JP2020033517A - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020033517A
JP2020033517A JP2018163568A JP2018163568A JP2020033517A JP 2020033517 A JP2020033517 A JP 2020033517A JP 2018163568 A JP2018163568 A JP 2018163568A JP 2018163568 A JP2018163568 A JP 2018163568A JP 2020033517 A JP2020033517 A JP 2020033517A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
additive
resin composition
cylinder
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018163568A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7081398B2 (ja
Inventor
村田 直紀
Naoki Murata
直紀 村田
兵太 中堀
Heita Nakahori
兵太 中堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2018163568A priority Critical patent/JP7081398B2/ja
Publication of JP2020033517A publication Critical patent/JP2020033517A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7081398B2 publication Critical patent/JP7081398B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】異物の発生を抑制できる熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】二軸押出機を用いて熱可塑性樹脂80重量%〜99重量%及び添加剤20重量%〜1重量%を含む熱可塑性樹脂組成物を製造する製造方法であって、押出機のシリンダ内の混練室に熱可塑性樹脂及び添加剤を供給する工程と、混練室内で熱可塑性樹脂及び添加剤を混練して熱可塑性樹脂組成物を得る工程と、シリンダの吐出口から熱可塑性樹脂組成物を吐出させる工程と、を含み、混練室に供給される添加剤が最大長が1mm以上5mm以下の粒子形状を有し、吐出口から吐出される熱可塑性樹脂組成物の温度が所定範囲にあり、シリンダの所定の区間におけるシリンダ温度が所定範囲にある、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂及び添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
熱可塑性樹脂と添加剤とを混練して熱可塑性樹脂組成物を製造する方法の一つとして、押出機を用いる方法が知られている(特許文献1〜3)。この押出機としては、複数のスクリューを備える押出機が用いられることがある。
特開2006−124416号公報 特開2008−274081号公報 特開2018−83886号公報
前記の押出機では、一般に、シリンダ内において熱可塑性樹脂及び添加剤を溶融させ、回転する複数のスクリューによってその溶融した熱可塑性樹脂及び添加剤を混練して、熱可塑性樹脂組成物を得る。得られた熱可塑性樹脂組成物は、シリンダの先端に形成された吐出口を通して押し出され、回収される。
しかし、前記のような押出機を用いた従来の方法では、熱可塑性樹脂組成物に異物が発生することがあった。この異物の原因の一つとしては、添加剤の塊りが熱可塑性樹脂組成物中に生成することが考えられる。特に、熱可塑性樹脂80重量%〜99重量%と添加剤20重量%〜1重量%とを含む熱可塑性樹脂組成物において、前記の異物が発生し易かった。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、異物の発生を抑制できる熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく、押出機を用いて熱可塑性樹脂80重量%〜99重量%と添加剤20重量%〜1重量%とを含む熱可塑性樹脂組成物を製造する方法について検討した。その結果、本発明者は、押出機に供給する添加剤として所定の最大径を有する粒子状の添加剤を採用すること、押出機から吐出される熱可塑性樹脂組成物の温度を所定の範囲に収めること、及び、シリンダ内の所定の区間でシリンダ温度を添加剤の融点以下に設定すること、を組み合わせることにより、前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 シリンダ及び前記シリンダ内に収納された複数のスクリューを備える押出機を用いて、ガラス転移温度Tgを有する熱可塑性樹脂80重量%〜99重量%及び融点Mpを有する添加剤20重量%〜1重量%を含む熱可塑性樹脂組成物を製造する製造方法であって、
前記シリンダが、前記スクリューを収納した混練室、前記混練室に前記熱可塑性樹脂及び前記添加剤を供給できる原料供給口、及び、前記熱可塑性樹脂組成物を吐出できる吐出口を有し、
前記製造方法が、
前記原料供給口を通して前記混練室に、前記熱可塑性樹脂及び前記添加剤を供給する工程と、
前記混練室内で前記熱可塑性樹脂及び前記添加剤を混練して前記熱可塑性樹脂組成物を得る工程と、
前記吐出口から前記熱可塑性樹脂組成物を吐出させる工程と、を含み、
前記原料供給口を通して前記混練室に供給される前記添加剤が、最大長が1mm以上5mm以下の粒子形状を有し、
前記吐出口から吐出される前記熱可塑性樹脂組成物の温度T1が、Tg+100℃以上、Tg+200℃以下であり、
前記原料供給口の中心からの距離が前記スクリューのスクリュー径の2倍以上10倍以下の区間における前記シリンダの温度T2が、前記添加剤の融点Mp以下である、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
〔2〕 前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgが、90℃以上200℃以下であり、
前記添加剤の融点Mpが、80℃以上300℃以下である、〔1〕に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
〔3〕 前記熱可塑性樹脂が、脂環式構造を含有する重合体を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
〔4〕 前記添加剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によれば、異物の発生を抑制できる。
図1は、本発明の一実施形態として製造方法で用いる二軸押出機を、その一部を破断して示す模式的な側面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「上流」及び「下流」とは、別に断らない限り、熱可塑性樹脂、添加剤及び熱可塑性樹脂組成物の流れ方向の上流及び下流を表す。
[1.実施形態]
(1.1.概要)
本発明の一実施形態に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方法では、複数のスクリューを備える押出機を用いて、ガラス転移温度Tgを有する熱可塑性樹脂及び融点Mpを有する添加剤を所定の比率で混練して、これらの熱可塑性樹脂及び添加剤含む熱可塑性樹脂組成物を製造する。
製造される熱可塑性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂の量は、熱可塑性樹脂及び添加剤の合計100重量%に対して、通常80重量%以上、好ましくは83重量%以上、より好ましくは85重量%以上であり、通常99重量%以下、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。
また、製造される熱可塑性樹脂組成物に含まれる添加剤の量は、熱可塑性樹脂及び添加剤の合計100重量%に対して、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であり、通常20重量%以下、好ましくは17重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
