JP3095864B2 - トルク検出軸の製造方法 - Google Patents
トルク検出軸の製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性材料からなる軸の
表面応力を磁気的に検出してトルクを求めるトルクセン
サのトルク検出軸の製造方法に関する。
表面応力を磁気的に検出してトルクを求めるトルクセン
サのトルク検出軸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】軸表面の磁歪現象を利用してトルクを検
出できることが知られており、特許第169326号に
記載されているように、強磁性体よりなる軸材の表面に
溝を形成し、軸に作用するトルクによって生じた応力に
よる軸表面の磁気特性の変化を、軸材の近傍に配置した
コイルを用いて検出し、検出した磁気特性の変化からト
ルクを求めることが行われている。このような軸材の磁
気特性の変化を利用してトルクを検出するトルクセンサ
においては、トルク検出軸に大きな力が作用するところ
から、軸材として高強度であって降伏応力の高いものが
望まれており、通常浸炭鋼、焼入れ鋼が多く用いられて
いる。
出できることが知られており、特許第169326号に
記載されているように、強磁性体よりなる軸材の表面に
溝を形成し、軸に作用するトルクによって生じた応力に
よる軸表面の磁気特性の変化を、軸材の近傍に配置した
コイルを用いて検出し、検出した磁気特性の変化からト
ルクを求めることが行われている。このような軸材の磁
気特性の変化を利用してトルクを検出するトルクセンサ
においては、トルク検出軸に大きな力が作用するところ
から、軸材として高強度であって降伏応力の高いものが
望まれており、通常浸炭鋼、焼入れ鋼が多く用いられて
いる。
【0003】また、トルク検出軸は、作用するトルクに
よる応力に対する磁気特性の変化が大きく、かつ磁気特
性の変化が直線的でヒステリシスの小さいことが望まし
い。この応力に対する磁気特性の変化は、軸の表面残留
応力に大きな影響を受け、表面残留応力を均一にする必
要がある。このため、一般に、トルクセンサ用の軸材
は、浸炭処理をした後、焼もどしやサブゼロ処理を始め
とする焼入れなどの熱処理や、ショットピーニングを始
めとする機械的な応力負荷により、表面残留応力を均一
化して磁気特性の向上を図っている。また、特開昭60
−254678号公報に示されているように、軸材に表
面圧縮応力を作り、疲労強度、磁気特性を向上させるよ
うにしている。
よる応力に対する磁気特性の変化が大きく、かつ磁気特
性の変化が直線的でヒステリシスの小さいことが望まし
い。この応力に対する磁気特性の変化は、軸の表面残留
応力に大きな影響を受け、表面残留応力を均一にする必
要がある。このため、一般に、トルクセンサ用の軸材
は、浸炭処理をした後、焼もどしやサブゼロ処理を始め
とする焼入れなどの熱処理や、ショットピーニングを始
めとする機械的な応力負荷により、表面残留応力を均一
化して磁気特性の向上を図っている。また、特開昭60
−254678号公報に示されているように、軸材に表
面圧縮応力を作り、疲労強度、磁気特性を向上させるよ
うにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、浸炭鋼を焼
入れ、焼もどし、サブゼロ処理などの熱処理した場合、
オーステナイトがマルテンサイト化して硬度が高くなり
すぎ、靱性が低下して脆くなる問題がある。また、浸炭
処理の際に生じた表面の酸化物層は、軸の疲労強度を低
下させる。すなわち、軸材の表面に生じた酸化物層は、
従来、センサとして使用する場合なんら考慮が払われて
おらず、無視されていた。ところが、発明者等の研究に
よると、軸材の表面の酸化物層、特に粒界/粒界層が酸
化した場合には、軸の強度を低下させ、また磁気特性の
ヒステリシスの大きな原因になっていることが判明し
た。しかも、この酸化物層は、ショットピーニングなど
