JP2017068227A - 光学積層体及びその製造方法、並びに偏光子保護フィルム - Google Patents

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【課題】目視にて検出される異物の少ない光学積層体を提供する。【解決手段】脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B)からなる第一外側層110と、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂(A)からなる中間層と、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B’)からなる第二外側層120とを、この順に備える光学積層体であって、第一外側層110及び第二外側層120の合計厚みに対する中間層の厚みの比が0.3以上1.0以下である、光学積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層体及びその製造方法、並びに、前記の光学積層体を用いた偏光子保護フィルムに関する。
液晶表示装置に設けられる偏光板は、通常、偏光子と、偏光子保護フィルムとを備える。この偏光子保護フィルムとして、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂からなる樹脂フィルムが知られている。
また、前記の樹脂フィルムとしては、紫外線吸収剤を含むフィルムが知られている。このように紫外線吸収剤を含むフィルムは、当該フィルムを透過する紫外線を弱める能力を有する一方で、紫外線吸収剤がブリードアウトを生じる可能性がある。そこで、出願人は、特許文献1及び2において、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む中間層と、この中間層の両側に設けられた脂環式構造を含有する重合体を含む層とを備える積層体を提案した。このような積層体によれば、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することが可能である。
特許第4461795号公報 特開2015−45845号公報
ところが、前記のような積層体では、目視にてフィッシュアイが多く検出されることがあった。ここでフィッシュアイとは、積層体の内部に生じうる異物のことをいう。
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたもので、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B)からなる第一外側層と、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂(A)からなる中間層と、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B’)からなる第二外側層とを、この順に備える光学積層体であって、目視にて検出される異物の少ない光学積層体;前記の光学積層体の製造方法;並びに、前記の光学積層体を備えた偏光子保護フィルム;を提供することを目的とする。
本発明者は前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、第一外側層、中間層及び第二外側層をこの順に備える光学積層体において、第一外側層及び第二外側層の合計厚みに対する中間層の厚みの比を所定の範囲に収めることにより、目視にて検出される異物の数を少なくできることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の通りである。
〔1〕 脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B)からなる第一外側層と、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂(A)からなる中間層と、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B’)からなる第二外側層とを、この順に備える光学積層体であって、
前記第一外側層及び前記第二外側層の合計厚みに対する前記中間層の厚みの比が、0.3以上0.9未満である、光学積層体。
〔2〕 前記光学積層体の厚みが、20μm以上40μm以下であり、
前記光学積層体の波長380nmにおける光線透過率が、10%以下である、〔1〕記載の光学積層体。
〔3〕 目視にて検出される径100μm以上の異物の数が、5個/m以下であり、且つ、
目視にて検出される径50μm以上100μm未満の異物の数が、20個/m以下である、〔1〕又は〔2〕記載の光学積層体。
〔4〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光学積層体の製造方法であって、
前記樹脂(B)、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B’)を共押し出しする工程を含む、光学積層体の製造方法。
〔5〕 〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光学積層体を備える、偏光子保護フィルム。
本発明によれば、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B)からなる第一外側層と、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂(A)からなる中間層と、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B’)からなる第二外側層とを、この順に備える光学積層体であって、目視にて検出される異物の少ない光学積層体;前記の光学積層体の製造方法;並びに、前記の光学積層体を備えた偏光子保護フィルム;を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る光学積層体100を模式的に示す断面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、レターデーションとは、別に断らない限り、面内レターデーションを表す。また、あるフィルムの面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、前記フィルムの厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、前記フィルムの面内方向であってnxの方向に垂直な方向の屈折率を表す。dは、前記フィルムの厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、550nmである。
以下の説明において、フィルムの遅相軸とは、別に断らない限り、当該フィルムの面内における遅相軸を表す。
以下の説明において、「1/4波長板」及び「偏光板」とは、別に断らない限り、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
以下の説明において、「長尺」のフィルムとは、幅に対して、通常5倍以上、好ましくは10倍以上の長さを有するフィルムをいい、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬されうる程度の長さを有するフィルムをいう。