本実施形態に係る製造方法によれば、前記の比率で熱可塑性樹脂及び添加剤を含む熱可塑性樹脂組成物を、異物の発生を抑制しながら製造することが可能である。
(1.2.押出機の説明)
図1は、本発明の一実施形態として製造方法で用いる二軸押出機100を、その一部を破断して示す模式的な側面図である。ただし、図1では、複数のスクリュー120のうち一本のみを図示し、残りのスクリューの図示を省略する。図1に示すように、本実施形態では、2本のスクリュー120を備える二軸押出機100を押出機として用いた例を示して説明する。この二軸押出機100は、シリンダ110と、このシリンダ110内に収納された2本のスクリュー120とを備える。
シリンダ110は、当該シリンダ110内で熱可塑性樹脂と添加剤との混練を行うための容器である。このシリンダ110には、混練室130、原料供給口140及び吐出口150が形成されている。
混練室130は、当該混練室130内で熱可塑性樹脂と添加剤との混練を行えるようにシリンダ110内に形成された中空部である。混練室130は、通常、スクリュー120の軸方向に延びるように形成されていて、この混練室130内にスクリュー120が収納されている。以下の説明において、別に断らない限り、「軸方向」は、スクリュー120の軸方向をいう。
原料供給口140は、熱可塑性樹脂及び添加剤を混練室130に供給できるように形成された孔である。通常、原料供給口140は、シリンダ110の壁部111に、この壁部111を貫通するように形成される。原料供給口140は、一般に、シリンダ110の上流側の端部112の近傍に形成される。よって、原料供給口140は、一般に、シリンダ110の吐出口150から遠い側の端部112の近傍に設けられる。
吐出口150は、混練室130内で得られた熱可塑性樹脂組成物を、シリンダ110の外へ吐出できるように形成された孔である。通常、吐出口150は、シリンダ110の一方の軸方向の端部113に形成される。
複数のスクリュー120は、それぞれ、相対的に凹んだ溝部121及び相対的に突出したフライト部122を有しており、軸方向に延在して設けられている。これらのスクリュー120は、シリンダ110の他方の軸方向の端部(吐出口150とは反対側の端部)112に形成された軸受け(図示せず)によって、回転可能に支持されている。また、スクリュー120には、スクリュー120を周方向に回転させる動力を供給するための駆動装置(図示せず)が接続されている。
複数のスクリュー120の組み合わせは、完全噛み合い型、不完全噛み合い型、非噛み合い型のいずれであってもよい。中でも、混練性が良好であるので、完全噛み合い型が好ましい。また、複数のスクリュー120の回転方向は、同方向でもよく、異方向でもよい。
スクリュー120の回転速度は、熱可塑性樹脂と添加剤とを混練できる範囲で、任意に設定しうる。具体的なスクリュー120の回転速度は、好ましくは150rpm以上、より好ましくは160rpm以上、特に好ましくは170rpm以上であり、好ましくは500rpm以下、より好ましくは450rpm以下、特に好ましくは400rpm以下である。スクリュー120の回転速度が前記範囲のある場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を特に効果的に抑制できる。
スクリュー120は、スクリュー長さLとスクリュー径φとの比L/φが所定の範囲に収まるように設けられていることが好ましい。スクリュー120のスクリュー径φとは、フライト部122における径を表す。前記の比L/φの具体的な範囲は、好ましくは30以上、より好ましくは40以上であり、好ましくは60以下、より好ましくは50以下である。スクリュー長さLとスクリュー径φとの比L/φが前記範囲にある場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を特に効果的に抑制できる。
通常、複数のスクリュー120のスクリュー径φは、同じである。具体的なスクリュー径φは、好ましくは20mm以上であり、好ましくは80mm以下である。また、通常、複数のスクリュー120のスクリュー長さLは、同じである。具体的なスクリュー長さLは、好ましくは900mm以上であり、好ましくは2400mm以下である。
シリンダ110の外周には、シリンダ110の所望の位置を所望の温度に調整できるように、温度調整装置としてのヒーター(図示せず)が設けられている。このヒーターにおける温度制御は、軸方向における原料供給口140の中心141からの距離Lに応じて行われる。以下、シリンダ110の温度調整について説明する。
シリンダ110を、軸方向において区分した場合を考える。このとき、シリンダ110は、第一区間160、第二区間170及び第三区間180を含む。
第一区間160は、原料供給口140の中心141からの距離Lが、スクリュー径φの2倍未満の区間を示す。すなわち、原料供給口140の中心141からの距離Lが「φ×2」となる部位を「第一境界部位P1」と呼ぶ場合、この第一境界部位P1よりも上流の区間が、第一区間160である。
第一区間160では、シリンダ110の温度は、熱可塑性樹脂と添加剤との混練を妨げない範囲で任意に設定しうる。通常は、第一区間160でのシリンダ110の温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以下で且つ添加剤の融点Mp以下に調整される。省エネルギーの観点では、第一区間160にはヒーターを設けず、シリンダ110の温度が周囲の環境と同程度の温度(例えば、常温)となるようにしてもよい。
第二区間170は、原料供給口140の中心141からの距離Lが、スクリュー径φの2倍以上10倍以下の区間を示す。すなわち、原料供給口140の中心141からの距離Lが「φ×10」となる部位を「第二境界部位P2」と呼ぶ場合、第一境界部位P1から第二境界部位P2までの区間が、第二区間170である。
第二区間170では、シリンダ110の温度が、添加剤の融点Mp以下となるように調整される。詳細には、第二区間170でのシリンダ110の温度T2は、好ましくはMp−120以上、より好ましくはMp−100℃以上、特に好ましくはMp−50℃以上であり、通常Mp以下、好ましくはMp−5℃以下、より好ましくはMp−10℃以下である。第二区間170でのシリンダ110の温度T2が、前記範囲の上限以下である場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を抑制できる。また、第二区間170でのシリンダ110の温度が、前記範囲の下限値より高い場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制でき、更には、熱可塑性樹脂と添加剤との混練を促進できるので、熱可塑性樹脂組成物の製造速度を改善できる。
さらに、第二区間170でのシリンダ110の温度T2は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgを基準にすると、好ましくはTg以上、より好ましくはTg+5℃以上、特に好ましくはTg+10℃以上であり、好ましくはTg+250℃以下、より好ましくはTg+200℃以下、特に好ましくはTg+150℃以下である。このように、第二区間170でのシリンダ110の温度T2が、前記範囲の下限値以上である場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制できる。
第三区間180は、原料供給口140の中心141からの距離Lが、スクリュー径φの10倍よりも大きいある部位から、吐出口までの区間を示す。ここでは、第二境界部位P2から吐出口150までの区間を、第三区間180として説明する。このように図1に示す例では第二区間170と第三区間180とは連続している例を示すが、所望の熱可塑性樹脂組成物が得られる限り、第二区間170と第三区間180との間に任意の区間を設けても構わない。
軸方向における第三区間180の長さは、所望の熱可塑性樹脂組成物を得られる範囲で任意に設定しうる。具体的な長さは、スクリュー径φの10倍以上が好ましく、スクリュー径の15倍以上がより好ましく、スクリュー径φの20倍以上が特に好ましくは、また、スクリュー径φの100倍以下が好ましく、スクリュー径の90倍以下がより好ましく、スクリュー径の80倍以下が特に好ましい。軸方向における第三区間180の長さが前記の範囲の下限値以上である場合、熱可塑性樹脂組成物における添加剤の塊りの生成による異物の発生を効果的に抑制できる。また、軸方向における第三区間180の長さが前記の範囲の上限値以下である場合、熱可塑性樹脂の熱劣化による異物の発生を抑制できる。