の機械的応力付加を行っても除去することが難しい。
入れ、焼もどし、サブゼロ処理などの熱処理した場合、
オーステナイトがマルテンサイト化して硬度が高くなり
すぎ、靱性が低下して脆くなる問題がある。また、浸炭
処理の際に生じた表面の酸化物層は、軸の疲労強度を低
下させる。すなわち、軸材の表面に生じた酸化物層は、
従来、センサとして使用する場合なんら考慮が払われて
おらず、無視されていた。ところが、発明者等の研究に
よると、軸材の表面の酸化物層、特に粒界/粒界層が酸
化した場合には、軸の強度を低下させ、また磁気特性の
ヒステリシスの大きな原因になっていることが判明し
た。しかも、この酸化物層は、ショットピーニングなど
の機械的応力付加を行っても除去することが難しい。
【0005】また、軸材の表面に圧縮応力を作ること
は、特開昭60−254678号公報に記載の如く、焼
入れ加工時に表面圧縮むらが大きいと、センサ出力が不
安定となる。そして、軸材に大きな応力を付加して残留
応力の均一化をすることも有用であるが、大型の構造物
には適していない。
は、特開昭60−254678号公報に記載の如く、焼
入れ加工時に表面圧縮むらが大きいと、センサ出力が不
安定となる。そして、軸材に大きな応力を付加して残留
応力の均一化をすることも有用であるが、大型の構造物
には適していない。
【0006】一方、浸炭処理後の熱処理による靱性の低
下を避けるために、浸炭において炭素量を多くすると、
高炭素になるほど非磁性体である残留オーステナイト量
(残留γ量)が多くなって磁気特性が低下する。しか
も、残留オーステナイトが多くなると、軸材の硬度、剛
性などが低下し、軸強度、疲労強度に影響してくる。と
なる。従って、軸材は、表面に適度の残留オーステナイ
ト量を有していて、大きな硬さや剛性、疲労強度を有し
ていることが望まれる。
下を避けるために、浸炭において炭素量を多くすると、
高炭素になるほど非磁性体である残留オーステナイト量
(残留γ量)が多くなって磁気特性が低下する。しか
も、残留オーステナイトが多くなると、軸材の硬度、剛
性などが低下し、軸強度、疲労強度に影響してくる。と
なる。従って、軸材は、表面に適度の残留オーステナイ
ト量を有していて、大きな硬さや剛性、疲労強度を有し
ていることが望まれる。
【0007】また、高Ni鋼のように浸炭後の焼入れ性
が悪い材料においては、昔からサブゼロ処理、ショット
ピーニングなどにより表面残留オーステナイト量の調整
(減少)を行っている。しかし、サブゼロ処理を行う
と、表面近傍から浸炭層の内部深くまでマルテンサイト
化が進み、残留γ量が減少しすぎて疲労強度の低下が避
けられない。表面にある酸化物層による強度劣化は、残
留オーステナイトのマルテンサイトへの変態によって補
っていると考えられる。そこで、軸材の残留γ量は、最
表面近傍において10%程度に減少させ、その下部にお
いて多少多めにする処理が期待させる。
が悪い材料においては、昔からサブゼロ処理、ショット
ピーニングなどにより表面残留オーステナイト量の調整
(減少)を行っている。しかし、サブゼロ処理を行う
と、表面近傍から浸炭層の内部深くまでマルテンサイト
化が進み、残留γ量が減少しすぎて疲労強度の低下が避
けられない。表面にある酸化物層による強度劣化は、残
留オーステナイトのマルテンサイトへの変態によって補
っていると考えられる。そこで、軸材の残留γ量は、最
表面近傍において10%程度に減少させ、その下部にお
いて多少多めにする処理が期待させる。
【0008】ところで、ショットピーニング処理をする
場合には、建設機械に用いるような大型構造物に均一に
当てることが困難で、処理にむらを生ずる。しかも、大
型構造物は、サブゼロ処理またはショットピーニング等
を行う場合、均一な処理が困難であるばかりでなく、処
理設備が大型となり、多くの設備費用が必要となり、コ
ストの上昇要因となる。このため、トルク検出用の軸材
の浸炭処理は、疲労強度を有するとともに、センサとし
ての磁気特性に優れたものが得られることが望ましい。
