JPH0841604A - 高感度、耐蝕性トルクセンサ検出軸材 - Google Patents

高感度、耐蝕性トルクセンサ検出軸材

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JPH0841604A
JPH0841604A JP18221794A JP18221794A JPH0841604A JP H0841604 A JPH0841604 A JP H0841604A JP 18221794 A JP18221794 A JP 18221794A JP 18221794 A JP18221794 A JP 18221794A JP H0841604 A JPH0841604 A JP H0841604A
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JP
Japan
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torque
sensor
shaft
sensitivity
shaft material
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Pending
Application number
JP18221794A
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English (en)
Inventor
Katsuyuki Uchibori
勝之 内堀
Kazunori Tokoro
一典 所
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Mitsubishi Steel Mfg Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Steel Mfg Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】磁歪式非接触トルクセンサに使用される高出力
負荷型、高センサ感度、耐蝕性のトルク検出軸材。 【構成】重量%で、C+N:0.01〜0.13(ただ
しN≦0.04)、Si:0.01〜3.00、Mn:
0.01〜1.20、Al:0.005〜3.00、C
r:5.10〜18.00を含み、さらに、Nb、T
a、又はNb+Ta:0.01〜0.20、V:0.0
1〜0.15、Ti:0.01〜0.15、Mo:0.
01〜2.00の1種又は2種以上と残部Feおよび不
可避不純物からなる、高感度、耐蝕性トルクセンサ検出
軸材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁歪式非接触トルクセ
ンサに使用される、高応力負荷型、高センサ感度、耐蝕
性のトルク検出軸材に関する。
【0002】
【従来の技術】産業機器、輸送機器、計測機器等におい
て回転系の回転軸および捩り系の捩り軸に負荷している
トルクを非接触で検出するセンサとして、磁歪式トルク
センサが使用されている。回転系、捩り系などの計測、
制御にトルクは必須な基本量である。磁歪式トルクセン
サは、トルク検出部を備えたトルクセンサ軸、ヨーク、
励磁コイル、検出コイル、ケーシング、励磁用交流電
源、検出器、増幅器などから構成されている。トルクセ
ンサ軸のトルク検出部に軸長方向と斜め方向に形状異方
性をもたせた複数のシェブロン状の溝をトルク検出部の
一方側には軸長方向と+45°方向、他方側には軸長方
向と−45°方向に設けておくと、トルクによる主応力
方向とシェブロン状の溝の方向とが一致し、最大剪断応
力はシェブロン状の凸部表面にほぼ一軸性に作用する。
複数のシェブロン状の溝をトルク検出部に左右対称に一
対設けてある場合には、トルクの負荷方向に応じて一方
の溝方向に引張応力が作用し、他方の溝方向に圧縮応力
が作用して磁気歪効果による誘導磁気異方性が溝方向に
誘発され、磁気歪に伴う軸材のトルク検出部における磁
気特性の変化は最大になる。これら2方向の誘導磁気異
方性の変化による磁気特性の変化を検出するのが最も効
率が良い。トルクセンサ軸のトルク検出部に使用されて
いる材質の磁歪定数の符号が逆の場合、磁気特性の変化
は逆になる。トルク検出部における複数のシェブロン状
の溝方向が片側のみの場合、トルクの負荷方向に応じて
溝方向に引張応力又は圧縮応力のいずれか一方が発生