第三区間180でのシリンダ110の温度は、吐出口150から吐出される時点における熱可塑性樹脂組成物の温度T1が所望の温度となる範囲で、任意に設定される。シリンダ110内では、熱可塑性樹脂組成物は、通常、シリンダ110から与えられる熱を受けて、加熱される。この際、熱可塑性樹脂組成物は、シリンダ110内において次第に加熱されるので、シリンダ110内を移動する熱可塑性樹脂組成物の温度は、一般に、下流ほど高温であり、吐出口150から吐出される時点において最高となる。よって、吐出口150から吐出される時点における熱可塑性樹脂組成物の温度T1は、第三区間180でのシリンダ110の温度によって、調整できる。
吐出口150から吐出される時点における熱可塑性樹脂組成物の温度T1は、通常Tg+100℃以上、好ましくはTg+120℃以上、より好ましくはTg+140℃以上であり、通常Tg+200℃以下、好ましくはTg+180℃以下、より好ましくはTg+160℃以下である。このような温度T1の熱可塑性樹脂組成物が吐出口150から吐出されるようにシリンダ110の温度を調整される場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を抑制できる。
シリンダ110内を移動する熱可塑性樹脂組成物は、シリンダ110を介してヒーターから与えられる熱に加え、スクリュー120による混練によって与えられる圧力及び摩擦によっても加熱されうる。したがって、第三区間180でのシリンダ110の温度は、通常、吐出口150から吐出される時点における熱可塑性樹脂組成物の温度T1以下の範囲で、設定される。また、第三区間180におけるシリンダ110の温度は、均一でもよく、不均一でもよい。例えば、軸方向の位置に応じて、第三区間180におけるシリンダ110の温度が異なっていてもよい。
第三区間180でのシリンダ110の具体的な温度は、添加剤の融点Mpを基準にすると、好ましくはMp+50℃以上、より好ましくはMp+70℃以上、特に好ましくはMp+100℃以上であり、好ましくはMp+300℃以下、より好ましくはMp+250℃以下、特に好ましくはMp+200℃以下である。また、第三区間180でのシリンダ110の具体的な温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgを基準にすると、好ましくはTg+50℃以上、より好ましくはTg+70℃以上、特に好ましくはTg+100℃以上であり、好ましくはTg+300℃以下、より好ましくはTg+250℃以下、特に好ましくはTg+200℃以下である。第三区間180でのシリンダ110の温度が前記範囲にある場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制できる。
(1.3.各工程の説明)
本実施形態に係る二軸押出機100は、上述した構成を有する。この二軸押出機100を用いて熱可塑性樹脂組成物を製造する製造方法では、スクリュー120を回転させ、シリンダ110の温度を上述したように調整した状態で;
原料供給口140を通して混練室130に、熱可塑性樹脂及び添加剤を供給する工程(I)と;
混練室130内で熱可塑性樹脂及び添加剤を混練して、熱可塑性樹脂組成物を得る工程(II)と;
吐出口150から熱可塑性樹脂組成物を吐出させる工程と;
を行う。
工程(I)では、原料供給口140を通して、混練室130に、熱可塑性樹脂及び添加剤を供給する。この際、供給される熱可塑性樹脂と添加剤との量比は、所望の組成の熱可塑性樹脂組成物が得られるように設定される。
工程(I)において、原料供給口140を通して混練室130に供給されるときの添加剤としては、所定のサイズを有する粒子形状の添加剤を用いる。すなわち、工程(I)において添加剤としては、所定のサイズの添加剤の粒子を用いる。
具体的には、工程(I)における添加剤の粒子の最大長は、通常1mm以上、好ましくは2mm以上、より好ましくは3mm以上であり、通常5mm以下、好ましくは4.5mm以下、より好ましくは4mm以下である。このような最大長を有する添加剤の粒子を供給する場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を抑制できる。
さらに、工程(I)における添加剤の粒子の最小長は、通常1mm以上、好ましくは1.5mm以上、より好ましくは2mm以上であり、通常5mm以下、好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下である。このような最小長を有する添加剤の粒子を供給する場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制できる。
粒子の最大長とは、粒子を観察して得られる像における長手方向の長さのうち最大の長さを言う。また、粒子の最小長とは、粒子を観察して得られる像における短手方向の長さのうち最小の長さを言う。例えば、長方形の像が観察された場合には、その長方形の長辺の長さを最大長といい、その長方形の短辺の長さを最小長という。また、例えば、楕円形の像が観察された場合には、その楕円形の長軸の長さを最大長といい、その楕円形の短軸の長さを最小長という。粒子の最大長は、目視又は顕微鏡による観察によって測定できる。
添加剤の粒子の最大長と最小長の比(最大長/最小長)は、所望の熱可塑性樹脂組成物が得られる範囲で任意である。前記の比は、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制する観点では、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上、特に好ましくは1.3以上であり、好ましくは10.0以下、より好ましくは9.0以下、特に好ましくは7.0以下である。
さらに、工程(I)において、原料供給口140を通して混練室130に供給されるときの熱可塑性樹脂としては、所定のサイズを有する粒子形状の熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。すなわち、工程(I)において熱可塑性樹脂としては、所定のサイズの熱可塑性樹脂の粒子を用いる好ましい。
具体的には、工程(I)における熱可塑性樹脂の粒子の最大長は、好ましくは1mm以上、より好ましくは2mm以上、特に好ましくは3mm以上であり、好ましくは12mm以下、より好ましくは10mm以下、特に好ましくは7mm以下である。このような最大長を有する熱可塑性樹脂の粒子を供給する場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制できる。
また、工程(I)における熱可塑性樹脂の粒子の最大長と添加剤の粒子の最大長との比(熱可塑性樹脂/添加剤)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、特に好ましくは0.5以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.0以下である。工程(I)で供給される熱可塑性樹脂の粒子の最大長と添加剤の粒子の最大長との比が前記の範囲にある場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制できる。
さらに、工程(I)における熱可塑性樹脂の粒子の最小長は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上、特に好ましくは1.5mm以上であり、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、特に好ましくは3mm以下である。このような最小長を有する熱可塑性樹脂の粒子を供給する場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制できる。
また、工程(I)における熱可塑性樹脂の粒子の最小長と添加剤の粒子の最小長との比(熱可塑性樹脂/添加剤)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、特に好ましくは0.5以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.0以下である。工程(I)で供給される熱可塑性樹脂の粒子の最小長と添加剤の粒子の最小長との比が前記の範囲にある場合、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制できる。
