JPH09263907A - トルク・センサ用軟質磁性高強度材料 - Google Patents
トルク・センサ用軟質磁性高強度材料Info
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- JPH09263907A JPH09263907A JP7222896A JP7222896A JPH09263907A JP H09263907 A JPH09263907 A JP H09263907A JP 7222896 A JP7222896 A JP 7222896A JP 7222896 A JP7222896 A JP 7222896A JP H09263907 A JPH09263907 A JP H09263907A
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- torque sensor
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高センサ出力、温度安定性にすぐれたセンサ
特性及び高強度特性を備えた非接触型磁歪式トルク・セ
ンサ用のトルク検出材料を提供する。 【解決手段】 重量百分率でNi:5〜20%、Al:
0.03〜0.5%、Ti:0.1〜1.5%、Cr:
0.5〜5%を含み、Mo:0.5〜6%又はW:0.
5〜6%のいずれか1種又は2種を含み、残部はFe及
び不可避不純物よりなるもの、およびさらにCo:0.
5〜20%を含むもの。
特性及び高強度特性を備えた非接触型磁歪式トルク・セ
ンサ用のトルク検出材料を提供する。 【解決手段】 重量百分率でNi:5〜20%、Al:
0.03〜0.5%、Ti:0.1〜1.5%、Cr:
0.5〜5%を含み、Mo:0.5〜6%又はW:0.
5〜6%のいずれか1種又は2種を含み、残部はFe及
び不可避不純物よりなるもの、およびさらにCo:0.
5〜20%を含むもの。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非接触型磁歪式ト
ルク・センサ用のトルク検出材料に関するもので、高セ
ンサ出力、温度安定性に秀れたセンサ特性及び高強度特
性を備えたものである。
ルク・センサ用のトルク検出材料に関するもので、高セ
ンサ出力、温度安定性に秀れたセンサ特性及び高強度特
性を備えたものである。
【0002】
【従来の技術】産業機械、自動車をはじめとする輸送用
機器、計測機器などにおいて、回転系の回転軸及び捩り
系の捩り軸に負荷しているトルクを非接触で計測するの
は困難であったが、近年になり非接触型磁歪式トルク・
センサが実用化されてトルクを非接触で計測できるよう
になり、トルクを使った制御が行われている。磁歪式は
磁歪効果に基づいてトルクを検出する方法であって、特
徴は非接触検出法、検出感度良好、小型、簡単な構造な
どがあげられる。トルク検出用材料に必要な機能は、磁
気的性質については強磁性、軟質磁性、磁歪、磁歪効果
など、機械的性質については強度、繰返しトルク負荷に
耐えられる機械的性質などがあげられる。
機器、計測機器などにおいて、回転系の回転軸及び捩り
系の捩り軸に負荷しているトルクを非接触で計測するの
は困難であったが、近年になり非接触型磁歪式トルク・
センサが実用化されてトルクを非接触で計測できるよう
になり、トルクを使った制御が行われている。磁歪式は
磁歪効果に基づいてトルクを検出する方法であって、特
徴は非接触検出法、検出感度良好、小型、簡単な構造な
どがあげられる。トルク検出用材料に必要な機能は、磁
気的性質については強磁性、軟質磁性、磁歪、磁歪効果
など、機械的性質については強度、繰返しトルク負荷に
耐えられる機械的性質などがあげられる。
【0003】トルク検出用材料としては、トルクに耐え
られること、すなわち機械的強度が優先しており、例え
ば機械構造用鋼(JIS SC、SNCMなど)、マル
エージ鋼などが用いられる。これらのトルク検出用材料
を使用したトルク・センサは室温近傍の温度環境条件に
限定して使用されることが多い。磁歪式トルク・センサ
のトルク検出軸に使用されている機械構造用鋼及びマル
エージ鋼の室温における強度は0.2%耐力(σ0.2)
