JPH04210451A - 冷間加工性に優れた高強度高耐食性ステンレス鋼 - Google Patents
冷間加工性に優れた高強度高耐食性ステンレス鋼Info
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Landscapes
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
[00011
【産業上の利用分野]この発明は、自動車、産業機械、
電子機器、化学装置等において、耐食性と高強度が要求
される部品の素材として利用されるマルテンサイト系ス
テンレス鋼に係オっり、特に、冷間でこれらの部品に加
工するのが容易な冷間加工性に優れた高強度高耐食性ス
テンレス鋼に関する。 [0002] 【従来の技術】従来から、上記の産業分野において、耐
食性と高強度が要求される部品、例えばシャフト類、軸
受などの素材には、5US440C,5US420J2
、SO3410などのマルテンサイト系ステンレス鋼が
使用されている。しかしながら、これらのステンレス鋼
はその製造上および使用上において、必ずしも満足な結
果が得られていないのが実情である。 [0003]高C−Cr材の5O3440Cは、過共析
鋼であるので、焼入れ・低温焼戻し状態で高硬度(HR
C58以上)が得られるものの、製造時に著しく硬い共
晶炭化物(HV2000以上)が粗大に晶出し、且つ焼
なましく焼鈍)状態での硬度が高いため、冷間加工性が
著しく悪い。このため、5US440Cを素材として、
所定の部品形状に加工する場合は、冷間鍛造や冷間圧延
などの冷間加工によらず、素材の鋼に焼まなしを施した
後、製品形状に近い形までに切削し、次いで、焼入れ・
焼戻し後に最終製品形状に仕上げ研削する方法を採用し
ている。また、この5US440Cは、多量の大型共晶
炭化物が生成するために素地のCr量が低くなり、耐食
性は必ずしも良くない。 [0004]中C−Cr材の5US420J2および低
CCr材の5US410は、5US440Cに比べてC
量が低いため、焼入れ・低温焼戻し状態でもあまり高い
硬度が得られず、しかもこれらのステンレス鋼はCrt
も低いので、耐食性はあまり良くない。 [0005]このように従来のマルテンサイト系ステン
レス鋼は、全般に耐食性が劣る上に、冷間加工性や硬度
にも問題がある。ところが、現在のところ、これらのス
テンレス鋼に勝る比較的安価な材料が存在していないこ
ともあって、止むを得ず使用しているのが実状である。 [0006]特公昭57−2266号公報および特開平
1−275737号公報に、上述の緒特性を改善したフ
ルテンサイ1〜系ステンレス鋼が提案されている。しか
し、これらの公報に開示されている成分組成を有するス
テンレス鋼を製造しても、冷間加工性や耐食性が改善さ
れない場合がある。即ち、特公昭57−2266号公報
に記載の鋼では、冷間加工性に著しく悪影響をおよぼす
Slを0.6M量%以下、冷間加工性を阻害し、且つ耐
食性をも劣化させるMnを1.0重量%以下に規定し、
また第2クレームではこれらに加えて特殊な腐食環境下
において孔食を生じさせるNiを1.5重量%以下に規
定しているが、このような規定では不十分であり、Si
、 MnおよびNiの含有量が高めであると、冷間加工
性や耐食性が改善されない場合がある。 方、特開平1−275737号公報に記載の鋼では、C
の含有lが0.3〜0.6重量%と低いため、焼入れ・
焼戻し後の硬さが充分に得られず、しかもこの鋼の場合
もNiの上限が0.6重量%と高いため、特殊な腐食環
境下で孔食が発生する恐れがある。 [0007]
電子機器、化学装置等において、耐食性と高強度が要求
される部品の素材として利用されるマルテンサイト系ス
テンレス鋼に係オっり、特に、冷間でこれらの部品に加
工するのが容易な冷間加工性に優れた高強度高耐食性ス
テンレス鋼に関する。 [0002] 【従来の技術】従来から、上記の産業分野において、耐
食性と高強度が要求される部品、例えばシャフト類、軸
受などの素材には、5US440C,5US420J2
、SO3410などのマルテンサイト系ステンレス鋼が
使用されている。しかしながら、これらのステンレス鋼
はその製造上および使用上において、必ずしも満足な結
果が得られていないのが実情である。 [0003]高C−Cr材の5O3440Cは、過共析
鋼であるので、焼入れ・低温焼戻し状態で高硬度(HR
C58以上)が得られるものの、製造時に著しく硬い共