熱可塑性樹脂の粒子の最大長と最小長の比(最大長/最小長)は、所望の熱可塑性樹脂組成物が得られる範囲で任意である。前記の比は、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制する観点では、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは2.0以上であり、好ましくは10.0以下、より好ましくは7.0以下、特に好ましくは5.0以下である。
工程(I)で供給された熱可塑性樹脂及び添加剤は、混練室130に入る。そして、熱可塑性樹脂及び添加剤は、回転するスクリュー120によって混練室130内を移動させられながら混練されて、熱可塑性樹脂組成物を得る工程(II)が行われる。この工程(II)の詳細は、下記の通りである。
原料供給口140を通して混練室130に供給された熱可塑性樹脂及び添加剤は、シリンダ110の第一区間160内の部分に進入する。
第一区間160においてシリンダ110の温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgより高くてもよいが、好ましくは熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以下である。よって、好ましくは、熱可塑性樹脂は第一区間160において粒子の形状を維持する。また、通常、第一区間160においてシリンダ110の温度は添加剤の融点Mp以下に設定されるので、添加剤は第一区間160において粒子の形状を維持する。そして、このような状態の熱可塑性樹脂及び添加剤が、スクリュー120によって混練されながら、下流へと移動させられる。
次に、熱可塑性樹脂及び添加剤は、シリンダ110の第二区間170内の部分に進入する。
第二区間170においてシリンダ110の温度T2は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以下であってもよいが、好ましくは熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgよりも高い。よって、好ましくは、第二区間170において熱可塑性樹脂の粒子の形状は失われ、溶融して流体状となる。また、通常、第二区間170においてシリンダ110の温度T2は添加剤の融点Mp以下に設定されるので、添加剤は第二区間170において粒子の形状を維持する。そして、このような状態の熱可塑性樹脂及び添加剤が、スクリュー120によって混練されながら、下流へと移動させられる。
次に、熱可塑性樹脂及び添加剤は、シリンダ110の第三区間180内の部分に進入する。
第三区間180において、シリンダ110の温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgよりも高く設定されるので、熱可塑性樹脂は第三区間180において溶融した流体状となる。また、第三区間180においてシリンダ110の温度は添加剤の融点Mpより高く設定されるので、添加剤の粒子の形状は失われ、溶融して流体状となる。そして、このような状態の熱可塑性樹脂及び添加剤が、スクリュー120によって混練されながら、下流へと移動させられる。
上述した工程(II)での混練により、熱可塑性樹脂及び添加剤が一様に混ぜ合わせられて、均一な組成を有する熱可塑性樹脂組成物が得られる。この熱可塑性樹脂組成物は、その後、工程(III)において、吐出口150から吐出させられて、回収される。
本実施形態に係る製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
例えば、吐出口150から外気中へと熱可塑性樹脂組成物が吐出された場合、その熱可塑性樹脂組成物は外気によって冷却され、硬化する。よって、熱可塑性樹脂組成物は、通常、固体状のストランドとして得られる。そこで、熱可塑性樹脂組成物の取り扱い性を高めるため、本実施形態に係る製造方法は、前記の熱可塑性樹脂組成物のストランドを切断してペレット状に加工する工程を含んでいてもよい。
上述した実施形態に係る製造方法によれば、添加剤の塊りの生成及び熱可塑性樹脂の劣化を抑制できるので、異物の発生を抑制しながら熱可塑性樹脂組成物を製造できる。よって、得られた熱可塑性樹脂組成物に含まれる異物の個数を少なくできる。熱可塑性樹脂組成物に含まれる異物の個数は、熱可塑性樹脂組成物を押出成形してフィルムを得て、この得られたフィルムを観察することにより測定できる。例えば、実施例に記載の方法によって熱可塑性樹脂組成物で透明フィルムを製造した場合、その透明フィルムの100mm×100mmの範囲に含まれる長辺100μm以上の異物の個数を、上述した実施形態に係る製造方法によれば、50個未満にできる。
一般に、添加剤は、粉状で販売されることが多い。また、従来は、シリンダ内で熱可塑性樹脂及び添加剤をなるべき早期に溶融させ、流体状で混練される期間を長くすることが通常であった。ところが、この従来の方法で上述した組成の熱可塑性樹脂組成物を製造すると、添加剤の分散が不十分となって熱可塑性樹脂組成物に添加剤の塊りが残り、この塊りが異物となって現れることがあった。これに対し、上述した実施形態に係る方法では、シリンダ110内に所定サイズの添加剤の粒子を供給し、その添加剤の粒子がシリンダ110内の所定の上流区間(即ち、第二区間170)でその粒子の形状を維持するようにしたことで、熱可塑性樹脂と添加剤との良好な混ざり合いが促進され、添加剤の塊りの生成が抑制されるので、異物の発生が抑制されている。ただし、シリンダ110内での熱可塑性樹脂及び添加剤の温度が低すぎると混練が不十分となりうる一方、温度が高すぎると熱可塑性樹脂が劣化するので、却って異物が発生しやすくなる。そこで、上述した実施形態に係る製造方法では、シリンダ110の下流区間(第三区間180を含む。)での熱可塑性樹脂及び添加剤の温度を適切に調整しており、この調整された温度が吐出時点での熱可塑性樹脂組成物の温度T1に現れている。
上述した説明において「粒子の形状を維持する」とは、溶融による完全な流体化が粒子に起こっていないことを表す。よって、「粒子の形状を維持する」ことには、粒子の割れ又は変形が生じたり、粒子が部分的に溶融したりすることが含まれうる。
また、上述した実施形態では、熱可塑性樹脂及び添加剤のみを含む熱可塑性樹脂組成物の製造方法を例に挙げて説明したが、異物の発生を抑制できる範囲であれば、前記の熱可塑性樹脂及び添加剤に組み合わせて更に任意の成分を混練して熱可塑性樹脂組成物を製造してもよい。ただし、異物の発生を効果的に抑制する観点では、熱可塑性樹脂及び添加剤のみを混練して、それら熱可塑性樹脂及び添加剤のみを含む熱可塑性樹脂組成物を製造することが好ましい。
上述した実施形態では、2本のスクリュー120を備える二軸押出機100を押出機として用いた例を示して説明したが、押出機が備えるスクリューの数は、3本以上であってもよい。ただし、異物の発生を効果的に抑制する観点では、押出機としては二軸押出機100が好ましい。
[2.熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度Tgを有する任意の樹脂を用いうる。熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgは、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、特に好ましくは110℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、特に好ましくは180℃以下である。前記の範囲のガラス転移温度Tgを有する熱可塑性樹脂を採用した場合に、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制できる。
樹脂のガラス転移温度は、示差操作熱量計(DSC)を用いて、JIS K7121の方法により、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で測定することにより測定できる。