で50〜240kgf/mm2程度であるが、元来機械
構造用であることもあって、保磁力(BHc)は20〜4
0 Oe程度、透磁率は最大透磁率(μm)で150〜
250程度と十分に軟質磁性でなく、磁歪効果は十分に
大きくなくトルク検出材料に基づく単位トルク当りのセ
ンサ出力は低い。更にセンサ特性が使用環境温度条件に
より変化する。高強度化に伴って保磁力は大きくなり透
磁率及び飽和磁束密度(B100で代用)は低下し、十分
に軟質磁性でなくなりセンサ出力は低下する。強度を高
めながら高センサ出力化し、更にセンサ特性が−40〜
180℃あるいは200℃程度まで温度安定性に秀れた
トルク検出用材料が求められている。
られること、すなわち機械的強度が優先しており、例え
ば機械構造用鋼(JIS SC、SNCMなど)、マル
エージ鋼などが用いられる。これらのトルク検出用材料
を使用したトルク・センサは室温近傍の温度環境条件に
限定して使用されることが多い。磁歪式トルク・センサ
のトルク検出軸に使用されている機械構造用鋼及びマル
エージ鋼の室温における強度は0.2%耐力(σ0.2)
で50〜240kgf/mm2程度であるが、元来機械
構造用であることもあって、保磁力(BHc)は20〜4
0 Oe程度、透磁率は最大透磁率(μm)で150〜
250程度と十分に軟質磁性でなく、磁歪効果は十分に
大きくなくトルク検出材料に基づく単位トルク当りのセ
ンサ出力は低い。更にセンサ特性が使用環境温度条件に
より変化する。高強度化に伴って保磁力は大きくなり透
磁率及び飽和磁束密度(B100で代用)は低下し、十分
に軟質磁性でなくなりセンサ出力は低下する。強度を高
めながら高センサ出力化し、更にセンサ特性が−40〜
180℃あるいは200℃程度まで温度安定性に秀れた
トルク検出用材料が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は強度が高く、
単位トルク当りのセンサ出力が高く、センサ特性の温度
安定性が秀れたトルク・センサ用のトルク検出用材料を
提供するものである。そのためトルク・センサ用のトル
ク検出用材料は低保磁力、高透磁率、高飽和磁束密度と
し、磁歪定数(λ)を高め、これらの磁性の温度安定性
を高める必要がある。具体的には引張強さ60kgf/
mm2以上の強度を有し、トルク検出材料に依存する単
位トルク当りのセンサ出力を高め、センサ特性の温度安
定性を高めるためには、強度特性を付与した上で、保磁
力を15 Oe以下、最大透磁率を300以上、飽和磁
束密度を15KG以上とした軟質磁性で磁歪定数及び磁
歪効果を高め、これらの磁気特性の温度安定性を高める
ことが目標である。
単位トルク当りのセンサ出力が高く、センサ特性の温度
安定性が秀れたトルク・センサ用のトルク検出用材料を
提供するものである。そのためトルク・センサ用のトル
ク検出用材料は低保磁力、高透磁率、高飽和磁束密度と
し、磁歪定数(λ)を高め、これらの磁性の温度安定性
を高める必要がある。具体的には引張強さ60kgf/
mm2以上の強度を有し、トルク検出材料に依存する単
位トルク当りのセンサ出力を高め、センサ特性の温度安
定性を高めるためには、強度特性を付与した上で、保磁
力を15 Oe以下、最大透磁率を300以上、飽和磁
束密度を15KG以上とした軟質磁性で磁歪定数及び磁
歪効果を高め、これらの磁気特性の温度安定性を高める
ことが目標である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は低炭素Fe−N
i合金のマルテンサイト組織の軟質磁性、磁歪定数及び
磁歪効果をできる限り損うことなく、強度が高く、延性
及び靭性を備え、温度安定性に秀れたセンサ特性を備え
たトルク・センサ用軟質磁性高強度材料を得るため、強
度、延性及び靭性を兼ね備えるのにAl,Ti,Co,
Mo,Wなどを添加して析出硬化させ、磁気特性の温度
安定性を得るためにAl,Ti及びCrを添加し、Co
は強度を改善するだけでなくNi,Al,Ti,Mo,
W,Crなどの添加による飽和磁束密度の低下を補い、
磁気特性の改善を意図して添加したものである。
i合金のマルテンサイト組織の軟質磁性、磁歪定数及び
磁歪効果をできる限り損うことなく、強度が高く、延性
及び靭性を備え、温度安定性に秀れたセンサ特性を備え