晶炭化物(HV2000以上)が粗大に晶出し、且つ焼
なましく焼鈍)状態での硬度が高いため、冷間加工性が
著しく悪い。このため、5US440Cを素材として、
所定の部品形状に加工する場合は、冷間鍛造や冷間圧延
などの冷間加工によらず、素材の鋼に焼まなしを施した
後、製品形状に近い形までに切削し、次いで、焼入れ・
焼戻し後に最終製品形状に仕上げ研削する方法を採用し
ている。また、この5US440Cは、多量の大型共晶
炭化物が生成するために素地のCr量が低くなり、耐食
性は必ずしも良くない。 [0004]中C−Cr材の5US420J2および低
CCr材の5US410は、5US440Cに比べてC
量が低いため、焼入れ・低温焼戻し状態でもあまり高い
硬度が得られず、しかもこれらのステンレス鋼はCrt
も低いので、耐食性はあまり良くない。 [0005]このように従来のマルテンサイト系ステン
レス鋼は、全般に耐食性が劣る上に、冷間加工性や硬度
にも問題がある。ところが、現在のところ、これらのス
テンレス鋼に勝る比較的安価な材料が存在していないこ
ともあって、止むを得ず使用しているのが実状である。 [0006]特公昭57−2266号公報および特開平
1−275737号公報に、上述の緒特性を改善したフ
ルテンサイ1〜系ステンレス鋼が提案されている。しか
し、これらの公報に開示されている成分組成を有するス
テンレス鋼を製造しても、冷間加工性や耐食性が改善さ
れない場合がある。即ち、特公昭57−2266号公報
に記載の鋼では、冷間加工性に著しく悪影響をおよぼす
Slを0.6M量%以下、冷間加工性を阻害し、且つ耐
食性をも劣化させるMnを1.0重量%以下に規定し、
また第2クレームではこれらに加えて特殊な腐食環境下
において孔食を生じさせるNiを1.5重量%以下に規
定しているが、このような規定では不十分であり、Si
、 MnおよびNiの含有量が高めであると、冷間加工
性や耐食性が改善されない場合がある。 方、特開平1−275737号公報に記載の鋼では、C
の含有lが0.3〜0.6重量%と低いため、焼入れ・
焼戻し後の硬さが充分に得られず、しかもこの鋼の場合
もNiの上限が0.6重量%と高いため、特殊な腐食環
境下で孔食が発生する恐れがある。 [0007]
【発明が解決しようとする課題】この発明の課題は、上
述するような既存のマルテンサイト系ステンレス鋼にお
ける問題点を解消し、冷間鍛造や冷間圧延等の冷間加工
に耐え得る優れた加工性を有する安価な高強度高耐食性
ステンレス鋼を提供することにある。 [0008]
述するような既存のマルテンサイト系ステンレス鋼にお
ける問題点を解消し、冷間鍛造や冷間圧延等の冷間加工
に耐え得る優れた加工性を有する安価な高強度高耐食性
ステンレス鋼を提供することにある。 [0008]
【課題を解決するための手段] 5US440Cは、前
記のように焼なまし状態においての硬度が高く、冷間加
工性に乏しい。これは、S rJ S 440 Cの場
合、製造時にHV 2000以上という硬いM7 C3
型共晶炭化物(Mは、主にCr)が粗大に生成し、炭化
物と鋼素地との界面が割れたり、炭化物自身が割れるか
らである。しかし、5US440Cは、他のマルテンサ
イト系ステンレス鋼よりも焼入れ・焼戻し状態において
の硬度は高い。 [00093本発明者らは5O3440Cの高硬度を損
なうことなく、冷間加工性、並びに耐食性を改善する方
法について鋭意検討を重ね、その結果、下記の知見を得
た。 [00101■冷間加工性の改善には、粗大なM7 C
3型共晶炭化物の低減、形状改善および組成変化が有効
であり、鋼中のC量およびCr量を調整することで、こ
の炭化物量が減少し、形状も小さくなり、また、炭化物
もM2]C3型炭化物に変化して冷間加工性が向上する
。■さらに、鋼中のSi量とMn量をそれぞれ0.3重
態%以下にすると、冷間加工性は一段と向上し、Ni量
を0.10重量%未満とすると、耐食性が著しく向上す
る。 [00113この発明は、このような知見を基に完成し
たものであって、その要旨は下記のステンレス鋼にある
。 (i)重量%で、C: 0.6〜0.75%、Si:0
.3%以下、Mn:0.3%以下、Ni:0.10%未
満、Cr:12〜16%、Al:0.03%以下を含有
し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、不純物と
してのPが0.02%以F、Sが0.005%以Fであ
