JP2000082854A - 磁歪素子およびその製造方法 - Google Patents

磁歪素子およびその製造方法

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JP2000082854A
JP2000082854A JP11075809A JP7580999A JP2000082854A JP 2000082854 A JP2000082854 A JP 2000082854A JP 11075809 A JP11075809 A JP 11075809A JP 7580999 A JP7580999 A JP 7580999A JP 2000082854 A JP2000082854 A JP 2000082854A
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magnetostrictive element
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JP11075809A
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Wataru Yagi
渉 八木
Kota Maruyama
宏太 丸山
Atsunao Itou
厚直 伊東
Yoshio Kato
義雄 加藤
Takeshi Hattori
毅 服部
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Toyota Central R&D Labs Inc
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気的特性に優れ,かつ,過負荷トルクに対
する安定性に優れた,磁歪素子およびその製造方法を提
供すること。 【解決手段】 重量比にて,Cr:12〜18%,C:
0.08〜0.6%を含有するFe−Cr系の成分組成
を有していると共に,低炭素マルテンサイトもしくはフ
ェライトよりなる母相に,微細な球状合金炭化物を均一
分散させた組織を有している。球状合金炭化物は,0.
5〜2μmの粒径を有していると共に,互いに1〜5μ
mの間隔を開けて分散していることが好ましい。硬さH
vは250〜400,引張強さは80〜140kgf/
mm,降伏点は70kgf/mm 以上であることが
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,磁歪式トルクセンサに用いる磁
歪素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来より,後述する図1に示すごとく,磁
気異方性部15を形成した磁歪素子よりなる軸体1を用
いた磁歪式のトルクセンサ10が知られている。この磁
歪式のトルクセンサ10においては,軸体1にトルクが
加わった際に磁気異方性部15の透磁率がトルクの大き
さに応じて変化する。この透磁率の変化を検出コイル2
3等を用いて検出することにより,加えられたトルクの
大きさを求めることができる。
【0003】このような磁歪式トルクセンサの磁歪素子
としては,磁気的特性に優れ,かつ,この磁気的特性が
安定していることが望まれる。これに対し,従来,磁歪
素子の強度的な安定性を図ることによって上記磁気的特
性を安定化しようとした磁歪素子の製造方法が提案され
ている(特開平4−246123号公報(文献1),特
開平4−1542号公報(文献2))。
【0004】上記文献1においては,ニッケルクロムモ
リブデン鋼であるJIS−SNCM815等よりなる軸
体を用いて磁歪素子を製造する方法が示されている。具
体的には,上記軸体にナーリング加工を施してセンサ部
(磁気異方性部)を形成し,次いで,上記センサ部に異
常層および残留オーステナイトを発生させないような熱
処理を行い,次いでセンサ部にショットピーニング処理
を施すというものである。
【0005】また,上記文献2においては,材料の成分
に関する具体的記載はないが,次のような製造方法が示
されている。即ち,文献2における製造方法は,軸体に
磁気異方性部を形成した後に,浸炭処理およびショット
ピーニング処理を施すというものである。
