JP2016118698A - 複層フィルム及びその製造方法、偏光板及びその製造方法、並びに液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

複層フィルム及びその製造方法、偏光板及びその製造方法、並びに液晶表示装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】脂環式構造を有する重合体を含む樹脂からなる、厚みの薄いフィルムを製造しうる複層フィルムを提供する。
【解決手段】脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B)からなるB層と、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B’)からなるB’層と、樹脂(B)及び樹脂(B’)とは異なる熱可塑性樹脂(A)からなるA層とを、B層、A層及びB’層の順に備え、樹脂(B)のガラス転移温度TgB、樹脂(B’)のガラス転移温度TgB’、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度TgA、B層の厚みtb、B’層の厚みtb’、及び、A層の厚みtaが、15℃≦TgB−TgA≦70℃、15℃≦TgB’−TgA≦70℃、4μm≦tb≦15μm、4μm≦tb’≦15μm、5μm≦ta≦40μmを満たす、複層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、複層フィルム及びその製造方法、偏光板及びその製造方法、並びに液晶表示装置及びその製造方法に関する。
液晶表示装置等の画像表示装置には、液晶セルの屈折率による位相差を保証するために、位相差フィルムが設けられることがある。このような位相差フィルムとしては、例えば、樹脂フィルムを延伸して得られる延伸フィルムが挙げられる。また、このような延伸フィルムとしては、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂で形成されたフィルムが注目されている。
脂環式構造を有する重合体を含む樹脂を用いてフィルムを製造する場合、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂を単独で用いる技術以外に、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂を他の任意の樹脂と組み合わせて用いる技術が知られている。例えば、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂の層と、任意の樹脂の層とを備えた複層フィルムが知られている(特許文献1及び2参照)。
特開2014−123059号公報 特開2010−091646号公報
小型化及び軽量化の要求の高まりにより、近年のフィルムには、当該フィルムの厚みを薄くすることが求められる。このように厚みを薄くしたいとの要求は、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂を用いたフィルムにも求められる。そこで、本発明者は、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂を単層のフィルム状に成形して、厚みの薄いフィルムを製造しようと試みた。ところが、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂を厚みが薄いフィルム状に成形した場合、フィルムの破断の可能性があった。また特に、延伸前フィルムを延伸して厚みの薄い延伸フィルムを製造しようとした場合、延伸工程においてフィルム破損を生じ易く、延伸フィルムの製造が困難になることがあった。
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたものであって、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂からなる、厚みの薄いフィルムを製造しうる複層フィルム;前記複層フィルムの製造方法;前記複層フィルムから得られる厚みの薄いフィルムを備えた偏光板及びその製造方法;並びに、前記複層フィルムから得られる厚みの薄いフィルムを備えた液晶表示装置及びその製造方法、を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂からなる層と、熱可塑性樹脂からなる層と、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂からなる層とをこの順に備え、且つ、前記各層を形成する樹脂のガラス転移温度が所定の関係を満たす複層フィルムを用いることにより、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂からなる厚みの薄いフィルムを製造しうることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
〔1〕 脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B)からなるB層と、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B’)からなるB’層と、前記樹脂(B)及び前記樹脂(B’)とは異なる熱可塑性樹脂(A)からなるA層とを、前記B層、前記A層及び前記B’層の順に備え、
前記樹脂(B)のガラス転移温度TgB、前記樹脂(B’)のガラス転移温度TgB’、前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度TgA、前記B層の厚みtb、前記B’層の厚みtb’、及び、前記A層の厚みtaが、
15℃≦TgB−TgA≦70℃
15℃≦TgB’−TgA≦70℃
4μm≦tb≦15μm
4μm≦tb’≦15μm
5μm≦ta≦40μm
を満たす、複層フィルム。
〔2〕 前記樹脂(B)に含まれる脂環式構造を有する重合体、及び、前記樹脂(B’)に含まれる脂環式構造を有する重合体が、シクロオレフィン重合体である、〔1〕記載の複層フィルム。
〔3〕 前記熱可塑性樹脂(A)が、アクリル重合体を含む、〔1〕又は〔2〕記載の複層フィルム。
〔4〕 前記熱可塑性樹脂(A)が、ゴム粒子を含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の複層フィルム。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の複層フィルムから剥離して得られた、前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層と、偏光膜とを備える、偏光板。
〔6〕 前記偏光膜が、ポリビニルアルコールを含む、〔5〕記載の偏光板。
〔7〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の複層フィルムから、前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を剥離する工程と、
前記複層フィルムから剥離して得られた前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層と偏光膜とを貼り合わせて偏光板を得る工程とを含む、偏光板の製造方法。
〔8〕 脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B)からなるB層と、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B’)からなるB’層と、前記樹脂B及び前記樹脂B’とは異なる熱可塑性樹脂(A)からなるA層とを、前記B層、前記A層及び前記B’層の順に備える複層フィルムの製造方法であって、
前記熱可塑性樹脂(A)、前記樹脂(B)及び前記樹脂(B’)を共押し出しする工程を含み、
前記樹脂(B)のガラス転移温度TgB、前記樹脂(B’)のガラス転移温度TgB’、前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度TgA、前記B層の厚みtb、前記B’層の厚みtb’、及び、前記A層の厚みtaが、
15℃≦TgB−TgA≦70℃
15℃≦TgB’−TgA≦70℃
4μm≦tb≦15μm
4μm≦tb’≦15μm
5μm≦ta≦40μm
を満たす、複層フィルムの製造方法。
〔9〕 前記熱可塑性樹脂(A)、前記樹脂(B)及び前記樹脂(B’)を共押し出しする工程で得られた延伸前フィルムを、
TgA+26℃<Ts
Ts<TgB+30℃
Ts<TgB’+30℃
を満たす延伸温度Tsで延伸する工程を含む、〔8〕記載の複層フィルムの製造方法。
〔10〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の複層フィルムから剥離して得られた、前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を備える、液晶表示装置。
〔11〕 液晶パネルを備える液晶表示装置の製造方法であって、
〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の複層フィルムから、前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を剥離する工程と、
前記複層フィルムから剥離して得られた前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を液晶パネルに設ける工程と、を含む、液晶表示装置の製造方法。
