JP3100433B2 - トルクセンサ用検出軸およびその製造方法 - Google Patents

トルクセンサ用検出軸およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、軸の周面に溝部を形成
して磁気異方性部を設け、この磁気異方性部に生じた磁
歪効果を利用してトルクを検出するトルクセンサに係
り、特に大型建設機械用高負荷軸材等に好適なトルクセ
ンサ用検出軸およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、建設機械の軸部等は、単に機械的
強度が期待されるばかりでなく、トルクや荷重に対する
検出機能など、機能特性も要求されるようになってい
る。例えば、建設機械におけるエンジン出力軸は、負荷
や出力を検出するためのトルクセンサ用検出軸に兼用さ
れる。
【0003】トルクセンサの検出軸としては、特許第1
69326号に係るものがある。この検出軸は、強磁性
体からなる回転軸の表面に溝を設けて磁気異方性部を形
成してあり、トルクを検出する場合、強磁性体回転軸に
作用するトルクによって磁気異方性部に生じた磁歪を、
検出コイルによって検出することにより行われる。そし
て、トルクセンサ用検出軸は、降伏応力の高い高強度材
であって、磁歪特性が高応力側まで線形的に変化するこ
とが望まれ、通常浸炭鋼、焼き入れ鋼が多く用いられて
いる(R.A.Beth et al.:"The Review of Scientific In
struments" 25(1954) 603、W.Winterhoff et al.:"Tech
nisches Messen" 50 (1983) 461)。
【0004】一方、検出軸の磁歪特性を向上させるため
に、肉盛り、プラズマパウダウエルディング(PP
W)、TIG溶接、ろう付け、接着等によって、軸材の
表面にパーマロイ等の磁歪特性の優れた部材を固着し、
磁歪特性を向上させることが考えられており、さらに物
理蒸着(PVD)等によって、軸材の表面に磁歪特性に
優れた膜を成膜することが提案されている(例えば特開
昭61−195323号公報または特開平1−1234
87号公報)。また、磁歪特性を有するアモルファス合
金を接着、メッキなどにより付けることが提案されてい
る(原田、電気理論11 (1981) 22 )。
【0005】このように、軸の表面に磁歪材を被覆した
検出軸は、磁歪皮膜の透磁率の変化を検出するため、磁
歪皮膜に軸の軸線に対して45度傾斜した螺旋上の凹凸
溝を形成して磁気異方性部を設け、この磁気異方性部を
高周波励磁することによって、溝の凸部上部に磁束を集
中させ、磁束の変化をコイルによって検知してその部分
の応力を検出する。そして、軸材に被覆した磁歪材に溝
を形成する場合、従来は、コスト的に有利な転造加工に
より行っている(特開昭63−117230号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
軸材の表面に磁歪材を肉盛りやPPW、溶射などによっ
て被覆する場合、被覆処理中の熱履歴により軸本体の強
度が低下する。このため、高負荷が作用する建設機械の
軸に磁歪材を被覆すると、軸材の強度低下によって建設
機械の信頼性を低下させる。特に、建設機械などの高負
荷が作用する軸においては、ある程度機能特性を犠牲に
しても、強度に対する信頼性を向上させる必要がある。
【0007】そこで、軸の強度を向上させるため、軸材
の表面を浸炭等によって硬化処理をすることが考えられ
る。しかし、例えばNi合金であるパーマロイのような
軟らかい磁歪材は、転造加工等によって溝部形成の塑性
加工した場合、形状が元に戻りやすく、加工後に変形を
起こして溝部を埋めてしまう。このため、溝部が変形に
よって埋まった後に浸炭や焼き入れ、焼き戻し、サブゼ
ロ等の熱処理などの硬化処理を行ったとしても、磁歪材
が炭素の浸入を防ぐ防炭材として作用し、軸材に炭素が
浸透せず、軸強度の向上を図ることができない。しか
も、浸炭処理の対象となる鋼材は、通常肌焼き鋼と呼ば
れる低炭素鋼であるために基本的に剛性が小さく、応力
集中が生ずる溝部等が存在すると、硬化処理がされてい
ないために強度不足の問題を生ずる。勿論、C量が低い
ため、調質処理により硬化させても、充分な強度に達す
ることができない。
【0008】しかも、トルクセンサ用検出軸は、磁歪特
性を改善するために、前記したように軸の表面に磁歪材
を被覆することが行われているが、被覆材自体の強度に
