JP2000078982A - 安定なヘキソキナ―ゼおよびその製造法 - Google Patents
安定なヘキソキナ―ゼおよびその製造法Info
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Abstract
期保存安定の優れた新規なヘキソキナーゼを得るもので
ある。 【解決手段】 25℃、6週間の50mMのイミダゾー
ル緩衝液(pH6.5)中保存において、少なくとも8
0%以上の残存活性を有し、かつ次の理化学的性質
(1)〜(3)を有するヘキソキナーゼ (1)作用 グルコースを基質として用いたときの反応式が下記の通
りである。 【化1】 (2)至適pH pH7.5〜8.5(トリス−塩酸緩衝液)のpH範囲
に至適pHを持つ。 (3)熱安定性 80℃、10分間の熱処理後の残存活性が少なくとも8
0%以上である。
Description
けるグルコース、マグネシウムまたはクレアチンキナー
ゼ活性の測定に用いられる溶液状態での安定性の優れた
新規なヘキソキナーゼおよびその製造法に関する。
は、ATPの存在下、グルコースその他のヘキソースを
リン酸化してヘキソース−6−リン酸とする反応を触媒
する酵素である。従来より高等動物のさまざまな細胞内
やサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharom
yces・cerevisiae)、アスペルギルス・
オリザエ(Aspergillus・oryzae)、
ロイコノストック・メセンテロイデス(Leucono
stoc・mesenteroides)、エシェリヒ
ア・コリ(Escherichia・coli)、エア
ロバクター・エアロゲネス(Aerobacter・a
erogenes)由来の酵素が知られている(蛋白質
核酸 酵素、22,1507−1509,1510−
1514,1515−1519,1977、Adv.E
nzymol.34,249−326,1973、Th
e Enzymes 3rd Ed.,4,1−48,
1973)。
る溶液状態での安定性が悪く、臨床診断薬分野における
グルコース、マグネシウムまたはクレアチンキナーゼ活
性の測定に用いられる溶液状態での保存に満足のいくも
のではなかった。また、溶液状での保存安定性に優れた
クルベロマイセス属(Kluyveromyces)に
属する高温性酵母由来のヘキソキナーゼが報告されたが
(特開平9−220088号公報)、クルベロマイセス
属由来ヘキソキナーゼは、従来のヘキソキナーゼと同様
にグルコースの他にフルクトースにも作用することか
ら、血液中のフルクトースの影響を受けるという問題点
があった。このため、グルコースの測定用にはフルクト
ースに対する反応性の低いバチルス・ステアロサーモフ
ィルス由来のグルコキナーゼが用いられているが、この
酵素も溶液状での保存安定性が十分ではなかった。
スに対して実質的に作用せず、長期保存安定性の優れた
新規なヘキソキナーゼを提供することを目的とする。
を解決するため、鋭意検討した結果、ロドサーマス・オ
バメンシス JCM9785(Rhodothermu
s obamensis JCM9785、理化学研究
所保存株;茨城県つくば市東1丁目3番3号所在の通商
産業省工業技術院生命工学工業技術研究所、FERM
BP−6384,平成10年6月4日寄託日)菌株、サ
ーモトーガ・ネアポリタナ DSM4359菌株および
エアロパイラム・ペルニックス JCM9820菌株な
どの好熱菌が安定なヘキソキナーゼを生産することを見
いだし、さらにこれらの好熱菌由来のヘキソキナーゼに
ついて詳細に性質検討を行った結果、ロドサーマス・オ
バメンシス JCM9785(FERM BP−638
4)菌株の菌体内に25℃、6週間の50mMのイミダ
ゾール緩衝液(pH6.5)中保存において、少なくと
も80%以上の残存活性を有し、かつ次の理化学的性質
(1)〜(3)を有する新規なヘキソキナーゼを見い出
した。
りである。
に至適pHを持つ。 (3)熱安定性 80℃、10分間の熱処理後の残存活性が少なくとも8
0%以上である。
成するポリペプチドのN末端から40アミノ酸の配列を
決定することに成功し、このN末端アミノ酸配列を基に
ヘキソキナーゼのアミノ酸配列をコードするDNAを分
離し、ヘキソキナーゼ遺伝子の塩基配列を決定した。ま
た、該ヘキソキナーゼ遺伝子を任意のベクターに導入
し、好ましい宿主−ベクター系にて宿主微生物を形質転
換体とし、該形質転換体を培養して、該培養物からヘキ
ソキナーゼを確認し、優れた工業的生産方法を確立し、
本発明を完成するに至った。
塩基配列から明らかとなったヘキソキナーゼのアミノ酸
配列は明らかに新規であり、DNA DATA BAS
Eof JAPAN(DDBJ)の核酸配列及び蛋白質
データベースからは、同じ配列を有する遺伝子および蛋
白質は見い出されなかった。本発明は上記の知見に基づ
いて完成されたもので、25℃、6週間の50mMのイ
ミダゾール緩衝液(pH6.5)中保存において、少な
くとも80%以上の残存活性を有し、かつ次の理化学的
性質(1)〜(3)を有するヘキソキナーゼ
りである。
に至適pHを持つ。 (3)熱安定性
少なくとも80%以上である。配列表の配列番号1のア
ミノ酸配列の1から332で表されるアミノ酸配列を有
するヘキソキナーゼ、ヘキソキナーゼ蛋白質をコードす
るDNA、ヘキソキナーゼの生産能を有する遺伝子組み
換え微生物、ロドサーマス属に属するヘキソキナーゼ生
産菌または外来性のヘキソキナーゼの生産能を有する遺
伝子組み換え微生物を培養し、培養物から当該ヘキソキ
ナーゼを採取することを特徴とするヘキソキナーゼの製
造法、ロドサーマス・オバメンシス JCM9785
(FERMBP−6384)を培養し、培養物から当該
ヘキソキナーゼを採取することを特徴とするヘキソキナ
ーゼの製造法である。すなわち、本発明はフルクトース
に対して実質的に作用せず、長期保存安定性の優れた新
