JP2014182283A - 複層フィルム及びその製造方法、位相差フィルム積層体の製造方法、位相差フィルム、偏光板並びにips液晶パネル - Google Patents

複層フィルム及びその製造方法、位相差フィルム積層体の製造方法、位相差フィルム、偏光板並びにips液晶パネル Download PDF

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Abstract

【課題】界面の乱れによる塗布ムラや不具合をを発生させずに製造することができ、位相差フィルムとして機能する層の膜厚ムラが少なく、且つ延伸する際の不具合が少ない複層フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】長尺の透明支持体、及び前記支持体上に設けられた機能層を備える複層フィルムであって、前記機能層が、非液晶性材料と1種類又は2種類以上の溶剤とを含む溶液の塗膜から前記溶剤を乾燥により除去してなる層であり、前記溶剤が前記支持体に対して貧溶媒であり、且つ前記非液晶性材料に対して良溶媒であり、前記溶剤の溶解性パラメータδが8.5〜10.5(cal/cm3)1/2であり且つ前記溶剤の沸点Bpが100〜150℃であるか、又は前記溶液が2種類以上の前記溶剤を含みそれらの溶解性パラメーターの差Δδが0.5〜1.3(cal/cm3)1/2であり且つそれらの沸点の差ΔBpが55℃以下である、複層フィルム;並びにその製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学的な機能を有する層を含む複層フィルム及びその製造方法、位相差フィルム積層体の製造方法、位相差フィルム、偏光板並びにIPS液晶パネルに関する。
液晶パネルを供えた液晶表示装置では、通常、正面方向から画面を見るときは、十分なコントラストが得られる。しかし、正面方向に対して平行でない斜め方向から画面見ると、入射側偏光子の透過軸と出射側偏光子の透過軸とが見かけ上所定の角度で交わらない状態となるために、直線偏光が完全に遮断されずに光洩れが発生することがある。光漏れが発生すると、十分な黒が得られず、コントラストが低下する。そこで、液晶表示装置においては、画面のコントラストの低下を防止するために、光学補償フィルムを設けることが試みられている。
光学補償フィルムとしては、通常、位相差フィルムを用いる。位相差フィルムの製造方法の一例として、高分子化合物を含む溶液を支持体上に塗布し、延伸する技術が知られている(例えば、特許文献1)。また、そのような技術において、塗膜からの残留溶媒量を特定の範囲とする技術も知られている(特許文献2及び3)。さらに、液晶性化合物を用いた光学補償フィルムの製造において、溶剤として複数の物質を含み、さらにそれらの沸点の関係を所定のものとする技術も知られている(特許文献4)。
特表2007−500866号公報 特開2010−224556号公報 特開2002−311245号公報 特開2010−128270号公報
高分子化合物を含む溶液を支持体上に塗布し、延伸することにより位相差フィルムを製造する際には、塗布の工程における界面の乱れによる塗布ムラが発生し易く、それによりフィルムの膜厚ムラが発生し易い。また、界面の乱れにより、フィルムに泡筋、皺等の不具合が発生し易い。また、延伸の工程において、塗膜が延伸機の把持子に付着したり、フィルムの把持子で把持した部分にカールが発生したりするという不具合が発生し、それにより円滑な製造が妨げられたり、位相差フィルムの光学的性能に不具合が発生したりすることがある。このような現象は、薄い位相差フィルムを製造しようとする場合に特に顕著であり、特に、光学特性の異なる複数枚の位相差フィルムを組み合わせた光学補償フィルムを必要とするIPS(インプレーンスイッチング)型の液晶表示装置を薄型なものとする上で問題となっている。
従って、本発明の目的は、界面の乱れによる塗布ムラや不具合を発生させずに製造することができ、位相差フィルムとして機能する層の膜厚ムラが少なく、且つ延伸する際の不具合が少ない複層フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた位相差フィルム積層体の製造方法、位相差フィルム、偏光板並びにIPS液晶パネルを提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するべく検討した結果、位相差フィルムとして機能する層を構成する溶液の溶剤を所定のものとすることにより、上記課題を解決しうることを見出した。本発明者らはさらに、当該溶液を用いた複層フィルムの製造において、乾燥条件などの製造条件を所定のものとすることにより、良好な製造を行いうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明によれば、以下のものが提供される。
前述クレーム内容に変更
〔1〕 長尺の透明支持体、及び前記支持体上に設けられた機能層を備える複層フィルムであって、
前記機能層が、非液晶性材料と1種類又は2種類以上の溶剤とを含む溶液の塗膜から前記溶剤を乾燥により除去してなる層であり、
前記溶剤が前記支持体に対して貧溶媒であり、且つ前記非液晶性材料に対して良溶媒であり、
前記溶液が1種類のみの前記溶剤を含み前記溶剤の溶解性パラメータδが8.5〜10.5(cal/cm31/2であり且つ前記溶剤の沸点Bpが100〜150℃であるか、又は前記溶液が2種類以上の前記溶剤を含みそれらの溶解性パラメーターの差Δδが0.5〜1.3(cal/cm31/2であり且つそれらの沸点の差ΔBpが55℃以下である、
複層フィルム。
〔2〕 前記支持体が、正の固有複屈折性を有する樹脂からなり、
前記非液晶性材料が正の固有複屈折性を有する樹脂であり、
前記溶剤のうち1種類以上がケトンまたはエーテルである、〔1〕に記載の複層フィルム。
〔3〕 前記機能層中の残留溶剤量が0.05〜7重量%である、〔1〕又は〔2〕に記載の複層フィルム。
〔4〕 前記非液晶性材料がポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の複層フィルム。
〔5〕 長尺の透明支持体、及び前記支持体上に設けられた機能層を備える複層フィルムの製造方法であって、
非液晶性材料と1種類又は2種類以上の溶剤とを含む溶液を、前記支持体上に塗工して塗膜を得る工程と、
前記塗膜から前記溶剤を乾燥により除去して前記機能層を得る工程とを含み、
前記溶剤が前記支持体に対して貧溶媒であり、且つ前記非液晶性材料に対して良溶媒であり、
前記溶剤の溶解性パラメータが8.5〜10.5(cal/cm31/2であり且つ前記溶剤の沸点が100〜150℃であるか、又は前記溶液が2種類以上の前記溶剤を含みそれらの溶解性パラメーターの差Δδが0.5〜1.3(cal/cm31/2であり且つそれらの沸点の差ΔBpが55℃以下である、
製造方法。
〔6〕 前記溶剤を除去する工程が、
温度15〜25℃で無風の条件下で前記塗膜を乾燥させる乾燥工程(I)と、
温度TD(II)で風速が0.5〜2.5m/Sの条件下で前記塗膜を乾燥させる乾燥工程であって、前記温度TD(II)は、前記溶液が1種類のみの前記溶剤を含む場合Bp−20℃以下であり、前記溶液が2種類以上の前記溶剤を含む場合Bp−20℃以下である(但しBpは、前記溶液に含まれる溶剤のうち最も沸点の高いものの沸点である)乾燥工程(II)とを含み、
前記機能層の厚みが5〜30μmである、〔5〕に記載の製造方法。
〔7〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の複層フィルムを延伸する工程を含む、位相差フィルム積層体の製造方法であって、
前記延伸する工程が、横延伸での延伸を含み、
前記延伸する工程における延伸温度が、Tg±20℃であり(但し、Tgは、前記支持体を構成する材料のガラス転移温度である)、延伸倍率が1.01〜3倍である製造方法。
〔8〕 〔7〕の製造方法で得られた位相差フィルム積層体の、延伸された機能層を含む位相差フィルムであって、
延伸された機能層が負の二軸性を有する位相差フィルム。
〔9〕 〔8〕に記載の位相差フィルムと偏光子とを備える偏光板。
〔10〕 〔9〕に記載の偏光板とIPS用の液晶セルとを備えるIPS液晶パネル。
本発明によれば、界面の乱れによる塗布ムラや不具合を発生させずに製造することができ、位相差フィルムとして機能する層の膜厚ムラが少なく、且つ延伸する際の不具合が少ない複層フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた位相差フィルム積層体の製造方法、位相差フィルム、偏光板並びにIPS液晶パネルを提供しうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る複層フィルムを、その主面に対して垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。 図2は、支持体上に機能層を形成して複層フィルムを製造し、さらにそれを延伸して位相差フィルム積層体を製造する製造装置の一例を模式的に示す概略図である。 図3は、複合位相差フィルムの製造に用いる位相差フィルム積層体(B)の一例を、その主面に対して垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。 図4は、複合位相差フィルムの一例を、その主面に対して垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。 図5は、位相差フィルム積層体(B)を製造する製造装置の一例を模式的に示す概略図である。 図6は、複合位相差フィルムの製造方法に用いる製造装置の一例を模式的に示す概略図である。 図7は、図4に示した複合位相差フィルム400と偏光子とを用いて得た本発明の偏光板の一例を、その主面に対して垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。 図8は、図7に示した偏光板700とIPS用の液晶セルとを用いて得た本発明の液晶パネルの一例を、その主面に対して垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
以下の説明において、「長尺」とは、幅に対して、少なくとも5倍以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。
また、「基材」及び「偏光板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
以下の説明において、フィルムの面内方向のレターデーションは、別に断らない限り、(nx−ny)×dで表される値である。また、フィルムの厚み方向のレターデーションは、別に断らない限り、{(nx+ny)/2−nz}×dで表される値である。ここで、nxは、フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。nzは厚み方向の屈折率を表す。dは、フィルムの厚みを表す。これらのレターデーションは、市販の位相差測定装置(例えば、王子計測機器社製、「KOBRA−21ADH」、フォトニックラティス社製、「WPA−micro」)あるいはセナルモン法を用いて測定しうる。
以下の説明において、(メタ)アクリルといった表現は、アクリル、メタクリル又はこれらの組み合わせを意味する。例えば、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの組み合わせを意味する。また、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はこれらの組み合わせを意味する。
以下の説明において、「紫外線」とは、波長が1nm以上400nm以下の光のことを意味する。
以下の説明において、要素の方向が「平行」、「垂直」及び「直交」とは、特に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±5°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。さらに、ある方向に「沿って」とは、ある方向に「平行に」との意味である。
以下の説明において、MD方向(machine direction)は、製造ラインにおけるフィルムの流れ方向であり、通常は長尺のフィルムの長尺方向及び縦方向と平行である。さらに、TD方向(traverse direction)は、フィルム面に平行な方向であって、MD方向に垂直な方向であり、通常は長尺のフィルムの幅方向及び横方向と平行である。
以下の説明において、固有複屈折が正であるとは、延伸方向の屈折率が延伸方向に直交する方向の屈折率よりも大きくなることを意味し、固有複屈折が負であるとは、延伸方向の屈折率が延伸方向に直交する方向の屈折率よりも小さくなることを意味する。固有複屈折の値は誘電率分布から計算することもできる。
以下に説明する重合体においては、別に断らない限り、その重合体が含む構造単位の割合は、通常、その重合体の製造反応において用いた全単量体量に対する、前記構造単位に対応する単量体の比率(仕込み比)に一致する。
[1.複層フィルム]
図1は、本発明の一実施形態に係る複層フィルムを、その主面に対して垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。図1に示す通り、複層フィルム10は、長尺で透明な支持体11と、支持体11の上側の面11U上に設けられた機能層12とを備える。
[1.1.支持体]
支持体としては、通常は樹脂フィルムを用いる。支持体を形成する樹脂の種類は特に限定されるものでは無いが、支持体は透明であるので、樹脂は通常透明の樹脂である。ここで透明とは、光学部材に用いるのに適した程度の光線透過率を有する意味であり、例えば厚み1mmの試験片を用いて測定した全光線透過率が、通常70%以上、好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることをいう。また、全光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計「V−570」)を用いて測定しうる。
支持体を形成する材料となる樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ノルボルネン系樹脂等の脂環式構造を有する重合体樹脂;ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリケトンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、イソブテン/N−メチルマレイミド共重合体樹脂、スチレン/アクリルニトリル共重合体樹脂などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせてもよい。例えば、イソブテン/N−メチルマレイミド共重合体樹脂とスチレン/アクリルニトリル共重合体樹脂とは、組み合わせて混合物として用いることが好ましい。
これらの中でも、脂環式構造を有する重合体樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、及びポリエーテルスルホン樹脂からなる群より選択される樹脂が好ましい。これらの樹脂は機械的強度に優れ、また、延伸により発現するレターデーションを小さくできる。特に、溶剤及び非液晶性材料との関係を、本発明における所望の関係とすることが容易である観点から、脂環式構造を有する重合体樹脂が特に好ましい。