本発明によれば、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂からなる、厚みの薄いフィルムを製造しうる複層フィルム;前記複層フィルムの製造方法;前記複層フィルムから得られる厚みの薄いフィルムを備えた偏光板及びその製造方法;並びに、前記複層フィルムから得られる厚みの薄いフィルムを備えた液晶表示装置及びその製造方法、を提供できる。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「(メタ)アクリル酸」には「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含し、「(メタ)アクリルアミド」には「アクリルアミド」及び「メタクリルアミド」の両方を包含し、「(メタ)アクリロニトリル」には「アクリロニトリル」及び「メタクリロニトリル」の両方を包含する。
以下の説明において、ある層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、前記層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、前記層の面内方向であってnxの方向に垂直な方向の屈折率を表す。dは、前記層の厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、590nmである。
以下の説明において、「偏光板」とは、別に断らない限り、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、通常5倍以上、好ましくは10倍の長さを有するフィルムをいい、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬されうる程度の長さを有するフィルムをいう。
[1.複層フィルム]
本発明の複層フィルムは、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B)からなるB層と、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B’)からなるB’層と、前記樹脂(B)及び前記樹脂(B’)とは異なる熱可塑性樹脂(A)からなるA層とを、B層、A層及びB’層の順に備える。通常、A層とB層とは直接に接していて、A層とB層との間には別の層は設けられていない。また、通常、A層とB’層とは直接に接していて、A層とB’層との間には別の層は設けられていない。
本発明の複層フィルムからは、A層、B層及びB’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を剥離できる。このようにして剥離された層は、独立した厚みの薄いフィルムとして用いうる。以下、このように本発明の複層フィルムからの剥離によって得られたフィルムを、適宜「剥離フィルム」と呼ぶことがある。
〔1.1.A層〕
A層は、樹脂(B)及び樹脂(B’)とは異なる熱可塑性樹脂(A)からなる。通常、A層はB層及びB’層から剥離可能に設けられる。そのため、熱可塑性樹脂(A)としては、A層がB層及びB’層から剥離可能となるように、樹脂(B)及び樹脂(B’)に応じて適切な熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
通常、熱可塑性樹脂(A)は、熱可塑性を有する重合体と、必要に応じて任意の成分とを含む。熱可塑性樹脂(A)が含む重合体としては、例えば、アクリル重合体、スチレン重合体、マレイミド重合体等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂(A)が含む重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂(A)が含む重合体としては、前記の重合体の中でも、アクリル重合体が好ましい。アクリル重合体とは、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸誘導体の重合体を意味する。アクリル重合体は、通常、脂環式構造を有する重合体との親和性が低い。そのため、アクリル重合体を含む熱可塑性樹脂(A)を用いることにより、B層及びB’層と剥離し易いA層を得ることができる。また、アクリル重合体は機械的強度が高く硬いので、複層フィルムの機械的強度を高めて破断を抑制したり、複層フィルムのハンドリング性を向上させたりできる。
(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。また、前記の(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体等の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。したがって、アクリル重合体は、前記の単量体の単独重合体でもよく、共重合体でもよい。
通常、アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体等の単量体を重合して形成される構造を有する構造単位を含む。中でも、アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して形成される構造を有する構造単位を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸と炭素原子数1〜15のアルカノール又はシクロアルカノールから誘導される構造を有するものが好ましい。更に、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸と炭素原子数1〜8のアルカノールから誘導される構造のものがより好ましい。炭素原子数を前記のように小さくすることにより、複層フィルムの破断時の伸びを大きくすることができる。
アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸n−ドデシルなどが挙げられる。
メタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸n−ドデシルなどが挙げられる。
前記の(メタ)アクリル酸エステルは、本発明の効果を著しく損なわない限り、例えば水酸基、ハロゲン原子等の置換基を有しうる。(メタ)アクリル酸エステルは、同一または相異なる置換基を、複数個有していてもよい。置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。
アクリル重合体の全単量体100重量部に対し、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体の合計量は、好ましくは50重量部、より好ましくは85重量部、特に好ましくは90重量部である。したがって、アクリル重合体において、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸誘導体を重合して形成される構造を有する構造単位の割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは85重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。これにより、アクリル重合体が有する特性を有効に活用して、A層とB層との剥離性及びA層とB’層との剥離性を効果的に高めたり、複層フィルムの機械的強度を効果的に高めたりできる。
アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸誘導体のみの重合体であってもよく、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸誘導体と前記(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体以外の任意の単量体との共重合体でもよい。任意の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、並びに、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体、アルケニル芳香族単量体、共役ジエン単量体、非共役ジエン単量体、カルボン酸不飽和アルコールエステル、およびオレフィン単量体などが挙げられる。任意の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体の具体例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジメチルなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、モノカルボン酸、多価カルボン酸、多価カルボン酸の部分エステル及び多価カルボン酸無水物のいずれでもよい。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体の具体例としては、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノエチル、フマル酸モノn−ブチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
アルケニル芳香族単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼンなどが挙げられる。
共役ジエン単量体の具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエンなどが挙げられる。