場合には、建設機械に用いるような大型構造物に均一に
当てることが困難で、処理にむらを生ずる。しかも、大
型構造物は、サブゼロ処理またはショットピーニング等
を行う場合、均一な処理が困難であるばかりでなく、処
理設備が大型となり、多くの設備費用が必要となり、コ
ストの上昇要因となる。このため、トルク検出用の軸材
の浸炭処理は、疲労強度を有するとともに、センサとし
ての磁気特性に優れたものが得られることが望ましい。
【0009】本発明は、上記従来技術の欠点を解消する
ためになされたもので、疲労強度に優れ、また応力に対
する磁気特性に優れたトルク検出軸の製造方法を提供す
ることを目的としている。
ためになされたもので、疲労強度に優れ、また応力に対
する磁気特性に優れたトルク検出軸の製造方法を提供す
ることを目的としている。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【課題を解決するための手段および作用】 上記の目的を
達成するために、本発明に係るトルク検出軸の製造方法
は 、浸炭処理をした軸材を焼入れ、焼もどしまたはサブ
ゼロ処理等の熱処理を行ったのち、軸材の表面を研磨
し、浸炭処理や熱処理に伴って生じた軸材表面の酸化物
層を除去し、酸化物層による軸材の強度の低下を阻止す
るとともに、磁気ヒステリシスの向上を図る。研磨量
は、浸炭処理時間の長さ、浸炭処理後の熱処理時間の長
さによって異なり、軸材が例えば建設機械などに使用す
る処理時間の長い大型構造物である場合、50μm程度
である。
達成するために、本発明に係るトルク検出軸の製造方法
は 、浸炭処理をした軸材を焼入れ、焼もどしまたはサブ
ゼロ処理等の熱処理を行ったのち、軸材の表面を研磨
し、浸炭処理や熱処理に伴って生じた軸材表面の酸化物
層を除去し、酸化物層による軸材の強度の低下を阻止す
るとともに、磁気ヒステリシスの向上を図る。研磨量
は、浸炭処理時間の長さ、浸炭処理後の熱処理時間の長
さによって異なり、軸材が例えば建設機械などに使用す
る処理時間の長い大型構造物である場合、50μm程度
である。
【0014】なお、軸材の表面研磨は、残留応力が均一
となるように、冷却しながらゆっくりと加工することが
望ましい。これは、トルク検出部となる検出軸の表面
は、平滑で表面残留応力が均一であることが最も大切で
あることによる。また、機械的加工処理としては、ロー
ル、ショットピーニングでよい。なお、浸炭深さは、軸
材が建設機械に使用する大型構造物である場合、2mm
以上とすることが望ましい。また、低合金構造鋼として
は、JISのSNCM220、SNCM630、SNC
M815等のいわゆる肌焼き鋼を用いることができる。
となるように、冷却しながらゆっくりと加工することが
望ましい。これは、トルク検出部となる検出軸の表面
は、平滑で表面残留応力が均一であることが最も大切で
あることによる。また、機械的加工処理としては、ロー
ル、ショットピーニングでよい。なお、浸炭深さは、軸
材が建設機械に使用する大型構造物である場合、2mm
以上とすることが望ましい。また、低合金構造鋼として
は、JISのSNCM220、SNCM630、SNC
M815等のいわゆる肌焼き鋼を用いることができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明に係るトルク検出軸の製造方法
の好ましい実施例を詳説する。まず、軸材として低合金
構造鋼であるJIS SNCM220を用い、このSN
CM220からなる図1に示した円柱状の軸10に標準
的な浸炭処理をし、軸10のトルクに対する磁気ヒステ
リシスを計測した。すなわち、SNCM220をカーボ
ンポテンシャルが0.7〜0.8%のガス雰囲気中にお
いて930°Cに加熱し、約1時間ガス浸炭を行った。
その後、雰囲気を焼入れ温度である840°Cに下げ、
この温度で30分保持してから油焼入れを行った。次
に、焼入れした軸10を170°Cに加熱して2時間保
持したのち、空冷して焼もどしを行った。