熱可塑性樹脂は、通常、熱可塑性の重合体を含む。この重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド;ポリビニルアルコール;ポリカーボネート;ポリアリレート;セルロースエステル重合体、ポリエーテルスルホン;ポリスルホン;ポリアリルサルホン;ポリ塩化ビニル;ノルボルネン系重合体等の、脂環式構造を含有する重合体;棒状液晶ポリマーなどが挙げられる。重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、重合体は、単独重合体でもよく、共重合体でもよい。これらの中でも、機械特性、耐熱性、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
脂環式構造を含有する重合体は、その重合体の構造単位が脂環式構造を含有する。脂環式構造を含有する重合体は、通常、耐湿熱性に優れる。そのため、脂環式構造を含有する重合体を用いることにより、熱可塑性樹脂組成物の耐湿熱性を良好にできる。
脂環式構造を含有する重合体は、主鎖に脂環式構造を有していてもよく、側鎖に脂環式構造を有していてもよい。中でも、機械的強度及び耐熱性の観点から、主鎖に脂環式構造を含有する重合体が好ましい。
脂環式構造としては、例えば、飽和脂環式炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環式炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数は、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下の範囲である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にある場合、熱可塑性樹脂組成物の機械強度、耐熱性及び成形性が高度にバランスされる。
脂環式構造を含有する重合体において、脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択しうる。脂環式構造を含有する重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合は、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を含有する重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合がこの範囲にある場合、熱可塑性樹脂組成物の透明性及び耐熱性が良好である。
脂環式構造を含有する重合体としては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物が挙げられる。これらの中でも、透明性及び成形性が良好であるので、ノルボルネン系重合体及びこの水素添加物がより好ましい。
ノルボルネン系重合体及びその水素添加物の例としては、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体及びその水素添加物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体及びその水素添加物が挙げられる。また、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の開環単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の開環共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との開環共重合体が挙げられる。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の例としては、ノルボルネン構造を有する1種類の単量体の付加単独重合体、ノルボルネン構造を有する2種類以上の単量体の付加共重合体、並びに、ノルボルネン構造を有する単量体及びこれと共重合しうる任意の単量体との付加共重合体が挙げられる。これらの重合体としては、例えば、特開2002−321302号公報等に開示されている重合体が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物は、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、特に好適である。
ノルボルネン系重合体及びこれらの水素添加物の好適な具体例としては、日本ゼオン社製「ゼオノア」;JSR社製「アートン」;TOPAS ADVANCED POLYMERS社製「TOPAS」などが挙げられる。
重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にある場合、この熱可塑性樹脂組成物の機械的強度および成型加工性が高度にバランスされる。
重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、特に好ましくは1.8以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.7以下である。ここで、Mnは、数平均分子量を表す。分子量分布が前記範囲の下限値以上である場合、重合体の生産性を高め、製造コストを抑制できる。また、上限値以下である場合、低分子成分の量が小さくなるので、熱可塑性樹脂組成物の安定性を高めることができる。
前記の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、溶媒としてシクロヘキサンを用いた(但し、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合にはトルエンを用いてもよい)ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量として測定しうる。
熱可塑性樹脂に含まれる樹脂における重合体の量は、好ましくは90.0重量%〜100重量%、より好ましくは95.0重量%〜100重量%である。このような範囲で重合体を含む樹脂を用いる場合に、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制できる。
熱可塑性樹脂は、上述した重合体に組み合わせて、更に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、可塑剤;蛍光増白剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;帯電防止剤;酸化防止剤;界面活性剤等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[3.添加剤]
添加剤としては、融点Mpを有する任意の化合物を用いうる。添加剤の融点Mpは、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgを基準とすると、好ましくはTg以上、より好ましくはTg+5℃以上、特に好ましくはTg+10℃以上であり、好ましくはTg+150℃以下、より好ましくはTg+100℃以下、特に好ましくはTg+80℃以下である。前記の範囲の融点Mpを有する添加剤を採用した場合に、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制できる。
また、添加剤の融点Mpは、具体的な数値で挙げると、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは270℃以下、特に好ましくは220℃以下である。前記の範囲の融点Mpを有する添加剤を採用した場合に、熱可塑性樹脂組成物における異物の発生を効果的に抑制できる。
添加剤の融点Mpは、示差操作熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で測定することにより測定できる。
添加剤としては、異物の発生を効果的に抑制する観点から、有機化合物が好ましい。添加剤の具体例を挙げると、可塑剤;分散剤;熱安定剤;光安定剤;帯電防止剤;酸化防止剤;界面活性剤;紫外線吸収剤;などが挙げられる。