【0006】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の製
造方法により得られた従来の磁歪素子においては,次の
問題がある。即ち,上記従来の磁歪素子は,未だ十分な
磁気的特性および安定性を有していない。具体的には,
上記文献1の製造方法により得られたものは,上記熱処
理およびショットピーニングによる加工硬化によって強
度を最大限に向上させてある(例えば硬度Hvが400
以上)。そのため,軸全体の強度的,残留応力的な安定
性は向上するが,透磁率等の磁気的特性の低下,S/N
比の低下,温度特性の低下,長期使用時の遅れ破壊等の
発生が予想される。さらには,通常の使用範囲を超える
大きなトルク(過負荷トルク)が作用した場合の安定性
は非常に低い。
【0007】また,上記文献2の製造方法により得られ
たものにおいても,上記熱処理およびショットピーニン
グによる加工硬化によって,強度が最大限まで向上して
いる。そのため,上記と同様に,磁気的特性の低下,セ
ンサ感度の低下,温度特性の低下,遅れ破壊等の発生が
予想される。また,この場合にも,過負荷トルクが作用
した場合の安定性は低い。
【0008】そして,いずれの製造方法により得られた
磁歪素子においても,上記の過負荷トルクに対する安定
性が低いことによって,自動車分野のセンサでよく見ら
れる常用域と許容過負荷域との差が大きい用途に対して
は適用できるレベルに達していないという大きな問題が
ある。例えば,自動車分野においては,常用域7Nmの
トルクに対して数十倍以上のトルクが許容過負荷域トル
クとして要求される場合がある。
【0009】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,磁気的特性に優れ,かつ,過負荷トルク
に対する安定性に優れた,磁歪素子およびその製造方法
を提供しようとするものである。
【0010】
【課題の解決手段】請求項1に記載の発明は,重量比に
て,Cr:12〜18%,C:0.08〜0.6%を含
有するFe−Cr系の成分組成を有していると共に,低
炭素マルテンサイトもしくはフェライトよりなる母相
に,微細な球状合金炭化物を均一分散させた組織を有し
ていることを特徴とする磁歪素子にある。
【0011】本発明において最も注目すべきことは,上
記磁歪素子として,上記Fe−Cr系の成分組成および
上記組織構造を適用したことである。
【0012】上記成分組成において,Crは12〜18
%含有させる。Crの含有量が12%未満の場合には耐
食性が低下するという問題がある。一方,18%を超え
る場合には,十分な磁気的特性が得られないという問題
がある。そのため,より好ましくは14%以下がよい。
【0013】また,Cの含有量は0.08〜0.6%と
する。Cの含有量が0.08%未満の場合には十分な強
度が得られないという問題がある。一方,0.6%を超
える場合には十分な磁気的特性が得られないという問題
がある。そのため,より好ましくは0.4%以下がよ
い。
【0014】次に,上記組織は,低炭素マルテンサイト
もしくはフェライトを母相とする。ここで,上記低炭素
マルテンサイトとは,マルテンサイト中のC濃度が低下
し,かつ,結晶構造が体心正方晶から体心立方晶に変化
した状態の組織をいう。また,上記母相中に均一分散さ
せる微細な球状合金炭化物としては,例えば,(FeC
r)236,(FeCr)73,(FeCr)3C等の炭
化物がある。
【0015】次に,本発明の作用につき説明する。本発
明の磁歪素子は,成分組成および組織構造を上記のごと
く限定してある。特に,組織構造を,通常のマルテンサ
イトよりも軟らかい低炭素マルテンサイトまたはフェラ
イトを母相とすることにより,磁歪素子の強度の向上を
抑えてある。そのため,透磁率等の磁気的特性の低下,
センサ感度の低下,長期使用時の遅れ破壊等の発生を抑
制することができる。
【0016】さらに,母相中に均一析出させた微細な球
状合金炭化物によって,組織内の磁壁移動を大幅に抑制
することができる。そのため,上記の強度向上と共に,
過負荷トルクに対する安定性を大幅に向上させることが
できる。そして,この過負荷トルクに対する安定性の向
上によって,常用域と許容過負荷域との差の大きい環境
に曝される自動車用トルクセンサにおいて,過負荷トル
ク後の大きなゼロ点(0点)ドリフトが生じるという従
