JP2000084960A - 溶液製膜フィルムの製造方法 - Google Patents

溶液製膜フィルムの製造方法

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JP2000084960A
JP2000084960A JP26168998A JP26168998A JP2000084960A JP 2000084960 A JP2000084960 A JP 2000084960A JP 26168998 A JP26168998 A JP 26168998A JP 26168998 A JP26168998 A JP 26168998A JP 2000084960 A JP2000084960 A JP 2000084960A
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Masahiro Hosoi
正広 細井
Tamiaki Nagoshi
民明 名越
Minoru Hirota
実 広田
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた表面特性を有する光学用途フィルムの
製造方法を発明する。 【解決手段】 溶液製膜フィルムの製造方法において、
表面の欠点の最大長が50μm以上、その最大深さが5
μm以上であるものが5個/m2以下である支持体を使
用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は表面性に優れた溶
液製膜フィルムの製造方法に関するものである。更に詳
細には光学用途に好適に用いうる表面欠点の無い平坦性
に優れた光学用フィルムの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】高分子樹脂フィルムの表面欠点は、用途
によっては各種の問題を引き起こす場合が多い。特に高
精度、高機能の加工を施す光学用途のフィルムにおいて
は表面欠点の無いことが品質上重要視されている。
【0003】光学用のフィルムは大別すると、無延伸の
状態で使われる場合(例えば、プラセル用途等)と延伸
して使われる場合(位相差フィルム、偏光フィルム用途
等)とがある。一般的にはフィルムの表面に塗布や各種
の物理、化学処理により加工して、機能性を持たせた材
料として使われる。
【0004】この分野の用途ではフィルムに目視できる
大きさの欠陥があればもちろん使用することができない
が、無延伸フィルム中にある異物が小さい場合や、異物
とそれを含むフィルム本体との間に屈折率の差が小さい
場合には、光学的な欠陥としては容易には検出できない
のが通常である。このような場合は顕微鏡下で精査すれ
ば欠陥を検出できる。
【0005】また、無延伸フィルムでは検出できない欠
点であっても延伸によってその異物の周辺に光学的な歪
みを生じるため、異物が核となって延伸によって周辺が
拡大されて欠点となる場合がある。この異物の検査方法
(検出方法)としては延伸したフィルムを偏光板にはさ
んで目視で観察するか、時には顕微鏡等で拡大して観察
する方法が採られる。この場合異物の部分は偏光異常と
なって星状に見えるため検出されるのである。
【0006】このような事実からいわゆる異物はさしわ
たし約50μm以上の大きさのものが光学用途では特に
問題になる。この程度に大きい異物は延伸によってその
周辺に光学歪みを生じるから実際には大きさが何倍にも
なって目視できる大きさにまで拡大されるからである。
例えばフィルムを2倍に1軸延伸した場合には無延伸の
とき約50μmの大きさを持った異物であると、約2倍
に拡大されて約100μmの大きさで光学的歪みを生じ
る。このため、この延伸したフィルムを偏向板に挟んで
見ると目視できるようになるのである。
【0007】光学用途のフィルムは、その表面に各種の
加工が施され使用される場合が多い。例えば、ガスバリ
アー加工や電極膜付与加工などが行われる。この際にフ
ィルムの表面に欠陥(欠点)があると加工された膜が微
小な欠陥を持ち、例えば電極膜やガスバリアー膜の断裂
や膜厚の不均一による特性の不均一が起こる。このよう
な欠陥が例えばある部品の中に1個でもあるとその部品
全体に渉って重大な障害が及ぶという問題を生じること
がある。
【0008】高分子樹脂フィルムの欠点は、便宜上内部
欠点と外部欠点に大別することができる。