り、焼なまし状態においての硬さがHRB 94以下で
あることを特徴とする冷間加工性に優れた高強度高耐食
性ステンレス鋼。 (■)上記成分に加えて更に、0.3〜3.0重量%の
Moを含むことを特徴とする上記(i)記載の冷間加工
性に優れた高強度高耐食性ステンレス鋼。 [0012] 【作用】以下に、本発明のステンレス鋼の成分組成(重
置%)および焼なまし状態においての硬さを上記の通り
に限定した理由を説明する。 [0013] [鋼の成分組成〕 C:0.6〜0.75% Cは、マルテンサイト系ステンレス鋼として必要な強度
を確保するうえで重要な元素である。Cは焼入れ状態で
組織をマルテンサイトにし、これに固溶して強度を高め
る。5US440Cと同等以上の硬さを得るためには0
.6%以上のC量を必要とする。しかし、0.75%を
超えてCを含有させると、球状化焼なまし後に、素地に
粗大なM7 C3型共晶炭化物が晶出し、冷間加工時に
おいて炭化物と素地との界面で割れが発生したり、炭化
物自身が割れたりして冷間加工性を著しく害する。また
、Cはマルテンサイト変態点を低下させ、焼入れ時にオ
ーステナイト相を残存させ、強度低下を招いたり、焼き
割れを発生させたりする。これらのことから、Cの上限
を0.75%とした。 [0014]Si: 0.3%以下 Siは、鋼の脱酸剤として添加される。しかし、多電の
Si添加は鋼の靭性を劣化させ、冷間加工性を著しく損
ねるため、上限含有量を0.3%とした。 [0015]Mn: 0.3%以下 MnもSiと同様に脱酸剤として添加されるが、多電の
添加は鋼の耐食性および冷間加工性を害するため、上限
含有量を0.3%とした。 [0016] Ni :0.10%未満Niは、鋼の靭
性を高める作用を有しているが、特殊な環境下で孔食を
発生させるので、その量は少ない方が望ましい。Niを
0.10%以上含有させると、孔食が発生しやすくなる
ため、その含有量を0.10%未満とした。 [0017] Cr : 12〜16%Crは、鋼に耐
食性を付与する重要な元素である。ステンレス鋼として
十分な耐食性を確保するためには12%以上のCr量を
必要とするが、]O6を超えてCrを含有させるとM7
C3型共晶炭化物が粗大に晶出し、冷間加工性を害す
るため、その含有量を12〜16%とした。 [0018]Al:0103%以下 AIは、脱酸剤として添加されるが、過度に添加すると
鋼中に酸化物として残留し、冷間加工性を劣化させるた
め、上限含有量を0.03%とした。 [0019]上記の成分のほかに、Moを必要に応じて
添加することができる。 [00201Mo : 0.3〜3.0%Moは、鋼
の耐食性を高める作用を有している。しかし、その含有
量がO83%未満では耐食性の向上効果が小さく、 3
.0%を超えるとδ−フェライトが生成し、強度を低下
させるため、耐食性を更に高める目的で添加する場合は
、その含有量を0.3〜3.0%の範囲とするのがよい
。本発明の鋼は、前述の成分のほか、残部はFeと不可
避不純物である。不純物として代表的なものはPとSで
ある。Pは粒界に偏析して鋼の靭性および耐食性を害す
るため、その含有量を0.02%以下に抑えた。また、
Sは鋼の熱間加工性を害するため、その含有量を0.0
05%以下に抑えた。 [00211C焼なまし状態での硬さ〕焼なまし状態で
の硬さをHRB94以下としたのは、これを超える硬さ
であると、焼なまし後の冷間加工が困難となるか、冷間
加工そのものができなくなるからである。この発明の鋼
は、焼まなし後、冷間鍛造や冷間圧延などによって、シ
ャフト類や軸受等の部品となるが、前記焼まなし後の素
材鋼の硬度が高いと、冷間加工中に割れ等が発生したり
、冷間加工ができなくなる。このような問題が生じるこ
となく、冷間加工が可能である硬さがHRB94以下で
ある。 [0022]
記のように焼なまし状態においての硬度が高く、冷間加
工性に乏しい。これは、S rJ S 440 Cの場
合、製造時にHV 2000以上という硬いM7 C3
型共晶炭化物(Mは、主にCr)が粗大に生成し、炭化
物と鋼素地との界面が割れたり、炭化物自身が割れるか
らである。しかし、5US440Cは、他のマルテンサ
イト系ステンレス鋼よりも焼入れ・焼戻し状態において
の硬度は高い。 [00093本発明者らは5O3440Cの高硬度を損
なうことなく、冷間加工性、並びに耐食性を改善する方
法について鋭意検討を重ね、その結果、下記の知見を得
た。 [00101■冷間加工性の改善には、粗大なM7 C
