JP2000089043A - 多芯光ファイバ - Google Patents

多芯光ファイバ

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JP2000089043A
JP2000089043A JP10255666A JP25566698A JP2000089043A JP 2000089043 A JP2000089043 A JP 2000089043A JP 10255666 A JP10255666 A JP 10255666A JP 25566698 A JP25566698 A JP 25566698A JP 2000089043 A JP2000089043 A JP 2000089043A
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Masaji Okamoto
正司 岡本
Kazumi Nakamura
一己 中村
Yoshihiro Uozu
吉弘 魚津
Atsushi Okumura
淳 奥村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全体の島形状をほぼ均一にし、取り扱い時に
もダメージを受けず、従来の単芯の光ファイバとも互換
性があり、且つ高性能な通信用のプラスチック製多芯光
ファイバを提供する。 【解決手段】 複数の島部が海部によって互いに隔てら
れた状態で一体化されてなる海島構造を有する多芯光フ
ァイバにおいて、海島構造の外周部に保護層を一体に設
け、海部の屈折率を島部の屈折率より低く、保護層の屈
折率を海部の屈折率以下で島部の屈折率よりも特定値低
くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に通信用として
使用される光ファイバに関するものであり、光電センサ
ーやライトガイド等の光ファイバが使用される全ての分
野で利用される。
【0002】
【従来の技術】従来、広帯域で低損失な光ファイバを得
るために、鞘の屈折率を芯の屈折率よりも僅かだけ低く
したファイバの開発が進められている。
【0003】しかし、従来の単芯の光ファイバは曲げに
よる曲げロスが大きい。また、伝送速度を大きくするに
は芯成分と鞘成分との屈折率差を小さくする必要がある
が、芯成分と鞘成分との屈折率差が小さいほど曲げロス
が大きくなる。このため、単芯の光ファイバでは光学特
性改善に限界がある。そのため、特開平8−10131
7号公報では直径φ300μm以下のファイバをバンド
ル化する方法が開示されている。また、特開平8−10
1316号公報では芯の直径が200μm以下の多芯プ
ラスチック光ファイバユニットが開示されている。さら
に、特開平5−341147号公報には芯の直径を0.
5μm以上としたマルチコア型シングルモードファイバ
が開示されている。その他にも特開平9−33737号
公報等には通信用多芯プラスチック光ファイバが開示さ
れており、何れも海島構造、或いは外周部にケーブル材
を被覆したものである。
【0004】これまでの通信用の多芯光ファイバは、複
数の芯−鞘構造を形成した後、ロート状の口金で収束し
て鞘同士を一体化することによって海島構造を形成して
いる。
【0005】しかしながら、通信用途では、芯の占有率
の高いファイバが要求されるため、図3(A)に示すよ
うに、最外周部の海の厚さが非常に薄くなってしまい、
外周部の芯は内周部の芯と同様な形状を維持できない。
さらには、取り扱い時のスレ等により、外周部の海部に
傷が入って芯部の光が漏れてしまう問題があった。
【0006】また、最外周部の島はダメージを受けるも
のとして保護層と見なし、ファイバ外径を島2個分大き
くする方法が採られている。しかし、この方法だとファ
イバ素線の直径が大きくなってしまい、コネクター等の
周辺部品が単芯の光ファイバと互換性が無くなってしま
う。また、ケーブル材を被覆して柔軟性を付与する場合
にも素線の外径が大きいと不利に働くのは明らかであ
る。なお、海島構造の多芯光ファイバに、図3(B)に
示すように保護被覆として通常のケーブル材を用いて被
覆することは可能だが、この保護被覆は素線と一体に構
成されたものではない。
【0007】また、多芯の光ファイバは曲げによる曲げ
ロスが小さく、芯成分と鞘成分との屈折率差を小さくし
ても曲げロスは小さい。しかしながら、従来の多芯光フ
ァイバにおいては、その最外周部と中心部とを比較する
と、中心部に位置する島は周囲に他の島が存在するた
め、ある島から漏れた光は他の周囲の島によって伝送さ
れうるが、最外周部に位置する島はその外側に他の島が
存在しないのでその分ロスが大きい。島の数が300以
下、さらには50以下と少なくなるに連れて全体に占め
る最外周部の島の数が多くなり、その影響は大きい。
【0008】このような光漏れのない多芯光ファイバが
特開平6−18725号公報に開示されている。この多
芯光ファイバは、画像転送用であって、島部は芯−鞘構
造を有し、外周部には保護層が被覆されている。そし
て、光を芯と鞘の界面で全反射させて伝搬し、実質的に
光は芯部のみを通過する構成を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この多
芯光ファイバは通信用途を意識したものではないので、
視野角を広げるために芯鞘間の屈折率差が大きく設定さ
れている。このため、高次モード光が芯鞘界面で全反射
して伝搬するので伝送帯域が低い。
【0010】また、多芯光ファイバにおいては、コア材
の直径が、従来の単芯の光ファイバでは1mm程度であっ
たものが200μm程度と非常に細くなっており、光フ
ァイバの光透過性に占める鞘材の透明性の占める役割が
非常に高くなっている。しかしながら、従来の多芯光フ
ァイバにおいては、鞘成分(海成分)の材料(鞘材)に
関する改良はなされておらず、従来の単芯のプラスチッ
ク光ファイバに鞘材として用いていたものを転用してい
たにすぎず、伝送損失が大きかった。
【0011】そこで本発明の目的は、海島構造の外周部
に所定の条件を満たす保護層を設けることによって、全
体の島形状をほぼ均一にし、取り扱い時にもダメージを
受けず、従来の単芯の光ファイバとも互換性があり、且
つ高性能な通信用のプラスチック製多芯光ファイバを提
供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために種々検討した結果、本発明を完成す
るに至った。
【0013】すなわち本発明は、複数の島部が海部によ
って互いに隔てられた状態で一体化されてなる海島構造
を有し、該海島構造の外周部に一体化された保護層を有
する多芯光ファイバであって、該島部が芯部を中心層と
した複数層で構成され、該島部の各層の屈折率は中心か
ら外周に向かって順次減少しており、該海部の屈折率は
島部の最外周層の屈折率以下であり、該保護層の屈折率
は海部の屈折率以下であって、芯部の屈折率よりも0.
