JP2000084458A - ガイドロール装置および塗布装置 - Google Patents

ガイドロール装置および塗布装置

Info

Publication number
JP2000084458A
JP2000084458A JP26209298A JP26209298A JP2000084458A JP 2000084458 A JP2000084458 A JP 2000084458A JP 26209298 A JP26209298 A JP 26209298A JP 26209298 A JP26209298 A JP 26209298A JP 2000084458 A JP2000084458 A JP 2000084458A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roll
coating
film
contact
composite plating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26209298A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichiro Hisamichi
純一郎 久道
Noboru Numaoka
昇 沼岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP26209298A priority Critical patent/JP2000084458A/ja
Publication of JP2000084458A publication Critical patent/JP2000084458A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating Apparatus (AREA)
  • Registering, Tensioning, Guiding Webs, And Rollers Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 形成しようとする塗膜の厚さが薄い場合や、
走行を高速化した場合でも、非磁性支持体を良好な走行
性をもって案内することができるガイドロール装置を提
供する。 【解決手段】 ガイドロール(またはコンタクトロー
ル)11は、アルミニウムやスチール等の導電性を有す
る素材から構成されるロール11aの表面に、無電解ニ
ッケルメッキ皮膜中に四フッ化エチレン微粒子が均一に
分散共析された複合メッキ被膜が形成されている。な
お、四フッ化エチレンの含有率は、30〜40vol%
程度であり、また、その表面粗度は0.5〜1.0μm
程度であり、更に、皮膜表面の水に対するぬれ角は60
〜80度程度となるように設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガイドロール装置
および塗布装置に関し、特に、薄膜の走行を案内するガ
イドロール装置、および、薄膜を連続的に走行させ、そ
の表面に所定の塗料を塗布する塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、オーディオテープやビデオテー
プ等の磁気テープは、ポリエステルフィルム等の長尺の
非磁性支持体上に、強磁性粉末や結合剤、分散剤、潤滑
剤等を有機溶媒に分散混練した磁性塗料を塗布してなる
磁性層が形成されている。これらの磁性塗料を非磁性支
持体上に塗布、乾燥して磁性層を形成する塗布装置に
は、非磁性支持体が塗布工程及び乾燥工程を経て連続走
行するために走行系が設けられている。上記走行系は非
磁性支持体を巻き出すための巻き出しロールと、巻き取
るための巻き取りロールと、その走行を駆動するための
駆動ロールと、非磁性支持体を適正な位置に案内するた
めの複数のガイドロール等より構成されている。このよ
うな塗布装置においては、良好な成膜を行うために、非
磁性支持体の走行安定性を保つこと及び形状品質や成膜
状態に影響を及ぼさないことが重要となる。
【0003】例えば、非磁性支持体の走行を不安定化す
る要因としては、非磁性支持体とガイドロールとが面接
触することによって生じる走行抵抗、ガイドロールの回
転によって発生するエアフィルム等が考えられる。ま
た、形状品質を害する要因としては、上記走行要因や主
にガイドロールで発生する静電気によるしわ(以下、リ
ンケルと称する)等が考えられる。さらには、ロールの