たトルク・センサ用軟質磁性高強度材料を得るため、強
度、延性及び靭性を兼ね備えるのにAl,Ti,Co,
Mo,Wなどを添加して析出硬化させ、磁気特性の温度
安定性を得るためにAl,Ti及びCrを添加し、Co
は強度を改善するだけでなくNi,Al,Ti,Mo,
W,Crなどの添加による飽和磁束密度の低下を補い、
磁気特性の改善を意図して添加したものである。
【0006】すなわち本発明は重量百分率でNi5〜2
0%、Al0.03〜0.5%、Ti0.1〜1.5
%、Cr0.5〜5%を含み、Mo0.5〜6%又はW
0.5〜6%のいずれか1種又は2種を含み、残部は鉄
及び不可避な不純物よりなることを特徴とするトルク・
センサ用軟質磁性高強度材料〔請求項1〕である。本発
明はまた上記化学組成にCo0.5〜20%を加えたも
の〔請求項2〕である。このような化学組成の本発明は
トルク・センサのトルク検出軸の全体に適用してもよい
し、またスリーブ状として適用したり、軸の両端を除い
た部分など、軸の一部分を対象として適用しても良い。
又、トルク検出部に軸長方向と斜め方向に複数のシェブ
ロン状の溝を設けたもの、設けていないものも本発明の
対象として適用してよい。
0%、Al0.03〜0.5%、Ti0.1〜1.5
%、Cr0.5〜5%を含み、Mo0.5〜6%又はW
0.5〜6%のいずれか1種又は2種を含み、残部は鉄
及び不可避な不純物よりなることを特徴とするトルク・
センサ用軟質磁性高強度材料〔請求項1〕である。本発
明はまた上記化学組成にCo0.5〜20%を加えたも
の〔請求項2〕である。このような化学組成の本発明は
トルク・センサのトルク検出軸の全体に適用してもよい
し、またスリーブ状として適用したり、軸の両端を除い
た部分など、軸の一部分を対象として適用しても良い。
又、トルク検出部に軸長方向と斜め方向に複数のシェブ
ロン状の溝を設けたもの、設けていないものも本発明の
対象として適用してよい。
【0007】次に本発明のトルク・センサ用軟質磁性高
強度材料の化学組成における各元素の作用及び化学組成
の限定理由を詳細に説明する。 Ni:低炭素Fe−Ni合金をγ相単相に加熱後、室温
に冷却してマルテンサイト単相にするには、Ni含有量
約24%以下にする必要がある。室温に冷却後、γ相が
残留すると保磁力が大きくなり、飽和磁束密度は低下し
て透磁率が小さくなり、磁歪効果が低下してセンサ出力
が低下する。低炭素マルテンサイト組織では、Ni量を
増加すると、センサ出力は高くなるが、Ni含有量が2
0%を超えると、飽和磁束密度の低下、保磁力の増加は
若干急になるので、上限は20%とする。Ni含有量5
%未満ではセンサ出力の低いことと強度が不足するの
で、下限は5%とする。
強度材料の化学組成における各元素の作用及び化学組成
の限定理由を詳細に説明する。 Ni:低炭素Fe−Ni合金をγ相単相に加熱後、室温
に冷却してマルテンサイト単相にするには、Ni含有量
約24%以下にする必要がある。室温に冷却後、γ相が
残留すると保磁力が大きくなり、飽和磁束密度は低下し
て透磁率が小さくなり、磁歪効果が低下してセンサ出力
が低下する。低炭素マルテンサイト組織では、Ni量を
増加すると、センサ出力は高くなるが、Ni含有量が2
0%を超えると、飽和磁束密度の低下、保磁力の増加は
若干急になるので、上限は20%とする。Ni含有量5
%未満ではセンサ出力の低いことと強度が不足するの
で、下限は5%とする。
【0008】Al:Alは低炭素Fe−Ni合金の高セ
ンサ出力を極力損わずに析出強化する元素である。Al
含有量0.03%以下では主として脱酸剤として効果を
有する。Al含有量が0.5%を超えると、センサ特性
の温度依存性が高くなるので、Al含有量の下限を0.
03%、上限を0.5%とする。 Ti:Tiは低炭素Fe−Ni合金の高センサ出力を極
力損わずに析出強化する元素である。Ti含有量0.1
%未満では析出速度が遅く、得られる析出強化量が少な
いので、少なくとも0.1%以上必要である。同一析出
強化量を得るのに、Alの方が保磁力が小さく、最大透
磁率が大きく、センサ出力が高い。しかしながら温度安
定性が低い。AlとTiを添加することで磁気特性を極
力損わずに温度安定性を高められる。Ti含有量が1.
