JP2000085171A - 溶融型熱転写記録装置および溶融型熱転写記録方法 - Google Patents

溶融型熱転写記録装置および溶融型熱転写記録方法

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JP2000085171A
JP2000085171A JP10254175A JP25417598A JP2000085171A JP 2000085171 A JP2000085171 A JP 2000085171A JP 10254175 A JP10254175 A JP 10254175A JP 25417598 A JP25417598 A JP 25417598A JP 2000085171 A JP2000085171 A JP 2000085171A
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thermal head
ink
heating resistor
porous
heating
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JP10254175A
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English (en)
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Toshihiko Negoro
俊彦 根来
Yoshiyuki Obata
善幸 小畠
Fumiaki Shinozaki
文明 篠崎
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Fujicopian Co Ltd
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Fuji Kagakushi Kogyo Co Ltd
Fujicopian Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 方式を用いて、高解像度・高画質の多階調画
像を得ることのできる溶融型熱転写記録装置および記録
方法。 【解決手段】 薄膜フィルム上に熱溶融性インク層が設
けられ、熱溶融性インク層の層厚が0.5〜2.5μm
の範囲にあるドナーフィルムと、基材上に多数の微細孔
を有する多孔性インク受容層を有し、多孔性インク受容
層の全表面積に対する、気孔によって占められる開孔部
分の総面積の割合が10〜60%の範囲にあり、かつ開
孔部分の総面積に対する、孔直径が0.5〜20μmの
気孔の占める割合が70〜100%である表面多孔性記
録媒体と、同一形状の発熱抵抗体素子一対からなる発熱
抵抗体単位の複数が、発熱抵抗体単位の間隔が8ドット
/mm以下でライン状に形成されたサーマルヘッドと、
発熱抵抗体単位によるインク層の溶融インク量を制御す
る階調制御手段とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱溶融性のインク
を用いて、特に高解像度・高品質な多階調表現を行う溶
融型熱転写記録装置および記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱溶融性のインクを用いて多階調表現を
行う場合には、一般に、複数画素(マトリクス)を用い
るディザ法によって多階調画像を得るか、あるいは、発
熱抵抗体の特殊なサーマルヘッドを用いる熱集中法によ
って多階調画像を得ている(例えば、写真工業出版社、
イメージングPart1、103〜108頁参照)。
【0003】しかしながら、前記複数画素を用いる方法
では解像度が劣化して画質が著しく低下するという問題
点があり、また従来より知られているサーマルヘッドで
あっても特開昭60−58877号公報に記載されてい
るような特殊なサーマルヘッドを用いる熱集中法による
とコストが高くなるという問題点がある。
【0004】これらを解決する方法として、通常の熱転
写記録装置に使用されているサーマルヘッドを用い、高
画質な多階調画像を得ることができる溶融型熱転写記録
システムが特開平6−286181号公報または米国特
許第5,521,626号明細書において提案されてい
る。
【0005】この提案は、薄膜フィルム上に熱溶融性の
インクが2.5g/m2以下に塗布されたインクリボン
と、基材上に孔直径1〜10μmの表面多孔性層が形成
された表面多孔性記録媒体と、加熱時に中央部で温度が
最も高く周辺部ほど温度が低い温度勾配を有する複数の
発熱抵抗体が、発熱抵抗体間隔8ドット/mm以下の間
隔でライン状に形成されたサーマルヘッドと、前記サー
マルヘッドへの通電量を制御することにより前記発熱抵
抗体による前記インクの溶融面積を制御する階調制御回
路とを備え、前記表面多孔性記録媒体の前記表面多孔性
層に前記インクリボンの前記インクを密着させて前記サ
ーマルヘッドを前記インクリボンの前記薄膜フィルム側
より押圧すると共に、前記階調制御回路によって前記イ
ンクの溶融面積を制御することにより、前記表面多孔性
記録媒体上に多階調画像を得ることを特徴とする溶融型
熱転写プリントシステムである。
【0006】この記録システムは、従来のディザ法に比
べると多階調画像に関して格段に優れた画像形成を可能
にする。
【0007】しかしながら、前記記録システムは前記表
面多孔性記録媒体に転写するインク量が、ドナーフィル
ムの剥離条件等で安定せず不均一な画像となる場合が多
い。また前述の特殊なサーマルヘッドを用いる熱集中法
と比較して低階調部分の画像再現性が悪い。一方インク
ジェット方式や濃度階調方式の昇華型熱転写方式による
記録方法における高画質化の技術進歩は目覚ましく、こ
れらの方式による画像形成システムと比べるとその画質
において劣っているのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前記の点に鑑みて、本
