JP2000072758A - 複素環含有ポリアミド化合物とその製法、エポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

複素環含有ポリアミド化合物とその製法、エポキシ樹脂用硬化剤、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物

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JP2000072758A
JP2000072758A JP10262369A JP26236998A JP2000072758A JP 2000072758 A JP2000072758 A JP 2000072758A JP 10262369 A JP10262369 A JP 10262369A JP 26236998 A JP26236998 A JP 26236998A JP 2000072758 A JP2000072758 A JP 2000072758A
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Chuichi Miyazaki
忠一 宮崎
Hideaki Saito
英朗 斎藤
Taki Adachi
滝 足立
Junko Okabe
純子 岡部
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Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存安定性に優れ、常温で迅速に硬化し、硬
化物の物性が良好である一液エポキシ樹脂組成物とその
硬化剤、製法を提供する。 【解決手段】 新規な複素環含有ポリアミド化合物は、
水分と反応して容易にヒドロキシアルキル基と結合した
二級アミンを生成するが、水分が遮断された状態では全
く不活性である。そのため、ポリエポキシ化合物と混合
することで、保存安定性に優れ、常温で迅速に硬化し、
硬化物の物性が良好である一液エポキシ樹脂組成物とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、常温で湿気硬化可
能であり、硬化速度が速くかつ保存安定性に優れる一液
エポキシ樹脂組成物の硬化剤成分として有用な、新規な
複素環含有ポリアミド化合物、その製法、エポキシ樹脂
用硬化剤、一液エポキシ樹脂組成物およびその硬化物に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エポキシ樹脂は、塗料、接着、土
木、建築等の分野で幅広く用いられているが、その殆ど
が2液型であるために、使用時において作業性に劣ると
いう欠点があった。エポキシ樹脂の一液化の方法として
は、硬化剤成分としてジシアンジアミドのような潜在性
硬化剤を用いたり、電磁波によりカチオンを生成させ、
エポキシ樹脂を硬化させる触媒を用いたり、或は酸無水
物等の硬化剤を用いたりする方法が知られている。しか
し、これらの一液化の方法では、加熱や、UV照射装置
等が必要であった。
【0003】上記の欠点を改善するための一液型のエポ
キシ樹脂組成物として、従来、硬化剤成分にケチミンを
用い、外部からの水分によってアミンを生成させ、エポ
キシ樹脂を硬化させる方法が知られている。しかし、ケ
チミンを用いた一液型のエポキシ樹脂組成物は、硬化速
度が遅く、貯蔵安定性が不十分であり、硬化物の硬さは
あっても、引張伸びや屈曲特性のよい塗膜、接着剤、シ
ーリング剤等とするには性能が不十分という問題があっ
た。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】このケチミンの問題点を改良するものとし
て、一液型のエポキシ樹脂組成物の硬化剤として複素環
含有化合物が知られている(例えば、特開平5−117
251号公報)が、この一液型のエポキシ樹脂組成物の
硬化物は、耐候性が悪いという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、一液型の
エポキシ樹脂組成物の硬化物として使用した場合、常温
で湿気硬化可能であり、硬化速度が速くかつ保存安定性
に優れるのはもちろん硬化物の耐候性を良好になしうる
複素環含有化合物について鋭意検討した結果、本発明を
完成するに至った。即ち本発明は、[1]複素環含有ポ
リアミド化合物、[2]その製法、[3]エポキシ樹脂
用硬化剤、[4]一液エポキシ樹脂組成物、[5]その
硬化物に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】[1]複素環含有ポリアミド化合
物 本発明の複素環含有ポリアミド化合物(A)は、下記一
般式(1)で示される。
【0007】
【化4】
【0008】式中、mは2〜10の整数である。R1
m価のポリアミン化合物(B)の残基であり、このポリ
アミン化合物(B)は、分子内にアミノ基またはイミノ
基を合計2〜10個有する化合物であれば特に限定され
ないが、分子内に芳香族化合物を有するほうが好まし
く、より好ましくは、アミノ基またはイミノ基が、芳香
環に直接結合したものよりも脂肪族炭素に結合したもの
が好ましい。分子内に芳香環を有する複素環含有ポリア
ミド化合物(A)は、通常主剤として用いられるビスフ
ェノール系およびノボラック系ポリエポキシ樹脂とよく
似た構造を有するため、相溶性が非常に高くなる。従っ
て、硬化反応が促進されて硬化物は高い架橋密度に達す
るので、高い物性を発現する。
【0009】ポリアミン化合物(B)を具体的に例示す
ると、以下の(B1)〜(B9)が挙げられる。 (B1)脂肪族ポリアミン類(炭素数2 〜18): 脂肪族ポリアミン{炭素数2〜6 アルキレンジアミ
ン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチ
レンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレ
ンジアミンなど)、ポリアルキレン(炭素数2〜6)ポ
リアミン〔ジエチレントリアミン、イミノビスプロピル
アミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチ
レンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエ
