JP2010091646A - 光学用フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】口金スジや擦り傷や異物付着といった表面欠点無く、厚みや位相差のムラが小さい光学特性に優れた厚さ10〜100μmの未延伸及び延伸光学用フィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】非晶性を有する熱可塑性樹脂A層の両面あるいは片面に、該樹脂A層と剥離可能な樹脂B層を積層した、少なくともBABまたはABなる構成の積層体を溶融押出成形した、積層フィルムの積層厚みが20〜200μmであり、光線透過率が90%以上であり、ヘイズが1.0%以下であることを特徴とする光学用フィルムおよびその製造方法とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、非晶性の熱可塑性樹脂からなり、口金スジや擦り傷や異物付着といった表面欠点無く、厚みや位相差のムラが小さい光学特性に優れた未延伸及び延伸光学用フィルムとその製造方法に関する。
ポリエーテルサルフォン、エポキシ、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエステル等に代表される熱可塑性樹脂は、例えば非特許文献1にあるように液晶をはじめとした光学分野でも広く利用されている。これらの樹脂の製造には溶融製膜法、溶液流延法、溶液注型法等が用いられる。例えば、アクリル系熱可塑性樹脂フィルムを溶融製膜法で製造するに際しては、その靭性を高めるため、例えば特許文献1にあるようにその分子量を高分子量化することやエラストマー粒子などを添加することが提案されているが、そのために極めて高粘度となり口金から吐出された際に粘度が高くなりすぎてキャスト工程での平坦化や平滑化が極めて困難となる。また、加熱溶融させた樹脂をフィルム化する際に発生する分子配向により、フィルムの位相差や屈折率楕円体の光学的主軸の振れといった光学的異方性が発生することが明らかになっている。さらに、口金スジやゲル・異物などの表面欠点が発生する問題がある。生産性、コストの面では溶融製膜法が最も優れている反面、液晶等の光学用途では光学異方性や表面欠点が問題となる。
光学的異方性や表面欠点を解消する方法として、例えば特許文献2に示すように、構成する非晶性熱可塑性樹脂A層の両面に、該A樹脂とは非相溶性のポリマーB層を積層した積層体BABの形態で溶融押出成形後、冷却ドラム上に密着させ冷却させることを特徴とする200μm以上の厚もの光学用等方性シートの製造方法が提案されている。しかし近年、テレビやノートパソコンの薄型化、携帯電話や携帯情報端末等の小型化・軽量化にともない、液晶表示の基材として用いるプラスチックフィルムの薄膜化が要求されており、特に光学特性に優れた厚さ50μm以下のフィルムの要求が高い。さらに、光学的異方性を解消する方法として、たとえば特許文献3に示すように、非晶性熱可塑性樹脂を用い、溶融製膜法により製造した未延伸または延伸フィルムを、ガラス転移温度(Tgと略すことがある)〜(Tg+60℃)の温度にて、搬送張力をかけながら熱処理することを特徴とする熱可塑性フィルムの製造方法があるが、製膜時や熱処理時の異物付着による表面欠点やキズの発生が課題であった。
「光学用透明樹脂」、株式会社技術情報協会(発行人:高薄一弘)、2001年12月17日、p59 特開2006−283013号公報 特開2002−069210号公報 特開2008−023986号公報
本発明は、このような事情に鑑み、口金スジや擦り傷や異物付着といった表面欠点無く、厚みや位相差のムラが小さい光学特性に優れた厚さ20〜200μmの未延伸及び延伸光学用フィルムとその製造方法を提供する。
かかる目的を達成するための本発明は、以下の構成を有している。
(1)非晶性を有する熱可塑性樹脂A層の両面あるいは片面に、該樹脂A層と剥離可能な樹脂B層を積層した、少なくともBABまたはABなる構成の積層体を溶融押出成形した、積層フィルムの積層厚みが20〜200μmであり、光線透過率が90%以上であり、ヘイズが1.0%以下であることを特徴とする光学用フィルム。
(2)表層樹脂Bのガラス転移温度(Tgb)が、内層樹脂Aのガラス転移温度(Tga)以下である上記(1)に記載の光学用フィルム。
(3)表層樹脂Bのガラス転移温度(Tgb)と内層樹脂Aのガラス転移温度(Tga)との関係が、Tga−50℃<Tgb≦Tgaである上記(2)に記載の光学用フィルム。
(4)フィルム厚みがB層片側厚み≦A層厚みである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の光学用フィルム。
(5)内層樹脂AのフィルムA厚みが10〜100μm、表層樹脂BのフィルムB厚みが片側10〜50μmである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の光学用フィルム。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の光学用フィルムを、縦延伸又は横延伸の少なくとも一つの延伸を行なう光学用フィルムの製造方法。