発明は、安価でかつ耐光性、耐水性に優れた溶融型熱転
写方式を用い、インクジェット方式や昇華型熱転写方式
と同等以上の高解像度・高画質の多階調画像を得ること
が出来る記録装置および記録方法を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)薄膜フ
ィルム上に熱溶融性インク層が設けられており、該熱溶
融性インク層の層厚が0.5〜2.5μmの範囲にある
ドナーフィルムと、基材上に多数の微細孔を有する多孔
性インク受容層を有し、前記多孔性インク受容層の全表
面積に対する、気孔によって占められる開孔部分の総面
積の割合が10〜60%の範囲にあり、かつ前記開孔部
分の総面積に対する、孔直径が0.5〜20μmの気孔
の占める割合が70〜100%である表面多孔性記録媒
体と、同一形状の発熱抵抗体素子一対からなる発熱抵抗
体単位の複数が、発熱抵抗体単位の間隔が8ドット/m
m以下でライン状に形成されたサーマルヘッドと、前記
サーマルヘッドへの通電量を制御することにより、前記
発熱抵抗体単位による前記インク層の溶融インク量を制
御する階調制御手段とを備え、前記表面多孔性記録媒体
の多孔性インク受容層に前記ドナーフィルムのインク層
を密着させて前記サーマルヘッドを前記ドナーフィルム
の前記薄膜フィルム側から押圧すると共に、前記階調制
御手段により前記インク層の溶融インク量を制御するこ
とによって、前記表面多孔性記録媒体上に多階調画像を
形成させるように構成されてなることを特徴とする溶融
型熱転写記録装置に関する。
【0010】さらに本発明は、(2)前記(1)項記載
の前記サーマルヘッドがリアルエッジ型サーマルヘッド
であり、そのエッジ距離が150μm以下であり、前記
サーマルヘッドの押圧力が0.20〜1.25kg/c
mの範囲にあり、前記発熱抵抗体単位での加熱後6ms
ec以内に前記ドナーフィルムと前記表面多孔性記録媒
体を剥離する機構を有することを特徴とする溶融型熱転
写記録装置に関する。
【0011】さらに本発明は、(3)前記(1)項記載
の前記サーマルヘッドの同一形状の発熱抵抗体素子一対
の間隔d1と発熱抵抗体単位の間隔d2が、0.25×
d2<d1≦0.4×d2の関係にあることを特徴とす
る溶融型熱転写記録装置に関する。
【0012】さらに本発明は、(4)薄膜フィルム上に
熱溶融性インク層が設けられており、該熱溶融性インク
層の層厚が0.5〜2.5μmの範囲にあるドナーフィ
ルムと、基材上に多数の微細孔を有する多孔性インク受
容層を有し、前記多孔性インク受容層の全表面積に対す
る、気孔によって占められる開孔部分の総面積の割合が
10〜60%の範囲にあり、かつ前記開孔部分の総面積
に対する、直径が0.5〜20μmの気孔の占める割合
が70〜100%である表面多孔性記録媒体と、同一形
状の発熱抵抗体素子一対からなる発熱抵抗体単位の複数
が、発熱抵抗体単位の間隔が8ドット/mm以下でライ
ン状に形成されたサーマルヘッドとを用い、前記表面多
孔性記録媒体の多孔性インク受容層に前記ドナーフィル
ムのインク層を密着させて前記サーマルヘッドを前記ド
ナーフィルムの前記薄膜フィルム側から押圧すると共
に、前記サーマルヘッドへの通電量を制御することによ
り、前記発熱抵抗体単位による前記インク層の溶融イン
ク量を制御することによって、前記表面多孔性記録媒体
上に多階調画像を形成させることを特徴とする溶融型熱
転写記録方法に関する。
【0013】さらに本発明は、(5)前記(4)項記載
の前記サーマルヘッドがリアルエッジ型サーマルヘッド
であり、そのエッジ距離が150μm以下であり、前記
サーマルヘッドの押圧力が0.20〜1.25kg/c
mの範囲にあり、前記発熱抵抗体単位での加熱後6ms
ec以内に前記ドナーフィルムと前記表面多孔性記録媒
体を剥離することを特徴とする溶融型熱転写記録方法に
関する。
【0014】さらに本発明は、(6)前記(4)項記載
の前記サーマルヘッドの同一形状の発熱抵抗体素子一対
の間隔d1と発熱抵抗体単位の間隔d2が、0.25×
d2<d1≦0.4×d2の関係にあることを特徴とす
る溶融型熱転写記録方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】前述のごとく、薄膜フィルム上に
熱溶融性のインクが2.5g/m2以下に塗布されたイ
ンクリボンと、基材上に孔直径1〜10μmの表面多孔
性層が形成された表面多孔性記録媒体と、加熱時に中央
部で温度が最も高く周辺部ほど温度が低い温度勾配を有
する複数の発熱抵抗体が、発熱抵抗体間隔8ドット/m
m以下の間隔でライン状に形成されたサーマルヘッド
と、前記サーマルヘッドへの通電量を制御することによ
り前記発熱抵抗体による前記インクの溶融面積を制御す
る階調制御回路とを備え、前記表面多孔性記録媒体の前
記表面多孔性層に前記インクリボンの前記インクを密着
させて前記サーマルヘッドを前記インクリボンの前記薄
膜フィルム側より押圧すると共に、前記階調制御回路に
よって前記インクの溶融面積を制御することにより、前
記表面多孔性記録媒体上に多階調画像を得ることを特徴
とする溶融型熱転写プリントシステムに関しての詳細な
説明は前記特開平6−286181号公報に記載されて
いる。
【0016】この従来技術を改良して、更なる高品質な
高多階調性の画像を得ることを目的とする本発明と特殊
なサーマルヘッドを用いないことを特徴とする前記従来
技術との最も相違する技術上のポイントは、本発明で
は、図1に示す、同一形状の発熱抵抗体素子一対からな
る発熱抵抗体単位の複数が、発熱抵抗体単位間隔8ドッ
ト/mm以下の間隔でライン状に形成されたサーマルヘ
ッド、好ましくはリアルエッジ型のサーマルヘッドを利
用することにある。この発熱抵抗体単位の発熱時の温度
分布は、図2に示すように中央部Mo(一対の発熱抵抗
体素子の中間部)において温度が極大にならず、中央部
Moの両側に極大部があり、周辺部になるに従って温度
が低くなる温度分布を有するものである。
【0017】第二の相異点は、薄膜フィルム上に熱溶融