し、磁気特性の変化は一対の複数のシェブロン状の溝の
片側と同じ挙動をとる。
【0003】シェブロン状の凹部は磁気抵抗となり、磁
束は凸部を主に通り、トルク負荷による最大剪断応力は
凸部の最表面に発生するので、トルク検出部の磁気特性
の変化は最表面で最大となる。交流励磁による表皮効果
により、磁束は表面に集まるのでトルク検出部の最表面
の磁性変化を最も効率良く検出できる。トルクの方向、
大きさの測定方法としては、トルクセンサ軸のトルク検
出部を周回している励磁用コイルにて交流励磁してお
き、負荷トルクにより誘導磁気異方性の変化による磁気
特性の変化をトルク検出部を周回している検出コイル、
検出器及び増幅器により透磁率の変化による電気量とし
て捕らえることで、軸に負荷しているトルクを精度良く
計測できる。電気量からトルクの大きさ、出力電流の方
向、出力電圧の正負、あるいはトルク零を基準にして、
出力電流の増減、出力電圧の増減からトルクの負荷方向
が判る。トルクセンサ軸が回転していても、静止してい
ても負荷しているトルクの大きさと方向を計測できる。
【0004】トルクセンサの感度、トルク−出力のリニ
アリティ、ヒステリシス特性などはトルクセンサ軸材の
特性に大きく依存している。これらの特性がトルクセン
サとして重要である。トルク検出軸はトルクセンサの重
要な構成部材である。トルク検出軸になっている回転系
の動力伝達軸および捩り系の捩り軸には大きな負荷がか
かるため、強度部材としての特性が優先して主に機械構
造用鋼(例えばJIS SNCM系)又はその改良材が
使用されている。これらの鋼材を使用したトルクセンサ
軸はセンサ感度が低い。高センサ感度化を狙ってFe−
Ni系合金軸、Fe−Al系合金軸、アモルファス磁性
合金を接着した軸などが開発されている。これらの軸は
高センサ感度、低応力負荷用であり本用途とは異なる。
機械構造用鋼は耐蝕性が不十分でトルク検出部に防蝕処
理を施して使用されており、耐蝕性を備えた高応力負荷
のできる高センサ感度のトルク検出軸材が望まれてい
る。
【0005】トルク検出軸に使用されている機械構造用
鋼は、機械構造用としての特性を主目的に開発された材
料であるため、トルク検出軸としての機能を十分に有し
ているとは言い難い。トルク検出軸に表面処理を施して
センサ感度などのセンサ特性を改善する方法が採られる
こともあるが、本来センサ感度は不足しており機械構造
用鋼並みの強度特性を有する高センサ感度化軸材が求め
られている。高センサ感度のトルク検出軸としては、F
e−Ni系合金の軸、Fe−Al系合金の軸、Fe−N
i系合金をトルク検出部にメッキした軸、Fe−Al系
合金をトルク検出部に容射した軸、アモルファス磁性薄
帯をトルク検出部に接着した軸などが開発されている。
高センサ感度のトルク検出軸に共通している特徴は高セ
ンサ感度であるが、強度が低いので低応力負荷用であ
る。機械構造用鋼は耐蝕性を充分に考慮した材料ではな
い。トルクセンサ軸は交流で励磁されて磁束は主に最表
面及びその近傍を通るので、トルク検出部表面性状保護
のために防蝕処理を必要とする。防蝕処理法は最表面の
磁気特性を損なわぬ方法を採用する必要があるので防蝕
処理方法は限定されることとベアリングのはめあい面が
あって構造上トルクセンサ軸の全表面を防蝕処理できぬ
ため、トルクセンサの使用環境は制約を受けている。そ
こでトルクセンサ軸材、トルク検出部材に耐蝕性を併せ
持たせることで、使用環境を拡大できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】トルク検出軸に負荷す
る小さなトルクから大きなトルクまで、小さなトルク変
化、変動などを検出するには高センサ感度化し、高応力
負荷型にする必要がある。本課題を解決する手段とし
て、強度特性を確保しておいてトルク検出軸を高センサ
感度化する方法、電気回路の増幅度を高める方法、両者
を組合わせる方法の3方法がある。電気回路のみで改善
をはかるには、S/Nの問題が高増幅化の障害となっ
て、高増幅化には限界がある。そこで高センサ感度化軸
と電気回路の高増幅化の組合わせがよく、トルク検出軸
の材質に基づく高センサ感度化は必須である。更にトル
クセンサの使用環境条件を拡大するにはトルク検出軸に
耐蝕性の付与が必要である。本発明はこれらの問題点を
解決するため、トルク検出軸材に回転系および捩り系な
どの軸材として必要な強度特性、高センサ感度、及び耐
蝕性の機能を持たせたトルク検出軸材を提供することを