【0009】溶液製膜法でフィルムを製造する場合に
は、溶液を作成する際の溶媒や溶質に混入した、または
付着した塵埃、および溶液作成時に雰囲気から混入した
ごみ等が内部欠点となる。
【0010】樹脂中の熱分解物、ゲル状物、並びに高分
子量成分難溶物、樹脂溶液中に生じる微結晶、および高
剪断力によって局所的に分子配向が起こり溶けにくくな
ったひげ状物なども異物の発生原因となり、これらが表
面欠点を生じる場合がある。このように溶液中に異物が
入っていてそれが原因となってフィルムの表面に現れる
欠点を内部欠点と呼ぶ。
【0011】高分子樹脂の溶解においてはその溶解条
件、溶液の保存条件などを充分に考慮して条件を調整す
ることにより異物を減らす方策を実施している。
【0012】次いで、溶液を必要な性能のフィルターで
濾過することによって異物を除去し、その後異物の存在
しないキャスト用の溶液として使用される。用いられる
フィルターエレメントの目開きはフィルムの要求品質に
応じて選択される。
【0013】なお、内部欠点の解消方法として、溶液法
製膜において下記のような技術が提案されている。特開
平6−148426号公報に記載された発明は、光学用
途のフィルムにおいて、異物の大きさと発生頻度とを規
定したものであり、大きさが5〜50μmの高分子量異
物の個数が平面視した場合に200個/平方cm以下で
あるポリカーボネートフィルムが記述されている。また
フィルター目開きの特定のものを用いて濾過する方法も
提案されている。このように高分子樹脂溶液のいわゆる
内部異物はしかるべき目開きのフィルターを用いること
によって、要すればフィルターの目開きを各種変えたり
組み合わせたりしたものを用いることによって除去する
ことができる。
【0014】一方、フィルムの外部欠点にはフィルムの
搬送ロール表面の傷の転写や雰囲気からのごみの付着な
どによって生じる欠点が挙げられる。
【0015】ロール表面の傷の場合、その傷を清掃や研
磨などで補修することにより、また、付着ごみは搬送系
に弱粘着性表面を持ったロールを用いることなどにより
フィルム面のごみをそのロール表面に付着させて除去す
ることができる。
【0016】しかし溶液製膜法の場合には、さらに、キ
ャスト支持体表面が表面欠点を持っていて、その欠点が
フィルム表面へ転写することによって表面欠点を生じる
場合がある。この種の外部欠点はフィルムが例えば溶媒
を含んだ軟らかい状態のところで支持体表面を転写する
ことによって起こるものである。いわゆるフィルムで支
持体表面のレプリカを採ったと同じ状態になるのであ
る。
【0017】このようにして生じた欠点は光学用途のフ
ィルムの場合、さしわたしが比較的小さくとも深さが深
い場合にはその影響が顕在化する。
【0018】すなわち、支持体表面の欠点部とそこに接
触したフィルム表面との剥離性が、欠点の無い部分と比
較して幾分悪くなるためか、その表面部が引張られてフ
ィルム表面に突起状に浮き出す状態になるというのがこ
の欠点の発生のメカニズムとなっていると考えられる。
【0019】この欠点はフィルムを顕微鏡観察すること
によって、フィルム面上でフィルムと支持体との接触面
に比較的偏平な突起として見出すことができる。
【0020】また、フィルムを延伸して光学用途に使用
する場合には上記の転写欠点(外部欠点)は延伸の倍率
に応じて通常は引き伸ばされて大きくなり、フィルムの
重大な品質上の欠点となる。
【0021】例えば、このような外部欠点を持つポリカ
ーボネートフィルムを1軸延伸して偏光板に挟んで観察
すると、この外部欠点を核とする光学歪みが見られる。
【0022】この欠点は前述の内部欠点とは外観が異な
るため容易に判別することができる。すなわち、内部欠
点は偏光板間観察では通常星状に見える一方、この外部
欠点は、核がフィルムの表面にあって偏平になっている
ためか、核が小さいにもかかわらず、光学的歪みとして
観察される範囲が極めて大きくなるのである。この大き
さは延伸の温度、倍率などの条件によって変わるが、核
の大きさの数十〜百倍に及ぶことがある。フィルムの欠
点部は核のあった面(すなわち、フィルムがキャスト支
持体の表面と接触した面)に突起状に発生する。
【0023】ポリカーボネートフィルムが50μm以上
の大きさで高さが5μmを超える外部欠点を持つ場合、
延伸して使用する光学用のフィルムとしては致命的問題
となる。
【0024】フィルムの外部欠点を回避または解消する
