JP2000094225A - ワイヤ放電加工機 - Google Patents

ワイヤ放電加工機

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JP2000094225A
JP2000094225A JP10268158A JP26815898A JP2000094225A JP 2000094225 A JP2000094225 A JP 2000094225A JP 10268158 A JP10268158 A JP 10268158A JP 26815898 A JP26815898 A JP 26815898A JP 2000094225 A JP2000094225 A JP 2000094225A
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wire
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head
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は,保持体に設けたアニールローラ
相互の噛合いをなくし押圧手段による押圧によってワイ
ヤ電極を挟んで送ることにより,供給パイプの上昇と同
時にワイヤ電極の高速送りを可能とするワイヤ放電加工
機を提供する。 【解決手段】 ヘッドに昇降可能に設けられた保持体に
は,ワイヤ電極1が挿通される供給パイプと共にワイヤ
電極1をアニール処理すると共にワイヤ電極1の送りを
行う一対のアニールローラ4,4が保持されている。保
持体の上昇中に,一方のアニールローラ4はDCサーボ
モータによって駆動され,他方のアニールローラ4は押
圧手段としてのアクチュエータ64によって一方のアニ
ールローラ4に向かって押圧されてワイヤ電極1を挟ま
れるので,ワイヤ電極1は高速送りされ,ワイヤ電極1
の初期供給処理に要する時間が一層短縮化される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,ワイヤ電極と工
作物との間に放電現象を発生させて工作物を加工するワ
イヤ放電加工機に関する。
【0002】
【従来の技術】ワイヤ放電加工は,ワイヤ電極と工作物
との間に放電現象を発生させて,放電エネルギーによっ
て超硬合金や焼入鋼等からなる工作物を所定の加工形状
に切抜き加工するものである。放電加工を開始する際に
は,工作物に予め穿孔したスタートホール(加工開始
孔)にワイヤ電極が挿通される。ワイヤ放電加工中にお
いては,ワイヤ電極は常に供給し続けられ,ワイヤ電極
と工作物との間に極間電圧を印加して放電が行われてい
る。ワイヤ電極と工作物との相対的な移動による工作物
の加工はNC装置によって制御されており,放電加工が
進行すると,工作物には,ワイヤ電極との間で発生した
放電によって加工されたスリットによって,NC装置に
プログラミングされた形状に対応した加工軌跡が形成さ
れる。
【0003】放電加工を開始する場合に限らず,工作物
の加工が終了して別の工作物の加工に移る場合,及び放
電加工中にワイヤ電極が断線した場合にも,ワイヤ電極
の先端部を切断して除去し,新しく形成された先端部を
工作物のスタートホールや加工スリットのような孔に挿
通することにより,ワイヤ電極がセットされる。放電加
工作業の自動化の一環として,ワイヤ電極の送出しから
ワイヤ電極の切断,加工スリットへの再挿通までのワイ
ヤ電極の装着作業が自動化されている。
【0004】工作物に対して放電加工を行うワイヤ電極
を自動的に供給する自動ワイヤ供給装置を備えたワイヤ
放電加工機が,本出願人によって提案されている。この
ワイヤ放電加工機は,供給パイプを取り付けた保持体の
往復動をシリンダ装置によって高速駆動することによっ
て,ワイヤ電極を工作物に形成された孔に挿通する自動
供給を迅速に且つ確実に行い,また,ワイヤ電極のアニ
ール時にはアニールローラを逆駆動してワイヤ電極を緊
張させることで,従来のコモンローラによるワイヤ電極
の送り動作を排除し,更に,ワイヤ電極の供給作動時に
ワイヤ電極がワイヤ電極回収装置における噴流に乗った
時点で高速供給を行って供給作動の所要時間を短縮して
高速化を達成したものである(特開平8−197336
号公報参照)。
【0005】以下に,このワイヤ放電加工機とその作動
の概略を図6〜図10の記載に基づいて説明する。図6
はこのワイヤ放電加工機の概略図であり,図7は図6に
示したワイヤ放電加工機のワイヤ電極の供給を示す概略
図,図8は図6に示したワイヤ放電加工機のアニールロ
ーラの駆動を示す平面図,図9は挟持部材の構造を示す
概略図であり,図10は図6に示したワイヤ放電加工機
におけるワイヤ電極の供給処理フローである。ソースボ
ビン(図示せず)からのワイヤ電極1は,ワイヤ放電加
工機のヘッド10の上部に設けた支持体9に設けられた
方向変換ローラ15やフェルトブレーキローラ11,及
びヘッド10の下部に設けられた方向変換ローラ2等の
各種ローラを通じて工作物8の加工部位へ供給される。
ヘッド10の下部には,供給パイプ5の下端と挟持部材
27との間においてワイヤ電極1を切断するカッタ1
6,ワイヤ電極1を挟持又は解放のため接離可能な一対
の挟持部材27,カッタ16で切断されたワイヤ電極1
を除去する廃ワイヤクランプ19,及びワイヤ電極1を
ガイドするガイドローラ18が設けられている。
【0006】ヘッド10には,ヘッド10に対して上下
動可能に設けた支持ロッド60,支持ロッド60の下端
に固定された支持体23から成るZ軸ユニット37が設
けられ,支持体23にはガイドローラ38及び上ワイヤ
ヘッド6が取り付けられている。上ワイヤヘッド6に対
向して設けられた下ワイヤヘッド7は,ヘッド10のベ
ースに下部アームを介して設けられている。ワイヤ電極
1で放電加工される工作物8は,上ワイヤヘッド6と下