目的とする。具体的には、トルクを伝達するための室温
における強度特性として、σ0.2≧50kgf/mm2
σB≧65kgf/mm2、El.≧10%、R.A.≧
40%を有し、トルク検出軸として現用されている機械
構造用鋼(JIS SNCM系など)に比較して、トル
ク検出軸材質に依存する単位トルク当りのセンサ出力が
高く、大気中を含めた使用環境下で優れた耐蝕性を有す
る高機能材を開発するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明において軸材質に
依存するセンサ特性の評価には図1に示す計測装置を使
用した。センサ感度は被測定軸に所定トルクを負荷した
ときの電気出力を、負荷したトルクで除した単位トルク
当りの電気出力の大きさ、“電気出力/トルク”で表
し、従来材の値との比で比較した。比が1より大きいと
きに従来材よりセンサ感度が高いことになる。耐蝕性試
験は30℃、相対湿度90%で96hr実施して、試験
後の表面性状の変化を従来材と比較評価した。図1に示
したセンサ特性測定装置の主要部を説明する。1は非接
触型トルクセンサ特性計測装置である。2は被測定トル
ク検出軸、3a,3bはトルク検出軸のトルク検出部に
設けられている軸長方向に±45°方向の一対のシェブ
ロン状の複数の溝である。4はトルク検出部を周回して
いる励磁用コイル、5はトルク検出部を周回している検
出コイル、6はヨーク、7は被測定トルク検出軸用ベア
リング、8はトルクセンサのケーシング、9は負荷トル
ク−電気出力記録装置、10は励磁用電源および増幅器
である。励磁用コイルに励磁用電源10から交流電流を
通して交流励磁し、検出コイルにて検出した逆磁気歪効
果に基づく誘導電流を検出器、増幅器10に入力して演
算、増幅して出力する。トルク負荷装置は被測定トルク
検出軸2に装着するが省略してある。
【0008】機械構造用鋼を使用したトルク検出軸は高
応力負荷、低センサ感度用で耐蝕性は不十分である。高
センサ感度のトルク検出軸材は低応力負荷用で耐蝕性は
不十分であ。これらの軸材に見られるとおり、高センサ
感度、高応力負荷、耐蝕性は相反した機能である。これ
らの相反した機能を同時にトルク検出軸材に付与するた
めの研究を行った。センサ検出軸材に基づくセンサ感度
を高めるための主たる因子として磁歪定数を高めるこ
と、電気抵抗を高めて表皮効果による磁束の浸透深さを
深くすることと渦電流損失を低減すること、飽和磁束密
度を極力低下させぬことが必要であることを見出し、セ
ンサ特性を改善するための化学組成、センサ特性を極力
損わずに強度特性、延性を確保するための化学組成、耐
蝕性を付与し、向上させるための化学組成を本発明者ら
は見出した。本発明はこれらの知見に基づいて、高セン
サ感度、高応力負荷、耐蝕性の機能を付与したトルク検
出軸材を完成したものである。
【0009】すなわち、本発明は重量%で、C+N:
0.01〜0.13%(ただしN≦0.04%)、S
i:0.01〜3.00%、Mn:0.01〜1.20
%、Al:0.005〜3.00%、Cr:5.10〜
18.00%を含み、さらにNb,Ta又はNb+T
a:0.01〜0.20%、V:0.01〜0.15
%、Ti:0.01〜0.15%、Mo:0.01〜
2.00%の1種又は2種以上と残部Feおよび不可避
不純物からなることを特徴とする高感度、耐蝕性トルク
センサ検出軸材(請求項1)である。本発明は又、上記
組成にNi:0.10〜5.00%(ただし、Ni≦−
0.80×Cr%+18.50)を加えたもの(請求項
2)あるいは、Co:0.10〜15.00%を加えた
もの(請求項3)、さらにはNi:0.10〜5.00
%(ただし、Ni≦−0.80×Cr%+18.50)
およびCo:0.10〜15.00%を加えたもの(請
求項4)である。このような組成の本発明はトルクセン
サのトルク検出軸の全部を対象としても、又、一部分を
対象として適用してもよい。次に本発明の高感度・耐蝕
性トルクセンサ軸材の化学組成における各元素の作用及
び成分限定理由を詳細に説明する。
【0010】C+N:CおよびNは強度を高めるのに効
果的な元素である。0.01%以上でトルク伝達軸とし
て必要な強度が得られる。電気抵抗を高める効果は極め
て大きいが、0.13%を超えると高センサ感度化の効
果が弱められるので、0.01〜0.13%の範囲とし
た。又、Nは非磁性のオーステナイト相生成傾向が大き
く、高Cr側でNi添加量の上限を下げるのでN≦0.