規なヘキソキナーゼおよびその製造法に関するものであ
る。
ず、本発明のヘキソキナーゼ生産菌について、ロドサー
マス属に属する当該ヘキソキナーゼを生産する能力を有
する微生物であれば何ら限定されるものではなく、ヘキ
ソキナーゼを生産する能力を有する変種や変異株であっ
てもよく、好ましくはロドサーマス・オバメンシス J
CM9785(FERM BP−6384)菌株が挙げ
られる。本発明者らはロドサーマス属の菌株がフルクト
ースに対して実質的に作用せず、長期保存安定性の優れ
た新規なヘキソキナーゼを生産することを見い出し、該
酵素の精製、および諸性質の検討を行った。本発明にお
ける使用菌株はロドサーマス属に属するヘキソキナーゼ
生産菌であるが、例えばロドサーマス・オバメンシス
JCM9785(FERM BP−6384)株が挙げ
られる。
酸配列の1から332で表されるヘキソキナーゼ蛋白の
アミノ酸配列をコードするDNAにおいて、その配列番
号1のアミノ酸配列の1から332で表記されるアミノ
酸配列のN末端側及びC末端側はアミノ酸残基又はポリ
ペプチド残基を含む場合であってもよく、N末端側であ
るメチオニンの上流にはさらに一個又は複数のアミノ酸
残基を有してもよく、そのアミノ酸残基としては開始コ
ドン又はシグナルペプチドが挙げられ、またC末端側の
アラニンの下流には、さらに一個以上のアミノ酸残基を
有してもよい。
るアミノ酸配列は、配列表の配列番号1のアミノ酸配列
の1から332で表されるアミノ酸配列からなるポリペ
プチドによる酵素活性発現と同様の効果を発現する、配
列番号1のアミノ酸配列の1から332のアミノ酸配列
の一部から実質的になるアミノ酸配列や酵素活性発現に
関与しない一部のアミノ酸の配列を変異、欠損又は付加
したものの均等物も含まれる。
列の1から332で表されるアミノ酸配列をコードする
新規なDNAは、そのN末端側及びC末端側のアミノ酸
残基又はポリペプチド残基を含めたアミノ酸配列の各ア
ミノ酸に対応する一連のコドンのうちいずれか1個のコ
ドンからなるDNAであればよい。
るアミノ酸配列をコードするDNAは、配列表の配列番
号1のアミノ酸配列の1から332で表されるアミノ酸
配列からなるポリペプチドによる酵素活性発現と同様の
効果を発現する、配列番号1のアミノ酸配列の1から3
32中の一部分からなる実質的になるアミノ酸配列をコ
ードするDNAであってもよく、また酵素活性発現に関
与しない一部のアミノ酸の配列を変異、欠損又は付加し
たものの均等物のアミノ酸配列をコードするDNAであ
ってもよい。
配列番号1の塩基配列の18から1013で表される塩
基配列を有するDNAを挙げることができる。該DNA
は、5’末端の上流側にアミノ酸をコードするコドンを
1個以上有したものでもよく、TAA、TAG、及びT
GA以外のコドンであればよい。さらに、好ましくはA
TG、GTG、それら以外の開始コドン又はシグナルペ
プチドに対応するコドンを有したものを挙げることがで
きる。3’末端のGCC下流側には、アミノ酸をコード
するコドンを1個以上有するか、又は翻訳終止コドンを
有するかのいずれでもよく、更に、その3’末端側にア
ミノ酸をコードするコドンを1個以上有する場合には、
このアミノ酸をコードするコドンの3’末端側に翻訳終
止コドンを有することが好ましい。
は、例えば、ヘキソキナーゼ遺伝子の供与体である、ヘ
キソキナーゼを生産する微生物よりDNAを分離精製し
た後、制限酵素などを用いて切断した該DNAと、同じ
く切断して直鎖状にした発現ベクターとを、両DNAの
末端部をDNAリガーゼなどにより結合閉環させ、かく
して得られた組み換えDNAプラスミドを宿主微生物に
導入し、発現ベクターのマーカーと、ヘキソキナーゼの
活性発現若しくはDNAプローブを指標としてスクリー
ニングを行い、ヘキソキナーゼ遺伝子を含有する組み換
えDNAプラスミドを保持する微生物を分離し、該遺伝
子組み換え微生物を培養し、該培養菌体から該組み換え
DNAプラスミドを分離精製し、次いで該組み換えDN
Aプラスミドからヘキソキナーゼ遺伝子であるDNAを
取得することにより得られる。
キソキナーゼを生産する微生物であれば、なんら限定さ
れるものではないが、好ましくはロドサーマス・オバメ
ンシス JCM9785株が挙げられる。本発明を実施
するにあたり、ロドサーマス属の培養形態としては液体
培養、固体培養いずれも可能であるが工業的には通気攪
拌培養を行うのが有利である。また、使用する培養源と
しては一般に微生物培養に用いられる炭素源、窒素源、
無機塩およびその他の微量栄養源の他、ロドサーマス属
に属する微生物の利用できる栄養源であればすべて使用
できる。
ス、キシロース、マルトース、グリセロール、デキスト
リン、デンプン、アミノ酸などの他、脂肪酸、油脂、有
機酸などが単独でまたは組み合わせて用いられる。窒素
源としては無機窒素源、有機窒素源のいずれも使用可能
であり、無機窒素源としては硫酸アンモニウム、硝酸ア
ンモニウム、尿素、硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム
などがあげられる。また、有機窒素源としては大豆、
米、トウモロコシ、小麦などの粉、コーンスティープリ
カー、ペプトン、肉エキス、カゼインアミノ酸、酵母エ
キスなどがあげられる。無機塩および微量栄養素として
はリン酸、マグネシウム、カリウム、鉄、カルシウム、
亜鉛などの塩類の他ビタミン、非イオン性界面活性剤、
消泡剤などの菌の生育やヘキソキナーゼの生産を促進す
るものであれば必要に応じて使用できる。
し、ヘキソキナーゼが生産する範囲であればよく、通常
65〜80℃、好ましくは70〜75℃である。培養時
間は条件により異なるがヘキソキナーゼが最も生産され
る時間まで培養すればよく、通常8〜24時間程度であ
る。またヘキソキナーゼ蛋白質をコードするDNAを得
るためには、具体的には以下のように行えばよいが、そ
