 26667898 A JP26667898 A JP 26667898A JP 26667898 A JP26667898 A JP 26667898A JP 2000094442 A JP2000094442 A JP 2000094442A
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fiber
prepreg
corona
oxygen concentration
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Hiroyoshi Ueno
浩義 上野
Isao Ichioka
勇夫 市岡
Yoshihisa Kato
由久 加藤
Buichi Adachi
武一 足立
Mamoru Murata
守 村田
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】積層板の吸湿率を減少させ、ランド強度を向上
させること。 【解決手段】パラ系アラミド繊維を主体とし、繊維状バ
インダー及び/又は樹脂バインダーを含有するアラミド
混合不織布に加熱加圧処理を施した後、酸素濃度15%以
下の雰囲気下において処理電圧15〜1000 w/m2/minでコ
ロナ処理を施し、コロナ処理後60日以内にワニス樹脂含
浸し乾燥するプリプレグの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機繊維を主体と
した混抄不織布を基材としたプリプレグ及びその製造方
法に関する。また、前記プリプレグを用いた積層板に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年電子機器の小型化、高密度化が進行
し、プリント配線板に実装される部品は挿入型から面付
け型に替わり、それに伴いプリント配線板への実装方式
も表面実装方式が主流となっている。この方式において
は、表面実装されるチップ等の部品とプリント配線板と
の接続信頼性が大きな問題となる。即ち、両者の熱膨張
係数をできるだけ近い値にする必要がある。最近の薄型
表面実装タイプのチップの熱膨張係数は5×10-6/℃であ
るのに対して、ガラス不織布にエポキシ含浸した基板
は、その3倍程度の熱膨張係数となっている。
【0003】また誘電率についても考慮すべき点があ
る。一般に従来のFR-4の誘電率は4.7〜5.1程度であり、
このように相対的に高い誘電率は隣接する信号回路の電
気パルスの伝播速度を遅くするので、過度の信号遅延時
間を生じる。将来的にプリント配線板内の信号伝播によ
る遅延時間は非常に重要になるから、低い誘電率の積層
板用基材が必要とされる。尚FR-4とは、ガラス布基材に
エポキシ樹脂を含浸し積層したプリント配線板用銅張積
層板である(JIS規格NEMA番号)
【0004】上記のような要請から、プリント配線板の
基本材料である積層板として、負の熱膨張係数を有し、
且つ誘電率が低い芳香族ポリアミド繊維からなる不織布
を基材とした積層板が検討されている。その代表的な一
例として特公平5-65640号が挙げられる。この公報にはp
-フェニレンテレフタラミド繊維フロックとm-フェニレ
ンイソフタルアミドフィブリッドとを混合抄紙後、加熱
圧縮処理を施した基材が記載されている。
【0005】前記の基材にエポキシ樹脂を含浸し積層し
たプリント配線板は、小型化、軽量化が可能であるため
携帯機器に好適である。しかしながら携帯機器は使用中
にぶつけたり、落下させるなど衝撃が与えられる危険が
多い。このため面付け型の部品を実装する場合、プリン
ト配線板と面付け型部品との接着力が特に重要となる。
すなわちこれが弱いとわずかな衝撃でも部品が脱落し、
電子機器の故障の原因となる。
【0006】面付け型の部品は、ランドと呼ばれる積層
板上に接着された微小な銅箔の上にハンダ付けされる。
プリント配線板と銅箔の接着力(以下ランドピール強度
とする)の強化が面付け型部品とプリント配線板との接
着強度向上に必須である。更に前記基材は吸湿性が高く
プリント配線板としたとき、吸湿により基板のtanδ及
び誘電率の上昇、絶縁抵抗の低下を伴い、電気的な問題