技術として下記のものが提案されている。すなわち、特
開平1−245415号公報では磁気記録媒体として有
用な平滑な表面を得るために、フィルム表面の支持体と
反対面側を利用することが提案されている。これは製膜
時に支持体に接触した表面欠点の多い面の使用を避け
て、支持体に接触しなかった表面欠点の無い面を使用す
る技術である。
【0025】しかしこの技術は本願発明におけるような
光学用途のフィルムに適用することはできない。この理
由については先に詳細に述べた通りであるが、光学用途
においては通常はフィルムに光を透過させてフィルムの
両面を使う場合が多いからである。
【0026】特開平9−1568号公報には、溶液製膜
法フィルムの製造方法において、支持体の表面の50μ
m以上の介在物が5個/cm2以下であること、更に、
支持体表面の100μm以上の介在物が1個/cm2
下であること、支持体の表面粗さRtが1μm以下であ
ることを特徴とする溶液製膜法フィルムの製造方法が開
示されている。
【0027】この方法は磁気記録媒体用に要求される平
滑な表面を形成して、表面性、耐久性に優れたフィルム
を得る技術である。
【0028】この技術を光学用途のフィルムの製造方法
に適用する場合支持体の表面欠点の頻度が余りにも多い
のが問題である。光学用途の一つである位相差フィルム
においては、A−4版程度の大きさの中に100μm以
上の大きさの光学的な欠陥が1個でもあるとそのフィル
ムは位相差フィルムとして使うことができないからであ
る。
【0029】従来技術により光学用の無欠点フィルムを
製造する方法においては、内部欠点は充分に制御するこ
とができるようになってきているが、外部欠点、特に溶
液製膜法において発生する場合があるキャスト支持体の
表面欠陥の転写による欠点については未だ問題が残され
ているのが現状である。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は上記実状に
鑑みなされたものであり、その目的は表面欠点を解消
し、光学用途に有用な透明性と表面平坦性に優れた高分
子樹脂フィルムを提供することにある。本発明はかかる
問題点を解決するために、溶液製膜法フィルムの製造に
おいて支持体の表面性と、この支持体を使用して製膜し
たフィルムの表面性との関係を明確にすることにより、
従来では得られなかった平坦性のすぐれたフィルムを提
供できる溶液製膜フィルムの製造方法を提供することで
ある。
【0031】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、高分子樹脂フィル
ムの溶液製膜法において、キャスト支持体表面を下記の
如くすることにより目的を達成できることを見出し、本
願発明に到達したものである。
【0032】すなわち本願発明は次のとおりである。
【0033】1. 高分子樹脂溶液を支持体上に流延し
てフィルムに成形する溶液製膜フィルムの製造方法にお
いて、その支持体表面の欠点の最大長が50μm以上、
その最大深さが5μm以上であるものが5個/m2以下
であることを特徴とする溶液製膜フィルムの製造方法。
【0034】2. 支持体の表面の欠点でその最大長が
70μmを越えるものが存在しないことを特徴とする上
記1に記載の溶液製膜フィルムの製造方法。
【0035】3. 支持体の表面の中心線平均表面粗さ
Raが1nm〜3nmであることを特徴とする上記1ま
たは2に記載の溶液製膜フィルムの製造方法。
【0036】4. 溶液製膜フィルムが芳香族ポリカー
ボネートフィルムであることを特徴とする上記1〜3に
記載の溶液製膜フィルムの製造方法。
【0037】本願発明の溶液製膜フィルムの製造に使用
される支持体の形態はドラムあるいはエンドレスベルト
がある。また支持体の材質としては、鉄、ステンレス
(SUS)、ニッケル、チタン、タンタル、銅等があ
り、更にこれらの表面にクロム、ニッケル等のメッキ処
理や、樹脂コーテイング等の物理的、並びに化学的処理
が施されていてもよい。
【0038】エンドレスベルトの場合その厚みは0.5
mm〜2.5mmが好ましい。薄過ぎる場合ベルトが面
内で伸びて変形を受け易くなるので好ましくない。一方
厚過ぎる場合には、エンドレスベルトをプリーにまき掛
け廻す時に厚み方向において繰り返し歪みの差を生じ易
くなるため、ベルトが機械的に劣化し易くなるという問
題がある。より好ましいベルトの厚みは1mm〜2mm