の操作法のうち常法とされるものは、例えばマニアティ
スらの方法(Maniatis,T.,et al.M
olecularCloning.Cold Spri
ng Harbor Laboratory 198
2,1989)や、市販の各種酵素、キット類に添付さ
れた手順に従えば実施できるものである。
るDNA(totalDNAと略称する)を採取するに
は、例えばヘキソキナーゼを生産する微生物を培養し、
得られる培養菌液から菌体を集菌し、次いでこれを溶菌
させることによってヘキソキナーゼ遺伝子を含有する溶
菌物を調製する。溶菌方法としては、例えばリゾチーム
などの細胞壁溶解酵素による処理が施され、必要により
プロテアーゼなどの他の酵素やラウリル硫酸ナトリウム
などの界面活性剤が併用され、さらに細胞壁の物理的破
壊法である凍結融解(特開昭63−185371号公報
参照)やフレンチプレス処理を上述の溶菌法と組合せで
行ってもよい。
lDNAを分離精製するには、常法に従って、例えばフ
ェノール抽出による除蛋白処理、プロテアーゼ処理、リ
ボヌクレアーゼ処理、アルコール沈澱、遠心分離などの
方法を適宜組み合わせることにより行うことができる。
totalDNAを分離する菌株としては、ヘキソキナ
ーゼを生産する微生物なら何でもよいが、好ましくはロ
ドサーマス・オバメンシス JCM9785株を使用す
ればよい。
る方法は、常法に従って制限酵素処理により行えばよ
く、特に得られるtotalDNA断片とベクターとの
結合を容易ならしめるため、制限酵素、とりわけ特定ヌ
クレオチド配列に作用する、例えば、SalI、Bgl
II、BamHI、XhoI、MluIなどのII形制
限酵素が適している。
としては、宿主微生物体内で自律的に増殖しうるファー
ジ又はプラスミドから遺伝子組み換え用として構築され
たものが適しており、ファージベクターとしては、例え
ば、エシェリヒア・コリに属する微生物を宿主微生物と
する場合にはλgt・λC、λgt・λBなどが使用で
きる。また、プラスミドベクターとしては、例えば、エ
シェリヒア・コリを宿主微生物とする場合には、プラス
ミドpBR322、pBR325、pACYC184、
pUC12、pUC13、pUC18、pUC19、p
UC118、pIN I、BluescriptKS
+、枯草菌を宿主とする場合にはpUB110、pKH
300PLK、放線菌を宿主とする場合にはpIJ68
0、pIJ702、酵母特にサッカロマイセス・セレビ
ジアエを宿主とする場合にはYRp7、pYC1、YE
p13などが使用できる。このようなベクターを、to
talDNAの切断に使用した制限酵素で生成するDN
A末端と、同じ末端を生成する制限酵素で切断してベク
ター断片を作成し、totalDNA断片とベクター断
片とを、DNAリガーゼ酵素により常法に従って結合さ
せればよい。
ミドを移入する宿主微生物としては、組み換えDNAが
安定かつ自律的に増殖可能であればよく、例えば宿主微
生物がエシェリヒア・コリに属する微生物の場合、エシ
ェリヒア・コリ DH1、エシェリヒア・コリ JM1
09、エシェリヒア・コリ W3110、エシェリヒア
・コリ C600などが利用できる。また、微生物宿主
が枯草菌に属する微生物の場合、バチルス・サチリス
ISW1214など、放線菌に属する微生物の場合、ス
トレプトマイセス・リビダンス TK24など、サッカ
ロマイセス・セルビシエに属する微生物の場合、サッカ
ロマイセス・セルビシエ INVSC1などが使用でき
る。
法としては、例えば、宿主微生物がエシェリヒア・コリ
やサッカロマイセス・セルビシエ、ストレプトマイセス
・リビダンスに属する微生物の場合には、常法に従って
コンピテントセル化した宿主菌株に組み換えDNAの移
入を行えばよく、菌株によっては電気穿孔法を使用して
もよい。
有無についての選択は、上記方法により組み換えDNA
を移入した宿主微生物により作成した遺伝子ライブラリ
ーから、32Pや蛍光体などでラベルした、ヘキソキナ
ーゼの部分アミノ酸配列を基に設計し、あらかじめ合成
したヘキソキナーゼのDNAプローブで、コロニーハイ
ブリダイゼーションやプラークハイブリダイゼーション
などを行うことによりポジティブ株を選択し、この株を
目的の形質転換体とすればよい。
含むDNAの分離は、常法に従って行えばよい。上述の
方法によって得られたヘキソキナーゼ遺伝子のDNAの
塩基配列は、ジデオキシ法(Sangar,F.(19
81)Science,214,1205−1210)
で解読すればよく、またヘキソキナーゼを構成するポリ
ペプチドの全アミノ酸配列は、塩基配列より予測決定で
きる。この様にして一度選択された組み換えDNAは、
該組み換えDNAを保持する形質転換微生物から取り出
され、他の宿主微生物に移入することも容易に実施でき
る。また、さらに、該組み換えDNAから制限酵素など
により切断してヘキソキナーゼを構成するポリペプチド
のアミノ酸配列をコードするDNAを切り出し、前記と
同様な方法により切断して得られる他の開環ベクターの
末端に結合させて新規な特徴を有する組み換えDNAを
作製して、他の宿主微生物に移入することも容易に実施
できる。
は、栄養培地に培養されることによりヘキソキナーゼを
産生し得るが、宿主微生物によってはヘキソキナーゼ遺
伝子を移入するだけではヘキソキナーゼ生産性を有しな
い場合がありうる。このような場合、得られたヘキソキ
ナーゼ遺伝子を含むDNA断片を、ゾラーの方法による
部位特異的変異法(Zoller,M.J.and S
mith,M.(1983)Methods in E
nzymology,154,367)による制限酵素
認識部位の作製や、制限酵素による切り出しなどにより
適切な形態で分離し、該宿主微生物に適合する遺伝子プ
ロモーター下流にヘキソキナーゼ遺伝子を結合したDN
Aを組み込んだプラスミドにより、新たな形質転換体を
作成し、ヘキソキナーゼを産生させればよい。
コリに属する微生物の場合、ヘキソキナーゼ遺伝子を接