性のインク層が塗布されており、その層厚が0.5〜
2.5μmの範囲にあることを特徴とするドナーフィル
ムと、基材上に多数の微細孔を有する多孔性インク受容
層を有し、前記多孔性インク受容層の全表面積に対す
る、気孔によって占められる開孔部分の総面積の割合が
10〜60%の範囲に有り、かつ前記開孔部分の総面積
に対する、孔直径が0.5〜20μmの気孔の占める割
合が70〜100%であることを特徴とする表面多孔性
記録媒体としての最適範囲を採用した上で、前記本発明
の特徴とするサーマルヘッドを用いて記録することにあ
る。
【0018】本発明ではこのような相違点により、前記
特開平6−286181号公報の方法に比べて格段に高
画質な高多階調性の画像を得ることが可能になった。
【0019】本発明は、このようにサーマルヘッド、ド
ナーフィルム、記録媒体、加熱制御方法等のさまざまな
角度から検討した結果、通常の熱転写記録装置に使用さ
れているサーマルヘッドを用いて極めて高解像度・高画
質な多階調画像を得ることができる溶融型熱転写記録装
置および記録方法を提供するものである。
【0020】まず、図2〜4を参照して本発明および従
来例における熱溶融性のインクを用いた多階調表現の原
理について説明する。図3は発熱抵抗体単位Rが1つの
発熱抵抗体素子からなる一般的なサーマルヘッドの発熱
抵抗体単位Rを発熱させたときの発熱抵抗体単位Rの温
度分布を、印加エネルギーが大(曲線E3)、中(曲線
E2)、小(曲線E1)の3つの場合について示してい
る。Moは発熱抵抗体単位Rの中心線を示す。PEは1
画素の大きさを示す。発熱抵抗体単位Rの温度分布は中
央部が高く、周辺になるに従って低くなる温度勾配を持
っており、インクの溶融温度MP以上の部分が溶融する
ことになる。この温度勾配を利用してインクの溶融量を
制御することができる。即ち、発熱抵抗体単位に流す電
流を表現階調に応じて変化させ、その結果、インクの記
録媒体への転写面積を制御して多階調表現を行う。
【0021】前述の多階調表現の方式の場合、発熱抵抗
体単位の大きさが小さい方が低階調部の画像再現性には
有利である。図4は発熱抵抗体単位の大きさが小さい場
合の温度分布と溶融量を示す。温度分布が狭いため、小
さい面積の再現には有利であることが分かる。しかしな
がら発熱抵抗体単位が小さい場合、高階調部の印字にお
いて、中央部の温度を非常に高くする必要があり(曲線
E4)、ドナーフィルムの温度が高くなりすぎ、基材が
溶融しドナーフィルムの走行不良が発生する場合があ
る。また温度を低くするとベタ部の印字ができなくなる
という不具合がある。
【0022】このような問題を解決する方法としては、
発熱抵抗体単位を小さくし、かつ発熱抵抗体単位の数を
多くする方法がある。この場合は、1ラインを印字する
場合のデータ量が多くなり、サーマルヘッド、装置とも
高価となる。
【0023】これに対して本発明では、発熱抵抗体単位
Rを同一形状の一対の発熱抵抗体素子で構成することに
より、図2に示すような温度分布となる。発熱抵抗体素
子Roが小さいため、印加エネルギーの小さい低温部で
は温度分布がシャープであり、低階調部の再現が容易と
なる。一方印加エネルギーの大きい高温部では、周辺部
はシャープであるが、発熱抵抗体単位の中央部では略加
算状態となり温度が高くなる。したがって、高階調部の
印字の場合も、従来の発熱抵抗体単位と同程度の温度で
可能となる。またベタ印字においても何ら問題は発生し
ない。また同一形状の発熱抵抗体素子一対を発熱抵抗体
単位とすることにより、発熱抵抗体単位の数を多くする
必要が無く、1ラインを印字する場合のデータ量は従来
方法と同様でよく、多くする必要が無い。
【0024】このように本発明は、同一形状の発熱抵抗
体素子一対からなる発熱抵抗体単位のサーマルヘッドを
使用することにより、低階調部の再現性が良く、高階調
部の印字の際にも何ら問題のない印字方法を提供するも
のである。
【0025】ここで、本発明で用いるサーマルヘッドに
ついて詳細に説明する。図1(A)は本発明に用いるサ
ーマルヘッドの一実施例を示す部分平面図であり、図1
(B)はそのX−X線断面図である。1はサーマルヘッ
ドであり、サーマルヘッド1はアルミニウムなどからな
る放熱体2上にセラミックス層(グレーズ)3を形成
し、その一部に発熱抵抗体素子Roが形成されている。
同一形状の一対の発熱抵抗体素子Roで発熱抵抗体単位
Ri(i=1〜n)が構成され、複数個の発熱抵抗体単
位R1〜Rnがライン状に配列されている。なお、複数の
発熱抵抗体単位の各々を示す必要がない場合は、単に発
熱抵抗体単位Rという場合がある。一対の発熱抵抗体素
子Roは同一形状で同一発熱特性を有し、同一条件で駆
動される。一対の発熱抵抗体素子Roは空隙4により熱
的に隔離されている。
【0026】周知のように、熱転写記録装置では、図5
(A)に示すように、ドナーフィルム10と記録媒体2
0とサーマルヘッド1の発熱抵抗体単位Rを密着させ、
この発熱抵抗体単位Rを押圧下に発熱させてドナーフィ
ルム10のインクを記録媒体20に転写する。図5
(B)は図5(A)におけるa点(発熱抵抗体単位Rの
表面)とb点(記録媒体20の表面)の温度分布を示し
ている。記録媒体20の表面b点の温度はドナーフィル
ム10の厚さにより変動し、薄いほど発熱抵抗体単位R
の温度分布に近付き温度勾配が急になるので、インク溶
融面積の制御が容易となる。従って、ドナーフィルム1
0の厚さは薄いほうがよく、本発明においては通常ドナ
ーフィルム10の基材として厚さが2.5〜4.5μm
の薄膜フィルムが好ましく用いられる。ドナーフィルム
10の厚さは、該薄膜フィルムとこのフィルム上に塗布
されたインクの厚さとにより決まる。従って、インクの
塗布量が少ないほど記録媒体20の表面温度分布を発熱
抵抗体単位Rの温度分布に近付けることができる。
【0027】図6は本発明の溶融型熱転写記録装置およ
び記録方法に用いるドナーフィルムの一実施例を示す図
であり、(A)はその部分平面図、(B)はその断面図