[1.光学積層体の概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る光学積層体100を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、光学積層体100は、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B)からなる第一外側層110と、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂(A)からなる中間層120と、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B’)からなる第二外側層130とを、この順に備える。通常、第一外側層110と中間層120とは接しており、中間層120と第二外側層130とは接している。
このような光学積層体100は、脂環式構造を含有する重合体を含むので、優れた耐熱性及び耐湿性を発揮できる。また、光学積層体100は、紫外線吸収剤を含む樹脂(A)からなる中間層120を備えるため、当該光学積層体100を透過する紫外線を弱めることができる。さらに、光学積層体100は、中間層120の両側に第一外側層110及び第二外側層120を備えるので、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できる。
この光学積層体100においては、第一外側層110及び第二外側層130の合計厚みT110+T130に対する中間層120の厚みT120の比「T120/(T110+T130)」が、所定範囲に収まる。具体的には、前記の厚みの比「T120/(T110+T130)」は、通常0.3以上、好ましくは0.4以上であり、通常0.9未満、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.60以下である。前記の厚みの比「T120/(T110+T130)」が、前記範囲の下限値上であることにより、光学積層体100は当該光学積層体100を透過する紫外線を効果的に弱めることができ、前記範囲の上限値以下であることにより、光学積層体100において目視にて検出される異物の数を小さくできる。
光学積層体100において、目視にて検出される異物の数を小さくできる仕組みは、次の通りと推察される。ただし、本発明は、以下に説明する仕組みによって制限されるものではない。
重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂を製造する場合、通常は、重合体と紫外線吸収剤とを、重合体が溶融しうる高温環境において混練する。このような混練を行うと、混練時に生じるせん断熱によって重合体がゲル化し、塊りを形成することがある。この塊りがあると、前記の樹脂を成形して得られるフィルムの表面が盛り上がって、凸部が形成されうる。さらに、このような凸部では、光の散乱及び屈折が生じるので、前記のフィルムを目視した場合、ゲル化によって生じた塊りが異物として視認されうる。そのため、従来の積層体では、目視によって多くの異物が検出されていた。また、前記の凸部は、フィルムの厚みが薄いほど形成され易く、特にフィルムが延伸フィルムである場合には多量に形成される傾向があった。
これに対し、光学積層体100では、厚みの比「T120/(T110+T130)」を、上述した範囲に収めている。厚みの比「T120/(T110+T130)」を上述した範囲に収めることは、第一外側層110の厚みT110及び第二外側層130の厚みT130を従来よりも厚くすることを表す。これにより、紫外線吸収剤を含む樹脂(A)からなる中間層120が、ゲル化した重合体の塊りを含んでいる場合でも、光学積層体100の表面100U及び100Dには大きな凸部が形成され難い。したがって、中間層120内の異物が目視によっては検出され難くなるので、目視にて検出される異物の数を小さくできる。
仮に中間層120がゲル化した重合体の塊りを含んでいても、前記の塊りが目視によって検出されない場合には、通常の用途では光学積層体100の光学性能は損なわれない。よって、上述した光学積層体100は、偏光子保護フィルム等の多様な光学フィルムとして好適に用いることができる。
[2.中間層]
中間層は、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂(A)からなる層である。中間層に含まれる樹脂(A)は、通常、熱可塑性樹脂である。
脂環式構造を含有する重合体は、その重合体の構造単位が脂環式構造を含有する重合体である。脂環式構造を含有する重合体は、通常、耐湿熱性に優れる。そのため、脂環式構造を含有する重合体を用いることにより、光学積層体の耐湿熱性を良好にできる。
脂環式構造を含有する重合体は、主鎖に脂環式構造を有していてもよく、側鎖に脂環式構造を有していてもよい。中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下の範囲である。脂環式構造を構成する炭素原子数をこの範囲にすることにより、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂の機械強度、耐熱性及び成形性が高度にバランスされる。
脂環式構造を含有する重合体において、脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択しうる。脂環式構造を含有する重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を含有する重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にあると、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂の透明性及び耐熱性が良好となる。
脂環式構造を含有する重合体としては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。これらの中でも、透明性及び成形性が良好であるので、ノルボルネン系重合体がより好ましい。
ノルボルネン系重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素添加物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素添加物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、特に好適である。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。これらの置換基は、同一または相異なって、複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン酸基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体は、例えば、単量体を開環重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。また、ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体は、例えば、単量体を付加重合触媒の存在下に重合又は共重合することにより製造しうる。
上述した開環重合体及び付加重合体の水素添加物は、例えば、開環重合体及び付加重合体の溶液において、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む水素添加触媒の存在下で、炭素−炭素不飽和結合を、好ましくは90%以上水素添加することによって製造しうる。