異物発生の抑制という効果を有効に活用する観点では、添加剤としては、異物が課題となり易い光学分野で使用される添加剤を用いることが望ましく、特に、従来技術では異物が発生しやすかった添加剤を用いることが特に望ましい。このような観点から、添加剤としては、紫外線吸収剤が好ましい。中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤が、特に好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等が挙げられる。このようなトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、ADEKA社製「アデカスタブLA−31」などが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(へキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。このようなトリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製「チヌビン1577」などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、及び2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。融点Mpが異なる2種類以上の添加剤を用いる場合、それら融点Mpのいずれもが、上述した要件を満たすことが望ましい。
[4.熱可塑性樹脂組成物の用途]
上述した製造方法で製造される熱可塑性樹脂組成物は、任意の成形物を製造するために用いることができ、特に、フィルム又はシートを製造するために好適に用いられる。特に、異物の量が少ないという利点を有効に活用する観点から、光学フィルムの材料として用いることが好ましい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
以下の説明において、別に断らない限り、「DCP」とは「トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン」を示し、「TCD」とは「テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン」を示し、「MTF」とは「テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン」を示す。
[製造例1:COP樹脂の製造]
(開環重合)
窒素で置換した反応器に、DCP、TCD及びMTFの混合物(DCP/TCD/MTF=55/40/5重量比)7部、並びに、シクロヘキサン1600部を加えた。前記のDCP、TCD及びMTFの混合物の量は、重合に使用するモノマー全量に対して重量1%である。
さらに、反応器に、トリ−i−ブチルアルミニウム0.55部、イソブチルアルコール0.21部、反応調整剤としてジイソプロピルエーテル0.84部、及び、分子量調節剤として1−ヘキセン3.24部を添加した。
ここに、濃度0.65%の六塩化タングステンのシクロヘキサン溶液24.1部を添加して、55℃で10分間攪拌した。
次いで、反応系を55℃に保持しながら、DCP、TCD及びMTFの混合物(DCP/TCD/MTF=55/40/5重量比)693部と、濃度0.65%の六塩化タングステンのシクロヘキサン溶液48.9部とを、それぞれ系内に150分かけて連続的に滴下した。
その後、30分間反応を継続し、重合を終了した。これにより、シクロヘキサン中に開環重合体を含む開環重合反応液を得た。重合終了後、ガスクロマトグラフィーにより測定したモノマーの重合転化率は、重合終了時で100%であった。
(水素添加)
得られた開環重合反応液を耐圧性の水素化反応器に移送した。この反応器に、ケイソウ土担持ニッケル触媒(日揮化学社製「T8400RL」、ニッケル担持率57%)1.4部、及び、シクロヘキサン167部を加え、180℃、水素圧4.6MPaで6時間、水素添加反応させた。この水素添加反応により、開環重合体の水素添加物を含む反応溶液を得た。この反応溶液から、ラジオライト#500を濾過床として、圧力0.25MPaで加圧濾過(石川島播磨重工社製、製品名「フンダバックフィルター」)によって水素添加触媒を除去し、無色透明な溶液を得た。
次いで、前記水素添加物100部あたり0.5部の酸化防止剤(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガノックス1010」)を、得られた溶液に添加して、溶解させた。次いで、この溶液を、フィルター(キュノーフィルター社製「ゼータープラスフィルター30H」、孔径0.5μm〜1μm)にて順次濾過し、さらに別の金属ファイバー製フィルター(ニチダイ社製、孔径0.4μm)にて濾過して、溶液から微小な固形分を除去した。開環重合体の水素添加物の水素添加率は、99.9%であった。
次いで、上記の濾過により得られた溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で処理することにより、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去した。そして、濃縮機に直結したダイスから、溶液に含まれていた固形分を溶融状態でストランド状に押し出した押出物を、ダイス下に設置した水槽を通過させて冷却し、脂環式構造を含有する重合体として開環重合体の水素添加物を含むCOP樹脂のストランド(固化物)を得た。
冷却したストランド(固化物)を、最大長5mm、最小長2mmのペレット状に切断することによって、COP樹脂のペレットを得た。ストランド(固化物)の切断は、回転式カッターを備えたペレタイザー(技研工機社製「ストランドカッター」)を用いて行った。また、切断時のストランド(固化物)の温度は、85℃であった。ペレットに含まれる開環重合体の水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。さらに、ペレットに含まれるCOP樹脂のガラス転移温度Tgは、125℃であった。このペレットは乾燥させて、樹脂組成物の製造に用いた。
[製造例2.添加剤(LA−31RG)の粒子の製造]
粉体状の添加剤(ADEKA社製の紫外線吸収剤「アデカスタブLA−31RG」;2,2’−Methylenebis[6−(2H−benzotriazol−2−yl)−4−(1,1,3,3−tetramethylbutyl)phenol];融点Mp=200℃)を用意した。
この添加剤をバットに入れた。このバットを、添加剤の融点Mpよりも20℃高い温度に設定したオーブンに入れて、添加剤を溶解させた。その後、バットをオーブンから取り出し、添加剤を冷却して硬化させて、厚さ5mmの添加剤のシートを得た。
前記の添加剤のシートを、カッターナイフを用いて5mm角の大きさに切り出して、添加剤の粒子を得た。これらの粒子を、目開き5mmのステンレスふるいを用いて篩って、5mm以上のサイズの粒子を除去した。さらに、この粒子を、目開き1mmのステンレスふるいを用いて篩って、(i)1mm以上5mm未満のサイズの粒子と(ii)1mm未満のサイズの粒子と、に分離した。
(i)1mm以上5mm未満のサイズの添加剤の粒子から、粒子を10個取り出し、各粒子の最大長及び最小長を、目視観察で測定した。最大長及び最小長それぞれを平均して、下記の表に示した。
また、(ii)1mm未満のサイズの添加剤の粒子から、粒子を10個取り出し、各粒子の最大長及び最小長を、顕微鏡観察で測定した。最大長及び最小長それぞれを平均して、下記の表に示した。
[製造例3.添加剤(HP−10)の粒子の製造]
添加剤の種類を、酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブHP−10」;2,2’−Methylenebis(4,6−di−tert−butylphenyl)2−ethylhexyl phosphite;融点Mp=148℃)に変更したこと以外は、製造例2と同じ操作により、(i)1mm以上5mm未満のサイズの粒子、及び、(ii)1mm未満のサイズの粒子の製造及び寸法測定を行った。
[製造例4.添加剤(85P)の粒子の製造]
添加剤の種類を、硬化ひまし油(花王社製「カオーワックス85P」;融点Mp=85℃)に変更したこと以外は、製造例2と同じ操作により、(i)1mm以上5mm未満のサイズの粒子、及び、(ii)1mm未満のサイズの粒子の製造及び寸法測定を行った。
[製造例5.添加剤(AO−40)の粒子の製造]
添加剤の種類を、酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO−40」;6,6’−di−tert−butyl−4,4’−butylidenedi−m−cresol;融点Mp=210℃)に変更したこと以外は、製造例2と同じ操作により、(i)1mm以上5mm未満のサイズの粒子、及び、(ii)1mm未満のサイズの粒子の製造及び寸法測定を行った。
[実施例1]
(二軸押出機を用いた樹脂組成物の製造)