である。このドナーフィルム10は、図6(A)、
(B)に示すように、複数色(例えば、イエロー
(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、さらに要すれ
ばブラック(K))を1組とした熱溶融性インクを薄膜
フィルム11上にその長手方向に連続して塗布して各色
のインク層12を形成したものである。必要に応じて薄
膜フィルム11の裏面にバックコート13を形成しても
よい。なお、前記複数色のインクをそれぞれ別個の薄膜
フィルム11上に形成してもよい。図7に、厚さ0.0
5μmのバックコート13を設けた厚さ4.5μmのフ
ィルム11にインクを塗布してインク層12を形成した
ドナーフィルム10を用いて熱転写記録した場合の加熱
時間と記録媒体20上に転写されたインクの光学反射濃
度(OD)との関係を、インク塗布厚さが2.0μm
(曲線D1)、2.5μm(曲線D2)、3.0μm
(曲線D3)の場合について示している。従来のドナー
フィルムでは、例えば厚さ4.5μmのフィルムにイン
クを3.0μm以上に塗布していたが、図7より、フィ
ルムに塗布するインクの塗布厚さを2.5μm以下とす
ることにより、良好な多階調表現ができることが分か
る。なおインクの塗布厚さが小さすぎると、多孔性イン
ク受容層にインクが完全に吸収されてしまい画像濃度の
確保が不充分となり、多階調表現が困難となるから、イ
ンクの塗布厚さは0.5μm以上が好ましい。
【0028】次に、画像を形成する記録媒体として表面
多孔性記録媒体を用いた場合について、インクの転写特
性を検討した。表面多孔性記録媒体(表面多孔性プラス
チックシート)は図8に示すように、基材21上に例え
ば厚さ約10数μmの多孔性インク受容層(多孔性樹脂
層)22を形成したものである。そして、この表面多孔
性記録媒体に熱溶融性のインクを転写すると、多孔性イ
ンク受容層の表面粗さ(気孔直径)がつぎに述べる所定
の条件のとき、インクは多孔性インク受容層の気孔23
の部分に転写・吸収され、多階調表現に最適であるが確
かめられた。
【0029】図9に、多孔性インク受容層の孔直径と開
口部分の総面積とインクの浸透率との関係を示してい
る。図9において、曲線Aは、多孔性インク受容層の全
表面積に対する、気孔によって占められる開口部分の総
面積の割合が50%で、かつ前記開口部分の総面積に対
する、孔直径が0.5〜20μmの気孔の占める割合が
70%である場合の、孔直径とインクの浸透率との関係
を示し、曲線Bは、多孔性インク受容層の全表面積に対
する、気孔によって占められる開口部分の総面積の割合
が50%で、かつ前記開口部分の総面積に対する、孔直
径が0.5〜20μmの気孔の占める割合が60%であ
る場合の孔直径とインクの浸透率との関係を示すもので
ある。ここで、インクの浸透率とは、多孔性インク受容
層に転写されるべきインク全量に対する、気孔に実際に
浸透したインクの量の割合をいう。図9において、領域
Sはインクの浸透が安定な領域を示し、領域Uはインク
の浸透が不安定な領域を示す。これから、多孔性インク
受容層の開口部分の総面積が10〜60%の範囲にあ
り、かつ前記開孔部分の総面積に対する孔直径が0.5
〜20μmの気孔の占める割合が70〜100%である
場合に良好な結果を示すことが分かる。
【0030】図10(A)〜(C)は、それぞれ孔直径
が20μmより大、孔直径が0.5〜20μm、孔直径
が0.5μmより小の場合のインク転写状態を模式的に
示したものである。孔直径が20μmより大きいと、図
10(A)に示すように、インク12は気孔23にはほ
とんど入り込まず、表面のみに転写される。この状態で
はインクは孔部分が抜けた一定厚さの転写となり、イン
ク周辺が不安定で欠けが発生しやすく、また、複数色の
インクを転写すると前に転写したインクの厚さの影響を
受けて転写不良を生じやすい。逆に、孔直径が0.5μ
mより小さいと、図10(C)に示すように、インク1
2は気孔23に入り込まず、やはり表面のみに一定厚さ
で転写される。この場合もインク周辺および複数色のイ
ンク転写時に不安定となる。従って、これらの場合はい
ずれも一定厚さのインクが不安定な状態で転写されるた
め正確な多階調記録は困難である。
【0031】一方、孔直径が0.5〜20μmである
と、図10(B)に示すように、加熱され溶融したイン
ク12は多孔性インク受容層の気孔23に入り込む。こ
の場合、温度の高いサーマルヘッドの発熱抵抗体単位中
央部に相当する部分にはインクが多く転写し、温度の低
い発熱抵抗体単位周辺部に相当する部分にはインクは少
ししか転写しない。従って、インクは加熱温度により転
写量が決まり、多階調記録を容易に行うことができる。
なお、表面多孔性記録媒体は王子製紙(株)から、たと
えばFT−115、FT−118Cなどの名称のものが
入手可能である。
【0032】本発明においては、このような状態の表面
多孔性記録媒体を用い、その多孔性インク受容層にドナ
ーフィルムのインクを密着させ、サーマルヘッドをドナ
ーフィルムの薄膜フィルム側よりプラテンローラに押圧
し、さらに、サーマルヘッドへの通電量を制御して前述
した発熱抵抗体単位の温度勾配を利用することにより、
この発熱抵抗体単位によるインクの溶融面積を制御すれ
ば、インクはその溶融時にサーマルヘッドの加熱量に応
じて容易かつ即座にドナーフィルムから多孔性インク受
容層の気孔部分に転写・吸収され、高解像度・高画質な
多階調画像を得ることができることを実験により見出し
た。
【0033】なお、サーマルヘッドのプラテンローラに
対する押圧力が小さいと、インクは表面多孔性記録媒体
の気孔部分に充分転写・吸収されず、その表面にとどま
ってしまう場合がある。本発明においては、表面多孔性
記録媒体にインクを転写する際、押圧手段によって所定
の圧力をかけることによって、インクを確実に表面多孔
性記録媒体の気孔部分に浸透せしめ、極めて高解像度・
高画質な多階調画像を得ることができることを実験によ
り見出した。