5%を超えると、強度増加が緩やかになることと保磁力
が大きくなるので上限を1.5%とする。
ンサ出力を極力損わずに析出強化する元素である。Al
含有量0.03%以下では主として脱酸剤として効果を
有する。Al含有量が0.5%を超えると、センサ特性
の温度依存性が高くなるので、Al含有量の下限を0.
03%、上限を0.5%とする。 Ti:Tiは低炭素Fe−Ni合金の高センサ出力を極
力損わずに析出強化する元素である。Ti含有量0.1
%未満では析出速度が遅く、得られる析出強化量が少な
いので、少なくとも0.1%以上必要である。同一析出
強化量を得るのに、Alの方が保磁力が小さく、最大透
磁率が大きく、センサ出力が高い。しかしながら温度安
定性が低い。AlとTiを添加することで磁気特性を極
力損わずに温度安定性を高められる。Ti含有量が1.
5%を超えると、強度増加が緩やかになることと保磁力
が大きくなるので上限を1.5%とする。
【0009】Cr:Crは強度増加の効果だけでなく、
磁気特性の温度安定性を高める効果がある。Cr含有量
は0.5%未満では温度安定性を高める効果が少なく、
5%を超えると延性及び靭性が低下するので、下限を
0.5%、上限を5%とする。 Mo,W:MoあるいはWの単独添加又は複合添加は強
度増加による延性及び靭性の低下を改善し、良好な延性
及び靭性の得られる効果がある。MoあるいはW含有量
は0.5%以上で効果があり、5%を超えると効果が飽
和する傾向があるので、下限を0.5%、上限を6%と
する。
磁気特性の温度安定性を高める効果がある。Cr含有量
は0.5%未満では温度安定性を高める効果が少なく、
5%を超えると延性及び靭性が低下するので、下限を
0.5%、上限を5%とする。 Mo,W:MoあるいはWの単独添加又は複合添加は強
度増加による延性及び靭性の低下を改善し、良好な延性
及び靭性の得られる効果がある。MoあるいはW含有量
は0.5%以上で効果があり、5%を超えると効果が飽
和する傾向があるので、下限を0.5%、上限を6%と
する。
【0010】Co:Coの添加は飽和磁束密度の向上に
有効であるばかりでなく、強度の改善にも有効である。
Fe−Ni合金にAl及びTiを複合添加して析出硬化
させたときにみられる延性低下の抑止効果もある。Co
含有量は0.5%から有効であって、添加量を増加する
と飽和磁束密度が向上しセンサ出力を高め、強度を高め
るが、Co含有量は20%を超えると、延性を低下させ
るとともに保磁力を高めるので、Co含有量の下限は
0.5%、上限は20%とする。その他、本発明では、
C,Si,Mn,P,Sを含有してもよい。CはFe−
Ni合金の低炭素マルテンサイト組織の優れた延性、靭
性を損い、保磁力を高めるとともに最大透磁率を低下さ
せるのでC含有量は0.02%以下が望ましい。Siは
脱酸剤として使用する場合でも、Si含有量は0.5%
以下で十分である。0.5%を超えると、引張強さ15
0kgf/mm2以上の高強度材料の延性及び靭性を低
下させる。
有効であるばかりでなく、強度の改善にも有効である。
Fe−Ni合金にAl及びTiを複合添加して析出硬化
させたときにみられる延性低下の抑止効果もある。Co
含有量は0.5%から有効であって、添加量を増加する
と飽和磁束密度が向上しセンサ出力を高め、強度を高め
るが、Co含有量は20%を超えると、延性を低下させ
るとともに保磁力を高めるので、Co含有量の下限は
0.5%、上限は20%とする。その他、本発明では、
C,Si,Mn,P,Sを含有してもよい。CはFe−
Ni合金の低炭素マルテンサイト組織の優れた延性、靭
性を損い、保磁力を高めるとともに最大透磁率を低下さ
せるのでC含有量は0.02%以下が望ましい。Siは
脱酸剤として使用する場合でも、Si含有量は0.5%
以下で十分である。0.5%を超えると、引張強さ15
0kgf/mm2以上の高強度材料の延性及び靭性を低
下させる。
【0011】Mnは脱酸剤及び加工性向上剤として使用
する。脱酸効果及び加工性向上の面からMn含有量は
0.6%以下で十分であり、それを超えた添加は保磁力
を高めて透磁率を低下させる。P,Sについては高強度
材料の延性及び靭性を低下させるのでできるだけ少ない
のが望ましい。PあるいはS含有量は0.01%以下で
あれば実用材料レベルの強度では延性及び靭性の低下は
わずかである。本発明を適用した非接触型磁歪式トルク
センサのトルク測定軸に関して、ベアリング装着面及び
トルク測定軸両端の接続個所の摩耗防止又は低減のため
に窒化処理などの表面硬化処理を必要に応じて施す。
する。脱酸効果及び加工性向上の面からMn含有量は
0.6%以下で十分であり、それを超えた添加は保磁力
を高めて透磁率を低下させる。P,Sについては高強度
材料の延性及び靭性を低下させるのでできるだけ少ない
のが望ましい。PあるいはS含有量は0.01%以下で
あれば実用材料レベルの強度では延性及び靭性の低下は