回転不良等にて成膜状態に悪影響を及ぼすものとして、
上記要因によるスクラッチ等が考えられ、スクラッチが
発生すると画質の乱れやノイズ特性劣化を招く。
【0004】このため、従来よりガイドロールにおいて
は、その材質、形状等で走行安定化の工夫がなされ、例
えば表面にクロームメッキを施したスチール製ガイドロ
ール、アルマイト処理したアルミ製ガイドロール、図4
に示すようなサンドブラスト処理等による凹凸にクロー
ムメッキを施したガイドロール20、あるいは図5に示
すようなクロススパイラル溝等の切り溝22aを施し、
クロームメッキ処理したガイドロール22等が知られて
いる。これらは何れも面接触抵抗を低減する工夫や、エ
アフィルムの逃げ道が形成されるようにしたものであ
る。
【0005】近年、上記塗布装置においては、非磁性支
持体の走行速度を高速化すると共に、非磁性支持体の厚
みも薄膜化され、さらには、磁性層も薄膜化の要求が高
まる傾向にあり、従来のガイドロールでは、これらの要
求に対処しきれなくなってきている。例えば図4及び図
5に示したガイドロールを使用した場合でも、非磁性支
持体の走行速度が高速化してガイドロールの回転数が増
加してくると、エアフィルムが移動しなくなり、このエ
アフィルムが非磁性支持体の走行方向へ巻き込まれ、ス
リップシフト(幅方向のずれ)や細かいリンケル等を誘
発し、非磁性支持体の走行不良を招く虞れがあった。
【0006】また、図5に示す切り溝22aが施されて
いるガイドロール22は、走行する非磁性支持体が溝部
を密閉することにより溝内部が真空となり、非磁性支持
体が溝に対して圧着状態となって、非磁性支持体自体や
塗膜に溝の跡が付くようなことがあり、品質を損なう現
象が生じている。
【0007】さらには、特開平5−124761号公報
には、図6に示すようなガイドロール23が開示されて
いる。このガイドロール23は、ロール23aの表面に
形成した螺旋状の溝23b内に、ロール23aと摩擦係
数が異なるシリコンゴム等の材料23cを充填したもの
であるが、このガイドロール23でも走行速度が400
m/分以上の場合や非磁性支持体が薄膜(3.0μm〜
7.0μm程度)である場合は、高速化によるゴムの歪
みが増し、ロール精度(振れ、真円度、うねり等)が悪
化し易くなる。その影響で特に薄膜の非磁性支持体を走
行する場合は、スチール製のガイドロールよりスクラッ
チやリンケル等の発生が多い傾向にある。
【0008】また、ガイドロール表面に導電性がない所
謂不導体の処理(アルマイト処理等)を施したり、ガイ
ドロールの材質に不導体を用いた場合、高速走行になる
と、ガイドロールと非磁性支持体との接触抵抗等によ
り、非磁性支持体に静電気が帯電しガイドロール上等で
放電し、特に薄膜の非磁性支持体はその影響で塵埃の付
着やリンケルやスリップシフトの発生を起こし易い状態
になる。
【0009】そこで、本発明者は、以上の問題点を解決
するための手法を、特開平10−139242号公報に
開示している。この手法では、導電性を有するロールの
表面に、フッ素樹脂の微粒子を含有する金属−フッ素樹
脂複合被膜を形成することにより、非磁性支持体の摺動
性を高め、走行抵抗を減少させている。
【0010】また、ロールの表面に微小な凹凸を形成す
ることにより、エアフィルムの発生を抑制している。更
に、金属−フッ素樹脂複合被膜は導電性を有しているの
で、ロールとして導電性を有する素材を用いることによ
り静電気の発生が防止される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、形成し
ようとする磁性膜の膜厚が薄い場合(特に、2.0μm
未満の場合)には、前述の特開平10−139242号
公報に開示した手法によっても、塗装ムラやスクラッチ
が僅かに発生するという問題点があった。
【0012】即ち、薄い磁性膜を形成する場合には、非
磁性支持体上に磁性膜を確実に形成するために、非磁性
支持体の表面に平滑化処理を施し、また、非磁性支持体
と磁性膜との接着力を高めるために非磁性支持体に易接
層を形成する場合が多いが、このような平滑化や易接層
の形成がなされると、ガイドロールの走行抵抗が増加す
るため、安定走行が阻害され、結果として塗装ムラやス
クラッチ等が発生するという問題点があった。
【0013】また、塗料を塗布する塗装部に対して非磁
性支持体を当接させるためのコンタクトロール(ガイド
ロールの一種)にあっては、エアフィルムを防止するた
めに形成されている凹凸などによっても非磁性支持体に
微小な振動を誘発し、塗装ムラやスクラッチ等が発生す