の好ましい実施例を詳説する。まず、軸材として低合金
構造鋼であるJIS SNCM220を用い、このSN
CM220からなる図1に示した円柱状の軸10に標準
的な浸炭処理をし、軸10のトルクに対する磁気ヒステ
リシスを計測した。すなわち、SNCM220をカーボ
ンポテンシャルが0.7〜0.8%のガス雰囲気中にお
いて930°Cに加熱し、約1時間ガス浸炭を行った。
その後、雰囲気を焼入れ温度である840°Cに下げ、
この温度で30分保持してから油焼入れを行った。次
に、焼入れした軸10を170°Cに加熱して2時間保
持したのち、空冷して焼もどしを行った。
【0016】さらに、焼もどしをした軸10に、長手方
向に沿って4つの磁気異方性部12a〜12dを設けて
トルク検出軸とした。この磁気異方性部12a〜12d
は、軸10の軸線に対して45度傾斜させたせた螺旋上
の溝14を設けることによって形成してあり、溝14は
幅1mmで深さ1ミリであって、1ミリピッチで形成し
てある。このようにして磁気異方性部12a〜12dを
設けた軸10の周囲に検出コイル16を配置し、軸10
に作用するトルクに対する磁気ヒステリシスを計測した
ところ、図2の結果が得られた。なお、各磁気異方性部
12a〜12dの長さはそれぞれ10mmであり、各検
出コイル16の長さはそれぞれ8mmである。
向に沿って4つの磁気異方性部12a〜12dを設けて
トルク検出軸とした。この磁気異方性部12a〜12d
は、軸10の軸線に対して45度傾斜させたせた螺旋上
の溝14を設けることによって形成してあり、溝14は
幅1mmで深さ1ミリであって、1ミリピッチで形成し
てある。このようにして磁気異方性部12a〜12dを
設けた軸10の周囲に検出コイル16を配置し、軸10
に作用するトルクに対する磁気ヒステリシスを計測した
ところ、図2の結果が得られた。なお、各磁気異方性部
12a〜12dの長さはそれぞれ10mmであり、各検
出コイル16の長さはそれぞれ8mmである。
【0017】また、図1に示した軸10の表面を約50
μm研磨して軸表面の酸化物層を除去し、図1と同様に
して軸10のトルクに対する磁気ヒステリシスを求めた
ところ、図3に示す結果が得られた。すなわち、軸材を
浸炭処理後、焼入れ、焼もどしの熱処理をしたのち、こ
れら浸炭処理、熱処理によって生じた酸化物層を研磨し
て除去すると、磁気特性を著しく向上させることができ
る。
μm研磨して軸表面の酸化物層を除去し、図1と同様に
して軸10のトルクに対する磁気ヒステリシスを求めた
ところ、図3に示す結果が得られた。すなわち、軸材を
浸炭処理後、焼入れ、焼もどしの熱処理をしたのち、こ
れら浸炭処理、熱処理によって生じた酸化物層を研磨し
て除去すると、磁気特性を著しく向上させることができ
る。
【0018】次に、JIS SNCM220からなる軸
材を、ガスのカーボンポテンシャルを0.65%となる
ように設定し、上記と同様にして浸炭処理、焼入れ、焼
もどしを行い、トルク検出軸にしてトルクに対する磁気
ヒステリシスを求めたところ、図4に示した結果が得ら
れ、通常のカーボンポテンシャルが0.75〜8.0%
で浸炭処理をした場合よりも磁気特性を向上させること
ができた。なお、このときの軸10の表面部分の残留オ
ーステナイト量は約10%で、通常の浸炭処理の場合の
約20%より大きく低下していた。
材を、ガスのカーボンポテンシャルを0.65%となる
ように設定し、上記と同様にして浸炭処理、焼入れ、焼
もどしを行い、トルク検出軸にしてトルクに対する磁気
ヒステリシスを求めたところ、図4に示した結果が得ら
れ、通常のカーボンポテンシャルが0.75〜8.0%
で浸炭処理をした場合よりも磁気特性を向上させること
ができた。なお、このときの軸10の表面部分の残留オ
ーステナイト量は約10%で、通常の浸炭処理の場合の
約20%より大きく低下していた。
【0019】また、JIS SNCM220からなる軸
材を、前記の如く通常の浸炭処理、焼入れ、焼もどしを