04%が望ましい。 Si:センサ感度を高める効果、電気抵抗を高める効
果、強度を高める効果が大きい。素材を製造するときの
脱酸剤としては0.10%以上で効果があり、添加量の
多いほどセンサ感度を高めるが添加しすぎると延性が低
下するので3.00%以下とした。 Mn:素材を製造するときの脱酸剤、脱硫剤としての作
用は0.10%以上で効果がある。熱間加工性改善の点
から1.00%で十分である。添加しすぎると延性改善
効果がなくなり、延性の低下、非磁性のオーステナイト
相を生成して高センサ感度化を損なうため、0.10〜
1.20%がよい。
【0011】Al:結晶粒微細化剤、脱酸剤としての作
用があり、0.005%以上で効果がある。磁歪定数、
電気抵抗を高め、センサ感度を高める効果が大きい。含
有量を高めるとセンサ感度は高くなるが、多すぎると延
性が低下するので3.00%以下とした。 Cr:本発明のトルク検出軸材を構成する重要な元素の
一つである。磁歪定数、電気抵抗は添加量とともに大き
くなり、センサ感度を高める効果は極めて大きい。トル
ク検出軸として現用されている機械構造用鋼(JIS
SNCM系など)より高センサ化するには5.10%以
上必要である。通常の大気中環境下では5.00%で十
分な耐蝕性を付与できる。添加量を多くすると、耐蝕性
は向上するが、センサ出力は18.00%で飽和するの
で、18.00%以下とした。Nb,Ta又はNb+T
a:少量の添加でC,Nと結合して炭化物、窒化物、炭
窒化物を形成することと結晶粒を微細化することで強度
特性を改善する。0.01%以上で効果がある。多すぎ
ると強度特性の改善は小さくなるとともに固溶しない炭
化物が増加し、高センサ感度化を損なうので望ましくは
0.20%以下である。
【0012】V:少量の添加でC,Nと結合して炭化
物、窒化物、炭窒化物を形成することと結晶粒を微細化
することで強度特性を改善する。0.01%以上で効果
がある。多すぎると強度特性の改善は小さくなることと
高センサ感度化を損なうので、望ましくは0.15%以
下である。 Ti:少量の添加でC,Nと結合して炭化物、窒化物、
炭窒化物を形成することと結晶粒を微細化することで強
度特性を改善する。0.01%以上で効果がある。多す
ぎると強度特性の改善は小さくなることと、高センサ感
度化を損うので、0.15%以下がよい。 Mo:耐蝕性を改善する効果、強度と延性を改善する効
果は0.10%から得られ、焼戻し温度を高められる。
焼戻し温度以下では金属組織が安定しているので諸特性
が安定になる。従ってトルク検出軸の使用温度を高めら
れる。2.00%でその効果が十分なることと、多すぎ
ると経済性の面からコストが高くなり、高センサ感度化
が損なわれるので2.00%以下とした。最も好ましい
範囲は0.30〜1.00%である。
【0013】Ni:磁歪定数を高める効果、センサ感度
を高める効果は顕著である。添加量の多いほどセンサ感
度は高くなるが、多すぎると非磁性のオーステナイト相
を生成し高センサ感度化を損なうので、Cr量に応じた
Ni量以下にする必要がある。靭性に対する改善効果が
ある。センサ感度の改善、靭性の改善は0.10%以上
で効果があり、5.00%以下で実用上十分な効果がえ
られる。より好ましい範囲は0.30%以上である。 Co:磁歪定数を高める効果、飽和磁化を高める効果、
センサ感度を高める効果は顕著である。センサ感度の改
善は0.10%以上で効果があり、Co添加量が多くな
るとともにセンサ感度は高くなるが、経済性の面からコ
ストが高くなるので15.00%以下とした。より好ま
しい範囲は0.30〜10.00%である。その他、不
可避不純物としてP,S等を含む。かかる本発明を適用
した非接触型磁歪式トルクセンサのトルク検出軸に関し
て、ベアリング装着面及びトルク検出軸両端の接続個所
の摩耗防止又は低減のため、トルク検出部に浸炭防止処
理を施した後、トルク検出軸を浸炭焼入れ、焼戻し処理
をすること、トルク検出部に窒化防止処理を施して、ト
ルク検出軸を窒化処理をすること、又はトルク検出部に
浸炭、窒化防止処理を施した後、トルク検出軸を浸炭、
窒化処理をすることでベアリング装着面及びトルク検出
軸両端を必要に応じて硬化する。浸炭層の炭素量は1.