を発生する。かかる現状に鑑み、本発明者らはパラ系ア
ラミド繊維を主体とした混抄不織布を用いた積層板の、
ランドピール強度改善と吸湿率低下に鋭意取り組み、こ
れら基材をコロナ処理することにより、上記特性を改善
することに成功した。
【0007】しかしながら前述のコロナ処理は、実生産
においては以下のような問題が生じる。すなわち前述の
コロナ処理ではコロナ処理効果が経時で低下するため、
コロナ処理直後にワニス含浸を行ない、プリプレグを製
造する必要がある。ところが含浸工程ではワニスの溶媒
が気化し、大量の可燃性ガスが発生する。これが火花を
発生するコロナ処理機に流入すると引火、爆発の危険が
あるため含浸工程で発生する可燃性ガスのコロナ処理機
への流入を防ぐ必要が生じる。
【0008】このため工業的に安全に量産する方法の一
つは、コロナ処理をワニス含浸工程から隔離された場所
で行ない、いったん巻き取ってワニス含浸を行なう場所
に運搬し、ワニス含浸を行なう方法である。この方法で
は短い巻き長でいったん巻き取り、含浸する必要が生じ
る。しかしながら各工程では処理始めと処理終わりでは
歩留まり損が生じるため、高価なアラミド不織布の歩留
まりが低下し、極めてコスト高になる。
【0009】工業的に安全に量産する別の方法は、ワニ
ス含浸工程で発生する可燃性のガスがコロナ処理機に流
入しないよう、含浸工程とコロナ処理機の距離を十分離
し、且つワニス含浸工程で発生するガスがコロナ処理機
に流入しないよう含浸機の排気系を改造する方法であ
る。この方法では含浸工程とコロナ処理工程の距離を十
分取る必要があるため、広大な敷地面積が必要で、その
上含浸機から発生するガスがコロナ処理機に流入しない
よう、排気系の大規模な設備改造を必要とするため、大
きな設備投資が必要となる。
【0010】また積層板用基材の製造とプリプレグ製造
は異業種であり、製造工程を勘案するとコロナ処理は積
層板用基材製造工程の終了時に行なうほうが、上記のよ
うな安全上の問題を生じにくい上、生産効率上も好まし
い。しかしながら、この場合積層板用基材製造、すなわ
ちコロナ処理からプリプレグ製造まで1ヶ月以上の時間
を経ることもあり、コロナ処理の効果はほとんど消失し
てしまう。更にコロナ処理によって吸湿性を改善せしめ
ることができ、また窒素リッチの雰囲気下でその効果が
高いことも見出していたが、その条件検討も不充分であ
った。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の課題
は、パラ系アラミド繊維を主体とした混抄不織布よりな
る積層板の製造工程に適応したコロナ処理方法を提供
し、基材にコロナ処理を施すことによって高性能化され
た積層板を、既存設備の大規模な改造をすることなく安
全かつ効率的に提供することである。またパラ系アラミ
ド繊維を主体とした混抄不織布よりなる積層板の吸湿率
を減少させ、パラ系アラミド繊維を基材として用いたこ
とによる、低い熱膨張率や誘電率といった優れた特性と
低い吸湿率を兼ね備えた積層板を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は以下の構成を採用する。本発明の第1の発
明は、パラ系アラミド繊維を主体とし、繊維状バインダ
ー及び/又は樹脂バインダーを含有するアラミド混合不
織布に加熱加圧処理を施した後、酸素濃度15%以下の雰
囲気下において処理電圧15〜1000 w/m2/minでコロナ処
理を施し、コロナ処理後60日以内にワニス樹脂含浸し乾
燥するプリプレグの製造方法に関するものである。本発
明の第2の発明は、上記第1の発明において酸素濃度が
8%以下でコロナ処理強度が100〜1000 w/m2/minあるプリ
プレグの製造方法に関するものである。本発明の第3の
発明は、上記第1又は第2の発明においてパラ系アラミ
ド繊維がp−フェニレンテレフタラミド繊維、p−フェ
ニレンジフェニールエーテルテレフタラミド繊維の少な
くとも一種であるプリプレグの製造方法に関するもので
ある。
【0013】本発明の第4の発明は、上記第1〜第3の
いずれかの発明において繊維状バインダーがm-フェニレ