非共役ジエン単量体の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。
カルボン酸不飽和アルコールエステル単量体の具体例としては、酢酸ビニルなどが挙げられる。
オレフィン単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテンなどが挙げられる。
上述したアクリル重合体の中でも、ポリメタクリレートが好ましく、中でもポリメチルメタクリレートがより好ましい。
熱可塑性樹脂(A)における重合体の量は、好ましくは50重量%〜100重量%、より好ましくは70重量%〜100重量%である。重合体の量を前記の範囲に収めることにより、所望の特性を有するA層を容易に実現できる。
熱可塑性樹脂(A)が含みうる任意の成分としては、例えば、ゴム粒子が挙げられる。ゴム粒子を含むことにより、熱可塑性樹脂(A)の可撓性を高め、複層フィルムの耐衝撃性を向上させることができる。また、ゴム粒子によってA層の表面に凹凸が形成されるので、複層フィルムから剥離してA層を独立した剥離フィルムとして分離した場合に、その剥離フィルムの滑り性を高めることができる。
ゴム粒子を形成するゴムとしては、例えば、アクリル酸エステル重合体ゴム、ブタジエンを主成分とする重合体ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ゴム等が挙げられる。アクリル酸エステル重合体ゴムとしては、例えば、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を単量体の主成分とするものが挙げられる。これらの中でも、ブチルアクリレートを主成分としたアクリル酸エステル重合体ゴム及びブタジエンを主成分とする重合体ゴムが好ましい。
また、ゴム粒子には、2種類以上のゴムが含まれていてもよい。また、それらのゴムは、均一に混ぜ合わせられていてもよいが、層状になったものであってもよい。ゴムが層状になったゴム粒子の例としては、ゴム粒子の内部に形成されたコア層と、そのコア層を覆うシェル層とを有する粒子が挙げられる。具体例を挙げると、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレートとスチレンとをグラフト化したゴム弾性成分からなるコア層と、ポリメチルメタクリレート及びメチルメタクリレートの一方又は両方とアルキルアクリレートとの共重合体からなるシェル層とを備えるゴム粒子が挙げられる。
ゴム粒子の数平均粒子径は、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.25μm以下である。数平均粒子径を前記範囲内とすることにより、A層内でのゴム粒子同士の凝集を防ぐことができるので、ゴム粒子を含むことによるA層単層フィルムの耐衝撃性向上の効果を維持しつつ、A層内の内部ヘイズの上昇を抑制できる。また、A層の表面に凹凸を適切に形成できるので、複層フィルムから剥離してA層を独立した剥離フィルムとして分離した場合に、その剥離フィルムの滑り性を効果的に高めることができる。
ゴム粒子の量は、熱可塑性樹脂(A)に含まれる重合体100重量部に対して、好ましくは5重量部以上であり、好ましくは50重量部以下である。ゴム粒子の量を前記範囲内とすることにより、A層単層フィルムの耐衝撃性を高めることができ、ひいては複層フィルムの耐衝撃性を高めてハンドリング性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂(A)が含みうる任意の成分としては、例えば、顔料、染料等の着色剤;可塑剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;紫外線吸収剤;耐電防止剤;酸化防止剤;界面活性剤等の配合剤が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度TgAは、通常、樹脂(B)のガラス転移温度TgB及び樹脂(B’)のガラス転移温度TgB’と所定の関係を満たす。具体的には、「TgB−TgA」及び「TgB’−TgA」が、下記式(i)及び式(ii)で表される関係を満たす。
15℃≦TgB−TgA≦70℃ (i)
15℃≦TgB’−TgA≦70℃ (ii)
前記式(i)及び式(ii)について、より詳細に説明する。「TgB−TgA」は、通常15℃以上、好ましくは16℃以上、より好ましくは17℃以上であり、通常70℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは40℃以下である。また、「TgB’−TgA」は、通常15℃以上、好ましくは16℃以上、より好ましくは17℃以上であり、通常70℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは40℃以下である。
「TgB−TgA」及び「TgB’−TgA」が前記範囲の下限値以上であることは、TgB及びTgB’がTgAよりも所定程度だけ高温であることを表す。これにより、共押出法においてダイのリップを通して樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(B’)を押し出すとき、樹脂(A)が仮に分解しても、通常は、その樹脂(A)よりも高いガラス転移温度TgB及びTgB’を有する樹脂(B)及び樹脂(B’)の分解を抑制できる。本発明の複層フィルムでは、このように分解し難い樹脂(B)及び樹脂(B’)からなるB層及びB’層の間にA層を設けたので、A層で生じうる分解生成物のリップへの付着を抑制できる。したがって、リップへの付着物によるダイラインの発生を抑制できる。ここでダイラインとは、複層フィルムの長手方向に伸びる、不規則に生じる線状凹部及び線状凸部のことをいう。
また、TgB及びTgB’がTgAよりも所定程度だけ高温であることにより、延伸フィルムとして複層フィルムを製造する場合において、延伸フィルムの延伸装置への貼り付きを抑制できる。例えば、延伸装置のロール及びクリップ等のように、延伸フィルムと接触しうる部位に、延伸フィルムが貼り付いて当該延伸クリップが意図せず引っ張られることを抑制できる。そのため、延伸フィルムの破損を抑制できる。
さらに、TgB及びTgB’がTgAよりも所定程度だけ高温であることにより、TgAより高い温度で延伸を行った場合に、A層に含まれる重合体分子を配向させずにB層及びB’層に含まれる重合体分子を配向させることができる。そのため、延伸工程において、A層でのレターデーションの発現を抑制しながら、B層及びB’層に選択的にレターデーションを発現させることができる。
他方、「TgB−TgA」及び「TgB’−TgA」を前記範囲の上限値以下にすることにより、A層の機械的強度を高めたり、B層及びB’層の可撓性を高めたりできる。
熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度TgAの範囲は、前記の式(i)及び式(ii)を満たす範囲において適切に設定しうる。具体的には、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度TgAは、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、特に好ましくは100℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、特に好ましくは130℃以下である。熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度TgAを前記範囲の下限値以上にすることによりA層の耐熱性を高めることができ、上限値以下にすることにより加工を容易にできる。
A層は、光学的に等方性の層であることが好ましい。したがって、A層の面内レターデーションReAは、実質的にゼロであることが好ましい。ここで、A層の面内レターデーションReAが実質的にゼロであるとは、A層の面内レターデーションReAが、好ましくは0nm〜4nm、より好ましくは0nm〜3nm、特に好ましくは0nm〜2nm以下であることを表す。このようにA層の面内レターデーションReAを実質的にゼロにすることにより、B層の面内レターデーションReB及びB’層の面内レターデーションReB’を容易に測定できる。
A層の全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。全光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計「V−570」)を用いて測定しうる。
A層の内部ヘイズは、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下である。内部ヘイズは、JIS K7136−に準拠して、A層の屈折率に合わせた臭化亜鉛水溶液中で測定しうる。この内部ヘイズの測定装置としては、日本電色工業社製「濁度計 NDH−300A」を用いうる。
A層の揮発性成分の量は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下である。揮発性成分の量を前記範囲にすることにより、A層の寸法安定性を向上させられる。ここで、揮発性成分は、分子量200以下の物質である。揮発性成分としては、例えば、残留単量体及び溶媒などが挙げられる。揮発性成分の量は、分子量200以下の物質の合計として、ガスクロマトグラフィーにより分析することにより定量しうる。