したのち、850°Cに加熱して軸材の表面炭素の脱
炭、炭化物化をして表面炭素量を0.7重量%以下に
し、再焼入れをしたのちトルク検出軸に形成してトルク
に対する磁気ヒステリシスを測定してところ、図5に示
す結果が得られ、通常の処理に比較して磁気特性を向上
することができた。
材を、前記の如く通常の浸炭処理、焼入れ、焼もどしを
したのち、850°Cに加熱して軸材の表面炭素の脱
炭、炭化物化をして表面炭素量を0.7重量%以下に
し、再焼入れをしたのちトルク検出軸に形成してトルク
に対する磁気ヒステリシスを測定してところ、図5に示
す結果が得られ、通常の処理に比較して磁気特性を向上
することができた。
【0020】なお、前記実施例においては、浸炭処理と
浸炭処理後の熱処理のみを行った場合について説明した
が、浸炭後の熱処理を行った後、ショットピーニングや
ロールなどの機械的加工処理をおこなってもよい。そし
て、浸炭処理、熱処理によって発生した酸化物層を研磨
して除去する場合、熱処理直後に行ってもよいし、ショ
ットピーニングなどの機械的加工処理をした後に行って
もよい。また、浸炭後の熱処理としてサブゼロ処理を行
ってもよい。
浸炭処理後の熱処理のみを行った場合について説明した
が、浸炭後の熱処理を行った後、ショットピーニングや
ロールなどの機械的加工処理をおこなってもよい。そし
て、浸炭処理、熱処理によって発生した酸化物層を研磨
して除去する場合、熱処理直後に行ってもよいし、ショ
ットピーニングなどの機械的加工処理をした後に行って
もよい。また、浸炭後の熱処理としてサブゼロ処理を行
ってもよい。
【0021】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、浸炭処理用ガスの組成を調整して、浸炭後の軸材表
面の炭素量を0.75重量%以下にすることにより、疲
労強度と磁気特性に優れたトルク検出軸を得ることがで
きる。
ば、浸炭処理用ガスの組成を調整して、浸炭後の軸材表
面の炭素量を0.75重量%以下にすることにより、疲
労強度と磁気特性に優れたトルク検出軸を得ることがで
きる。
【0022】また、本発明においては、通常の浸炭処理
または高炭素浸炭処理をした軸材を再焼入れし、軸材の
表面炭素を脱炭または炭化物として析出させ、軸材表面
の炭素濃度を0.75重量%以下とすることにより、上
記と同様の効果が得られる。さらに、本発明において
は、浸炭処理をした軸材を焼入れ、焼もどしまたはサブ
ゼロ処理等の熱処理を行ったのち軸材の表面を研磨し
て、浸炭処理や熱処理に伴って生じた軸材表面の酸化物
層を除去することにより、酸化物層による軸材の強度の
低下が阻止できるとともに、磁気ヒステリシスの向上を
図ることができる。
または高炭素浸炭処理をした軸材を再焼入れし、軸材の
表面炭素を脱炭または炭化物として析出させ、軸材表面
の炭素濃度を0.75重量%以下とすることにより、上
記と同様の効果が得られる。さらに、本発明において
は、浸炭処理をした軸材を焼入れ、焼もどしまたはサブ
ゼロ処理等の熱処理を行ったのち軸材の表面を研磨し
て、浸炭処理や熱処理に伴って生じた軸材表面の酸化物
層を除去することにより、酸化物層による軸材の強度の
低下が阻止できるとともに、磁気ヒステリシスの向上を
図ることができる。
【図1】トルク検出軸のトルクに対する磁気ヒステリシ
スを計測する方法の説明図である。
スを計測する方法の説明図である。
【図2】従来の浸炭処理と熱処理とをしたトルク検出軸
のトルクに対する磁気ヒステリシスを示す図である。
のトルクに対する磁気ヒステリシスを示す図である。
【図3】従来の浸炭処理と熱処理とをしたのち、軸の表
面を研磨して酸化物層を除去した実施例のトルクに対す
る磁気ヒステリシスを示す図である。
面を研磨して酸化物層を除去した実施例のトルクに対す
る磁気ヒステリシスを示す図である。
【図4】浸炭用ガスの組成を調整して軸材の表面炭素量
を0.7重量%以下にした実施例のトルクに対する磁気
ヒステリシスを示す図である。
