JP2000074712A - 非満水電磁流量計 - Google Patents

非満水電磁流量計

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JP2000074712A JP10241249A JP24124998A JP2000074712A JP 2000074712 A JP2000074712 A JP 2000074712A JP 10241249 A JP10241249 A JP 10241249A JP 24124998 A JP24124998 A JP 24124998A JP 2000074712 A JP2000074712 A JP 2000074712A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小流量まで正しく計測する。小流量になる
と、OB /OA の曲線が二価関数になって正確な流量が
求められないのを解消する。 【解決手段】 上側励磁コイルCA を励磁したときの電
極22による流量信号出力OA と、下側励磁コイルCB
を励磁したときの流量信号出力OB の比をOB /OA
する。励磁コイルCA の幅WA に比較して励磁コイルC
B の幅WB が小さいため、低水位になるほど励磁コイル
A による磁束密度に対する励磁コイルC B による磁束
密度の比が大きくなる。従って、図(b)のように小流
量でもOB/OA が一価関数に保たれ、正確な流量が求
められる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非満水状態で流れる
流体の流量を計測する非満水電磁流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】出願人は、流路内を非満水状態で流れる
流体の流量を電磁流量計の原理に基いて計測する流量計
測方法と、その方法に使う流量検出器を特願平3−56
31号で提案した(以下これを第1の従来技術とい
う)。
【0003】この第1の従来技術を図3〜図11に基い
て説明する。図3と図4において、1は断面が円形の流
路、2,2は流路1の中心を通る垂直線に対し対称の位
置に設けた1対の電極、3Aと3Bは第1と第2の励磁
コイルで、それぞれ異なる磁束分布BAとBBを異なる
期間(時間)の間に発生する。符号4はこのような構造
の流量検出器を示す。
【0004】5は励磁回路で、タイミング回路6の信号
に応じて、第1と第2の励磁コイル3Aと3Bとを交互
に励磁する。7は電極2,2間に誘起した電圧を増幅し
て出力するプリアンプ、S1 は切り替えスイッチで、タ
イミング回路6の信号で切替作動し、前記2つの励磁コ
イル3Aと3Bの励磁時期の切替と同期して切替作動
し、第1の励磁コイル3Aが励磁されているときにa側
に、第2の励磁コイル3Bが励磁されているときにb側
に切り替えられる。
【0005】8Aと8Bは切替スイッチS1 のa接点と
b接点の信号を入力してオフセット補償、サンプル&ホ
ールドする増幅回路、9はCPU回路、10は増幅器8
A,8Bからのアナログ信号をデジタル信号に変換する
A/D変換回路、11は演算回路で、後述する演算を行
うプログラムを備えている。12は演算結果としての流
量信号を出力する出力端子である。
【0006】満水の管路を流れる流量を測定対象とする
一般の電磁流量計では、流量と信号との関係は正比例関
係となる。しかし、本発明が属する技術分野である非満
水状態で流れる流路の場合は、この関係は曲線関係とな
ってしまう。
【0007】ただ曲線関係になるだけであれば、これを
校正曲線として使用することで、信号から流量を知るこ
とができる。しかし、非満水流路の場合においては、特
に流路の勾配を変えることによって、流速分布や水位と
流量の関係など流れの状態が変化するため、この曲線が
変化してしまう。従って、この方法によって流量を知る
ことは不可能ではないが、取付現場ごとに流路の正確な
勾配を知ることは、困難で手間もかかるうえ、勾配以外
にも流路内面の粗さの程度など流れの条件に影響を与え
る条件は他にもあり、設置後も変化することがあるた
め、実用性に欠ける。
【0008】出願人が提案した第1の従来技術は、この
点に鑑みてなされたものであり、その発明の原理的側面