002〜0.2低いことを特徴とする多芯光ファイバに
関する。
【0014】また本発明は、複数の島部が海部によって
互いに隔てられた状態で一体化されてなる海島構造を有
し、該海島構造の外周部に一体化された保護層を有する
多芯光ファイバであって、該島部が単一層で構成され、
該海部の屈折率は島部の屈折率より低く、該保護層の屈
折率は海部の屈折率以下であって、島部の屈折率よりも
0.002〜0.2低いことを特徴とする多芯光ファイ
バに関する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明の多芯光ファイバの海島部の構造に
おいて、島部は、芯部のみからなる単層構造、あるいは
芯部を中心層とした複数層で構成される。好ましくは中
心層を含む2層以上、より好ましくは3層〜10層で構
成することが好ましい。複数層にすることにより、より
広い帯域を得ることができる。ここで、島部が芯部のみ
で構成されている場合は「芯部」とは「島部」を意味
し、島部が複数の層から構成されている場合は、「芯
部」とは島部の中心部(中心層)のみを意味し、その外
周部は外側に向かって順に2層目の島部、3層目の島部
という。
【0017】短距離で帯域200MHz程度であれば島
部は芯部のみ、或いは2層程度で構成すれば十分に実施
可能である。100m以上の長距離で、より広帯域な光
ファイバを得るには、島部の層数を3以上にすることが
好ましい。
【0018】芯部と海部の屈折率差を大きくすること
で、曲げによる光量の低下(曲げロス)を防ぐことがで
きるが、一方で、島部の層数が2層以下と少ない場合、
島部の層間および島部最外層と海部との層間の屈折率差
が大きくなる。ここで、層間の屈折率差が大きい場合
は、屈折率差が小さい場合と比較して、より高次モード
の光が層間で全反射して伝搬される。したがって、島部
の層数が2層以下と少ない場合は、高次モードの光によ
り伝送帯域が低下するおそれがある。したがって、島部
は3層以上とすることが好ましい。層数を増やすことに
よって帯域は更に拡大できる。
【0019】島部が複数層で構成されている場合は、各
層の屈折率は中心の芯から外周に向けて順次小さくす
る。段階的に小さくしてもよいし、なだらかな二次曲線
状に小さくしてもよい。さらに、各層間の屈折率差を小
さくして半径方向の屈折率分布をGI型に近づけること
が好ましい。各層間の屈折率差は0.002〜0.1が
好ましく、0.005〜0.05がより好ましい。各層
間の屈折率差が0.002よりも小さくなると、ファイ
バ内に取り込む光の量が小さくなり出射側での光の検出
が困難になる。一方、0.1よりも大きくなりすぎる
と、帯域が装飾用等に用いられる光ファイバと同レベル
になる。
【0020】また、芯部と海部の屈折率差は0.01〜
0.2が好ましく、0.05〜0.2がより好ましい。
屈折率差が0.01よりも小さくなると、ファイバ内に
取り込む光の量が小さくなり出射側での光の検出が困難
になる。一方、0.2よりも大きくなりすぎると、帯域
が装飾用等に用いられる光ファイバのレベル以下にな
る。
【0021】本発明の多芯光ファイバは、島部を2層以
上で構成する場合、受光面積を大きくしてカップリング
ロスを小さくするために、島全体が光の進路となるよう
に島部の2層目以降にも透明性の高い樹脂を使用するこ
とが好ましい。なお、海部においても、後述のように保
護層の屈折率を小さくし、海部までを光伝送路とする場
合は、海部にも透明性の高い樹脂を使用することが好ま
しい。
【0022】本発明の多芯光ファイバの島部の断面形状
は、円形が好ましいが、占有率を高める目的で六角形に
近似した形状にしてもよい。また、光ファイバの外周か
ら中心に向かって島の断面積を大きくしたもの、或いは
光ファイバの外周から中心に向かって島の屈折率を高く
したもの等も用いることができる。なお、芯成分より海
成分のメルトフローレートを大きくすると、島部の断面
形状は占有率を高めるととともに六角形状になりやす
い。
【0023】島部の断面積占有率は大きい方が好まし
く、通常の単芯の光ファイバと同等の60%〜98%が
好ましく、80%〜98%がより好ましい。占有率が6
0%よりも小さくなると、ファイバ内に取り込める光の
量が小さくなり、出射側での光の検出が困難になる。占
有率が98%を超えるものは、全体に均一な海島構造を
得ることが困難になる。
【0024】本発明の多芯光ファイバは、その海部の屈
折率が、島部が単層である場合は島部の屈折率より低
く、島部が複数層である場合は島部の最外周層の屈折率
以下であることが必要である。
【0025】また海部を島部とともに光伝送路とする場
合は、海部にも島部と同様な透明性の高い樹脂を使用す
ることが好ましい。
【0026】本発明の多芯光ファイバは、その保護層の
光ファイバ全体に占める割合が0.5%〜20%が好ま
しい。0.5%未満になると保護層としての効果が著し
く低下する。一方、保護層を必要以上に20%を超える
割合にすると、全体に占める島部の占有率を低下させる
ことになる。通信用に使用する場合で外周部をしっかり
と保護するには、1%〜10%がより好ましい。
【0027】一般に、多芯の構成にすることによって、
芯成分と海成分との屈折率差を小さくしても曲げによる
ロスは少なくなる。しかし、多芯の構成では、最外周部
と中心部とを比較すると、中心部は島の周囲に他の島が
存在して相互に光の漏れがあるが、最外周部の島はその
外側に島が存在しないのでその分ロスが大きい。そこ
で、保護層を設け、その屈折率を海部の屈折率以下で且
つ芯部の屈折率よりも0.002〜0.2低くすること
によって、最外周部から外への漏れ光を少なくすること
が可能になる。これにより、海部を通過する光を伝搬さ
せることができるので、島部だけでなく海部を光伝送路
とすることができ、光ファイバ断面積内に占める実質的
な光伝送路の面積を拡大することができる。また、曲げ
により島部から漏れた光が保護層により再びファイバ内
に戻されるので、曲げた際の光ファイバの光量低下を防
ぐこともできる。すなわち、島の数が300以下、さら
には50以下と少なくなって全体に占める最外周部の島
の数の割合が多くなってもロスは多くならない。ここ
で、保護層部と芯部の屈折率差が0.002未満では励
振NA0.25以上の光は漏れてしまうので好ましくな
い。一方、この屈折率差が0.2を超えるとモード分散
が大きくなって帯域が狭くなる。したがって保護層部と
芯部の屈折率差は0.002〜0.2の範囲にあること
が好ましく、0.05〜0.2がより好ましい。
【0028】なお、特開平2−141545号公報、特
開平3−235621号公報に保護層を有する画像伝送
用の多芯光ファィバが開示されているが、何れもPE
(ポリエチレン)が用いられている。PEの屈折率は
1.5以上と高く芯成分のPMMA(ポリメチルメタク
リレート)よりも高い。したがって、本発明のように漏
れ光を防ぐ効果は考慮されていない。また、特公昭48
−54952号公報には、外周部に熱可塑性高分子を被
覆して成る光導体が開示されているが、熱可塑性高分子