を0.7重量%以下にした実施例のトルクに対する磁気
ヒステリシスを示す図である。
【図5】通常の浸炭処理をしたのち、再焼入れをして軸
材の表面炭素量を0.7重量%以下にした実施例のトル
クに対する磁気ヒステリシスを示す図である。
材の表面炭素量を0.7重量%以下にした実施例のトル
クに対する磁気ヒステリシスを示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 低合金構造鋼からなる軸材の表面を、浸
炭処理して硬化するトルク検出軸の製造方法において、
前記浸炭処理後に焼入れ、焼もどし、サブゼロ処理等の
熱処理をしたのち、前記軸材の表面を研磨して前記浸炭
処理と前記熱処理とによって生じた酸化物層を除去する
ことを特徴とするトルク検出軸の製造方法。 - 【請求項2】 低合金構造鋼からなる軸材の表面を、浸
炭処理して硬化するトルク検出軸の製造方法において、
前記浸炭処理後に焼入れ、焼もどし、サブゼロ処理等の
熱処理と機械的加工処理とをし、その後、前記軸材の表
面を研磨して前記浸炭処理と前記熱処理とによって生じ
た酸化物層を除去することを特徴とするトルク検出軸の
製造方法。 - 【請求項3】 低合金構造鋼からなる軸材の表面を、浸
炭処理して硬化するトルク検出軸の製造方法において、
前記浸炭処理後に焼入れ、焼もどし、サブゼロ処理等の
熱処理をしたのち、前記軸材の機械的加工処理の前また
は後に、前記軸材の表面を研磨して前記浸炭処理と前記
熱処理とによって生じた酸化物層を除去し、軸材表面の
残留圧縮応力を均一に低減させることを特徴とするトル
ク検出軸の製造方法。 - 【請求項4】 低合金構造鋼からなる軸材の表面を、浸
炭処理して硬化するトルク検出軸の製造方法において、
前記浸炭処理後に焼入れ、焼もどし、サブゼロ処理等の
熱処理および機械的加工処理により前記軸材の表面残留
オーステナイト量を低減するとともに、前記機械的加工
処理の前または後に、前記軸材の表面を研磨して前記浸
炭処理と前記熱処理とによって生じた酸化物層を除去
し、軸材表面の残留圧縮応力を均一に低減させることを
特徴とするトルク検出軸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04056982A JP3095864B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | トルク検出軸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04056982A JP3095864B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | トルク検出軸の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05223663A JPH05223663A (ja) | 1993-08-31 |
JP3095864B2 true JP3095864B2 (ja) | 2000-10-10 |
Family
ID=13042714
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04056982A Expired - Fee Related JP3095864B2 (ja) | 1992-02-07 | 1992-02-07 | トルク検出軸の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3095864B2 (ja) |
-
1992
- 1992-02-07 JP JP04056982A patent/JP3095864B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05223663A (ja) | 1993-08-31 |
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