ノルボルネン系重合体の中でも、構造単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの構造単位の量が、ノルボルネン系重合体の構造単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの割合とYの割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような重合体を用いることにより、当該ノルボルネン系重合体を含む層を、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れるものにできる。
脂環式構造を含有する重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、脂環式構造を含有する重合体を含む層の機械的強度および成型加工性が高度にバランスされる。
脂環式構造を含有する重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。ここで、Mnは、数平均分子量を表す。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高め、製造コストを抑制できる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量が小さくなるので、高温曝露時の緩和を抑制して、脂環式構造を含有する重合体を含む層の安定性を高めることができる。
前記の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、溶媒としてシクロヘキサンを用いた(但し、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量として測定しうる。
脂環式構造を含有する重合体のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。脂環式構造を含有する重合体のガラス転移温度を、前記範囲の下限値以上にすることにより高温環境下における光学積層体の耐久性を高めることができ、前記範囲の上限値以下にすることにより光学積層体の延伸処理を容易に行える。
脂環式構造を含有する重合体の屈折率は、好ましくは1.45以上、より好ましくは1.48以上、特に好ましくは1.50以上であり、好ましくは1.60以下、より好ましくは1.58以下、特に好ましくは1.54以下である。脂環式構造を含有する重合体の屈折率を前記の範囲に収めることにより、光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いた場合に、光学積層体と偏光子との屈折率差を小さくすることが容易になり、偏光板の透過率を高くすることができる。
脂環式構造を含有する重合体の飽和吸水率は、好ましくは0.03重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下である。飽和吸水率が前記範囲であると、脂環式構造を含有する重合体を含む層のレターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。また、光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いた場合に、偏光板及び液晶表示装置の劣化を抑制でき、長期的に画像表示装置の表示を安定で良好に保つことができる。
飽和吸水率は、試料を一定温度の水中に一定時間浸漬して増加した質量を、浸漬前の試験片の質量に対する百分率で表した値である。通常は、23℃の水中に24時間、浸漬して測定される。重合体の飽和吸水率は、例えば、重合体中の極性基の量を減少させることにより、前記の範囲に調節することができる。よって、飽和吸水率をより低くする観点から、脂環式構造を含有する重合体は、極性基を有さないことが好ましい。
中間層に含まれる樹脂(A)における脂環式構造を含有する重合体の量は、好ましくは84.0重量%以上、より好ましくは90.0重量%以上であり、好ましくは95.0重量%以下、より好ましくは93.0重量%以下である。脂環式構造を含有する重合体の量を前記範囲に収めることにより、光学積層体の耐湿熱性を効果的に向上させることができる。よって、光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いた場合に、偏光板の加湿条件下での耐久性を高めることができる。
紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収しうる化合物を用いうる。紫外線吸収剤を用いることにより、光学積層体に紫外線の透過を妨げる能力を付与できる。紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、アゾメチン系紫外線吸収剤、インドール系紫外線吸収剤、ナフタルイミド系紫外線吸収剤、フタロシアニン系紫外線吸収剤等の有機紫外線吸収剤が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物が好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(へキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。このようなトリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製「チヌビン1577」、ADEKA社製「LA−F70」、「LA−46」などが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等が挙げられる。このようなトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、ADEKA社製「アデカスタブLA−31」、チバスペシャリティーケミカルズ社製「TINUVIN328」などが挙げられる。
アゾメチン系紫外線吸収剤としては、例えば、特許第3366697号公報に記載の材料を例示することができ、市販品としては、例えば、オリエント化学社製「BONASORB UA−3701」などが挙げられる。
インドール系紫外線吸収剤としては、例えば、特許第2846091号公報に記載の材料を例示することができ、市販品としては、例えば、オリエント化学社製「BONASORB UA−3911」、「BONASORB UA−3912」などが挙げられる。
フタロシアニン系紫外線吸収剤としては、例えば、特許第4403257号公報、特許第3286905号公報に記載の材料を例示することができ、市販品としては、例えば、山田化学工業社製「FDB001」、「FDB002」などが挙げられる。
これらの中でも、380nm付近における紫外線吸収性能が優れているという点で、トリアジン系紫外線吸収剤、アゾメチン系紫外線吸収剤及びインドール系紫外線吸収剤が好ましく、トリアジン系紫外線吸収剤が特に好ましい。
紫外線吸収剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
中間層に含まれる樹脂(A)における紫外線吸収剤の量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは7重量%以上であり、好ましくは16重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。紫外線吸収剤の量が、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線の透過を妨げる光学積層体の能力を特に高めることができ、前記範囲の上限値以下であることにより、光学積層体の可視光に対する透明性を高めることができる。