脂環式構造を有する重合体樹脂は、脂環式構造を有する重合体を含む樹脂である。また、脂環式構造を有する重合体は、重合体の構造単位として脂環式構造を含む構造単位を有する重合体であり、主鎖に脂環式構造を有する重合体、及び、側鎖に脂環式構造を有する重合体のいずれも用いうる。また、脂環式構造を有する重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下の範囲である。これにより、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式構造を有する重合体中の、脂環式構造を含む構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択しうるものであり、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する重合体中の脂環式構造を含む構造単位の割合がこの範囲にあると、耐熱性の観点から好ましい。
脂環式構造を有する重合体の例としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び、これらの水素化物を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系重合体は、成形性が良好なため、好適である。
ノルボルネン系重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体、又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体、又はそれらの水素化物を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適である。ここで「(共)重合体」とは、重合体及び共重合体のことをいう。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。また、ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類およびその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエンおよびその誘導体;などが挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、例えば、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素原子数2〜20のα−オレフィンおよびこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィンおよびこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、例えば、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環を有する環状オレフィン系モノマーの付加重合体を挙げることができる。
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン系モノマーの付加重合体を環化反応して得られる重合体;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系モノマーの1,2−または1,4−付加重合体;およびこれらの水素化物;などを挙げることができる。
ビニル脂環式炭化水素系重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン等のビニル脂環式炭化水素系モノマーの重合体およびその水素化物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素系モノマーを重合してなる重合体に含まれる芳香環部分を水素化してなる水素化物;ビニル脂環式炭化水素系モノマー、またはビニル芳香族炭化水素系モノマーとこれらビニル芳香族炭化水素系モノマーに対して共重合可能な他のモノマーとのランダム共重合体若しくはブロック共重合体等の共重合体の、芳香環の水素化物;等を挙げることができる。前記のブロック共重合体としては、例えば、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体またはそれ以上のマルチブロック共重合体、並びに傾斜ブロック共重合体等を挙げることもできる。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル重合体を含む樹脂である。また、(メタ)アクリル重合体とは、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸誘導体の重合体を意味する。(メタ)アクリル重合体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸及びメタクリル酸エステルなどの単独重合体及び共重合体が挙げられる。また、(メタ)アクリル重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。(メタ)アクリル樹脂は強度が高く硬いため、積層体の強度を高めることができる。
(メタ)アクリル重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルを重合して形成される構造単位を含む重合体が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸と炭素原子数1〜15のアルカノール又はシクロアルカノールから誘導される構造を有するものが好ましく、炭素原子数1〜8のアルカノールから誘導される構造を有するものがより好ましい。
アクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−デシル、アクリル酸n−ドデシルなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、メタクリル酸エステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸n−ドデシルなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
さらに、前記の(メタ)アクリル酸エステルは、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、例えば水酸基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。そのような置換基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジルなどが挙げられる。また、これらの置換基は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸誘導体のみの重合体であってもよく、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸誘導体とこれに共重合可能な任意の単量体との共重合体でもよい。任意の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル以外のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、並びに、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸単量体、アルケニル芳香族単量体、共役ジエン単量体、非共役ジエン単量体、カルボン酸不飽和アルコールエステル、およびオレフィン単量体などが挙げられる。また、任意の単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ただし、(メタ)アクリル重合体において、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸誘導体を重合して形成される構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
これらのアクリル重合体のうち、ポリメタクリレートが好ましく、中でもポリメチルメタクリレートがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート重合体を含有する樹脂である。また、ポリカーボネート重合体は、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)により結合された構造単位を有する重合体である。ポリカーボネート重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
中でもポリカーボネート重合体としては、下記式(I)に示す構造単位を含むものが好ましい。下記式(I)に示す構造単位は、例えば、ビスフェノールZを重合して形成されうる。このようなポリカーボネート重合体を含有する樹脂としては、例えば、SABIC社製のレキサン等が挙げられる。
Figure 2014182283
式(I)において、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を示す。また、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換されていてもよく、無置換でもよい。さらに、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基の炭素原子数は、通常1〜10である。
式(I)において、Rは、水素原子、または、アルキル基若しくはアリール基を示す。ここで、アルキル基及びアリール基の炭素原子数は、通常1〜9である。
式(I)において、Zは、それが結合している炭素原子と一緒になって、炭素原子数4〜11の飽和若しくは不飽和の炭素環を形成する残基である。中でも、Zとしては、炭素原子数が6の飽和炭素環であることが好ましい。
上述したものの中でも、R(もしくはR)は、炭素原子数1〜10のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。また、R(もしくはR)は、炭素原子数1〜10のアルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。
中でも、式(I)に示す構造単位は、化学式(II)で示す構造単位(ビスフェノールZ単位)であることが特に好ましい。
Figure 2014182283
ポリカーボネート重合体としては、式(I)に示す構造単位に加えて、下記式(III)に示す構造単位を更に含むものが好ましい。下記式(III)に示す構造単位は、例えば、ビスフェノールAを重合して形成されうる。中でも、この式(III)に示す構造単位が、式(IV)又は(V)に示す構造単位であることがより好ましい。
Figure 2014182283
化学式(III)において、R10〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基である。ここで、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換されていてもよく、無置換でもよい。さらに、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の炭素原子数は、通常1〜10である。
Figure 2014182283
Figure 2014182283
式(I)に示す構造単位と式(III)に示す構造単位の組み合わせにおいて、式(I)に示す構造単位1モルに対して、式(III)に示す構造単位の量は、好ましくは0.6モル以上であり、また、好ましくは1.5モル以下である。これにより、支持体として、耐熱性、屈曲性に優れたフィルムを形成することができる。
また、ポリカーボネート重合体は、式(I)又は式(III)に示す構造単位以外の任意の構造単位を含んでいてもよい。ただし、ポリカーボネート重合体において、式(I)又は式(III)に示す構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
(メタ)アクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルとビニル芳香族化合物の共重合体を含む樹脂である。(メタ)アクリル酸エステルとビニル芳香族化合物は、1種類ずつで用いてもよく、2種類以上ずつを任意の比率で組み合わせて共重合したものでもよい。また、前記の共重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂の説明において挙げた例示物と同様のものが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸エステルは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ビニル芳香族化合物としては、例えばエチレン性不飽和結合を有する芳香族単量体が挙げられる。その具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンを挙げることができる。また、ビニル芳香族化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとビニル芳香族化合物との重合比は、共重合体の耐熱性、透明性及び強度の観点から、(メタ)アクリル酸エステル1重量%〜80重量%、ビニル芳香族化合物20重量%〜99重量%としうる。(メタ)アクリル酸エステルの量を1重量%以上にすることにより共重合体の強度、耐熱性及び透明性を充分に高めることができ、80重量%以下とすることにより(メタ)アクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂の成形加工性を良好にできる。
(メタ)アクリル酸エステルとビニル芳香族化合物の共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル及びビニル芳香族化合物以外の任意の単量体を更に重合した共重合体であってもよい。任意の単量体としては、例えば、共役ジエン化合物を挙げることができる。共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、特に好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレンである。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。ただし、この共重合体において、(メタ)アクリル酸エステル又はビニル芳香族化合物を重合して形成される構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
ポリエーテルスルホン樹脂は、ポリエーテルスルホン重合体を含む樹脂である。また、ポリエーテルスルホン重合体は、主鎖が芳香族ビスフェノールとジハロゲノアリールスルホンとの縮合構造で結ばれた重合体である。ポリエーテルスルホン重合体は、例えば、芳香族ビスフェノールとジハロゲノアリールスルホンとを塩基性触媒の存在下に溶液重合法或いは溶融重合法等の重合方法で重縮合させて得ることができる。ポリエーテルスルホン重合体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