本発明の複層フィルムは、A層、B層及びB’層という複数の層を備えるので、各層の厚みが薄くても、複層フィルム全体としての厚みは厚くなる。そのため、各層の厚みが薄くても、複層フィルム全体としての機械的強度を高くすることができるので、各層の破損を抑制できる。したがって、本発明の複層フィルムによれば、A層の厚みを薄くすることが可能である。具体的には、A層の厚みtaは、通常40μm以下であり、巻径を小さくして長尺を巻けるという観点から、好ましくは38μm以下、より好ましくは30μm以下である。また、A層の厚みtaの下限は、通常5μm以上、好ましくは6μm以上、より好ましくは7μm以上である。A層の厚みtaを前記下限値以上にすることにより、A層をB層及びB’層から剥離する際にA層の破損を抑制できる。
〔1.2.B層〕
B層は、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B)からなる。脂環式構造を有する重合体は、その重合体の構造単位が脂環式構造を有する重合体である。脂環式構造を有する重合体は、主鎖に脂環式構造を有していてもよく、側鎖に脂環式構造を有していてもよい。中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から、主鎖に脂環式構造を有する重合体が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下の範囲である。脂環式構造を構成する炭素原子数をこの範囲にすることにより、当該脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B)の機械強度、耐熱性、及び成形性が高度にバランスされる。
脂環式構造を有する重合体において、脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択しうる。脂環式構造を有する重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、当該脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B)の透明性及び耐熱性が良好となる。
脂環式構造を有する重合体の中でも、シクロオレフィン重合体が好ましい。シクロオレフィン重合体は、シクロオレフィン単量体を重合して得られる構造を有する重合体である。また、シクロオレフィン単量体は、炭素原子で形成される環構造を有し、かつ該環構造中に重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物である。重合性の炭素−炭素二重結合としては、例えば、開環重合等の重合可能な炭素−炭素二重結合が挙げられる。また、シクロオレフィン単量体の環構造としては、例えば、単環、多環、縮合多環、橋かけ環及びこれらを組み合わせた多環等が挙げられる。中でも、重合体の誘電特性及び耐熱性等の特性を高度にバランスさせる観点から、多環のシクロオレフィン単量体が好ましい。
また、脂環式構造を有する重合体としてシクロオレフィン重合体を用い、かつ、熱可塑性樹脂(A)が含む重合体としてアクリル重合体を用いた場合、シクロオレフィン重合体が有する高い可撓性により、アクリル重合体を含むA層をB層により保護し、複層フィルムとしての機械的強度を高めて破断を抑制したり、複層フィルムのハンドリング性を向上させたりできる。
シクロオレフィン重合体の中でも好ましいものとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、及び、これらの水素添加物等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体は、成形性が良好なため、特に好適である。
ノルボルネン系重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素添加物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素添加物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適である。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン酸基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体は、例えば、単量体を開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体は、例えば、単量体を付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
上述した開環重合体及び付加重合体の水素添加物は、例えば、開環重合体及び付加重合体の溶液において、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む水素添加触媒の存在下で、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素添加することによって製造しうる。
ノルボルネン系重合体の中でも、構造単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの構造単位の量が、ノルボルネン系重合体の構造単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの割合とYの割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような重合体を用いることにより、当該ノルボルネン系重合体を含むB層を、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れるものにできる。
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環を有する環状オレフィン系モノマーの付加重合体を挙げることができる。
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン系モノマーの付加重合体を環化反応して得られる重合体;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系モノマーの1,2−または1,4−付加重合体;およびこれらの水素添加物;などを挙げることができる。
脂環式構造を有する重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、B層の機械的強度および成型加工性が高度にバランスされる。前記の重量平均分子量(Mw)は、溶媒としてシクロヘキサンを用いた(但し、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量として測定しうる。
脂環式構造を有する重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高め、製造コストを抑制できる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量が小さくなるので、高温曝露時の緩和を抑制して、B層の安定性を高めることができる。
脂環式構造を有する重合体の飽和吸水率は、好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。飽和吸水率が前記範囲であると、B層のレターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。また、複層フィルムを備える偏光板及び液晶表示装置の劣化を抑制でき、長期的に画像表示装置の表示を安定で良好に保つことができる。
飽和吸水率は、試験片を一定温度の水中に一定時間浸漬して増加した質量を、浸漬前の試験片の質量に対する百分率で表した値である。通常は、23℃の水中に24時間、浸漬して測定される。重合体における飽和吸水率は、例えば、重合体中の極性基の量を減少させることにより、前記の範囲に調節することができる。よって、飽和吸水率をより低くする観点から、脂環式構造を有する重合体は、極性基を有さないことが好ましい。
樹脂(B)における脂環式構造を有する重合体の量は、好ましくは50重量%〜100重量%、より好ましくは70重量%〜100重量%である。脂環式構造を有する重合体の量を前記の範囲に収めることにより、所望の特性を有するB層を容易に実現できる。
樹脂(B)は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した重合体以外に任意の成分を含みうる。任意の成分の例を挙げると、樹脂(A)が含みうる任意の成分と同様の成分が挙げられる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
樹脂(B)のガラス転移温度TgBは、前記式(i)を満たす範囲において適切に設定しうる。具体的には、樹脂(B)のガラス転移温度TgBは、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。樹脂(B)のガラス転移温度TgBを前記範囲の下限値以上にすることにより、高温環境下におけるB層の耐久性を高めることができ、また、上限値以下にすることにより、延伸処理を容易に行える。
樹脂(B)の光弾性係数の絶対値は、好ましくは10×10−12Pa−1以下、より好ましくは7×10−12Pa−1以下、特に好ましくは4×10−12Pa−1以下である。これにより、B層のレターデーションのバラツキを小さくすることができる。ここで、光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、C=Δn/σで表される値である。