の要点は、非満水電磁流量計の感度は水位により一定で
あるということである。言い換えれば、前述のように
「流量と信号」の関係として流量計の特性を捉えると、
その関係は一定ではないが、「水位と流量計の感度」と
して捉えれば、その関係は流路の勾配などの条件によら
ず一定となるという点にある。
【0009】流路1に流れる非満水状態の流体の流量を
計測するには、次の手順による。 手順1.流量を計測すべき流路1と同じ断面形状の流路
を用い、この流路の勾配を一定にして水位hを変え、そ
の水位のときの流量Qに応じた出力OAとOBを予め計
測しておく。なお、出力OAとOBは電磁流量計の原理
による流量検出器4を用い、同じ流量Qを第1と第2の
励磁コイル3Aと3Bでそれぞれ計測したときの流量信
号である(図6(a))。同一条件の流路において、水
位と流量は1対1の関係にあるため、実務上便利な流量
Qに対して関係を示している。
【0010】手順2.被測定流体が流れている流路1の
未知の流量Q′を前記流量検出器4で計測し、出力O
A′とOB′を得る。 手順3.OB′とOA′の比OB′/OA′を求め、手
順1で求めたOBとOAとの比OB/OAがOB′/O
A′と同じ値になる流量Qαを手順1のデータから求め
(図6(b)(c))、この流量Qαのときの手順1の
出力OAαから、手順1における流量Qαの条件のとき
の感度OAα/Qαを算出する(図6(d))。
【0011】手順4. 手順2で計測した出力OA′
と、手順3で得た感度OAα/Qαとから、未知の流量
Q′を次の式で算出する。 Q′=OA′・Qα/OAα このようにして、未知の流量Q′を求める方法を提案し
た。
【0012】図7は、図3、図4の流量検出器4を口径
200mmの塩ビ管13に取り付けてこの計測方法の精
度を検証するために実験した装置の全体で、塩ビ管13
の長さは約8mで、この塩ビ管の管路勾配を先ず2/1
000に固定し、第1の励磁コイル3Aを使って測定し
た実流量Qと電磁流量計の出力OAとの関係を図8の曲
線OAに示す。又同一勾配で第2の励磁コイル3Bを使
って測定した結果を曲線OBに示す。
【0013】図8の両データOAとOBから、比OB/
OAを求めたのが図9である。図9で、流量Qがほぼ1
00〔m3 /h〕以上ではOB/OAが一定の最小値に
なっているが、この範囲はいわゆる満水状態である。図
8においても、この流量Qがほぼ100〔m3 /h〕以
上の範囲では曲線OAとOBが共に座標の原点を通る直
線の線分になっていることからも、いわゆる普通の満水
型電磁流量計として作動している範囲であることが理解
できる。
【0014】図10は図7の装置を使って、流路13の
管路勾配を6/1000に変えて測定した実流量Q′
〔m3 /h〕と、各励磁コイル3A,3Bでそれぞれ励
磁したときの出力OA′とOB′との関係である。この
実験では、図10で実流量が既知であるが、実流量Q′
〔m3 /h〕を未知と仮定してOB′/OA′=αを求
め、その値と、一致する図9のOB/OAの値の点の実
流量Qαを求め、その流量Qαにおける図8の曲線OA
からの感度OAα/Qαを算出すれば、前述の演算方法
により次の式で未知の流量Q′が求められる。
【0015】Q′=OA′・Qα/OAα この方法で、いくつかの流量Q′の点で、器差を求めた
ところ、図11のように、比較的小さな値となり、この
計測方法の実用性が確認できた。
【0016】上記流量計測方法では、用いる流量検出器
4が、非満水状態での水の満たされ方や電極形状と励磁
磁束密度分布の関係等、その上下対称性が低いので、導
電率の影響による計測誤差が生じるという欠点があっ
た。
【0017】そこで、出願人は、かかる欠点を解消でき
る非満水用電磁流量計を国際公開番号WO93−053
67で提案した(これを第2の従来技術という)。この
非満水用電磁流量計は、図12,図13に示すように、
個々に励磁できる上側励磁コイルCuと下側励磁コイル
Clと1対の対抗する電極22を有する本体部分24
と、次の(a)〜(g)の要件を有する変換器部分32
とを具備している。
【0018】図14は図12の電磁流量計タイミングチ
ャートで、上から順に、タイミング回路6の信号、第1
の励磁コイル3Aの励磁電流、第2の励磁コイル3Bの
励磁電流、切替スイッチS1 の動作、プリアンプ7の出