中間層に含まれる樹脂(A)は、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤に組み合わせて、更に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、顔料、染料等の着色剤;可塑剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;帯電防止剤;酸化防止剤;界面活性剤等の配合剤が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A)の光弾性係数の絶対値は、好ましくは10×10−12Pa−1以下、より好ましくは7×10−12Pa−1以下、特に好ましくは4×10−12Pa−1以下である。樹脂(A)の光弾性係数の絶対値が前記範囲内であることにより、高性能な光学積層体を容易に製造することができる。また、光学積層体が延伸フィルムである場合、その面内レターデーションReのバラツキを小さくすることができる。
ここで、光弾性係数Cは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、C=Δn/σで表される値である。
樹脂(A)の製造方法は、任意であり、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤、並びに必要に応じて任意の成分を混合することによって製造し得る。通常は、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を、脂環式構造を含有する重合体が溶融しうる温度において混練することにより、樹脂(A)を製造する。混練には、例えば、二軸押出機を用いうる。
中間層の厚みは、好ましくは4.6μm以上、より好ましくは6.0μm以上、特に好ましくは7.0μm以上であり、好ましくは20.0μm以下、より好ましくは18.0μm以下、特に好ましくは15.0μm以下である。中間層の厚みが、前記範囲の下限値以上であることにより、紫外線の透過を妨げる光学積層体の能力を特に高めることができ、前記範囲の上限値以下であることにより、光学積層体の厚みを薄くして、光学積層体の軽量化及び省スペース化を実現できる。
光学積層体に含まれる中間層、第一外側層及び第二外側層等の層の厚みは、次の方法で測定しうる。
光学積層体をエポキシ樹脂で包埋して、試料片を用意する。この試料片を、ミクロトームを用いて厚み0.05μmにスライスする。その後、スライスにより現れた断面を顕微鏡を用いて観察することで、光学積層体に含まれる各層の厚みを測定しうる。
[3.第一外側層]
第一外側層は、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B)からなる層である。第一外側層に含まれる樹脂(B)は、通常、熱可塑性樹脂である。
樹脂(B)に含まれる脂環式構造を含有する重合体としては、樹脂(A)に含まれる脂環式構造を含有する重合体として説明した範囲から選択される任意の重合体を用いうる。これにより、樹脂(A)の脂環式構造を含有する重合体の説明で記載したのと同様の利点を得ることができる。中でも、樹脂(B)に含まれる脂環式構造を含有する重合体としては、樹脂(A)に含まれる脂環式構造を含有する重合体と同一の重合体を用いることが好ましい。これにより、中間層と第一外側層との接着強度を高めたり、中間層と第一外側層との界面での光の反射を抑制したりし易い。
樹脂(B)における脂環式構造を含有する重合体の量は、好ましくは90.0重量%〜100重量%、より好ましくは95.0重量%〜100重量%である。脂環式構造を含有する重合体の量を前記範囲にすることにより、光学積層体の耐湿熱性及び機械的強度を効果的に高めることができる。
樹脂(B)は、紫外線吸収剤を含みうるが、樹脂(B)における紫外線吸収剤の量は少ないことが好ましく、樹脂(B)は紫外線吸収剤を含まないことがより好ましい。樹脂(B)が紫外線吸収剤を含まないことにより、第一外側層は紫外線吸収剤を含まなくなるので、紫外線吸収剤のブリードアウトを効果的に抑制することができる。
樹脂(B)は、脂環式構造を含有する重合体に組み合わせて、更に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、樹脂(A)が含みうる任意の成分として挙げたのと同様の成分が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
樹脂(B)の光弾性係数の絶対値は、樹脂(A)の光弾性係数の絶対値の説明に記載した範囲から選択される任意の値にしうる。これにより、樹脂(A)の光弾性係数の説明で記載したのと同様の利点が得られる。中でも、樹脂(B)の光弾性係数は、樹脂(A)の光弾性係数と同一であることが好ましい。
第一外側層の厚みは、好ましくは5.0μm以上、より好ましくは6.0μm以上、特に好ましくは7.0μm以上であり、好ましくは15.4μm以下、より好ましくは14.0μm以下、特に好ましくは13.0μm以下である。第一外側層の厚みが、前記範囲の下限値以上であることにより、中間層に含有される紫外線吸収剤のフィルム外へのブリードアウトを効果的に抑制できるとともに、目視により検出される異物の数を効果的に小さくでき、前記範囲の上限値以下であることにより、光学積層体の厚みを薄くして、光学積層体の軽量化及び省スペース化を実現できる。
[4.第二外側層]
第二外側層は、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B’)からなる層である。樹脂(B’)としては、樹脂(B)として説明した樹脂の範囲から選択される任意の樹脂を用いうる。したがって、樹脂(B’)の含有成分及び特性は、樹脂(B)の含有成分及び特性として説明した範囲から選択して適用しうる。これにより、第一外側層の樹脂(B)の説明に記載したのと同様の利点を得ることができる。
樹脂(B’)は、樹脂(B)と異なる樹脂であってもよく、樹脂(B)と同一の樹脂であってもよい。中でも、樹脂(B)及び樹脂(B’)として同一の樹脂を用いることが好ましい。樹脂(B)及び樹脂(B’)として同一の樹脂を用いることにより、光学積層体の製造コストを抑制したり、光学積層体のカールを抑制したりできる。
第二外側層の厚みは、第一外側層の厚みの範囲として説明した範囲から選択される任意の厚みにしうる。これにより、第一外側層の厚みの説明で記載したのと同様の利点を得ることができる。中でも、光学積層体のカールを抑制するためには、第二外側層の厚みは、第一外側層と同一にすることが好ましい。
[5.任意の層]
光学積層体は、必要に応じて、上述した中間層、第一外側層及び第二外側層に組み合わせて、任意の層を備えうる。例えば、中間層と第一外側層との間、中間層と第二外側層との間、第一外側層の中間層とは反対側、第二外側層の中間層とは反対側、などに任意の樹脂層を備えていてもよい。
任意の層の具体例としては、コーティング層が挙げられる。このコーティング層は、通常、第一外側層の中間層とは反対側の面、又は、第二外側層の中間層とは反対側の面に設けられる。
ある面にコーティング層を形成する場合、その面に塗工液を塗工し、塗工された塗工液を必要に応じて硬化させることによって、コーティング層を形成しうる。塗工方法としては、例えば、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、ダイコーター法、グラビアコーター法、スクリーン印刷法等が挙げられる。また、コーティング層を形成される面とコーティング層との接着性を高める目的で、塗工前に、前記の面に表面処理を施してもよい。表面処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、アルカリ処理等が挙げられる。また、コーティング層の平均厚みは、用途に応じて適宜選択されるが、通常0.01μm以上50μm以下である。