わずかである。本発明を適用した非接触型磁歪式トルク
センサのトルク測定軸に関して、ベアリング装着面及び
トルク測定軸両端の接続個所の摩耗防止又は低減のため
に窒化処理などの表面硬化処理を必要に応じて施す。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明では、前記各請求項に記載
の組成の材料を、マルテンサイト組織にするための溶体
化処理を施した後、強度を高めるとともにセンサ特性を
極力損うことのない条件で析出硬化処理を施す。溶体化
処理温度は780℃以下では均一なγ相単相が得られ
ず、室温に冷却後γ相が残留して保磁力が高くなり、飽
和磁束密度及び強度が低下する。1000〜1100℃
を超えると結晶粒が粗大化して延性及び靭性が低下する
ので基本的には800〜1000℃が望ましく、溶体化
時間は15分間〜5時間が望ましい。本発明では、合金
の化学組成に基づいて温度及び保持時間を決定する。8
50〜900℃×1時間保持後空冷の溶体化処理を施
す。析出硬化処理は550℃を超えるとマルテンサイト
組織の一部が逆変態γ相を生成して飽和磁束密度を低下
させるとともに、保磁力を大きくさせる結果センサ出力
を低下させ、強度も低下させる。450℃以下ではマル
テンサイト組織中の析出速度が遅く、析出硬化処理に長
時間を要するので実用的でない。470〜545℃が望
ましく、析出硬化処理時間は0.5〜10時間が望まし
い。
の組成の材料を、マルテンサイト組織にするための溶体
化処理を施した後、強度を高めるとともにセンサ特性を
極力損うことのない条件で析出硬化処理を施す。溶体化
処理温度は780℃以下では均一なγ相単相が得られ
ず、室温に冷却後γ相が残留して保磁力が高くなり、飽
和磁束密度及び強度が低下する。1000〜1100℃
を超えると結晶粒が粗大化して延性及び靭性が低下する
ので基本的には800〜1000℃が望ましく、溶体化
時間は15分間〜5時間が望ましい。本発明では、合金
の化学組成に基づいて温度及び保持時間を決定する。8
50〜900℃×1時間保持後空冷の溶体化処理を施
す。析出硬化処理は550℃を超えるとマルテンサイト
組織の一部が逆変態γ相を生成して飽和磁束密度を低下
させるとともに、保磁力を大きくさせる結果センサ出力
を低下させ、強度も低下させる。450℃以下ではマル
テンサイト組織中の析出速度が遅く、析出硬化処理に長
時間を要するので実用的でない。470〜545℃が望
ましく、析出硬化処理時間は0.5〜10時間が望まし
い。
【0013】
【実施例】実施例について説明する。表1、表3に示す
化学組成の合金を高周波誘導溶解炉を使用して溶解し、
上記条件の範囲で均質化処理後熱間鍛造した後、熱間圧
延した材料を供試材として各種試験に供した。試験結果
を表2、表4に示す。
化学組成の合金を高周波誘導溶解炉を使用して溶解し、
上記条件の範囲で均質化処理後熱間鍛造した後、熱間圧
延した材料を供試材として各種試験に供した。試験結果
を表2、表4に示す。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】
【0017】
【表4】
【0018】本発明合金の引張特性、磁性、磁歪定数、
透磁率、−40〜180℃間の磁気特性の温度特性を従
来材及びFe−Ni−Al系合金と比較した。表2に請
求項1の合金、表4に請求項2の合金の試験結果を示
す。本発明合金の引張強さはいずれも60kgf/mm
2以上、伸びは10%以上あり、Ni含有量の多い方が
少量のAl含有量、Ti含有量で同一強度が得られる。
Ni含有量とAl含有量、Ti含有量の増加に伴い引張
強さは増加する。引張強さ150kgf/mm2以上で
も伸び10%以上の十分な延性が得られる。磁性につい
てはB100は15KG以上、BHcは15 Oe以下、透
磁率は300以上あって軟質磁性と強度の機能が両立し
ている。磁気特性の温度係数は従来材のI−9、比較材
のI−10が室温を基準にしてBHc10〜5×10-3/
℃、B 100−8〜−4×10-3/℃、λ−10〜−5×
10-3/℃、μm1.10〜0.60/℃(絶対値)、
本発明合金はBHc≦4×10-3/℃、B100≦−2×1
0-3/℃、λ≦−3×10-3/℃、μm≦0.10/℃
(絶対値)と秀れている。
透磁率、−40〜180℃間の磁気特性の温度特性を従
来材及びFe−Ni−Al系合金と比較した。表2に請
求項1の合金、表4に請求項2の合金の試験結果を示
す。本発明合金の引張強さはいずれも60kgf/mm
2以上、伸びは10%以上あり、Ni含有量の多い方が
少量のAl含有量、Ti含有量で同一強度が得られる。
Ni含有量とAl含有量、Ti含有量の増加に伴い引張
強さは増加する。引張強さ150kgf/mm2以上で
も伸び10%以上の十分な延性が得られる。磁性につい
てはB100は15KG以上、BHcは15 Oe以下、透