芳香族ビスフェノールとしては、例えば、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、ジハロゲノ化合物としては、例えば、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、ビス(4−ブロモフェニル)スルホン、4−クロロ−4’−(p−クロロフェニル)ジフェニルスルホン、4−フルオロ−4’−(p−フルオロフェニル)ジフェニルスルホン、4−ブロモ−4’−(p−ブロモフェニル)ジフェニルスルホン、ビス(4’−クロロビフェニル)スルホン、ビス(4’−フルオロビフェニル)スルホン、ビス(4’−ブロモビフェニル)スルホン、ビス(6−クロロビナフチル)スルホン、ビス(6−フルオロビナフチル)スルホン、ビス(6−ブロモビナフチル)スルホン、ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロ−3−メチルフェニル)スルホン、ビス(4−ブロモ−3−メチルフェニル)スルホン、ビス(3−フェニル−4−クロロフェニル)スルホン、ビス(3−フェニル−4−フルオロフェニル)スルホン、ビス(3−フェニル−4−ブロモフェニル)スルホン、ビス(4−クロロ−3−t−ブチルフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロ−3−t−ブチルフェニル)スルホン、ビス(4−ブロモ−3−t−ブチルフェニル)スルホン等を挙げることができる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ポリエーテルスルホン重合体は、芳香族ビスフェノール及びジハロゲノアリールスルホン以外の単量体を重合して形成される構造を有する任意の構造単位を含んでいてもよい。ただし、この共重合体において、芳香族ビスフェノール及びジハロゲノアリールスルホンを重合して形成される構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
支持体を形成する材料となる樹脂は、上述した重合体以外に任意の成分を含みうる。ただし、支持体を形成する材料となる樹脂における上述した重合体の割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
例えば、支持体が(メタ)アクリル樹脂である場合、その(メタ)アクリル樹脂はゴム粒子を含みうる。ゴム粒子を含むことにより、(メタ)アクリル樹脂の可撓性を高め、積層体の耐衝撃性を向上させることができる。また、必要に応じてゴム粒子によって(メタ)アクリル樹脂の層の表面の表面粗さを粗くして、その表面における接触面積を減少させて、その表面の滑り性を高めることができる。支持体においては、機能層側の表面は表面粗さが小さいことが好ましく、したがって、機能層とは反対側の表面の表面粗さを粗くすることが好ましい。
ゴム粒子を形成するゴムとしては、例えば、アクリル酸エステル重合体ゴム、ブタジエンを主成分とする重合体ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ゴム等が挙げられる。アクリル酸エステル重合体ゴムとしては、例えば、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等を単量体単位の主成分とするものが挙げられる。これらの中でも、ブチルアクリレートを主成分としたアクリル酸エステル重合体ゴム及びブタジエンを主成分とする重合体ゴムが好ましい。
また、ゴム粒子には、1種類のゴムが単独で含まれていてもよく、2種類以上のゴムが含まれていてもよい。また、それらのゴムは、均一に混ぜ合わせられていてもよいが、層状になったものであってもよい。ゴムが層状になったゴム粒子の例としては、ブチルアクリレート等のアルキルアクリレートとスチレンとをグラフト化したゴム弾性成分からなるコアと、ポリメチルメタクリレート及びメチルメタクリレートの一方又は両方とアルキルアクリレートとの共重合体からなる硬質樹脂層(シェル)とが、コア−シェル構造で層を形成している粒子が挙げられる。
ゴム粒子は、数平均粒子径が、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、また、0.3μm以下であることが好ましく、0.25μm以下であることがより好ましい。数平均粒子径を前記範囲内とすることにより、(メタ)アクリル樹脂の層の表面に適度な凹凸を形成して、積層体の滑り性を向上させることができる。
ゴム粒子の量は、(メタ)アクリル重合体100重量部に対して、好ましくは5重量部以上であり、好ましくは50重量部以下である。ゴム粒子の量を前記範囲内とすることにより積層体の耐衝撃性を高めてハンドリング性を向上させることができる。
また、支持体を形成する材料となる樹脂が含みうる任意の成分としては、例えば、配合剤が挙げられる。配合剤の例を挙げると、層状結晶化合物;微粒子;酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;可塑剤:染料及び顔料等の着色剤;帯電防止剤;などが挙げられる。また、配合剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。配合剤の量は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で適切に定めうるものであり、例えば、上述した重合体100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましく、3重量部以下が更に好ましい。
支持体を構成する材料のガラス転移温度Tgは、機能層を構成する非液晶性材料のガラス転移温度に応じて設定することが好ましい。具体的には、支持体の材料のガラス転移温度Tgと、機能層を形成する非液晶性材料のガラス転移温度との差は、好ましくは−15℃以上、より好ましくは−10℃以上、特に好ましくは−5℃以上であり、好ましくは+15℃以下、より好ましくは+10℃以下であり、特に好ましくは+5℃以下である。複層フィルムにおいて各層を形成する材料のガラス転移温度の差を前記の範囲にすることにより、延伸処理時の支持体に対する機能層の追随性を損なうことなく、延伸処理することができる。またこれにより、MD方向及びTD方向の両方において、機能層において均一な延伸処理を施すことができる。
支持体としては、必要に応じて、例えば親水化処理、疎水化処理、支持体の溶解性を低減する処理等の表面処理を施したものを用いうる。
支持体は、1層のみで形成された単層構造を有していてもよく、2層以上の層を含む複層構造を有していてもよい。
本発明の複層フィルムにおける支持体の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下である。支持体の厚みを前記範囲内とすることにより、複層フィルムを延伸して、所望の性質を有する位相差フィルム積層体を容易に得ることができる。
[1.2.機能層]
機能層は、所定の溶液の塗膜から前記溶剤を乾燥により除去してなる層である。機能層は、所定の溶液を支持体上に塗工して塗膜を得、この塗膜から溶剤を乾燥により除去することにより形成しうる。
機能層の形成に用いる溶液は、非液晶性材料と、1種類又は2種類以上の溶剤とを含む。従って、機能層は、非液晶性材料から実質的になる層としうる。
非液晶性材料としては、通常、正の固有複屈折性を有する材料を用いる。正の固有複屈折性を有する材料を用いることにより、偏光板の材料として有用な光学的特性を有する機能層を容易に得ることができる。
非液晶性材料は、液晶性材料とは異なり、支持体の表面に塗工した場合に、支持体の配向性に関係なく、非液晶性材料自身の性質により、透明な無配向層を形成することができる。その後、複層フィルムを延伸することで、任意の延伸方向と同方向に配向した機能層を形成することができる。このため、前記の支持体は、未配向性のものであっても、例えばその表面に配向膜を塗工する工程及び配向膜を積層する工程等を要しない。また、液晶性材料の配向処理に相当する処理を行わなくても、容易に配向した機能層を得ることができる。
[1.2.1.非液晶性材料]
非液晶性材料としては、通常、正の固有複屈折性を有する樹脂を用いる。また、この樹脂としては、通常、透明の樹脂を用いる。このような樹脂のうち好適な例としては、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことから、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリウレタンウレア樹脂などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、2種類以上の樹脂を組み合わせる場合、例えばポリエーテルケトン樹脂とポリアミド樹脂との混合物のように、異なる官能基を有する樹脂を組み合わせて用いてもよい。このような樹脂の中でも、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンウレア樹脂及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂が好ましい。特に、溶剤及び支持体との関係を、本発明における所望の関係とすることが容易である観点から、ポリカーボネート樹脂及びマレイミド樹脂が特に好ましい。具体例としては、例えば特許第3962034号公報、特許3897743号公報、特許3838522号公報、特許3811175号公報に記載のものが挙げられる。
好ましいポリイミド樹脂としては、例えば、面内配向性が高く、有機溶剤に可溶なポリイミドを含む樹脂が好ましい。具体的には、例えば、特表2000−511296号公報に開示された、9,9−ビス(アミノアリール)フルオレンと芳香族テトラカルボン酸二無水物との縮合重合生成物を含み、下記式(VI)に示す構造単位を1つ以上含むポリイミドを含む樹脂が好ましい。
Figure 2014182283
式(VI)において、R1aは、各々独立に、水素原子;ハロゲン原子;フェニル基;1〜4個の、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基で置換された、フェニル基;並びに、炭素原子数1〜10のアルキル基;とからなる群より選択される基を示す。中でもR1aとしては、ハロゲン原子;フェニル基;1〜4個の、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基で置換された、フェニル基;並びに、炭素原子数1〜10のアルキル基;とから選択されるものが好ましい。
式(VI)において、Aは、炭素原子数6〜20の四置換芳香族基を示す。中でもAとしては、下記の(1)〜(3)のいずれかの基が好ましい。
(1)ピロメリット酸の4つのカルボキシル基からそれぞれ水素原子を除いた構造の4価の基。
(2)ナフチレン、フルオレニレン、ベンゾフルオレニレン、アントラセニレン等の多環式芳香族化合物から4つの水素原子を除いた構造の4価の基、およびその置換誘導体。ここで、置換基は、炭素原子数1〜10アルキル基及びそのフッ素化誘導体、並びに、フッ素又は塩素等のハロゲン原子である。
(3)式(VII)で表される基。
Figure 2014182283
式(VII)において、Bは、共有結合、C(R2a基、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(C基、N(R3a基及びこれらの組み合わせを示す。R2aは、各々独立に、水素原子またはC(R4a基を示す。R3aは、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、または、炭素原子数6〜20のアリール基を示す。R4aは、各々独立に、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を示す。また、式(VII)においてmは、1〜10の整数を示す。
好ましいマレイミド樹脂としては、例えば、式(VIII)で示す重合体を含む樹脂が挙げられる。
Figure 2014182283
式(VIII)において、RおよびQは、各々独立に、置換あるいは無置換の脂肪族基、芳香族基、複素環基、シロキサン基又は不飽和炭化水素基を示す。
式(VIII)において、Xは、活性エネルギー線硬化あるいは熱硬化が可能なマレイミド基を示す。
式(VIII)で示す重合体の中でも、下記の式(IX)又は式(X)で示される構造を有する重合体が好ましい。式(IX)及び式(X)において、nは、各々独立に、1以上10以下の整数を示す。
Figure 2014182283
Figure 2014182283
さらに、マレイミド樹脂としては、米国特許出願公開第2008/0075961号公報に記載の化合物を挙げることができる。
これらのマレイミド樹脂は、例えば、エア・ブラウン社より入手することができる。
ポリアミドイミド樹脂及びポリエステル樹脂としては、例えば、特表平10−508048号公報に記載されるポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂があげられる。これらのポリアミドイミド樹脂又はポリエステル樹脂が含むポリアミドイミド又はポリエステルが含む構造単位は、例えば、下記化学式(XI)で示される。
Figure 2014182283
式(XI)において、Yは、−O−又は−NH−を示す。
式(XI)において、Eは、各々独立に、共有結合、炭素原子数2のアルキレン基、ハロゲン化された炭素原子数2のアルキレン基、CH基、C(CX 基(ここで、Xはハロゲン原子又は水素原子である。)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(R基、及び、N(R)基からなる群から選ばれる少なくとも一種類の基を示し、それぞれ同一でもよいし異なってもよい。前記Eにおいて、Rは、炭素原子数1〜3のアルキル基及び炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基の少なくとも一種類であり、カルボニル基又はY基に対してメタ位又はパラ位にある。
式(XI)において、Aは、置換基を示す。前記Aは、例えば、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基、OR(ここで、Rは、前記定義のものである。)で表されるアルコキシ基、アリール基、ハロゲン化等による置換アリール基、炭素原子数1〜9のアルコキシカルボニル基、炭素原子数1〜9のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数1〜12のアリールオキシカルボニル基、炭素原子数1〜12のアリールカルボニルオキシ基及びその置換誘導体、炭素原子数1〜12のアリールカルバモイル基、並びに、炭素原子数1〜12のアリールカルボニルアミノ基及びその置換誘導体が挙げられる。また、Aが複数ある場合、Aはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(XI)において、A’は、置換基を示す。前記A’は、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基、フェニル基及び置換フェニル基が挙げられる。また、A’が複数ある場合、A’はそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。前記置換フェニル基のフェニル環上の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のハロゲン化アルキル基及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