来の問題を解決することができる。
【0017】次に,請求項2に記載の発明のように,上
記球状合金炭化物は,0.5〜2μmの粒径を有してい
ると共に,互いに1〜5μmの間隔を開けて分散してい
ることが好ましい。これにより,組織内における磁壁移
動を確実に抑制することができ,過負荷トルクに対する
安定性をさらに向上させることができる。
【0018】また,上記球状合金炭化物の粒径が0.5
μm未満の場合には磁壁のピンニング(固着)効果の低
下という問題があり,一方,2μmを超える場合には強
度の低下という問題がある。また,上記球状合金炭化物
の分散間隔が1μm未満の場合には磁気特性の低下とい
う問題があり,一方,5μmを超える場合には,十分な
磁壁のピンニング(固着)効果の消失や強度低下という
問題がある。
【0019】また,請求項3に記載の発明のように,上
記磁歪素子の硬さHvは250〜400,引張強さは8
0〜140kgf/mm,降伏点は70kgf/mm
以上であることが好ましい。上記磁歪素子の硬さHv
が250未満の場合,および引張強さが80kgf/m
未満,および降伏点が70kgf/mm未満の場
合には,過負荷トルク付加時に表面に永久歪が発生し,
その結果としてゼロ点ドリフトが発生するという問題が
ある。一方,硬さHvが400を超える場合,および引
張強さが140kgf/mmを超える場合には,磁気
的特性の低下,感度の低下,遅れ破壊の発生という問題
がある。
【0020】また,請求項4に記載の発明のように,上
記磁歪素子は,圧縮残留応力が30kgf/mm以上
であることが好ましい。圧縮残留応力が30kgf/m
未満の場合には,過負荷トルクに対する安定性が低
下するおそれがある。なお,圧縮残留応力の上限値は,
材料の強度(硬度)で制約され,好ましくは60〜80
kgf/mm程度は必要である。
【0021】次に,上記優れた磁歪素子を製造する方法
としては,次の発明がある。即ち,請求項5に記載の発
明のように,重量比にて,Cr:12〜18%,C:
0.08〜0.6%を含有するFe−Cr系の成分組成
を有する軸体を準備して,該軸体に磁気異方性部を形成
し,次いで,低炭素マルテンサイトもしくはフェライト
よりなる母相に微細な球状合金炭化物を均一分散させた
組織を形成するように上記軸体に熱処理を加え,次い
で,上記軸体に冷間加工を加えて残留圧縮応力を生じさ
せることを特徴とする磁歪素子の製造方法がある。
【0022】本製造方法においては,上記特性の成分組
成の軸体を用い,これに上記磁気異方性部を設けた後に
上記熱処理を加える。上記磁気異方性部としては,例え
ば,上記軸体の軸方向と45度をなす角度に螺旋状の凹
凸あるいは溝を設けてなるシェプロンパターンを2箇所
対称に設けることにより形成することができる(図1参
照)。
【0023】上記熱処理としては,種々の方法が考えら
れるが,少なくとも,残留オーステナイトを消滅させ,
かつ,低炭素マルテンサイトもしくはフェライトよりな
る母相に,微細な球状合金炭化物を均一分散させてなる
組織が形成されるように行う。また,上記冷間加工とし
ては,例えば,ショットピーニング,圧印加工,CI
P,グリッドブラスト等がある。
【0024】本製造方法によれば,上記硬さHv,引張
強さ,降伏点という機械的性質を有し,上述した優れた
磁気的特性,過負荷トルクに対する安定性等を発揮しう
る磁歪素子を容易に製造することができる。
【0025】次に,請求項6に記載の発明のように,上
記熱処理は,真空もしくは不活性ガス中において温度9
00〜1050℃に保持した後焼入れ処理を行い,次い
で,温度500〜700℃による焼戻し処理を行うこと
が好ましい。これにより,上記組織構造を確実に得るこ
とができる。
【0026】上記焼入れ前の保持温度が900℃未満の
場合には,炭素を均一に固溶したオーステナイトが得ら
れず,そのため,焼入れしても十分な硬さが得られず,
また焼戻しをしても炭化物の析出が不十分で必要とする
強度が得られないという問題がある。一方,1050℃
を超える場合には,未溶解の残留炭化物(FeCr) 23
6の粗大化およびマルテンサイトの粗大化が起こり,
焼戻しを行っても強度部品として重要な靱性の低下を招
くという問題がある。
【0027】また,上記焼戻し処理の温度が500℃未
満の場合には,低炭素マルテンサイトもしくはフェライ