磁率は300以上あって軟質磁性と強度の機能が両立し
ている。磁気特性の温度係数は従来材のI−9、比較材
のI−10が室温を基準にしてBHc10〜5×10-3/
℃、B 100−8〜−4×10-3/℃、λ−10〜−5×
10-3/℃、μm1.10〜0.60/℃(絶対値)、
本発明合金はBHc≦4×10-3/℃、B100≦−2×1
0-3/℃、λ≦−3×10-3/℃、μm≦0.10/℃
(絶対値)と秀れている。
【0019】
【発明の効果】本発明の材料は60kgf/mm2以上
の強度を有し、トルク・センサ用材料としては十分な高
強度を有すると共に、15 Oe以下の保磁力で、しか
も温度安定性に秀れたものである。
の強度を有し、トルク・センサ用材料としては十分な高
強度を有すると共に、15 Oe以下の保磁力で、しか
も温度安定性に秀れたものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量百分率でNi5〜20%、Al0.
03〜0.5%、Ti0.1〜1.5%、Cr0.5〜
5%を含み、Mo0.5〜6%又はW0.5〜6%のい
ずれか1種又は2種を含み、残部は鉄及び不可避な不純
物よりなることを特徴とするトルク・センサ用軟質磁性
高強度材料。 - 【請求項2】 重量百分率でNi5〜20%、Al0.
03〜0.5%、Ti0.1〜1.5%、Cr0.5〜
5%、Co0.5〜20%を含み、Mo0.5〜6%又
はW0.5〜6%のいずれか1種又は2種を含み、残部
は鉄及び不可避な不純物よりなることを特徴とするトル
ク・センサ用軟質磁性高強度材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7222896A JPH09263907A (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | トルク・センサ用軟質磁性高強度材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7222896A JPH09263907A (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | トルク・センサ用軟質磁性高強度材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09263907A true JPH09263907A (ja) | 1997-10-07 |
Family
ID=13483209
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7222896A Pending JPH09263907A (ja) | 1996-03-27 | 1996-03-27 | トルク・センサ用軟質磁性高強度材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09263907A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0962543A1 (en) * | 1998-06-03 | 1999-12-08 | Printronix, Inc. | High strength alloys with high magnetic saturation inductivity, and process for their manufacture |
US6767414B2 (en) * | 1999-12-24 | 2004-07-27 | Hitachi Metals, Ltd. | Maraging steel having high fatigue strength and maraging steel strip made of same |
-
1996
- 1996-03-27 JP JP7222896A patent/JPH09263907A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0962543A1 (en) * | 1998-06-03 | 1999-12-08 | Printronix, Inc. | High strength alloys with high magnetic saturation inductivity, and process for their manufacture |
US6767414B2 (en) * | 1999-12-24 | 2004-07-27 | Hitachi Metals, Ltd. | Maraging steel having high fatigue strength and maraging steel strip made of same |
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