式(XI)において、t及びzは、それぞれA及びA’の置換数を表す。前記tは、0〜4の整数である。前記zは、0〜3の整数である。
式(XI)において、pは、0〜3の整数であり、qは、1〜3の整数であり、rは、0〜3の整数である。
また、ポリエステルとしては、下記式(XII)又は式(XIII)で表される構造単位を含むものでもよい。
Figure 2014182283
前記式(XII)及び式(XIII)において、X及びYは、置換基を示す。Xは、各々独立に、水素原子、塩素原子及び臭素原子からなる群より選択される基を示す。また、Yは、下記式(XIV)又は式(XV)で示される基を示す。
Figure 2014182283
ポリエステルの具体例としては、東洋紡社製「バイロン」、日本合成化学社製「ポリエスター」を好適に用いることができる。
ポリウレタンウレア樹脂としては、例えば、脂肪族環式構造含有ポリオール、脂肪族環式構造含有ポリイソシアネート、脂肪族環式構造含有ポリアミン及び活性水素原子含有基を有するアクリル化合物を反応させることによって得られる重合体を含む樹脂が挙げられる。その具体例としては、特開2011−132548号公報に記載の材料および製法にて合成した重合体を含む樹脂が挙げられる。ポリウレタンウレア樹脂の具体例としては、DIC社製「タイフォース」を好適に用いることができる。
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、支持体を形成する材料の説明において挙げたのと同様の例が挙げられる。その具体例としては、三菱ガス化学社製のユピゼータPCZシリーズ、三菱ガス化学社製の「FPC2136」、出光興産社製の「タフゼット」を挙げることができる。
非液晶性材料として使用しうる樹脂は、上述した重合体以外に任意の成分を含みうる。ただし、非液晶性材料として使用しうる樹脂における上述した重合体の割合は、好ましくは55重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
非液晶性材料のガラス転移温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、特に好ましくは90℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、特に好ましくは140℃以下である。このような範囲にガラス転移温度を有する非液晶性材料で機能層を形成することにより、延伸処理により機能層に安定して所望のレターデーションを発現させることができ、かつ高温、高温高湿下での安定性に優れた層とすることができる。
非液晶性材料は、その溶解性パラメーターδが好ましくは15〜30(cal/cm31/2、より好ましくは17〜26(cal/cm31/2の範囲内である。溶解性パラメーターは、後述するFedorsの式により求めうる。溶解性パラメーターが当該範囲内であることにより、非液晶性材料を含む溶液の塗膜を良好に形成することができ、機能層の厚みムラや延伸時における変形を低減することができる。
[1.2.2.機能層の形状等]
本発明の複層フィルムにおける機能層の厚みは、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。機能層の厚みを前記範囲内とすることにより、複層フィルムを延伸して、所望の性質を有する位相差フィルム積層体を容易に得ることができる。
機能層は、支持体の一方の面の全面に設けられていてもよく、支持体の一方の面の一部に設けられていてもよい。しかしながら、複層フィルムまたはそれを延伸してなる位相差フィルム積層体をロール状にして保管及び運搬する際のロールの巻きの乱れを低減する観点からは、機能層は支持体の面の全面に設けることが好ましい。
[1.3.任意の層]
複層フィルムは、支持体の機能層とは反対側に、任意の層を備えていてもよい。
[1.4.複層フィルムの用途]
本発明の複層フィルムは、延伸することにより、機能層に位相差を付与ことができる。したがって、本発明の複層フィルムは、本発明の位相差フィルム積層体の製造方法の材料として用いうる。
[2.複層フィルムの製造方法]
本発明の複層フィルムは、下記工程S1及びS2を含む製造方法により製造しうる。
(工程S1)非液晶性材料と1種類又は2種類以上の溶剤とを含む溶液を、支持体上に塗工して塗膜を得る工程。
(工程S2)塗膜から溶剤を乾燥により除去して機能層を得る工程。
以下においては、当該方法を本発明の複層フィルムの製造方法として説明する。
[2.1.工程S1:溶剤]
工程S1において用いる溶液中の溶剤は、下記要件C1及びC2を満たすか、又は要件C1及びC3を満たす。
(要件C1)溶剤が支持体に対して貧溶媒であり、且つ非液晶性材料に対して良溶媒である。
(要件C2)溶液が1種類のみの溶剤を含み、溶剤の溶解性パラメータが8.5〜10.5(cal/cm31/2であり、且つ溶剤の沸点が100〜150℃である。
(要件C3)溶液が2種類以上の溶剤を含み、2種類以上の溶剤の溶解性パラメーターの差Δδが0.5〜1.3(cal/cm31/2であり、且つ2種類以上の溶剤の沸点の差ΔBpが55℃以下である。
要件C1において、溶剤が支持体に対して貧溶媒であるか否かは、下記の基準に従って判定する。即ち、25℃で、支持体のサンプル0.01gを10gの溶剤に添加した場合、溶液が濁るまたはサンプルが溶液中に残る場合は、「溶剤が支持体に対して貧溶媒である」と判定する。溶液が濁らず、且つサンプルが溶液中に残らない場合は、「溶剤が支持体に対して貧溶媒ではない」と判定する。
要件C1において、溶剤が非液晶性材料に対して良溶媒であるか否かは、下記の基準に従って判定する。即ち、25℃で、非液晶性材料のサンプル1gを9gの溶剤に添加した場合、溶液が濁らない場合は、「溶剤が非液晶性材料に対して良溶媒である」と判定する。溶液が濁る場合、あるいは非液晶性材料がゲル化したり膨潤する場合は、「溶剤が非液晶性材料に対して良溶媒ではない」と判定する。
溶液が溶剤を2種類以上含む場合は、溶液が実質的に含有する溶剤が要件C1を満たす場合、溶剤全体が要件C1を満たすと判定される。溶液が実質的に含有する溶剤が2種類以上ある場合、当該2種類以上の溶剤のそれぞれが要件C1を満たす場合、溶剤全体が要件C1を満たすと判定される。溶液が実質的に含有する溶剤とは、溶液中の溶剤総量の5重量%以上を占める溶剤をいう。
要件C2及びC3において、溶剤の溶解性パラメーターδは、分子間の凝集エネルギー密度(CED)の平方根で表され、この溶解性パラメーター値が大きいものほど極性が高いことを表す。
溶剤−溶質間に作用する力を分子間力のみと仮定すると、溶解性パラメーターは分子間力を表す尺度として使用されるので、溶解性パラメーターの差が小さいほど溶解度が大となる傾向にある。
本願において、溶剤の溶解度パラメーターは、Fedorsの式により求められた値を採用する。ある成分iの溶解性パラメーターの値δiは一般に下記に示すFedorsの式を用いて算出することができる。
δi=[Ev/V]1/2=[Δei/Δvi]1/2
Ev:蒸発エネルギー
V:モル体積
Δei:i成分の原子または原子団の蒸発エネルギー
Δvi:i成分の原子または原子団のモル体積
原子および原子団の蒸発エネルギーΔeiとモル体積ΔviはFedorsによって提唱されており(R.F.Fedors:Polym.Eng.Sci.,14(2),147−154(1974))、それをもとに上記式にて溶解性パラメーター値を算出することができる。また、一つの分子が複数の成分iを含む場合は、定法に従い、Δei及びΔviそれぞれの合計を求めて当該合計の値に基づいて溶解度パラメーターを計算することができる。
要件C2において、溶液が1種類のみの溶剤を含むとは、溶液が実質的に含有する溶剤が1種類のみである場合をいう。即ち、溶液中の溶剤が実質的に1種類のみである場合において、当該溶剤の溶解性パラメータδが8.5〜10.5(cal/cm31/2であり、且つ溶剤の沸点Bpが100〜150℃である場合、要件C2を満たすと判定される。要件C2において、溶解性パラメーターδは好ましくは8.7〜10.3(cal/cm31/2であり、より好ましくは9.0〜10.0(cal/cm31/2である。また沸点Bpは、好ましくは100〜145(cal/cm31/2であり、より好ましくは100〜135(cal/cm31/2である。
要件C3において、溶液が2種類以上の溶剤を含むとは、溶液が実質的に含有する溶剤が2種類以上ある場合をいう。溶液が実質的に含有する溶剤が3種類以上ある場合は、Δδは、それらの溶剤の溶解性パラメーターσのうち最大のものと最小のものとの差であり、ΔBpは、それらの溶剤の沸点のうち最大のものと最小のものとの差である。要件C3において、溶解性パラメーターの差Δδは好ましくは0.55〜1.28(cal/cm31/2であり、より好ましくは0.60〜1.26(cal/cm31/2である。また沸点の差ΔBpは好ましくは35℃以下であり、より好ましくは25℃以下である。
溶液中の溶剤が、要件C1及びC2を満たすか、又は要件C1及びC3を満たすことにより、複層フィルムの製造において、溶液の塗膜を均質に形成し、白化することなく均質に乾燥することが可能となり、ひいては、機能層の厚みムラ、複層フィルムを延伸する際の変形を低減することができる。
溶液中の溶剤としては、要件C1及びC2又は要件C1及びC3を満たすものを、非液晶性材料及び支持体に適合させ、適宜選択しうる。
かかる選択の選択肢となりうる溶剤の具体例を、下記表1に示す。表1においては、それぞれの溶剤が、本願実施例で用いている非液晶性材料の材料であるポリカーボネート樹脂A(PC樹脂A)、ポリカーボネート樹脂B(PC樹脂B)、及びビスマレイミド樹脂に対して良溶媒であるか否か、並びに、本願実施例で用いている支持体の材料であるノルボルネン系樹脂に対して貧溶媒であるか否かを、併せて記載している。
Figure 2014182283
表1に記載した中でも、ケトン、エステル、エーテル及びこれらの組み合わせからなる群より選択される溶剤が好ましく、具体的には、シクロペンタノン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される溶剤が好ましい。
特に、本発明においては、支持体が、正の固有複屈折性を有する樹脂からなり、非液晶性材料が正の固有複屈折性を有する樹脂であり、且つ溶剤のうち1種類以上がケトンまたはエーテルであることが好ましい。かかる組み合わせを有することにより、塗膜形成時に塗膜が白化することなく面状が安定し、さらに延伸した時に、複層フィルムの優れたレタデーションの発現性が得られる。
[2.2.工程S1:溶液]
溶液における非液晶性材料の濃度は、支持体への塗工性(例えば、異物混入、塗工時のムラやスジの発生の程度)を考慮すると、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、特に好ましくは2重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、特に好ましくは30重量%以下である。濃度を前記範囲の下限値以上にすることにより、溶液の粘度を高くして、溶液を所望の厚みで展開することができる。また、上限値以下にすることにより、溶液の粘度を低くして、溶液の層の面状の悪化を防止できる。具体的には、塗工時の溶液粘度が10〜100(mPa・s)であることが好ましい。溶液粘度は、常用の粘度計(B型、E型など)で測定しうる。
また、溶液は、非液晶性材料及び溶剤に加えて、例えば界面活性剤等の配合剤を含んでいてもよい。
[2.3.工程S1の条件等]
工程S1における溶液の塗工は、例えば、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の方法により行いうる。塗膜の厚みは、乾燥後に得られる機能層の厚み、及び延伸後の機能層の厚みを所望の値とするよう適宜調整しうる。
[2.4.工程S2]
工程S2では、塗膜から溶剤を乾燥により除去して機能層を得る。ここで、溶剤の除去は、塗膜に残留する溶剤の量がなるべく少なくなるよう行われることが好ましい。ただし、必ずしも、全ての溶剤が除去されなくてもよく、得られる機能層中に溶剤が残留していてもよい。具体的には、機能層中の残留溶剤量は、理想的にはゼロであるが、0.05重量%以上の残留溶剤が存在していてもよい。機能層中の残留溶剤量の上限は、好ましくは7重量%以下、より好ましくは6.8重量%以下、さらにより好ましくは6.5重量%以下である。
工程S2における溶剤の除去は、
温度15〜25℃で無風の条件下で塗膜を乾燥させる乾燥工程(I)と、
所定の温度TD(II)で風速が0.5〜2.5m/Sの条件下で塗膜を乾燥させる乾燥工程(II)と
を含むことが好ましい。工程S2が乾燥工程(I)及び(II)を含むことにより、機能層の厚みムラ、泡筋、及び皺の発生を、さらに低減することができる。
乾燥工程(I)は、工程S1により塗膜が形成された後直ちに行うことが好ましい。具体的には例えば、塗膜が形成された後、好ましくは0.5秒以内、より好ましくは1.0秒以内に乾燥工程(I)に入ることが好ましい。
乾燥工程(I)において、「無風」とは、フィルムを搬送する環境下の気流が、0.05m/s以下、好ましくは0.02m/s以下であることをいう。
乾燥工程(II)において、温度TD(II)は、溶液が1種類のみの溶剤を含む場合は、その沸点Bpに基づいて、溶液が2種類以上の溶剤を含む場合は、うち最も沸点の高いものの沸点Bpに基づいて決まる値である。溶液が1種類のみの溶剤を含む場合はTD(II)はBp−20℃以下であり、好ましくはBp−10℃以下である。一方溶液が2種類以上の溶剤を含む場合、TD(II)はBp−20℃以下であり、好ましくはBp−10℃以下である。
乾燥工程(I)及び乾燥工程(II)のそれぞれを行う時間は、好ましくは10秒間〜60分間であり、より好ましくは30秒間〜30分間である。
工程S2においては、乾燥工程(I)(II)に加えて、追加の乾燥工程を行いうる。例えば、乾燥工程(I)、及びその直後の乾燥工程(II)に加えて、さらに追加の乾燥工程を行いうる。
工程S2が、乾燥工程(I)及び乾燥工程(II)を含む場合、当該工程S2を含む製造方法により形成される機能層の厚みは、5〜30μmであることが好ましい。機能層の厚みが当該範囲内であることにより、乾燥工程(I)及び(II)による機能層の品質向上の効果を、より良好に得ることができる。
[3.位相差フィルム積層体の製造方法]
本発明の位相差フィルム積層体の製造方法は、前記本発明の複層フィルムを延伸する工程を含む。
延伸は、長尺の複層フィルムを、縦延伸(フィルムの長手方向への延伸)、横延伸(フィルムの幅方向への延伸)、斜め延伸、又はこれらの組み合わせにより行いうる。より具体的な例としては、ロール間の周速の差を利用してMD方向に一軸延伸する方法(縦一軸延伸);テンター延伸機を用いてTD方向に一軸延伸する方法(横一軸延伸);縦一軸延伸と横一軸延伸とを順に行う方法(逐次二軸延伸);縦一軸延伸と横一軸延伸を同時に行う方法(同時二軸延伸);MD方向に対して斜め方向に延伸する方法(斜め延伸);等を採用できる。ここで「斜め方向」とは、平行でもなく、直交でもない方向を意味する。所望の遅相軸方向を得る観点からは、横延伸での延伸を行うことが好ましい。