コーティング層としては、例えば、ハードコート層、低屈折率層、帯電防止層、インデックスマッチング層等が例示でき、なかでも、ハードコート層が好ましい。
ハードコート層は、光学積層体の傷つき及び打痕を抑制するための層である。ハードコート層の形成に用いられるハードコート層形成材料としては、JIS K 5700に規定される鉛筆硬度試験で、「HB」以上の硬度を示すものが好適である。このようなハードコート層形成材料としては、例えば、有機シリコーン系化合物、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、アクリレート系化合物、多官能(メタ)アクリル系化合物等の有機化合物を含む有機系ハードコート層形成材料;二酸化ケイ素等の無機化合物を含む無機系ハードコート層形成材料;等が挙げられる。中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、(メタ)アクリレート系化合物及び多官能(メタ)アクリル系化合物が好ましい。ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを包含する用語であり、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルを包含する用語である。(メタ)アクリレート系化合物は、重合性不飽和基を分子内に、1つ有するもの、2つ有するもの、3つ以上有するもの、のいずれであってもよく、さらには、重合性不飽和基を分子内に3つ以上含有する(メタ)アクリレートオリゴマーであってもよい。また、これらの化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ハードコート層形成材料は、有機粒子、無機粒子、蛍光増白染料、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、染料、酸化防止剤、帯電防止剤、シランカップリング剤等の任意の成分を含んでいてもよい。また、これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの成分の中でも、紫外線吸収剤が好ましい。紫外線吸収剤を用いることにより、光学積層体に、紫外線の透過を更に効果的に妨げる能力を付与できる。
紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、アゾメチン系紫外線吸収剤、インドール系紫外線吸収剤、ナフタルイミド系紫外線吸収剤、フタロシアニン系紫外線吸収剤等の、有機紫外線吸収剤が挙げられる。これらの有機紫外線吸収剤の具体例としては、中間層が含みうる紫外線吸収剤の具体例として挙げた紫外線吸収剤と同様の例が挙げられる。中でも、波長380nm〜400nmでの紫外線吸収性能が優れているという点で、トリアジン系紫外線吸収剤、アゾメチン系紫外線吸収剤、インドール系紫外線吸収剤、またはこれらのブレンドが好ましい。
ハードコート層形成材料が含みうる蛍光増白染料としては、例えば、ジアミノスチルベン、オキサゾール、クマリン、ナフタルイミドなどの骨格を持つ染料が挙げられる。
ナフタルイミド系染料としては、例えば、BASF社製「LumogenF violet 570」などが挙げられる。
ただし、光学積層体を薄くする観点から、光学積層体は任意の層を備えない3層構造のフィルムであることが好ましい。
[6.光学積層体の厚み]
光学積層体の厚みは、好ましくは20μm以上、より好ましくは21.0μm以上、特に好ましくは22.0μm以上であり、好ましくは40μm以下、より好ましくは38.0μm以下、特に好ましくは36.0μm以下である。光学積層体の厚みが、前記範囲の下限値以上であることにより、光学積層体の機械的強度を高くでき、前記範囲の上限値以下であることにより、光学積層体の軽量化及び省スペース化を実現できる。さらに、一般に、厚みの薄いフィルムにおいて重合体のゲル化によって塊りが生じると、そのフィルム表面は大きく盛り上がり易いので、目視により検出される異物の数が多くなる傾向があった。ところが、上述した光学積層体は、厚みが薄くても、目視により検出される異物の数を小さくできるとの効果を奏する。よって、この効果を有効に活用する観点から、光学積層体の厚みは前記範囲に収まるように薄くすることが好ましい。
[7.光学積層体の物性]
光学積層体は、紫外線吸収剤を含む樹脂(A)からなる中間層を備えるので、波長380nmにおける光線透過率が小さい。光学積層体の波長380nmにおける具体的な光線透過率は、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下である。波長380nmにおいてこのように低い光線透過率を有する光学積層体は、紫外線を遮断する能力に優れる。そのため、この光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いた場合に、偏光子の偏光度の低下を抑制したり、偏光子の着色を抑制したりできる。
さらに、光学積層体は、波長280nm〜370nmにおける光線透過率が小さいことが好ましい。光学積層体の波長280nm〜370nmにおける具体的な光線透過率は、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1%以下である。これにより、光学積層体が紫外線を遮断する能力を更に高めることができる。
光学積層体は、上述したように、目視にて検出される異物の数を小さくできる。具体的には、光学積層体において目視にて検出される径100μm以上の異物の数は、好ましくは5個/m以下、より好ましくは3個/m以下、特に好ましくは1個/m以下である。また、光学積層体において目視にて検出される径50μm以上100μm未満の異物の数は、好ましくは20個/m以下、より好ましくは15個/m以下、特に好ましくは5個/m以下である。目視にて検出される異物の数を前記のように小さくできるので、光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いた場合、偏光板の不良箇所を少なくでき、偏光板の歩留まりを向上させることができる。
目視による異物の検出は、次の検出方法によって行いうる。
光学積層体を、黒板上に設置し、蛍光灯で照らす。蛍光灯から発せられて、光学積層体で反射した反射光を目視で観察して、異物を検出しうる。この際、異物の径は、ルーペを用いて測定しうる。
光学積層体は、光学部材としての機能を安定して発揮させる観点から、高い全光線透過率を有することが好ましい。光学積層体の具体的な全光線透過率は、好ましくは85%〜100%、より好ましくは87%〜100%、特に好ましくは90%〜100%である。全光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計を用いて測定しうる。
光学積層体は、光学積層体を組み込んだ表示装置の画像鮮明性を高める観点から、ヘイズが小さいことが好ましい。光学積層体の具体的なヘイズは、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、特に好ましくは0.5%以下である。ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、濁度計を用いて測定しうる。