である。
【0039】本願発明においては、支持体の表面の欠点
について、その最大長が50μm以上でその最大深さが
5μm以上であるものが5個/m2以下である必要があ
る。好ましくはその最大長が50μm以上でその最大深
さが4μm以上であるものが5個/m2以下であり、よ
り好ましくはその最大長が50μm以上でその最大深さ
が3μm以上であるものが5個/m2以下である。
【0040】最大長が50μm以上でその最大深さが5
μmより大きい場合にはキャストされた高分子樹脂フィ
ルムに転写される欠点が光学用途のフィルムの品質とし
て問題となる表面欠点を生じせしめ得るからである。
【0041】また、支持体の表面の欠点についてその最
大長が70μmを超えるものが存在しないものであるこ
とが好ましい。
【0042】その最大長が70μmを超えるものが存在
する場合は、光学用フィルムを製膜した場合にフィルム
に転写された表面欠点が重大な問題を起こし得るからで
ある。
【0043】また、支持体の表面の中心線平均表面粗さ
Raが1〜3nmであることが好ましく、1〜2nmで
あることがより好ましい。3nmより大きいとフィルム
の表面が粗れ、フィルムの曇り度(ヘーズ値)が上昇し
易くなるので好ましくない。
【0044】このような表面性を有する支持体を得るに
は不純物の少ない金属材料を用いることが重要である。
金属材料を支持体の形に加工し、清浄な環境において表
面を充分に研磨して平坦性を持たせることが必要であ
る。通常はキャスト用の支持体としてはステンレス(S
US)よりなる原板を研磨して超鏡面研磨板とする。
【0045】表面の平坦性や表面欠点の発生(大きさ出
現頻度等)は鏡面研磨時の条件である、研磨薬液の濃度
や研磨時の砥粒の種類並びに砥粒の粒子径の調整、機械
研磨の各種の条件並びに研磨時に生じる熱の除去方法な
どによって左右される。実質上無欠点の鏡面を作成する
には極めて高度の技術が必要とされる。
【0046】なお、本願発明でいう溶液製膜法フィルム
とは、高分子樹脂と溶媒とを主成分とする溶液を押し出
しダイより支持体上にキャスト後、乾燥させて溶媒を除
去して成形させたフィルムを指す。
【0047】溶媒の種類は高分子樹脂を溶解するもので
あれば特に限定されない。また溶液中の高分子樹脂の濃
度は高分子の種類にも依るが、一般的に15〜35wt
%であり、溶液中には高分子樹脂と溶媒以外に目的に応
じて、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、導電性微粒子、酸
化防止剤その他の添加剤が混合されていても差し支えな
い。
【0048】高分子樹脂の例としては、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサ
ルフォン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、二酢
酸セルロースや三酢酸セルロースなどのセルロースポリ
マー、酢酸ビニール、ポリビニールアルコールなどが挙
げられる。
【0049】(高分子樹脂)本発明の溶液製膜フィルム
は、高分子樹脂が芳香族ポリカーボネートであると本発
明の効果が大きく好ましい。このため以下においては光
学用ポリカーボネートフィルムの溶液製膜法の場合につ
いて述べる。ここで芳香族ポリカーボネートとは、芳香
族ジヒドロキシ化合物とホスゲン、ジフェニルカボネー
トの如き炭酸結合生成性の化合物とを、溶液状態、バル
ク、溶融状態等で反応せしめることにより得られる重合
体のことをいう。
【0050】上記芳香族ジヒドロキシ化合物の例として
は、具体的には、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−
t−ブチルフェニニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5
−ジブロモフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシ
アリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシ
アリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシ
ジフェニールエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,