本発明によれば、以下に記載するように、表面欠点無く、光学特性に優れた厚さ20〜200μmの未延伸及び延伸光学用フィルムとその製造方法を提供することが可能となる。
本発明のフィルムの製造方法を説明する。非晶性熱可塑性樹脂を溶融押出する際、主となる樹脂A層の両面あるいは片面に、該樹脂A層と非相溶性の剥離可能な樹脂B層を積層したBABまたはABなる構成の積層体を溶融押出成形後、表層樹脂Bを冷却ドラム上等で滑ることなく完全に密着させ冷却させる。このときの表層樹脂Bのガラス転移温度(Tgb)が、内層樹脂Aのガラス転移温度(Tga)以下であり、さらに好ましくは、Tga−50℃<Tgb≦Tgaである。表層樹脂BのTgが内層樹脂AのTg以下であることで、内層樹脂Aは口金スジ等による厚みムラの影響を受けにくく、また、冷却ドラム面と接触する際も内層樹脂Aは厚みムラなく冷却でき、さらに冷却ドラムからの剥離性もよくなる。また、積層状態で延伸する際も表層樹脂BのTgが内層樹脂AのTg以下であることで、内層樹脂Aにかかる延伸張力は表層樹脂Bにかかる張力の影響を受けにくくなり、厚み精度に優れた位相差ムラの少ない均一な延伸が可能となる。
内層樹脂Aと表層樹脂BによるBABまたはABなる構成の積層比は任意であるが、冷却ドラム上での冷却性やテンター等での延伸性を検討した結果、各層のフィルム厚みは表層樹脂B片側厚み≦内層樹脂A厚みであることが好ましい。また、積層フィルム全体の厚みは20〜200μmの範囲であることが好ましく、各層を構成する内層樹脂Aの厚みは10〜100μm、表層樹脂Bの厚みは10〜80μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましい表層樹脂Bの厚みは10〜50μmの範囲である。表層樹脂BのフィルムB厚みが10μm以上であることで、表層樹脂Bが内層樹脂Aの保護層となり、異物付着やキズ付きを防ぐことはもちろん、口金スジや搬送時のキズつき等からも内層樹脂Aを保護する。また、樹脂BのフィルムB厚みが50μm以下であることで、冷却ドラム上での冷却やテンター等での延伸の均一性がより向上し、幅方向や長手方向で厚みや光学特性のムラの少ない品質となる。
また、任意の方向における積層フィルム全体の厚みムラは5.0%以下、例えばトータル80μmの積層フィルム厚みであれば4μm以下であることが望ましい。これは、厚みムラの形状・箇所によっては、表層樹脂Bだけでなく内層樹脂Aも厚みムラの影響を受け易くなるためである。
表層Bを構成する高分子樹脂としては、環状オレフィン重合体、環状オレフィン共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアリレートおよびそれらの混合体などの樹脂が好ましく、この表層樹脂Bは内層樹脂Aとは相溶せず、A、B各層を積層した際に剥離が可能であることや、さらにこの樹脂は、適度な結晶化速度を有した微結晶性樹脂や、完全に非晶性樹脂であってもよく、Tgの異なる樹脂とのブレンド樹脂体であってもよい。適度な結晶化速度を有した微結晶性樹脂としては、Tgは該樹脂Aのガラス転移温度Tgaと同じまたは低いが、結晶化速度が適度に速く、冷却ドラムに密着後、該ドラムから剥離するまでに微結晶しうる樹脂であって、この特性は使用するドラム径、速度、温度、材質などにより大きく異なるので、そのキャスト装置に合った表層樹脂Bを選択することが大切である。相応しい樹脂としては、ナイロン6、ポリプロピレンテレフタレート(PPTと略すことがある)、ポリブチレンテレフタレート/ドデカンジカルボキシレート(95〜60モル%/5〜40モル%)(PBT/Dと略すことがある)、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCTと略すことがある)共重合体、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHTと略すことがある)、ビスフェノール(S)あるいはビスフェノール(O)のエチレンオキサイド付加物を共重合したポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂およびそれらの共重合体やブレンド体などである。また、完全に非晶性樹脂であってもTgの異なる樹脂とのブレンド樹脂体も本発明の表層樹脂Bとしては好ましく、これはキャスト時の密着性は低Tgの樹脂が受け持ち、冷却ドラムからの剥離は高Tgの樹脂が受け持つ、それぞれの役割を分担した樹脂がB層としては好ましい。