【0034】図11には押圧手段による押圧力(kg)
と表面多孔性記録媒体へのインクの浸透率(%)の関係
について示している。なお、ここでは、薄膜フィルムの
厚さが4.5μm、インクの塗布厚さが2.0μmのド
ナーフィルム、孔直径が0.5〜20μmの表面多孔性
記録媒体、印字長が260mm(26cm)、発熱抵抗
体単位の間隔d2(隣接する発熱抵抗体単位のそれぞれ
の中心線間の距離をいう)が84.5μm(12ドット
/mm)、一対の発熱抵抗体素子の間隔d1(一対の発
熱抵抗体素子のそれぞれの中心線間の距離をいう)が3
0μmのエッジ型サーマルヘッドを用いて実験した場合
の結果である。実験により、3kg以下ではインクの転
写は不安定であり、表面のみへの転写となることが多
く、4kgでやや浸透し、5.2kg以上では確実にイ
ンクが浸透することが確かめられた。5.2kg/26
cm=0.20より、サーマルヘッドの印字長の単位長
さ当たりの押圧力が0.20kg/cm以上で良好な結
果を示す。なお、このように従来より大きい圧力をかけ
て転写する場合、リアルエッジ型サーマルヘッドの場
合、特に好適な結果が得られる。
【0035】一方、実験により、押圧力が33kg以上
では、記録媒体の多孔性インク受容層が変形し印字跡が
確認できるとともに、非印画部分にも熱転写インクが転
写する圧接汚れが発生した。32.5kg/26cm=
1.25より、サーマルヘッドの印字長の単位長さ当た
りの押圧力が1.25kg/cmより大きいと不具合が
発生する。また押圧力をこのように大きな値にするには
押圧手段の機械強度が必要であり、またサーマルヘッド
の寿命の観点からも望ましくない。
【0036】次に本発明では、発熱抵抗体単位で加熱し
てから表面多孔性記録媒体と前記ドナーフィルムを剥離
するまでの時間が画像品質に影響することが判明し、剥
離するまでの時間が短い方が望ましいことが確認され
た。発熱抵抗体単位で加熱溶融したインクは表面多孔性
記録媒体の気孔部分に吸収され画像を形成するが、画像
濃度の濃い部分では吸収されないで溶融した部分も存在
する。表面多孔性記録媒体と前記ドナーフィルムを剥離
するまでの時間が長いと、表面上の溶融状態のインクが
冷却するときに転写し吸収されたインクと結合し、剥離
時に気孔部分の画像上に転写されてしまう現象が発生す
る。結果として気孔部分の画像上にインクが過剰に転写
し濃度の濃い部分が発生する場合がある。特に画像の端
部に発生し易い。この現象はインクリボンの剥離角度や
テンションを微妙に調整することにより解決可能である
が、プリンタの構造が複雑となり、プリンタが高価とな
る。
【0037】図12にプリンタの剥離角度やテンション
を微妙に調整しない場合の剥離時間とインク浸透率との
関係を示す。本発明では、実験により剥離時間が6ms
ecを超えるとインクの浸透が不安定であり気孔部分の
画像上にインクが過剰に転写し濃度の濃い部分が発生す
るが、6msec以下ではインクの浸透は安定すること
が確認された。
【0038】剥離時間が6msec以下で剥離する場合
の印字スピードとそのエッジ距離D(発熱抵抗素子端部
からサーマルヘッドのエッジ端部5までの距離をいう)
の関係は、印字スピードが25.4mm/秒(1inc
h/sec)のときに152.4μmとなり、一般的に
使用されるカラープリンタの印字速度は25.4mm/
秒(1inch/sec)以上であることより、エッジ
距離Dは150μm以下が望ましい。
【0039】一般的に使用されているサーマルヘッドは
平面ヘッドであるが、そのエッジ距離Dは3〜10mm
もあり、6msecの剥離時間を達成するためには50
0mm/秒の印字スピードが必要となり実用的でない。
6msec以内の剥離時間を達成するためには、構造上
発熱抵抗体素子がエッジ近傍にあるエッジヘッド、なか
んづくリアルエッジ型ヘッドが望ましいことは言うまで
もない。
【0040】さらに図13はサーマルヘッド表面の温度
分布を示している。上記したように、サーマルヘッドの
それぞれの発熱抵抗体単位R1、R2、R3は実線で示
すようにそれぞれの一対の発熱抵抗体素子を中心に温度
が高く周辺ほど温度が低い温度勾配を持っている。ここ
で、発熱抵抗体素子一対の間隔d1と発熱抵抗体単位の
間隔d2とが、d1=0.5d2である場合、発熱抵抗
体単位R1、R2、R3の全てを加熱すると、2つの発
熱抵抗体単位の境界部分の温度分布は破線で示すように
それぞれの発熱抵抗体単位の略加算状態となり、境界が
曖昧なものとなる。一方前記サーマルヘッドの複数の同
一形状の発熱抵抗体素子一対の間隔d1と発熱抵抗体単
位の間隔d2が、0.25×d2<d1≦0.4×d2
の関係にある発熱抵抗体単位を加熱すると、その温度分
布は一点鎖線で示すようになり良好な階調特性が得られ
た。また前記サーマルヘッドの複数の同一形状の発熱抵
抗体素子一対の間隔d1と発熱抵抗体単位の間隔d2
が、d1≦0.25×d2の関係にある場合、隣接する
発熱抵抗体単位間距離d2に比べ発熱抵抗体素子間の距
離が離れすぎるため、ベタ印字をする場合に通常印字す
る場合より過剰の印字エネルギーが必要となり望ましく
ない。以上より前記サーマルヘッドの複数の同一形状の
発熱抵抗体素子一対の間隔d1と発熱抵抗体単位の間隔
d2が、0.25×d2<d1≦0.4×d2の関係に
あることが望ましい。
【0041】図14は加熱時間と記録媒体上に転写され
たインクの反射光学濃度(OD)との関係を、前記サー
マルヘッドの同一形状の発熱抵抗体素子一対の間隔d1
と発熱抵抗体単位の間隔d2との間の関係が異なる場合
について示している。8ドット/mmのサーマルヘッド
を用い、階調数は最大値を255とし、加熱時間は最大
階調数のときを3.2msecとし、厚さ4.5μmの
薄膜フィルムにインクを塗布厚さ2μmで塗布したドナ
ーフィルムを用いて実験を行った。図14に示すように
d1=0.5d2の場合、隣接する発熱抵抗体素子の相
互熱干渉があるため温度が不安定となり濃度が安定しな
い不安定領域が生じたが、0.25×d2<d1≦0.