横延伸は、テンター延伸機により好ましく行いうる。テンター延伸機は、通常、対をなすレールと、そのレールに沿って移動しうる把持子を備える。レールは、帯状のフィルムのMD方向下流側に向けてTD方向にレール幅がテーパー状に広げられたレール拡幅部を有する。このようなテンター延伸機では、フィルムのTD方向両端部を把持子で把持し、その把持子を前記レールに沿わせて走行させることにより、帯状のフィルムをTD方向に延伸させることができる。
延伸する工程における延伸温度は、機能層に付与する光学的性質、及び延伸の容易さ等の観点から適宜設定しうる。例えば、支持体を構成する材料のガラス転移温度であるTgを基準に設定しうる。具体的には、延伸温度は、Tg±20℃であることが好ましい。かかる延伸温度での延伸を行うことにより、円滑な延伸を行い、機能層に所望の光学的性質を均質に付与することができる。また、かかる延伸温度での延伸を行うことにより、支持体における光学異方性の発現を低減することができ、それにより、延伸された機能層の光学的性質を、支持体を剥離すること無くモニターすることが可能となる。
延伸する工程における延伸倍率は、機能層に付与する光学的性質等の観点から適宜設定しうる。具体的には延伸倍率は、好ましくは1.01〜3倍、より好ましくは1.02〜2.7倍としうる。かかる延伸倍率とすることにより、機能層に所望の光学的性質を均質に付与することができる。
本発明の位相差フィルム積層体の製造方法では、特定の機能層を有する本発明の複層フィルムを延伸するため、延伸時における変形の発生が少ない製造を達成することができる。具体的には、延伸時に、フィルムと把持子との付着が少なく、且つ、フィルムの把持子により把持された部分におけるカールの発生や機能層の剥離といった不具合を低減しうる。
本発明の位相差フィルム積層体の製造方法は、上述した以外の工程を含みうる。
例えば、延伸の後、必要に応じて、緩和工程を行ってもよい。緩和工程では、延伸された支持体を所定時間、所定温度に保持して、支持体を収縮させる。この場合の緩和率は20%以内であるのが好ましく、保持温度は、支持体を形成する材料のガラス転移温度±30℃の範囲であり、保持時間は1秒〜60秒である。
また、例えば、延伸の後、得られた位相差フィルム積層体は、必要に応じて室温まで冷却される。冷却速度及び冷却手段は、特に制限されない。ただし、冷却前に急激に延伸時の張力を解放すると、得られた位相差フィルム積層体にしわが入りやすいため、該張力を解放する前に、冷却工程の一部又は全部を実施することが好ましい。
得られた位相差フィルム積層体は、通常、ロール状に巻き取られ、保存される。このような製造方法で得られた位相差フィルム積層体においては、機能層の厚みのバラつきが小さく、また、機能層のレターデーションが均一である。
[3.1.製造方法の具体例]
本発明の複層フィルムの製造方法、及び本発明の複層フィルムを用いた本発明の位相差フィルム積層体の製造方法の具体例を、図面を参照して説明する。
図2は、支持体上に機能層を形成して複層フィルムを製造し、さらにそれを延伸して位相差フィルム積層体を製造する製造装置の一例を模式的に示す概略図である。図2に示す通り、製造装置200は、繰り出し装置201、塗工ヘッド210、ドライヤー220、延伸装置230、及び巻取り装置202を備える。
操作において、繰り出し装置201から繰り出された支持体11は、必要に応じて親水化処理等の表面処理を施された後、塗工ヘッド210へ搬送される。塗工ヘッド210は、非液晶性材料及び溶剤を含む溶液を、支持体11上に塗布し、塗膜を形成する(工程S1)。
塗膜を設けられた支持体11は、その後直ちにドライヤー220に搬送される。ドライヤー220は、4つのチャンバー220A〜220Dを有する。4つのチャンバー220A〜220Dのそれぞれは、搬送されるフィルムを囲う筐体、並びに加熱装置及び送風装置、排気装置(不図示)を有する。これらにより、4つのチャンバー220A〜220Dのそれぞれにおいて異なる条件による乾燥工程を順次行いうる。具体的には、チャンバー220A及び220Bにおいて、それぞれ、上に述べた乾燥工程(I)及び乾燥工程(II)を行い、さらに、チャンバー220C及び220Dにおいて、それに続く任意の乾燥工程を行いうる。これにより、塗膜から溶剤を乾燥により除去して機能層とし、支持体11及び機能層12を供える複層フィルム10を得ることができる(工程S2)。
複層フィルム10は、続いて、延伸装置230に搬送され、ここで延伸され、位相差フィルム積層体100が製造される。製造された位相差フィルム積層体100は、巻取り装置202により巻き取られ、ロールの形状とし、さらなる工程に供することができる。
[3.2.位相差フィルム積層体]
本発明の位相差フィルム積層体の製造方法により、延伸された支持体及び延伸された機能層を含む位相差フィルム積層体が得られる。本願においては、文脈上明らかな場合は、本発明の複層フィルム中の、延伸される前の支持体及び機能層と、位相差フィルム積層体中の、延伸された後の支持体及び機能層とを、区別せず単に支持体及び機能層と称する場合がある。
位相差フィルム積層体において、支持体の、波長550nmにおける面内方向のレターデーションは、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、特に好ましくは100nm以下である。支持体の面内方向のレターデーションを小さくすることにより、複層フィルムを製造する際に延伸処理をしながら機能層のみのレターデーションをモニターすることが可能となる。特に、支持体は、光学等方性を有することが好ましい。
位相差フィルム積層体において、機能層は、負の二軸性を有することが好ましい。即ち、その屈折率nx、ny及びnzが、nx>ny>nzの関係を満たすことが好ましい。機能層が負の二軸性を有することにより、機能層と、ポジティブバイアキシャルな層(後述)とを組み合わせた位相差フィルムを光学補償フィルムとして用いて、IPS型液晶パネルのコントラストを効果的に改善することが可能となる。
位相差フィルム積層体において、機能層の、波長550nmにおける面内方向のレターデーションは、好ましくは50nm以上、より好ましくは70nm以上であり、好ましくは150nm以下、より好ましくは120nm以下である。機能層の面内方向のレターデーションがこの範囲であると、延伸による製造を容易に行うことができる。
位相差フィルム積層体において、機能層の、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションは、好ましくは40nm以上、より好ましくは60nm以上であり、好ましくは、150nm以下、より好ましくは120nm以下である。機能層の厚み方向のレターデーションがこの範囲であると、複層フィルムの延伸による製造を容易に行うことができる。
ここで、「支持体の波長550nmにおけるレターデーション」を「支持体の厚み」で割った商を「I」とする。また、「機能層の波長550nmにおけるレターデーション」を「機能層の厚み」で割った商を「J」とする。この場合、I<Jであることが好ましく、3I<Jであることがより好ましく、5I<Jであることが更に好ましく、10I<Jであることが特に好ましい。前記の値I及び値Jの関係を満たす材料を選定することで、複層フィルムを製造する際に延伸処理をしながら機能層のみのレターデーションを正確に測定することが可能となる。
機能層の面内における厚みのバラつきは、機能層の平均厚みの、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下である。ここで厚みのバラつきとは、厚みの最大値と最小値との差のことをいう。このように優れた厚み精度を実現することで、MD方向およびTD方向で均一な光学特性を示す積層体及び位相差フィルムを得ることができる。また、このような厚み精度は、例えば、上に述べた塗工及び延伸を組み合わせた製造方法で複層フィルムを製造することにより、実現できる。
支持体と機能層との間の剥離力は、好ましくは0.05N/20mm以下、より好ましくは0.03N/20mm以下、特に好ましくは0.01N/20mm以下である。剥離力は、JIS K6853−2に準拠して測定しうる。剥離力をこのように小さくすることにより、積層体から支持体を剥離して、位相差フィルムを容易に製造することができる。また、前記の剥離力の下限は、好ましくは0.001N/20mm以上、より好ましくは0.003N/20mm以上、特に好ましくは0.005N/20mm以上である。このように小さい剥離力は、例えば、支持体及び機能層の材料の組み合わせを、互いに相溶しない材料で適切に選択することにより、実現できる。
本発明の位相差フィルム積層体における支持体の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下である。支持体の厚みを前記範囲の下限値以上とすることにより、延伸ムラの発生を防止できる。また、上限値以下とすることにより、支持体の張力が過大にならないようにして工業生産性を高めることができる。
本発明の位相差フィルム積層体における機能層の厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上であり、耐傷つき性、ハンドリング性及び薄膜性を高める観点から、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下である。機能層の厚みをこの範囲にすることにより、位相差フィルムを薄くでき、かつ、位相差フィルムを高温耐久性に優れるものとできる。
[4.位相差フィルム]
本発明の位相差フィルムは、前記製造方法で得られた位相差フィルム積層体の、延伸された機能層を含む。即ち、前記製造方法で得られた位相差フィルム積層体をそのまま本発明の位相差フィルムとしてもよく、また、位相差フィルム積層体から支持体を剥離して得られる、延伸された機能層のみからなる位相差フィルムを本発明の位相差フィルムとしてもよく、さらには、任意の層を貼合して得られる、延伸された機能層及び任意の層を含む位相差フィルムを本発明の位相差フィルムとしてもよい。
[4.1.複合位相差フィルム]
本発明の位相差フィルムの好ましい態様として、上で説明した負の二軸性を有する機能層と、正の二軸性を有する位相差層とを組み合わせて有する位相差フィルム(以下において、「複合位相差フィルム」という。)を挙げることができる。複合位相差フィルムにおける正の二軸性を有する位相差層は、正の二軸性を有する位相差層と、その片面又は両面に設けられた保護層とを有する位相差フィルム積層体として製造しうる(以下においては、当該位相差フィルム積層体を、上に述べた本発明の位相差フィルム積層体と区別し、「位相差フィルム積層体(B)」という。また、同様に、区別のため、正の二軸性を有する位相差層を、「位相差層(B1)」といい、保護層を、「保護層(B2)」ということがある。)。位相差フィルム積層体(B)から、必要に応じて保護層(B2)の1枚以上を剥離して、残余を本発明の位相差フィルムと貼合して、複合位相差フィルムを形成しうる。
位相差層(B1)は、正の二軸性を有する層である。即ち、その屈折率nx、ny及びnzが、nz>nx>nyの関係を満たす層である。これにより、負の二軸性を有する機能層と位相差層(B1)とを組み合わせた位相差フィルムを光学補償フィルムとして用いて、IPS型液晶パネルのコントラストを効果的に改善することが可能である。
位相差フィルム積層体(B)の一例、及び複合位相差フィルムの一例を、それぞれ図3及び図4に示す。図3は、複合位相差フィルムの製造に用いる位相差フィルム積層体(B)の一例を、その主面に対して垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。図4は、複合位相差フィルムの一例を、その主面に対して垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。
図3において、位相差フィルム積層体(B)300は、位相差層(B1)301と、その両面に設けられた一対の保護層(B2)である層302A及び302Bとを有している。このような、両面に保護層(B2)を有する構成を採用することにより、位相差層(B1)の材料として延伸により容易に破損し易い材料を採用しても、共延伸による製造を容易に行うことができる。
図4において、複合位相差フィルム400は、位相差フィルム積層体100と、複層フィルム(B’)310と有している。位相差フィルム積層体100は、延伸された支持体111と、延伸された機能層112とを有している。複層フィルム(B’)310は、複合フィルム(B)300から保護層302Bを剥離してなるものであり、位相差層(B1)301と、保護層(B2)302Aとを有している。機能層112と、位相差層(B1)301とは接着層401を介して貼合されている。このように、保護層302Bを剥離し、位相差層(B1)301を直接貼合した構成を採用することにより、複合位相差フィルム全体の厚みを低減することができる。
[4.2.位相差層(B1)]
位相差層(B1)の材料の好ましい例としては、固有複屈折が負の非液晶性材料が挙げられる。固有複屈折が負の非液晶性材料としては、通常、固有複屈折が負の樹脂を用いる。また、この樹脂としては、通常、透明の樹脂を用いる。このような樹脂としては、スチレン類、スチレン類−マレイン酸、マレイミド類及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択される1種類以上のモノマーを重合した重合体を含む樹脂が好ましい。この場合、前記の重合体は、単独重合体でもよく、共重合体でもよい。このような重合体は、通常、負の固有複屈折を有するので、それを含む樹脂の固有複屈折も負にすることができる。
ここで、スチレン類とは、スチレン及びスチレン誘導体を意味する。また、スチレン誘導体としては、例えば、スチレンのベンゼン環またはα位に置換基が置換したものが挙げられる。スチレン誘導体の具体例を挙げると、メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン等のアルキルスチレン;クロロスチレン等のハロゲン化スチレン;クロロメチルスチレン等のハロゲン置換アルキルスチレン;メトキシスチレン等のアルコキシスチレン;などが挙げられる。ここで、スチレン類は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また特に、ポリスチレン系重合体としては、シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系重合体が好ましい。シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系重合体は高い耐熱性を有し、熱収縮性を抑制することができ、また、延伸により所望のレターデーションを安定して発現させることができる。
ここで、ポリスチレン系重合体がシンジオタクチック構造を有する、とは、ポリスチレン系重合体の立体化学構造がシンジオタクチック構造となっていることをいう。また、シンジオタクチック構造とは、炭素−炭素結合で形成される主鎖に対して、側鎖であるフェニル基が、フィッシャー投影式において、交互に反対方向に規則的に配列した立体構造のことをいう。シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系重合体は、従来のアタクチック型のポリスチレン系重合体に比べて、低比重であり、耐加水分解性、耐熱性及び耐薬品性等の特性に優れている。