B層は、延伸されることにより、レターデーションが発現していることが好ましい。B層のレターデーションの範囲は、B層をA層から剥離して独立した剥離フィルムとして取り扱う場合の当該剥離フィルムの用途に応じて適切に設定しうる。具体的には、B層の面内レターデーションReBは、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上、特に好ましくは20nm以上であり、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、特に好ましくは300nm以下である。
B層の全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。また、B層のヘイズは、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下である。
B層の揮発性成分の量は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下である。揮発性成分の量を前記範囲にすることにより、B層の寸法安定性が向上し、レターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。さらには、B層を独立した剥離フィルムとして用いる場合に、当該剥離フィルムを備える偏光板及び液晶表示装置の劣化を抑制でき、長期的に液晶表示装置の表示を安定で良好に保つことができる。
本発明の複層フィルムは、前述のように、当該複層フィルムに含まれる各層の厚みが薄くても、各層の破損を抑制できる。したがって、本発明の複層フィルムによれば、B層の厚みtbを薄くすることが可能である。具体的には、B層の厚みtbは、通常15μm以下であり、巻径を小さくして長尺を巻けるという観点から、好ましくは14μm以下、より好ましくは13μm以下である。また、B層の厚みtbの下限は、通常4μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは6μm以上である。B層の厚みtbを前記下限値以上にすることにより、B層をA層から剥離する際にB層の破損を抑制できる。
〔1.3.B’層〕
B’層は、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B’)からなる。樹脂(B’)としては、樹脂(B)として説明した樹脂の範囲から選択される任意の樹脂を用いうる。したがって、樹脂(B’)の含有成分及び特性は、樹脂(B)の含有成分及び特性として説明した範囲から選択して適用しうる。これにより、B’層において、B層と同様の利点を得ることができる。
樹脂(B’)は、樹脂(B)と異なる樹脂を用いてもよく、樹脂(B)と同じ樹脂を用いてもよい。中でも、樹脂(B)の光弾性係数と樹脂(B’)の光弾性係数とを同じにすることで、B層の面内レターデーションReB及びB’層の面内レターデーションReB’の測定を容易に行えるので、樹脂(B)及び樹脂(B’)として同じ樹脂を用いることが好ましい。また、樹脂(B)及び樹脂(B’)として同じ樹脂を用いることにより、複層フィルムのカールを効果的に抑制することができる。
B’層は、延伸されることにより、レターデーションが発現していることが好ましい。B’層のレターデーションの範囲は、B’層をA層から剥離して独立した剥離フィルムとして取り扱う場合の当該剥離フィルムの用途に応じて適切に設定しうる。具体的には、B’層の面内レターデーションReB’は、B層の面内レターデーションReBの範囲と同様の範囲から選択しうる。
B’層の全光線透過率、ヘイズ及び揮発性成分の量に制限は無く、B層の全光線透過率、ヘイズ及び揮発性成分の量の範囲と同様の範囲から選択しうる。これにより、B’層において、B層と同様の利点を得ることができる。
本発明の複層フィルムは、前述のように、当該複層フィルムに含まれる各層の厚みが薄くても、各層の破損を抑制できる。したがって、本発明の複層フィルムによれば、B’層の厚みtb’を薄くすることが可能である。具体的には、B’層の厚みtb’は、通常15μm以下であり、巻径を小さくして長尺を巻けるという観点から、好ましくは14μm以下、より好ましくは13μm以下である。また、B’層の厚みtb’の下限は、通常4μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは6μm以上である。B’層の厚みtb’を前記下限値以上にすることにより、B’層をA層から剥離する際にB’層の破損を抑制できる。
〔1.4.任意の層〕
本発明の複層フィルムは、A層、B層及びB’層に加えて、更に任意の層を含みうる。例えば、A層とは反対側のB層の面、及び、A層とは反対側のB’層の面に、任意の層を設けてもよい。ただし、複層フィルムからA層、B層及びB’層を剥離して得られる剥離フィルムの厚みを薄くする観点から、複層フィルムはA層、B層及びB’層の3層のみを備えることが好ましい。
〔1.5.複層フィルムの製造方法〕
本発明の複層フィルムの製造方法に制限は無い。複層フィルムは、例えば、共押出法、共流延法などの成形方法を含む製造方法により製造しうる。成形方法の中でも、共押出法は、製造効率に優れ、複層フィルム中に揮発性成分を残留させ難いので、好ましい。
共押出法は、熱可塑性樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(B’)を共押し出しする押出工程を含む。押出工程において熱可塑性樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(B’)は、それぞれ溶融状態で層状に押し出される。この際、樹脂の押出方法としては、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられる。中でも、共押出Tダイ法が好ましい。共押出Tダイ法には、フィードブロック方式及びマルチマニホールド方式があり、厚みのばらつきを少なくできる点で、マルチマニホールド方式が特に好ましい。
押出工程において、押し出される熱可塑性樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(B’)の溶融温度は、好ましくはTg+80℃以上、より好ましくはTg+100℃以上であり、好ましくはTg+180℃以下、より好ましくはTg+150℃以下である。ここで「Tg」は、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度TgA、樹脂(B)のガラス転移温度TgB及び樹脂(B’)のガラス転移温度TgB’のうち、最も高い温度を表す。押し出される樹脂の溶融温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、熱可塑性樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(B’)の流動性を十分に高めて成型性を良好にでき、また、上限値以下にすることにより、熱可塑性樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(B’)の劣化を抑制できる。
共押出法では、通常、ダイのリップから押し出されたフィルム状の溶融樹脂を冷却ロールに密着させて冷却し、硬化させる。この際、溶融樹脂を冷却ロールに密着させる方法としては、例えば、エアナイフ方式、バキュームボックス方式、静電密着方式などが挙げられる。
冷却ロールの数は、特に制限されず、通常は2本以上である。冷却ロールの配置方法としては、例えば、直線型、Z型、L型などが挙げられる。この際、ダイのリップから押出された溶融樹脂の冷却ロールへの通し方に特に制限されない。
押出工程で熱可塑性樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(B’)をそれぞれ層状に成形することにより、熱可塑性樹脂(A)の層、樹脂(B)の層及び樹脂(B’)の層を備えた長尺の原反フィルムが得られる。複層フィルムの製造方法では、前記の原反フィルムとして、本発明の複層フィルムを製造してもよい。また、複層フィルムの製造方法では、前記の原反フィルムを延伸前フィルムとして用い、この延伸前フィルムを延伸する延伸工程を行うことで、延伸フィルムとして複層フィルムを製造してもよい。
延伸方法としては、例えば、ロール間の周速の差を利用して長手方向に一軸延伸する方法(縦一軸延伸法);テンターを用いて幅方向に一軸延伸する方法(横一軸延伸法);縦一軸延伸と横一軸延伸とを順に行う方法(逐次二軸延伸法);縦延伸と横延伸を同時に行う方法(同時二軸延伸法);延伸前フィルムの斜め方向に延伸する方法(斜め延伸法);等が挙げられる。ここで「斜め方向」とは、フィルムの長手方向に平行でもなく垂直でもない方向を意味する。
延伸工程における延伸温度Tsは、好ましくはTgA+26℃より高く、より好ましくはTgA+30℃より高く、特に好ましくはTgA+35℃より高い。延伸温度Tsをこのような温度に設定することにより、A層でのレターデーションの発現を抑制しながら、B層及びB’層で所望のレターデーションを安定して発現させることができる。また、延伸温度Tsは、好ましくはTgB+30℃未満、より好ましくはTgB+27℃未満、特に好ましくはTgB+25℃未満であり、且つ、好ましくはTgB’+30℃未満、より好ましくはTgB’+27℃未満、特に好ましくはTgB’+25℃未満である。延伸温度をこのような温度に設定することにより、延伸装置への延伸フィルムの貼り付きを抑制できるので、延伸フィルムの破損を効果的に抑制できる。
延伸フィルムの延伸倍率は、好ましくは1.05倍以上、より好ましくは1.1倍以上、特に好ましくは1.15倍以上であり、好ましくは10倍以下、より好ましくは7倍以下、特に好ましくは5倍以下である。ここで、延伸処理を2回以上の工程で行う場合には、各工程における延伸倍率の積が、前記の範囲に収まることが好ましい。延伸倍率を前記範囲に収めることにより、B層及びB’層に所望のレターデーションを発現させることができる。