ワイヤヘッド7との間でクランプ22で支持台21に固
定されて位置設定される。また,下ワイヤヘッド7から
排出される消耗したワイヤ電極1は,ワイヤ電極回収装
置30によって引き出して回収される。
【0007】このワイヤ放電加工機には,ヘッド10の
上部とカッタ16が設けられた下部との間に延びるよう
に,ヘッド10に固定されたシリンダ39とシリンダ3
9内を往復動する磁石から製作されるピストン40から
構成されている複動シリンダ型のシリンダ装置3が設け
られている。また,コントローラは,ピストン40の設
定された移動範囲となるように,シリンダ装置3に対し
てエアポンプから設定量の空気を供給するように制御し
ている。シリンダ39の外周にはピストン40に吸着さ
れて往復動する摺動体41が取り付けられ,保持体20
が摺動体41に固定されている。保持体20には,ワイ
ヤ電極供給装置から供給されるワイヤ電極1を貫通させ
た状態で下降する供給パイプ5がセットビス25等で垂
下状態に固定されている。保持体20には,ワイヤ電極
1の送りのため駆動され且つワイヤ電極1のアニールの
ため給電子17を通じて電流を流すことができる一対の
アニールローラ4が取り付けられている。
【0008】このワイヤ放電加工機においては,図8に
示すように,アニールローラ4,4は,互いに,歯車4
a,4aによって噛み合っており,同期して回転する。
一方のアニールローラ4は,DCサーボモータ57の回
転が歯車56,55によって減速されて駆動される。ア
クチュエータ64から成る押圧手段が一方のアニールロ
ーラ4を他方のアニールローラ4に向かって押すとき
に,アニールローラ4,4は間に挟んだワイヤ電極1を
送ることができる。挟持部材27についても,図9に示
すように,歯46を互いに噛み合わせた状態で対向配置
されたアーム43に固定されている。アーム43はシリ
ンダ45に作動で枢支点44を中心に枢動する構造に構
成されている。従って,挟持部材27は,シリンダ45
の作用でアーム43が閉方向に揺動すると,両者間でワ
イヤ電極1を移動しないように挟持することができる。
【0009】ワイヤ電極回収装置30は,下ワイヤヘッ
ド7の後流に設置された方向変換ローラ29,方向変換
ローラ29の後流に設けた噴流ガイドパイプ28,及び
噴流ガイドパイプ28の出口に配置された引出しローラ
31から構成されている。噴流ガイドパイプ28には,
方向変換ローラ29から繰り出されるワイヤ電極1を水
流等の噴流に乗せて送り出すように,液体ポンプ等で噴
流が入口42から供給される。方向変換部32は,方向
変換ローラ29を収納し,矢印S方向からワイヤ電極1
を供給すると共に,P方向から水流が噴入されて噴流と
共にワイヤ電極1を後流の排出口36から送出する。噴
流ガイドパイプ28は,排出口36に一端が接続され,
水及びワイヤ電極1を側方に移送する。水分離部34
は,噴流ガイドパイプ28の他端に接続され,水のみを
矢印R方向へ分離して排出すると共にワイヤ電極1を後
流の引出しローラ31側の矢印Q方向へ送出する。方向
変換部32において圧入される流体は,水以外の液体,
その他気体であってもよい。
【0010】コントローラは,シリンダ装置3のシリン
ダ39の上端に設けたリミットスイッチ即ち上昇端検出
用スイッチ61に保持体20又は摺動体41が接するこ
とに応答して保持体20の上方移動端での停止動作を制
御する。コントローラは,保持体20が点線で示す上端
限に達したときの上昇端検出用スイッチ61の作動に応
答してシリンダ装置3に設けられているロック装置33
を作動し,保持体20をその位置で保持して落下を防止
する制御を行う。ロック装置33は,コントローラの指
令でエア供給通路47からのエアの供給を絶つと,スプ
リングのばね力で突出する係止ピン49が保持体20の
摺動体41に形成した係止穴50に係合して保持体20
をロックする。この位置では,供給パイプ5の下端がカ
ッタ16の上方に近接位置し,この状態でワイヤ電極1
にアニールが施される。ロック装置33の解除は,コン
トローラが供給パイプ5の下降信号に応答してエア供給
通路47からのエアをロック装置33に供給し,係止ピ
ン49をスプリングのばね力に抗して係止穴50から引
き抜くことにより行われる。
【0011】また,コントローラは,保持体20に設け
た下降端検出用スイッチ48がヘッド10に対して上下
動して位置設定されている支持ロッド60に設けたリミ
ットスイッチ即ち下降端ドグ58に接することに応答し
て,保持体20の下方移動端での停止動作を制御する。
保持体20の下端でのロック構造は,支持ロッド60に
設けた下降端ストッパ59で受け止められてロックされ
ている。保持体20が下方移動限に位置した状態で供給
パイプ5の下端が上ワイヤヘッド6の上方に近接位置
し,この状態でワイヤ電極1が上ワイヤヘッド6,工作
物8の孔26,下ワイヤヘッド7等に挿通作動が行われ
る。上ワイヤヘッド6は,工作物8の厚みに応じてヘッ
ド10に対して上下動して設定位置が決定されている。
【0012】次に,このワイヤ放電加工機のワイヤ電極
の供給処理について説明する。ワイヤ放電加工の初期化
処理を実行し(ステップ51),ワイヤ放電加工機の作
動をオンにし(ステップ52),上ワイヤヘッド6をス
タートホール等の孔26の上方へ移動させて位置設定し
(ステップ53),自動ワイヤ供給装置の作動をオンす
る(ステップ54)。ワイヤ電極1の自動供給動作に移
行し,アニールローラ4,挟持部材27及び引出しロー
ラ31等のローラを各々離反させてワイヤ電極1の自動
供給の初期化を行う(ステップ55)。
【0013】次いで,自動ワイヤ供給装置の作動によっ
てワイヤ電極1をソースボビンから方向変換ローラ2,
15,フェルトブレーキローラ11,アニールローラ4
等を順次通って供給パイプ5内へ送り込み,ワイヤ電極
1の先端部が供給パイプ5の下端部から露出して突出状