さらに、未延伸のフィルムエッジの両端部をトリミングする場合、表層樹脂Bは折っても割れない程度の靭性のある樹脂が望ましい。例えばアクリル系熱可塑性樹脂のような光学特性に優れる非晶性の熱可塑性樹脂は非常に脆いため、通常行われているレザー刃、回転刃、シェア刃などの刃物でトリミングを行うと、フィルムがカット中に割れ易く破断を引き起こしたり、微細なフィルムのバリが、縦延伸でシートの進行方向に張力がかかった際に、バリを起点に裂けたりする場合がある。このため、表層樹脂Bが靭性を有することで刃物でのトリミングがバリなく安定してでき、トリミング中や延伸中の破断を防ぐ。
ここで内層Aを構成する高分子樹脂とは、加熱によって流動性を示す非晶性熱可塑性樹脂であり、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン重合体変性体などからなるポリオレフィン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、アクリル重合体などのビニルポリマー、およびそれらの混合体・変性体から選ばれた樹脂などが代表的なものであり、特に本発明の場合、透明性の高い、非晶性のポリマーが好ましい。特に、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、などの非晶性の樹脂が好ましく、さらに環状構造を持つ高分子樹脂、例えば、環状ノルボルネン樹脂やシクロペンタン構造を含む樹脂などが好適であり、いわゆるアクリル系樹脂に特に好適に用いられる。アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂やその他のポリメタクリル酸エステル樹脂およびそれらの派生物、また、グルタル酸無水物、グルタル酸イミド、マレイン酸無水物、ラクトン環、などの環状構造を有する共重合体などが挙げられる。
さらに、内層樹脂Aは、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系およびシアノアクリレート系の紫外線吸収剤および酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エステル系および酸アミド系、さらに高級アルコールなどの滑剤および可塑剤、モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアリルアマイドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ハロゲン系難燃剤、燐系やシリコーン系の非ハロゲン系難燃剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、顔料などの着色剤などの添加剤を含有してもよい。これらの添加剤を添加する場合、その含有量は各用途に照らして有効量を適宜選択できる。また、樹脂A層そのものが積層体であっても構わない。
本発明により得られる熱可塑性樹脂フィルムを光学用途で用いるには、ヘイズが1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.6%以下である。すなわちヘイズが1.0%を超えるフィルムであれば曇った印象を与え、見た目にも悪くまた光散乱による光り漏れが起こり液晶ディスプレイには用いられない、など光学的に価値が低いものとなる。また、光学用フィルムの光線透過率は90%以上であることが好ましく、より好ましくは92%以上である。すなわち、光線透過率が90%未満であれば表示のための光を十分に通過させられず液晶ディスプレイには用いられない、など光学的に価値の低いものとなる。さらに、位相差はフィルム部材の用途によって異なるが、ディスプレイ部材等において実質的ゼロ位相のフィルムが要求される際は、面内位相差及び、厚み方向の位相差ともに±3.0nm内であることが好ましく、さらに好ましくは±1.5nm内である。また逆に、位相差フィルムとして高位相差が求められる際は、縦または横の一軸延伸などによって位相差フィルムが得られ、発現する位相差は樹脂組成や延伸温度、延伸張力などにより異なって発現する。
本発明の光学用フィルムは使用の目的によって表面にコーティングによって帯電防止層や易接着層を設けたり、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層、三角プリズム層、マイクロレンズアレイ等を設けたり、金属や酸化金属の蒸着層や、スパッタによる透明導電層を設けたり、接着層を介して他の光学等方性フィルムや偏光子、位相差フィルム等の光学機能フィルム、ガラス基板などと積層した形で用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。もっとも、本発明は下記実施例に必ずしも限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、各種物性の測定方法を記載する。
(1)フィルムの厚みムラ
フィルムを長手方向および幅方向についてそれぞれ50mmの幅で切り出し、アンリツ株式会社製「フィルムシネックス」にて測定圧0.15gの荷重にて1.5m/minの速度にて走行させながら厚みを連続的に測定し、長さ1mの範囲においてその厚みチャートから最大値と最小値の差を厚みムラとして求めた。光学用フィルムとして好適に用いられる厚みムラのレベルは基材厚みに対して5%内であり、さらに好ましくは3%内である。