4×d2の場合、低濃度から高濃度まで安定した高画質
の多階調画像を得ることができた。一方d1=0.25
d2ではベタ領域で充分な濃度が得られず不満足な結果
となった。
【0042】ところで、サーマルヘッドの発熱抵抗体単
位間隔について着目してみると、例えばファクシミリで
使用されているサーマルヘッドの発熱抵抗体単位間隔は
略8ドット/mmであり、視覚上充分な高解像度・高画
質の多階調画像を得るためには、発熱抵抗体単位間隔を
8ドット/mm以下にする必要がある。
【0043】本発明における、サーマルヘッドへの通電
量を制御することにより発熱抵抗体単位によるインク層
の溶融インク量を制御するための階調制御手段として
は、たとえば前述の特開平6−286181号公報に記
載されている階調制御回路が使用できる。図15は本発
明で用いる階調制御回路の一実施例を示すブロック図で
あり、図16は図15中の直線性変換テーブルの具体的
構成を示すブロック図である。
【0044】図15において、インターフェイス回路3
1には、テレビカメラ等の画像入力装置により得られた
画像データをパソコン等で処理した入力データIdが入
力される。この入力データIdは画像データに熱転写記
録装置で必要な制御データを付加したものであり、記録
する画像に対応した階調数を表すものである。インター
フェイス回路31に入力された入力データIdの内、画
像データはバッファメモリ32に入力され、制御データ
はプリント制御回路33に入力される。プリント制御回
路33は熱転写記録装置の動作に従って種々の制御信号
を発生する。ここで、熱転写記録装置とはサーマルヘッ
ド1及びドナーフィルム10等より構成される。
【0045】プリント制御回路33は熱転写記録装置の
動作に合わせてアドレスカウンタ34に開始信号を供給
し、熱転写記録装置の動作状態、即ち、ドナーフィルム
のインクの色、いずれの加熱パターンでプリントするか
等に応じた選択信号TCを直線性変換テーブル37に供
給する。アドレスカウンタ34はその開始信号によって
アドレスADを生成し、バッファメモリ32に供給す
る。バッファメモリ32はそのアドレスADに従って、
入力された画像データから、サーマルヘッド1の1ライ
ン分のデータDi(D1〜Dn)を並列/直列変換回路
35に順次出力する。
【0046】ここで、バッファメモリ32より出力され
るサーマルヘッド1の1ライン分のデータDiについて
説明する。上記のように、ライン状に形成された発熱抵
抗体単位を有するサーマルヘッド1を用いて階調数mを
表現する場合を考える。階調数mを表現する場合には、
それぞれの発熱抵抗体単位R1〜Rnには加熱量(加熱
パルス)がm段階で与えられることになる。従って、バ
ッファメモリ32より出力される1ライン分のデータD
iは、それぞれの発熱抵抗体単位R1〜Rnに対応した
データD1〜Dnが、第1階調から第m階調まで順次出
力されることになる。そして、これらのデータDiがそ
れぞれのライン(L1、L2‥‥‥)毎に順次出力され
る。
【0047】また、アドレスカウンタ34は、バッファ
メモリ32からサーマルヘッド1の1ライン分のデータ
Diが読み出される毎に、階調カウンタ36にパルスを
出力する。階調カウンタ36は入力されたパルスを基
に、階調信号STを発生し、並列/直列変換回路35お
よび直線性変換テーブル37に供給する。この階調信号
STは、第1階調のデータDiであれば1、第2階調の
データDiであれば2、第m階調のデータDiであれば
mという数を表す信号である。
【0048】そして、並列/直列変換回路35は、デー
タDi(D1〜Dn)のそれぞれのデータと階調信号S
Tとを比較し、D1〜Dnが階調信号STより大きいか
等しければ(Di≧ST)1、データDiが階調信号S
Tより小さければ(Di<ST)0なる比較信号Ciを
発生し、サーマルヘッド1内のシフトレジスタ39に入
力する。シフトレジスタ39にはアドレスカウンタ34
からクロックCKが入力されており、シフトレジスタ3
9に入力された比較信号CiはこのクロックCKにより
シフトされ、シフトレジスタ39には1ライン分の比較
信号Ciが配列される。
【0049】また、アドレスカウンタ34は、バッファ
メモリ32からサーマルヘッド1の1ライン分のデータ
Diが読み出される毎に、ラッチ回路40および直線性
変換テーブル37にロードパルスLDを出力する。シフ
トレジスタ39に配列された1ライン分の比較信号Ci
はこのロードパルスLDによりラッチ回路40に記憶さ
れる。ラッチ回路40より出力された比較信号Ciはゲ
ート回路41に入力される。
【0050】ところで、ゲート回路41はこの比較信号
Ciによって発熱抵抗体単位R1〜Rnを加熱する(オ
ン)か、加熱しない(オフ)かを表す信号を生成する。
即ち、比較信号Ciが1の時はオン、0の時はオフであ
る。第1階調から第m階調までの発熱抵抗体単位R1〜
Rnそれぞれに対応した比較信号Ciにより、それぞれ
の発熱抵抗体単位R1〜Rnの加熱状態が決定される。
【0051】一方、直線性変換テーブル37には選択信
号TC、アドレスAD、階調信号ST、ロードパルスL
Dが入力され、加熱時間設定信号SBを出力する。直線
性変換テーブル37の具体的構成の一例を図15に示
す。判別信号発生回路51には選択信号TCが入力さ
れ、Yインク、Mインク、Cインク、Kインクに応じた
判別信号を加熱データ選択回路52および加熱パターン
選択回路54に入力する。加熱データ選択回路52には
階調信号STが入力され、加熱データ選択回路52はそ
れぞれの階調信号ST毎に設定してあるカウント数をカ
ウンタ53に入力する。カウンタ53は入力されるロー
ドパルスLDによりカウントを開始し、加熱データ選択
回路52により設定されたカウント数をカウントする。
加熱パターン選択回路54にはアドレスADが入力さ
れ、加熱パターン選択回路54は、図2に示すそれぞれ
の加熱パターンとなるような信号をゲート回路55に出
力する。ゲート回路55はカウンタ53より出力される