続する遺伝子プロモーターとしては、lacZプロモー
ター、tacプロモーター、T7プロモーター、ピルビ
ン酸オキシダーゼ遺伝子プロモーター(特開平1−14
4976号公報)などが例示され、これらのプロモータ
ーの下流にリボソーム結合部位を介在して、開始コドン
ATGやGTGを有するヘキソキナーゼ構造遺伝子を接
続し、大腸菌を宿主とするベクターに組み込み、かくの
ごとくして作成されたプラスミドで大腸菌を形質転換す
ればよい。
的関係は、供与微生物からのDNA及びプラスミドDN
Aを0.1〜10μgに対し、制限酵素を約1〜10
u、リガーゼ約300u、その他の酵素約1〜10u、
程度が例示される。
伝子操作手段により、本来の反応を触媒する性質を損な
わないペプチドの変異をなしてもよく、このような変異
体ヘキソキナーゼ遺伝子は、本発明のヘキソキナーゼ遺
伝子から遺伝子工学的手法により作製される人工変異遺
伝子を意味し、この人工変異遺伝子は前出の部位特異的
変異法や、目的遺伝子の特定DNA断片を人工変異DN
Aで置換するなどの種々なる遺伝子工学的方法を使用し
て得られる。かくして取得された人工変異ヘキソキナー
ゼ遺伝子をベクターに挿入して宿主微生物に移入させる
ことによって変異体ヘキソキナーゼを発現させることが
可能であり、優れた性質を有する変異体ヘキソキナーゼ
ができればそれを製造することも可能である。
ーゼを産生し得る形質転換微生物の具体的な例示として
は、エシェリヒア・コリ JM109株にヘキソキナー
ゼ遺伝子を含有するプラスミドpcHKR2(その制限
酵素地図を図9に示した)を導入した形質転換微生物が
挙げられる。
ゼを製造するに当たっては、該形質転換微生物を栄養培
地で培養して菌体内又は培養液中に該ヘキソキナーゼを
産生せしめ、培養終了後、得られた培養物を濾過又は遠
心分離などの手段により菌体を採集し、次いでこの菌体
を機械的方法又はリゾチームなどの酵素的方法で破壊
し、又、必要に応じてEDTA及び/又は適当な界面活
性剤などを添加して該ヘキソキナーゼの水溶液を濃縮す
るか、又は濃縮する事なく硫安分画、ゲル濾過、アフィ
ニティークロマトグラフィー等の吸着クロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィーにより処理して、純
度のよい該ヘキソキナーゼを得ることができる。
的性質を考慮して培養条件を選択すれば良く、通常多く
の場合は、液体培養で行うが、工業的には深部通気撹拌
培養を行うのが有利である。培地の栄養源としては、微
生物の培養に通常用いられるものが広く使用されうる。
炭素源としては、資化可能な炭素化合物であればよく、
例えばグルコース、サッカロース、ラクトース、マルト
ース、フラクトース、糖蜜などが使用される。窒素源と
しては利用可能な窒素化合物であれば良く、例えばペプ
トン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物など
が使用される。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マ
グネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜
鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミンなどが
必要に応じて使用される。
ゼを生産する範囲で適宜変更し得るが、エシェリヒア・
コリの場合、好ましくは20〜42℃程度である。培養
条件は、条件によって多少異なるが、ヘキソキナーゼが
最高収量に達する時期を見計らって適当な時期に培養を
終了すればよく、エシェリヒア・コリの場合、通常は1
2〜48時間程度である。培地pHは菌が発育し、ヘキ
ソキナーゼを生産する範囲で適宜変更し得るが、エシェ
リヒア・コリの場合、好ましくはpH6〜8程度であ
る。
有、蓄積されており、その菌体内から抽出すればよい。
ヘキソキナーゼの抽出法を例示すればまず培養物を固液
分離し、得られた湿潤菌体をリン酸緩衝液やトリス−塩
酸緩衝液などの溶液に分散し、リゾチーム処理、超音波
処理、フレンチプレス処理、ダイノミル処理などの菌体
破砕手段を適宜選択組み合わせて、粗製のヘキソキナー
ゼ含有液を得る。
白質や酵素などの単離、精製手段を用いて精製ヘキソキ
ナーゼを得る。例えば、粗製のヘキソキナーゼ含有液に
アセトン、メタノール、エタノールなどの有機溶媒によ
る分別沈殿法、硫酸アンモニウム、食塩などによる塩析
法などを適用してヘキソキナーゼを沈殿させ、回収す
る。さらに、この沈殿物を必要に応じて透析、等電点沈
殿を行った後、電気泳動法などで単一の帯を示すまで、
イオン交換体、ゲルろ過剤、吸着体などを用いるカラム
クロマトグラフィーなどにより精製する。また、これら
の方法を適当に組み合わせることによりヘキソキナーゼ
の精製度が上がる場合は適宜組み合わせて行うことがで
きる。
化剤として、各種の塩類、糖類、タンパク質、脂質、海
面活性化剤などを加え、あるいは加えることなく、限外
ろ過濃縮、凍結乾燥などの方法により、液状または固形
のヘキソキナーゼを得ることができ、また、適宜凍結乾
燥を行ってもよく、この場合安定化剤としてサッカロー
ス、マンニトール、食塩、アルブミンなどを0.5〜1
0%程度添加してもよい。
理化学的性質および酵素活性測定法を述べる。 ヘキソキナーゼの酵素活性測定法 測定試薬 50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.5) 20mM グルコース 4mM ATP 10mM MgCl2 1mM NADP 5U/ml グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH) (東洋紡社製)
れ37℃で5分間予備加温した後、0.02mlの酵素
液添加後0.5分後の波長340nmにおける吸光度