トの母相が得られず,また,上記球状合金炭化物の析出
が得られないという問題がある。一方,700℃を超え
る場合には,焼戻し軟化を生じて十分な強度が得られな
いという問題がある。
【0028】また,請求項7に記載の発明のように,上
記冷間加工の後に,温度150〜400℃による安定化
処理を行うことが好ましい。これにより,上記冷間加工
により発生させた残留圧縮応力を安定化させることがで
きる。なお,安定化処理温度が150℃未満の場合に
は,上記残留圧縮応力の安定化効果が十分に得られな
い。一方,400℃を超える場合には,加えた残留圧縮
応力が開放されていくことになり,過負荷トルクに対し
て十分な安定効果が得られないという問題がある。
【0029】また,請求項8に記載の発明のように,上
記軸体には,過負荷トルクを1回以上付与することが好
ましい。即ち,上記軸体の製造過程の最終段階におい
て,予め過負荷トルクを1回以上付与していおき,その
後,実使用することが好ましい。これにより,過負荷ト
ルクに対する安定性をより一層向上させることができ
る。なお,ここでいう過負荷トルクとは,得られる磁歪
素子の測定領域(常用域)を超える大きさのトルクをい
う。
【0030】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる磁歪素子およびその製造方
法につき,図1〜図4を用いて説明する。本例において
は,本発明品としての磁歪素子(試料E1)と,比較品
(市販品)としての磁歪素子(試料C1)を準備し,そ
の特性を比較した。
【0031】まず,本発明品E1は,表1にも示すごと
く,重量比にて,Cr:12〜18%,C:0.08〜
0.6%を含有するFe−Cr系の成分組成を有してい
ると共に,低炭素マルテンサイトもしくはフェライトよ
りなる母相に,微細な球状合金炭化物を均一分散させて
なる組織を有している磁歪素子である。また,表2に示
すごとく,その硬さHvは250〜400,引張強さは
80〜140kgf/mm,降伏点は70kgf/m
以上である。
【0032】上記本発明品E1を製造するに当たって
は,まず,表1に示す成分組成になるように材料を配合
し,インゴットを作製する。次いで,インゴットを熱間
鍛造して外径20mmの軸体を形成する。次いで,該軸
体を外径17mm,長さ120mmの円柱状に機械加工
した。
【0033】次いで,図1に示すごとく軸体1の表面に
転造加工を施して,磁気異方性部15を形成した。この
磁気異方性部15は,同図に示すごとく,軸方向と45
度をなす角度に,幅1.0mm,深さ0.5mmの溝を
螺旋状に設けたシェプロンパターンにより構成した。シ
ェプロンパターン15は,軸体の中央から左右対称に2
箇所設け,それぞれ溝の傾斜方向を直交させた。
【0034】次に,上記軸体1に対して熱処理を施し
た。まず,真空中において,温度1000℃に1時間保
持した後,窒素ガスにより冷却して焼入れ処理を行っ
た。次いで,真空中において,温度600℃,1時間保
持という焼戻し処理を行った。これにより,軸体の組織
状態は,後述するごとく,不安定な残留オーステナイト
を分解させると共に,低炭素マルテンサイトの母相に微
細な球状合金炭化物((FeCr)236,(FeC
r)73,(FeCr)3C等)を均一に分散させたも
のとした(図5(a)(b)参照)。
【0035】次に,上記軸体の磁気異方性部に対して,
ショットピーニングによる冷間加工を加えた。具体的に
は,硬さHvが500の0.3mm径の粒を用い,12
0秒間ショットピーニングを行った。これにより,軸体
の表面部には残留圧縮応力が付与された。次いで,軸体
に対して,±150Nmの過負荷トルクを2回加えると
いう過負荷処理を行い,本発明品E1を得た。なお,本
例の磁歪素子は,+7〜−7Nmのトルクを測定領域と
するものである。
【0036】次に,比較品C1としては,市販されてい
る磁歪式トルクセンサにおける軸体を用いた。具体的に
は,材質がJIS−SNCM815であり,ショットピ
ーニング処理は施されている。なお,過負荷処理の有無
は不明である。また,比較品C1の軸体外径は本発明品
E1と同じである。
【0037】次に,上記各磁歪素子E1,C1の機械的
性質を測定した。その結果を表2に示す。表2より知ら
れるごとく,本発明品E1は,その硬さHvが250〜