に実質的に不透明なものを用いて側面からの光の入射を
遮断することを目的としている点で本発明とは異なる。
【0029】本発明の多芯光ファイバの保護層は、ファ
イバ内の光の反射に寄与するように、海島構造と一体に
構成される。一体に構成するとは、保護層が海島構造に
密着しており、後工程で保護層のみを容易に剥離させる
ことができない状態をいう。この保護層は、紡糸口金内
で海島構造と同時に形成することによって島部が口金壁
面の影響で変形するのを防いでいる。本発明の多芯光フ
ァイバの保護層は、従来の光ファイバに用いられている
ようなコネクター等との接続時に剥がすようなケーブル
材とはこの点においても異なる。
【0030】本発明の多芯光ファイバにおいては、島部
の全ての断面形状が円形あるいは円形に近いことが好ま
しい。従来の多芯光ファイバの断面形状においても円形
のものが多いが、実際には最外周だけ選択的に海部を多
くすることができないため、外周部に位置する島は図3
(A)及び(B)に示すように変形してしまっていた。
【0031】そこで本発明では、保護層を設け、保護層
成分のメルトフローレートを限定することによって、最
外周部の島の変形を防止できることを見い出した。保護
層成分のメルトフローレートは芯成分の5倍〜100倍
が好ましい。5倍よりも小さくすると島は変形しやすく
なり、100倍よりも大きくすると島の変形は無いが、
長手方向の直径変動が大きくなりやすいので余り好まし
くない。
【0032】島が2層以上に構成されている場合も、保
護層成分のメルトフローレートは少なくとも芯成分に対
して5倍〜100倍であることが好ましく、5倍〜50
倍がより好ましい。
【0033】島の断面形状に歪みがあると、伝搬するモ
ード数が低減するなどの問題が起きる。形状が均一であ
れば、全体で同じ信号を伝搬できる。
【0034】本発明の多芯光ファイバの作製に用いられ
る紡糸口金の構造は特に限定されないが、好ましい紡糸
口金の構造を図2に示す。
【0035】21は芯部の材料(芯材)の分配板であ
り、必要とする島数に対応した数の分配孔が設けられて
いる。22は2層目の島部の材料(島材)の分配板、2
3は海部の材料(海材)の分配板であり、芯材分配板2
1で形成された各芯の周りに2層目の島材、海材を順次
被覆する。この時点で3層のファイバが形成され、海材
分配板23から吐出されたと同時に各海材を介して一体
化される。その後、保護材分配板24で保護層が被覆さ
れ、集合口金板25で直径を任意の径にして吐出する。
島部を芯のみで構成する場合は、2層目の島材分配板2
2を取り外す、或いは島材樹脂を供給しなければよい。
島部の層数を増やす場合は、島の層数に対応するように
分配板の数を増やす。海材分配板23の下端部は直線で
も末広がりであってもよい。保護層は、集合口金板で被
覆して、保護材分配板24を省略することも可能であ
る。また、一体化は集合口金板25を用いないで海材分
配板23の下端部で各吐出孔を接近させて収束させるよ
うにしてもよいし、円筒状あるいはロート状の集合口金
板を用いてもよい。このような構造の紡糸口金の各分配
板にクリーンな状態にした各樹脂を供給して多芯光ファ
イバを形成する。
【0036】多芯光ファイバを実際に使用する場合は、
ケーブル材を被覆して使用するが、この被覆は紡糸と同
時、或いは別工程で行ってもよい。一般的には紡糸とは
別工程で行われる。
【0037】延伸は、多芯光ファイバ形成後あるいは樹
脂被覆後に行う。延伸倍率は1.2〜4倍の範囲で必要
な光学特性と機械的特性を満足するように決定する。フ
ァイバの加熱・冷却を目的として、紡糸あるいは延伸工
程において液体中を通してもよい。
【0038】芯部に用いられる材料としては、公知の光
ファイバに使用される各種の透明性の高い樹脂、特にメ
チルメタクリレート系の樹脂が挙げられる。好ましい樹
脂としては、メチルメタクリレート単独重合体、メチル
メタクリレートを主成分とする共重合体や、ベンジルメ
タクリレートを主成分とする共重合体、フッ素化アルキ
ルメタクリレート系重合体が挙げられる。本発明に用い
る樹脂としてはメチルメタクリレート単独重合体が特に
好ましい。
【0039】島部が2層以上に構成されている場合の2
層目以降の島部、及び/又は海部に用いられる材料とし
ては、例えば、フッ素化アルキルメタクリレート(共)
重合体、フッ素化アルキルメタクリレート−メタクリル
酸エステル(共)重合体、α−フルオロメタクリレート
(共)重合体、フッ化ビニリデン系樹脂、またはそれら
の混合物が挙げられる。具体的には、2,2,2−トリ
フルオロエチルメタクリレートの単独重合体、2,2,
2−トリフルオロエチルメタクリレート単位を含む共重
合体、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタク
リレートの単独重合体、2,2,3,3−テトラフルオ
ロプロピルメタクリレート単位を含む共重合体、2,
2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレー
トの単独重合体、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ
プロピルメタクリレート単位を含む共重合体、2,2,
3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート/
1,1,2,2−テトラヒドロキシパーフルオロデシル
メタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸
の共重合体、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリ
レート/1,1,2,2−テトラヒドロキシパーフルオ
ロデシルメタクリレート//メタクリル酸の共重合体、
メチルメタクリレート単位53〜79.95重量%と
1,1,2,2−テトラヒドロキシパーフルオロデシル
メタクリレート単位20〜45重量%とメタクリル酸単
位0.05〜2重量%との共重合体等が用いられる。
【0040】芯部にPMMAを用いた場合は、島部の2
層目以降の少なくとも一層及び/又は海部として、短鎖
フッ素化アルキルメタクリレートを主成分とするポリマ
ーが好ましく用いられる。短鎖フッ素化アルキルメタク
リレートとしては、その短鎖の炭素数が2〜5のものが
好ましく、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレ
ート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタク
リレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピ
ルメタクリレート等が挙げられる。
【0041】従来、プラスチック光ファイバは直径1mm
程度のものを想定しており光ファイバとしての屈曲性を
持たせるため、その鞘材として用いるためには強度付与
をする必要があり、その強度付与のために長鎖フッ素化