光学積層体は、面内レターデーションを実質的に有さない光学等方性のフィルムであってもよく、用途に応じた大きさの面内レターデーションを有する光学異方性のフィルムであってもよい。例えば、光学積層体が光学等方性のフィルムである場合、光学積層体の具体的な面内レターデーションは、好ましくは0nm〜20nm、より好ましくは0nm〜10nm、特に好ましくは0nm〜5nmとしうる。また、例えば、光学積層体が1/4波長板として機能しうる光学異方性のフィルムである場合、光学積層体の具体的な面内レターデーションは、好ましくは80nm以上、より好ましくは85nm以上、特に好ましくは90nm以上、且つ、好ましくは180nm以下、より好ましくは160nm以下、特に好ましくは150nm以下としうる。
光学積層体の遅相軸の方向は、任意である。例えば光学積層体が長尺のフィルムである場合、この光学積層体の遅相軸の方向は、光学積層体の幅方向に対して遅相軸がなす配向角θが、用途に応じた所望の角度となるように設定しうる。例えば、光学積層体が1/4波長板として機能しうる光学異方性のフィルムである場合、前記の配向角θは、好ましくは40°以上、より好ましくは43°以上、特に好ましくは44°以上であり、好ましくは50°以下、より好ましくは47°以下、特に好ましくは46°以下である。光学積層体を偏光子保護フィルムとして用いて偏光板を製造する場合には、通常、長尺の偏光子と長尺の光学積層体とを、長手方向を平行にして貼り合わせる。また、偏光子の透過軸は、通常、偏光子の長手方向に平行又は垂直である。したがって、前記のように光学積層体が前記の配向角θを有する場合には、偏光子の透過軸と光学積層体の遅相軸とが45°±5°の角度をなすように、容易に貼り合わせることができる。このようにして製造された偏光板では、偏光子を透過した直線偏光は、光学積層体によって円偏光に変換されうる。よって、この偏光板を液晶表示装置に設ければ、偏光サングラスを着用した場合でも画像の明るさを良好にできる液晶表示装置を容易に実現できる。
光学積層体が含む揮発性成分の量は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下である。揮発性成分の量を前記範囲にすることにより、光学積層体の寸法安定性が向上し、レターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。さらには、光学積層体を備える偏光板及び液晶表示装置の劣化を抑制でき、長期的に液晶表示装置の表示を安定で良好に保つことができる。ここで、揮発性成分は、分子量200以下の物質である。揮発性成分としては、例えば、残留単量体及び溶媒などが挙げられる。揮発性成分の量は、分子量200以下の物質の合計として、ガスクロマトグラフィーにより分析することにより定量しうる。
光学積層体の飽和吸水率は、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下、特に好ましくは0.01%以下であり、理想的にはゼロ%である。光学積層体の飽和吸水率をこのように低くすることにより、光学積層体の光学特性の継時的な変化を抑制することができる。
光学積層体の飽和吸水率は、JIS K7209に従い、下記の手順で測定しうる。
光学積層体を50℃で24時間乾燥し、デシケータ中で放冷する。次いで、乾燥した光学積層体の質量(M1)を測定する。
この光学積層体を、温度23℃、相対湿度50%の室内で24時間水に浸漬し光学積層体を水で飽和させる。その後、水から光学積層体を取り出し、24時間浸漬後の光学積層体の質量(M2)を測定する。
これらの質量の測定値から、次式により、光学積層体の飽和吸水率を求めうる。
飽和吸水率(%)=[(M2−M1)/M1]×100(%)
[8.光学積層体の製造方法]
光学積層体の製造方法に制限は無い。光学積層体は、例えば、樹脂(B)、樹脂(A)及び樹脂(B’)をフィルム状に成形する工程を含む製造方法により、製造しうる。樹脂(B)、樹脂(A)及び樹脂(B’)の成形方法としては、例えば、共押出法及び共流延法などが挙げられる。これらの成形方法の中でも、共押出法は、製造効率に優れ、光学積層体中に揮発性成分を残留させ難いので、好ましい。
共押出法を用いた光学積層体の製造方法は、樹脂(B)、樹脂(A)及び樹脂(B’)を共押し出しする工程を含む。共押出法においては、樹脂(B)、樹脂(A)及び樹脂(B’)は、それぞれ溶融状態で層状に押し出され、第一外側層、中間層及び第二外側層を形成する。この際、樹脂の押出方法としては、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられる。中でも、共押出Tダイ法が好ましい。共押出Tダイ法には、フィードブロック方式及びマルチマニホールド方式があり、厚みのばらつきを少なくできる点で、マルチマニホールド方式が特に好ましい。
共押出法において、押し出される樹脂(B)、樹脂(A)及び樹脂(B’)の溶融温度は、好ましくはTg+80℃以上、より好ましくはTg+100℃以上であり、好ましくはTg+180℃以下、より好ましくはTg+150℃以下である。ここで「Tg」は、樹脂(B)、樹脂(A)及び樹脂(B’)に含まれる脂環式構造を含有する重合体のガラス転移温度のうち、最も高い温度を表す。また、前記の溶融温度は、例えば共押出Tダイ法においては、Tダイを有する押出機における樹脂(B)、樹脂(A)及び樹脂(B’)の溶融温度を表す。押し出される樹脂(B)、樹脂(A)及び樹脂(B’)の溶融温度が、前記範囲の下限値以上であることより、樹脂の流動性を十分に高めて成形性を良好にでき、また、上限値以下であることにより、樹脂の劣化を抑制できる。
押出温度は、樹脂(B)、樹脂(A)及び樹脂(B’)に応じて適切に選択しうる。例えば、押出機内における樹脂の温度は、樹脂投入口ではTg〜(Tg+100℃)、押出機出口では(Tg+50℃)〜(Tg+170℃)、ダイス温度は(Tg+50℃)〜(Tg+170℃)℃としうる。
さらに、ダイのダイスリップの算術平均粗さRaは、好ましくは0μm〜1.0μm、より好ましくは0μm〜0.7μm、特に好ましくは0μm〜0.5μmである。ダイスリップの算術平均粗さを前記範囲に収めることにより、光学積層体のスジ状の欠陥を抑制することが容易となる。
共押出法では、通常、ダイスリップから押し出されたフィルム状の溶融樹脂を冷却ロールに密着させて冷却し、硬化させる。この際、溶融樹脂を冷却ロールに密着させる方法としては、例えば、エアナイフ方式、バキュームボックス方式、静電密着方式などが挙げられる。
前記のように樹脂(B)、樹脂(A)及び樹脂(B’)をフィルム状に成形することにより、樹脂(B)からなる第一外側層と、樹脂(A)からなる中間層と、樹脂(B’)からなる第二外側層とをこの順に備える光学積層体が得られる。
また、光学積層体の製造方法は、延伸工程を含んでいてもよい。上述したように樹脂を成形して得られた光学積層体に延伸処理を施すことにより、この光学積層体に所望の光学特性を発現させることができる。以下の説明において、「延伸前積層体」とは、延伸処理を施される前の光学積層体をいい、「延伸積層体」とは、延伸処理を施された光学積層体をいう。
延伸は、一方向のみに延伸処理を行う一軸延伸処理を行ってもよく、異なる2方向に延伸処理を行う二軸延伸処理を行ってもよい。また、二軸延伸処理では、2方向に同時に延伸処理を行う同時二軸延伸処理を行ってもよく、ある方向に延伸処理を行った後で別の方向に延伸処理を行う逐次二軸延伸処理を行ってもよい。さらに、延伸は、延伸前積層体の長手方向に延伸処理を行う縦延伸処理、延伸前積層体の幅方向に延伸処理を行う横延伸処理、延伸前積層体の幅方向に平行でもなく垂直でもない斜め方向に延伸処理を行う斜め延伸処理のいずれを行ってもよく、これらを組み合わせて行ってもよい。これらの延伸処理の中でも、斜め延伸処理が好ましい。