ンイソフタラミド繊維、フェノール樹脂繊維、ポリアリ
レート繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイ
ミド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維の中から選
ばれた少なくとも1種であるプリプレグの製造方法に関
するものである。本発明の第5の発明は、上記第1〜第
4のいずれかの発明においてコロナ処理チャンバー内に
不活性気体を吹き込むことにより、酸素濃度を調節する
プリプレグの製造方法に関するものである。本発明の第
6の発明は、上記第5の発明において不活性気体が窒
素、二酸化炭素、アルゴン、ネオン、ヘリウムのうち少
なくとも1種であるプリプレグの製造方法に関するもの
である。本発明の第7の発明は、上記第1〜第6のいず
れかの発明に記載された方法によって製造されたプリプ
レグに関するものである。本発明の第8の発明は、上記
第7の発明に記載されたプリプレグによって製造された
積層板に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に使用されるコロナ放電処
理とは、回転するロールとそれに沿う形でロールに近接
して設置された電極に、高電圧の交流電圧を供給するこ
とでロールと電極の間に発生する放電中に処理基材を通
過させ、表面改質を行うことである。
【0015】アラミド不織布にコロナ処理を施すことに
関しては、特開平1-12385等に記載されているが、これ
らはいずれも成形材の引っ張り強度など、成形材そのも
のの強度を高めることを目的としており、成形材表面に
接着された微小な銅箔との接着強度の改善については言
及されておらず、ましてやコロナ処理効果を長期間持続
させる方法については言及されていないし、成形材の吸
湿性についても触れられていない。また、特公昭57-308
5ではプラスチックの表面処理方法として、酸素濃度0.1
〜0.05vol%以下の雰囲気下でコロナ処理を行うと、処
理効果の持続性の点で好ましいとの記述がある。しかし
ながら、アラミド繊維を主体とした不織布に対する低酸
素濃度雰囲気下でのコロナ処理効果については言及され
ていない。
【0016】本発明者らはアラミド不織布を用いた基材
に対する低酸素濃度雰囲気下でのコロナ処理について鋭
意検討を行った結果、アラミド基材のランド強度におけ
る効果については酸素濃度15vol%以下というフィルムの
コロナ処理と比べて極めて空気に近い酸素濃度の雰囲気
下で、15〜1000w/m2/minという特定のコロナ処理電圧に
おいてアラミド不織布を用いた基材の処理をすると、60
日間という長期間コロナ処理の持続効果が得られること
を見出し、本発明に到達した。更に酸素濃度を8%以下に
し、100〜1000w/m2/minのコロナ処理電圧でアラミド不
織布を用いた基材の処理をすると、積層板の吸湿率の改
善効果が著しいことを見出した。
【0017】通常プラスチックフィルム等にコロナ処理
を施す場合、処理強度が強すぎるとフィルムが損傷し、
極端な場合はフィルムにピンホールを生じるなどの不具
合を生じる。しかしながらアラミド繊維を主体とした積
層板用基材にコロナ処理を行う場合、該基材は通常のプ
ラスチックフィルムより耐熱性が強く、また不織布表面
だけでなく深部まで処理する必要がある。本発明者らは
アラミド繊維を主体とする基材を用いた積層板に対する
コロナ処理について鋭意検討を行った結果、吸湿性低減
のための処理条件は100m2/min以上であることを見出し
た。
【0018】この理由は低酸素濃度雰囲気下でコロナ処
理を行った場合、繊維表面の濡れ性が良好となり、更に
一定以上の強度の処理電圧でコロナ処理を行った場合、
基材の表面付近の繊維だけでなく不織布の深部の繊維ま
でコロナ処理により表面の濡れ性が改善し、プリプレグ
製造時に含浸されるワニス樹脂が不織布を構成する繊維
の表面を隙間なく覆い、外部からの水分の侵入を防止す
るためと思われる。
【0019】本発明においてアラミド混合不織布とはプ
リプレグの基材であり、プリプレグの樹脂含浸前の不織
布等を言う。本発明においてプリプレグとは、不織布等