力、増幅回路8Aの入力、増幅回路8Bの入力をそれぞ
れ示す。
【0019】(a)励磁回路25へ励磁のタイミングを
知らせ、増幅回路AMPへタイミングを知らせる励磁タ
イミング回路26を設ける。 (b)短絡スイッチS2 の開閉を制御するタイミング信
号を発生し、同時に演算処理部31へこのタイミングを
知らせる導電率測定タイミング回路28を設ける。
【0020】(c)励磁タイミング回路26からの信号
を受け、二つの励磁コイルCu,Clを励磁する励磁回
路25を設ける。 (d)電極22からプリアンプ27へ至る導線をアース
へ短絡する短絡抵抗Rsと、導電率測定タイミング回路
28からの信号により、短絡抵抗Rsを接続したり、切
り離したりするスイッチS2 を設ける。
【0021】(e)電極22間の信号電圧を増幅するプ
リアンプ27を設ける。 (f)増幅回路AMPの出力をA/D変換するA/D変
換回路30と、このデータを処理して流量出力信号を出
力する演算処理回路31を設ける。
【0022】演算処理回路31が、A/D変換回路30
のデータを処理して導電率出力を出力するようにするこ
ともできる。図12〜図17に基いて作用を説明する。
【0023】図14に典型的な測定1サイクルのタイミ
ングチャートを示す。図の期間a〜fで測定の1サイク
ルである。まず各々の信号について簡単に説明する。 (i)上側励磁コイルCuは期間a,bと期間e,fに
励磁される。
【0024】(ii)下側励磁コイルC1は期間c,dに
励磁される。 (iii)導電率測定用短絡スイッチS2 は期間e,fの間
だけ閉となる。 (iv) プリアンプ27の出力には励磁の違い、短絡スイ
ッチS2 の位置に応じた出力が現れる。
【0025】(v)第1の増幅回路AMPuは上側励磁
コイルCuで励磁されている間のプリアン27の出力を
積分し積分が完了した時点でこれをホールドし出力す
る。従って期間a,bの積分値が時刻t2 に確定し、期
間e,fの積分値は時刻t6 に確定する。
【0026】次に得られた信号の処理手順について説明
する。 1.予め次の3種のデータを測定し演算処理部31に記
憶しておく。 上側励磁(下側でも可)の時の第1の増幅回路AMP
uの出力Euと、その時の実流量Qとの比g≡Q/Eu
(第1の従来技術における感度の在数)は第1の従来技
術においては、水位hにより決まっていたが、ここでは
更に水位hと導電率cを決めてやれば一定値となる。こ
のg(h,c)を測定しておく。
【0027】上側励磁の時の第1の増幅回路AMPu
の出力Euと、下側励磁の時の第2の増幅回路AMPl
の出力Elとの比p≡El/Euも水位hと導電率cを
決めれば一定値となる。このp(h,c)を測定してお
く。
【0028】上側励磁で短絡スイッチS2 開の時の出
力Euと、短絡スイッチS2 閉の出力Eu′との比s≡
Eu′/Euも水位hと導電率cにより決定される。こ
のs(h,c)を測定しておく。 2.実際の計測時に得られた信号Eu,Elにより、比
0 =El/Euを求める。p(h,c)=p0 とおけ
ばh−c平面上に一つの曲線が図15のように描ける。
勿も、この曲線はp=p0 平面上にあるが、これをh−
c平面へ正射影した曲線を使う。
【0029】第1の従来技術で説明した計測方法ではp
0 と水位hとが一対一の関係にあるとの前提に立ってい
た。即ち、p0 は、図15の点線に示すように、縦軸に
平行な直線で表されると考えていた。この発明は、p0
が図15の実線で示すように、水位hと一対一の関係に
なく、そこに導電率が関与しており、これが測定誤差の
原因となるという発明者らが新たにみつけた事柄を解決
するものである。
【0030】つまり、上側コイルと下側コイルの出力E
u及びElのみから正確に水位を求めることができな
い。 3.そこで、本発明者らは、上側コイル及び/又は下側
コイルの出力に何らかの処理を加え、得られた結果を図
15と同様にh−c平面上の曲線とするよう検討した。
そのような曲線が得られれば、それと図15の曲線との
交点を求めることにより、上下コイルの出力から水位h
及び導電率cを特定できることとなるからである。換言
すれば、2つの変数h及びcを持つ方程式を2つ得るこ
とにより、その解として水位hを求める。そのとき同時
に導電率cが求まる。
【0031】本発明者らは既述の比s≡Eu′/Euに