前記のように延伸前フィルムを延伸することにより、所望の厚みのA層、B層及びB’層を備える複層フィルムを延伸フィルムとして製造しうる。この際、上述した延伸温度Tsで延伸して製造された延伸フィルムでは、A層には、通常、レターデーションが発現せず、B層には、レターデーションが安定して発現する。したがって、例えば樹脂(B)及び樹脂(B’)として同じ樹脂を用いた場合のように、樹脂(B)の光弾性係数と樹脂(B’)の光弾性係数とが同じである場合、前記の延伸フィルムのB層の面内レターデーションReB及びB’層の面内レターデーションReB’は、延伸フィルム全体の面内レターデーションReO、B層の厚みtb及びB’層の厚みTb’から、容易に測定しうる。
前記のB層及びB’層の面内レターデーション測定方法は、下記の通りに行いうる。
A層の面内レターデーションReAが実質的にゼロである場合、複層フィルム全体の面内レターデーションReOは、B層の面内レターデーションReBと、B’層の面内レターデーションReB’との和になる。また、B層の面内レターデーションReB及びB’層の面内レターデーションReB’は、それぞれ、B層の厚みtb及びB’層の厚みtb’に比例する。したがって、B層の厚みtb及びB’層の厚みtb’が判明している場合、複層フィルム全体の面内レターデーションReOを測定することにより、B層の面内レターデーションReB及びB’層の面内レターデーションReB’は、下記式のように求められる。
ReB=ReO×{tb/(tb+tb’)}
ReB’=ReO×{tb’/(tb+tb’)}
このような測定方法では、B層及びB’層をA層から剥離しなくても、B層の面内レターデーションReB及びB’層の面内レターデーションReB’の測定が可能である。
本発明の複層フィルムの製造方法は、前述した押出工程及び延伸工程に加えて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
例えば、複層フィルムの製造方法は、複層フィルムの表面に表面処理を施す工程を含んでいてもよい。表面処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、アルカリ処理、コーティング処理等が挙げられる。
[2.複層フィルムからの層の剥離]
本発明の複層フィルムは、上述したように、厚みが薄いA層、B層及びB’層を備える。また、A層とB層との接着性が低いので、A層とB層とは容易に剥離しうる。さらに、A層とB’層との接着性が低いので、A層とB’層とは容易に剥離しうる。したがって、本発明の複層フィルムからA層、B層及びB’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を剥離する工程を行うことにより、A層、B層及びB’層は、独立した厚みの薄い剥離フィルムとして取り出せる。このようにして取り出された剥離フィルムは、従来の製造方法では実現困難であった薄い厚みを有しうる。
複層フィルムからの各層の剥離方法は、特には限定されない。例えば、複層フィルムを巻き取ってロールにし、このロールの後に設けた巻取機を用いて所望の層を剥離する方法が挙げられる。この方法では、前記のロールを回転させて複層フィルムを巻き出す際に、前記ロールの回転方向と逆に巻取機を回転させて、複層フィルムを巻き出しながら所望の層を巻き取ることで、前記層を剥離しうる。
複層フィルムから取り出された前記の剥離フィルムは、その薄い厚みを利用して、任意の用途に適用しうる。中でも、剥離フィルムは、光学フィルムとして用いることが好ましく、例えば、偏光板用の保護フィルム;液晶表示装置用の位相差フィルム及び光学補償フィルム;等として用いることが好ましい。
[3.偏光板]
偏光板は、通常、偏光膜と、当該偏光膜の少なくとも片側に設けられた保護フィルムとを備える。本発明の複層フィルムからの剥離により独立した剥離フィルムとして得られるA層、B層又はB’層は、前記の偏光板用の保護フィルムとして用いてもよい。このような偏光板は、通常、偏光膜と、前記複層フィルムから剥離して得られたA層、B層及びB’層からなる群より選ばれる少なくとも1層としての剥離フィルムとを備える。
前記のような偏光板は、例えば、本発明の複層フィルムからA層、B層及びB’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を剥離する工程と;前記複層フィルムから剥離して得られたA層、B層及びB’層からなる群より選ばれる少なくとも1層としての剥離フィルムと偏光膜とを貼り合わせて、偏光板を得る工程と;を含む製造方法により、製造しうる。
偏光膜としては、直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過し、他方を吸収又は反射しうるフィルムを用いうる。偏光膜の具体例を挙げると、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系重合体のフィルムに、ヨウ素、二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適切な処理を適切な順序及び方式で施したものが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールを含む偏光膜が好ましい。また、偏光膜の厚さは、通常、5μm〜80μmである。
本発明の複層フィルムからの剥離により得られる剥離フィルムは、偏光膜の片面に設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。また、剥離フィルムと偏光膜との貼り合わせに際しては、必要に応じて接着剤を用いてもよい。
偏光板は、上述した偏光膜及び剥離フィルムに組み合わせて、更に任意の層を備えていてもよい。例えば、偏光板は、本発明の複層フィルムからの剥離により得られた剥離フィルム以外の任意のフィルム層を、偏光膜の保護のために備えていてもよい。
[4.液晶表示装置]
本発明の複層フィルムからの剥離により独立した剥離フィルムとして得られるA層、B層又はB’層は、液晶表示装置に設けてもよい。このような液晶表示装置は、前記複層フィルムから剥離して得られたA層、B層及びB’層からなる群より選ばれる少なくとも1層としての剥離フィルムを、任意の位置に備えうる。
液晶表示装置は、通常、光入射側偏光膜、液晶セル及び光出射側偏光膜をこの順で備える液晶パネルを備える。剥離フィルムは、例えば、この液晶パネルに設けうる。具体例を挙げると、剥離フィルムは、液晶セルと光入射側偏光板との間、液晶セルと光出射側偏光板との間、などに設けうる。このような液晶表示装置は、例えば、本発明の複層フィルムから、A層、B層及びB’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を剥離する工程と;前記複層フィルムから剥離して得られたA層、B層及びB’層からなる群より選ばれる少なくとも1層としての剥離フィルムを液晶パネルに設ける工程と;を含む製造方法により、製造しうる。
液晶セルの駆動方式としては、例えば、インプレーンスイッチング(IPS)モード、バーチカルアラインメント(VA)モード、マルチドメインバーチカルアラインメント(MVA)モード、コンティニュアスピンホイールアラインメント(CPA)モード、ハイブリッドアラインメントネマチック(HAN)モード、ツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モード、オプチカルコンペンセイテッドベンド(OCB)モードなどが挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[評価方法]
(樹脂のガラス転移温度の測定方法)
サンプルとなる樹脂ペレットを用意し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製「DSC6220」)を用いて、その樹脂ペレットのガラス転移温度を測定した。条件は、サンプル重量10mg、昇温速度20℃/分とした。
(各層の厚みの測定方法)
複層フィルムをエポキシ樹脂に包埋して試験片を用意し、この試験片をミクロトーム(大和光機社製「RV−240」)を用いてスライスした。スライスした試験片の切断面を、偏光顕微鏡(オリンパス社製「BX51」)で観察し、複層フィルムに含まれる各層の厚みを測定した。
(各層のレターデーションの測定方法)
延伸フィルムから各層を剥離した。剥離後の各層それぞれ面内レターデーションReを、自動複屈折計(王子計測機器社製「KOBRA−21ADH」)を用いて、測定波長590nmで測定した。
(各層の剥離性の評価方法)
複層フィルムを100mm×100mmに裁断し、B層の角部及びB’層の角部にそれぞれセロハンテープ(ニチバン製「CT24」)を貼り付けた。前記のセロハンテープを互いに反対方向に引っ張ることでB層及びB’層をゆっくり垂直に剥がし、各層を分離させて、剥離フィルムを得た。この際、A層、B層及びB’層のいずれにも破断なく各層を分離できた場合は、剥離性が良好であると判定した。また、A層、B層及びB’層のうちいずれかに破断が生じた場合は、剥離性が不良と判定した。
(延伸クリップからの離型性の評価方法)
延伸後、延伸クリップを開いて延伸フィルムを延伸クリップから外す様子を目視で観察し、延伸クリップに延伸フィルムが貼り付いたかを調べた。延伸クリップを開く際、複層フィルムが延伸クリップに貼り付かず、延伸フィルムの各層が密着した状態を維持していた場合は、離型性が良好と判定した。また、延伸クリップを開く際、延伸フィルムが延伸クリップに貼り付くことで延伸フィルムが厚み方向に引っ張られ、層の剥離又は層の破断を生じた場合は、離型性が不良と判定した。
[実施例1]