(Aa)と酵素液添加後1.5分後の吸光度(Ab)を
測定する。この吸光度(Aa)と(Ab)の吸光度差
(Ab−Aa)より酵素活性を求める。なお、吸光度
(Ab)が0.2以上になる時は酵素液を50mMのト
リス−塩酸緩衝液(pH8.5)で希釈して測定するも
のとする。酵素活性1単位は37℃で1分間に1μモル
の還元型NADPを生成させる酵素量とし、計算式は下
記の通りである。 酵素活性(U/ml)=(Ab−Aa)×8.1×酵素
の希釈倍率
示す。
もしくは本発明HKともいう)、酵母由来ヘキソキナー
ゼ(オリエンタル酵母社製、以下、酵母由来HKともい
う)、バチルス・ステアロサーモフィルス由来グルコキ
ナーゼ(ユニチカ社製、以下、バチルス由来GKともい
う)、サーモトーガ・ネアポリタナ DSM4359
[サーモトーガ・ネアポリタナ(DSM4359)菌株
由来HKともいう]およびエアロパイラム・ペルニクス
JCM9820[エアロパイラム・ペルニクス(JC
M9820)菌株由来HKともいう]のグルコースおよ
びATPに対するKm値は表1の通りである。
来GKの各種糖類に対する特異性は表2の通りである。
本酵素はグルコースに対して最も高い反応性を示し、フ
ルクトースには全く作用しない点で酵母由来の酵素とは
異なり、また、1,5−アンヒドログルシトールに対す
る反応性がバチルス由来の酵素の7.5倍であることか
らバチルス由来酵素とも異なっていた。
異性は表3の通りである。
泳動法にて)
XLを用いたゲルろ過法にて) (7)至適pH 前記酵素活性測定法にしたがって至適pHを求めたもの
で、その結果を図1に示した。pH4.5〜5.5の範
囲は100mMの酢酸緩衝液(図中、○)、pH5〜6
の範囲は100mMのクエン酸緩衝液(図中、□)、p
H6〜7.5の範囲は100mMのリン酸緩衝液(図
中、△)、pH7.5〜9の範囲は100mMのトリス
−塩酸緩衝液(図中、●)、pH9.5〜10の範囲は
100mMのグリシン緩衝液(図中、■)を使用した場
合の活性値を示すもので、至適pHは7.5〜9にあっ
た。
緩衝液中で37℃、1時間処理し、その残存活性を前記
酵素活性測定法に従って測定した。その結果を図2に示
した。pH4.5〜5.5の範囲は100mMの酢酸緩
衝液(図中、○)、pH5〜6の範囲は100mMのク
エン酸緩衝液(図中、□)、pH6〜7.5の範囲は1
00mMのリン酸緩衝液(図中、△)、pH7.5〜9
の範囲は100mMのトリス−塩酸緩衝液(図中、
●)、pH9.5〜10の範囲は100mMのグリシン
緩衝液(図中、■)を使用した。pH4.5〜10の範
囲で良好な安定性を示した。
で変化させて至適温度をもとめた結果は図3に示す通り
であり、本酵素の至適温度は測定の範囲内においては9
5℃であった。 (10)熱安定性 0.5U/mlの本発明ヘキソキナーゼを100mMの
トリス−塩酸緩衝液(pH8.5)中で各温度で10分
間加熱処理した後の残存活性を前記酵素活性測定法に従
って測定した。その結果、図4に示す通り、少なくとも
80℃、10分間処理における残存活性が少なくとも8
0%以上を示す安定なものであった。
よぼす影響 前記酵素活性測定法においてマグネシウムイオンの代わ
りに各種2価の金属イオンを添加して活性測定を行った
結果を表4に示した。
によって最も強く活性化され、コバルトイオン、マンガ
ンイオンによって少し活性化され、ニッケルイオンによ
ってわずかに活性化を受けた。 (12)各種金属イオンおよび阻害剤の影響 各種1価の金属イオンおよび阻害剤の影響を表5に示し
た。
を受けるものは無かった。尚、表中AP5 AはP1 ,P
5 −ジ(アデノシン−5’)ペンタリン酸(シグマ社
製)、NACはN−アセチル−L−システイン(シグマ
社製)を示す。また以上の結果から、、クルベルマイセ
ス属由来のヘキソキナーゼは、分子量が60,000
で、グルコースに対する活性を100とした時のフルク
トースに対する相対活性が189.4%であり、明らか
に本発明ヘキソキナーゼとは異なる性質のものである。
るが、本発明は何らこれらにより限定されるものではな
い。なお、実施例中、常法に従い、と記述した遺伝子操
作技術は、例えば前出のマニアティスらの方法や、市販
の各種酵素、キット類に添付された手順に従えば実施で
きるものである。また、実験に使用した組み換えDNA
実験酵素試薬(制限酵素など)、ベクターDNA、キッ
ト類は特に指摘しない限り宝酒造株式会社より購入した
ものである。
バメンシス(Rhodothermus obamen
sis) JCM9785(FERM BP−638
4)菌株をトリプティカーゼペプトン(BBL社製)を
0.4%、酵母エキス(ディフコ社製)を0.4%、ジ
ャマリンS(ジャマリン ラボラトリー社製)100m
l、ニトリロトリ酢酸を0.15%、MnSO4 ・H2
Oを0.05%、FeSO4 を0.14%、NiCl 2
を0.02%、CoSO4 を0.01%、ZnSO4 ・
7H2 Oを0.01%、CuSO4 を0.001%、N
a2 WO4 ・2H2 Oを0.0003%、Na2 MoO
4 ・2H2 Oを0.001%からなる培地(pH7.
0)を500mlの三角フラスコ2本に分注したものに
接種し、75℃、15時間培養し、得られた種培養液を
上記と同一組成培地に消泡剤を加えた培地20Lに添加
し、75℃で15時間培養した。培養終了後、培養物を
4,500rpmで30分間、遠心し、菌体0.43k
gを回収した。
0mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁し、
全量を2,000mlとした後、超音波破砕装置を用い
て、氷中で30分間超音波処理を行った。その後、7,
500rpmで20分間、遠心分離して不溶物を除去し
て、その上清1,800ml(750U)を得た。つい
でこの上清を10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.