3型共晶炭化物の低減、形状改善および組成変化が有効
であり、鋼中のC量およびCr量を調整することで、こ
の炭化物量が減少し、形状も小さくなり、また、炭化物
もM2]C3型炭化物に変化して冷間加工性が向上する
。■さらに、鋼中のSi量とMn量をそれぞれ0.3重
態%以下にすると、冷間加工性は一段と向上し、Ni量
を0.10重量%未満とすると、耐食性が著しく向上す
る。 [00113この発明は、このような知見を基に完成し
たものであって、その要旨は下記のステンレス鋼にある
。 (i)重量%で、C: 0.6〜0.75%、Si:0
.3%以下、Mn:0.3%以下、Ni:0.10%未
満、Cr:12〜16%、Al:0.03%以下を含有
し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、不純物と
してのPが0.02%以F、Sが0.005%以Fであ
り、焼なまし状態においての硬さがHRB 94以下で
あることを特徴とする冷間加工性に優れた高強度高耐食
性ステンレス鋼。 (■)上記成分に加えて更に、0.3〜3.0重量%の
Moを含むことを特徴とする上記(i)記載の冷間加工
性に優れた高強度高耐食性ステンレス鋼。 [0012] 【作用】以下に、本発明のステンレス鋼の成分組成(重
置%)および焼なまし状態においての硬さを上記の通り
に限定した理由を説明する。 [0013] [鋼の成分組成〕 C:0.6〜0.75% Cは、マルテンサイト系ステンレス鋼として必要な強度
を確保するうえで重要な元素である。Cは焼入れ状態で
組織をマルテンサイトにし、これに固溶して強度を高め
る。5US440Cと同等以上の硬さを得るためには0
.6%以上のC量を必要とする。しかし、0.75%を
超えてCを含有させると、球状化焼なまし後に、素地に
粗大なM7 C3型共晶炭化物が晶出し、冷間加工時に
おいて炭化物と素地との界面で割れが発生したり、炭化
物自身が割れたりして冷間加工性を著しく害する。また
、Cはマルテンサイト変態点を低下させ、焼入れ時にオ
ーステナイト相を残存させ、強度低下を招いたり、焼き
割れを発生させたりする。これらのことから、Cの上限
を0.75%とした。 [0014]Si: 0.3%以下 Siは、鋼の脱酸剤として添加される。しかし、多電の
Si添加は鋼の靭性を劣化させ、冷間加工性を著しく損
ねるため、上限含有量を0.3%とした。 [0015]Mn: 0.3%以下 MnもSiと同様に脱酸剤として添加されるが、多電の
添加は鋼の耐食性および冷間加工性を害するため、上限
含有量を0.3%とした。 [0016] Ni :0.10%未満Niは、鋼の靭
性を高める作用を有しているが、特殊な環境下で孔食を
発生させるので、その量は少ない方が望ましい。Niを
0.10%以上含有させると、孔食が発生しやすくなる
ため、その含有量を0.10%未満とした。 [0017] Cr : 12〜16%Crは、鋼に耐
食性を付与する重要な元素である。ステンレス鋼として
十分な耐食性を確保するためには12%以上のCr量を
必要とするが、]O6を超えてCrを含有させるとM7
C3型共晶炭化物が粗大に晶出し、冷間加工性を害す
るため、その含有量を12〜16%とした。 [0018]Al:0103%以下 AIは、脱酸剤として添加されるが、過度に添加すると
鋼中に酸化物として残留し、冷間加工性を劣化させるた
め、上限含有量を0.03%とした。 [0019]上記の成分のほかに、Moを必要に応じて
添加することができる。 [00201Mo : 0.3〜3.0%Moは、鋼
の耐食性を高める作用を有している。しかし、その含有
量がO83%未満では耐食性の向上効果が小さく、 3
.0%を超えるとδ−フェライトが生成し、強度を低下
させるため、耐食性を更に高める目的で添加する場合は
、その含有量を0.3〜3.0%の範囲とするのがよい
。本発明の鋼は、前述の成分のほか、残部はFeと不可
避不純物である。不純物として代表的なものはPとSで
ある。Pは粒界に偏析して鋼の靭性および耐食性を害す
るため、その含有量を0.02%以下に抑えた。また、
Sは鋼の熱間加工性を害するため、その含有量を0.0
05%以下に抑えた。 [00211C焼なまし状態での硬さ〕焼なまし状態で
の硬さをHRB94以下としたのは、これを超える硬さ
であると、焼なまし後の冷間加工が困難となるか、冷間
加工そのものができなくなるからである。この発明の鋼
は、焼まなし後、冷間鍛造や冷間圧延などによって、シ