るという問題点があった。
【0014】更に、走行抵抗が増大したり、振動が発生
すると、非磁性支持体の表面層や易接層形成の一部が削
れたり、または塗布面が接する場合(表、裏面塗膜形成
の場合)、磁性膜の一部が剥離(削れ)してコンタクト
ロールに付着するため、コンタクトロールの走行抵抗が
一層増大し、前述のような不具合が更に顕著になるとい
う問題点もあった。
【0015】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みてなされたものであり、塗装膜の厚みが薄い場合
や、非磁性支持体の走行を高速化した場合でも、非磁性
支持体を良好な走行性を持って案内できるガイドロール
装置を提供することを目的とする。
【0016】また、本発明は、塗装膜の厚みが薄い場合
や、非磁性支持体の走行を高速化した場合でも、塗装ム
ラやスクラッチ等の発生を抑制する塗布装置を提供する
ことを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決するために、薄膜の走行を案内するガイドロール装置
において、導電性を有する素材から構成されるロールの
表面に、金属被膜中にフッ素樹脂が分散共析された複合
メッキ層が形成されていることを特徴とするガイドロー
ル装置が提供される。
【0018】ここで、ロールは導電性を有する素材から
構成されている。また、ロールの表面には金属被膜中に
フッ素樹脂が分散共析された複合メッキ層が形成されて
いる。
【0019】また、本発明では、薄膜を連続的に走行さ
せ、その表面に所定の塗料を塗布する塗布装置におい
て、前記薄膜を巻き出しロールから巻き出す巻き出し機
構部と、前記巻き出し機構部によって巻き出された前記
薄膜を巻き取る巻き取り機構部と、前記巻き出し機構部
と前記巻き取り機構部の間に配置され、前記薄膜の表面
に対して前記所定の塗料を塗布する塗布機構部と、前記
塗布機構部の上流側と下流側に配置されたコンタクトロ
ールにより、前記薄膜が所定の膜圧により前記塗布機構
部に当接するように保持するコンタクトロール機構部
と、を有し、前記コンタクトロールは、導電性を有する
素材から構成されるロールの表面に、金属被膜中にフッ
素樹脂が分散共析された複合メッキ層が形成されている
ことを特徴とする塗布装置が提供される。
【0020】ここで、巻き出し機構部は、薄膜を巻き出
しロールから巻き出す。巻き取り機構部は、巻き出し機
構部によって巻き出された薄膜を巻き取る。塗布機構部
は、巻き出し機構部と巻き取り機構部の間に配置され、
薄膜の表面に対して所定の塗料を塗布する。コンタクト
ロール機構部は、塗布機構部の上流側と下流側に配置さ
れたコンタクトロールにより、薄膜が所定の膜圧により
塗布機構部に当接するように保持する。そして、コンタ
クトロールは、導電性を有する素材から構成されるロー
ルの表面に、金属被膜中にフッ素樹脂が分散共析された
複合メッキ層が形成されている。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態例を図
面を参照して説明する。本発明の塗布装置は、磁気テー
プを製造する際に非磁性支持体上に磁性塗料又はバック
コート塗料を塗布する。
【0022】図1は塗布装置の構成を示す模式図であ
る。この塗布装置は、非磁性支持体2の走行方向上流側
から順に、巻き出しロール1、駆動ロール3a、コンタ
クトロール11、塗布部5、ターンロール7a、乾燥装
置8、ターンロール7b、駆動ロール3b、巻き取りロ
ール9等が配設されて構成されている。なお、駆動ロー
ル3a,3bには、それぞれニップロール4が圧接され
ている。
【0023】巻き出しロール1から繰り出された非磁性
支持体2は、駆動ロール3aによって駆動され、後述す
る塗布部5により、磁性塗料やバックコート塗料等が非
磁性支持体2上に塗布され塗膜が形成される。塗膜形成
後の非磁性支持体2は、乾燥装置8によって乾燥され、
駆動ロール3bによってさらに移動され、巻き取りロー
ル9に巻き取られる。
【0024】非磁性支持体2の走行路の所定の位置に
は、複数のガイドロール10が配設されており、非磁性
支持体2を案内すると共に、適当なテンションをかけ円
滑な走行が行われるようになっている。
【0025】図2は、塗布部5およびコンタクトロール
11の詳細な構成例を示す模式的な断面図である。ポン
プ12は、塗布部5に塗料を供給する。塗布部5の内部
には、塗料溜まり5aが形成されており、この部分に塗