アルキルメタクリレートと短鎖フッ素化アルキルメタク
リレート等の種々の共重合体が用いられている。しかし
ながら、本発明の多芯光ファイバにおいてはコア材の直
径は200μm以下と細いために海材(鞘材)の強度は
従来の直径1mm程度の光ファイバほど必要でないことを
確認した。本発明に用いる短鎖フッ素化アルキルメタク
リレートは長鎖フッ素化アルキルメタクリレートよりも
沸点がかなり低く、蒸留等により容易に精製が可能であ
り、そのモノマー単位を主成分とするポリマーは透明性
の極めて高いものであり、多芯光ファイバの光学特性を
向上させることができる。
【0042】本発明に用いる短鎖フッ化アルキルメタク
リレートを主体とするポリマーとしては、2,2,2−
トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−
テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,
3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレートの各ホ
モポリマーが透明性の面では最も好ましい。これは、共
重合体と比較して、精製ができない或いは精製困難な共
重合成分を用いることにより不純物成分が導入されるこ
とがなく、また組成の揺らぎが生じにくく散乱損失が低
いためである。
【0043】また、光ファイバの直径が200μm程度
と細い場合、より高い強度が必要であるときは、透明性
を維持しつつ強度を付与するために、短鎖フッ化アルキ
ルメタクリレートとメチルメタクリレートを共重合させ
ることが好ましい。短鎖フッ化アルキルメタクリレート
の含有量は10〜90重量%であることが好ましく、3
0〜80重量%であることがより好ましい。含有量が1
0重量%未満であると、芯部との屈折率差が小さくな
り、90重量%を超えると強度向上の目的が十分に達成
できない虞がある。なお、メチルメタクリレートを共重
合した場合に共重合の組成揺らぎにより若干散乱が増え
るが、その散乱の度合いは2,2,3,3−テトラフル
オロプロピルメタクリレートが最も少ない。そのため、
本発明においてはメチルメタクリレートとの共重合を考
えた場合、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメ
タクリレートを用いることが最も好ましい。
【0044】本発明において多芯光ファイバの光学特性
を向上させるためには海材の透明性を良好にすることが
好ましい。本発明においてはその海材の着色を極力防ぐ
ために、次のような条件下で重合することが望ましい。
すなわち、モノマーとして用いる短鎖フッ素化アルキル
メタクリレートはAPHA5以下であることが好まし
い。蒸留後、さらにカラム分離を行うことよりAPHA
5以下の着色に抑えることができる。開始剤としては、
通常用いられる過酸化物あるいはシアノ基の付いたアゾ
系開始剤は着色原因となるために用いず、アゾアルカン
系あるいはアゾエステル系開始剤を用いることが好まし
い。連鎖移動剤としては、沸点の低い炭素数3〜8のア
ルキルメルカプタンが好ましく、特にブチルメルカプタ
ンを用いて重合することが好ましい。
【0045】保護層に用いられる材料としては、前述の
2層目以降の島部および海部と同様の樹脂材料を用いて
もよいが、保護層の屈折率は海材以下で芯材よりも0.
002〜0.2低いことが好ましい。樹脂被覆材や周辺
に可塑剤が使用される場合には、保護層の材料として可
塑剤が移行しないような樹脂を選択することが好まし
い。
【0046】ケーブル材に用いられる材料としては、各
種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、形状
記憶樹脂、金属微粉末等を含んだ樹脂等が使用できる。
【0047】熱可塑性樹脂で好ましい樹脂としては、塩
化ビニル、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチ
レン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、塩化ビニルとエチレン−酢酸ビニル共重合体のブ
レンド品、ポリウレタン樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性
樹脂、各種の形状記憶樹脂、金属微粉や金属短繊維、金
属長繊維を含んだ各種樹脂が用いられる。中でも、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、PVCとエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体のブレンド品等の弾性率の小さい樹脂がよ
り好ましく用いられる。
【0048】また、各種樹脂に可塑剤を添加してもよ
く、塩化ビニルの場合、例えばジオクチルフタレート、
トリオクチルトリメリテート、トリクレジルフォスフェ
ート等が用いられる。但し、可塑剤は光ファイバへ移行
して光ファイバの光学性能、機械特性に支障を来す場合
が有るので注意が必要である。
【0049】また、熱硬化性樹脂としては、フェノール
樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が用いられ、
光硬化性樹脂としては、例えばMMAに光重合開始剤を
用いたもの等が使用でき、形状記憶樹脂としては、アク
リル樹脂、トランスイソプレン、ポリウレタン、ポリノ
ルボンネル、スチレン/ブタジエン共重合体等が使用で
きる。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0051】(メルトトフローレート)メルトトフロー
レートは、日本工業規格JIS K7210に準じ、J
ISK7210を基準とした場合は試験温度230℃、
試験荷重5kg、ダイスは長さ8.0±0.025m
m、内径2.095±0.005mm、試料充填量5
g、試料採取時間30秒で測定した。
【0052】(伝送帯域)全モード励振における伝送帯
域は、52m−2mカットバック法により、励振NAが
0.65における50m長の光−3dB帯域をインパル
ス応答法にて測定した。測定装置として浜松ホトニクス
(株)製の光サンプリングオシロスコープ、光源として
東芝(株)製半導体レーザーTOLD9410を用い、
発光波長は650nmとした。
【0053】(伝送損失)25m−5mカットバック法
により測定した。光源は分光器を用いて波長650nm
に単色化し、励振NAはレンズを用いて0.1に合わせ
た。
【0054】(屈折率)アッベの屈折計を用いて温度2
0℃におけるnDを測定した。
【0055】(巻き付け光量保持率)5mにカットした
ファイバを用い、フリーの状態と中間の任意の位置を半
径1mmの棒に一回巻き付けた状態でその光量を測定し
た。光源は分光器を用いて波長650nmに単色化し、
励振NAはレンズを用いて0.1に合わせた。
【0056】(実施例1)島部を芯部のみからなる単層
構造とし、この島部(芯部)の材料として、屈折率1.