ついてはほとんど考慮されていない。
【0009】例えば、特開昭62−113037号公報
に記載されているように、軸に形成した溝の上にアモル
ファスからなる磁歪材を被覆する場合、アモルファスは
大きな強度を有して降伏応力も高いため、遅れ破壊など
の特殊な場合を除いて基本的に問題を生じない。しか
し、パーマロイを初めとした多くの磁歪材は強度が小さ
く、軸に被覆した場合に軸の強度を低下させる要因とな
り、建設機械などの厳しい使用条件、環境に対応するた
めには、センサとしての特性をある程度犠牲にしても、
軸の機械的強度を確保すること強く望まれる。
【0010】本発明は、上記の要請に鑑みてなされたも
ので、機械的強度の大きなトルクセンサ用検出軸および
その製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用】上記の目的を
達成するために、本発明に係るトルクセンサ用検出軸の
第1は、周面に溝状の凹凸を設けて磁気異方性部を形成
したトルクセンサ用検出軸において、軸本体の周面に被
着した磁歪材と、この磁歪材の一部を除去し、磁気異方
性部を形成するために設けた複数の溝部とを有し、少な
くとも前記溝部を含んだ表層部に、降伏強度を向上させ
るための熱処理、機械加工処理がしてあることを特徴と
している。
【0012】また、本発明に係るトルクセンサ用検出軸
の第2は、軸の表面に磁気異方性部を有するトルクセン
サ用検出軸において、前記軸の周面に溝部を設けて形成
した磁気異方性部と、前記軸全体の強度を向上するた
め、前記溝部を含んだ表層部に、降伏応力を向上させる
ための熱処理、機械加工処理がしてあることを特徴とし
ている。
【0013】そして、本発明に係るトルクセンサ用検出
軸の製造方法は、軸の表面に磁気異方性部を有するトル
クセンサ用検出軸の製造方法において、軸本体の周面に
磁歪材を被着する工程と、前記磁歪材を切除して複数の
溝部を設け、磁気異方性部を形成する工程と、少なくと
も前記溝部を含んだ表層部の降伏強度を向上させるため
の熱処理または機械加工処理工程とを含むことを特徴と
している。なお、溝部を形成する場合、切除以外に特開
昭64−25490号公報に記載のように、レーザ等に
よるトリミングを利用してもよい。
【0014】上記の如く構成した本発明のトルクセンサ
用検出軸は、溝部を形成した後に、少なくとも溝部を含
んだ表層部の降伏強度を向上させるための熱処理または
機械加工処理しているため、溝部に生ずる応力集中によ
って軸が破損するのを避けることができ、高負荷に耐え
る機械的強度の高いトルクセンサ用検出軸を得ることが
でき、強度に対する信頼性を向上できる。しかも、溝部
は、ホブやエンドミル等の機械加工またはエッチング等
によって、磁歪材の一部を除去することによって形成し
ており、磁歪材を塑性加工した場合のように、加工後に
溝部が塞がることがなく、溝部の硬化処理を確実に行う
ことができる。
【0015】軸本体への磁歪材の被着は、接着材による
接着、肉盛り、溶射、PPW、TIG溶接、ろう付け等
によって行ってよい。そして、近年は、肉盛り技術が進
歩し、母材と肉盛り部材との間に割れなどの欠陥を生ず
ることなく、肉盛り後に各種の熱処理を行うことができ
るようになった。従って、降伏強度を向上させるための
硬化処理としては、浸炭、窒化、オーステンパ、サブゼ
ロなどの相変態を利用した各種の熱処理によって実施で
きる。また、加工硬化が得られる機械的な硬化処理とし
ては、ロール、ショットピーニングなどが上げられる。
【0016】なお、磁歪材は、Niを主成分とするパー
マロイなどの強磁性体を用いることができる。勿論、F
e−Al等の各種磁歪材を用いてもよい。軸本体に磁歪
材を設けると、磁束は、軸本体より磁歪材の方に集まり
やすく、また磁歪材に生ずる渦電流の効果により、磁束
が溝の内部に入りにくく、検出軸としての特性が向上す
る。このため、高精度な溝加工をする必要がなく、溝の
深さを浅くすることができ、加工コストを低減できる。
しかも、溝底の角部の応力集中係数を小さくするよう
に、丸みを持たせてたとしても、検出軸としての特性の
低下が小さい。また、より特性を向上させるために、溝
部を電気伝導率の高い銅によってメッキをし、渦電流が
軸本体に入らないようにし、溝部からの信号を検出しな
いようにするとができる。
【0017】パーマロイなどのNiを主成分とした磁歪
材は、比較的軟らかいため、振動等により検出コイルな
どの検出部と接触すると、かじり等を生じやすい。そこ