料を一旦蓄積した後、スリット5bに供給する。スリッ
ト5bは、塗料溜まり5aから供給された塗料を薄膜化
して非磁性支持体2の表面に塗布する。なお、この塗布
部5は、連続的に走行する非磁性支持体2上に塗料を押
し出しながら塗布するエクトルルージョン型である。
【0026】コンタクトロール11は、塗布部5のスリ
ット5bの上下に形成されているリップ(図示せず)に
非磁性支持体2を適当なテンションで当接させる。な
お、非磁性支持体2の素材としてはポリエチレンテレフ
タレート、ポリエチレン−2などのポリエステル樹脂や
芳香族ポリアミド樹脂フィルム等が使用可能である。
【0027】また、塗膜の磁性粉としては、Fe−C
o,Fe−Ni,Fe−Co−Ni,Co−Ni,Fe
−Mn−Zn,Fe−Co−Ni−P,Fe−Co−C
r−B等のFe,Co,Niを主成分とする金属粒子が
好適に用いられる。
【0028】結合剤としては、塩化ビニリンデン、アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、ブ
タジエン、アクトロニトロ等の重合体、或いは共重合体
であるポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が用いら
れる。これらを上記強磁性粉末と混練分散して磁性層を
形成する。
【0029】更に、溶剤としては、公知のものが何れも
使用可能でありアセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、酢
酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、グリコールジメ
チルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が用いられ
る。更にまた、添加剤として分散剤、内添剤、研磨剤、
帯電防止剤、防錆剤等が加えられても良い。また、必要
に応じてバックコート層、トップコート層等が形成され
ても良い。
【0030】図3(A)は、上記のコンタクトロール1
1の構成例を示す概観図であり、図3(B)はその要部
を示す断面図である。図3に示すコンタクトロール11
は、ロール11aの表面に無電解ニッケルメッキ中に四
フッ化エチレン微粉末微粒子を均一に分散共析した複合
メッキ被膜11bが形成されている。
【0031】コンタクトロール11を構成するロール1
1aの素材としては、アルミニウムやスチール等の導電
性を有するものを使用する。なお、皮膜処理前のロール
11aの表面粗度は、皮膜処理後の精度や研磨加工精度
が確保できるように、Rz=0.3μm以下となるよう
に加工することが望ましい。
【0032】複合メッキ皮膜11bは、無電解ニッケル
皮膜中に四フッ化エチレンの微粒子が均一に分散共析さ
れており、四フッ化エチレンの含有率が20〜30vo
l%になるように設定されている。複合メッキ皮膜11
bの表面粗度はRz=0.5〜1.5μm程度となるよ
うに設定されており、また、複合メッキ皮膜11bのぬ
れ角は60〜80度程度となるように設定されている。
なお、「ぬれ角」とは、ぬれ性を評価する指標であり、
その角度が小さい程ぬれ性が高く、走行抵抗が大きい。
反対に、ぬれ角が大きい程、撥水性が高く、また、粘着
性が低く、走行抵抗が小さい。
【0033】なお、四フッ化エチレンの含有量が20v
ol%未満の場合は、ぬれ角が60度未満になり、非磁
性支持体2の走行抵抗が増加してコンタクトロール11
の回転速度が不規則となり、スティックスリップや微小
振動を発生し、更には、上流側、下流側のコンタクトロ
ール11の表面に汚れが蓄積され、塗布ムラやスクラッ
チ等の品質劣化を招くことになる。また、表面粗度が
0.5μm未満および1.6μm以上になるように表面
研磨加工を施した場合にも上記のような品質劣化が発生
する。
【0034】逆に、四フッ化エチレンの含有量が31v
ol%以上である場合は、ぬれ角が81度以上になるの
で、走行抵抗が減少してコンタクトロールの回転による
振動の影響が緩和される回転抑制効果を期待できる。し
かしながら、四フッ化エチレンは軟らかい素材であるの
で、その含有率が上昇すると、表面の精度(振れ、うね
りである真直度等)が損なわれ、耐久性が低下する。
【0035】なお、硬度の向上を目的として複合メッキ
被膜11bに対して熱処理(例えば400℃〜500℃
による熱処理)を施すことも考えられるが、熱による変
形(歪み)等で振れが発生したり、真直の精度が低下す