態になるように供給する。また,ワイヤ放電加工機の初
期化の一貫として,ワイヤ電極1の先端部を若干の長さ
だけカッタ16を作動して切り取り,切り取ったワイヤ
電極1を廃ワイヤクランプ19を作動して排除し,ワイ
ヤ自動供給の初期化の作動を終了する。
【0014】そこで,上ワイヤヘッド6と下ワイヤヘッ
ド7とをエアで洗浄し(ステップ56),ワイヤ電極1
の結線を確認する(ステップ57)。次に,ワイヤ電極
1のアニール処理に移行し,一対のアニールローラ4及
び一対の挟持部材27を実線(図7)で示す位置まで接
近させてワイヤ電極1を各々の箇所で挟持する(ステッ
プ58)。ワイヤ電極1をアニールローラ4と挟持部材
27とで挟持した状態で,アニールローラ4を逆転方向
(上方向)に駆動し,ワイヤ電極1をアニールローラ4
と挟持部材27との間で緊張させる(ステップ59)。
アニールローラ4に配設された給電子17と挟持部材2
7に配設された給電子17との間に電圧を印加してワイ
ヤ電極1に電流を流し,該電流によるジュール熱でワイ
ヤ電極1をアニールし,ワイヤ電極1の内部応力を排除
して鉛直状態に垂下する状態にする(ステップ60)。
供給パイプ内にエアを流して,ワイヤ電極の温度を常温
に戻してアニール処理を終了する(ステップ61)。ワ
イヤ電極1のアニール処理が完了すると,カッタ16を
作動してワイヤ電極1の先端部を切断し(ステップ6
2),切断されたワイヤ電極1の廃ワイヤは廃ワイヤク
ランプ19で側方へ排出される(ステップ63)。
【0015】アニールローラ4と挟持部材27を離反し
て開いてワイヤ電極1を解放し,アニール処理されたワ
イヤ電極1を自由状態に垂下させる(ステップ64)。
ワイヤ電極1をアニールローラ4でアニール時より若干
大きい挟持力で再挟持する(ステップ65)。その状態
で,エアポンプからの予め設定された設定量の空気を供
給することによってシリンダ装置3を高速駆動して,保
持体20をアニールローラ4及びワイヤ電極1と共に高
速下降させる(ステップ66)。供給パイプ5の先端が
上ワイヤヘッド6に近接すると,シリンダ装置3が非作
動状態になって保持体20の下降が停止する(ステップ
67)。
【0016】アニールローラ4を正転方向(下方向)に
予め演算された低速送り時間Tsだけ低速送り速度Vs
で駆動することにより,ワイヤ電極1は供給パイプ5を
通じてワイヤ電極1上ワイヤヘッド6,工作物8の孔2
6及び下ワイヤヘッド7を通り,ワイヤ電極1の先端
が,ワイヤ電極回収装置30の噴流ガイドパイプ28へ
確実に到達する(ステップ68)。ワイヤ電極1の低速
送り時間Tsは,カッタ16から噴流ガイドパイプ28
内でワイヤ電極1が噴流に乗るまでの若干の距離をワイ
ヤ電極1の低速送り速度Vsで除算することで求めるこ
とができる。ワイヤ電極1が噴流ガイドパイプ28の所
定の位置まで供給された段階で,アニールローラ4,4
を開いてワイヤ電極1を開放し(ステップ69),シリ
ンダ装置を作動して保持体を高速で上昇させ(ステップ
70),更にアニールローラ4,4を閉じて(ステップ
71),初期の状態に復帰し,次の初期化処理に備え
る。
【0017】方向変換部32は,上方から供給されるワ
イヤ電極1を,側方の入口42から噴流ガイドパイプ2
8へ供給される噴流によって方向変換ローラ29に沿っ
て移送方向を変換し,ワイヤ電極1を噴流に乗せる。ア
ニールローラ4を正転方向に予め演算された高速送り時
間Thだけ高速送り速度Vhで高速駆動させ,ワイヤ電
極1を方向変換ローラ29の下側から噴流ガイドパイプ
28及び水分離部34を通って離反状態にある引出しロ
ーラ31まで短時間で移送する(ステップ72)。高速
送り時間Thは,方向変換ローラ29の側端から引出し
ローラ31の側端までの距離とアニール処理を施したワ
イヤ電極1の部分の長さとの総和の距離を高速送り速度
Vh(Vh>Vs)で除算することで設定できる。水分
離部34では,噴流の水を矢印の方向へ分離して放出し
すると共に,解放状態で待機する引出しローラ31間に
ワイヤ電極1を送り込む。
【0018】ワイヤ電極1の強度が低下したアニール部
分が引出しローラ31を通過した後に,ワイヤ電極1を
引出しローラ31で挟持して引き出す(ステップ7
3)。アニールローラ4を開いてワイヤ電極1を解放
し,引出しローラ31によってワイヤ電極1を引き出す
作動に移り,ワイヤ電極1を回収する。ワイヤ電極1が
引出しローラ31で良好に引き出されているか否かはエ
ンコーダ等を備えたコントローラで検出することができ
る(ステップ74)。ワイヤ電極1の送りが良好である
場合には,シリンダ装置3を作動させて,保持体20と
共にアニールローラ4及び供給パイプ5を高速で上方移
動端まで到達させる。そこで,ロック装置33を作動し
て保持体20をヘッド10の上部にロックし(ステップ
75),ワイヤ電極の結線を確認する(ステップ7
6)。次いで,ワイヤ放電加工機は,従来のように,ワ
イヤ電極1による工作物8の放電加工に移行する。ステ
ップ74の処理において,引出しローラ31によるワイ
ヤ電極1の良好な回収が行われていない場合には,ワイ
ヤ電極1の自動供給動作が再度実行される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ワイヤ放電加工機で
は,ワイヤ電極1の初期の設定時間が長くなるという問
題点がある。特に,ステップ69〜ステップ72に示す
ように,ワイヤ電極1の高速供給は供給パイプ5を上昇
させた状態で行われている。シリンダ装置3の作動によ
る保持体20の上昇速度とDCサーボモータ57による
アニールローラ4,4の同期回転による周速度との調整
は一般に困難であるので,供給パイプ5と共に保持体2
0を高速上昇させる時に,互いに同期回転するアニール
ローラ4,4でワイヤ電極1を供給すると,ワイヤ電極
1には弛みが生じたり,傷が付くことがある。そのた