5)にて、15時間透析し、DEAE−セファロース・
ファーストフロー(2.7×30cm)(ファルマシア
社製)イオン交換クロマトグラフィを行った。溶出はN
aClの0〜1Mのリニアグラジエントにより行い、
0.2M〜0.3MのNaClの溶出画分(600U)
を回収した。この酵素液に15%(NH4 )2 SO4 の
濃度となるように(NH4 )2 SO4 を溶解し、フェニ
ルセファロース・ファーストフロー(2.7×19.5
cm)(ファルマシア社製)の疎水クロマトグラフィー
を行った。溶出は15%〜0%の(NH4 )2 SO4 の
リニアグラジエントにより行い、5〜2%の(NH4 )
2 SO4 の溶出画分(450U)を回収した。
塩酸緩衝液(pH8.5)にて15時間透析し、Q−セ
ファロース・ファーストフロー(2.7×19.5c
m)(ファルマシア社製)のイオン交換クロマトグラフ
ィを行った。溶出は0〜0.5MのNaClのリニアグ
ラジエントにより行い、0.2〜0.3MのNaClの
溶出画分(320U)を回収した。さらに、この酵素液
を10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)にて1
5時間透析し、ハイドロキシアパタイト(ペンタックス
社製)(1.6×26.5cm)クロマトグラフィーを
行った。溶出は0〜0.1Mのリン酸緩衝液(pH7.
0)によるリニアグラジエントにより行い、0.03〜
0.04Mのリン酸緩衝液の溶出画分(240U)を回
収し、精製ヘキソキナーゼを得た。
発明ヘキソキナーゼ、酵母由来ヘキソキナーゼおよびバ
チルス・ステアロサーモフィルス由来グルコキナーゼを
各0.5U/ml濃度で50mMのイミダゾール緩衝液
(pH6.7)中で4℃および25℃、8週間保存し、
残存活性を前記活性測定法により測定した。その結果を
図5(4℃における保存安定性)および図6(25℃に
おける保存安定性)に示した。(図中、○は本発明ヘキ
ソキナーゼ、□は酵母由来ヘキソキナーゼ、△はバチル
ス・ステアロサーモフィルス由来グルコキナーゼを示
す)。4℃の保存では酵母由来ヘキソキナーゼおよびバ
チルス・ステアロサーモフィルス由来グルコキナーゼは
8週間の保存で残存活性が約40%まで低下したが、本
発明ヘキソキナーゼは95%以上の残存活性を示した。
また25℃の保存ではバチルス・ステアロサーモフィル
ス由来グルコキナーゼは4週間で、酵母由来のヘキソキ
ナーゼは6週間で残存活性が0%になったが、本発明ヘ
キソキナーゼは6週間後でも80%以上の残存活性を示
した。
解析>実施例2により得られた精製ヘキソキナーゼのN
末端アミノ酸配列を、エドマン分解法により決定した。
決定されたN末端アミノ酸配列は、配列表の配列番号1
のアミノ酸配列の1から40で表される。
部分アミノ酸配列をコードするヘキソキナーゼ遺伝子の
塩基配列を予想した。この配列を基に設計されるオリゴ
ヌクレオチドプローブには無数の形状があるが、本発明
ではそのうち、配列表の配列番号2で表される塩基配列
を有するHK3と命名したオリゴヌクレオチドを使用し
た。
クス社)に合成依託して作成し、完成したオリゴヌクレ
オチド200ngをT4ポリヌクレオチドキナーゼバッ
ファー(50mMのトリス−塩酸緩衝液(pH8.
0)、10mMの塩化マグネシウム、10mMの2−メ
ルカプトエタノール)、及び740kBq(キロベクレ
ル)の[γ−32P]ATP(第一化学薬品社販売)存
在下、T4ポリヌクレオチドキナーゼ 8.5uで37
℃、30分間反応せしめ、ラジオアイソトープ32Pを
取り込ませ放射性オリゴヌクレオチドプローブとした。
Aの抽出>実施例1で培養したロドサーマス・オバメン
シス JCM9785株の菌体を50mMのトリス−塩
酸(pH8.0)、50mMのEDTA、15%シュー
クロースを含む1mg/mlリゾチーム溶液で37℃、
10分処理した後、SDSを最終濃度0.25%になる
よう添加して菌体を溶解した。さらに等量のフェノール
/クロロホルム=1:1混合液を加え、30分攪拌した
後、12,000rpmで15分遠心分離処理をして水
層を回収した。
ナトリウム(pH5.5)を混合後、2倍量のエタノー
ルを静かに重層し、ゲノムDNAをガラス棒に巻き付か
せて分離した。分離したゲノムDNAを、10mMトリ
ス−塩酸(pH8.0)、1mMのEDTA水溶液(T
Eバッファー)20mlに溶解し、20mg/mlのR
NaseAを200μl加え、37℃で1時間保温し、
混在しているRNAを分解した。次いで、等量のフェノ
ール/クロロホルム混合液を加え、前記と同様に処理し
て、水層を分取した。分取した水層に10分の1量の3
Mの酢酸ナトリウム(pH5.5)と2倍量のエタノー
ルを加えて前記の方法でもう一度ゲノムDNAを分離し
た。
トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)、1mMのEDTA
(pH8.0))に溶解し、TE飽和のフェノールとク
ロロホルムの1対1混和液20mlを加え、全体を懸濁
した後、同様の遠心分離を繰り返し、上層を再び別の容
器に移した。この分離した上層20mlに3Mの酢酸ナ
トリウム緩衝液(pH5.5)2mlとエタノール50
mlを加え、撹拌後−70℃で5分間冷却した後、遠心
分離(2,000G、4℃、15分)し、沈澱した染色
体を75% エタノールで洗い、減圧乾燥した。以上の
操作によりロドサーマス・オバメンシス JCM978
5株の染色体標品1mgを得た。
メントの検定>実施例6の操作で得られたロドサーマス
・オバメンシス JCM9785株の染色体DNAから
遺伝子ライブラリーを作成するため、本染色体を各種制
限酵素で切断し、目的遺伝子が含有されるDNAフラグ
メントの鎖長を検定する操作を行った。即ち、ロドサー
マス・オバメンシス JCM9785株の染色体DNA
(10μg)を各種制限酵素で切断し、1.5%アガロ
ースゲル(宝酒造社製H14、40mMのトリス−酢酸
緩衝液(pH7.4)、2mMのEDTA)で150
V、1.5時間電気泳動し、常法に従ってサザンブロッ
ティングを行い、アガロースゲルからナイロンメンブレ
ン(PALL社製:バイオダインA)にDNAを移行さ