る場合があり、また、ぬれ角が60度未満、つまり、四
フッ化エチレンの含有率が20vol%未満である場合
と同じ状態になることから、熱処理は、あまり好ましい
とはいえない。
【0036】なお、複合メッキ被膜11bの膜厚は、1
0μm〜30μm程度とされているが、これは膜厚が1
0μm未満の場合は耐久性が低下し、逆に、30μmを
越えるとガイドロール表面の精度(真直度等)が損なわ
れ、非磁性支持体2の走行が不安定になり、リンケルや
スリップシフトが発生し易くなるためである。
【0037】次に、本発明のコンタクトロール11を使
用することによる非磁性支持体2の走行が安定化された
ことを実証するために、本発明のコンタクトロール(実
施例1〜4)と従来のコンタクトロール(比較例1〜
8)を比較検討する実験を行った。その結果を表1に示
す。
【0038】
【表1】 なお、無電解ニッケルメッキ中に四フッ化エチレン微粉
末微粒子を均一に分散共析した複合メッキとしては、市
販されている日本カニゼン社のカニフロン(商品名)を
用いているが、これに限定されるものでない。非磁性支
持体2としては、6.0μm厚または、62μm厚のポ
リエチレンテレフタレートフィルム(PET)を使用
し、この非磁性支持体2の6.0μm厚を500m/分
で、また、62μm厚を150m/分となるように走行
速度を設定した。そして、上記塗布装置で得られた磁気
テープについて、コンタクトロール11の位置におい
て、塗装ムラ(縦状のムラや横段模様等)、スクラッ
チ、および、コンタクトロール11の汚れを観察した。
【0039】各評価項目に示す○印は、塗りムラが無
く、塗膜表面または非磁性支持体2の表面にスクラッチ
発生が無く、また、コンタクトロール11にも汚れが無
い状態を示している。△印は、若干の塗りムラやスクラ
ッチがマクロ透過顕微鏡や低倍率(50倍等)顕微鏡等
により観察されるが、その程度が自社規格内にあり、ま
た、コンタクトロール11に若干の汚れが観察され、ス
クラッチ等の影響があった状態を示す。×印は、塗布ム
ラやスクラッチが塗膜形成状態で観察され、画質、ノイ
ズなどの特性が自社規格外の場合である状態を示してい
る。
【0040】この表に示す実施例1では、アルミニウム
のロール11aの表面に四フッ化エチレン微粉末微粒子
の含有量が20〜25vol%である複合メッキ被膜1
1bが形成されたコンタクトロール11が用いられてい
る。複合メッキ被膜11bの表面粗度は0.5〜1.0
μmであり、また、水に対するぬれ角(接触角度)は7
0〜77度となるように設定されている。この実施例1
の実験結果は、塗りムラ、スクラッチ、コンタクトロー
ルの汚れの何れも発生していない。
【0041】次に示す実施例2では、スチールのロール
11aに四フッ化エチレン微粉末微粒子の含有量が20
〜25vol%の複合メッキ被膜11bが形成されたコ
ンタクトロール11が用いられている。複合メッキ被膜
11bの表面粗度は1.1〜1.5μmであり、また、
水に対するぬれ角は60〜68度となるように設定され
ている。この実施例2の場合でも、塗りムラ、スクラッ
チ、コンタクトロールの汚れは何れも発生していない。
【0042】実施例3では、アルミニウムのロール11
aに四フッ化エチレン微粉末微粒子の含有量が26〜3
0vol%の複合メッキ被膜11bが形成されたコンタ
クトロール11が用いられている。複合メッキ被膜11
bの表面粗度は0.5〜1.0μmであり、また、水に
対するぬれ角は75〜80度となるように設定されてい
る。この実施例3の場合でも、塗りムラ、スクラッチ、
コンタクトロールの汚れは何れも発生していない。
【0043】実施例4では、スチールのロール11aに
四フッ化エチレン微粉末微粒子の含有量が26〜30v
ol%の複合メッキ被膜11bが形成されたコンタクト
ロール11が用いられている。複合メッキ被膜11bの
表面粗度は1.1〜1.5μmであり、また、水に対す
るぬれ角は65〜72度となるように設定されている。
この実施例4の場合でも、塗りムラ、スクラッチ、コン
タクトロールの汚れは何れも発生していない。
【0044】以上に示した実施例1〜4では、何れの場
合も、四フッ化エチレン微粉末微粒子の含有量は20〜
30vol%の範囲であり、また、表面粗度は0.5μ
m〜1.5μmであり、更に、ぬれ角は60〜80度の
範囲とされている。このような範囲内では、塗りムラ、
スクラッチ、コンタクトロールの汚れの何れも発生して
いないことが分かる。
【0045】比較例1〜4は、実施例1〜4の場合と同