注目した。そして、s0 =Eu′/Euを求め、s
(h,c)=s0 とおくと、同じく一つの曲線が図16
のように得られた。h−c平面へ正射影することは同
じ。
【0032】なお、流管1内の水位hと被測定流体の導
電率cで決まる流量計本体部分24の出力インピーダン
スをRwとすると、流量計本体に発生する流量信号Eは
図18に示すように、出力インピーダンスRwとプリア
ンプ27の入力インピーダンスRiで分圧されてプリア
ンプ27へ入るが、通常Rw≪Riなので、Ei≒Eで
ある。
【0033】ここで短絡スイッチS2 を閉じてやると、
同じくRs≪Riとしておけば Ei≒Rs・E/(Rw+Rs) である。従って前記sの定義により s=Rs/(Rw+Rs) である。Rsは既知であり、Rw(h,c)だからs
(h,c)と書ける。
【0034】4.この図15と図16の二つの曲線の交
点が現在の水位h0 と導電率c0 を現している(図1
7)から、g=g0 (h0 ,c0 )によりg0 が求ま
る。gの定義により、現在の流量Q0 をQ0 =g0 Eu
として求める。
【0035】本手法は、gに影響を与えるパラメータh
とcと、 s(h,c)=s0 p(h,c)=p0 なる連立方程式を解いて求めようとするもので、導電率
Cを求めることで導電率の変化による誤差を補正するも
のである。
【0036】次に第2の従来技術の具体例を説明する。
図19に示すように、流路1の内径がφ200、短絡抵
抗Rsが100Ω、プリアンプ27の入力インピーダン
スが100MΩの場合、前記図15、図16に相当する
曲線を取ると図20,図21になる。
【0037】図21の水位hが1.0以上の部分は満管
のまま流体を圧送している状態で、便宜上プロットされ
ている。図23は導電率1300μS/cmの流体の流
量を本第2の従来技術に基づき測定したデータを横軸実
流量、縦軸器差(器差=(測定値−真値)/真値×10
0%)で表したものである。
【0038】図22に示したデータは、前記第1の従来
技術で説明した方法で同一の流体を測定したときの結果
である。この第2の従来技術は、導電率の変化が測定精
度に与える悪影響を補正して測定誤差を小さくする。
【0039】又、本体部分の対称性に留意する制約が小
さくなるので、電磁流量計本体部分の設計の自由度が増
す。更に又、導電率の情報を外部へ出力することで、導
電率計としての機能を果たすことができる。
【0040】次に、この第2の従来技術による測定方法
を図24のフローチャートに基いて説明する。なお、図
25は、比g≡Q/Euと水位h及び導電率cとの関係
を示すグラフである。この図25の関係、更には図20
及び21の関係は演算処理部31のメモリに予め格納さ
れている。
【0041】ステップ1では、短絡スイッチS2 が開の
ときの上側コイルの出力Eu、同スイッチS2 が閉のと
きの出力Eu′及び下側コイルの出力Elを検出して、
演算処理部31のレジスタへ保存しておく。
【0042】ステップ3では、演算処理部の演算回路が
レジスタからそこに保存されているEu、Elを読みだ
して、p0 =El/Euを計算し、結果を他のレジスタ
に保存する。
【0043】ステップ5では、同様にして、S0 =E
l′/Euを計算し、結果を他のレジスタへ保存してお
く。ステップ7では、ステップ3で得られたp0 の値を
メモリに格納されている図20のデータと比較して、図
20のデータから得られたp0 に最も近いデータを選択
する。一方、ステップ5で得られたS0 の値をメモリに
格納されている図21のデータと比較して、その中から
得られたS0 に最も近いデータを選択する。このように
して得られた2つのデータの交点から測定時の水位h0
及び導電率c 0 が得られる。
【0044】ステップ9では、メモリに格納されている
図25のデータを参照して、ステップ7で決定された水
位h0 及び導電率c0 からg0 を特定する。ステップ1
1では、上側コイルの出力Euをレジスタから読みだす
とともに、該Euとステップ9で得られた比g0 を乗算
し、実流量Q0 を計算する。
【0045】なお、具体例の管路の内径は240mmで
ある。電極22の寸法は、流れ方向に40mmの幅を持
ち、90°の開き角度及び2mmの厚さを持つ。
【0046】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の技術では、