め,保持体20の高速上昇中は,アニールローラ4,4
を開いてワイヤ電極1を開放させておく必要があり,ア
ニールローラ4,4によるワイヤ電極1の供給は行えな
い。ワイヤ電極1の供給は,その後,開いているアニー
ルローラ4,4を閉じて行われる。このように,供給パ
イプ5の上昇とワイヤ電極1の高速供給とが別々の段階
で行われ,そのためにアニールローラ4,4の開閉動作
を必要としており,処理時間が長くなっている。したが
って,いずれのアニールローラも同期してワイヤ電極を
強制的に送る送り方に代えて,一方のアニールローラに
対して他方のアニールローラを追従回転させることによ
り,保持体の高速上昇中にもワイヤ電極の供給を可能と
する点で解決すべき課題がある。
【0020】
【課題を解決するための手段】供給パイプの上昇とワイ
ヤ電極の高速供給とは,相前後して行われている工程で
あり,一括して行えれば,ワイヤ電極の供給処理の時間
短縮を図ることが可能である。この発明の目的は,上記
の課題を解決することであり,ワイヤ電極に弛みが生じ
たり傷を付けることなく,供給パイプの上昇とワイヤ電
極の高速送りを同時に処理することにより,ワイヤ電極
の設定の一層の高速化を図ることができるワイヤ放電加
工機を提供することである。
【0021】この発明は,ヘッドに対して上下動可能に
取り付けられた上ワイヤヘッド,該上ワイヤヘッドに対
向して設けられ前記上ワイヤヘッドとの間に工作物が設
定される下ワイヤヘッド,前記ヘッドの上部から下部へ
延びるように配置され且つ前記ヘッドに固定されたシリ
ンダと該シリンダ内を往復動するピストンとから成るシ
リンダ装置,前記シリンダ装置の前記ピストンの移動に
対応して前記シリンダに沿って上下動する摺動体に固定
された保持体,ワイヤ電極供給源から繰り出されるワイ
ヤ電極を前記上ワイヤヘッド,前記工作物に形成された
孔及び前記下ワイヤヘッドに挿通するため,前記保持体
に垂下状態に取り付けられ且つ前記ワイヤ電極が貫通す
る供給パイプ,前記ワイヤ電極を挟持して前記ワイヤ電
極の送りのために駆動されると共に前記ワイヤ電極のア
ニール処理のため電流を流すことができる前記保持体に
設けられた一対のアニールローラ,及び前記保持体の上
下動を制御すると共に前記アニールローラによる前記ワ
イヤ電極の送りを制御し,且つ前記ワイヤ電極をアニー
ル処理する制御を行うコントローラを具備し,前記保持
体には,一方の前記アニールローラを駆動するモータと
他方の前記アニールローラを一方の前記アニールローラ
に向かって押す押圧手段が配設されており,前記コント
ローラは,前記シリンダ装置を作動させて前記保持体と
共に前記供給パイプを上昇させると同時に,前記押圧手
段と前記モータとを作動させて前記ワイヤ電極を前記一
対のアニールローラ間に挟んで高速送りをすることから
成るワイヤ放電加工機に関する。
【0022】このワイヤ放電加工機によれば,ワイヤ電
極の送りを行うアニールローラが互いに同期回転するよ
うにそれぞれの回転軸に設けられていた歯車の噛合いは
採用されておらず,押圧手段の作動をオン又はオフとす
るだけで,ワイヤ電極は一対のアニールローラ間に挟み
付けられるか又はその挟付けが解除される。保持体の上
昇中には,他方のアニールローラは,押圧手段によって
一方のアニールローラに向かって押されて一方のアニー
ルローラとの間にワイヤ電極を挟んだ状態となり,保持
体の上昇速度とワイヤ電極の送り速度とに応じて追従回
転する。したがって,ワイヤ電極に弛みが生じたり無理
な力が生じることなく,保持体の上昇中にワイヤ電極を
高速送りすることが可能となる。
【0023】このワイヤ放電加工機において,前記コン
トローラは,前記ワイヤ電極をアニール処理するため前
記ワイヤ電極に通電した後に前記供給パイプにエアを流
すと同時に,前記上ワイヤヘッドと前記下ワイヤヘッド
とをエア洗浄する。上記の従来の初期設定処理のフロー
では,ステップ56における上ワイヤヘッド及び下ワイ
ヤヘッドのエア洗浄と,ステップ61におけるアニール
ローラとガイドローラ間でのアニールとを,別々の時間
にエアを供給することにより行っているので,エア供給
に費やす時間が長くなる。ステップ56で行っている上
下のワイヤヘッドの洗浄は,ステップ68におけるワイ
ヤ電極の低速供給までに行えばよく,上下のワイヤヘッ
ドのエア洗浄とアニール処理におけるエアの供給とを充
分賄えるエア流量を確保することにより,エア洗浄とア
ニール処理におけるエア供給とを同時に行うことができ
る。
【0024】このワイヤ放電加工機において,前記下ワ
イヤヘッドから排出される消耗した前記ワイヤ電極はワ
イヤ電極回収装置によって引き出されて回収され,前記
ワイヤ電極の送り経路には断線センサが配設されてお
り,前記コントローラは,前記断線センサの検出信号に
基づいて前記ワイヤ電極が前記ワイヤ電極回収装置にま
で良好な状態で供給されているか否かを判断する。上記
の従来の初期設定処理のフローでは,ステップ74にお
いて,ワイヤ電極が引出しローラまで良好に引き出され
たか否かを方向変換ローラに付属させていたエンコーダ
の速度差によって確認していたので,確認時間が長くか
かっていたが,断線センサの検出信号を利用すること
で,ワイヤ電極の初期の供給処理時間の一層の短縮を図
ることが可能となる
【0025】このワイヤ放電加工機において,前記ワイ
ヤ電極のアニール処理のために前記アニールローラに電
流を流す通電時間及び電流量は,アニール通電パラメー
タとして設定可能であり,前記コントローラは,アニー
ル通電パラメータとして設定された前記通電時間又は前
記電流量で前記ワイヤ電極のアニール処理を行う。
【0026】このワイヤ放電加工機において,前記モー
タの回転時の電流値及び通電時間はモータ通電パラメー
タとして設定可能であり,前記コントローラは,前記モ
ータ通電パラメータとして設定された前記電流値又は前