図1に示すように、シリンダ110及びシリンダ110内に収納された2本のスクリュー120を備える二軸押出機(東芝機械社製「TEM37BS」)100を用意した。
図示しないヒーターを用いて、シリンダ110の第二区間(原料供給口140の中心141からの軸方向の距離が、スクリュー径φの2倍以上10倍以下の区間)170におけるシリンダ温度T2、及び、第三区間(原料供給口140の中心141からの軸方向の距離が、スクリュー径φの10倍より大きい区間)180におけるシリンダ温度T3を、表1に示す温度に調整した。また、シリンダ110の第一区間(原料供給口140の中心141からのシリンダ軸方向の距離が、スクリュー径φの2倍未満の区間)160の温度は、特に制御せず、常温とした。
前記のようにシリンダ110の温度を制御した状態で、2本のスクリュー120を回転速度300rpmで回転させながら、原料供給口140を通して、製造例1で製造したCOP樹脂のペレットと、製造例2で製造した1mm以上5mm未満のサイズの添加剤(ADEKA社製の紫外線吸収剤「アデカスタブLA−31RG」)の粒子とを、シリンダ110内の混練室130に供給した。前記のCOP樹脂のペレットの供給と、添加剤の粒子の供給とは、別々のフィーダーを用いて行った。また、COP樹脂及び添加剤の供給量の比率は、COP樹脂及び添加剤の合計100重量%に対する添加剤の量が、表1に示す値となるように調整した。
供給されたCOP樹脂及び添加剤が、スクリュー120の回転によってシリンダ110内の混練室130を下流に移動しながら混練されて、樹脂組成物が得られた。この樹脂組成物は、吐出口150を通してストランド状に押し出された。吐出口150から押し出される時点での樹脂組成物の温度T1を、温度計(アズワン社製のデジタル温度計「TM−300」)によって測定した。
押し出された樹脂組成物を水冷し、ペレタイザーによりカットして、樹脂組成物のペレットを得た。
(樹脂組成物の評価)
スクリュー径20mmの単軸押出機と、この単軸押出機に装着されたT型ダイスとを備える押出成形装置を用意した。この押出成形装置を用いて、前記の樹脂組成物を、押出温度250℃でフィルム状に溶融押出した。押し出されたフィルム状の樹脂を、2本の冷却ドラム(直径100mm、ドラム温度110℃、引取り速度4m/分)に通して冷却し、厚み50μm、幅200mmの透明フィルムを得た。
得られた透明フィルムを、100mm×100mmのサイズに切り出して、サンプルフィルムを得た。このサンプルフィルムを目視及び顕微鏡で観察して、長辺100μm以上の異物の数を数えた。異物の数に基づき、下記の基準で評価を行った。
異物の数が50個未満;○
異物の数が50個以上;×
[実施例2]
製造例2で製造した1mm以上5mm未満のサイズの添加剤(ADEKA社製の紫外線吸収剤「アデカスタブLA−31RG」)の粒子の代わりに、製造例3で製造した1mm以上5mm未満のサイズの添加剤(ADEKA社製の酸化防止剤「アデカスタブHP−10」)の粒子を用いた。
また、COP樹脂及び添加剤の供給量の比率を、COP樹脂及び添加剤の合計100重量%に対する添加剤の量が、表1に示す値となるように変更した。
さらに、シリンダの第二区間の温度T2を、表1に示すように変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、樹脂組成物の製造及び評価を行った。
[実施例3]
製造例1で製造したCOP樹脂の代わりに、ポリカーボネート樹脂(帝人社製「パンライトAD−5503」;ガラス転移温度Tg=145℃)を用いた。
また、シリンダの第三区間の温度T3を、表1に示すように変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、樹脂組成物の製造及び評価を行った。
[比較例1]
シリンダの第三区間の温度T3を、表1に示すように変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、樹脂組成物の製造及び評価を行った。
[比較例2]
シリンダの第二区間の温度T2を、表1に示すように変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、樹脂組成物の製造及び評価を行った。
[比較例3]
製造例2で製造した1mm以上5mm未満のサイズの添加剤(ADEKA社製の紫外線吸収剤「アデカスタブLA−31RG」)の粒子の代わりに、製造例2で製造した1mm未満のサイズの添加剤(ADEKA社製の紫外線吸収剤「アデカスタブLA−31RG」)の粒子を用いた。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、樹脂組成物の製造及び評価を行った。
[比較例4]
製造例2で製造した1mm以上5mm未満のサイズの添加剤(ADEKA社製の紫外線吸収剤「アデカスタブLA−31RG」)の粒子の代わりに、製造例3で製造した1mm未満のサイズの添加剤(ADEKA社製の酸化防止剤「アデカスタブHP−10」)の粒子を用いた。
また、COP樹脂及び添加剤の供給量の比率を、COP樹脂及び添加剤の合計100重量%に対する添加剤の量が、表1に示す値となるように変更した。
さらに、シリンダの第二区間の温度T2を、表1に示すように変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、樹脂組成物の製造及び評価を行った。
[比較例5]
製造例2で製造した1mm以上5mm未満のサイズの添加剤(ADEKA社製の紫外線吸収剤「アデカスタブLA−31RG」)の粒子の代わりに、製造例4で製造した1mm以上5mm未満のサイズの添加剤(花王社製の硬化ひまし油「カオーワックス85P」)の粒子を用いた。
また、COP樹脂及び添加剤の供給量の比率を、COP樹脂及び添加剤の合計100重量%に対する添加剤の量が、表1に示す値となるように変更した。
さらに、シリンダの第二区間の温度T2を、表1に示すように変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、樹脂組成物の製造及び評価を行った。
[比較例6]
製造例2で製造した1mm以上5mm未満のサイズの添加剤(ADEKA社製の紫外線吸収剤「アデカスタブLA−31RG」)の粒子の代わりに、製造例4で製造した1mm未満のサイズの添加剤(花王社製の硬化ひまし油「カオーワックス85P」)の粒子を用いた。
また、COP樹脂及び添加剤の供給量の比率を、COP樹脂及び添加剤の合計100重量%に対する添加剤の量が、表1に示す値となるように変更した。
さらに、シリンダの第二区間の温度T2を、表1に示すように変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、樹脂組成物の製造及び評価を行った。
[比較例7]
製造例2で製造した1mm以上5mm未満のサイズの添加剤(ADEKA社製の紫外線吸収剤「アデカスタブLA−31RG」)の粒子の代わりに、製造例5で製造した1mm未満のサイズの添加剤(ADEKA社製の酸化防止剤「アデカスタブAO−40」)の粒子を用いた。
また、COP樹脂及び添加剤の供給量の比率を、COP樹脂及び添加剤の合計100重量%に対する添加剤の量が、表1に示す値となるように変更した。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作により、樹脂組成物の製造及び評価を行った。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1に示す。表1において、略称の意味は、下記の通りである。
COP:製造例1で製造したCOP樹脂。
PC:ポリカーボネート樹脂。
Tg:熱可塑性樹脂のガラス転移温度。
Mp:添加剤の融点。
最大長:添加剤の粒子の最大長。
最小長:添加剤の粒子の最小長。
T1:二軸押出機の吐出口から押し出される時点での熱可塑性樹脂組成物の温度。
T2:二軸押出機のシリンダの第二区間の温度。
T3:二軸押出機のシリンダの第三区間の温度。
Figure 2020033517
100 二軸押出機
110 シリンダ
111 シリンダの壁部
112 シリンダの一端
113 シリンダの他端
120 スクリュー
121 溝部
122 フライト部
130 混練室
140 原料供給口
141 原料供給口の中心
150 吐出口
160 第一区間
170 第二区間
180 第三区間

Claims (4)

  1. シリンダ及び前記シリンダ内に収納された複数のスクリューを備える押出機を用いて、ガラス転移温度Tgを有する熱可塑性樹脂80重量%〜99重量%及び融点Mpを有する添加剤20重量%〜1重量%を含む熱可塑性樹脂組成物を製造する製造方法であって、