せた。
レン添付のマニュアルに従ってプレハイブリダイゼーシ
ョンを行い、さらに実施例5で作成したHK3放射性プ
ローブを使用したハイブリダイゼーションを45℃で1
晩行った。ハイブリダイゼーション後、メンブレンを5
5℃の洗浄液(6×SSC、0.05%ピロリン酸ナト
リウム〔1×SSC:0.15Mの塩化ナトリウム,1
5mMのクエン酸ナトリウム〕:メンブレン100平方
cm当り約50ml)で10分洗った後、メンブレンを
自然乾燥した。この乾燥したメンブレンをX線フィルム
(富士写真フィルム社製 New RXO−H)に重
ね、遮光下、−70℃で24時間オートラジオグラフィ
ーを行った。
を現像し、各制限酵素による切断染色体が示すポジティ
ブバンドのサイズを観察した。その結果、EcoRI切
断により約4kb(キロベース:DNA鎖長の単位、
1,000塩基対)のDNAフラグメント上にヘキソキ
ナーゼ遺伝子が含有されることが明らかとなり、Eco
RIで切断した染色体DNAの4kbフラグメントから
遺伝子ライブラリーを作成することとした。
操作で得られたロドサーマス・オバメンシス JCM9
785株の染色体DNA10μgを制限酵素EcoRI
で切断し、常法に従い約4kbのDNAフラグメントを
分離した。このDNAフラグメントを、制限酵素Eco
RIで切断しアルカリフォスファターゼ(以下BAPと
略称)1uで切断末端を脱リン酸化したpUC119
1μgと、DNA Ligation Kit(宝酒造
社製)で連結させた。これを用いて、常法に従ってコン
ピテント細胞としたエシェリヒア・コリ JM109
(東洋紡績社製)(recA1,△(lac−proA
B),endA1,gyrA96,thi−1,hsd
R17,relA1,supE44,〔F’traD3
6,proAB,laclqZ△M15〕)をトランス
フォーメーションし、50μg/mlアンピシリン含有
LB(バクトトリプトン(DIFCO社製)10g/
l、酵母エキス(DIFCO社製)5g/l、NaCl
10g/l)1.5%寒天平板培地にて一夜培養し、
約2,600個のアンピシリン耐性コロニーを得、遺伝
子ライブラリーとした。
クリーニング>実施例8により得た遺伝子ライブラリー
を、ナイロンメンブレン(PALL社製:バイオダイン
A)にレプリカし、このフィルターに添付のマニュアル
に従って菌体のDNAを固定した。このフィルターを添
付のマニュアルに従ってプレハイブリダイゼーションお
よび、実施例5で調製したHK3プローブを使用したハ
イブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーショ
ン後、メンブレンを実施例7に示した55℃の洗浄液で
10分洗った後メンブレンを自然乾燥した。この乾燥メ
ンブレンをX線フィルムに重ね、遮光下、−70℃で2
4時間オートラジオグラフィーを行った。オートラジオ
グラフィー終了後、フィルムを現像し、ポジティブシグ
ナルをしめすコロニーを4個確認した。
で選ばれたポジティブシグナルを示すコロニーを50μ
g/mlのアンピシリン含有LB液体培地1.5mlに
植菌し37℃で16時間振盪培養した後、常法に従って
プラスミドを抽出した。その結果、4つのコロニーより
抽出されたプラスミドは同じ染色体DNA断片を含むも
のであり、このプラスミドのうちの1つをpcHKR1
と命名した。
>実施例10で得られたプラスミドpcHKR1より、
ヘキソキナーゼ構造遺伝子部分についてジデオキシ法に
より塩基配列を決定した。
>pcHKR1にゾラーらの部位特異的変異法により変
異を行い、ヘキソキナーゼ構造遺伝子上流に制限酵素X
baI認識部位とリボソーム結合部位を、下流部に制限
酵素SacI認識部位を作製した。ヘキソキナーゼの構
造遺伝子とその変異した上流と下流域の塩基配列、およ
びヘキソキナーゼ構造遺伝子がコードするアミノ酸配列
を配列表の配列番号1に示した。変異したpcHKR1
をXbaIとSacIで切断し、ヘキソキナーゼの構造
遺伝子を含む約1kbのDNA断片を分離した。これを
pUC119のXbaIとSacIの切断部位に挿入
し、pUC119のlacプロモーター下流にSD配列
とヘキソキナーゼ遺伝子が連結されたプラスミドを構築
し、本プラスミドをpcHKR2と命名した。プラスミ
ドpcHKR2の構造を図9に示す。なお、図中の「h
k」はヘキソキナーゼ構造遺伝子を、「ap」はアンピ
シリン耐性構造遺伝子を、「ori」は大腸菌プラスミ
ドの複製起点領域を、「lac」はβ−ガラクトシダー
ゼ遺伝子プロモーター領域をそれぞれ表す。このpcH
KR2をエシェリヒア・コリ JM109株に導入し
た。
細胞抽出液の調製>pcHKR2を導入したエシェリヒ
ア・コリ JM109株を50μg/mlのアンピシリ
ンとlacプロモーター誘導剤である1mMのIPTG
(和光純薬社製)を含有した3.7%BHI(DIFC
O社製)液体培地1.5mlで37℃、16時間培養
し、そのうち1mlを遠心分離(15,000G、1
分、4℃)により集菌し、200μlの10mMのトリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.0)を加え、超音波破砕機を
用いて菌体を破砕した後、遠心分離(14,000G、
5分、4℃)し、上清を取得して細胞抽出液とした。同
様に、ヘキソキナーゼ遺伝子を含まないクローニングベ
クターpUC119により形質転換されたエシェリヒア
・コリ JM109の抽出液も調製した。
性の確認>実施例13で調製したエシェリヒア・コリ
JM109・pcHKR2、およびエシェリヒア・コリ
JM109・pUC119の細胞抽出液中のヘキソキ
ナーゼ酵素活性を、参考例1の方法に従って測定した。
その結果、エシェリヒア・コリ JM109・pcHK
R2では、培養液1mlあたり0.1ユニットの活性が
検出され、pUC119を導入したエシェリヒア・コリ
JM109には活性は検出されなかった。これにより
pcHKR2を導入したエシェリヒア・コリJM109
でのヘキソキナーゼの活性発現が確認された。以上の方
法で作成した本発明組み換え体ヘキソキナーゼを実施例
2の方法で精製し諸性質を測定したところ、天然物ヘキ