492、メルトフローレート5g/10分のポリメチル
メタクリレート樹脂を用いた。海部の材料としては、屈
折率1.46、メルトフローレート20g/10分の
1,1,2,2−テトラヒドロキシパーフルオロデシル
メタクリレート25重量%と長鎖フルオロアルキルメタ
クリレート25重量%とメタクリル酸メチル74重量%
とメタクリル酸1重量%との共重合体を用いた。
【0057】保護層の材料としては、屈折率1.40
2、メルトフローレート100g/10分のフッ化ビニ
リデン/テトラフルオロエチレン(=80/20[重量
%])共重合体を用いた。
【0058】以上の材料を用いて、図1(A)に示すよ
うな、外径がφ1.0mm、芯部の占有率が85%、保
護層の占有率が5%、芯の数が151個の多芯光ファイ
バを作製した。このファイバの島部(芯部)は、略円形
を保っていた。
【0059】このファイバを5mに切断し、その両端面
を研磨して一端から光を入射して他端で各島の明るさを
観察したところ、全体がほぼ均一な明るさで、最外周の
島の明るさは中心部の島の明るさと同レベルであった。
【0060】このファイバの外周に塩化ビニルとエチレ
ン/酢酸ビニル共重合体のブレンド品(東洋インキ社
製:314)の被覆を施し、外径φ2.2mmの多芯光
ファイバケーブルを得た。
【0061】得られた多芯光ファイバケーブルは、外周
部の芯部にダメージは無かった。この多芯光ファイバケ
ーブルの伝送損失は145dB/km、巻き付け光量保
持率は99%、伝送帯域は500MHzであった。
【0062】(実施例2)島部を芯部と2層目の島部か
らなる2層構造とし、この芯部の材料として屈折率1.
520、メルトフローレート8g/10分のベンジルメ
タクリレート/メチルメタクリレート(=40/60
[重量%])共重合体、2層目の島部の材料として屈折率
1.506、メルトフローレート6g/10分のベンジ
ルメタクリレート/メチルメタクリレート(=20/8
0[重量%])共重合体を用いた。海部の材料としては、
屈折率1.492、メルトフローレート15g/10分
のポリメチルメタクリレート樹脂を用いた。保護層の材
料としては、屈折率1.402、メルトフローレート1
00g/10分のフッ化ビニリデン/テトラフルオロエ
チレン共重合体(=80/20[重量%])を用いた。
【0063】以上の材料を用いて、図1(B)に示すよ
うな、外径がφ1.0mm、芯部の占有率が75%、2
層目の島部の占有率が8%、保護層の占有率が7%、芯
の数が37個の多芯光ファイバを作製した。このファイ
バの島部は、略円形を保っていた。
【0064】このファイバを5mに切断し、その両端面
を研磨して一端から光を入射して他端で各島の明るさを
観察したところ、全体がほぼ均一な明るさで、最外周の
島の明るさは中心部の島の明るさと同レベルであった。
【0065】このファイバの外周にポリエチレンの被覆
を施し、外径φ2.2mmの多芯光ファイバケーブルを
得た。
【0066】得られた多芯光ファイバケーブルは、外周
部の芯部にダメージは無かった。この多芯光ファイバケ
ーブルの伝送損失は152dB/km、巻き付け光量保
持率は99%、伝送帯域は750MHzであった。
【0067】(実施例3)島部を3層構造とし、その芯
材として屈折率1.492、メルトフローレート3g/
10分のポリメチルメタクリレート樹脂、2層目の島部
の材料として屈折率1.475、メルトフローレート8
g/10分の1,1,2,2−テトラヒドロキシパ−フ
ルオロデシルメタクリレート/メチルメタクリレート
(=25/75[重量%])共重合体、3層目の島部の材
料として屈折率1.457、メルトフローレート8g/
10分の1,1,2,2−テトラヒドロキシパーフルオ
ロデシルメタクリレート/メチルメタクリレート(=5
0/50[重量%])共重合体を用いた。海部の材料とし
ては、屈折率1.402、メルトフローレート40g/
10分のフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン
(=20/80[重量%])共重合体を用いた。保護層の
材料としては、屈折率1.402、メルトフローレート
120g/10分のフッ化ビニリデン/テトラフルオロ
エチレン(=80/20[重量%])共重合体を用いた。
【0068】以上の材料を用いて、図1(C)に示すよ
うな、外径がφ0.75mm、芯部の占有率が65%、
2層目の占有率が7%、3層目の占有率が8%、保護層
の占有率が10%、芯の数が37個の多芯光ファイバを
作製した。このファイバの島部(芯部)は、略円形を保
っていた。
【0069】このファイバを5mに切断し、その両端面
を研磨して一端から光を入射して他端で各島の明るさを
観察したところ、全体がほぼ均一な明るさで、最外周の
島の明るさは中心部の島の明るさと同レベルであった。
【0070】このファイバの外周に塩化ビニルとエチレ
ン/酢酸ビニル共重合体のブレンド品(東洋インキ社
製:314)の被覆を施し、外径φ2.2mmの多芯光
ファイバケーブルを得た。
【0071】得られた多芯光ファイバケーブルは、外周
部の芯部にダメージは無かった。この多芯光ファイバケ
ーブルの伝送損失は139dB/m、巻き付け光量保持
率は99%、伝送帯域は800MHzであった。
【0072】(実施例4)島部を芯部のみからなる単層
構造とし、芯部の材料として屈折率1.492、メルト
フローレート3g/10分のポリメチルメタクリレート
樹脂、海部の材料として屈折率1.402、メルトフロ
ーレート100g/10分のフッ化ビニリデン/テトラ
フルオロエチレン(=80/20[重量%])共重合体、
保護部の材料として屈折率1.402、メルトフローレ
ート100g/10分のフッ化ビニリデン/テトラフル
オロエチレン(=80/20[重量%])共重合体を用い
た。
【0073】以上の材料を用いて、外径がφ1.0m
m、芯部の占有率が90%、保護層の占有率が5%、芯
の数が151個の多芯光ファイバを作製した。このファ