図3、図4及び図18、図19に開示されているように
上側励磁コイルと下側励磁コイルとは同じ大きさのコイ
ルが使用されていた。
【0047】その理由としては次の点が挙げられる。 .最終的な流量算出に最も支配的であるがために、流
量に対する出力の直線性ができる限り望まれる曲線OA
の、その直線性を得るために、上側励磁コイルの形状は
鞍型が良いことがわかっていた(特願昭63−1242
85号)。
【0048】.電磁流量計としては上下同一寸法の励
磁コイルを使用するのが一般的であった。 .当時はさほどの小流量までの計測は要求されておら
ず、この励磁コイルで充分な特性が得られていた。
【0049】ところが、更に小流量域までの測定をしよ
うとしたとき、従来の励磁コイルでは、OB /OA の曲
線が図26に示すように低水位領域で二価関数になって
しまい、図6(c)で説明した手順でQαを正しく求め
ることができなくて、結果的に小流量(低水位)の計測
ができないという問題点があることに発明者は気づい
た。
【0050】従来の鞍型の下側励磁コイルでは、図27
に示すように、磁束密度の強い領域と弱い領域ができ、
一番低水位になる部分がちょうど鞍型の中央部分に当る
ため、下側励磁コイルによって発生される磁束密度BB
が相対的に弱くなってしまい、その結果、OB /OA
曲線が図26のように、小流量域で二価関数になってし
まうからである。
【0051】従来技術のOB /OA の曲線の具体的な数
値例を図28に示すが小流量域で二価関数になってい
る。そこで、本発明はかかる問題点を解消できる非満水
電磁流量計を提供することを目的とする。
【0052】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、計測流管の上部に上側励磁コイルを、下
部に下側励磁コイルを相対して配置し、これら両励磁コ
イルの磁路内で、かつ流管内面の両側に、流路の側面中
央部近くから下面側まで延長された一対の電極を備えた
非満水電磁流量計において、上側励磁コイルを励磁した
ときの信号OA と下側励磁コイルを励磁したときの信号
B の比OB /OA を低水位まで流量Qの一価関数とし
たことを特徴とする非満水電磁流量計である。
【0053】請求項2の発明は、請求項1の非満水電磁
流量計において、低水位部分になる程、上側励磁コイル
によって発生される磁束密度BA に対する下側励磁コイ
ルによって発生される磁束密度BB の比が大きくなるよ
うに定めたことを特徴とするものである。
【0054】そして、請求項3の発明は、請求項1の非
満水電磁流量計において、上側励磁コイルの流れに直角
な方向の幅に比較して、上側励磁コイルの流れに直角な
方向の幅を狭くしたことを特徴とするものである。
【0055】こうすることで、低い水位(小流量)領域
までOB /OA の曲線の一価性を保つことができるよう
になり、先に説明した図16(c)を用いての手順3に
おいてQαを正しく求めることが可能となる。つまり本
発明では後述する図1(b)を用いて正しいQαを求め
ることができ、結果的に低水位(小流量)領域までの流
量を正しく計測できる。
【0056】
【発明の実施の形態】次に本発明の好ましい実施の形態
を説明する。一例として、図1(a)に示すように、計
測流管20の上部に配置した上側励磁コイルCA の流れ
に直角な方向の幅WA に比較して、下部に配置した下側
励磁コイルCB の流れに直角な方向の幅WB を狭くし
た。22は流管20内面に流路21の側面中央部近くか
ら下面側まで延長された一対の電極である。
【0057】こうすることで、OB /OA 曲線を低水位
(小流量)まで一価関数にすることが出来る。OB /O
A の曲線を小流量(低水位)域まで一価関数に保ってお
くには、低水位部分になるほど、上側励磁コイルによっ
て発生される磁束密度BA に対する下側励磁コイルによ
って発生される磁束密度BB の比が大きくなるようにし
ておけばよい。
【0058】低水位部分では、上側励磁コイルからの距
離が離れているため、水位方向の位置によるBA の変化
率は小さい。従って、低水位になるほどBA に対するB
B の比を大きく保つには、大ざっぱに言ってBB の方が
常に低水位方向に強くなっていればよい。
【0059】本実施例によれば、最も低水位に相当する