記通電時間で前記モータの駆動を行う。
【0027】このワイヤ放電加工機において,前記供給
パイプにエアが流されるエア供給時間,又は前記上ワイ
ヤヘッドと前記下ワイヤヘッドとのエア洗浄時間の各変
量は予めエア供給パラメータ又はエア洗浄パラメータと
して設定可能であり,前記コントローラは,前記エア供
給パラメータ又は前記エア洗浄パラメータとして設定さ
れた前記エア供給時間又はエア洗浄時間で前記供給パイ
プ及び前記上ワイヤヘッドと前記下ワイヤヘッドとに前
記エアを供給する。
【0028】このワイヤ放電加工機において,前記コン
トローラは,選択された前記パラメータの組合せによっ
て,前記ワイヤ電極の供給がスタートホールへの供給で
あるのか前記ワイヤ電極の断線に基づく再供給であるの
かを判断し,前記コントローラは,前記ワイヤ電極の供
給が前記スタートホールへの供給であると判断した場合
には,前記ワイヤ電極の供給時間を短縮する制御を行
う。
【0029】更に,このワイヤ放電加工機において,前
記ワイヤ電極のアニール処理のため前記ワイヤ電極を挟
持することができる接離可能な一対の挟持部材,更に前
記挟持部材で前記ワイヤ電極を挟持して前記アニールロ
ーラの逆転駆動によって前記ワイヤ電極を緊張させた状
態で前記アニールローラと前記挟持部材との間の前記ワ
イヤ電極をアニール処理する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
によるワイヤ放電加工機におけるワイヤ送り装置の実施
例について説明する。図1はこの発明によるワイヤ放電
加工機の一実施例において保持体に設けられるアニール
ローラの駆動機構を示す平面図,図2はこの発明による
ワイヤ放電加工機の工作物を挟んだ上ワイヤヘッド及び
下ワイヤヘッドのワイヤ電極供給状態を示す断面図,図
3及び図4はワイヤ電極の供給状態を示す概略図,図5
はこの発明によるワイヤ放電加工機におけるワイヤ電極
の供給処理を示すフローである。ワイヤ放電加工機それ
自体,即ち,図1〜図4に示すもの以外については,図
6,図7に示した構造のものをそのまま採用することが
できる。したがって,この発明によるワイヤ放電加工機
において,図6,図7に示すワイヤ放電加工機の構成要
素及び部位と同等の機能を奏するものについては,図
6,図7で用いられた符号と同じ符号を用い,重複する
説明を省略する。
【0031】このワイヤ放電加工機において,アニール
ローラ4,4は,図1に示すように,保持体20に軸受
51,54によって回転自在に支持されている。DCサ
ーボモータ57の出力回転は,小径の歯車56及び歯車
56と噛み合う大径の歯車55を介して減速され,歯車
55の駆動回転軸52に取り付けられている一方のアニ
ールローラ4に伝達される。他方のアニールローラ4の
従動回転軸53は,保持体20に対して移動自在な軸受
54によって支持されており,押圧手段であるアクチュ
エータ64が軸受54を押して移動させることができ
る。アニールローラ4,4は,図8に示す従来のアニー
ルローラとは異なり,歯車4a,4aによって互いに噛
み合っていない。
【0032】ワイヤ電極1を送るときには,アクチュエ
ータ64を作動させて,他方のアニールローラ4を一方
のアニールローラ4に向かって押圧して一対のアニール
ローラ4,4間にワイヤ電極1を挟み付け,ワイヤ電極
1を挟み付けた状態でDCサーボモータ57によってア
ニールローラ4,4を駆動する。アクチュエータ64を
非作動状態とすると,アニールローラ4,4はワイヤ電
極1を挟まないので,ワイヤ電極1が送られることはな
い。供給パイプ5を上昇させるために保持体20を上昇
させるときにも,アクチュエータ64を作動させてアニ
ールローラ4,4間にワイヤ電極1を挟み込み,DCサ
ーボモータ57を高速作動させることにより,ワイヤ電
極1を高速送りすることができる。
【0033】図2には,この発明によるワイヤ放電加工
機の上下のワイヤヘッドを含む部分の断面図である。ワ
イヤ電極1を案内する上ワイヤヘッド6と下ワイヤヘッ
ド7とは,工作物8を中心として略対称構造を有してい
る。上下のワイヤヘッド6,7において,同等の構成要
素及び部位には同じ符号を付してあるので,上ワイヤヘ
ッド6についてのみ説明し,下ワイヤヘッド7について
重複する説明を省略する。上ワイヤヘッド6は,概略筒
状の形状を有しており,ワイヤヘッド本体70の中心を
上下方向に貫通する貫通孔71が形成されている。ワイ
ヤヘッド本体70には,順次,先端に向かって,中間ピ
ース72,ダイスガイド74,ヘッドノズル77が取り
付けられている。
【0034】ワイヤヘッド本体70の貫通孔71,中間
ピース72の中心に形成された貫通孔73,ダイスガイ
ド74の貫通孔75,及びヘッドノズル77の噴流通路
78は,ワイヤ電極1を案内するため,直線状に連続し
ている。ワイヤヘッド本体70の貫通孔71には,ワイ
ヤ電極1に電流を供給するためワイヤ電極1に摺接する
給電子79が配設されている。ダイスガイド74の先端
には,ワイヤ電極1が挿通可能な工作物8に対して最終
的にワイヤ電極1を案内するガイドピース76が設けら
れている。ガイドピース76及び給電子79は,ワイヤ
電極1の供給時には,図示の位置を占めているが,ワイ
ヤ電極1の先端部を送り込むときには,先端部との干渉
を回避するため,ワイヤ電極1の走行経路から後退可能
である。
【0035】ワイヤ電極1の切断した先端部を上ワイヤ
ヘッド6に設けられているダイスガイド74から工作物
8の孔26を通じて下ワイヤヘッド7に挿通する場合に
は,上ワイヤヘッド6を下降し,下ワイヤヘッド7を上
昇させて,各ヘッドノズル77を工作物8に当接させる
か,又は工作物8に極めて接近した位置に置く。ワイヤ
電極1の先端部を上ワイヤヘッド6のヘッドノズル77
に案内して送り出すと,ワイヤ電極1は,先端部が曲が
ったりすることなく,ヘッドノズル77と工作物8との