50%以下、窒化層の窒素量は1.00%以下、浸炭窒
化層の炭素量は1.50%以下、窒素量は1.00%以
下が望ましい。
【0014】
【実施例】表1から表8に本発明軸材にかかる合金の実
施例、従来材、比較材について化学組成、強度特性、セ
ンサ特性及び耐蝕性の評価を示す。これらの合金は試験
材作製用の高周波誘導炉にて溶解、鋳造して得られたイ
ンゴットを鍛造後、焼きならしてから各種試験に供し
た。熱処理は予備試験を実施した後、合金組成により変
化させ、基本的には830〜1050℃×1hr保持
後、油焼入れして必要に応じてサブゼロ処理をしてから
150〜600℃×3hrの焼戻しを施して、引張試験
片、センサ検出軸、腐蝕試験片などの各種試験片を得
た。焼入れ条件は試験片の組成、形状、寸法、必要特性
に応じて温度、時間、冷却速度を適宜変え、焼戻し条件
は試験片の組成、必要特性に応じて温度、時間などを適
宜変えた。
【0015】本実施例ではトルク検出軸全体が表1、表
3、表5、表7に示した化学組成の例を示してあるが、
トルク検出部のみが本発明合金で両端に他の材料を摩擦
圧接などで接合してから熱処理、機械加工を施して仕上
げたトルク検出軸であってもセンサ特性は何ら問題はな
い。センサ出力は出力を負荷トルクで除した出力/負荷
トルク(mV/kgfm)で表示し、従来材の出力/負
荷トルク(mV/kgfm)で除した値との比で相対セ
ンサ出力を示した。腐食試験の判定は、 ◎ 殆ど腐食されない、 ○ わずか腐食される、 △ 少し腐食される、 × かなり腐食される。
【0016】表1はFe−Cr系合金の組成例で表2は
その試験結果を示す。Cr量をA1〜A5で5.16〜
17.92%まで変化させた。センサ出力は5.16%
Crで10.2mV/kgfm、17.92%Crで3
1.3mV/kgfmとなり、従来材A12の1.10
〜3.36倍である。Cr量の増加に伴いセンサ出力は
高くなる。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】A6,A8,A9でSi,Al含有量の増
加に伴いセンサ出力は増加している。比較材をA13〜
A16に示す。A13は請求範囲の上限を超えてAl含
有量を高めてあり、引張試験で不安定破壊をしており、
延性は低下している。A14,A15は請求範囲の上限
を超えてC含有量を高めてあり、A15は更にSi含有
量、Ti含有量を高めてあり、強度は高いが耐蝕性が低
下しているのと、同一Cr量レベルでセンサ出力を比較
するとセンサ出力が低い。A16は請求範囲の下限より
Cr量を低下させた結果、センサ出力が従来材より低
く、目標値に達していないことが判る。強度特性は発明
材については、σ0.2≧58.6kgf/mm2、σB
72.3kgf/mm2、El.≧19.6%、R.
A.≧63.2%で目標値を超えている。Al含有量が
請求範囲を超えているA13は不安定破壊をしている。
表3はFe−Cr−Ni系合金の組成例で表4はその試
験結果を示す。Cr量をB1〜B7で5.14〜17.