イバは最も充填率の高くなる構造を有するように作製
し、その結果、島部の断面形状は頂点に丸みを帯びた六
角形なっていた。
【0074】このファイバを5mに切断し、その両端面
を研磨して一端から光を入射して他端で各島の明るさを
観察したところ、全体がほぼ均一な明るさで、最外周の
島の明るさは中心部の島の明るさと同レベルであった。
【0075】このファイバの外周に塩化ビニルとエチレ
ン/酢酸ビニル共重合体のブレンド品(東洋インキ社
製:314)の被覆を施し、外径φ2.2mmの多芯光
ファイバケーブルを得た。
【0076】得られた多芯光ファイバーケーブルは、外
周部の芯部にダメージは無かった。この多芯光ファイバ
ケーブルの伝送損失は153dB/km、巻き付け光量
保持率は99%、伝送帯域は250MHzであった。
【0077】(実施例5)島部を芯部のみからなる単層
構造とし、芯部の材料として屈折率1.492、メルト
フローレート3g/10分のポリメチルメタクリレート
樹脂を用いた。海部の材料としては、2,2,2−トリ
フルオロエチルメタクリレート(三菱レイヨン製、AP
HAが13)を、重合開始剤としてアゾビスイソバレロ
ニトリル、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタンを用
いて重合した後、残存モノマーを脱気押し出し機にて除
去して作製したものを用いた。得られた2,2,2−ト
リフルオロエチルメタクリレートホモポリマーは、屈折
率1.417、メルトフローレート80g/10分であ
った。保護層の材料としては、屈折率1.402、メル
トフローレート130g/10分のフッ化ビニリデン/
テトラフルオロエチレン(80/20[重量%])共重合
体を用いた。
【0078】以上の材料を用いて、外径がφ1.0m
m、芯部の占有率が90%、保護層の占有率が5%、芯
の数が151個の多芯光ファイバを得た。このファイバ
は最も充填率の高くなる構造を有するように作製し、そ
の結果、島部の断面形状は頂点に丸みを帯びた六角形に
なっていた。
【0079】このファイバを5mに切断し、両端面を研
磨して一端から光を入射して他端で各島の明るさを観察
したところ、全体がほぼ均一な明るさで、最外周の島の
明るさは中心部の島の明るさと同レベルであった。
【0080】このファイバの外周に塩化ビニルとエチレ
ン/酢酸ビニル共重合体のブレンド品(東洋インキ社
製:314)の被覆を施し、外径φ2.2mmの多芯光
ファイバケーブルを得た。
【0081】得られた多芯光ファイバーケーブルは、外
周部の芯部にダメージは無かった。この多芯光ファイバ
ケーブルの伝送損失は130dB/km、巻き付け光量
保持率は95%、伝送帯域は250MHzであった。
【0082】(実施例6)実施例5で使用した2,2,
2−トリフルオロエチルメタクリレート(APHAが1
3)を蒸留設備を用いて蒸留精製してAPHA5未満と
した。この蒸留精製モノマーを用いて、開始剤としてジ
メチルー2−2'−アゾビス(2−メチルプロピオネー
ト)(和光純薬製、V−601)、連鎖移動剤としてn
−ブチルメルカプタンを用いて重合し、残存モノマーを
脱気押し出し機にて除去して海部用のポリマーを得た。
このポリマーの屈折率は1.417、メルトフローレー
トは80g/10分であった。
【0083】海部の材料として上記のポリマーを用いた
以外は実施例5と同様な多芯光ファイバを作製した。
【0084】このファイバを5mに切断し、両端面を研
磨して一端から光を入射して他端で各島の明るさを観察
した所ところ、全体がほぼ均一な明るさで、最外周の島
の明るさは中心部の島の明るさと同レベルであった。
【0085】このファイバの外周に塩化ビニルとエチレ
ン/酢酸ビニル共重合体のブレンド品(東洋インキ社
製:314)の被覆を施し、外径φ2.2mmの多芯光
ファイバケーブルを得た。
【0086】得られた多芯光ファイバーケーブルは、外
周部の芯部にダメージは無かった。この多芯光ファイバ
ケーブルの伝送損失は115dB/kmであり実施例5
のファイバケーブルより伝送特性が良好であった。ま
た、巻き付け光量保持率は95%、伝送帯域は230M
Hzであった。
【0087】(実施例7)島部を芯部のみからなる単層
構造とし、芯部の材料として屈折率1.492、メルト
フローレート3g/10分のポリメチルメタクリレート
樹脂を用いた。海部の材料としては、実施例6で用いた
蒸留精製した2,2,2−トリフルオロエチルメタクリ
レートとメチルメタクリレートとの共重合体(50:5
0(重量比)、屈折率1.453、メルトフローレート
80g/10分)を用いた。保護層の材料としては屈折
率1.402、メルトフローレート130g/10分の
フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン(=80/
20[重量%])共重合体を用いた。
【0088】以上の材料を用いて、外径がφ1.0m
m、芯の占有率が90%、保護層の占有率が5%、芯の
数が151個の多芯光ファイバを得た。このファイバは
最も充填率の高くなる構造を有するように作製し、その
結果、島部の断面形状は頂点に丸みを帯びた六角形にな
っていた。
【0089】このファイバを5mに切断し、その両端面
を研磨して一端から光を入射して他端で各島の明るさを
観察したところ、全体がほぼ均一な明るさで、最外周の
島の明るさは中心部の島の明るさと同レベルであった。
【0090】このファイバの外周に塩化ビニルとエチレ
ン/酢酸ビニル共重合体のブレンド品(東洋インキ社
製:314)の被覆を施し、外径φ2.2mmの多芯光
ファイバケーブルを得た。
【0091】得られた多芯光ファイバーケーブルは、外
周部の芯部にダメージは無かった。この多芯光ファイバ
ケーブルの伝送損失は135dB/km、巻き付け光量
保持率は98%、伝送帯域は450MHzであった。
【0092】(実施例8)島部を芯部のみからなる単層