間に渡って真っ直ぐな状態のまま送られて,工作物8の
孔26,更には下ワイヤヘッド7に挿通される。ワイヤ
電極1の装着が完了すると,上下のワイヤヘッド6,7
は工作物8から離れ,ヘッドノズル77は工作物8から
僅かの隙間85を隔てた状態に保持される。上下のヘッ
ドノズル77の通孔を通じて噴出させた加工液は,工作
物8の孔26にも流れ込んでワイヤ電極1と工作物8と
の間の隙間を満たす。その状態でワイヤ電極1に加工電
流を供給すると,ワイヤ電極1と工作物8との間に発生
する放電現象によって工作物8が放電加工される。
【0036】上ワイヤヘッド6及び下ワイヤヘッド7の
外部から供給される洗浄流体としてのエア又は加工液と
しての水をヘッドノズル77から噴射するため,ワイヤ
ヘッド本体70の内部には通路80が形成され,通路8
0は,中間ピース72に形成された連通孔81,ダイス
ガイド74の内部又はダイスガイド74とその支持部材
との間の図示しない通路,ヘッドノズル77のコーン状
の噴射通路82,及びヘッドノズル77の噴流通路78
と連通している。通路80は,接続プラグ84を通じて
ホース83と接続しており,ホース83は,洗浄エア供
給源又は加工液供給源に選択的に接続している。
【0037】ワイヤ放電加工機の作動工程,即ち,上下
のワイヤヘッド6,7の洗浄工程では,ホース83は洗
浄エア供給源に接続され,放電加工中にはホース83は
加工液供給源に切り換えて接続される。放電加工中,加
工液が供給される場合,上ワイヤヘッド6の下方部分,
工作物8,及び下ワイヤヘッド7は加工槽に水没状態に
あり,コーン状の噴射通路82を通ってワイヤ電極1の
走行方向に沿うように,ワイヤ送出口から噴射される。
工作物8には,ワイヤ電極1が挿通する加工孔(スター
トホールを含む)26が形成されている。洗浄エア供給
源は,図示しない配管によって,供給パイプ5内にも供
給可能である。したがって,エア供給量を適宜に確保す
ることにより,ワイヤ電極1のアニール処理のときにワ
イヤ電極1の空冷のため供給パイプ5にエアを供給する
と同時に,上下のワイヤヘッド6,7にも洗浄エアを供
給して上下のワイヤヘッド6,7,特にヘッドノズル7
7を洗浄することができる。
【0038】このワイヤ放電加工機においては,ワイヤ
電極1の断線センサ62を,ワイヤ電極1のワイヤ電極
回収装置30まで良好に供給されたか否かの確認に用い
られている。図3には,断線センサ付近におけるワイヤ
電極の正常な繰り出し状態が示されており,図4には,
断線センサ付近におけるワイヤ電極の異常な繰り出し状
態が示されている。繰り出し装置から繰り出されるワイ
ヤ電極1は,案内ローラ63に案内されて,方向変換ロ
ーラ2,15によって走行方向を変換されつつ供給され
る。ワイヤ電極1が断線した場合には,リミットスイッ
チから成る断線センサ62がオフとなることによって検
出される。
【0039】ワイヤ電極1がワイヤ電極回収装置30の
引出しローラ31にまで正常に供給されている場合に
は,図3に示すように,リミットスイッチがワイヤ電極
1に押されてオンとなっており,コントローラにその情
報が入力される。ワイヤ電極1が断線しなくても,ワイ
ヤ電極1が引出しローラ31まで供給されていない場合
には,図4に示すように,ワイヤ電極1に弛みが生じて
いるので,断線センサ62がオフとなり,コントローラ
にその情報が入力される。コントローラは,断線センサ
62からの検出信号によって,ワイヤ電極1がワイヤ電
極回収装置30まで良好に供給されたか否かを確認する
ことができる。
【0040】次に,このワイヤ放電加工機のワイヤ電極
の供給処理について説明する。ワイヤ放電加工の初期化
処理を実行し(ステップ1)から,ワイヤ電極の自動供
給の初期化(ステップ5)までは,従来のワイヤ電極の
供給処理(ステップ51〜55)と同様であるので,重
複する説明を省略する。このワイヤ放電加工機のワイヤ
電極供給処理では,ワイヤ電極1の結線を確認し(ステ
ップ6),ワイヤ電極1のアニール処理に移行する。ワ
イヤ電極1のアニール処理(ステップ7〜ステップ9)
は,従来の供給処理におけるアニール処理(ステップ5
8〜ステップ60)と同様であるので,重複する説明を
省略する。
【0041】このワイヤ放電加工機におけるワイヤ電極
1の供給処理では,供給パイプ5内にエアを流してワイ
ヤ電極1をアニール処理を終了すると同時に,従来の処
理では既に別工程として行っていた上ワイヤヘッド6と
下ワイヤヘッド7とのエア洗浄を行う(ステップ1
0)。エアの供給及び洗浄が終了した後,ワイヤ電極1
の先端部の切断と廃棄,保持体(供給パイプ5)の高速
下降及びアニールローラ4の低速駆動の各ステップ11
〜ステップ17は,それぞれ,従来のステップ62〜ス
テップ68と同様であるので,重複する説明を省略す
る。
【0042】ステップ17までの工程で,供給パイプ5
を通じて上ワイヤヘッド6,工作物8の孔26,及び下
ワイヤヘッド7を通ってワイヤ電極回収装置30の方向
変換ローラ29の下側までワイヤ電極1の低速供給が完
了すると,アニールローラ4,4を開くことなく,ワイ
ヤ電極1をアニールローラ4,4間に挟み込んだ状態
で,シリンダ装置を作動して保持体20を高速で上昇さ
せると共に,同時にアニールローラ4,4を高速Vhで
駆動して,ワイヤ電極1のアニール処理が施された部分
を引出しローラ31まで通過させる(ステップ18)。
以後の引出しローラ31によるワイヤ電極1の挟持(ス
テップ19)から,保持体20のロック装置によるロッ
ク(ステップ21)及びワイヤ電極1の結線確認(ステ
ップ22)は,従来の処理(ステップ73,ステップ7
5,ステップ76)と同様であるので,再度の説明を省
略する。ワイヤ電極1が引出しローラ31まで良好に供
給されたか否かは,アニールローラ4,4を開いたワイ
ヤ電極1の開放の際に,断線センサ62の作動状態で確
認する(ステップ20)。