3−ジメチルフェニールエーテルなどのジヒドロキシア
リールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニル
スルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメ
チルフェニルスルフィドなどのジヒドロキシアリールス
ルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
キシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチル
フェニルスルホキシドなどのジヒドロキシアリールスル
ホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホ
ン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェ
ニルスルホンなどのジヒドロキシアリールスルホン類な
どが挙げられる。
【0051】このうちでは特に2,2ビス(4ヒドロキ
シフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が好ましく
用いられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独
または組み合わせて用いることができる。
【0052】また、一般に炭酸成分の一部をテレフタル
酸および/またはイソフタル酸成分で置き換えたポリカ
ーボネートを使用することも可能である。このような構
成単位をビスフェノールAからなるポリカーボネートの
構成成分の一部に使用することにより、ポリカーボネー
トの性質、例えば耐熱性、溶解性を改良することができ
る。このような共重合体についても本願発明を用いるこ
とができる。
【0053】(高分子の分子量)本願発明において用い
ることのできる樹脂材料の分子量としては、特に限定は
ないが、例えば芳香族ポリカーボネートの分子量として
は、濃度0.5g/dlの塩化メチレン溶液中20℃で
の粘度測定から求めた粘度平均分子量が10,000以
上200,000以下、このましくは20,000以上
120,000以下の範囲のものを挙げることができ
る。
【0054】(溶媒)また、本願発明において用いるこ
とのできる樹脂材料の溶媒としては、特に限定はなく、
通常知られた溶媒が使用できるが、芳香族ポリカーボネ
ートの溶液を作成するために用いられる溶媒としては、
例えば、塩化メチレンまたは1,3−ジオキソランやそ
の混合物あるいはこれらを主体とする溶媒を挙げること
ができる。すなわち、塩化メチレンまたは1,3−ジオ
キソランの含有量が98.0〜99.9重量%、エタノ
ール単独またはエタノールとペンタノールとの混合物の
含有量が0.1〜2.0重量%である溶媒がその例であ
る。
【0055】(溶液製膜)上記の溶媒に芳香族ポリカー
ボネートを溶解させた溶液を作成する。この溶液は通常
はポリカーボネートが15〜25重量%になるように調
整する。
【0056】上記のように調製された樹脂溶液を押出し
ダイより押出して、支持体上に流延し、溶媒を蒸発乾燥
させ、含有溶媒量が20重量%前後の値になるまで乾燥
して該支持体より剥ぎ取る。
【0057】フィルムを無延伸の状態で使用する用途に
おいては該フィルムを更にピンテンターや懸垂型乾燥機
を通してフィルムの光学的特性(屈折率)を制御しつつ
更に乾燥させ溶媒の含有量を所定の値になるまで低下さ
せる。
【0058】フィルムを延伸して用いる場合にも無延伸
フィルムと同様な工程を通し、延伸を適宜組合わせて、
延伸フィルムを製造する。
【0059】こうして得られたフィルムを巻き取って光
学用途の芳香族ポリカーボネートフィルムが得られる。
【0060】製膜するフィルムの厚さは限定されないが
一般には20μm〜200μmである。特に薄いフィル
ムになると、支持体の表面欠点がフィルムに転写して支
持体面側だけでなく、フィルムが接触しなかった反支持
体面側まで表面性を悪化させる場合があるので、表面の
欠点が少ないものを使用することが好ましい。
【0061】本発明の測定方法、効果の評価方法は次の
方法によった。
【0062】(1)表面欠点の測定 比較的大きな欠点は支持体表面に斜め方向から、例えば
カドニカライトで照射して目視でその有無を確認でき