93%まで変化させ、Ni量をB1〜B10で4.97
%まで変化させた。Cr+Ni量は6.36〜18.9
5%である。センサ出力はCr+Ni量にほぼ応じて増
加する。
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】Cr+Ni量6.36%で11.0mV/
kgfm、18.95%で28.7mV/kgfmが得
られ、従来材と比較すると1.18〜3.09倍であ
る。Cr,Ni量の増加に伴いセンサ出力は高くなり、
15%Cr+Ni以上でセンサ出力増加の程度は減じ
る。B3,B5〜B9はAl又はSi含有量が高く、そ
の分センサ出力は高い。強度特性についてはσ0.2≧5
7.1kgf/mm2、σB≧70.0kgf/mm2
El.≧19.7%、R.A.≧68.4%と目標以上
の値が得られ、Fe−Cr系に比べて延性が高くなり改
善されている。耐蝕性はいずれは従来材より秀れてい
る。Fe−Cr系合金はCr量が15%を超えると靭性
の低下する傾向があらわれてくるが少量のNiを添加す
ることでシャルピー衝撃値が改善されることが判る。比
較合金のB11は12.16%Cr−11.39%Ni
でオーステナイト組織となっているため、センサ出力は
零である。B12はフェライトとオーステナイトの2相
組織であるためセンサ出力が低く、Si含有量が高く、
早期破断している。B13はC+Nが請求範囲以下で強
度が目標値より低い。B14はAl含有量が高く、早期
破断してσ0.2は得られていない。B15は19.53
%Cr−4.73%Niでほぼオーステナイト組織とな
り強度は低く、センサ出力は極めて低い。比較合金のう
ちオーステナイト組織又はフェライト+オーステナイト
組織の合金はいずれも耐蝕性は秀れている。
【0023】表5はFe−Cr−Co系合金の組成例で
表6はその試験結果を示す。Cr量をC1〜C8で5.
13〜17.61%まで変化させ、Co量を0.11〜
14.93%まで変化させた。
【0024】
【表5】
【0025】
【表6】
【0026】Cr+Co量は5.53〜31.18%で
ある。センサ出力はほぼCr+Co量に応じて増加す
る。Cr+Co量5.53%で9.9mV/kgfm、
31.18%で32.4mV/kgfmが得られ、従来
材と比較して1.06〜3.48倍である。C3,C
5,C6,C7,C9,C10,C11はAl又は/及
びSi含有量が高く、センサ出力は高くなっている。強
度特性についてはσ0.2≧64.9kgf/mm2、σB
≧77.6kgf/mm2、El.≧19.7%、R.
A.≧67.4%と目標以上の値が得られ、Fe−Cr
系より引張強さが高い。Fe−Cr系合金はCr量が1
5%を超えると、靭性が低下する傾向が見られるが、C
oを添加することでシャルピー衝撃値が改善されること
が判る。耐蝕性はいずれの発明材も従来材に比較して秀
れている。比較合金のC12はSi含有量が高く、早期
に不安定破壊をしている。C13はC+N含有量が高い
ため、センサ出力がCr+Co量に見合った値が得られ
ず、C14はオーステナイト組織となっておりセンサ出
力は零になっている。表7はFe−Cr−Ni−Co系
合金の組成例で表8はその試験結果を示す。Cr量をD
1〜D9で5.16〜17.94%まで変化させ、Ni
量を0.12〜4.91%、Co量を0.14〜14.
91%まで変化させた。Cr+Ni+Co量は8.98
〜36.43%である。
【0027】
【表7】
【0028】
【表8】
【0029】Cr+Ni+Co量8.98%で18.4
mV/kgfm、36.43%で40.1mV/kgf
mが得られ、従来材に比べて1.97〜4.31倍であ
る。Si又は/及びAl含有量が多いD3,D4,D
5,D6,D7は高出力化している。強度特性について
は、σ0.2≧65.6kgf/mm2、σB≧77.2k
gf/mm2、El.≧20.2%、R.A.≧70.