の基材に熱硬化性樹脂を含浸し乾燥した1枚のシート
で、将来積層板に使用されるものを言う。本発明におい
て積層板とは1枚もしくは複数枚のプリプレグを加熱加
圧成形したもの、またはそれに金属箔張りしたものをい
う。また1枚のプリプレグもしくはプリプレグを加熱加
圧成形した積層板の片側もしくは両側に回路パターンを
有するものを複数枚積層し、内層と表面層にプリント配
線を有するいわゆる多層板も含む。
【0020】本発明に使用するパラ系アラミド繊維と
は、アミノ基がパラ位置に配置している芳香族ジアミン
とカルボキシル基がパラ位置に配置している芳香族ジカ
ルボン酸との交互共重合体であり、例えばポリ(p-フェ
ニレンテレフタラミド)やポリ(p-フェニレンジフェニル
エーテルテレフタラミド)などを繊維としたものであ
る。
【0021】繊維状バインダーは抄紙工程及び/又は加
熱圧縮処理工程で一旦軟化し、パラ系アラミド繊維間、
若しくは繊維状バインダーを接着するものである。ここ
でいう繊維状バインダーはチョップドストランド状のも
のや、細かいフィブリルを有するパルプ状の繊維を含
む。このような繊維状バインダーの構成成分としては、
m-フェニレンイソフタラミド繊維、フェノール樹脂繊
維、ポリアリレート繊維、ポリフェニレンサルファイド
繊維、ポリイミド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊
維が適当である。繊維状バインダーの含有量は特に限定
されるものではないが、不織布全重量に対して50重量%
以下であることが望ましい。これ以上の含有量では加熱
圧縮処理後の基材の空隙率が小さくなり、積層板作成時
に含浸される樹脂ワニスの浸透性が悪化し、また加熱圧
縮処理時に用具汚れを生じやすくなる。
【0022】パラ系アラミド繊維、チョップドストラン
ド状の繊維状バインダーの形態としては、繊維径5〜15
μm、繊維長1〜6mmが好ましい。パラ系アラミド繊維、
繊維状バインダーの繊維径は細い方が混抄不織布の絡み
合い個所を多くし、混抄不織布の強度の観点からは有効
であるが、抄造時のスラリーの分散性・濾水性とのバラ
ンスで概ね上記範囲で選択する。パラ系アラミド繊維の
繊維長は長い方が繊維の絡み合い個所を多くし、混抄不
織布の強度の観点からは有効であるが、抄造時のスラリ
ーの分散性に対しては繊維長は短い方が良く、概ね上記
範囲で選択する。パルプ状の繊維状バインダーとして
は、通常の叩解機でフィブリル化を進行させたものが一
般的である。
【0023】パラ系アラミド繊維と樹脂バインダーから
なるアラミド混合不織布を用いた積層板も、コロナ放電
処理によりランドピール強度を向上させることができ
る。樹脂バインダーを加えることにより、低い熱ロール
温度や低い線圧で高速で結合強度を上げることが可能と
なり、また繊維状バインダーを含まないアラミド混合不
織布も可能となる。混抄不織布の樹脂バインダーの含有
率は、不織布全重量に対して25重量%以下であることが
好ましい。25重量%より多いと積層板形成時に基材を構
成する繊維同士の接着が緩み、基材に含浸している熱硬
化性樹脂が積層体成型時の熱と圧力により溶融し流動す
る際、基材の不均一な変形が助長される危険性があり、
更には熱ロールによる加熱圧縮処理の際に、熱ロールへ
付着及び該基材の表面のケバ立ちが発生する等の危険も
ある。本発明の樹脂バインダーとしてはエポキシ樹脂の
外、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、
ポリエステル樹脂等が好ましいが、これに限定されるも
のではない。
【0024】加熱圧縮処理は繊維状バインダー、樹脂バ
インダーのパラ系アラミド繊維への融着あるいは、樹脂
バインダーの融着、樹脂バインダーと繊維との接触域の
増大、硬化進行を目的として行われる。更にはこの処理
によりシート中の空隙を少なくし、含浸樹脂の量を少な
くする効果がある。樹脂量が多いとプレス時の樹脂流
れ、熱膨張係数の増加などの問題がある。加熱圧縮処理
の方法は特に限定されるものではないが、1対の熱ロー
ルを通すことにより、加熱圧縮処理するのが一般的であ