信号をそれぞれの加熱パターンに応じてゲートし、加熱
時間設定信号SBを出力する。
【0052】第1階調から第m階調までの加熱時間はそ
れぞれの階調毎に濃度を測定し、できるだけ直線に近い
濃度特性となるよう設定する。そして、前述の加熱デー
タ選択回路52に設定してあるカウント数は、それぞれ
の階調毎の加熱時間を基に設定する。従って、ゲート回
路55より出力される加熱時間設定信号SBのオン期間
はそれぞれの階調毎に応じた期間で設定されることにな
る。
【0053】それゆえ、前述の発熱抵抗体単位R1〜R
nそれぞれの加熱期間tR1〜tRnは、それぞれの階
調内で加熱時間設定信号SBのオン・オフによりゲート
され、発熱抵抗体単位R1〜Rnが実際に加熱されるの
は、比較信号Ciにより決定される加熱期間内の加熱時
間設定信号SBがオンの期間である。このように、発熱
抵抗体単位R1〜Rnそれぞれの加熱期間は、第1階調
〜第m階調それぞれで加熱時間設定信号SBにより細か
く設定される。
【0054】そして、ゲート回路41は、上記のよう
に、ラッチ回路40より入力された比較信号Ciと直線
性変換テーブル37より入力された加熱信号設定信号S
Bとにより決定されるそれぞれの発熱抵抗体単位の加熱
期間でオンのパルスを発生し、このパルスをドライバ回
路42に供給する。従って、シフトレジスタ39、ラッ
チ回路40、ゲート回路42は、サーマルヘッド1の発
熱抵抗体単位を加熱するためのパルスを出力するパルス
出力手段として動作する。ドライバ回路42はこのパル
スに基づいて発熱抵抗体単位R1〜Rnに電流を流し、
ドナーフィルムを加熱して塗布されたインクを記録媒体
に転写して画像を記録する。これにより、ドナーフィル
ムに加える加熱量を細かく設定でき、熱溶融性インクを
用いて多階調表現が実現できる。
【0055】ドナーシートに用いるインクとしては、一
般的な着色剤と、ワックスを主成分とし、必要に応じ熱
可塑性樹脂を配合したビヒクルとからなる熱溶融性のイ
ンクが使用できる。前記の各種実験で用いたインクの組
成を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】インク層が薄い場合は、着色剤を適宜増量
する必要がある。
【0058】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の溶
融型熱転写記録装置および記録方法は、薄膜フィルム上
に熱溶融性インク層が設けられており、該熱溶融性イン
ク層の層厚が0.5〜2.5μmの範囲にあるドナーフ
ィルムと、基材上に多数の微細孔を有する多孔性インク
受容層を有し、前記多孔性インク受容層の全表面積に対
する、気孔によって占められる開孔部分の総面積の割合
が10〜60%の範囲にあり、かつ前記開孔部分の総面
積に対する、孔直径が0.5〜20μmの気孔の占める
割合が70〜100%である表面多孔性記録媒体と、同
一形状の発熱抵抗体素子一対からなる発熱抵抗体単位の
複数が、発熱抵抗体単位の間隔が8ドット/mm以下で
ライン状に形成されたサーマルヘッドと、前記サーマル
ヘッドへの通電量を制御することにより、前記発熱抵抗
体単位による前記インク層の溶融インク量を制御する階
調制御手段とを備え、前記表面多孔性受像媒体の多孔性
インク受容層に前記ドナーフィルムのインク層を密着さ
せて前記サーマルヘッドを前記ドナーフィルムの前記薄
膜フィルム側から押圧すると共に、前記階調制御手段に
より前記インク層の溶融インク量を制御することによっ
て、前記表面多孔性記録媒体上に多階調画像を形成させ
ることにより、極めて高解像度・高画質の多階調画像を
得ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明に用いるサーマルヘッドの一実
施例を示す部分平面図であり、(B)は(A)のX−X
線断面図である。
【図2】本発明におけるサーマルヘッドの発熱抵抗体単
位上の温度分布の1例を示すグラフである。
【図3】従来技術におけるサーマルヘッドの発熱抵抗体
単位上の温度分布を示すグラフである。
【図4】他の従来技術におけるサーマルヘッドの発熱抵
抗体単位上の温度分布を示すグラフである。
【図5】本発明におけるサーマルヘッドにより記録媒体
に密着したドナーフィルムを加熱した場合の温度分布の
1例を示すグラフである。
【図6】(A)は本発明に用いるドナーフィルムの一実
施例を示す部分平面図であり、(B)はその断面図であ
る。
【図7】インクの塗布厚さを変化させたときのドナーフ
ィルムの加熱時間と転写インクの反射光学濃度との関係
を示すグラフである。
【図8】本発明に用いる表面多孔性記録媒体の一実施例
を示す部分断面図である。
【図9】表面多孔性記録媒体の多孔性インク受容層の孔
直径とインク浸透率との関係を示すグラフである。
【図10】種々の孔直径の多孔性インク受容層にインク
を転写した状態を示す模式図である。
【図11】サーマルヘッドの押圧力と多孔性インク受容
層へのインク浸透率との関係を示すグラフである。
【図12】サーマルヘッドによる加熱後ドナーフィルム
と表面多孔性記録媒体を剥離するまでの剥離時間とイン
ク浸透率との関係を示すグラフである。
【図13】本発明に用いるサーマルヘッドの温度分布を
示すグラフである。
【図14】発熱抵抗体素子一対の間隔d1と発熱抵抗体
単位の間隔d2との関係を変えた場合における加熱時間
と転写インクの反射光学濃度との関係を示すグラフであ
る。
【図15】本発明に用いる階調制御回路の一実施例を示
すブロック図である。
【図16】図15中の直線性変換テーブルの具体的構成