400,引張強さが80〜140kgf/mm,降伏
点を70kgf/mm以上という範囲内にあった。こ
れに対し,比較品C1は,硬さ,引張強さがいずれも非
常に大きく上記範囲を超えていた。
【0038】また,各磁歪素子E1,C1の磁気異方性
部15の残留圧縮応力も測定した。その結果を表2に示
す。表2より知られるごとく,本発明品E1が61kg
f/mm,比較品C1が37kgf/mmであり,
本発明品E1の方が圧縮残留応力が大きい。
【0039】次に,図1に示すごとく,上記各磁歪素子
E1,C1を用いて,磁歪式のトルクセンサ10を構成
し,種々の特性を測定した。トルクセンサ10は,同図
に示すごとく,軸体1をベアリング4を介してハウジン
グ5に回転可能に保持させると共に,コイル群2をハウ
ジング5内に配設して構成した。コイル群2は,同図に
示すごとく,ボビン20に巻線された2組の励磁コイル
21,22と2組の検出コイル23,24とよりなる。
【0040】ボビン20は軸方向前後に一対のコイル溝
を有しており,両コイル溝の上部(外径側部)には励磁
コイル21,22を,下部(内径側部)には検出コイル
23,24をそれぞれ個別に巻線してなる。励磁コイル
21,22の巻線のターン数はいずれも60ターンであ
り,一方,検出コイル23,24の巻線のターン数はい
ずれも180ターンである。
【0041】また,このボビン20は,図1に示すごと
く,ハウジング5に保持させると共に,上記軸体1のシ
ェプロンパターン15に対面させて非接触状態で配設し
てある。また,同図に示すごとく,コイル群2の各コイ
ル21〜24は,内部リード線63を介して回路基板6
に配設されている。さらに回路基板6は外部の計測器に
リード線65により電気的に接続されている。
【0042】次に,上記構成の磁歪式トルクセンサ10
を用いて,軸体1に加えるトルクの大きさと出力電圧の
関係を測定した。このときの測定周波数は50kHz,
定電圧励磁は2.2Vとした。本発明品E1の結果を図
2に,比較品C1の結果を図3に示す。これらの図は,
横軸に印加トルク(Nm)を,縦軸にセンサ出力(m
V)をとったものである。
【0043】図2および表2より知られるごとく,本発
明品E1のセンサ出力(感度)は,トルクセンサの検出
回路内におけるアンプ分を除いた磁歪素子の性能として
は,0.76mV/Nm,ヒステリシスは0.9%とい
う結果となった。
【0044】なお,表2におけるセンサ感度(ΔV%)
は,+7Nmのトルク印加時のセンサ出力と,−7Nm
のトルク印加時のセンサ出力との差分値を,トルクを印
加しないときのセンサ出力にて除算した値である。ま
た,表2におけるヒステリシス(%)は,+7Nmのト
ルクを印加後無負荷としたときのセンサ出力と−7Nm
のトルクを印加後無負荷としたときのセンサ出力との差
分値を,+7Nmのトルク印加時のセンサ出力と−7N
mのトルク印加時のセンサ出力との差分値にて除算した
値である。
【0045】一方,図3および表2より知られるごと
く,比較品C1のセンサ出力(感度)は,0.5mV/
Nm,ヒステリシスは1.3%という結果となった。こ
れらの結果から,本発明品E1は,センサ出力および感
度が約50%ほど向上し,さらにヒステリシスも向上
し,比較品C1よりも優れた磁気的特性を示すことが分
かる。
【0046】次に,本例においては,過負荷トルクに対
する安定性を測定した。具体的には,上記センサ出力電
圧を測定するときと同じ条件において,過負荷トルクを
加え,その前後のセンサ出力値によりゼロ点ドリフト
(%)を求めた。なお,ゼロ点ドリフトは,図4に示す
ごとく,過負荷トルク印加前の出力値Aと,過負荷トル
ク解除後の出力値Cのずれ量dを測定し,常用域のフル
スケール電圧に対する上記ずれ量dの割合(%)により
求める。なお,本例のサイズの磁歪素子においては,1
50Nmの過負荷トルクを加えた際のゼロ点ドリフトが
10%以下であれば,過負荷トルクに対する安定性が優
れており,自動車用のステアリングのトルクセンサとし
ての使用に耐え得るものである。
【0047】また,本発明品E1に対しては,150N
mの過負荷トルクを加えた。一方,比較品C1に対し
て,100Nm前後のところに限界があると考えられた
ので100Nmの過負荷トルクを加えた。測定結果を表