3種3層の共押出成形用のフィルム成形装置(3種類の樹脂により3層からなる複層フィルムを製造しうるタイプのもの)を準備した。
熱可塑性樹脂(A)として、アクリル重合体及びゴム粒子を含むアクリル樹脂(ガラス転移温度108℃;住友化学社製「スミペックス」)のペレットを、ダブルフライト型のスクリューを備えた一軸押出機に投入して、溶融させた。
樹脂(B)として、シクロオレフィン重合体を含む樹脂(ガラス転移温度136℃;日本ゼオン社製「ZEONOR1420R」)のペレットを、ダブルフライト型のスクリューを備えた一軸押出機に投入して、溶融させた。
樹脂(B’)として、シクロオレフィン重合体を含む樹脂(ガラス転移温度136℃;日本ゼオン社製「ZEONOR1420R」)のペレットを、ダブルフライト型のスクリューを備えた一軸押出機に投入して、溶融させた。
溶融された樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(B’)をそれぞれリーフディスク形状のポリマーフィルターを通して、マルチマニホールドを有するTダイの各マニホールドに供給した。そして、これらの樹脂(A)、樹脂(B)及び樹脂(B’)を、Tダイから同時にフィルム状に押し出した。このようにフィルム状に押し出しされた溶融樹脂を冷却ロールにキャストし、幅1350mmの3層構造の複層フィルムを得た。この複層フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは28μm、B層の厚みは9μm、B’層の厚みは9μmであった。
製造された複層フィルムについて、上述した方法で評価を行った。各層をセロハンテープで剥離したところ、剥離は容易であった。
[実施例2]
Tダイの開口幅と各樹脂の押出量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、幅1350mmの3層構造の複層フィルムの製造及び評価を行った。
製造された複層フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは22μm、B層の厚みは6μm、B’層の厚みは6μmであった。また、各層をセロハンテープで剥離したところ、剥離は容易であった。
[実施例3]
樹脂(B)として、シクロオレフィン重合体を含む樹脂(ガラス転移温度136℃;日本ゼオン社製「ZEONOR1420R」)の代わりに、シクロオレフィン重合体を含む樹脂(ガラス転移温度160℃;日本ゼオン社製「ZEONOR1600」)を用いた。また、樹脂(B’)として、シクロオレフィン重合体を含む樹脂(ガラス転移温度136℃;日本ゼオン社製「ZEONOR1420R」)の代わりに、シクロオレフィン重合体を含む樹脂(ガラス転移温度160℃;日本ゼオン社製「ZEONOR1600」)を用いた。さらに、Tダイの開口幅と各樹脂の押出量を変更した。上記の事項以外は実施例1と同様にして、幅1350mmの3層構造の複層フィルムの製造及び評価を行った。
製造された複層フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは22μm、B層の厚みは9μm、B’層の厚みは9μmであった。また、各層をセロハンテープで剥離したところ、剥離は容易であった。
[実施例4]
熱可塑性樹脂(A)として、アクリル重合体及びゴム粒子を含むアクリル樹脂(ガラス転移温度108℃;住友化学社製「スミペックス」)の代わりに、アクリル重合体は含むがゴム粒子を含まないアクリル樹脂(ガラス転移温度102℃;旭化成社製「デルペット」)を用いた。また、Tダイの開口幅と各樹脂の押出量を変更した。上記の事項以外は実施例1と同様にして、幅1350mmの3層構造の複層フィルムの製造及び評価を行った。
製造された複層フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは38μm、B層の厚みは9μm、B’層の厚みは9μmであった。また、各層をセロハンテープで剥離したところ、剥離は容易であった。
[実施例5]
熱可塑性樹脂(A)として、アクリル重合体及びゴム粒子を含むアクリル樹脂(ガラス転移温度108℃;住友化学社製「スミペックス」)の代わりに、スチレン−メチルメタクリレート共重合体を含む樹脂(ガラス転移温度100℃;電気化学社製)を用いた。また、Tダイの開口幅と各樹脂の押出量を変更した。上記の事項以外は実施例1と同様にして、幅1350mmの3層構造の複層フィルムの製造及び評価を行った。
製造された複層フィルムは、樹脂(B)からなるA層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなる複層からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは38μm、B層の厚みは9μm、B’層の厚みは9μmであった。また、各層をセロハンテープで剥離したところ、剥離は容易であった。
[実施例6]
Tダイの開口幅と各樹脂の押出量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、幅1350mmの3層構造の延伸前フィルムを製造した。この延伸前フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは32μm、B層の厚みは46μm、B’層の厚みは46μmであった。
前記で製造した延伸前フィルムを、延伸前フィルムの幅方向の両端部を把持しうる延伸クリップを備えた横延伸機に供給し、延伸温度150℃、延伸倍率4.6倍にて延伸クリップで引っ張ることにより幅方向に延伸して、複層フィルムとしての延伸フィルムを得た。この延伸フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備えて、A層の厚みは7μm、B層の厚みは10μm、B’層の厚みは10μmであった。
製造された延伸フィルムについて、上述した方法で評価を行った。延伸フィルムの各層をセロハンテープで剥離したところ、剥離は容易であった。また、延伸クリップへの延伸フィルムの貼り付きは無く、離型性は良好であった。さらに、延伸フィルムのA層の面内レターデーションReは0nm、B層の面内レターデーションReは118nm、B’層の面内レターデーションReは118nmであった。
[実施例7]
Tダイの開口幅と各樹脂の押出量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、幅1350mmの3層構造の延伸前フィルムを製造した。この延伸前フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは28μm、B層の厚みは55μm、B’層の厚みは55μmであった。
前記で製造した延伸前フィルムを、延伸前フィルムの幅方向の両端部を把持しうる延伸クリップを備えた横延伸機に供給し、延伸温度152℃、延伸倍率4.6倍にて延伸クリップで引っ張ることにより幅方向に延伸して、複層フィルムとしての延伸フィルムを得た。この延伸フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは6μm、B層の厚みは12μm、B’層の厚みは12μmであった。
製造された延伸フィルムについて、上述した方法で評価を行った。延伸フィルムの各層をセロハンテープで剥離したところ、剥離は容易であった。また、延伸クリップへの延伸フィルムの貼り付きは無く、離型性は良好であった。さらに、延伸フィルムのA層の面内レターデーションReは0nm、B層の面内レターデーションReは118nm、B’層の面内レターデーションReは118nmであった。
[実施例8]
Tダイの開口幅と各樹脂の押出量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、幅1350mmの3層構造の延伸前フィルムを製造した。この延伸前フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは11μm、B層の厚みは19μm、B’層の厚みは19μmであった。
前記で製造した延伸前フィルムを、延伸前フィルムの幅方向の両端部を把持しうる延伸クリップを備えた斜め延伸機に供給し、延伸温度144℃、延伸倍率1.35倍にて延伸クリップで引っ張ることにより幅方向に対して45°の角度をなす斜め方向に延伸して、複層フィルムとしての延伸フィルムを得た。この延伸フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは8μm、B層の厚みは14μm、B’層の厚みは14μmであった。
製造された延伸フィルムについて、上述した方法で評価を行った。延伸フィルムの各層をセロハンテープで剥離したところ、剥離は容易であった。また、延伸クリップへの延伸フィルムの貼り付きは無く、離型性は良好であった。さらに、延伸フィルムのA層の面内レターデーションReは0.1nm、B層の面内レターデーションReは99nm、B’層の面内レターデーションReは99nmであった。
[比較例1]
Tダイの開口幅と各樹脂の押出量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、幅1350mmの3層構造の複層フィルムの製造及び評価を行った。
製造された複層フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは28μm、B層の厚みは2μm、B’層の厚みは2μmであった。また、各層をセロハンテープで剥離したところ、B層及びB’層が破断し、剥離困難であった。
[比較例2]
Tダイの開口幅と各樹脂の押出量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、幅1350mmの3層構造の複層フィルムの製造及び評価を行った。