で、磁歪材には、Ti、Al、Co、Mo、Nbなどの
析出硬化型元素の1種以上を含有させ、耐かじり性、耐
摺動性を向上させるとよい。これら析出硬化型元素の添
加量は、硬度とコストとが上限の決定要因となり、Al
が10重量%以下、Coが10重量%以下、Tiが1重
量%以下、Moが8重量%以下、Nbが1重量%以下で
ある。
【0018】磁歪材を被着させた後に浸炭などの熱処理
をすると、表層部が改質されることが多い。また、ショ
ットピーニングによる硬化処理をすると、表面の粗さが
増し、検出特性を低下させる原因となる。従って、研磨
やエッチングによって表面を平滑に仕上げることが望ま
しい。なお、表面を研磨する場合、残留応力が均一とな
るように、冷却しながらゆっくりと加工することが望ま
しい。これは、トルクを検出するセンサ部の表面は、平
滑で表面残留応力が均一であることが最も大切で、残留
応力は熱処理による程度で充分で、ショットピーニング
によるような高い残留応力を必要としない。
【0019】単に磁歪材を被着して使用する場合、焼き
入れだけで強度を満たすように、軸材は肌焼き鋼に比較
してC、Mo、Crの含有量の多いものを用いるとよ
い。その理由は、合金鋼の強度は主にCの量に依存し、
またMo、Crは焼き戻し軟化抵抗を高め、磁歪材を被
着する際の熱的影響による劣化を防止する。なお、軸材
の強度は、硬すぎると加工性が低下するため、機械加工
性とのバランスを考慮して選択する。
【0020】軸材は、熱処理をする前の素地組成でC量
が0.1〜0.5重量%のものを用い、通常または高炭
素浸炭処理によって表層部のC量を0.3〜2.5重量
%にする。Moは、1重量%以下が望ましい。Moは、
鋼の強度を最も向上させる元素であり、重要である。そ
して、肌焼き鋼は、Moの添加によって強度が向上する
が、あまりMoの量が多いと、切り欠き靱性が低下する
し、軸のコストを上昇させる。また、Crの添加量は、
6重量%以下であるのがよい。Crの添加量を多くする
と軸の強度が向上するが、添加量が6重量%を超える
と、鋼がオーステナイト化する。
【0021】鋼の熱処理の一つである浸炭処理では、鋼
材の表面に酸化層が残ってしまう。従来、トルクセンサ
用検出軸においては、この酸化層に対して関心が払われ
ておらず、無視されてきた。ところが、発明者等の研究
によると、軸材の表面に存在する酸化層が磁歪の検出特
性に大きな影響を与える。特に、結晶粒界が酸化される
と、強度が著しく低下して降伏応力が低くなる。よっ
て、軸に生ずる応力と磁歪との線形関係が局所的に低応
力で外れ、その結果大きなヒステリシスの原因となる。
このとき、表面炭素量が2重量%以上になる高炭素浸炭
を行うことは、降伏応力を向上させ、また特に特性向上
が可能である。
【0022】また、軸表面の酸化層に圧縮むらが生ずる
と、磁束に影響を与え、センサ出力信号が不安定とな
る。そこで、軸の表層部に大きな応力を加えて表面圧縮
むらを均一化することが考えられるが、大型構造物に使
用する軸には適用が困難である。従って、軸表層部の酸
化層を除去しなければならない。ただ、酸化層は、ショ
ットピーニングによって充分に除去することができず、
研磨やエッチングによって除去する必要がある。この結
果、軸部表面の残留応力を均一にすることができる。
【0023】なお、機械的な表面加工処理後に、磁気異
方性を形成している溝部の凸部上面を平滑にすると、凸
部上面の微小な凹凸による磁束の乱れをなくすことがで
き、磁束の検出精度を向上できる。
【0024】
【実施例】本発明に係るトルクセンサ用検出軸およびそ
の製造方法の好ましい実施例を、添付図面に従って詳説
する。
【0025】軸材として低合金鋼のSNCM220を用
い、図1(A)に示したように、研磨した円柱上の軸本
体10を浸炭処理したのち、軸本体10の周面に、パー
マロイからなる磁歪材12をサブマージアーク溶接によ
って0.3mm被着した。その後、図1(B)、図2に
示したように、軸本体10の軸線に対して45度傾斜さ
せたせた螺旋上の溝14を形成し、4つの磁気異方性部
16a〜16dを設けた。溝14は、幅1mmで深さ1
ミリであって、1ミリピッチで形成した。なお、溝14
の底部コーナ15は、曲率半径が0.06mmである。
また、各磁気異方性部16a〜16dの幅(軸方向の長
さ)は5mmにした。なお、複数の溝14を溝部と呼
ぶ。
【0026】次に、磁気異方性部16a〜16dを形成
した軸に、降伏強度を向上させるための浸炭による硬化
処理を行い、次いで通常の焼き入れ処理であるサブゼロ