様の複合メッキ皮膜を形成した場合であって、四フッ化
エチレンの含有率その他を前述の場合とは異なる範囲に
設定した場合の結果を示している。
【0046】即ち、比較例1では、スチールのロール1
1aに四フッ化エチレン微粉末微粒子の含有量が20v
ol%未満の複合メッキ被膜11bが形成されたコンタ
クトロール11が用いられている。複合メッキ被膜11
bの表面粗度は0.3〜0.7μmであり、また、水に
対するぬれ角は50〜59度となるように設定されてい
る。この比較例1の場合では、若干の塗りムラ、スクラ
ッチ、コンタクトロールの汚れが発生している。
【0047】比較例2では、スチールのロール11aに
四フッ化エチレン微粉末微粒子の含有量が20vol%
未満の複合メッキ被膜11bが形成されたコンタクトロ
ール11が用いられている。複合メッキ被膜11bの表
面粗度は1.3〜1.8μmであり、また、水に対する
ぬれ角は45〜50度となるように設定されている。こ
の比較例2の場合でも、若干の塗りムラ、スクラッチ、
コンタクトロールの汚れが発生している。
【0048】比較例3では、スチールのロール11aに
四フッ化エチレン微粉末微粒子の含有量が31vol%
以上の複合メッキ被膜11bが形成されたコンタクトロ
ール11が用いられている。複合メッキ被膜11bの表
面粗度は0.7〜1.2μmであり、また、水に対する
ぬれ角は85〜88度となるように設定されている。こ
の比較例3の場合でも、若干の塗りムラ、スクラッチ、
コンタクトロールの汚れが発生している。
【0049】比較例4では、スチールのロール11aに
四フッ化エチレン微粉末微粒子の含有量が31vol%
以上の複合メッキ被膜11bが形成されたコンタクトロ
ール11が用いられている。複合メッキ被膜11bの表
面粗度は1.4〜1.8μmであり、また、水に対する
ぬれ角は81〜85度となるように設定されている。こ
の比較例4の場合でも、若干の塗りムラ、スクラッチ、
コンタクトロールの汚れが発生している。
【0050】以上の比較例1〜4に示すように、実施例
1〜4において示した範囲を逸脱した場合には、若干の
塗りムラ、スクラッチ、コンタクトロールの汚れが発生
することになる。
【0051】次に、比較例5〜8では、硬質クロームま
たは硬質アルマイトが形成されたコンタクトロールを使
用した場合の実験結果を示している。このような場合に
は、何れの場合も良好な結果が示されていない。
【0052】即ち、比較例5では、スチールのロールに
硬質クロームの被膜が形成されたコンタクトロールが用
いられている。硬質クロームの被膜の表面粗度は0.3
〜0.4μmであり、また、水に対するぬれ角は45〜
50度となるように設定されている。この比較例5の実
験結果は、コンタクトロールの汚れ以外は、全て規格外
となっている。
【0053】比較例6では、スチールのロールに硬質ク
ロームの被膜が形成されたコンタクトロール11が用い
られている。硬質クロームの被膜の表面粗度は0.5〜
1.0μmであり、また、水に対するぬれ角は37〜4
2度となるように設定されている。この比較例6の場合
では、全ての項目が規格外となっている。
【0054】比較例7では、アルミニウムのロールに硬
質アルマイトの被膜が形成されたコンタクトロールが用
いられている。硬質アルマイトの被膜の表面粗度は0.
3〜0.4μmであり、また、水に対するぬれ角は50
〜59度となるように設定されている。この比較例7の
場合では、コンタクトロールの汚れ以外は、全て規格外
となっている。
【0055】比較例8では、アルミニウムのロールに硬
質アルマイトの被膜が形成されたコンタクトロールが用
いられている。硬質アルマイトの被膜の表面粗度は0.
5〜1.0μmであり、また、水に対するぬれ角は45
〜50度となるように設定されている。この比較例8の
場合では、全ての項目が規格外となっている。
【0056】なお、図4〜6に示す従来例も対象として
実験を試みたが、何れの場合も表面に形成された凹凸に
よって微小な振動が発生し、実験を継続する意義を有し
なかったのでこれらについては表から除外した。
【0057】以上から分かるように、実施例1〜4に示
すように、四フッ化エチレンの含有量が20vol%〜
30vol%の範囲に設定し、表面処理後の表面粗度を
0.5μm〜1.5μm程度とし、また、ぬれ角を60
度〜80度程度に設定することにより、良好な塗布状態
が得を得ることができる。
【0058】なお、比較例1〜4のように四フッ化エチ
レンの含有量が20vol%未満では、表面粗度を0.