2に示す。表2より知られるごとく,本発明品E1は,
比較品C1に比べて,過負荷トルクに対する安定性が格
段に向上していることが分かる。この原因は,上記機械
的性質,残留圧縮応力値,組織状態の違い等にあると考
えられる。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】実施形態例2 本例においては,実施形態例1における本発明品E1お
よび比較品C1の組織観察を行った。具体的には,本発
明品E1については1000倍と2000倍の2種類の
倍率で,比較品C1については1000倍の倍率で顕微
鏡により観察した。その結果を図面代用写真として,図
5(a)〜(c)に示す。
【0051】これらの図から知られるように,本発明品
E1は,低炭素マルテンサイトよりなる母相に微細な球
状合金炭化物が均一分散していることが分かる。一方,
比較品C1は,マルテンサイト組織であることが分か
る。これらの組織の違いが,上記実施形態例1における
各測定結果に反映されたと考えられる。
【0052】実施形態例3 本例は,本発明品としてさらに2種類の磁歪素子を準備
し,実施形態例1と同様に性能を評価した。準備した本
発明品E2は,本発明品E1における炭素(C)含有量
を0.15重量%にまで下げたものであり,その他はほ
ぼE1と同様である。また,本発明品E3は,本発明品
E2における過負荷処理を取りやめたものであり,その
他はE2と同様である。
【0053】これら本発明品E2,E3の各特性の測定
結果等を上記表1,表2に合わせて記載する。表2より
知られるごとく,本発明品E2,E3は,いずれも優れ
た磁気的特性を示した。ここで注目すべきことは,予め
過負荷トルクを2回加えるという過負荷処理を行った場
合(E2)には,行わない場合(E3)よりも,格段に
過負荷トルクに対する安定性が向上することが分かる。
【0054】実施形態例4 本例においては,図6に示すごとく,実施形態例1の本
発明品E1の製造工程における,焼戻し温度を種々変更
し,その影響を調べた。具体的には,上記焼戻し温度を
200〜650℃の間において変化させ,出力特性を測
定した。また,過負荷トルクに対する安定性について
は,150Nmのトルクによる過負荷処理を1回行った
場合と2回行った場合の2種類について測定した。
【0055】測定結果を図6に示す。同図は,横軸に焼
戻し温度(℃)を,縦軸に感度(mV/Nm),ヒステ
リシス(%),硬さ(Hv),過負荷トルクによるドリ
フト(上記のゼロ点ドリフト)(%FS)をとった。そ
して,感度をE41,ヒステリシスをE42,硬さをE
43,過負荷処理が1回の場合の過負荷トルクゼロ点ド
リフトをE44,過負荷処理が2回の場合の過負荷トル
クゼロ点ドリフトをE45という符号により示した。
【0056】同図より知られるごとく,まず,磁歪素子
の強度を代表する硬度E43は,焼戻し温度の上昇に伴
って低下する。そして,硬度E43の低下に伴って感度
E41,ヒステリシスE42等の磁気的特性は向上する
傾向にある。ただし,ヒステリシスE42は,焼戻し温
度600℃付近にピークが現れた。
【0057】また,過負荷トルクに対する安定性を見る
と,過負荷処理の回数にかかわらず,焼戻し温度600
℃付近にピークが見られた。また,過負荷処理の回数で
比べると,2回処理の場合(E45)の方がより安定す
る傾向が見られた。
【0058】以上の結果から,上記特定の成分組成のF
e−Cr系材料を用いて,実施形態例1に示した製造方
法により製造し,かつ,その焼戻し温度を600℃付近
で行うことが,磁気的特性に優れかつ過負荷トルクに対
する安定性に優れた磁歪素子の提供に有効であることが
分かる。特に過負荷トルクによるゼロ点ドリフトが10
%FSのものを得るには,特に,焼戻し温度を550〜
650℃程度にすることが好ましいことが分かる。
【0059】実施形態例5 本例は,図7に示すごとく,実施形態例1の本発明品E
1と同一の製造工程により上記ショットピーニング処理
までを行った後,安定化処理を追加して本発明品E51
を作製し,これの過負荷トルクに対する安定性の評価を
実施したものである。
【0060】具体的には,本発明品E51の安定化処理
は,温度350℃に1時間保持することにより行った。
そして,過負荷トルクに対する安定性の評価は,実施形