(2)フィルムのキズ・異物検査
フィルムサンプル1mを黒いシートの上に敷き、暗室内で蛍光灯1本の反射光でフィルム外観欠点検査を目視で行う。見つかったキズ・付着異物等の外観欠点について顕微鏡などで全数分類ならびに大きさの確認を行い、最大径10μm以上の外観欠点数をカウントする。光学用フィルムとして使用可能なレベルはキズが1m当たり1コ以下、付着異物が1m当たり3コ以下であり、好ましくはキズ・異物共に無きことである。ここでいう付着異物はエアー等により容易に除去できない付着物である。
(3)フィルムの光線透過率
JIS−K7361−1(1997)に従い、測色色差計ZE−2000(日本電色工業製)を用いて測定した。
(4)フィルムのヘイズ
JIS−K−6714(1995)に従い、ヘイズメーター(スガ試験機製)を用いて測定した。
(5)フィルムの面内の位相差および厚み方向の位相差
王子計測(株)社製の楕円偏光測定装置(KOBRA−WPR)と位相差測定装置KOBRA−RE(KOBRA−WR用ソフトウェア)Ver.1.21を用いた。測定は、入射角依存性測定の単独N計算モードにて、低位相差測定法を用い、遅相軸を傾斜中心軸とし、入射角40°(波長590nm)の条件にて行い、面内の位相差(Δnd)および厚み方向位相差(Rth)を得た。なお、入射角0°の時の位相差であるR0値を面内の位相差(Δnd)とした。また、測定はデシケーター中にて24時間保管したサンプルにて行い、N=5回の平均値を面内の位相差(Δnd)および厚み方向位相差(Rth)とした。
(グルタル酸無水物単位を含有するアクリル系樹脂共重合体の製造(A−1))
バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、懸濁剤としてアクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(質量比20/80、特公昭45−24151号公報実施例1記載)0.05質量部をイオン交換水165質量部に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質の反応系を攪拌しながら添加し、60℃に昇温し懸濁重合を開始した。
メタクリル酸 20質量部
メタクリル酸メチル 80質量部
t−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤) 0.3質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.4質量部
15分かけて反応温度を65℃まで昇温したのち、50分かけて100℃まで昇温した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、ビーズ状のビニル系共重合体(原重合体(A−1−0))を得た。
このビーズ状ビニル系共重合体(A−1−0)を、L/Dが25のベント付き同方向回転2軸押出機(池貝鉄工製 PCM−30)のホッパー口より供給して、樹脂温度250℃、スクリュー回転数100rpmで溶融押出し、ペレット状のグルタル酸無水物単位を含有するアクリル系樹脂共重合体(A−1)を得た。H−NMRスペクトルを測定し、スペクトルの帰属を、0〜0.8ppmのピークがメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびグルタル酸無水物環化合物のα−メチル基の水素、0.8〜1.6ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水、3.0ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH)の水素、11.9ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素とした。スペクトルの積分比から各共重合単位の組成を計算した結果、下記のとおりであった。
メタクリル酸単位:1.3質量%
メタクリル酸メチル単位:81.0質量%
グルタル酸無水物単位:17.7質量%。
(実施例1〜3)