チレンヘキサミンなど〕}; これらのアルキル(炭素数1〜4)またはヒドロキシ
アルキル(炭素数2〜4)置換体〔ジアルキル(炭素数
1〜3)アミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチ
レンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5
−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチル
イミノビスプロピルアミンなど〕; 脂環または複素環含有脂肪族ポリアミン〔3,9−ビ
ス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラ
オキサスピロ[5,5]ウンデカンなど〕; 芳香環含有脂肪族アミン類(炭素数8〜15)(キシ
リレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミ
ンなど)
【0010】(B2)脂環式ポリアミン(炭素数4〜1
5):1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジ
アミン、メンセンジアミン、4,4´−メチレンジシク
ロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)など (B3)複素環式ポリアミン(炭素数4 〜15):ピ
ペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジア
ミノエチルピペラジン、1,4ビス(2−アミノ−2−
メチルプロピル)ピペラジンなど
【0011】(B4)芳香族ポリアミン類(炭素数6〜
20): 非置換芳香族ポリアミン〔1,2−、1,3−および
1,4−フェニレンジアミン、2,4´−および4,4
´−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメ
タンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミ
ン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオ
ジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホ
ン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルア
ミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミ
ン、ナフチレンジアミンなど; 核置換アルキル基〔メチル,エチル,n−およびi−
プロピル、ブチルなどの炭素数1〜4アルキル基)を有
する芳香族ポリアミン、たとえば2,4−および2,6
−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエ
チルトリレンジアミン、4,4´−ジアミノ−3,3´
−ジメチルジフェニルメタン、4,4´−ビス(o−ト
ルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホ
ン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、
1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3
−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエ
チル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロ
ピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−
2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレ
ン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼ
ン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノ
ベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジ
アミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,
6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジ
アミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミ
ノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジア
ミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノ
ナフタレン、3,3´,5,5´−テトラメチルベンジ
ジン、3,3´,5,5´−テトライソプロピルベンジ
ジン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−
ジアミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テト
ラエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,
3´,5,5´−テトライソプロピル−4,4´−ジア
ミノジフェニルメタン、3,3´,5,5´−テトラブ
チル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,5−
ジエチル−3´−メチル−2´,4−ジアミノジフェニ
ルメタン,3,5−ジイソプロピル−3´−メチル−2
´,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチ
ル−2,2´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−
ジアミノ−3,3´−ジメチルジフェニルメタン、3,
3´,5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノベ
ンゾフェノン、3,3´,5,5´−テトライソプロピ
ル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、3,3´,
5,5´−テトラエチル−4,4´−ジアミノジフェニ
ルエーテル、3,3´,5,5´−テトライソプロピル
−4,4´−ジアミノジフェニルスルホンなど〕、およ
びこれらの異性体の種々の割合の混合物;
【0012】核置換電子吸引基(Cl,Br,I,F
などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基などのア
ルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ポリアミン
〔メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o
−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレ
ンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブ
ロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル
−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−
フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニ
リン;4,4´−ジアミノ−3,3´−ジメチル−5,
5´−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3´−ジクロ
ロベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、ビス
(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス
(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス
(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス
(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス
(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノ
フェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレ
ニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジス
ルフイド、4,4´−メチレンビス(2−ヨードアニリ
ン)、4,4´−メチレンビス(2−ブロモアニリ
ン)、4,4´−メチレンビス(2−フルオロアニリ
ン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリンな
ど〕; 2級アミノ基を有する芳香族ポリアミン〔上記〜
の芳香族ポリアミンの−NH2 の一部または全部が−N
H−R´(R´はアルキル基たとえばメチル,エチルな
どの低級アルキル基)で置換されたもの〕〔4,4´−
ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2
−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど〕
【0013】(B5)ポリアミドポリアミン:ジカルボ
ン酸(ダイマー酸など)と過剰の(酸1モル当り2モル
以上の)ポリアミン類(上記アルキレンジアミン,ポリ
アルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低
分子量ポリアミドポリアミンなど (B6)ポリエーテルポリアミン:ポリエーテルポリオ
ール(ポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル
化物の水素化物など (B7)エポキシ付加ポリアミン:エポキシ化合物[後
述のポリエポキシ化合物(D)、並びに、エチレンオキ
サイド、プロピレンオキサイド、フェニルグリシジルエ
ーテル等のモノエポキシ化合物]とエポキシ基のモル数
に対して過剰の活性水素を有するポリアミン類(上記ア
ルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミンなど)と
の付加反応により得られるエポキシ付加ポリアミンなど (B8)シアノエチル化ポリアミン:アクリロニトリル
とポリアミン類(上記アルキレンジアミン、ポリアルキ
レンポリアミンなど)との付加反応により得られるシア
ノエチル化ポリアミン、(ビスシアノエチルジエチレン
トリアミンなど) (B9)その他のポリアミン化合物: ヒドラジン類(ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン
など); ジヒドラジッド類(コハク酸ジヒドラジッド,アジピ
ン酸ジヒドラジッド,イソフタル酸ジヒドラジッド,テ
レフタル酸ジヒドラジッドなど); グアニジン類(ブチルグアニジン,1−シアノグアニ
ジンなど); ジシアンジアミドなど;ならびにこれらの2種以上の
混合物である。
【0014】ポリアミン化合物(B)の分子量は通常、
50〜500、好ましくは80〜200である。分子内
のアミノ基、イミノ基の個数は通常、2〜10、好まし
くは2〜5である。
【0015】一般式(1)中、R2はアルカノールアミ
ンNH2−R2−OHに由来する基である。従って、R2
の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチ
レン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサ
メチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、1
−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基等が挙げら
れる。化合物(A)をエポキシ樹脂硬化剤に用いる場合
は、硬化速度の点からR2はエチレン基、プロピレン
基、テトラメチレン基及びペンタメチレン基が好まし