ポリスチレン系重合体のタクティシティー(tacticity:立体規則性)は、同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量されうる。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合により示すことができる。一般に、例えば、連続する構成単位が2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドとなる。この場合、前記シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系重合体とは、ラセミダイアッドで通常75%以上、好ましくは85%以上のシンジオタクティシティーを有するか、若しくは、ラセミペンタッドで通常30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有することをいう。
シンジオタクチック構造を有するポリスチレン系重合体は、例えば、不活性炭化水素溶媒中又は溶媒の不存在下において、チタン化合物及び水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン類を重合することにより製造しうる(特開昭62-187708号公報参照)。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)については、例えば、特開平1−46912号公報に記載の方法により製造してもよい。
スチレン類、スチレン類−マレイン酸、マレイミド類及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択される1種類以上のモノマーを重合した重合体の重量平均分子量は、好ましく130,000以上、より好ましくは140,000以上、特に好ましくは150,000以上であり、好ましくは300,000以下、より好ましくは270,000以下、特に好ましくは250,000以下である。このような重量平均分子量とすると、重合体のガラス転移温度を高めて、積層体の耐熱性を安定して改善することができる。
スチレン類、スチレン類−マレイン酸、マレイミド類及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択される1種類以上のモノマーを重合した重合体のガラス転移温度は、好ましくは85℃以上、より好ましくは90℃以上、特に好ましくは95℃以上である。このようにガラス転移温度を高めることにより、位相差層(B1)を形成する固有複屈折が負の非液晶性材料のガラス転移温度を効果的に高め、ひいては位相差フィルムの耐熱性を安定して改善することができる。また、積層体の製造を安定して容易に行う観点から、前記のガラス転移温度は、好ましくは160℃以下、より好ましくは155℃以下、特に好ましくは150℃以下である。
さらに、位相差層(B1)を形成する固有複屈折が負の非液晶性材料は、前記のスチレン、スチレン−マレイン酸、マレイミド類及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択される1種類以上のモノマーを重合した重合体に組み合わせて、ポリカーボネート重合体、ポリエステル重合体及びポリアリーレンエーテル重合体からなる群より選択される1種類以上の重合体を含む混合物であることが好ましい。ポリカーボネート重合体、ポリエステル重合体又はポリアリーレンエーテル重合体を組み合わせることにより、位相差層(B1)の強度を高めること、ガラス転移温度を制御すること、及び、光学特性を制御することが可能となる。
ポリカーボネート重合体としては、例えば、支持体を形成する材料の説明において挙げたのと同様の例が挙げられる。ここで、ポリカーボネート重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
上述したような、スチレン類、スチレン類−マレイン酸、マレイミド類及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択される1種類以上のモノマーを重合した重合体と、ポリカーボネート重合体、ポリエステル重合体及びポリアリーレンエーテル重合体からなる群より選択される1種類以上の重合体との組み合わせの中でも、特に、ポリスチレン系重合体とポリアリーレンエーテル重合体とを組み合わせることが好ましい。
スチレン類、スチレン類−マレイン酸、マレイミド類及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択される1種類以上のモノマーを重合した重合体と、ポリカーボネート重合体、ポリエステル重合体及びポリアリーレンエーテル重合体からなる群より選択される1種類以上の重合体との重量比は、好ましくは90:10〜55:45であり、より好ましくは85:15〜60:40であり、特に好ましくは80:20〜65:35である。重量比がこの範囲にあることで、延伸によって位相差層(B1)に所望のレターデーション及び所望の光学特性を容易に発現させることができる。
位相差層(B1)を形成する固有複屈折が負の非液晶性材料は、スチレン類、スチレン類−マレイン酸、マレイミド類及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択される1種類以上のモノマーを重合した重合体、並びに、ポリカーボネート重合体、ポリエステル重合体及びポリアリーレンエーテル重合体からなる群より選択される1種類以上の重合体以外に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、架橋剤が挙げられる。ただし、位相差層(B1)を形成する固有複屈折が負の非液晶性材料において、スチレン類、スチレン類−マレイン酸、マレイミド類及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択される1種類以上のモノマーを重合した重合体、並びに、ポリカーボネート重合体、ポリエステル重合体及びポリアリーレンエーテル重合体からなる群より選択される1種類以上の重合体の割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
位相差層(B1)を形成する固有複屈折が負の非液晶性材料のガラス転移温度は、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、特に好ましくは125℃以上である。固有複屈折が負の非液晶性材料のガラス転移温度が高いほど、位相差フィルムの耐熱性が優れる。ただし、ガラス転移温度を過度に高くすると積層体の製造が容易でなくなる可能性があるので、固有複屈折が負の非液晶性材料のガラス転移温度は通常200℃以下である。
位相差層(B1)の引っ張り破断伸度は、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。引っ張り破断伸度は、JIS K7162に準拠して測定しうる。一般に、負の固有複屈折を有する非液晶性材料は、機械的強度が弱い。これに対し、位相差フィルム積層体(B)は保護層(B2)を備えるので、このように機械的強度の弱い位相差層(B1)であっても破損を生じ難くできる。さらに、前記複合位相差フィルムの例では、支持体、機能層、接着層、位相差層(B1)及び保護層(B2)をこの順に備える積層構造を有するので、この積層構造によっても、位相差層(B1)の破損を効果的に防止できる。したがって、前記のように層(B1)の引っ張り破断伸度が低いことは、層(B1)の破損を防止して、ハンドリング性及び耐衝撃性を向上させるという効果をより顕著にする観点で、技術的な意義がある。
位相差層(B1)は、波長550nmにおける面内方向のレターデーションが、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上であり、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下である。位相差層(B1)の面内方向のレターデーションがこの範囲であると、位相差フィルム積層体(B)の延伸による製造を容易に行うことができる。
また、位相差層(B1)は、波長450nmにおける面内方向のレターデーションReB1(450)及び波長550nmにおける面内方向のレターデーションReB1(550)が、ReB1(450)/ReB1(550)>1.00を満たすことが好ましい。ReB1(450)及びReB1(550)がこの関係を満たすことにより、広い波長範囲においてIPS液晶セルの補償効果を奏しうる位相差フィルムを得ることができる。
また、位相差層(B1)は、波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRthB1(550)が、好ましくは−150nm以上、より好ましくは−130nm以上であり、好ましくは−50nm以下、より好ましくは−60nm以下である。位相差層(B1)の厚み方向のレターデーションRthB1(550)がこの範囲であると、位相差フィルム積層体(B)の延伸による製造を容易に行うことができる。
位相差層(B1)の面内遅相軸は、通常、機能層の面内遅相軸と平行にする。これにより、IPS型の液晶パネルにおいて光学補償を効果的に行うことが可能となり、液晶表示装置のコントラストを向上させることができる。
位相差層(B1)の厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは7μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは15μm以下である。位相差層(B1)の厚みをこの範囲にすることにより、積層体を薄くでき、かつ、積層体を高温耐久性に優れるものとできる。
位相差層(B1)の厚みのバラつきは、層(B1)の平均厚みの、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。このような厚み精度を実現することで、MD方向およびTD方向で均一な光学特性を示す積層体及び位相差フィルムを得ることができる。また、このような厚み精度は、例えば、後述する溶融押し出し及び延伸を組み合わせた製造方法で位相差フィルム積層体(B)を製造することにより、実現できる。
[4.3.保護層(B2)]
保護層(B2)は、樹脂により形成しうる。この樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。また、この樹脂としては、通常、透明の樹脂を用いる。このような樹脂としては、脂環式構造を有する重合体樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、及びポリエーテルスルホン樹脂からなる群から選択される樹脂が好ましい。これらの樹脂は機械的強度に優れ、位相差層(B1)との剥離強度を所望の剥離強度にでき、また、延伸により発現するレターデーションを小さくできる。
保護層(B2)を形成しうる脂環式構造を有する重合体樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、及びポリエーテルスルホン樹脂としては、例えば、支持体を形成する材料として説明した各樹脂と同様のものを用いうる。したがって、保護層(B2)を形成しうる脂環式構造を有する重合体樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−ビニル芳香族化合物共重合体樹脂、及びポリエーテルスルホン樹脂のそれぞれにおいて、その樹脂が含みうる重合体及び任意の成分の種類及び量は、支持体を形成する材料として説明した各樹脂と同様にしうる。
これらの樹脂の中でも、保護層(B2)を形成する樹脂としては、脂環式構造を有する重合体樹脂及び(メタ)アクリル樹脂が好ましく、(メタ)アクリル樹脂が特に好ましい。
保護層(B2)を形成する樹脂のガラス転移温度は、層(B1)を形成する固有複屈折が負の非液晶性材料のガラス転移温度に応じて設定することが好ましい。具体的には、層(B1)を形成する固有複屈折が負の非液晶性材料のガラス転移温度Tg(B1)と、保護層(B2)を形成する樹脂のガラス転移温度Tg(B2)とが、Tg(B1)>Tg(B2)+20℃を満たすことが好ましく、Tg(B1)>Tg(B2)+25℃を満たすことがより好ましい。これにより、固有複屈折が負の非液晶性材料のガラス転移温度Tg(B1)より高い延伸温度で延伸処理をする場合、保護層(B2)において重合体がほとんど配向せず、無配向状態となる。そのため、延伸処理によっても保護層(B2)に大きなレターデーションが発現しないので、延伸処理を行いながら位相差層(B1)のみのレターデーションを正確に測定することが可能となる。
さらに、特に保護層(B2)を形成しうる脂環式構造を有する重合体樹脂のガラス転移温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。ガラス転移温度を前記範囲の下限値以上とすることにより高温下における耐久性を向上させることができ、また、上限値以下とすることにより延伸加工を容易にすることができる。
また、特に保護層(B2)を形成しうる(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上であり、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下である。ガラス転移温度を前記範囲の下限値以上にすることにより、樹脂ペレットを高温で乾燥する時のブロッキングを抑制できるので、水分の混入を防止できる。また、上限値以下にすることにより、延伸時における(メタ)アクリル重合体の配向を低減できるので、位相差層(B1)の光学的機能を保護層(B2)が阻害することを抑制できる。
また、特に保護層(B2)を形成しうるポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下である。ガラス転移温度を前記範囲の下限値以上とすることにより高温下における耐久性を向上させることができ、また、上限値以下とすることにより延伸加工を容易にすることができる。
保護層(B2)は、波長550nmにおける面内方向のレターデーションが、好ましくは30nm以下、より好ましくは20nm以下、特に好ましくは10nm以下である。保護層(B2)の面内方向のレターデーションを小さくすることにより、位相差フィルム積層体(B)を製造する際に延伸処理をしながら位相差層(B1)のみのレターデーションを測定することが可能となる。
保護層(B2)の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、特に好ましくは15μm以下である。保護層(B2)の厚みを前記範囲の下限値以上とすることにより、保護層(B2)の機械的強度を十分に高めることができる。また、上限値以下とすることにより、保護層(B2)の柔軟性及びハンドリング性を良好にできる。
固有複屈折が負の位相差層(B1)と保護層(B2)との間の剥離力は、好ましくは0.5N/20mm以下、より好ましくは0.3N/20mm以下、特に好ましくは0.15N/20mm以下である。剥離力は、JIS K6853−2に準拠して測定しうる。剥離力をこのように小さくすることにより、積層体から保護層(B2)を剥離して、位相差フィルムを容易に製造することができる。また、前記の剥離力の下限は、好ましくは0.01N/20mm以上、より好ましくは0.03N/20mm以上、特に好ましくは0.05N/20mm以上である。このように小さい剥離力は、例えば、位相差層(B1)及び保護層(B2)の材料の組み合わせを互いに相溶しない材料で適切に選択することにより、実現できる。