非晶性の熱可塑性樹脂A層として質量平均分子量が約10万である上記アクリル系樹脂共重合体(A−1)(Tg:126〜130℃)のペレットを用い、熱風式乾燥炉を用いて80℃で8時間減圧乾燥後、ベント付φ65mm一軸押出機を使用して260〜270℃で押出し、ギヤポンプにより吐出量を一定とした。一方、その内層樹脂Aに積層剥離する表層樹脂BとしてA層よりもTgが低い環状オレフィン重合体(COP)(日本ゼオン社製“ゼオノア”)や環状オレフィン共重合体(COC)(日本ポリプラ社製“TOPAS”)、またポレエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度:0.65、Tg:70℃)と環状オレフィン共重合体との混合原料(見かけのTgは100〜110℃)を用い、A層と同様に80℃で8時間減圧乾燥後、ベント付一軸押出機を使用して240〜260℃で押出し、ギヤポンプにより吐出量を一定とした。樹脂A、樹脂Bそれぞれを金属繊維焼結タイプの7μmカットフィルターを用いて濾過し、B/A/Bの3層になるように口金内にて積層した後、幅1,770mmのフラットダイ(設定温度250〜270℃)を介してフィルム状に吐出させた。吐出したフィルムはリップから鉛直方向に吐出し、直径350mmの表面仕上げ0.2Sのステンレス製冷却ロール(100〜110℃:搬送速度10m/分)の接線方向に接触するように抱きつかせて冷却を開始し、その後に引き続いて同径・同材質のロールにて搬送・冷却させた。これによりネッキングの影響で1,630〜1,680mm幅の耳付き(エッジ付き)フィルムが形成され、積層厚み40〜180μmのフィルムを得た。その後、フィルム両端の耳部分のそれぞれ150〜175mmずつをシャー刃で切断・除去し、ロール状の巻物として採取した。各種条件を表1に示す。また、かくして得られた積層フィルムから表層フィルムBを剥離し、得られたフィルムAの厚みムラ、キズ・付着異物個数、光線透過率、ヘイズ、位相差をそれぞれ測定した結果を表2に示す。厚みムラが2.0μm以下であり、キズ・異物付着が皆無であり、また光学特性に優れた厚み20〜60μの積層フィルムを得た。
(実施例4〜5)
非晶性の熱可塑性樹脂A層として環状オレフィン重合体(COP)(日本ゼオン社製“ゼオノア”)や環状オレフィン共重合体(COC)(日本ポリプラ社製“TOPAS”)のペレットを用い、一方、その内層樹脂Aに積層剥離する表層樹脂BとしてA層よりもTgが低いポレエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度:0.65、Tg:70℃)と上記ポリアクリル樹脂との混合原料(見かけのTgは100〜110℃)を用いること以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。各種条件を表1に、各種物性測定の結果を表2に示す。
(比較例1〜2)
樹脂層B/A/Bの各厚みが30μm/120μm/30μmまたは5μm/20μm/5μmであること以外は実施例1または2と同様にして積層フィルムを得た。各種条件を表1に、各種物性測定の結果を表2に示す。
(実施例6〜8)
樹脂A/Bの2層になるように口金内にて積層すること以外は実施例1〜5と同様にして積層フィルムを得た。各種条件を表1に、各種物性測定の結果を表2に示す。
(比較例3〜4)
樹脂A層単独で口金から吐出すること以外は実施例1〜8と同様にしてフィルムを得た。各種条件を表1に、各種物性測定の結果を表2に示す。
(実施例9〜12)
一対のロールからなるドライヤー型縦延伸機やクリップでフィルムを把持するテンター型横延伸を用いて、実施例1または4で得た積層フィルムを縦延伸又は横延伸の一方あるいは両方に、内層樹脂AのTg〜Tg+10℃の熱風をかけながら延伸した。各種条件を表1に、各種物性測定の結果を表2に示す。
(比較例5〜8)
比較例3〜4で得たフィルムを用いること以外は実施例9〜12と同様にして延伸フィルムを得た。各種条件を表1に、各種物性測定の結果を表2に示す。
Figure 2010091646
Figure 2010091646
本発明のフィルムは、表面欠点無く厚みや位相差の精度に優れるので、光学ディスク、ディスプレイ部材、光学レンズ、および液晶バックライト用導光板用の材料として好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 非晶性を有する熱可塑性樹脂A層の両面あるいは片面に、該樹脂A層と剥離可能な樹脂B層を積層した、少なくともBABまたはABなる構成の積層体を溶融押出成形した、積層フィルムの積層厚みが20〜200μmであり、光線透過率が90%以上であり、ヘイズが1.0%以下であることを特徴とする光学用フィルム。
  2. 表層樹脂Bのガラス転移温度(Tgb)が、内層樹脂Aのガラス転移温度(Tga)以下である請求項1に記載の光学用フィルム。
  3. 表層樹脂Bのガラス転移温度(Tgb)と内層樹脂Aのガラス転移温度(Tga)との関係が、Tga−50℃<Tgb≦Tgaである請求項2に記載の光学用フィルム。
  4. フィルム厚みがB層片側厚み≦A層厚みである請求項1〜3のいずれかに記載の光学用フィルム。
  5. 内層樹脂AのフィルムA厚みが10〜100μm、表層樹脂BのフィルムB厚みが片側10〜50μmである請求項1〜4のいずれかに記載の光学用フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光学用フィルムを、縦延伸又は横延伸の少なくとも一つの延伸を行なう光学用フィルムの製造方法。
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