い。
【0016】R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、直鎖
もしくは分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2
〜6のアルケニル基または炭素数6〜8のアリール基で
あり、R3とR4が結合して炭素数C5〜7の炭素環を形
成していてもよい。R3、R4の各具体例としては、水素
原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、
ターシャリーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、
ネオペンチル基、ターシャリーペンチル基、ヘキシル
基、イソヘキシル基、ビニル基、アリル基、プロペニル
基、フェニル基およびベンジル基が挙げられる。また、
3とR4が結合して炭素数5〜7の炭素環(シクロペン
チル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシク
ロアルキル環等)を形成していてもよい。R5は水素原
子またはメチル基である。
【0017】本発明の複素環含有ポリアミド化合物
(A)は、数平均分子量は通常400〜20000であ
り、600〜2000であるのが好ましい。粘度(25
℃)は通常200〜20万cpであり、400〜5万c
pであるのが好ましい。該複素環基1個あたりの分子量
は、通常150〜2000であり、200〜500であ
るのが好ましい。
【0018】[2]複素環含有ポリアミド化合物(A)
の製法 本発明の複素環含有ポリアミド化合物(A)の製法を例
示すると、m価のポリアミン化合物(B)と下記一般式
(2)で示される複素環含有エステル化合物(C)のア
ミド化によって得られる。 式中、R6はC1〜10のアルキル基であり、例えばメ
チル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチ
ル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャ
リーブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペン
チル基、ターシャリーペンチル基、ヘキシル基、イソヘ
キシル基であり、好ましくはメチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基である。アミド化反
応において、原料のモル比は、通常(C):(B)=
0.5:1〜3:1、好ましくは(C):(B)=1:
1〜2:1である。(C)が少なすぎると、官能基数が
少なくなってエポキシ樹脂組成物を硬化物とした際に、
強度が低くなり、多すぎると回収に余分なエネルギーを
必要とする。
【0019】反応温度は、通常50〜150℃、好まし
くは70〜120℃である。低すぎると反応が進行せ
ず、高すぎると複素環の分解等の副反応が多くなる。こ
の反応は、アルコールの生成を伴うため、反応温度は生
成するアルコールの沸点以上が好ましく、必要に応じて
減圧下で行ってもよい。溶媒は、必要に応じて使用可能
であり、反応を阻害せず、原料および生成物を溶解する
ものなら特に制限はなく、アルキルベンゼン類、ケトン
類、アミド類、エーテル類等が使用可能である。また溶
剤の沸点は、生成するアルコールの沸点よりも高い方が
好ましい。必要に応じて触媒共存下で反応してもよく、
通常、アルカリ触媒が使用可能である。例えば、ナトリ
ウムメチラート、カリウムt−ブトキサイド等が挙げら
れる。
【0020】複素環含有エステル化合物(C)の製法を
例示すると、(メタ)アクリル酸エステル(a)に炭素
数2〜10のアルカノールアミン(b)をマイケル付加
させた化合物(ab)に対して、カルボニル化合物
(c)との縮合環化反応する方法;2,2−ジアルコ
キシプロパン(d)を使って環化反応する方法の2種が
ある。
【0021】(メタ)アクリル酸エステル(a)を例示
すると、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アク
リル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸アミルなどであり、好ましくは、(メ
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルであ
る。アルカノールアミン(b)を例示すると、エタノー
ルアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペ
ンタノールアミン、ヘキサノールアミンなどであり、好
ましくはエタノールアミンである。
【0022】カルボニル化合物(c)を例示すると、炭
素数1〜8のアルデヒド類(c1)もしくは炭素数3〜
8のケトン類(c2)である。アルデヒド類(c1)の
具体例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イ
ソブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アクロレイ
ン、グリオキサール等が挙げられる。これらうち好まし
いものは、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド及
びべンズアルデヒドである。
【0023】ケトン類(c2)の具体例としては、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3,3−ジメチル−
2ーブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、
アセトフェノン、ベンゾフェノン等が挙げられる。これ
らうち好ましいものは、アセトン、メチルエチルケトン
及びメチルイソブチルケトンである。2,2−ジアルコ
キシプロパンを例示すると、2,2−ジメトキシプロパ
ン、2,2−ジエトキシプロパン、2,2−ジプロポキ
シプロパン、2,2−ジブトキシプロパン等があり、好
ましくは2,2−ジメトキシプロパンである。
【0024】このマイケル付加する反応において、原料
(a)、(b)のモル比は、通常1.0〜5:1、好ま
しくは1.5〜3:1である。(a)がこの範囲より少
ないとアミド化反応等の副反応が起こり易くなり、多い