4%と目標値以上の値が得られている。シャルピー衝撃
値はNi,Coを添加することでFe−Cr系合金より
秀れている。耐食性は従来材より発明材は秀れている。
【0030】比較材D10は19.56%Crと請求範
囲を超えており、フェライト及びオーステナイト組織か
らなりセンサ出力がCr+Ni+Co量に見合った値が
得られない。D11は18.19%Crと請求範囲を超
えており、目標強度が得られていない。D12はAl及
びSi含有量が請求範囲を超えており、延性が目標値よ
り低い。D13〜D15はオーステナイト組織のためセ
ンサ出力が得られず、強度は目標値より低い。電気抵抗
値については従来材が27.9μΩcmであり、発明材
の最小値は34.8μΩcmで、いずれも従来材より大
きい。磁歪定数については、従来材は11〜12×10
-6εである。Fe−5.10%Cr系合金で11〜12
×10-6εとなり、Cr含有量とともに増加して18%
Crで25×10-6ε、Ni,Co,Al,Si,Mn
はいずれも磁歪定数を高める作用がありセンサ出力を高
める。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば実施例で明らかにしたと
おり、本発明材は現在、実用化されているトルクセンサ
のトルク検出軸材に比較して、強度レベルを現用材と同
程度、センサ感度を最高4.3倍、耐蝕性を付与した高
機能材である。高負荷をかけられる軸材でありながら高
センサ感度であるため、小さな負荷トルク、小さなトル
ク変化を精度良く検出でき、耐蝕性を有する環境下でも
使用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】センサ特性計測装置の主要部の説明図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C+N:0.01〜0.13
    %(ただしN≦0.04%)、Si:0.01〜3.0
    0%、Mn:0.01〜1.20%、Al:0.005
    〜3.00%、Cr:5.10〜18.00%を含み、
    さらに、Nb、Ta、又はNb+Ta:0.01〜0.
    20%、V:0.01〜0.15%、Ti:0.01〜
    0.15%、Mo:0.01〜2.00%の1種又は2
    種以上と残部Feおよび不可避不純物からなることを特
    徴とする高感度、耐蝕性トルクセンサ検出軸材。
  2. 【請求項2】 重量%で、C+N:0.01〜0.13
    %(ただし、N≦0.04%)、Si:0.01〜3.
    00%、Mn:0.01〜1.20%、Al:0.00
    5〜3.00%、Cr:5.10〜18.00%、N
    i:0.10〜5.00%(ただし、Ni≦−0.80
    ×Cr%+18.50)を含み、さらに、Nb、Ta又
    はNb+Ta:0.01〜0.20%、V:0.01〜
    0.15%、Ti:0.01〜0.15%、Mo:0.
    01〜2.00%の1種又は2種以上と残部Feおよび
    不可避不純物からなることを特徴とする高感度、耐食性
    トルクセンサ検出軸材。
  3. 【請求項3】 重量%で、C+N:0.01〜0.13
    %(ただし、N≦0.04%)、Si:0.01〜3.
    00%、Mn:0.01〜1.20%、Al:0.00
    5〜3.00%、Cr:5.10〜18.00%、C
    o:0.10〜15.00%を含み、さらに、Nb、T
    a又はNb+Ta:0.01〜0.20%、V:0.0
    1〜0.15%、Ti:0.01〜0.15%、Mo:
    0.01〜2.00%の1種又は2種以上と残部Feお
    よび不可避不純物からなることを特徴とする高感度、耐
    蝕性トルクセンサ検出軸材。
  4. 【請求項4】 重量%で、C+N:0.01〜0.13
    %(ただし、N≦0.04%)、Si:0.01〜3.
    00%、Mn:0.01〜1.20%、Al:0.00
    5〜3.00%、Cr:5.10〜18.00%、N
    i:0.10〜5.00%(ただし、Ni≦−0.80
    ×Cr%+18.50)、Co:0.10〜15.00
    %を含み、さらに、Nb,Ta又はNb+Ta:0.0
    1〜0.20%、V:0.01〜0.15%、Ti:
    0.01〜0.15%、Mo:0.01〜2.00%の
    1種又は2種以上と残部Feおよび不可避不純物からな
    ることを特徴とする高感度、耐蝕性トルクセンサ検出軸
    材。
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