部分でBB が弱くなってしまうことを避けることができ
るため、OB /OA の曲線を低水位まで一価関数に保っ
ておくことができる。
【0060】図1(b)は図1(a)の構成によるOB
/OA の曲線で、低水位(小流量)域まで一価関数を保
っている(図1(b))。従って、従来技術で説明した
手順3のときにQαを正しく求めることができ、正しい
流量計測ができる。
【0061】図2は、OB /OA 曲線の本発明における
具体的な数値例を示す。図28の従来例と比較して改善
されているのが明らかである。
【0062】
【発明の効果】本発明の非満水電磁流量計は上述のよう
に構成されているので、低水位(小流量)までの正確な
計測が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施例の励磁コイルの配置を
示す断面図、(b)は本発明のOB /OA 曲線である。
【図2】本発明のOB /OA 曲線の具体的な数値例であ
る。
【図3】第1の従来技術の電磁流量計のブロック図であ
る。
【図4】第1の従来技術の流量検出器で、(a)は正面
図、(b)は同図(a)のA−A断面図である。
【図5】図3の電磁流量計のタイミングチャートであ
る。
【図6】第1の従来技術による流量計測方法の手順を説
明する線図で、(a)は流量計出力線図、(b)は流量
計出力比を示す線図、(c)は未知の流量から得た出力
比から同一水位の流量Qαを求める手順を説明する図、
(d)は出力曲線OAから感度を求める手順を説明する
図である。
【図7】第1の従来技術の計測精度の検証に使用した実
験装置の略図である。
【図8】第1の従来技術での実流量Qと流量検出器の出
力OA,OBの関係の一例を示す線図である。
【図9】図8のデータから計算した比OB/OAと実流
量Qとの関係を示す線図である。
【図10】管路勾配を変えた状態での図18に相当する
出力線図である。
【図11】第1の従来技術の器差特性線図である。
【図12】第2の従来技術のブロック図である。
【図13】図12の一部の詳細を示す図である。
【図14】タイミングチャートである。
【図15】h−c平面上でのp曲線の図である。
【図16】h−c平面上でのs曲線の図である。
【図17】h−c平面上でのp曲線とs曲線の図であ
る。
【図18】第2の従来技術の電気回路の要部である。
【図19】第2の従来技術の具体例の要部の電気回路で
ある。
【図20】第2の従来技術の具体例によるh−c平面上
でのp曲線の図である。
【図21】第2の従来技術の具体例によるh−c平面上
でのs曲線の図である。
【図22】第1の従来技術の一例の器差曲線である。
【図23】第2の従来技術の一例の器差曲線である。
【図24】フローチャートである。
【図25】水位hと導電率cとの関係を示す線図であ
る。
【図26】従来技術のOB /OA 曲線の二価関数を示す
図である。
【図27】従来技術の下側励磁コイルの磁束密度を説明
する図である。
【図28】従来技術のOB /OA 曲線の数値例を示す線
図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 計測流管の上部に上側励磁コイルを、下
    部に下側励磁コイルを相対して配置し、これら両励磁コ
    イルの磁路内で、かつ流管内面の両側に流路の側面中央
    部近くから下面側まで延長された一対の電極を備えた非
    満水電磁流量計において、 上側励磁コイルを励磁したときの信号OA と下側励磁コ
    イルを励磁したときの信号OB の比OB /OA を低水位
    まで流量Qの一価関数としたことを特徴とする非満水電
    磁流量計。
  2. 【請求項2】 低水位部分になる程、上側励磁コイルに
    よって発生される磁束密度BA に対する下側励磁コイル
    によって発生される磁束密度BB の比が大きくなるよう
    に定めたことを特徴とする請求項1記載の非満水電磁流
    量計。
  3. 【請求項3】 上側励磁コイルの流れに直角な方向の幅
    に比較して、上側励磁コイルの流れに直角な方向の幅を
    狭くしたことを特徴とする請求項1記載の非満水電磁流
    量計。
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