る。1回の熱ロールによる加熱圧縮処理で空隙が十分減
少しない場合、2回に分けて連続乃至は非連続的に処理
することもできる。ここで連続的とは1次熱ロールを通
過した不織布を10数秒以内に2次熱ロールに通すことを
意味し、非連続とは1次熱ロールを通過した不織布を一
旦巻き取り、巻き取った不織布を2次熱ロールに通すこ
とを意味する。
【0025】こうして得られたアラミド混合不織布に、
更にコロナ放電処理を施す。コロナ処理雰囲気の酸素濃
度は低いほうが好ましいが、通常15%以下、好ましくは1
0%以下、特に好ましくは8%以下でコロナ処理の持続効果
が得られる。この条件下でコロナ処理を施した基材に60
日以内にワニスを含浸し、乾燥して製造したプリプレグ
を用いて積層板を製造することで、ランド強度に優れた
積層板を得るこよができる。
【0026】コロナ処理雰囲気の酸素濃度を15%以下に
する方法は、コロナ処理雰囲気空気の一部を不活性ガス
に置き換えることにより実現される。具体的にはコロナ
処理チャンバー内に不活性ガスを吹き込むこと等で達成
される。上記不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴ
ン、ネオン、二酸化炭素、窒素ガス等が挙げられ、これ
らを単独で使用することも、これらのうち何種類かを混
合して使用することもできる。
【0027】コロナ放電処理強度は15〜1000w/min/cm2
が好適である。特に好ましい範囲は100〜1000w/min/cm2
である。処理電圧がこれより低いとコロナ処理の効果が
得られず、これより強いと基材の損傷を生じる。コロナ
放電処理を行うときのシートの移動速度は特に限定する
ものではないが、20m/min以下が好ましい。コロナ処理
速度が高速過ぎると印可する電力を高くしなければなら
なくなり、コロナ放電エネルギーの電極位置によるバラ
ツキが生じ、結果として銅箔と基板との接着力の場所に
よるバラツキが大きくなるという弊害が生じる。このよ
うな場合、2段以上連続してコロナ処理する、若しくは
電極をロール上に2個以上設置すると銅箔との接着力を
均一に向上させることが可能である。コロナ処理は不織
布両面に行うことが好ましいが、片面のみの処理でも十
分な効果が得られる。特に吸湿性を改善するためのコロ
ナ処理条件としては、コロナ処理雰囲気の酸素濃度が8%
以下、好ましくは6%以下であり、且つコロナ放電処理強
度は100〜1000w/min/cm2が好適である。
【0028】本発明のプリプレグを用いた積層板は下記
のように製造される。本発明により得られたプリプレグ
の両面に銅箔を配置し、加熱加圧処理を施してプリプレ
グが含有する半硬化状態の樹脂を硬化させるとともに銅
箔を張りつけ、通常の方法で回路パターンを作成し、エ
ッチングにより回路を形成する。プリプレグは複数枚重
ねてプレスすることも可能であるが、その場合は少なく
とも表層に本発明のプリプレグを使用すれば、ランド強
度を改善された積層板を得ることができる。但し吸湿を
減少させる目的の場合、本発明のプリプレグを使用する
枚数は多いほど吸湿率減少の効果が高く、全層とも本発
明のプリプレグを使用することが好ましい。また、前記
の方法により製造した積層板の片側若しくは両側にプリ
プレグを配置し、更にその両側に銅箔を配置し、プレス
する方法等通常のビルドアップ工法等を用いて多層板を
製造する。この場合も少なくとも最外層に本発明のプリ
プレグを使用すれば、ランド強度を改善された積層板を
得ることができるが、吸湿性の点からは全層に本発明の
プリプレグを使用することが好ましい。
【0029】
【実施例】以下に実施例で本発明を更に詳細に説明す
る。尚本発明は下記の実施例に限定されるものではな
い。
【0030】以下の実施例及び比較例では、コロナ放電
装置としてサイリスタ発振方式の、春日電気株式会社製
CG1型高周波電源装置を使用した。またコロナ処理ロ
ールは直径250mm、幅350mmの金属製ロール表面にポリエ
ステルフィルムでカバーを施したものを用い、放電電極
はアルミ製のものを用いた。
【0031】以下の実施例1〜29及び比較例2〜18
において、処理雰囲気中の酸素濃度はコロナ処理チャン