[4.4.接着層]
図4に示す複合位相差フィルム400を構成する接着層401は、接着剤の硬化物により形成された層としうる。ここで、接着剤とは、硬化後に23℃において1MPa〜500MPaの剪断貯蔵弾性率を有する狭義の接着剤及び、23℃における剪断貯蔵弾性率が1MPa未満の粘着剤を含む。ただし、機能層を含む本発明の位相差フィルムと位相差フィルム積層体(B)との貼り合せの際、粘着剤を用いた貼り合せを行おうとすると、貼り合わせの際の気泡の噛みこみ及び異物の噛みこみの抑制、並びに強力な粘着力の確保のために粘着剤の層の厚みは厚くなる傾向がある。これに対し、狭義の接着剤を用いた貼り合せでは、接着層の厚みを薄くできる。そのため、接着剤としては、硬化後に23℃において1MPa〜500MPaの剪断貯蔵弾性率を有する狭義の接着剤を用いることが好ましい。
接着剤としては、通常、活性エネルギー線硬化型の接着剤を用いる。活性エネルギー線硬化型の接着剤とは、例えば、紫外線、X線及び電子線等の活性エネルギー線を照射すると硬化しうる接着剤をいう。中でも、安価な装置を使用することができるため、紫外線で硬化しうる接着剤が好ましい。
好適な接着剤の例としては、未硬化状態で(メタ)アクリレートを含むものを用いうる。中でも、(メタ)アクリレートとして、(I)オリゴマー型多官能(メタ)アクリレートと(II)温度20±1.0℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s未満の水酸基を少なくともひとつ有するモノ(メタ)アクリレートとを組み合わせて含むものが好ましい。
また、硬化状態又は未硬化状態において、接着剤は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、(メタ)アクリレート以外に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、重合開始剤、架橋剤、無機フィラー、重合禁止剤、着色顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、分散剤、光拡散剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、非反応性ポリマー(不活性重合体)、粘度調整剤、近赤外線吸収材等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
接着剤の具体例としては、特開平7−82544号公報記載の例を挙げることができる。
接着層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。接着層の厚みを前記範囲の下限値以上とすることにより、機能層を含む本発明の位相差フィルムと位相差フィルム積層体(B)との接着力を高くできる。また、上限値以下にすることにより、接着剤の硬化速度を速くして容易に接着剤を硬化させることが可能となり、また、薄膜化を図ることができる。
[4.5.位相差フィルム積層体(B)の製造工程の例]
位相差フィルム積層体(B)は、保護層(B2)、固有複屈折が負の位相差層(B1)及び保護層(B2)を構成する材料の層を備える複層フィルム(b)を製造し、その複層フィルム(b)を延伸することにより製造しうる。固有複屈折が負の位相差層(B1)は一般に機械的強度が弱いが、位相差層(B1)の両面を保護層(B2)で覆うことにより、延伸時の位相差層(B1)の破損を確実に防止することができる。また、強度が高い保護層(B2)によって位相差層(B1)を両側から挟みこむようにして保護できるので、位相差層(B1)からのブリードアウトを効果的に防止できる。ここで位相差層(B1)からのブリードアウトとは、位相差層(B1)に含まれる一部の成分(例えば配合剤)が位相差層(B1)の表面に染み出す現象をいう。
位相差フィルム積層体(B)の製造工程の例を、図5に示す。図5は、位相差フィルム積層体(B)を製造する製造装置の一例を模式的に示す概略図である。図5において、製造装置500は、フィルム成形部520と、延伸部530とを備える。
フィルム成型部520は、保護層(B2)、固有複屈折が負の位相差層(B1)及び保護層(B2)を構成する材料の層を備える複層フィルム(b)を製造する装置である。製造方法としては、例えば、共押出成形法;ドライラミネーション等のフィルムラミネーション成形法;共流延法;及び樹脂フィルム表面に樹脂溶液をコーティングする等のコーティング成形法;などの方法が挙げられる。中でも、共押出成形法は、製造効率や、フィルムに溶剤などの揮発性成分を残留させないという観点から、好ましい。
共押出成形法を採用する場合、複層フィルム(b)は、例えば、固有複屈折が負の非液晶性材料と保護層(B2)を形成する樹脂とを共押し出しすることにより得られる。共押出成形法には、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられるが、なかでも共押出Tダイ法が好ましい。また、共押出Tダイ法にはフィードブロック方式およびマルチマニホールド方式があるが、厚さのばらつきを少なくできる点でマルチマニホールド方式が特に好ましい。図5に示す例においては、ダイ521から冷却ロール522上に材料を共押し出しすることにより、延伸前の複層フィルム(b)390を製造している。
フィルム成形部520において連続的に製造された複層フィルム(b)390は、延伸部530に搬送され、延伸される。複層フィルム(b)390が延伸されることにより、固有複屈折が負の非液晶性材料の層にレターデーションが発現し、所望の位相差フィルム積層体(B)が得られる。このような延伸部530において行う延伸としては、例えば、ロール間の周速の差を利用してMD方向に一軸延伸する方法(縦一軸延伸);テンター延伸機を用いてTD方向に一軸延伸する方法(横一軸延伸);縦一軸延伸と横一軸延伸とを順に行う方法(逐次二軸延伸);縦一軸延伸と横一軸延伸を同時に行う方法(同時二軸延伸);MD方向に対して斜め方向に延伸する方法(斜め延伸);等を採用できる。ここで「斜め方向」とは、平行でもなく、直交でもない方向を意味する。
延伸部530における延伸により、固有複屈折が負の位相差層(B1)においてレターデーションが発現し、所望の光学特性を有する位相差フィルム複合体300が得られる。位相差フィルム複合体300においては、固有複屈折が負の位相差層(B1)の面内の遅相軸は、通常、延伸部530で延伸された方向に垂直になる。
また、この製造方法においては、上述した以外にも工程を行ってもよい。例えば、複層フィルム(b)390に対して予熱処理を施してもよい。
得られた位相差フィルム複合体300は、通常、ロール状に巻き取られ、保存される。このような製造方法で得られた位相差フィルム複合体300においては、位相差層(B1)の機械的強度が低いが、保護層(B2)により保護されるため破損を生じにくい。
[4.6.貼り合せ工程の例]
支持体及び機能層を有する本発明の位相差フィルムと、位相差フィルム積層体(B)とを用いて、図4に示す複合位相差フィルム400を製造する製造方法の例を、図6に示す。図6は、かかる製造方法に用いる製造装置の一例を模式的に示す概略図である。図6において、製造装置600は、剥離部610、塗工ヘッド620、貼り合わせ部630及び硬化処理部640を備える。
操作において、繰り出し装置601から繰り出された位相差フィルム積層体(B)300は、剥離部610に搬送される。剥離部610において、繰り出された位相差フィルム積層体(B)300から、片方の保護層(B2)302Bが剥離される。これにより、位相差層(B1)の片方の面301Dが露出し、位相差層(B1)及び保護層(B2)を備える位相差フィルム積層体(B’)310が得られる。
位相差フィルム積層体(B’)310は、塗工ヘッド620に搬送される。塗工ヘッド620により、位相差フィルム積層体(B’)310の一方の面301Dに、接着剤が塗工される。
接着剤が塗工された位相差フィルム積層体(B’)310は、貼り合わせ部630に搬送される。一方、繰り出し装置603から搬送された、支持体111及び機能層112を有する位相差フィルム積層体100も、貼り合わせ部630に搬送される。貼り合わせ部630において、位相差フィルム積層体(B’)310の接着剤が塗工された面と、位相差フィルム積層体100の機能層112側の面112Uとがラミロール631及び対ロール632により貼合される。貼合されたフィルムは、さらに硬化処理部640に搬送され、紫外線等の活性エネルギー線の照射等の適切な手段により、接着剤を硬化させる。これにより、図4に示す層構成を有する複合位相差フィルム400が製造される。得られた複合位相差フィルム400は、巻取り装置602により巻き取られ、ロールの形状とし、さらなる工程に供することができる。
[5.偏光板]
本発明の偏光板は、前記本発明の位相差フィルムと偏光子とを備える。
好ましい態様において、本発明の偏光板は、上で説明した複合位相差フィルムと、偏光子とを備える。
本発明の偏光板の一例を、図7に示す。図7は、図4に示した複合位相差フィルム400と偏光子とを用いて得た本発明の偏光板の一例を、その主面に対して垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。
図7において、偏光板700は、複合位相差フィルム410と、複合位相差フィルム410の一方の面上に設けられた偏光子702及び保護層701と、複合位相差フィルム410の他方の面上に設けられた接着層703及びセパレーター704とを備える。
偏光板700において、複合位相差フィルム410は、図4に示す複合位相差フィルム400から、支持体111及び保護層(B2)302Aを剥離してなるものであり、従って、延伸された機能層112、接着層401及び位相差層(B1)301をこの順に備える。
偏光子702は、必要に応じて接着層(不図示)を介して機能層112に貼合することにより、複合位相差フィルム410の機能層112側の面上に設けうる。偏光子の例としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等の適切なビニルアルコール系重合体のフィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適切な処理を適切な順序及び方式で施したものが挙げられる。このような偏光子は、自然光を入射させると直線偏光を透過させうるものであり、特に、光透過率及び偏光度に優れるものが好ましい。偏光子の厚さは、5μm〜80μmが一般的であるが、これに限定されない。
保護層701としては、任意の透明フィルムを用いうる。中でも、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性等に優れる樹脂のフィルムが好ましい。そのような樹脂としては、トリアセチルセルロース等のアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、脂環式構造を有する重合体樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。中でも、複屈折が小さい点でアセテート系樹脂又は脂環式構造を有する重合体樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、透明性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、脂環式構造を有する重合体樹脂が特に好ましい。保護層の厚みは、偏光板の薄型化の観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、特に好ましくは150μm以下であり、通常5μm以上である。
また、偏光板においては、位相差フィルムの面内の遅相軸と偏光子の透過軸とが、通常、平行若しくは直交するよう、各層を配置する。
接着層703は、偏光板をさらに他の部材に貼合する操作を容易にするために設けられた層であり、セパレーター704は、偏光板をさらに他の部材に貼合するまでの間に接着層703を保護するための層である。接着層703としては、任意の接着剤の層を用いうる。接着剤としては、例えば、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や透明性等の観点から、アクリル系のものが好ましい。
[6.液晶パネル]
本発明の液晶パネルは、前記本発明の偏光板と、IPS用の液晶セルとを備えるIPS液晶パネルである。
好ましい態様において、本発明の液晶パネルは、上で説明した複合位相差フィルムと、偏光子とを備える偏光板と、IPS用の液晶セルとを備える。
本発明の液晶パネルの一例を、図8に示す。図8は、図7に示した偏光板700とIPS用の液晶セルとを用いて得た本発明の液晶パネルの一例を、その主面に対して垂直な平面で切った断面を模式的に示す断面図である。
図8において、液晶パネル800は、偏光板710と、偏光板710の粘着層703上に設けられたIPSセル801と、さらにもう一枚の偏光板802とを備える。
液晶パネル800において、偏光板710は、図7に示す偏光板700からセパレーター703を剥離してなるものであり、従って、保護層701、偏光子702、延伸された機能層112、接着層401、位相差層(B1)301、及び接着層703をこの順に備える。
IPSセル801は、図7に示す偏光板700からセパレーター703を剥離し、その後IPSセル801の一方の面と接着層703とを接触させることにより設けうる。かかる接触の前又は後に、IPSセル801の他方の面に、必要に応じて接着層(不図示)を介して偏光板802を貼合することにより、偏光板802を設けうる。偏光板802は、例えば偏光子702と同様の層のみからなっていてもよく、又は例えば偏光子702と同様の層と、保護層とからなっていてもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[測定方法]
〔レターデーションの測定方法〕
複層フィルムの機能層側の面を、ガラス基板上に粘着層を介して貼り付け、支持体を剥がし、ガラス基板/粘着層/機能層の複合体をサンプルとして用意し、このサンプルについて測定を行った。機能層の面内方向のレターデーションRe及び厚み方向のレターデーションRthは、自動複屈折計(王子計測機器「KOBRA−21ADH」)を用いて、波長550nmで、フィルムの幅方向における中心付近を5点測定し、その平均値を測定値とした。
〔ガスクロマトグラフィーによる残留溶剤の測定〕
(i)試料の調製
5cm×5cmの矩形の範囲の機能層を剥がし、バイアル(5ml容量)にとり、アセトン(和光純薬工業製、残留農薬・PCB試験用)3mlを加え、80℃で3時間加熱後、放冷した。バイアルの内容物を1500Gで3分間延伸分離し、溶液(抽出液)を取り出した。
(ii)標準液の調製
溶液の調製に使用した溶剤の標準母液を調製し、さらにそれを適宜希釈した標準液を調製した。
(iii)標準添加試料の調製
前記(ii)で得た標準母液0.5mlをメスフラスコ(20ml容量)にとり、アセトンで定容し、調製液を得た。