ソキナーゼと同じ性質を有することが確認された。
スの定量> 測定試薬 50mM トリスー塩酸緩衝液(pH7.5) 4mM ATP 10U/ml G6PDH 1mM NADP 10mM MgCl2 10U/ml 本発明ヘキソキナーゼ
溶液に調整し、グルコースサンプルを作成した。測定試
薬1mlにグルコースサンプル0.05ml加え、37
℃、5分間加温後の340nmの吸光度を試薬ブランク
を対照に測定した。図7に示すようにグルコースが定量
的に測定できた。
ウムの定量> 測定試薬 50mM トリスー塩酸緩衝液(pH7.5) 4mM ATP 10U/ml G6PDH 1mM NADP 20mM グルコース 10U/ml 本発明ヘキソキナーゼ
mM、40mM、50mMの水溶液に調整し、塩化マグ
ネシウムサンプルを作成した。測定試薬1mlに塩化マ
グネシウムサンプル0.01ml加え、37℃、2分間
〜3分間後の340nmの吸光度差を試薬ブランクを対
照に測定した。図8に示すようにマグネシウムが定量的
に測定できた。
motoga・napolitana;DSM435
9)菌株由来HKの取得方法> 0.1% 酵母エキス 0.5% トリプトン 0.72% マルトース 2.39% NaCl 0.4% Na2 SO4 0.07% KCl 0.02% NaHCO3 0.01% KBr 0.03% H3 BO4 1.08% MgCl2 0.15% CaCl2 0.0025% SrCl2 0.025% NH4 Cl 0.014% K2 HPO4 0.1% CH3 COONa 0.0015% N(COOH)3 0.0005% MnSO4 0.0014% FeSO4 0.0002% NiCl2 0.0001% CoSO4 0.0001% ZnSO4 0.00001% CuSO4 0.000001% Na2 WO4 0.000001% Na2 MoO4 0.1% システイン塩酸塩
5)500mlを500ml容三角フラスコ2本に分注
し、120℃、20分間、加熱滅菌した後、これにサー
モトーガ・ネアポリタナ株の菌体懸濁液10mlを移植
し、攪拌させながら、95℃で20時間培養を行った。
得られた培養液を8,000rpm、30分間遠心分離
を行い、5gの湿潤菌体を得た。この菌体を10mlの
10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁
し、超音波破砕により、菌体破砕を行った。得られた菌
体破砕液を15,000rpm、30分間、遠心分離を
行った後、10Lの10mMのトリス−塩酸緩衝液(p
H7.5)に20時間透析し、粗酵素液とした(6.5
U、10ml)。
0)100mlを500ml容の坂口フラスコ20本に
分注し、120℃、20分間、加熱滅菌した後、これに
エアロパイラム・ペルニクス菌株を移植し、振盪させな
がら90℃で20時間培養を行った。得られた培養液を
8,000rpm、30分間遠心分離を行い、4.2g
の湿潤菌体を得た。この菌体を10mlの10mMのト
リス−塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁し、超音波破砕
により、菌体破砕を行った。得られた菌体破砕液を1
5,000rpm、30分間遠心分離を行った後、10
Lの10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に2
0時間透析し、粗酵素液を得た(4.5U、10m
l)。
よびロドサーマス属に属する微生物よるヘキソキナーゼ
の新規な製造法を提供できるものであり、本酵素を用い
るグルコースまたはCPKの測定用酵素をして提供でき
た。
ものである。
ものである。
ものである。
のである。
ーゼの4℃における保存安定曲線を示すものである。
ーゼの25℃における保存安定曲線を示すものである。
量曲線を示すものである。
定量曲線を示すものである。
プラスミドpcHKR2の制限酵素地図を示すものであ
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 25℃、6週間の50mMのイミダゾー
ル緩衝液(pH6.5)中保存において、少なくとも8
0%以上の残存活性を有し、かつ次の理化学的性質
(1)〜(3)を有するヘキソキナーゼ (1)作用 グルコースを基質として用いたときの反応式が下記の通
りである。 【化1】 (2)至適pH pH7.5〜8.5(トリス−塩酸緩衝液)のpH範囲
に至適pHを持つ。 (3)熱安定性 80℃、10分間の熱処理後の残存活性が少なくとも8
0%以上である。 - 【請求項2】 ヘキソキナーゼが配列表の配列番号1の
1から332のアミノ酸配列を有するヘキソキナーゼで
ある、請求項1に記載のヘキソキナーゼ。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載のヘキソキナー
ゼをコードするDNA。 - 【請求項4】 請求項1または2に記載の外来性のヘキ
ソキナーゼの生産能を有することを特徴とする実質的に
純粋な遺伝子組み換え微生物。 - 【請求項5】 ロドサーマス属に属する請求項1又は2
に記載のヘキソキナーゼ生産菌、または請求項1または
2に記載の外来性のヘキソキナーゼの生産能を有するこ
とを特徴とする実質的に純粋な遺伝子組み換え微生物を
培地に培養し、その培養物から当該ヘキソキナーゼを採
取することを特徴とする請求項1または2に記載のヘキ
ソキナーゼの製造法。 - 【請求項6】 ロドサーマス属に属するヘキソキナーゼ
生産菌が、ロドサーマス・オバメンシス(Rhodot
hermus obamensis) JCM9785
(FERM BP−6384)菌株である請求項5に記
載のヘキソキナーゼの製造法。
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CN113846072A (zh) * | 2021-11-09 | 2021-12-28 | 武汉瀚海新酶生物科技有限公司 | 一种己糖激酶的制备方法 |
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