3μm〜1.7μmにしてもぬれ角が小さくなって摩擦
抵抗が高くなる傾向にあり、コンタクトロールの回転増
加に伴う回転不良や微少振動によって塗布ムラ等が発生
し易くなる。
【0059】以上に述べたように、本発明によれば、塗
布装置の塗布部の上流側および下流側に配置されている
コンタクトロールの表面に、無電解ニッケルメッキ中に
四フッ化エチレン微粉末微粒子を均一に分散共析した複
合メッキ皮膜を形成するようにしたので、良好なロール
表面粘度や摺動性を確保でき、塗装膜の厚みが薄い場合
や、非磁性支持体の走行を高速化した場合でも非磁性支
持体の走行を安定化することが可能となる。
【0060】また、本発明によれば、走行速度が遅い場
合でも従来の場合と比較して走行抵抗が少なくなり、コ
ンタクトロールの回転を抑制することができるため、結
果的に塗布ムラ、スクラッチ等の発生を抑制することが
できる。
【0061】特に、四フッ化エチレンの含有量を20v
ol%〜30vol%とし、その表面粗度が0.5μm
〜1.5μm程度となるように研磨加工を行い、水との
ぬれ角が60度〜80度の範囲となるようにした場合に
は、接触抵抗に起因して発生するコンタクトロールの汚
れや塵挨の堆積等を防止することができる。また、それ
らの要因に端を発する微振動の発生や、ロール回転不良
等の発生を抑制するとともに、コンタクトロールの汚れ
に起因するスクラッチを防止することもできる。その結
果として、塗布状態を良好に保つことが可能となる。
【0062】なお、以上の実施の形態では、エクトルル
ージョン型の塗布装置に使用されているコンタクトロー
ルを例として説明を行ったが、例えば、グラビアロール
塗布装置において平滑化処理を行うスムーザー装置のガ
イドロールや塵埃等が付着することを防止するガイドロ
ールに対して本発明を適用することも可能である。
【0063】また、以上の実施の形態では、フッ素樹脂
の微粒子を含有する金属−フッ素樹脂複合メッキとし
て、無電解ニッケル−PTFE複合メッキを例示した
が、パーフルオロエチレン(PFE)又はパーフルオロ
アルコキシ(PFA)等の他のフッ素樹脂の微粒子を無
電解ニッケルメッキに分散共析させた複合メッキを用い
てもよい。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように本発明のガイドロー
ル装置によれば、導電性を有するロール表面に金属被膜
中にフッ素樹脂が分散共析された複合メッキ層を形成す
るようにしたので、塗布する塗料の膜厚が薄い場合や、
高速走行時でも非磁性支持体を安定して走行させること
ができる。また、コンタクトロールへの汚れや塵埃の付
着を防止することができる。
【0065】更に、本発明の塗布装置によれば、非磁性
支持体の表面に塗料を安定して塗布し、乾燥、巻き取り
までの安定走行が行えるとともに、塗布面の品質や形状
品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成例を示す模式図であ
る。
【図2】図1に示すコンタクトロールと塗布部の構成例
を示す模式図である。
【図3】(A)は本発明のコンタクトロール装置の構成
例を示す外観図であり、(B)はその要部の断面を示す
断面図である。
【図4】従来のガイドロール装置の構成例を示す平面図
である。
【図5】従来のガイドロール装置の他の構成例を示す平
面図である。
【図6】従来のガイドロール装置の更に他の構成例を示
す平面図である。
【符号の説明】
1…巻き出しロール、2…非磁性支持体、3a,3b…
駆動ロール、4…ニップロール、5…塗布部、7a,7
b…ターンロール、8…乾燥装置、9…巻き取りロー
ル、10…ガイドロール、11…コンタクトロール、1
2…ポンプ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜の走行を案内するガイドロール装置
    において、 導電性を有する素材から構成されるロールの表面に、金
    属被膜中にフッ素樹脂が分散共析された複合メッキ層が
    形成されていることを特徴とするガイドロール装置。
  2. 【請求項2】 前記フッ素樹脂の含有率は、20vol
    %乃至30vol%であることを特徴とする請求項1記
    載のガイドロール装置。
  3. 【請求項3】 前記複合メッキ層の表面の水に対するぬ
    れ角は、60度乃至80度であることを特徴とする請求
    項1記載のガイドロール装置。
  4. 【請求項4】 前記複合メッキ層の表面粗度は、0.5
    μm乃至1.5μmであることを特徴とする請求項1記
    載のガイドロール装置。
  5. 【請求項5】 前記ロールの表面粗度は、0.3μm以
    下であることを特徴とする請求項1記載のロールガイド
    装置。
  6. 【請求項6】 前記金属被膜は、無電解ニッケルメッキ
    被膜であり、 前記フッ素樹脂は、四フッ化エチレンであることを特徴
    とする請求項1記載のガイドロール装置。
  7. 【請求項7】 薄膜を連続的に走行させ、その表面に所
    定の塗料を塗布する塗布装置において、 前記薄膜を巻き出しロールから巻き出す巻き出し機構部
    と、 前記巻き出し機構部によって巻き出された前記薄膜を巻
    き取る巻き取り機構部と、 前記巻き出し機構部と前記巻き取り機構部の間に配置さ
    れ、前記薄膜の表面に対して前記所定の塗料を塗布する
    塗布機構部と、 前記塗布機構部の上流側と下流側に配置されたコンタク
    トロールにより、前記薄膜が所定の膜圧により前記塗布
    機構部に当接するように保持するコンタクトロール機構
    部と、を有し、 前記コンタクトロールは、導電性を有する素材から構成
    されるロールの表面に、金属被膜中にフッ素樹脂が分散