処理等の焼き入れ(表面C量0.7重量%、170℃焼
き戻し)の熱処理を実施した。浸炭の深さは、2.0m
mに設定した。なお、図2に示した符号20は、検出軸
の周囲に配置した検出コイルである。
【0027】上記のようにして浸炭による硬化処理をし
た実施例を、硬化処理を行っていない従来例と比較した
ところ、図3に示した結果が得られた。すなわち、実施
例は、従来例に比較して疲労強度が1.8倍高くなるば
かりでなく、センサとしての検出感度も向上した。そし
て、実施例を切断して顕微鏡によって観察したところ、
軸本体10と磁歪材12と界面では溶け込みがあり、浸
炭によって軸本体10を構成しているSNCM220が
磁歪材12の下部に入り込んでもクラックなどの問題を
生ずることがなかった。
【0028】また、上記の実施例を加工硬化させるた
め、軸の溝14の部分にショットピーニングをして機械
的な残留応力を付与したところ、疲労強度をさらに10
%以上向上させることができた。ただし、負荷トルクに
対するセンサ出力特性(検出特性)を求めたところ、図
4のような履歴曲線が得られ、検出特性がショットピー
ニングを行う前よりも低下した。そこで、溝部にショッ
トピーニングをした実施例を、0.1mmほど研磨して
出力特性を調べたところ、図5に示したように極めて直
線性に優れたものとすることができた。
【0029】次に、溝部にショットピーニングを加えて
残留応力を向上させたところ、疲労強度を10%以上向
上させることができた。そこで、軸強度を整理すると、 パーマロイ被覆軸の強度<パーマロイ被覆+溝加工軸の
強度<パーマロイ被覆+溝加工+浸炭軸の強度(A)<
パーマロイ被覆+溝加工+浸炭軸+ショットピーニング
軸の強度(B)<パーマロイ被覆+溝加工+浸炭軸+シ
ョットピーニング+研磨軸の強度(C) ただし、(B)のものは(A)のものより、疲労強度が
約10%向上したが、センサ特性は低下した。また、
(C)は(A)よりセンサ特性が約10%向上し、疲労
強度は(B)と同等である。
【0030】なお、パーマロイにTiとAlとを0.1
重量%程度添加したところ、磁歪材12の硬度が約30
%(HRC30)向上していることが確認された。この
ため、パーマロイにTi、Alなどの析出硬化型元素を
添加すると、耐かじり性に優れ、摺動性のよい検出軸と
することができる。しかし、パーマロイにTi、Alを
0.1重量%ほど添加すると、センサ出力は約20%低
下した。
【0031】なお、磁歪材12の肉盛り後における冷却
条件は、軸の強度に大きな影響を与える。すなわち、鋼
の硬化の条件は、焼き入れなどにおける素材の冷却時の
冷却速度によって、元素や結晶の析出が変化し、通常の
析出は300〜400℃で焼鈍を実施する。しかし、実
施例の場合は、焼鈍を実施すると、軸母材自身が軟化し
てしまう。そこで、実施例では、肉盛りまたは溝部浸炭
等の熱処理後の冷却を利用して硬化を図るしかない。つ
まり、肉盛りでは冷却時の徐冷を利用し、浸炭等ではで
きるだけゆっくり冷却して焼き入れする。この場合、軸
材のMoの量を、徐冷でも焼きが入るように1重量%程
度にする。そして、焼鈍の温度、時間をきちんとコント
ロールすると、軸の強度および磁気特性が15%向上し
た。このように、軸強度と磁気特性とを向上できること
は、マルエージング鋼のデータおよび特開昭63−25
2487号公報に記載されている。
【0032】図6は、軸本体10の周面に磁歪材を被着
しなかった実施例の特性図である。すなわち、図6に示
した特性を有する検出軸は、SNCM220の周面に螺
旋状の溝を設けて磁気異方性部を形成し、その後軸の表
面を降伏強度を向上させるために浸炭によって硬化処理
をしたものである。この実施例は、検出特性が磁歪材を
設けたものより大きく劣る。しかし、磁歪材を設けてい
ないため、製作が容易でコストの低減が図れ、疲労強度
も磁歪材を設けたものと同程度である。
【0033】この実施例におけるセンサ特性の低下は、
軸を加熱炉から出した際に、表面に酸化層が形成される
ためと思われる。そこで、溝強度向上を目的としたショ
ットピーニングを軸の全体に実施したのち、磁気異方性
部を形成している溝部の凸部上面を研磨したところ、検
出特性が図7のようになり、検出特性を大幅に向上する
ことができた。
【0034】また、軸の表面を2%程度の高炭素浸炭を
行ったところ、通常の浸炭に比較して10%の出力向上
と同等のヒステリシスを得ることができた。