態例1の場合と同様の条件により行った。なお,本例で
は,20,30,50,70kHzの4種類の測定周波
数についてそれぞれ上記ゼロ点ドリフト(%)を求め
た。その結果を図7に示す。同図は,横軸に印加トルク
(Nm)を,縦軸にゼロ点ドリフト(%)をとったもの
である。
【0061】図7より知られるごとく,測定周波数が5
0kHzの場合には,印加トルクが150Nmまでにお
いて,数%以下のドリフト量に抑えられた。このことか
ら,少なくとも温度350℃の安定化処理を追加するこ
とが,過負荷トルクに対する安定性の向上に有効である
ことが確認できた。
【0062】実施形態例6 本例では,実施形態例5における安定化処理の最適な温
度範囲を実験により求めた。即ち,本発明品E51にお
ける安定化処理温度を0〜600℃の範囲内で変化さ
せ,磁歪素子に生じた残留応力を測定した。なお,安定
化処理時間は1時間に固定した。残留応力の測定位置
は,磁気異方性部の表面における軸方向,周方向,スプ
ライン方向(軸方向に対して45°方向)とした。
【0063】測定結果を図8に示す。同図は,横軸に安
定化処理温度(℃)を,縦軸に圧縮残留応力(kgf/
mm2)をとった。なお,残留応力値は+側を圧縮残留
応力とした。また,データは,軸方向のものを符号E6
1(◆),周方向のものを符号E62(■),スプライ
ン方向のものを符号E63(▲)として示した。
【0064】図8より知られるごとく,圧縮残留応力を
30kgf/mm2以上とするためには,安定化処理温
度を400℃以下にすることが必要であるということが
分かる。なお,圧縮残留応力を30kgf/mm2以下
とすることにより,過負荷トルクに対する安定性を向上
させることができる。また,安定化処理による歪の均質
化および圧縮残留応力の安定化の効果を考慮すると,少
なくとも150℃以上の温度で安定化処理を行う必要が
ある。したがって,本例の結果から,安定化処理温度の
最適値は,150〜400℃であることが分かる。
【0065】実施形態例7 本例では,実施形態例1における本発明品E1におけ
る,磁気異方性部15の硬度分布を測定した。具体的に
は,図9に示すごとく,磁気異方性部15の断面硬度
を,突起部の頂点(表面)aを0として,その深さ方向
(矢印d)において測定した。
【0066】測定結果を図10に示す。同図は,横軸に
表面からの深さ(mm)を,縦軸に硬さ(Hv)をとっ
たものである。同図より知られるごとく,硬度分布は,
磁気異方性部15の深さ方向においてほとんど変化して
いない。このことから,実施形態例1の製造方法におい
ては,磁気異方性部15の表面部に圧縮加工による硬化
層が現れないことが分かる。
【0067】また,本例では,上記硬度測定部分におけ
る残留応力も測定した。測定結果を図11に示す。同図
は,横軸に表面からの深さ(図9)を,縦軸に残留応力
(+側が引張残留応力,−側が圧縮残留応力)をとっ
た。同図より知られるごとく,表面からの深さが0.4
mmまでの表面部は圧縮残留応力状態にあり,それより
深い部分では引張圧縮状態にあることが分かった。この
ことから,実施形態例1の条件による冷間加工(ショッ
トピーニング処理)は,磁気異方性部15をほとんど硬
化させることなく,圧縮残留応力を付与することができ
る程度の処理であることが分かる。
【0068】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,磁気的
特性に優れ,かつ,過負荷トルクに対する安定性に優れ
た,磁歪素子およびその製造方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,トルクセンサの構造を
示す説明図。
【図2】実施形態例1における,本発明品の印加トルク
と感度等の関係を示す説明図。
【図3】実施形態例1における,比較品の印加トルクと
感度等の関係を示す説明図。
【図4】実施形態例1における,ゼロ点ドリフトの算出
方法を示す説明図。
【図5】実施形態例2における,(a)本発明品の10
00倍,(b)本発明品の2000倍,(c)比較品の
1000倍,の金属組織を示す図面代用顕微鏡写真。
【図6】実施形態例4における,焼戻し温度と各特性の
関係を示す説明図。
【図7】実施形態例5における,印加トルクに対するゼ
ロ点ドリフト量を示す説明図。