ャフト類や軸受等の部品となるが、前記焼まなし後の素
材鋼の硬度が高いと、冷間加工中に割れ等が発生したり
、冷間加工ができなくなる。このような問題が生じるこ
となく、冷間加工が可能である硬さがHRB94以下で
ある。 [0022]
【実施例】表1に示す化学組成の本発明鋼(No、1〜
9)および比較鋼(No、10〜16)を溶製し、鍛造
して直径30nui+の素材を製造した。次いで、これ
らの素材を軟化させるために球状化焼なましを行った。 焼なまし後の素材から、試験片を切り出し、焼なまし状
態の硬さと冷間加工性を調べた。冷間加工性は、室温で
の圧縮試験を実施し、割れ限界圧縮率を求めて評価した
。割れ限界圧縮率とは、試験前の試験片高さに対する割
れが発生した最小の圧縮量の割合(%)である。次に、
焼なまし後の素材に焼入れ・低温焼戻しを施した後、硬
度および耐食性を調べた。耐食性は、JIS規格に制定
されている塩水噴霧試験によって調べ、試験開始から2
00時間後の腐食減量により評価した。これらの結果を
まとめ表2に併記する。 [0023]
9)および比較鋼(No、10〜16)を溶製し、鍛造
して直径30nui+の素材を製造した。次いで、これ
らの素材を軟化させるために球状化焼なましを行った。 焼なまし後の素材から、試験片を切り出し、焼なまし状
態の硬さと冷間加工性を調べた。冷間加工性は、室温で
の圧縮試験を実施し、割れ限界圧縮率を求めて評価した
。割れ限界圧縮率とは、試験前の試験片高さに対する割
れが発生した最小の圧縮量の割合(%)である。次に、
焼なまし後の素材に焼入れ・低温焼戻しを施した後、硬
度および耐食性を調べた。耐食性は、JIS規格に制定
されている塩水噴霧試験によって調べ、試験開始から2
00時間後の腐食減量により評価した。これらの結果を
まとめ表2に併記する。 [0023]
【表1】
[0024]
【表21
[00251表2から、本発明鋼No、1〜No、9は
いずれも焼なまし状態の硬さがHRB 94以下で、割
れ圧縮率が高く、比較鋼No、16の5US440Cよ
りも冷間加工性に優れていることがわかる。電子顕微鏡
で炭化物の晶出状態を調査したところ、比較鋼No、
16は大きさが201L1以上の粗大なM7 C3型共
晶炭化物が生成しており、形も角ぼっているのに対して
、本発明鋼はいずれも硬さの低いM23C6型炭化物で
、大きさも10μm以下と小さく、形も丸みを帯びてお
り、冷開加工性の評価と一致する結果を示した。また、
本発明鋼は焼入れ・低温焼戻し後の硬さは、いずれもJ
IS規格に定められた5US440Cの硬さ(HRCで
58以上)を満足しており、しかも腐食慮量が小さく、
比較鋼No、 16の5O3440Cよりも耐食性に優
れている。なお、比較鋼No、1O−No、1.5は、
成分組成が本発明で定める範囲より外れたものである。 これらの例かられかるように、成分組成が本発明で定め
る範囲より外れたものは、冷間加工性、耐食性および硬
度のいずれか1つ以上が劣っている。 (0026] 【発明の効果】実施例から明らかなように、この発明の
ステンレス鋼は、焼なまし状態の硬度が低く、冷間加工
性に優ねでおり、且つ、焼入れ・焼戻し状態の硬度は既
存の5US440Cと同等以上であり、耐食性にも優れ
ている。本発明のステンレス鋼は、耐食性と高強度が求
められる自動車、産業機械、電子機器、化学装置等にお
いて使用される部品の素材として好適であるとともに、
冷間加工でこれらの部品を製造することができるので、
加工費が大幅に削減されるなど、実用上その効果が大き
い。
いずれも焼なまし状態の硬さがHRB 94以下で、割
れ圧縮率が高く、比較鋼No、16の5US440Cよ
りも冷間加工性に優れていることがわかる。電子顕微鏡
で炭化物の晶出状態を調査したところ、比較鋼No、
16は大きさが201L1以上の粗大なM7 C3型共
晶炭化物が生成しており、形も角ぼっているのに対して
、本発明鋼はいずれも硬さの低いM23C6型炭化物で
、大きさも10μm以下と小さく、形も丸みを帯びてお
り、冷開加工性の評価と一致する結果を示した。また、
本発明鋼は焼入れ・低温焼戻し後の硬さは、いずれもJ
IS規格に定められた5US440Cの硬さ(HRCで
58以上)を満足しており、しかも腐食慮量が小さく、
比較鋼No、 16の5O3440Cよりも耐食性に優
れている。なお、比較鋼No、1O−No、1.5は、
成分組成が本発明で定める範囲より外れたものである。 これらの例かられかるように、成分組成が本発明で定め