る。小さい欠点の場合は顕微鏡観察に依った。
【0063】顕微鏡観察に依る場合は、A−4版の大き
さの支持体の表面を金属顕微鏡(ユニオン光学(株)製
のロールスコープ model RMM)で観察し欠点を
検出した。次いでその欠点の最大長を計測した。
【0064】形態上は、アバタ状や彗星状やかさぶた状
のものが支持体の表面欠点としてみとめられた。具体的
には表面を4cm2(2cm*2cm)毎に区切り、そ
の中からランダムに5区画を観察しすべての欠点の最大
長と数および欠点の深さを求めた。
【0065】欠点の深さはキーエンス(株)製の表面形
状測定器 VF−7500を用いて測定した。
【0066】この際欠点一つにつきその深さを場所を変
えて求め最も大きな値を欠点の最大深さとした。
【0067】フィルムの表面欠点(支持体表面の欠点が
転写されたもの)を測定する場合は、ニコン(株)製の
光学顕微鏡E−800を用いて透過光で観察してその大
きさを求めた。また、フィルムの欠点の高さ(支持体表
面の欠点が転写されているため欠点部は凸状になること
が多い)を上記のVF−7500を用いて測定した。
【0068】なお、フィルムの内部欠点(異物)と外部
欠点(異物)の判別はこれらの方法により容易に実施で
きた。
【0069】(2)支持体の中心線平均表面粗さ(R
a)の測定中心線平均表面粗さ(Ra)はJIS−B0
601に依った。
【0070】測定装置は(株)小坂研究所の接触式表面
粗さ計(Surfcorder,SE−30C)を用い
て測定した。測定条件は下記の通りであった。 触針先端半径:2μm 測定の圧力 :30mg カットオフ :0.08mm 測定長 :1.0mm データは、同一資料について5回繰り返し測定した測定
値(μm単位による少数点以下4桁目までの値)につい
て、最も大きな値を一つ除き、残りの4つのデータの平
均値の小数点以下5桁目を四捨五入して、少数点以下4
桁目までをnm単位で表示した。
【0071】以下、本発明の溶液製膜フィルムの製造方
法をポリカーボネートを例にとって説明する。ただし本
願発明はこれに限定されるものではない。
【0072】
【実施例】[実施例1]芳香族ポリカーボネート樹脂
(帝人化成(株)製の商品名「パンライト(登録商標)
グレードC−1400QJ」)、粘度平均分子量38,
000、をエタノールとメチレンクロライドの混合溶媒
(エタノール1.5重量%、メチレンクロライド98.
5重量%)に溶解させ、18重量%の溶液を作成した。
【0073】この溶液をフィルター(アドヴァンテック
(株)製のフィルター、商品名デプスカートリッジフィ
ルター、TCPD−05A、平均孔径0.5μm)に通
し内部異物を除去した。こうしてキャスト用の清浄な溶
液を作成した。
【0074】一方、キャスト用の支持体としてSUS−
316よりなる鏡面研磨板を準備した。これは、鏡面研
磨時の研磨薬液の濃度調整や研磨時の砥粒の種類並びに
粒子径を調整して、更に機械研磨の条件も調整して作成
したものである。
【0075】この支持体の表面特性は下記の通りであっ
た。すなわち、小欠点(欠点のうち最大長が50μm以
上70μm以下で最大深さ5μm以上のもの)は0.5
個/m2、大欠点(欠点のうち最大長が70μmを越え
るもの)は無かった。また、表面粗さRaは2nmであ
った。
【0076】この支持体をA−4版の大きさに切り出
し、ハンドコート(手製の流延用ダイで支持体に溶液を
塗布すること)のための支持体を準備した。
【0077】次いで、溶液並びに支持体の温度を15±
1.0℃に調節して、乾燥後のフィルムの厚みが80μ
mになるように液膜の厚みを調節して当該支持体上に溶
液をハンドコートした。
【0078】その後、溶液を塗布した支持体ごと40℃
の熱風乾燥機にて5分間乾燥させた。
【0079】次いで60℃の熱風乾燥機にて5分間更に
乾燥させた。その後、室温まで冷却し、フィルムを支持
体より剥ぎ取った。ひきつづいて145℃の熱風乾燥機
にて1時間充分に乾燥させ、無延伸フィルムを得た。更
にこのフィルムをB−5版の大きさの短冊状に切り出し
160℃の温度にて1.25倍に一軸延伸した。
【0080】得られた無延伸フィルムとその一軸延伸フ
ィルムについて表面の欠点を調べた結果、得られたフィ
ルムの表面特性は次のようなものであった。
【0081】すなわち、その無延伸フィルムの表面粗さ
Raは2.1nmであり、表面欠点の最大長が50μm