【0043】このワイヤ放電加工機は,上記のように,
ワイヤ電極1を上ワイヤヘッド6,工作物8の孔26,
下ワイヤヘッド7,及び方向変換部32へ挿通する工程
に要する時間を短縮するため,上下のワイヤヘッド6,
7のエア洗浄を,アニール処理における供給パイプ5へ
のエアの供給と同時に行う。また,保持体20を供給パ
イプ5と共に高速で上昇させるときに,同時にワイヤ電
極1を高速で送ることができる。即ち,アクチュエータ
64を作動させることにより,他方のアニールローラ4
は,DCサーボモータ57によって駆動される一方のア
ニールローラ4に向かって押されて,一方のアニールロ
ーラ4との間にワイヤ電極1を挟み込む。他方のアニー
ルローラ4は,保持体20の上昇速度と下方に向かって
高速送りされるワイヤ電極の速度とに対応した周速度と
なるように追従回転するだけであるので,ワイヤ電極に
無理な力を与えて損傷させることもなく,また,弛みを
生じることもない。コントローラは,ワイヤ電極1を引
出しローラ31まで供給したとき,ワイヤ電極1が良好
に引き出されているか否かを断線センサ62の検出信号
に基づいて判断している。
【0044】このワイヤ放電加工機においては,ワイヤ
電極1の各供給処理における制御量はパラメータ化され
ており,ワイヤ放電加工機の運転状況に応じて,各供給
処理における制御量をパラメータの選択によって簡単な
操作で直ちに変更し,且つ設定することができ,その結
果,ワイヤ電極1の供給処理時間を短縮することが可能
となる。即ち,ワイヤ電極1のアニール処理のためにア
ニールローラ4,4に電流を流す通電時間及び電流量
は,アニール通電パラメータとして設定可能である。例
えば,ワイヤ電極1の種類等に応じて,アニール通電パ
ラメータとしての通電時間及び電流量を選択し且つ設定
することにより,コントローラは,そのようにして選定
されたアニール通電パラメータとしての通電時間又は電
流量でアニール処理を実行し,ワイヤ電極1のアニール
処理時間をワイヤ電極1の種類等に応じて制御すること
ができる。
【0045】また,DCサーボモータ57の回転時の電
流値及び通電時間も,モータ通電パラメータとして扱わ
れる。例えば,ワイヤ電極1の種類等に応じて,モータ
通電パラメータとしての電流値及び通電時間を設定する
ことにより,コントローラは,そのようにして設定され
たモータ通電パラメータとしての電流値又は通電時間で
DCサーボモータ57の駆動を行い,特に,ワイヤ電極
1の高速送りの速度及び時間をワイヤ電極1の種類に応
じて制御することができる。
【0046】更に,供給パイプ5にエアが流されるエア
供給時間,又は上ワイヤヘッド6と下ワイヤヘッド7と
のエア洗浄時間の各制御量は予めエア供給パラメータ又
はエア洗浄パラメータとして扱われる。ワイヤ放電加工
機の使用状況やワイヤ電極1の種類等に応じて,エア供
給パラメータ又はエア洗浄パラメータとしてのエア供給
時間又はエア洗浄時間を選択し且つ設定することによ
り,コントローラは,そのようにして選定されたエア供
給パラメータ又はエア洗浄パラメータでエアの供給を行
い,ワイヤ電極1の初期設定時間を好ましいものとする
ことができる。エア供給時間や洗浄時間に加えて,エア
供給量,即ち,エア圧力もパラメータ化することも可能
である。
【0047】コントローラには上記のような各パラメー
タの種類と選定される制御量とを予め記憶しておき,選
択されたパラメータとその制御量との組合せによって,
ワイヤ電極1の供給が工作物8のスタートホールへの供
給であるのか,ワイヤ電極1の断線に基づく再供給であ
るのかをコントローラに判断させることができる。例え
ば,上下のワイヤヘッド6,7の洗浄を必要とするとき
には,コントローラは,スタートホールへの供給と判断
させるようにプログラムすることができる。コントロー
ラは,ワイヤ電極1の供給がスタートホールへの供給で
あると判断した場合には,作業終了まで長時間が必要で
あるので,エア洗浄を供給パイプ5へのエア供給と同時
に行い,供給パイプの上昇とワイヤ電極1の高速送りと
を同時に行う等の,ワイヤ電極の供給時間を短縮する制
御を行わせることができる。また,コントローラは,ワ
イヤ電極1の供給がワイヤ電極1の断線による再供給で
あると判断した場合には,図10に示す従来のフローを
実行させることもできる。
【0048】
【発明の効果】このワイヤ放電加工機によれば,保持体
には,一方のアニールローラを駆動するモータと,他方
のアニールローラを一方のアニールローラに向かって押
す押圧手段とが備わっており,コントローラは,シリン
ダ装置を作動させて保持体と共に供給パイプを上昇させ
ると同時に,押圧手段とモータとを作動させてアニール
ローラによりワイヤ電極を挟んでワイヤ電極を高速送り
することにより,ワイヤ電極の初期供給処理の一層の高
速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるワイヤ放電加工機の一実施例で
あって,保持体に設けられるアニールローラの駆動機構
を示す平面図である。
【図2】この発明によるワイヤ放電加工機の工作物を挟
んだ上ワイヤヘッド及び下ワイヤヘッドのワイヤ電極供
給状態を示す断面図である。
【図3】ワイヤ電極の良好な供給状態を示す概略図であ
る。
【図4】ワイヤ電極の不良な供給状態を示す概略図であ
る。
【図5】この発明によるワイヤ放電加工機におけるワイ
ヤ電極の供給処理を示すフローである。
【図6】従来のワイヤ放電加工機の一例を示す概略図で
ある。
【図7】図6に示したワイヤ放電加工機のワイヤ電極の
供給を示す概略図である。
【図8】図6に示したワイヤ放電加工機のアニールロー
ラの駆動を示す平面図である。
【図9】図6に示したワイヤ放電加工機の挟持部材の概
要を示す平面図である。
【図10】図6に示したワイヤ放電加工機におけるワイ
ヤ電極の供給処理フローである。
【符号の説明】