【図8】実施形態例6における,安定化処理温度と残留
応力との関係を示す説明図。
【図9】実施形態例7における,硬度測定位置を示す説
明図。
【図10】実施形態例7における,磁気異方性部の表面
からの距離と硬度との関係を示す説明図。
【図11】実施形態例7における,磁気異方性部の表面
からの距離と残留応力との関係を示す説明図。
【符号の説明】
1...磁歪素子(軸体), 10...トルクセンサ, 15...磁気異方性部(シェプロンパターン), 21,22...励磁コイル, 23,24...検出コイル,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01L 3/10 G01L 3/10 A H01L 41/20 H01L 41/20 (72)発明者 丸山 宏太 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 伊東 厚直 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 加藤 義雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 服部 毅 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比にて,Cr:12〜18%,C:
    0.08〜0.6%を含有するFe−Cr系の成分組成
    を有していると共に,低炭素マルテンサイトもしくはフ
    ェライトよりなる母相に,微細な球状合金炭化物を均一
    分散させた組織を有していることを特徴とする磁歪素
    子。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記球状合金炭化物
    は,0.5〜2μmの粒径を有していると共に,互いに
    1〜5μmの間隔を開けて分散していることを特徴とす
    る磁歪素子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,硬さHvは2
    50〜400,引張強さは80〜140kgf/m
    ,降伏点は70kgf/mm以上であることを特
    徴とする磁歪素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,
    圧縮残留応力が30kgf/mm以上であることを特
    徴とする磁歪素子。
  5. 【請求項5】 重量比にて,Cr:12〜18%,C:
    0.08〜0.6%を含有するFe−Cr系の成分組成
    を有する軸体を準備して,該軸体に磁気異方性部を形成
    し,次いで,低炭素マルテンサイトもしくはフェライト
    よりなる母相に微細な球状合金炭化物を均一分散させた
    組織を形成するように上記軸体に熱処理を加え,次い
    で,上記軸体に冷間加工を加えて残留圧縮応力を生じさ
    せることを特徴とする磁歪素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において,上記熱処理は,真空
    もしくは不活性ガス中において温度900〜1050℃
    に保持した後焼入れ処理を行い,次いで,温度500〜
    700℃による焼戻し処理を行うことを特徴とする磁歪
    素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6において,上記冷間加工
    の後に,温度150〜400℃による安定化処理を行う
    ことを特徴とする磁歪素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7のいずれか1項において,
    上記軸体には,過負荷トルクを1回以上付与することを
    特徴とする磁歪素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001311668A (ja) * 2000-04-20 2001-11-09 Mannesmann Vdo Ag トルクセンサにおいて使用するための磁気弾性部材を形成する方法

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