バー内に窒素ガスボンベよりチューブで窒素ガスを吹き
込み、調節した。酸素濃度は通常の酸素濃度計で測定し
た。
【0032】以下の実施例30〜40において、処理雰
囲気中の酸素濃度は表5に記載のガス配合になるよう各
種ガスのボンベより流量を調整し、コロナ処理チャンバ
ー内にガスを吹き込み調節した。酸素濃度は通常の酸素
濃度計で測定した。
【0033】<実施例1〜15>主体繊維であるパラ型
アラミド繊維(繊維径:12μm、繊維長:3mm、帝人製
「テクノーラ」)と、バインダー繊維であるm-フェニレ
ンイソフタラミド繊維(繊維径:17μm、繊維長:6mm、
帝人製「コーネックスWUD」)を80/20の比率で用い、抄
紙機でシートを形成した。このシートに樹脂バインダー
として水性エポキシ樹脂(ガラス転移点150℃)を全繊維
重量に対して16部スプレーし、加熱乾燥により単位重
量72g/m2のアラミド混合不織布を作成した。その後温
度330℃、線圧200kg/cmの1対の熱ロール間を通過させる
ことにより加熱圧縮処理を施した後、酸素濃度、コロナ
処理強度を表1の様に変化させてコロナ処理を施し、さ
らに臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含
浸乾燥して、プリプレグを作成した。樹脂付着量は50%
であった。プリプレグはコロナ処理直後(60分以内)
とコロナ処理60日後に作成した。更にプリプレグを用
いて積層板を作った。この積層板のランド強度と吸湿性
の測定をした。コロナ処理の速度は10m/sec、コロ
ナチャンバー内のガス雰囲気は酸素以外はすべて窒素で
ある。また酸素濃度の単位は%、コロナ処理強度はw/m2
/minである。
【0034】なおデータは明示しないが、主体繊維であ
るパラ型アラミド繊維として東レデュポン製ケブラー2
9と49を1/1の比率で混合し、東レデュポン製m-フ
ェニレンイソフタラミド繊維であるノーメックスパルプ
を主体繊維に対して5%配合し、水性エポキシ樹脂を使
わずに実施例2と同様の方法で作成した積層板も実施例
1〜15と同様の結果が得られた。
【0035】<比較例1〜3>コロナ処理を表1に示した
条件で施した以外は実施例2と同様の方法でプリプレグ
及び積層板を作成し、実施例2と同様の評価を行なっ
た。(プリプレグはコロナ処理80日後に作成した。)
【0036】<比較例4〜18>コロナ処理を表2に示
した条件で施し、ランド強度と吸湿性の測定をコロナ処
理80日後にした以外は実施例2と同様の方法でプリプ
レグ及び積層板を作成し、実施例2と同様の評価を行な
った。(プリプレグはコロナ処理80日後に作成し
た。)
【0037】<実施例 16〜27>実施例2の主体繊
維と、バインダー繊維の種類と配合比率を表3のように
変化させ、カレンダー処理温度を360℃とした以外は実
施例2と同様の方法でプリプレグ及び積層板を作成し、
実施例2と同様の評価を行なった。(プリプレグはコロ
ナ処理直後とコロナ処理60日後に作成した。) 表中繊維状バインダー欄のカイノールはフェノール樹脂
繊維(カイノール、日本カイノール製:繊維径14μm、
繊維長6mm)、ベクトランHSとベクトランNTはいずれも
ポリアリレート繊維(ベクトランHS、ベクトランNT、い
ずれもクラレ株製:繊維径16μm、繊維長6mm)、P84は
ポリイミド繊維(レチング社製)である。ポリフェニレ
ンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンとあるの
はいずれも溶融紡糸法で作成した繊維径3デニール、繊
維長5mmのポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエー
テルエーテルケトン繊維である。
【0038】<実施例 28〜29>実施例2のバイン
ダー繊維のかわりに表3に示す熱接着性フィブリルを用
い、バインダー繊維と熱接着性フィブリルと樹脂バイン
ダーの種類と配合比率を表3のように変化させた以外は
実施例2と同様の方法でプリプレグ及び積層板を作成
し、実施例2と同様の評価を行なった。(プリプレグは