【0035】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、溝部を形成したのちに、溝部を硬化処理することに
より軸の機械的強度を大幅に向上することができ、信頼
性の高い検出軸が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るトルクセンサ用検出軸の
製造方法の説明図である。
【図2】実施例に係るトルクセンサ用検出軸の正面図で
ある。
【図3】実施例に係るトルクセンサ用検出軸と従来のト
ルクセンサ用検出軸との比較結果を示す図である。
【図4】溝部を形成した後に浸炭処理、ショットピーニ
ング処理をした実施例に係るトルクセンサ用検出軸の出
力特性図である。
【図5】溝部形成後に浸炭処理、ショットピーニング処
理をし、その後研磨した実施例の出力特性図である。
【図6】磁歪材を有しない軸に溝部を形成後、浸炭処理
をした実施例の出力特性図である。
【図7】磁歪材を有しない軸に溝部を形成し、浸炭、シ
ョットピーニングを行って後、溝部凸部上面を研磨した
実施例の出力特性図である。
【符号の説明】
10 軸本体 12 磁歪材 14 溝 16a〜16d 磁気異方性部

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周面に溝状の凹凸を設けて磁気異方性部
    を形成したトルクセンサ用検出軸において、軸本体の周
    面に被着した磁歪材と、この磁歪材の一部を除去し、磁
    気異方性部を形成するために設けた複数の溝部とを有
    し、少なくとも前記溝部を含んだ表層部に、降伏強度を
    向上させるための熱処理及び機械加工処理がしてある
    ことを特徴とするトルクセンサ用検出軸。
  2. 【請求項2】 前記磁歪材は、Ti、Al、Co、M
    o、Nbなどの析出硬化型元素の1種以上を含有するパ
    ーマロイであることを特徴とする請求項1に記載のトル
    クセンサ用検出軸。
  3. 【請求項3】 軸の表面に磁気異方性部を有するトルク
    センサ用検出軸において、前記軸の周面に溝部を設けて
    形成した磁気異方性部と、前記軸全体の強度を向上する
    ため、前記溝部を含んだ表層部に、降伏応力を向上させ
    るための熱処理及び機械加工処理がしてあることを特
    徴とするトルクセンサ用検出軸。
  4. 【請求項4】 前記磁気異方性部を形成している溝部の
    凸部上面は、前記降伏強度を向上させるための熱処理
    及び機械加工処理後に、平滑化処理がしてあることを特
    徴とする請求項1,2又は3に記載のトルクセンサ用検
    出軸。
  5. 【請求項5】 前記磁気異方性部を形成している溝部
    は、前記降伏強度を向上させるための熱処理及び機械
    加工処理後に研磨されていることを特徴とする請求項
    1,2,3又は4に記載のトルクセンサ用検出軸。
  6. 【請求項6】 軸の表面に磁気異方性部を有するトルク
    センサ用検出軸の製造方法において、軸本体の周面に磁
    歪材を被着する工程と、前記磁歪材を切除して複数の溝
    部を設け、磁気異方性部を形成する工程と、少なくとも
    前記溝部を含んだ表層部の降伏強度を向上させるため
    熱処理及び機械加工処理工程とを含むことを特徴と
    するトルクセンサ用検出軸の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記熱処理工程は、軸本体の相変態を利
    用した浸炭、窒化、オーステンパ、またはサブゼロ処理
    であり、前記機械加工処理はロールまたはショットピー
    ニング処理であることを特徴とする請求項6に記載のト
    ルクセンサ用検出軸の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載のトルクセンサ用検出軸
    の製造方法において、前記降伏強度を向上させるため
    熱処理及び機械加工処理工程後に、前記磁歪材の溝
    部凸部上面を平滑化することを特徴とするトルクセンサ
    用検出軸の製造方法。
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JPH0574835U (ja) * 1992-03-16 1993-10-12 株式会社パイロット スクリ−ン印刷装置における印刷テ−ブルの構造
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