製造された複層フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは2μm、B層の厚みは9μm、B’層の厚みは9μmであった。また、各層をセロハンテープで剥離したところ、A層が破断し剥離困難であった。
[比較例3]
Tダイの開口幅と各樹脂の押出量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、幅1350mmの3層構造の延伸前フィルムを製造した。この延伸前フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは9μm、B層の厚みは55μm、B’層の厚みは55μmであった。
前記で製造した延伸前フィルムを、延伸前フィルムの幅方向の両端部を把持しうる延伸クリップを備えた横延伸機に供給し、延伸温度152℃、延伸倍率4.6倍にて延伸クリップで引っ張ることにより幅方向に延伸して、複層フィルムとしての延伸フィルムを得た。この延伸フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは2μm、B層の厚みは12μm、B’層の厚みは12μmであった。また、各層をセロハンテープで剥離した所、A層が破断し剥離困難であった。
[比較例4]
熱可塑性樹脂(A)として、アクリル重合体及びゴム粒子を含むアクリル樹脂(ガラス転移温度108℃;住友化学社製「スミペックス」)の代わりに、シクロオレフィン重合体を含む樹脂(ガラス転移温度136℃;日本ゼオン社製「ZEONOR1420R」)を用いた。また、樹脂(B)として、シクロオレフィン重合体を含む樹脂(ガラス転移温度136℃;日本ゼオン社製「ZEONOR1420R」)の代わりに、アクリル重合体及びゴム粒子を含むアクリル樹脂(ガラス転移温度108℃;住友化学社製「スミペックス」)を用いた。さらに、樹脂(B’)として、シクロオレフィン重合体を含む樹脂(ガラス転移温度136℃;日本ゼオン社製「ZEONOR1420R」)の代わりに、アクリル重合体及びゴム粒子を含むアクリル樹脂(ガラス転移温度108℃;住友化学社製「スミペックス」)を用いた。また、Tダイの開口幅と各樹脂の押出量を変更した。上記の事項以外は実施例1と同様にして、幅1350mmの3層構造の延伸前フィルムを製造した。この延伸前フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは55μm、B層の厚みは46μm、B’層の厚みは46μmであった。
前記で製造した延伸前フィルムを、延伸前フィルムの幅方向の両端部を把持しうる延伸クリップを備えた横延伸機に供給し、延伸温度150℃、延伸倍率4.6倍にて延伸クリップで引っ張ることにより幅方向に延伸して、複層フィルムとしての延伸フィルムを得た。この延伸フィルムは、樹脂(B)からなるB層、熱可塑性樹脂(A)からなるA層、及び、樹脂(B’)からなるB’層をこの順に備え、A層の厚みは12μm、B層の厚みは10μm、B’層の厚みは10μmであった。
製造された延伸フィルムについて、上述した方法で評価を行った。延伸フィルムの各層をセロハンテープで剥離したところ、剥離は容易であった。しかし、延伸クリップから延伸フィルムを外す際、延伸クリップへの延伸フィルムの貼り付きが見られ、離型性は不良であった。また、延伸フィルムのA層の面内レターデーションReは118nm、B層の面内レターデーションReは0nm、B’層の面内レターデーションReは0nmであった。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1及び表2に示す。下記の表において、略称の意味は、以下の通りである。
B/A/B’:B層、A層及びB’層をこの順に備える3層構造。
TgA:樹脂(A)のガラス転移温度。
TgB:樹脂(B)のガラス転移温度。
TgB’:樹脂(B’)のガラス転移温度。
ta:A層の厚み。
tb:B層の厚み。
tb’:B’層の厚み。
ReA:A層の面内レターデーション。
ReB:B層の面内レターデーション。
ReB’:B’層の面内レターデーション。
Figure 2016118698
Figure 2016118698
[検討]
前記の実施例及び比較例から分かるように、本発明の複層フィルムからの剥離によりB層及びB’層を独立した剥離フィルムとして取り出せる。したがって、本発明の複層フィルムを用いることにより、環式構造を有する重合体を含む樹脂(B)又は(B’)からなる、厚みの薄い剥離フィルムを容易に製造できる。また、本発明の複層フィルムからの剥離により、B層及びB’層だけではなく、A層も独立した剥離フィルムとして取り出せる。したがって、本発明の複層フィルムを用いることにより、熱可塑性樹脂(A)からなる、厚みの薄い剥離フィルムを容易に製造できる。さらに、本発明の複層フィルムは、延伸時に延伸装置への貼り付きを抑制できるので、延伸工程でのフィルム破損を抑制できる。

Claims (11)

  1. 脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B)からなるB層と、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B’)からなるB’層と、前記樹脂(B)及び前記樹脂(B’)とは異なる熱可塑性樹脂(A)からなるA層とを、前記B層、前記A層及び前記B’層の順に備え、
    前記樹脂(B)のガラス転移温度TgB、前記樹脂(B’)のガラス転移温度TgB’、前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度TgA、前記B層の厚みtb、前記B’層の厚みtb’、及び、前記A層の厚みtaが、
    15℃≦TgB−TgA≦70℃
    15℃≦TgB’−TgA≦70℃
    4μm≦tb≦15μm
    4μm≦tb’≦15μm
    5μm≦ta≦40μm
    を満たす、複層フィルム。
  2. 前記樹脂(B)に含まれる脂環式構造を有する重合体、及び、前記樹脂(B’)に含まれる脂環式構造を有する重合体が、シクロオレフィン重合体である、請求項1記載の複層フィルム。
  3. 前記熱可塑性樹脂(A)が、アクリル重合体を含む、請求項1又は2記載の複層フィルム。
  4. 前記熱可塑性樹脂(A)が、ゴム粒子を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の複層フィルムから剥離して得られた、前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層と、偏光膜とを備える、偏光板。
  6. 前記偏光膜が、ポリビニルアルコールを含む、請求項5記載の偏光板。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の複層フィルムから、前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を剥離する工程と、
    前記複層フィルムから剥離して得られた前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層と偏光膜とを貼り合わせて偏光板を得る工程とを含む、偏光板の製造方法。
  8. 脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B)からなるB層と、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂(B’)からなるB’層と、前記樹脂B及び前記樹脂B’とは異なる熱可塑性樹脂(A)からなるA層とを、前記B層、前記A層及び前記B’層の順に備える複層フィルムの製造方法であって、
    前記熱可塑性樹脂(A)、前記樹脂(B)及び前記樹脂(B’)を共押し出しする工程を含み、
    前記樹脂(B)のガラス転移温度TgB、前記樹脂(B’)のガラス転移温度TgB’、前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度TgA、前記B層の厚みtb、前記B’層の厚みtb’、及び、前記A層の厚みtaが、
    15℃≦TgB−TgA≦70℃
    15℃≦TgB’−TgA≦70℃
    4μm≦tb≦15μm
    4μm≦tb’≦15μm
    5μm≦ta≦40μm
    を満たす、複層フィルムの製造方法。
  9. 前記熱可塑性樹脂(A)、前記樹脂(B)及び前記樹脂(B’)を共押し出しする工程で得られた延伸前フィルムを、
    TgA+26℃<Ts
    Ts<TgB+30℃
    Ts<TgB’+30℃
    を満たす延伸温度Tsで延伸する工程を含む、請求項8記載の複層フィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の複層フィルムから剥離して得られた、前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を備える、液晶表示装置。
  11. 液晶パネルを備える液晶表示装置の製造方法であって、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の複層フィルムから、前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を剥離する工程と、
    前記複層フィルムから剥離して得られた前記A層、前記B層及び前記B’層からなる群より選ばれる少なくとも1層を液晶パネルに設ける工程と、を含む、液晶表示装置の製造方法。
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