構造とし、芯部の材材として屈折率1.492、メルト
フローレート3g/10分のポリメチルメタクリレート
樹脂を用いた。海部の材料としては、2,2,3,3−
テトラフルオロプロピルメタクリレートを蒸留精製して
APHA5未満としたモノマーとメチルメタクリレート
との共重合体(50:50(重量比)、屈折率1.45
7、メルトフローレート85g/10分)を用いた。保
護層の材料としては、屈折率1.402、メルトフロー
レート130g/10分のフッ化ビニリデン/テトラフ
ルオロエチレン(80/20[重量%])共重合体を用い
た。
【0093】以上の材料を用いて、外径がφ1.0mm
で芯の占有率が90%、保護層の占有率が5%、芯の数
が151個の多芯光ファイバを得た。このファイバは最
も充填率の高くなる構造を有するように作製し、その結
果、島部の断面形状は頂点に丸みを帯びた六角形になっ
ていた。
【0094】このファイバを5mに切断し、その両端面
を研磨して一端から光を入射して他端で各島の明るさを
観察したところ、全体がほぼ均一な明るさで、最外周の
島の明るさは中心部の島の明るさと同レベルであった。
【0095】このファイバの外周に塩化ビニルとエチレ
ン/酢酸ビニル共重合体のブレンド品(東洋インキ社
製:314)の被覆を施し、外径φ2.2mmの多芯光
ファイバケーブルを得た。
【0096】得られた多芯光ファイバーケーブルは、外
周部の芯部にダメージは無かった。この多芯光ファイバ
ケーブルの伝送損失は125dB/km、巻き付け光量
保持率は98%、伝送帯域は450MHzであった。
【0097】(実施例9)島部を芯部のみからなる単層
構造とし、芯部の材料として屈折率1.492、メルト
フローレート3g/10分のポリメチルメタクリレート
樹脂を用いた。海部の材料としては、2,2,3,3−
テトラフルオロプロピルメタクリレートを蒸留精製しA
PHA5未満としたモノマーと2,2,2−トリフルオ
ロエチルメタクリレートを蒸留精製しAPHA5未満と
したモノマーとの共重合体(50:50(重量比)、屈
折率1.420、メルトフローレート85g/10分)
を用いた。保護層の材料としては、屈折率1.402、
メルトフローレート130g/10分のフッ化ビニリデ
ン/テトラフルオロエチレン(=80/20[重量%])
共重合体を用いた。
【0098】以上の材料を用いて、外径がφ1.0m
m、芯の占有率が90%、保護層の占有率が5%、芯の
数が151個の多芯光ファイバを作製した。このファイ
バは最も充填率の高くなる構造を有するように作製し、
その結果、島部の断面形状は頂点に丸みを帯びた六角形
になっていた。
【0099】このファイバを5mに切断し、その両端面
を研磨して一端から光を入射して他端で各島の明るさを
観察した所、全体がほぼ均一な明るさで、最外周の島の
明るさは中心部の島の明るさと同レベルであった。
【0100】このファイバの外周に塩化ビニルとエチレ
ン/酢酸ビニル共重合体のブレンド品(東洋インキ社
製:314)の被覆を施し、外径φ2.2mmの多芯光
ファイバケーブルを得た。
【0101】得られた多芯光ファイバーケーブルは、外
周部の芯部にダメージは無かった。この多芯光ファイバ
ケーブルの伝送損失は138dB/km、巻き付け光量
保持率は99%、伝送帯域は233MHzであった。
【0102】(比較例1)島部を芯部のみからなる単層
構造とし、芯部の材料として屈折率1.492、メルト
フローレート3g/10分のポリメチルメタクリレート
樹脂、海部の材料として屈折率1.402、メルトフロ
ーレート20g/10分のフッ化ビニリデン/テトラフ
ルオロエチレン(80/20[重量%])共重合体を用い
た。
【0103】以上の材料を用いて、外径がφ1.0m
m、芯部の占有率が85%、芯の数が151個の多芯光
ファイバを得た。このファイバの最外周に位置する島部
は、ファイバ全体の断面形状に従って変形しており、図
3(A)に示す構造になっていた。
【0104】このファイバを5mに切断し、その両端面
を研磨して一端から光を入射して他端で各島の明るさを
観察したところ、最外周の島は部分的に暗くなってい
た。
【0105】このファイバの外周に塩化ビニルとエチレ
ン/酢酸ビニル共重合体のブレンド品(東洋インキ社
製:314)の被覆を施し、外径φ2.2mmの多芯光
ファイバケーブルを得た。
【0106】得られた多芯光ファイバーケーブルは、外
周部の全ての島部がダメージを受けていた。この多芯光
ファイバケーブルの伝送損失は0.21dB/m、巻き
付け光量保持率は80%、帯域は300MHzであっ
た。なお、ファイバ外周がダメージを受けているため、
測定する毎に値の変動が有り、信頼性に問題があった。
【0107】(比較例2)島部を芯部のみからなる単層
構造とし、芯部の材料として屈折率1.492、メルト
フローレート5g/10分のポリメチルメタクリレート
樹脂、海部の材料として屈折率1.475、メルトフロ
ーレート8g/10分の1,1,2,2−テトラヒドロ
キシパ−フルオロデシルメタクリレ−ト/メチルメタク
リレ−ト(=25/75[重量%])共重合体、保護層の
材料として屈折率1.492、メルトフローレート5g
/10分のポリメチルメタクリレート樹脂を用いた。
【0108】以上の材料を用いて、外径がφ0.75m
m、芯部の占有率が80%、保護層の占有率が5%、芯
の数が37個の多芯光ファイバを得た。このファイバの
最外周に位置する島部(芯部)は、ファイバ全体の断面
形状に従って変形しており、図3(B)に示す構造にな
っていた。
【0109】このファイバを5mに切断し、その両端面
を研磨して一端から光を入射して他端で各島の明るさを
観察したところ、最外周の島の明るさは中心部の島より
も僅かに暗くなっていた。
【0110】このファイバの外周にポリエチレンの被覆
を施し、外径φ2.2mmの多芯光ファイバケーブルを
得た。
【0111】得られた多芯光ファイバーケーブルは、外
周部の島部はダメージを受けていなかった。この多芯光