延伸積層体を偏光子保護フィルムとして用いて偏光板を製造する場合、通常は、偏光子の透過軸と延伸積層体の遅相軸とが所定の角度で交差するように貼り合わせることが求められる。ところが、縦延伸処理及び横延伸処理によって得られる延伸積層体は、その遅相軸の向きが、当該延伸積層体の幅方向と平行又は垂直な方向となる。このように幅方向と平行又は垂直な遅相軸を有する延伸積層体は、通常、偏光子と所定の角度で貼り合わせるために、斜め方向に枚葉に裁断することが求められる。これに対し、斜め延伸処理によって得られる延伸積層体は、遅相軸の方向が、当該延伸積層体の幅方向に対して平行でも垂直でもない斜め方向となる。よって、斜め延伸処理によって得られる延伸積層体は、偏光子とロール・トゥ・ロールで貼りわせることによって偏光板を容易に製造することができる。
延伸温度及び延伸倍率は、延伸によって発現させたい光学特性に応じて任意に設定しうる。具体的な範囲を挙げると、延伸温度は、好ましくはTg−30℃以上、より好ましくはTg−10℃以上であり、好ましくはTg+60℃以下、より好ましくはTg+50℃以下である。また、延伸倍率は、好ましくは1.01倍〜30倍、好ましくは1.01倍〜10倍、より好ましくは1.01倍〜5倍である。
また、光学積層体の製造方法は、前述した工程に加えて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
[9.偏光子保護フィルム]
上述した光学積層体は、位相差フィルム、偏光子保護フィルム、偏光補償フィルム等の光学フィルムとして広範な用途に用いうる。中でも、光学積層体は、偏光子保護フィルムに用いることが好ましい。このような偏光子保護フィルムは、上述した光学積層体を備えるフィルムである。また、偏光子保護フィルムは、光学積層体に組み合わせて、ハードコート層等の任意の層を備えうる。
上述した偏光子保護フィルムを用いることにより、偏光板を得ることができる。この偏光板は、偏光子と、当該偏光子の少なくとも片側に設けられた偏光子保護フィルムとを備える。このような偏光板は、偏光子保護フィルムが備える光学積層体が紫外線を遮断して偏光子を保護できるので、耐久性に優れる。
偏光子としては、直角に交わる二つの直線偏光の一方を透過し、他方を吸収又は反射しうるフィルムを用いうる。偏光子の具体例を挙げると、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系重合体のフィルムに、ヨウ素、二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適切な処理を適切な順序及び方式で施したものが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールを含む偏光子が好ましい。また、偏光子の厚さは、通常、5μm〜80μmである。
さらに、光学積層体が1/4波長板として機能しうる場合には、偏光板において、偏光子の偏光透過軸と、偏光子保護フィルムが備える光学積層体の遅相軸とは、45°±5°の角度をなすことが好ましい。これにより、偏光子を透過した直線偏光を、光学積層体によって円偏光に変換できる。
偏光板は、偏光子の片側に偏光子保護フィルムを貼り合わせることにより、製造できる。貼り合わせに際しては、必要に応じて接着剤を用いてもよい。
偏光板は、上述した偏光子及び偏光子保護フィルムに組み合わせて、更に任意の層を備えていてもよい。例えば、偏光板は、光学積層体を備えた偏光子保護フィルム以外の任意の保護フィルム層を、偏光子の保護のために備えていてもよい。このような保護フィルム層は、通常、偏光子保護フィルムとは反対側の偏光子の面に設けられる。
[10.液晶表示装置]
上述した偏光板は、液晶表示装置に設けうる。通常、液晶表示装置は、光源、光源側偏光板、液晶セル及び視認側偏光板を、この順に備える。上述した偏光板は、液晶表示装置の光源側偏光板又は視認側偏光板として用いることができ、中でも視認側偏光板として用いることが好ましい。視認側偏光板として用いる場合、光学積層体を備える偏光子保護フィルムを用いた偏光板は、通常、偏光子及び光学積層体が光源側からこの順に並ぶように設けられる。
前記のような液晶表示装置は、光学積層体が紫外線を遮断できるので、液晶表示装置を製造するときに浴びる紫外線、及び、液晶表示装置を使用するときに浴びる外光中の紫外線から、液晶セル及び偏光子等の構成部材を保護できる。また、光学積層体において検出される異物の数が少ないので、異物に起因した色ムラ及び着色を抑制でき、画質を向上させることができる。さらに、光学積層体が1/4波長板として機能しうる場合、前記のような液晶表示装置は、円偏光によって画像を表示できるので、偏光サングラスの着用時でも画像の明るさが良好となり、画像の視認性を向上させることができる。
液晶セルの駆動方式としては、例えば、インプレーンスイッチング(IPS)モード、バーチカルアラインメント(VA)モード、マルチドメインバーチカルアラインメント(MVA)モード、コンティニュアスピンホイールアラインメント(CPA)モード、ハイブリッドアラインメントネマチック(HAN)モード、ツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モード、オプチカルコンペンセイテッドベンド(OCB)モードなどが挙げられる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[評価方法]
〔面内レターデーションの測定方法〕
光学積層体の波長550nmにおける面内レターデーションReは、ポラリメーター(Axiometric社製「Axoscan」)を用いて測定した。
〔光線透過率の測定方法〕
光学積層体の波長380nmにおける光線透過率は、JIS K 0115(吸光光度分析通則)に準拠して、分光光度計(日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計「V−570」)を用いて測定した。
〔異物の検出方法〕
光学積層体を、黒板上に設置し、蛍光灯で照らした。蛍光灯から発せられて、光学積層体で反射した反射光を目視で観察し、異物を検出した。また、検出された異物の径をルーペを用いて測定し、径100μm以上の異物と、径50μm以上100μm未満の異物に分類した。
[実施例1]
〔1−1.紫外線吸収剤及び脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂の製造〕
全長1848mm、直径44mmのスクリューを備える二軸押出機(東芝社製、スクリュー長さLとスクリューの直径Dとの比L/D=42)を用意した。このスクリューは、当該スクリューの上流端部からの距離が685mm、920mm及び1190mmとなる位置に、合計3か所のニーディングゾーンを有していた。ここで、前記のスクリューの上流端部からニーディングゾーンの位置までの距離とは、スクリューの上流端部からニーディングゾーンの上流端部までの距離をいう。また、上流とは、樹脂の流れ方向における上流をいう。さらに、各ニーディングゾーンの長さLnxとスクリューの直径Dとの比Lnx/Dは、上流のニーディングゾーンから順に、Lnx/D=4、Lnx/D=2及びLnx/D=2であった。
この二軸押出機に、脂環式構造を含有する重合体(日本ゼオン社製、ガラス転移温度123℃)100部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ADEKA社製「LA−31])7.5部とを投入し、混練して、紫外線吸収剤を含有率7.0%で含む樹脂(a1)を得た。
〔1−2.延伸前積層体の製造〕
目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを備える、ダブルフライト型単軸押出機(スクリューの直径D=50mm、スクリューの長さLとスクリューの直径Dとの比L/D=28)を用意した。この単軸押出機に前記樹脂(a1)を導入し、溶融させて、フィードブロックを介して単層ダイに供給した。単軸押出機への樹脂(a1)の導入は、単軸押出機に装填されたホッパーを介して行った。また、前記の単層ダイのダイスリップの表面粗さ(算術平均粗さRa)は、0.1μmであった。さらに、樹脂(a1)の押出機出口温度は、260℃であった。