る範囲より外れたものは、冷間加工性、耐食性および硬
度のいずれか1つ以上が劣っている。 (0026] 【発明の効果】実施例から明らかなように、この発明の
ステンレス鋼は、焼なまし状態の硬度が低く、冷間加工
性に優ねでおり、且つ、焼入れ・焼戻し状態の硬度は既
存の5US440Cと同等以上であり、耐食性にも優れ
ている。本発明のステンレス鋼は、耐食性と高強度が求
められる自動車、産業機械、電子機器、化学装置等にお
いて使用される部品の素材として好適であるとともに、
冷間加工でこれらの部品を製造することができるので、
加工費が大幅に削減されるなど、実用上その効果が大き
い。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、C:0.6〜0.75%、Si
:0.3%以下、Mn:0.3%以下、Ni:0.10
%未満、Cr:12〜16%、Al:0.03%以下を
含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、不純
物としてのPが0.02%以下、Sが0.005%以下
であり、焼なまし状態においての硬さがHRB94以下
であることを特徴とする冷間加工性に優れた高強度高耐
食性ステンレス鋼。 - 【請求項2】上記成分に加えて更に、0.3〜3.0重
量%のMoを含むことを特徴とする請求項1記載の冷間
加工性に優れた高強度高耐食性ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40189490A JPH04210451A (ja) | 1990-12-13 | 1990-12-13 | 冷間加工性に優れた高強度高耐食性ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP40189490A JPH04210451A (ja) | 1990-12-13 | 1990-12-13 | 冷間加工性に優れた高強度高耐食性ステンレス鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04210451A true JPH04210451A (ja) | 1992-07-31 |
Family
ID=18511710
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP40189490A Pending JPH04210451A (ja) | 1990-12-13 | 1990-12-13 | 冷間加工性に優れた高強度高耐食性ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04210451A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020050917A (ja) * | 2018-09-27 | 2020-04-02 | 日鉄ステンレス株式会社 | 冷間加工性に優れる高硬度・高耐食性用途のマルテンサイト系ステンレス鋼及びその製造方法 |
CN111621717A (zh) * | 2020-07-17 | 2020-09-04 | 攀钢集团研究院有限公司 | 控制含钛酸洗板表面硬度波动的方法 |
US11166627B2 (en) | 2018-01-26 | 2021-11-09 | Ambu A/S | Method for fixation of a wire portion of an endoscope, and an endoscope |
-
1990
- 1990-12-13 JP JP40189490A patent/JPH04210451A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11166627B2 (en) | 2018-01-26 | 2021-11-09 | Ambu A/S | Method for fixation of a wire portion of an endoscope, and an endoscope |
JP2020050917A (ja) * | 2018-09-27 | 2020-04-02 | 日鉄ステンレス株式会社 | 冷間加工性に優れる高硬度・高耐食性用途のマルテンサイト系ステンレス鋼及びその製造方法 |
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