1 ワイヤ電極 3 シリンダ装置 4 アニールローラ 5 供給パイプ 6 上ワイヤヘッド 7 下ワイヤヘッド 8 工作物 10 ヘッド 20 保持体 26 工作物8の孔 27 支持部材 30 ワイヤ電極回収装置 39 シリンダ 40 ピストン 41 摺動体 57 DCサーボモータ 62 断線センサ 64 アクチュエータ Ts 低速送り時間 Vs 低速送り速度 Th 高速送り時間 Vh 高速送り速度

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘッドに対して上下動可能に取り付けら
    れた上ワイヤヘッド,該上ワイヤヘッドに対向して設け
    られ前記上ワイヤヘッドとの間に工作物が設定される下
    ワイヤヘッド,前記ヘッドの上部から下部へ延びるよう
    に配置され且つ前記ヘッドに固定されたシリンダと該シ
    リンダ内を往復動するピストンとから成るシリンダ装
    置,前記シリンダ装置の前記ピストンの移動に対応して
    前記シリンダに沿って上下動する摺動体に固定された保
    持体,ワイヤ電極供給源から繰り出されるワイヤ電極を
    前記上ワイヤヘッド,前記工作物に形成された孔及び前
    記下ワイヤヘッドに挿通するため,前記保持体に垂下状
    態に取り付けられ且つ前記ワイヤ電極が貫通する供給パ
    イプ,前記ワイヤ電極を挟持して前記ワイヤ電極の送り
    のために駆動されると共に前記ワイヤ電極のアニール処
    理のため電流を流すことができる前記保持体に設けられ
    た一対のアニールローラ,及び前記保持体の上下動を制
    御すると共に前記アニールローラによる前記ワイヤ電極
    の送りを制御し,且つ前記ワイヤ電極をアニール処理す
    る制御を行うコントローラを具備し,前記保持体には,
    一方の前記アニールローラを駆動するモータと他方の前
    記アニールローラを一方の前記アニールローラに向かっ
    て押す押圧手段が配設されており,前記コントローラ
    は,前記シリンダ装置を作動させて前記保持体と共に前
    記供給パイプを上昇させると同時に,前記押圧手段と前
    記モータとを作動させて前記ワイヤ電極を前記一対のア
    ニールローラ間に挟んで高速送りをすることから成るワ
    イヤ放電加工機。
  2. 【請求項2】 前記コントローラは,前記ワイヤ電極を
    アニール処理するため前記ワイヤ電極に通電した後に前
    記供給パイプにエアを流すと同時に,前記上ワイヤヘッ
    ドと前記下ワイヤヘッドとをエア洗浄することから成る
    請求項1に記載のワイヤ放電加工機。
  3. 【請求項3】 前記下ワイヤヘッドから排出される消耗
    した前記ワイヤ電極はワイヤ電極回収装置によって引き
    出されて回収され,前記ワイヤ電極の送り経路には断線
    センサが配設されており,前記コントローラは,前記断
    線センサの検出信号に基づいて前記ワイヤ電極が前記ワ
    イヤ電極回収装置にまで良好な状態で供給されているか
    否かを判断することから成る請求項1又は2に記載のワ
    イヤ放電加工機。
  4. 【請求項4】 前記ワイヤ電極のアニール処理のために
    前記アニールローラに電流を流す通電時間及び電流量
    は,アニール通電パラメータとして設定可能であり,前
    記コントローラは,アニール通電パラメータとして設定
    された前記通電時間又は前記電流量で前記ワイヤ電極の
    アニール処理を行うことから成る請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載のワイヤ放電加工機。
  5. 【請求項5】 前記モータの回転時の電流値及び通電時
    間はモータ通電パラメータとして設定可能であり,前記
    コントローラは,前記モータ通電パラメータとして設定
    された前記電流値又は前記通電時間で前記モータの駆動
    を行うことから成る請求項1〜4のいずれか1項に記載
    のワイヤ放電加工機。
  6. 【請求項6】 前記供給パイプへのエア供給時間,又は
    前記上ワイヤヘッドと前記下ワイヤヘッドとのエア洗浄
    時間の各変量は予めエア供給パラメータとして設定可能
    であり,前記コントローラは,前記エア供給パラメータ
    として設定された前記エア供給時間又はエア洗浄時間で
    前記供給パイプ又は前記上ワイヤヘッドと前記下ワイヤ
    ヘッドとに前記エアを供給することから成る請求項1〜
    5のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工機。
  7. 【請求項7】 前記コントローラは,選択された前記パ
    ラメータの組合せによって,前記ワイヤ電極の供給がス
    タートホールへの供給であるのか前記ワイヤ電極の断線
    に基づく再供給であるのかを判断し,前記ワイヤ電極の
    供給が前記スタートホールへの供給であると判断したと
    きには,前記ワイヤ電極の供給時間を短縮する制御を行
    うことから成る請求項1〜6のいずれか1項に記載のワ
    イヤ放電加工機。
  8. 【請求項8】 前記ワイヤ電極のアニール処理のため前
    記ワイヤ電極を挟持することができる接離可能な一対の
    挟持部材を備え,前記挟持部材で前記ワイヤ電極を挟持
    した状態で前記アニールローラを逆転駆動することによ
    って前記ワイヤ電極を緊張させた状態で前記アニールロ
    ーラと前記挟持部材との間の前記ワイヤ電極をアニール
    処理することから成る請求項1〜7のいずれか1項に記
    載のワイヤ放電加工機。
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