他方、目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを備える単軸押出機(スクリューの直径D=50mm、スクリューの長さLとスクリューの直径Dとの比L/D=30)1台を用意した。この単軸押出機に、樹脂(b1)として、樹脂(a1)に含まれるのと同様の脂環式構造を含有する重合体(日本ゼオン社製、ガラス転移温度123℃)を導入し、溶解させて、フィードブロックを介して前記の単層ダイに供給した。樹脂(b1)の押出機出口温度は、260℃であった。
その後、樹脂(b1)の層、樹脂(a1)の層、及び、樹脂(b1)の層の3層を含むフィルム状に吐出されるように、前記の樹脂(a1)及び樹脂(b1)を、260℃の溶融状態で単層ダイから吐出させた(共押出成形工程)。そして、吐出された樹脂を、100℃に温度調整された冷却ロールにキャストし、50℃に温度調整された冷却ロールに通して、長尺の延伸前積層体を得た。樹脂を単層ダイから吐出させて冷却ロールにキャストする際、エアギャップ量は50mmに設定した。また、溶融状態のフィルム状の樹脂を冷却ロールにキャストする方法としては、エッジピニングを採用した。
得られた延伸前積層体は、樹脂(b1)からなる層、樹脂(a1)からなる層、及び、樹脂(b1)からなる層をこの順に備える、2種3層のフィルムであった。この延伸前積層体の総厚みは、45μmであった。また、樹脂(b1)からなる2層の合計厚みに対する樹脂(a1)からなる層の厚みの比は、0.73であった。
その後、前記の延伸前積層体の両端をトリミングして、幅を1230mmとした。
〔1−3.延伸前積層体の延伸〕
前記の延伸前積層体を、その長手方向に搬送して、テンター延伸機に連続的に供給した。そして、前記のテンター延伸機によって延伸前積層体を連続的に延伸し、更に幅方向の両端をトリミングして、幅1290mm、総厚み32μmの長尺の延伸積層体を得た。前記の延伸は、延伸後に得られる延伸積層体の遅相軸が、当該延伸積層体の幅方向に対して45°の角度をなすように、斜め方向に行った。その後、製造された延伸積層体をロール状に巻き取って回収した。
得られた延伸積層体を、光学積層体として、上述した方法によって評価した。その結果、延伸積層体の面内レターデーションReは99nm、延伸積層体の波長380nmにおける光線透過率は1.50%、延伸積層体において検出された径100μm以上の異物数は4個/m、径50μm以上100μm未満の異物数は15個/mであった。
[実施例2]
前記工程〔1−2〕において、樹脂(a1)及び樹脂(b1)を単層ダイから吐出させる際の条件(押出条件)を調整することにより、延伸前積層体の総厚みを55μmに変更し、且つ、樹脂(b1)からなる2層の合計厚みに対する樹脂(a1)からなる層の厚みの比を0.53に変更した。
さらに、前記工程〔1−3〕において、延伸条件を調整することにより、延伸積層体の厚みを39μmに変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にして、光学積層体としての延伸積層体の製造及び評価を行った。
[実施例3]
樹脂(a1)及び樹脂(b1)を単層ダイから吐出させる際の条件(押出条件)を調整することにより、延伸前積層体の総厚みを25μmに変更し、且つ、樹脂(b1)からなる2層の合計厚みに対する樹脂(a1)からなる層の厚みの比を0.48に変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程〔1−2〕と同様にして、延伸前積層体を製造した。
こうして得られた延伸前積層体を、光学積層体として、上述した方法によって評価した。
[比較例1]
前記工程〔1−2〕において、樹脂(a1)及び樹脂(b1)を単層ダイから吐出させる際の条件(押出条件)を調整することにより、延伸前積層体の総厚みを70μmに変更し、且つ、樹脂(b1)からなる2層の合計厚みに対する樹脂(a1)からなる層の厚みの比を1.1に変更した。
さらに、前記工程〔1−3〕において、延伸条件を調整することにより、延伸積層体の厚みを47μmに変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にして、光学積層体としての延伸積層体の製造及び評価を行った。
[比較例2]
前記工程〔1−2〕において、樹脂(a1)及び樹脂(b1)を単層ダイから吐出させる際の条件(押出条件)を調整することにより、延伸前積層体の総厚みを38μmに変更し、且つ、樹脂(b1)からなる2層の合計厚みに対する樹脂(a1)からなる層の厚みの比を1.1に変更した。
さらに、前記工程〔1−3〕において、延伸条件を調整することにより、延伸積層体の厚みを26μmに変更した。
以上の事項以外は実施例1と同様にして、光学積層体としての延伸積層体の製造及び評価を行った。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1に示す。下記の表1において、略称の意味は、下記の通りである。
総厚み(延伸前):延伸前積層体の総厚み。
総厚み(延伸後):延伸積層体の総厚み。
厚み比:樹脂(b1)からなる2層の合計厚みに対する樹脂(a1)からなる層の厚みの比。
UVA濃度:樹脂(a1)における紫外線吸収剤の濃度。
Re:光学積層体の面内レターデーション。
UV透過率:光学積層体の波長380nmにおける光線透過率。
Figure 2017068227
[検討]
比較例1及び2から分かるように、従来の光学積層体では、総厚みが厚いと目視にて検出される異物の数は少ないが、総厚みを薄くすると目視にて検出される異物の数が多くなっていた。これに対し、実施例1〜3の光学積層体は、総厚みを薄くしながら、目視にて検出される異物の数を少なくできている。この結果から、本発明の光学積層体は、目視にて検出される異物の数を少なくできることが確認された。
100 光学積層体
100U及び100D 光学積層体の表面
110 第一外側層
120 第二外側層

Claims (5)

  1. 脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B)からなる第一外側層と、脂環式構造を含有する重合体及び紫外線吸収剤を含む樹脂(A)からなる中間層と、脂環式構造を含有する重合体を含む樹脂(B’)からなる第二外側層とを、この順に備える光学積層体であって、
    前記第一外側層及び前記第二外側層の合計厚みに対する前記中間層の厚みの比が、0.3以上0.9未満である、光学積層体。
  2. 前記光学積層体の厚みが、20μm以上40μm以下であり、
    前記光学積層体の波長380nmにおける光線透過率が、10%以下である、請求項1記載の光学積層体。
  3. 目視にて検出される径100μm以上の異物の数が、5個/m以下であり、且つ、
    目視にて検出される径50μm以上100μm未満の異物の数が、20個/m以下である、請求項1又は2記載の光学積層体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学積層体の製造方法であって、
    前記樹脂(B)、前記樹脂(A)及び前記樹脂(B’)を共押し出しする工程を含む、光学積層体の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学積層体を備える、偏光子保護フィルム。
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