コロナ処理直後とコロナ処理60日後に作成した。) ノーメックス、ベクトランNTとあるのはデュポン製m-フ
ェニレンイソフタラミド繊維ノーメックス、クラレ製ポ
リアリレート繊維ベクトランNTのパルプ状物である。
【0039】<比較例 19〜25>主体繊維とバインダ
ー繊維と樹脂バインダーの種類および配合比率を表4の
ように変化させ、コロナ処理を表4に示した条件で施し
た以外は実施例16と同様の方法でプリプレグ及び積層
板を作成し、実施例2と同様の評価を行なった。(プリ
プレグはコロナ処理80日後に作成した。)
【0040】<比較例 26〜27>主体繊維と熱接着性
フィブリルと樹脂バインダーの種類および配合比率を表
4のように変化させ、コロナ処理を表4に示した条件で
施した以外は実施例2と同様の方法でプリプレグ及び積
層板を作成し、実施例2と同様の評価を行なった。(プ
リプレグはコロナ処理80日後に作成した。)
【0041】<実施例30〜40>コロナチャンバー内
のガス雰囲気を表5に示したように変化させた以外は実
施例2と同様の方法でプリプレグ及び積層板を作成し、
実施例2と同様の評価を行なった。(プリプレグはコロ
ナ処理直後とコロナ処理60日後に作成した。)
【0042】<比較例28>コロナチャンバー内のガス
雰囲気を表5に示したように変化させた以外は実施例2
と同様の方法でプリプレグ及び積層板を作成し、実施例
2と同様の評価を行なった。(プリプレグはコロナ処理
80日後に作成した。)
【0043】<積層板の製造>このように製造したプリ
プレグを5プライ重ね、その両側に18μmの銅箔を載置
して加熱加圧積層成形により厚み0.5mmの銅張り積層板
を得た。
【0044】<ランド強度の測定>前記の方法にしたが
って作成した銅張り積層板に2mm角のエッチングレジス
トパターンをレジスト用フレキシブルテープ(サンハヤ
ト株式会社製)で作成した後、エッチングして2mm角銅
箔パターンを作成した。その後マックウェイト製端子用
ピンをハンダ付けし、ピンの押し倒し強度を測定した。
測定はN=10で行い、下記のA〜F 6段階で評価した。 A 2.5kg以上2.7kg未満 B 2.2kg以上2.5kg未満 C 1.9kg以上2.2kg未満 D 1.6kg以上1.9kg未満 E 1.3kg以上1.6kg未満 F 1.0kg以上1.3kg未満
【0045】<吸湿率の測定>前記した方法にしたがっ
て製造した銅張り積層板の銅箔を、エッチングにより除
去し、、50℃で48時間加熱し、絶乾状態にし、重量を測
定した。ついで、121℃、2気圧で24時間吸湿させ、重量
を測定し、絶乾状態との重量差を絶乾状態の重量で割
り、吸水率を計算した。吸水率は下記6段階で評価し
た。 A 0%以上0.8%未満 B 0.8%以上1.2%未満 C 1.2%以上1.6%未満 D 1.6%以上2.0%未満 E 2.0%以上2.5%未満 F 2.5%以上3%未満
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】表3、表4から明らかなように、いずれの
配合でも低酸素濃度雰囲気下でコロナ処理を行なうこと
により、60日後にプリプレグを作成した場合、ランド
強度改善、吸湿率低下の効果が持続し、また吸湿率の低
下が大きかった。また表5から明らかなように、コロナ
処理チャンバー内のガス雰囲気を変えてコロナ処理を行
い、60日後にプリプレグを作成した場合でも、ランド
強度改善、吸湿率低下の効果が持続し、また吸湿率の低
下が大きかった。
【0052】
【発明の効果】本発明により提供されるプリプレグ及び
積層板は、コロナ処理の効果で基材繊維とワニス樹脂の
接着が良好で、ワニス樹脂が基材繊維を隙間なく覆って
いるため、これを用いたプリント配線板は部品の取り付
け強度が良好である。更にコロナ処理後、ワニス含浸処
理を施すまで60日間の猶予がある。そのため良好な生産
効率でプリプレグを得ることができ、低コストである。
本発明によって提供されるプリプレグ及び積層板の製造
方法は、コロナ処理効果が長期間持続することから、積
層板の製造工程に適応したコロナ処理方法である。この
ため基材にコロナ処理を施すことによってランド強度を
改善された積層板を、既存設備の改造をすることなく、