    前記シリンダが、前記スクリューを収納した混練室、前記混練室に前記熱可塑性樹脂及び前記添加剤を供給できる原料供給口、及び、前記熱可塑性樹脂組成物を吐出できる吐出口を有し、
    前記製造方法が、
    前記原料供給口を通して前記混練室に、前記熱可塑性樹脂及び前記添加剤を供給する工程と、
    前記混練室内で前記熱可塑性樹脂及び前記添加剤を混練して前記熱可塑性樹脂組成物を得る工程と、
    前記吐出口から前記熱可塑性樹脂組成物を吐出させる工程と、を含み、
    前記原料供給口を通して前記混練室に供給される前記添加剤が、最大長が1mm以上5mm以下の粒子形状を有し、
    前記吐出口から吐出される前記熱可塑性樹脂組成物の温度T1が、Tg+100℃以上、Tg+200℃以下であり、
    前記原料供給口の中心からの距離が前記スクリューのスクリュー径の2倍以上10倍以下の区間における前記シリンダの温度T2が、前記添加剤の融点Mp以下である、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgが、90℃以上200℃以下であり、
    前記添加剤の融点Mpが、80℃以上300℃以下である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、脂環式構造を含有する重合体を含む、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記添加剤が、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
JP2018163568A 2018-08-31 2018-08-31 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Active JP7081398B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018163568A JP7081398B2 (ja) 2018-08-31 2018-08-31 熱可塑性樹脂組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018163568A JP7081398B2 (ja) 2018-08-31 2018-08-31 熱可塑性樹脂組成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020033517A true JP2020033517A (ja) 2020-03-05
JP7081398B2 JP7081398B2 (ja) 2022-06-07

Family

ID=69667178

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018163568A Active JP7081398B2 (ja) 2018-08-31 2018-08-31 熱可塑性樹脂組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7081398B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015160324A (ja) * 2014-02-26 2015-09-07 日本ゼオン株式会社 シクロオレフィン系樹脂組成物、およびその製造方法
JP2016030812A (ja) * 2014-07-30 2016-03-07 東洋スチレン株式会社 マスターバッチの製造方法及び成形品
JP2017068227A (ja) * 2015-09-28 2017-04-06 日本ゼオン株式会社 光学積層体及びその製造方法、並びに偏光子保護フィルム

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015160324A (ja) * 2014-02-26 2015-09-07 日本ゼオン株式会社 シクロオレフィン系樹脂組成物、およびその製造方法
JP2016030812A (ja) * 2014-07-30 2016-03-07 東洋スチレン株式会社 マスターバッチの製造方法及び成形品
JP2017068227A (ja) * 2015-09-28 2017-04-06 日本ゼオン株式会社 光学積層体及びその製造方法、並びに偏光子保護フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP7081398B2 (ja) 2022-06-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102013606B1 (ko) 열가소성 수지 필름의 제조 방법 및 환상 올레핀 수지 필름
US9149955B2 (en) Process for recycling immiscibles in PET film
JP2017177687A (ja) 光学フィルムの製造方法及び製造装置
KR20050098279A (ko) 튜브형 수지 필름의 제조 장치 및 제조 방법
JP7081398B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物の製造方法
US11325294B2 (en) Devices, systems, and processes for processing polymers
JP6328586B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法
JP2009034993A (ja) 押出機スクリュー及びポリメチルペンテンフィルムの製造方法
CN107000295B (zh) 用于减少凝胶的结构元件以及凝胶减少装置和方法
JP5872905B2 (ja) 透明熱可塑性樹脂ペレットの製造方法
KR102361868B1 (ko) 환상 올레핀 수지 필름의 제조 방법, 환상 올레핀 수지 필름, 복합 필름
JP6128818B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2018196939A (ja) 押出成形装置及びシートの製造方法
JP2010234737A (ja) 光学フィルムの製造方法及び製造装置、並びに光学補償フィルム
JP2013129165A (ja) 管状体の製造装置、管状体の製造方法
WO2019009362A1 (ja) 成形体の製造方法及び製造装置
JP2010017947A (ja) 熱可塑性樹脂の押出用シングルスクリューとそのスクリューを用いた押出成形方法
JP4876821B2 (ja) 造粒機のスタート方法
JP7096030B2 (ja) ポリカーボネート樹脂およびポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2016155391A (ja) 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JP2007106827A (ja) 高分子化合物の処理方法
JP2016155333A (ja) 管状体の製造装置及び製造方法
JP2016155332A (ja) 管状体の製造装置及び製造方法
JP2023079184A (ja) 熱可塑性樹脂組成物の成形品の成形機、および成形品の製造方法
JP5188588B2 (ja) ゲル低減方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180921

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180921

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210420

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220426

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220509

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7081398

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150