    共析された複合メッキ層が形成されていることを特徴と
    する塗布装置。
JP26209298A 1998-09-16 1998-09-16 ガイドロール装置および塗布装置 Pending JP2000084458A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26209298A JP2000084458A (ja) 1998-09-16 1998-09-16 ガイドロール装置および塗布装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26209298A JP2000084458A (ja) 1998-09-16 1998-09-16 ガイドロール装置および塗布装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000084458A true JP2000084458A (ja) 2000-03-28

Family

ID=17370934

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26209298A Pending JP2000084458A (ja) 1998-09-16 1998-09-16 ガイドロール装置および塗布装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000084458A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003053208A (ja) * 2001-08-22 2003-02-25 Yuyama Manufacturing Co Ltd 錠剤粉砕装置
JP2004351349A (ja) * 2003-05-30 2004-12-16 Dainippon Printing Co Ltd 塗工用ダイヘッド、塗工装置及び塗工用ダイヘッドの製造方法
JP2009101271A (ja) * 2007-10-22 2009-05-14 Nitto Denko Corp 塗工装置、及び塗工方法
WO2012133097A1 (ja) * 2011-03-30 2012-10-04 東レ株式会社 微多孔プラスチックフィルムロールの製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003053208A (ja) * 2001-08-22 2003-02-25 Yuyama Manufacturing Co Ltd 錠剤粉砕装置
JP2004351349A (ja) * 2003-05-30 2004-12-16 Dainippon Printing Co Ltd 塗工用ダイヘッド、塗工装置及び塗工用ダイヘッドの製造方法
JP4601918B2 (ja) * 2003-05-30 2010-12-22 大日本印刷株式会社 塗工用ダイヘッド、塗工装置及び塗工用ダイヘッドの製造方法
JP2009101271A (ja) * 2007-10-22 2009-05-14 Nitto Denko Corp 塗工装置、及び塗工方法
WO2012133097A1 (ja) * 2011-03-30 2012-10-04 東レ株式会社 微多孔プラスチックフィルムロールの製造方法
CN103459283A (zh) * 2011-03-30 2013-12-18 东丽株式会社 微孔塑料膜卷的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3445343B2 (ja) 塗布方法および塗布装置
EP0927992A1 (en) Magnetic recording medium and magnetic recorder/reproducer comprising the same
JPWO2017195866A1 (ja) 磁気記録媒体、積層体およびフレキシブルデバイス
EP0279613B2 (en) Magnetic recording tape comprising a support film having a high transverse direction modulus
JP2000084458A (ja) ガイドロール装置および塗布装置
JPH03116524A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JPH07185449A (ja) 塗布方法
JPH10139242A (ja) ガイドロール装置
JPH05124761A (ja) ガイドロール装置
JPH09141172A (ja) 塗布装置
JP2005353191A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP3257079B2 (ja) 塗布方法
JPH091027A (ja) 塗布装置
JPH11273065A (ja) 帯状体ガイドロール装置
JP3180974B2 (ja) 塗布方法
JPH06142579A (ja) 塗布装置
JPH11126334A (ja) 塗膜形成方法及びその装置、並びに磁気記録媒体の製造方法及びその装置
JP2002012348A (ja) フィルムの巻き取り装置およびその巻き取り方法
JPH10411A (ja) 塗布装置
JPH02214574A (ja) 塗布方法
JP2852865B2 (ja) 塗布装置
JPH03256964A (ja) 薄手ウエブ搬送ロール
JPH05282667A (ja) 金属薄膜テープのクリーニング装置
JP2003088792A (ja) 塗料塗布装置
JP2005235273A (ja) 磁気記録媒体