ファイバケーブルの伝送損失は0.18dB/m、巻き
付け光量保持率は70%、帯域は500MHzであっ
た。
【0112】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、全体の島形状がほぼ均一で、取り扱い時にもダ
メージを受けず、従来の単芯の光ファイバとも互換性が
あり、且つ従来のプラスチック製多芯光ファイバと比較
して光伝送特性の良好な多芯光ファイバを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多芯光ファイバの断面構造の一例を示
す図である。
【図2】本発明に好ましく用いられる紡糸口金の一例を
示す図である。
【図3】従来の多芯光ファイバの断面構造の一例を示す
図である。
【符号の説明】
1 芯部 2 海部 3 保護層 4 2層目の島部 5 3層目の島部 6 ケーブル材からなる保護層 21 芯材分配板 22 2層目の島材分配板 23 海材分配板 24 保護材分配板 25 集合口金板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 一己 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 魚津 吉弘 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 奥村 淳 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 2H046 AA02 AA62 AD22 AZ03 AZ08 2H050 AA13 AB42Z AB43Z AB47Z AB50Z AC72 AC73 AC76 BA01 BA22 BA34 BB10W BB15W BB17W BC02

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の島部が海部によって互いに隔てら
    れた状態で一体化されてなる海島構造を有し、該海島構
    造の外周部に一体化された保護層を有する多芯光ファイ
    バであって、 該島部が芯部を中心層とした複数層で構成され、 該島部の各層の屈折率は中心から外周に向かって順次減
    少しており、 該海部の屈折率は島部の最外周層の屈折率以下であり、 該保護層の屈折率は海部の屈折率以下であって、芯部の
    屈折率よりも0.002〜0.2低いことを特徴とする
    多芯光ファイバ。
  2. 【請求項2】 該島部が中心層を含めて3層〜10層で
    構成され、該島部を構成する隣接した各層間の屈折率差
    が0.002〜0.1の範囲であり、該芯部と該海部の
    屈折率差が0.01〜0.2である請求項1記載の多芯
    光ファイバ。
  3. 【請求項3】 光ファイバ断面積に占める島部の面積占
    有率が60%〜98%であり、保護層の面積占有率が
    0.5%〜20%であることを特徴とする請求項1記載
    の多芯光ファイバ。
  4. 【請求項4】 保護層成分のメルトフローレートが芯成
    分の5倍〜100倍であることを特徴とする請求項1記
    載の多芯光ファイバ。
  5. 【請求項5】 芯部がPMMAからなり、島部における
    芯部より外側の少なくとも一つの層及び/又は海部が短
    鎖フッ素化アルキルメタクリレート単位を主成分とする
    ポリマーからなることを特徴とする請求項1記載の多芯
    光ファイバ。
  6. 【請求項6】 短鎖フッ素化アルキルメタクリレート単
    位を主成分とするポリマーがホモポリマーであることを
    特徴とする請求項5記載の多芯光ファイバ。
  7. 【請求項7】 短鎖フッ素化アルキルメタクリレート単
    位を主成分とするポリマーが、MMAと短鎖フッ素化ア
    ルキルメタクリレートとの共重合体であることを特徴と
    する請求項5記載の多芯光ファイバ。
  8. 【請求項8】 短鎖フッ素化アルキルメタクリレート単
    位を主成分とするポリマーが、MMAと2,2,3,3
    −テトラフルオロプロピルメタクリレートとの共重合体
    であることを特徴とする請求項5記載の多芯光ファイ
    バ。
  9. 【請求項9】 短鎖フッ素化アルキルメタクリレート単
    位を主成分とするポリマーが、APHA5以下のモノマ
    ーを用い、開始剤としてアゾアルカン系又はアゾエステ
    ル系開始剤を用い、連鎖移動剤としてブチルメルカプタ
    ンを用いて重合した重合体であることを特徴とする請求
    項5〜8のいずれか1項に記載の多芯光ファイバ。
  10. 【請求項10】 複数の島部が海部によって互いに隔て
    られた状態で一体化されてなる海島構造を有し、該海島
    構造の外周部に一体化された保護層を有する多芯光ファ
    イバであって、 該島部が単一層で構成され、 該海部の屈折率は島部の屈折率より低く、 該保護層の屈折率は海部の屈折率以下であって、島部の
    屈折率よりも0.002〜0.2低いことを特徴とする
    多芯光ファイバ。
  11. 【請求項11】 光ファイバ断面積に占める島部の面積
    占有率が60%〜98%であり、保護層の面積占有率が
    0.5%〜20%であることを特徴とする請求項10記
    載の多芯光ファイバ。
  12. 【請求項12】 保護層成分のメルトフローレートが芯
    成分の5倍〜100倍であることを特徴とする請求項1
    0記載の多芯光ファイバ。
  13. 【請求項13】 該島部がPMMAからなり、海部が短
    鎖フッ素化アルキルメタクリレート単位を主成分とする
    ポリマーからなることを特徴とする請求項10記載の多
    芯光ファイバ。
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