安全かつ効率的に提供することができる。更に吸湿性を
低下させ、電気的に優れた積層板を得ることも可能であ
り、ひいては耐衝撃性を改善した小型で高性能な電子機
器を安全かつ効率的に提供することが可能となる。
フロントページの続き (72)発明者 足立 武一 岐阜県中津川市中津川3465−1 王子製紙 株式会社中津工場内 (72)発明者 村田 守 岐阜県中津川市中津川3465−1 王子製紙 株式会社中津工場内 Fターム(参考) 4F072 AA02 AA07 AA08 AB06 AC01 AC07 AD13 AD29 AD37 AD42 AD44 AD45 AD46 AG03 AH02 AH24 AJ16 AJ23 AL13

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パラ系アラミド繊維を主体とし、繊維状バ
    インダー及び/又は樹脂バインダーを含有するアラミド
    混合不織布に加熱加圧処理を施した後、酸素濃度15%以
    下の雰囲気下において処理電圧15〜1000 w/m2/minでコ
    ロナ処理を施し、コロナ処理後60日以内にワニス樹脂含
    浸し乾燥するプリプレグの製造方法。
  2. 【請求項2】酸素濃度8%以下でコロナ処理強度が100〜1
    000 w/m2/minあることを特徴とする請求項1に記載のプ
    リプレグの製造方法。
  3. 【請求項3】パラ系アラミド繊維がp−フェニレンテレ
    フタラミド繊維、p−フェニレンジフェニールエーテル
    テレフタラミド繊維の少なくとも一種である請求項1又
    は2に記載のプリプレグの製造方法。
  4. 【請求項4】繊維状バインダーがm-フェニレンイソフタ
    ラミド繊維、フェノール樹脂繊維、ポリアリレート繊
    維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊
    維、ポリエーテルエーテルケトン繊維の中から選ばれた
    少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の方
    法。
  5. 【請求項5】コロナ処理チャンバー内に不活性気体を吹
    き込むことにより、酸素濃度を調節する請求項1〜4の
    いずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】不活性気体が窒素、二酸化炭素、アルゴ
    ン、ネオン、ヘリウムのうち少なくとも1種である請求
    項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜6に記載された方法のいずれか
    によって製造されたプリプレグ。
  8. 【請求項8】請求項7に記載のプリプレグによって製造
    された積層板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101174958B1 (ko) * 2009-09-30 2012-08-17 코오롱인더스트리 주식회사 아라미드 프리프레그의 제조방법 및 아라미드 강판 복합재의 제조방법
KR101408795B1 (ko) 2010-07-01 2014-06-19 코오롱인더스트리 주식회사 아라미드 복합체의 제조방법
KR101397247B1 (ko) 2010-03-30 2014-06-27 코오롱인더스트리 주식회사 아라미드 복합재 및 그 제조방법

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101174958B1 (ko) * 2009-09-30 2012-08-17 코오롱인더스트리 주식회사 아라미드 프리프레그의 제조방법 및 아라미드 강판 복합재의 제조방법
KR101397247B1 (ko) 2010-03-30 2014-06-27 코오롱인더스트리 주식회사 아라미드 복합재 및 그 제조방법
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