を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 サーマルヘッド 5 エッジ Ro 発熱抵抗体素子 R(R1〜Rn) 発熱抵抗体単位 d1 発熱抵抗体素子一対の間隔 d2 発熱抵抗体単位の間隔 D エッジ距離 10 ドナーフィルム 11 薄膜フィルム 12 熱溶融性インク層 20 表面多孔性記録媒体 22 多孔性インク受容層 23 気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41M 5/26 B (72)発明者 篠崎 文明 大阪府大阪市西淀川区御幣島5丁目4番14 号 フジコピアン株式会社技術センター内 Fターム(参考) 2C065 AC01 DA07 DA30 GA01 GB01 GC01 KJ04 2C066 AD03 CD08 2C068 AA06 BB03 BD23 2H111 AA01 AA12 AA26 AA31 AA33 AA43 AA48 BA03 BB05 CA03 CA11 CA14 CA41

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜フィルム上に熱溶融性インク層が設
    けられており、該熱溶融性インク層の層厚が0.5〜
    2.5μmの範囲にあるドナーフィルムと、基材上に多
    数の微細孔を有する多孔性インク受容層を有し、前記多
    孔性インク受容層の全表面積に対する、気孔によって占
    められる開孔部分の総面積の割合が10〜60%の範囲
    にあり、かつ前記開孔部分の総面積に対する、孔直径が
    0.5〜20μmの気孔の占める割合が70〜100%
    である表面多孔性記録媒体と、同一形状の発熱抵抗体素
    子一対からなる発熱抵抗体単位の複数が、発熱抵抗体単
    位の間隔が8ドット/mm以下でライン状に形成された
    サーマルヘッドと、前記サーマルヘッドへの通電量を制
    御することにより、前記発熱抵抗体単位による前記イン
    ク層の溶融インク量を制御する階調制御手段とを備え、
    前記表面多孔性記録媒体の多孔性インク受容層に前記ド
    ナーフィルムのインク層を密着させて前記サーマルヘッ
    ドを前記ドナーフィルムの前記薄膜フィルム側から押圧
    すると共に、前記階調制御手段により前記インク層の溶
    融インク量を制御することによって、前記表面多孔性記
    録媒体上に多階調画像を形成させるように構成されてな
    ることを特徴とする溶融型熱転写記録装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記サーマルヘッド
    がリアルエッジ型サーマルヘッドであり、そのエッジ距
    離が150μm以下であり、前記サーマルヘッドの押圧
    力が0.20〜1.25kg/cmの範囲にあり、前記
    発熱抵抗体単位での加熱後6msec以内に前記ドナー
    フィルムと前記表面多孔性記録媒体を剥離する機構を有
    することを特徴とする溶融型熱転写記録装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記サーマルヘッド
    の同一形状の発熱抵抗体素子一対の間隔d1と発熱抵抗
    体単位の間隔d2が、0.25×d2<d1≦0.4×
    d2の関係にあることを特徴とする溶融型熱転写記録装
    置。
  4. 【請求項4】 薄膜フィルム上に熱溶融性インク層が設
    けられており、該熱溶融性インク層の層厚が0.5〜
    2.5μmの範囲にあるドナーフィルムと、基材上に多
    数の微細孔を有する多孔性インク受容層を有し、前記多
    孔性インク受容層の全表面積に対する、気孔によって占
    められる開孔部分の総面積の割合が10〜60%の範囲
    にあり、かつ前記開孔部分の総面積に対する、直径が
    0.5〜20μmの気孔の占める割合が70〜100%
    である表面多孔性記録媒体と、同一形状の発熱抵抗体素
    子一対からなる発熱抵抗体単位の複数が、発熱抵抗体単
    位の間隔が8ドット/mm以下でライン状に形成された
    サーマルヘッドとを用い、前記表面多孔性記録媒体の多
    孔性インク受容層に前記ドナーフィルムのインク層を密
    着させて前記サーマルヘッドを前記ドナーフィルムの前
    記薄膜フィルム側から押圧すると共に、前記サーマルヘ
    ッドへの通電量を制御することにより、前記発熱抵抗体
    単位による前記インク層の溶融インク量を制御すること
    によって、前記表面多孔性記録媒体上に多階調画像を形
    成させることを特徴とする溶融型熱転写記録方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記サーマルヘッド
    がリアルエッジ型サーマルヘッドであり、そのエッジ距
    離が150μm以下であり、前記サーマルヘッドの押圧
    力が0.20〜1.25kg/cmの範囲にあり、前記
    発熱抵抗体単位での加熱後6msec以内に前記ドナー
    フィルムと前記表面多孔性記録媒体を剥離することを特
    徴とする溶融型熱転写記録方法。
  6. 【請求項6】 請求項4において、前記サーマルヘッド
    の同一形状の発熱抵抗体素子一対の間隔d1と発熱抵抗
    体単位の間隔d2が、0.25×d2<d1≦0.4×
    d2の関係にあることを特徴とする溶融型熱転写記録方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1667425A1 (en) 2004-12-03 2006-06-07 Wedg Co. Ltd Image forming method and image forming apparatus
EP2338690A1 (en) 2009-12-25 2011-06-29 Fujifilm Corporation Method for forming images using a thermal transfer image-receiving sheet having a lenticular lens

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