以上でその高さが5μmを超えるものは無かった。ま
た、この無延伸フィルムを一軸延伸したフィルムはその
表面粗さRaが2.3nmであり、表面欠点の最大長が
50μm以上でその高さが3μmを超えるものは無かっ
た。
【0082】この一軸延伸フィルムを2枚の偏光板に挟
んで目視で表面欠点を調べたが、目視できる欠点は見出
せなかった。実施例1のフィルムは光学用の芳香族ポリ
カーボネートフィルムとして表面欠点の極めて少ない優
れたものであった。
【0083】[比較例1]キャスト用の支持体として、
SUS−316よりなる鏡面研磨板であって、鏡面研磨
時の研磨薬液の濃度調整や研磨時の砥粒の種類並びに粒
子径を調整して、更に機械研磨の条件も調整して作成し
たものであるが、実施例1とは異なる調製条件で準備し
たものを使用した以外は実施例1と同様にしてフィルム
を作製した。
【0084】この支持体の表面特性は下記の通りであっ
た。すなわち、小欠点(欠点のうち最大長が50μm以
上70μm以下で最大深さ5μm以上のもの)は7個/
2であり、大欠点(大きさ70μmを越えるもの)は
無かった。また、表面粗さRaは2nmであった。
【0085】この支持体を用いて作成した無延伸フィル
ムはその表面粗さRaが2.1nmで、表面欠点の最大
長が50μm以上70μm以下でその高さが5μmを越
えるものが3個/m2であった。
【0086】この無延伸フィルムを一軸延伸したフィル
ムはその表面粗さRaが2.3nmで、表面欠点の最大
長が50μm以上70μm以下でその高さが5μmを越
えるものが3個/m2であった。この一軸延伸フィルム
を実施例1と同様に2枚の偏光板に挟んで目視で表面欠
点を調べたところ、フィルム面を精査すると光学的に不
均一な微小な突起状の欠点が見出された。
【0087】上記のごとく、本願発明の実施例1のフィ
ルムは表面欠点が少なく、平坦性に優れたものであっ
た。またこれを一軸延伸したフィルムも表面の平坦性と
表面欠点の極めて少ない光学用途として優れたものであ
った。これに比して、比較例のフィルムは大きな表面欠
点が多く、光学用途として用いる場合に加工性が悪く問
題の多いものであった。
【0088】
【発明の効果】本発明の表面を有する支持体を使用する
ことにより製造される溶液製膜フィルムは表面の平坦性
にすぐれ、また、表面欠点が解消された極めて優れたも
のとなり、特に芳香族ポリカーボネートフィルムとして
光学用途に好適な表面を形成することができる。このた
めフィルム表面に各種材料の塗布や金属薄膜の付与を行
う高機能化の際にもフィルムの加工性が格段に向上する
ものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広田 実 愛媛県松山市北吉田町77番地 帝人株式会 社松山事業所内 Fターム(参考) 4F205 AA28 AC05 AH73 AJ09 AR13 GA07 GB01 GC06 GE02 GE03 GF24 GN13 GN22 GN24 GN28 GN29 GW21

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子樹脂溶液を支持体上に流延してフ
    ィルムに成形する溶液製膜フィルムの製造方法におい
    て、その支持体表面の欠点の最大長が50μm以上、そ
    の最大深さが5μm以上であるものが5個/m2以下で
    あることを特徴とする溶液製膜フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 支持体の表面の欠点でその最大長が70
    μmを越えるものが存在しないことを特徴とする請求項
    1に記載の溶液製膜フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 支持体の表面の中心線平均表面粗さRa
    が1nm〜3nmであることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の溶液製膜フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 溶液製膜フィルムが芳香族ポリカーボネ
    ートフィルムであることを特徴とする請求項1〜3に記
    載の溶液製膜フィルムの製造方法。
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