5cm×5cmの矩形の範囲の機能層を剥がし、バイアル(5ml容量)にとり、前記調製液3mlを加え、80℃で3時間加熱後、放冷した。バイアルの内容物を1500Gで3分間延伸分離し、溶液(抽出液)を取り出した。
(iv)測定
前記(i)で得られた溶液、前記(ii)で得られた標準液、及び前記(iii)で得られた溶液について、ガスクロマトグラフィーによる測定を行った。測定条件は、下記の通り。
ガスクロマトグラフィー装置:6890(Agilent Technologies)
カラム:DB−5(J&W)シリアルNo.US7153041H、長さ30m、内径0.25mm、フィルム厚さ1.0μm
入口温度:100℃
カラムフロー:3.0ml/min
キャリアガス:He
モード:スプリット
検出温度:150℃
ガス:H 40ml/min、空気450ml/min、N 50ml/min
カラム温度 50℃→110℃
昇温スピード 20℃/min(直線勾配)
[実施例1]
(1−1.溶液の調製)
非液晶性材料としてのポリカーボネート樹脂A(正の固有複屈折値を有する;三菱ガス化学社製「ユピゼータFPC−2136」;ガラス転移温度132℃)を、溶剤としてのシクロペンタノンと混合して、固形分濃度15重量%の溶液を得た。
(1−2.機能層の形成:複層フィルムの製造)
図2に概略的に示す装置200を用いて、機能層を形成し、図1に概略的に示す複層フィルムを製造した。
長尺の支持体11(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」;ノルボルネン系樹脂製;厚み80μm;ガラス転移温度126℃)を、繰り出し装置201から走行速度10m/minで走行させ、(1−1)で得た溶液を、ダイコーターの塗工ヘッド210を用いて、乾燥膜厚が17μmとなるように塗工した。これにより、溶液の塗膜を有する支持体を形成した。
塗工の直後に、支持体を、4つのチャンバー220A〜220Dを有するドライヤー220に搬送し、チャンバー220A〜220Dのそれぞれにより乾燥工程(I)〜(IV)を順次行い、溶液を乾燥させることにより、溶液中の溶剤を除去し、機能層を形成した。これにより、支持体11、及びその上に設けられた機能層12を備える、長尺の複層フィルム10を得た。
溶剤を除去する工程において、乾燥工程(I)〜(IV)の条件(温度及び風速)は、表5に記載する通りとした。表5中の風速は、風速計(商品名「アネモマスター」、型名6162、日本カノマックス株式会社製)によって測定した値である。乾燥工程(I)〜(IV)は、それぞれ30秒ずつ行った。
(1−3.機能層の評価)
ドライヤー220から搬出された複層フィルム10上の機能層の外観を観察し、塗膜の塗工ムラに基づく厚みムラ、泡筋、及び皺の有無を目視にて評価した。
また、得られた複層フィルム10の一部を切り出し、ガスクロマトグラフィーにより、機能層中の残留溶剤量を測定した。
(1−4.複層フィルムの延伸:位相差フィルム積層体の製造)
(1−2)で得られた長尺の複層フィルム10を、テンター延伸機である延伸装置230を用いて延伸した。延伸温度は140℃とし、延伸方向はTD方向とし、延伸倍率は2.7倍とした。これにより、支持体/機能層の層構成を有する位相差フィルム積層体100を得た。機能層の膜厚は10μmであった。得られた位相差フィルム積層体の機能層の面内レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthを測定した。加えて、延伸時の、フィルムと把持子との付着、及びカールの有無を目視にて評価した。
[実施例2]
溶剤として、シクロペンタノンに代えて1,4−ジオキサンを用いたこと、及び乾燥工程の条件を表5に示す通り変更したこと以外は、実施例1と同一の操作により、複層フィルム及び位相差フィルム積層体を製造し評価した。
[実施例3]
(3−1.溶液の調製)
非液晶性材料としてのポリカーボネート樹脂A(正の固有複屈折値を有する;三菱ガス化学社製「ユピゼータFPC−2136」;ガラス転移温度132℃)を、溶剤としての1,4−ジオキサンと酢酸エチルとの混合溶剤(1,4−ジオキサン/酢酸エチルの混合比=6/4(重量比))と混合して、固形分濃度15重量%の溶液を得た。
(3−2.機能層の形成:複層フィルムの製造)
図2に概略的に示す装置200を用いて、機能層を形成し、図1に概略的に示す複層フィルムを製造した。
長尺の支持体11(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」;ノルボルネン系樹脂製;厚み80μm;ガラス転移温度126℃)を、繰り出し装置201から走行速度10m/minで走行させ、(3−1)で得た溶液を、ダイコーターの塗工ヘッド210を用いて、乾燥膜厚が17μmとなるように塗工した。これにより、溶液の塗膜を有する支持体を形成した。
塗工の直後に、支持体を、4つのチャンバー220A〜220Dを有するドライヤー220に搬送し、チャンバー220A〜220Dのそれぞれにより乾燥工程(I)〜(IV)を順次行い、溶液を乾燥させることにより、溶液中の溶剤を除去し、機能層を形成した。これにより、支持体11、及びその上に設けられた機能層12を備える、長尺の複層フィルム10を得た。
溶剤を除去する工程において、乾燥工程(I)〜(IV)の条件(温度及び風速)は、表5に記載する通りとした。表5中の風速は、風速計(商品名「アネモマスター」、型名6162、日本カノマックス株式会社製)によって測定した値である。乾燥工程(I)〜(IV)は、それぞれ30秒ずつ行った。
(3−3.機能層の評価)
ドライヤー220から搬出された複層フィルム10上の機能層の外観を観察し、塗膜の塗工ムラに基づく厚みムラ、泡筋、及び皺の有無を目視にて評価した。
また、得られた複層フィルム10の一部を切り出し、ガスクロマトグラフィーにより、機能層中の残留溶剤量を測定した。
(3−4.複層フィルムの延伸:位相差フィルム積層体の製造)
(3−2)で得られた長尺の複層フィルム10を、テンター延伸機である延伸装置230を用いて延伸した。延伸温度は140℃とし、延伸方向はTD方向とし、延伸倍率は2.7倍とした。これにより、支持体/機能層の層構成を有する位相差フィルム積層体100を得た。機能層の膜厚は10μmであった。得られた位相差フィルム積層体の機能層の面内レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthを測定した。加えて、延伸時の、フィルムと把持子との付着、及びカールの有無を目視にて評価した。
[実施例4]
溶剤として、1,4−ジオキサンと酢酸エチルとの混合溶剤に代えてシクロペンタノンと酢酸エチルとの混合溶剤(シクロペンタノン/酢酸エチルの混合比=6/4(重量比))を用いたこと、及び乾燥工程の条件を表5に示す通り変更したこと以外は、実施例3と同一の操作により、複層フィルム及び位相差フィルム積層体を製造し評価した。
[実施例5]
溶剤として、1,4−ジオキサンと酢酸エチルとの混合溶剤に代えてシクロペンタノンと1,4−ジオキサンとの混合溶剤(シクロペンタノン/1,4−ジオキサンの混合比=6/4(重量比))を用いたこと、及び乾燥工程の条件を表5に示す通り変更したこと以外は、実施例3と同一の操作により、複層フィルム及び位相差フィルム積層体を製造し評価した。
[実施例6]
非液晶性材料として、ポリカーボネート樹脂Aに代えてポリカーボネート樹脂B(正の固有複屈折値を有する;三菱ガス化学社製「ユピゼータPCZ−200」;ガラス転移温度137℃)を用いたこと以外は、実施例1と同一の操作により、複層フィルム及び位相差フィルム積層体を製造し評価した。
[実施例7]
非液晶性材料として、ポリカーボネート樹脂Aに代えてビスマレイミド樹脂(正の固有複屈折値を有する;エア/ブラウン社製「BMI 1500」;ガラス転移温度90℃)を用いたこと、及び乾燥工程の条件を表6に示す通り変更したこと以外は、実施例1と同一の操作により、複層フィルム及び位相差フィルム積層体を製造し評価した。
[実施例8]
乾燥工程の条件を表6に示す通り変更したこと以外は、実施例3と同一の操作により、複層フィルム及び位相差フィルム積層体を製造し評価した。
[実施例9]
乾燥工程の条件を表6に示す通り変更したこと以外は、実施例4と同一の操作により、複層フィルム及び位相差フィルム積層体を製造し評価した。
[比較例1]
溶剤として、シクロペンタノンに代えて酢酸エチルを用いたこと以外は、実施例1の(1−1)〜(1−2)と同一の操作により、複層フィルムの製造を試みた。その結果、溶液を塗工することにより、支持体が膨潤して湾曲し、その後の位相差フィルム積層体の製造に供し得る複層フィルムを得ることができなかった。
[比較例2]
溶剤として、1,4−ジオキサンと酢酸エチルとの混合溶剤に代えて、トルエンと酢酸エチルとの混合溶剤(トルエン/酢酸エチルの混合比=5/5(重量比))を用いたこと、及び固形分濃度を20重量%としたこと以外は、実施例3と同一の操作により、複層フィルム及び位相差フィルム積層体を製造し評価した。
[比較例3]
溶剤として、1,4−ジオキサンと酢酸エチルとの混合溶剤に代えて、シクロペンタノンと1,3−ジオキソランとの混合溶剤(シクロペンタノン/1,3−ジオキソランの混合比=6/4(重量比))を用いたこと以外は、実施例3と同一の操作により、複層フィルム及び位相差フィルム積層体を製造し評価した。
[比較例4及び5]
乾燥工程の条件を表7に示す通り変更したこと以外は、比較例3と同一の操作により、複層フィルム及び位相差フィルム積層体を製造し評価した。
実施例及び比較例において用いた、機能層形成用の溶液についてのデータを表2〜表4に示す。実施例及び比較例における乾燥工程の条件及び得られた複層フィルムについての評価結果を表5〜表7に示す。また、実施例及び比較例において行った延伸の条件及び位相差フィルム積層体についての評価結果を表8〜表10に示す。
Figure 2014182283
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※1:横スジ(TD方向のスジ)が観察された。
※2:※1よりもさらに多くの横スジが観察され、さらに溶液の塗布ムラによる、機能層の厚みムラが観察された。
※3:※1よりもさらに多くの横スジが観察された。
※4:延伸において、フィルムを把持した把持子と、フィルムとの付着が発生した。
※5:延伸において、フィルムの、把持子により把持された箇所がカールする変形が発生した。
[検討]
以上の結果から明らかな通り、機能層の形成に用いた溶液が本発明の要件を満たす実施例1〜9においては、比較例に比べて、良好な外観の機能層を形成することができ、且つ把持子とフィルムとの付着及びカールの発生が無い円滑な延伸を行うことができた。
10:複層フィルム
11:支持体
12:機能層
100:位相差フィルム積層体
111:延伸された支持体
112:延伸された機能層
200:製造装置
201:繰り出し装置
202:巻取り装置
210:塗工ヘッド
220:ドライヤー
220A〜D:チャンバー
230:延伸装置
300:位相差フィルム積層体(B)
301:位相差層(B1)
302A〜B:保護層(B2)
390:延伸前の複層フィルム(b)
400:複合位相差フィルム
401:接着層
410:複合位相差フィルム
500:製造装置
520:フィルム成形部
521:ダイ
522:冷却ロール
530:延伸部
600:製造装置
601:繰り出し装置
602:巻取り装置
603:繰り出し装置
610:剥離部
620:塗工ヘッド
630:貼り合わせ部
631:ラミロール
632:対ロール
640:硬化処理部
700:偏光板
701:保護層
702:偏光子
703:接着層
704:セパレーター
710:偏光板
800:液晶パネル
801:IPSセル
802:偏光板

Claims (10)

  1. 長尺の透明支持体、及び前記支持体上に設けられた機能層を備える複層フィルムであって、
    前記機能層が、非液晶性材料と1種類又は2種類以上の溶剤とを含む溶液の塗膜から前記溶剤を乾燥により除去してなる層であり、
    前記溶剤が前記支持体に対して貧溶媒であり、且つ前記非液晶性材料に対して良溶媒であり、
    前記溶液が1種類のみの前記溶剤を含み前記溶剤の溶解性パラメータδが8.5〜10.5(cal/cm31/2であり且つ前記溶剤の沸点Bpが100〜150℃であるか、又は前記溶液が2種類以上の前記溶剤を含みそれらの溶解性パラメーターの差Δδが0.5〜1.3(cal/cm31/2であり且つそれらの沸点の差ΔBpが55℃以下である、
    複層フィルム。
  2. 前記支持体が、正の固有複屈折性を有する樹脂からなり、
    前記非液晶性材料が正の固有複屈折性を有する樹脂であり、
    前記溶剤のうち1種類以上がケトンまたはエーテルである、請求項1に記載の複層フィルム。
  3. 前記機能層中の残留溶剤量が0.05〜7重量%である、請求項1又は2に記載の複層フィルム。
  4. 前記非液晶性材料がポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、及びこれらの混合物からなる群より選択される樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複層フィルム。
  5. 長尺の透明支持体、及び前記支持体上に設けられた機能層を備える複層フィルムの製造方法であって、
    非液晶性材料と1種類又は2種類以上の溶剤とを含む溶液を、前記支持体上に塗工して塗膜を得る工程と、
    前記塗膜から前記溶剤を乾燥により除去して前記機能層を得る工程とを含み、
    前記溶剤が前記支持体に対して貧溶媒であり、且つ前記非液晶性材料に対して良溶媒であり、
    前記溶剤の溶解性パラメータが8.5〜10.5(cal/cm31/2であり且つ前記溶剤の沸点が100〜150℃であるか、又は前記溶液が2種類以上の前記溶剤を含みそれらの溶解性パラメーターの差Δδが0.5〜1.3(cal/cm31/2であり且つそれらの沸点の差ΔBpが55℃以下である、
    製造方法。
  6. 前記溶剤を除去する工程が、
    温度15〜25℃で無風の条件下で前記塗膜を乾燥させる乾燥工程(I)と、
    温度TD(II)で風速が0.5〜2.5m/Sの条件下で前記塗膜を乾燥させる乾燥工程であって、前記温度TD(II)は、前記溶液が1種類のみの前記溶剤を含む場合Bp−20℃以下であり、前記溶液が2種類以上の前記溶剤を含む場合Bp−20℃以下である(但しBpは、前記溶液に含まれる溶剤のうち最も沸点の高いものの沸点である)乾燥工程(II)とを含み、
    前記機能層の厚みが5〜30μmである、請求項5に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の複層フィルムを延伸する工程を含む、位相差フィルム積層体の製造方法であって、
    前記延伸する工程が、横延伸での延伸を含み、
    前記延伸する工程における延伸温度が、Tg±20℃であり(但し、Tgは、前記支持体を構成する材料のガラス転移温度である)、延伸倍率が1.01〜3倍である製造方法。
  8. 請求項7の製造方法で得られた位相差フィルム積層体の、延伸された機能層を含む位相差フィルムであって、
    延伸された機能層が負の二軸性を有する位相差フィルム。
  9. 請求項8に記載の位相差フィルムと偏光子とを備える偏光板。
  10. 請求項9に記載の偏光板とIPS用の液晶セルとを備えるIPS液晶パネル。
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