と回収に余分なエネルギーが必要となる。反応温度は、
通常0〜120℃、好ましくは10〜80℃である。低
すぎると反応が進まず、高すぎると3級化やアミド化反
応等の副反応が起こり易くなる。必要に応じて触媒を添
加することも可能であり、通常、アルカリ触媒が使用さ
れ、前述と同じものが挙げられる。溶媒は、反応を阻害
せず、原料および生成物を溶解するものなら特に制限は
なく、アルキルベンゼン類、ケトン類、アミド類、エー
テル類等が使用可能である。また(メタ)アクリル酸エ
ステル(a)の重合を防止するために、禁止剤を共存さ
せてもよい。禁止剤としては通常、キノン、アントラキ
ノン等のキノン類;ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメ
チルエーテル等のヒドロキノン類;酸素;フェノチアジ
ン等のアミン類などが使用可能である。
【0025】カルボニル化合物(c)と縮合環化する方
法において、原料のモル比は、マイケル付加化合物
(ab):アルデヒド類(c1)もしくはケトン類(c
2)が通常1:1〜10、好ましくは1:1〜5であ
る。本環化反応は、脱水反応のため、非水溶性溶媒を
使用して還流条件下ピット中で水を分離するか、系内に
脱水剤を共存させて反応させることができる。還流脱水
の場合は、反応温度は80〜150℃、好ましくは10
0〜130℃である。低すぎると反応が進行せず、高す
ぎると重合等の副反応が起こりやすくなる。必要に応じ
て、減圧で反応を行ってもよい。
【0026】非水溶性溶媒としては、通常、アルキルベ
ンゼン、脂肪族炭化水素等である。使用できる脱水剤と
しては、通常中性またはアルカリ性の脱水剤が使用可能
であり、具体的には合成ゼオライト、塩化カルシウム、
硫酸ナトリウム、炭酸カリウム、金属ナトリウム、酸化
カルシウム、酸化バリウム、水酸化カリウム等であり、
より好ましくは、合成ゼオライト、炭酸カリウムであ
る。またこれらの2種以上を併用してもさしつかえな
い。
【0027】脱水剤を使用する反応の温度は、脱水剤の
特性に依存するため厳密には決められないが、通常25
〜100℃、好ましくは40〜80℃である。低すぎる
と反応が進まず、高すぎると脱水剤に吸収された水が再
放出される可能性がある。脱水剤の使用量は、通常脱水
剤の吸水能力に基づき、理論生成水量の1倍量〜5倍量
を使用し、好ましくは1.5倍量〜3倍量である。
【0028】2,2−ジアルコキシプロパン(d)を使
って環化縮合する反応では、通常、溶媒および触媒
(e)を使用する。溶媒は、反応を阻害せず、原料およ
び生成物を溶解するものなら特に制限はなく、アルキル
ベンゼン類、ケトン類、アミド類、エーテル類等が使用
可能であり、好ましくはケトン類であり、特に好ましく
は、アセトンである。触媒(e)としては、通常、酸が
使用可能であり、例えば、パラトルエンスルフォン酸、
硫酸、BF3ジエチルエーテル錯体等であり、好ましく
は、BF3ジエチルエーテル錯体である。
【0029】環化反応において、原料のモル比は、マ
イケル付加化合物(ab):(d):溶媒:(e)=通
常1:1〜100:1〜100:1〜0.2、好ましく
は1:1〜10:1〜10:0.01〜0.1である。
反応温度は、通常、0〜50℃、好ましくは15〜35
℃である。
【0030】[3]エポキシ樹脂用硬化剤 本発明の製法で得られる複素環含有ポリアミド化合物
(A)は、水分と反応して容易にヒドロキシアルキル基
と結合した二級アミンと該当するケトンまたはアルデヒ
ドを生成する。このヒドロキシアルキル基と結合した二
級アミンは、エポキシ基と容易に反応するため、複素環
含有ポリアミド化合物(A)は、本発明のエポキシ樹脂
硬化剤[3]の成分として有用である。
【0031】[4]一液エポキシ樹脂組成物 複素環含有ポリアミド化合物(A)は外部からの水の混
入がなければエポキシ樹脂と混合させた系でも安定であ
るため、本発明のエポキシ樹脂硬化剤[3]は、一液型
のエポキシ樹脂組成物用の硬化剤成分として非常に有用
なものである。
【0032】本発明の一液エポキシ樹脂組成物[4]に
用いるポリエポキシ化合物(D)としては、下記1)〜
5)などが挙げられる。 1)グリシジルエーテル型 例えば、多価フェノール類[ビスフェノールA、ハロゲ
ン化ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノ
ールS、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、レゾ
ルシノール、ハイドロキノン、ピロカテコール、4,
4’−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ヒドロキシナ
フタリン等]に、エピクロルヒドリンを付加させて得ら
れるポリグリシジルエーテルやこれらの水素添加物が挙
げられる。また、多価脂肪族アルコールのポリグリシジ
ルエーテル体としては、エチレングリコールジグリシジ
ルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピ
レングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチ
レングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグ
リコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパ
ンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジ
ルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエー
テル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、およびポ
リグリセロールンポリグリシジルエーテル、ポリオキシ
エチレンやポリオキシプロピレンのグリシジルエーテル
等、またジグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)ア
クリレートの(共)重合体も含む。 2)グリシジルエステル型 例えば、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダ
イマー酸グルシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエ
ステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタ
ル酸ジグリシジルエステル、多価脂肪酸のポリグリシジ
ルエステル体としては、ジグリシジルオキサレート、ジ
グリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグ
リシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグ
リシジルピメレート等が挙げられる。
【0033】3)グリシジルアミン型 例えば、トリグリヂジルイソシアヌレート、テトラグリ
シジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−
m−キシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ
グリシジルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。 4)鎖状脂肪族エポキサイド 例えば、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油
等が挙げられる。 5)脂環式エポキサイド 例えば、3,4エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメ
チルカルボキシレート、3,4エポキシシクロヘキシル
メチルカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキ
シド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオ
キシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エー
テル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチ
ルエール、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシ
ルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロ
ヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−
6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、および
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメ
チル)ブチルアミン、ダイマー酸ジグリシジルエステル
等が挙げられる。 1)〜5)以外のものでも、活性水素と反応可能なグリ
シジル基をもつエポキシ樹脂であれば使用できる。又、
これらのポリエポキシ化合物は、二種以上併用できる。
ポリエポキシ化合物(D)は、分子中に2個以上のエポ
キシ基を有していれば、特に限定されず、用途、目的に
応じて適宜選択することができる。ポリエポキシ化合物
(D)として、好ましいのは、分子中にエポキシ基を2
〜6個有するものである。ポリエポキシ化合物(D)の
エポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、通
常65〜1000であり、好ましいのは90〜500で
ある。エポキシ当量が1000を超えると、架橋構造が
ルーズになり硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等
の物性が悪くなり、一方、エポキシ当量が65未満のも
のを合成するのは困難である。
【0034】本発明の一液エポキシ樹脂組成物[4]に
は、さらに、脱水剤、充填剤、可塑剤、着色防止剤、レ
ベリング剤、酸化防止剤、顔料、分散剤、反応性希釈
剤、触媒、溶剤等を配合してもよい。これらの添加剤は
添加前に十分脱水しておく必要がある。脱水剤は、本発
明の一液エポキシ樹脂組成物[4]中になんらかの原因
で混入した水分が複素環と反応するのを防止するもので
あり、一液エポキシ樹脂組成物[4]の保存安定性をよ
くするためのものである。脱水剤としては、シランカッ
プリング剤、オルト蟻酸メチル、モノイソシアネート化
合物、カルボジイミド化合物等が挙げられる。
【0035】充填剤は、通常微粉砕の固体であり、その
配合の主な目的は、強度、弾性率等の性能、耐候性等の
耐久性、導伝性、熱伝導性等の機能に代表される物性の
改良、流動性、収縮性等の成形加工性の向上、あるい
は、増量、省資源といった経済面の改善である。充填剤
としては、炭酸カルシウム、カーボンブラック、クレ
ー、タルク、酸化チタン、生石灰、カオリン、ゼオライ
ト、ケイソウ土、塩化ビニルペーストレジン、塩化ビニ
リデン樹脂バルーン等が挙げられ、単独で、または混合
して使用することができる。反応性希釈剤としては、通
常の低分子エポキシ化合物の他に、多官能アクリレート
等も使用可能である。
【0036】硬化速度を速めるために、必要に応じて触
媒を添加しても良い。複素環の加水分解反応の触媒とし
ては、通常、酸が使用可能であり、例えば、蟻酸、酢
酸、プロピオン酸及びジブチルチンジラウレート等が挙
げられる。触媒量は、通常、複素環1モルに対して0〜
10%、好ましくは、0〜5%である。複素環の加水分
解で生じた2級アミンとエポキシ基の反応の触媒として
は3級アミン類、フェノール類及びトリフェニルホスフ
ィン等が挙げられる。これらのうち、3級アミン類、フ
ェノール類が好ましく、N,N−ジメチルプロピルアミ
ン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレン
ジアミン等の脂肪族3級アミン類;N−メチルピロリジ
ン,N,N’−ジメチルピペラジン等の脂環属3級アミ
ン類;ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチル
フェノール等の芳香族3級アミン類等が特に好ましい。
触媒量は、通常、複素環1モルに対して0〜10重量
%、好ましくは、0〜5重量%である。
【0037】本発明の一液エポキシ樹脂組成物[4]の
実際の硬化反応は、空気中の水分と該複素環含有ポリア
ミド化合物(A)との反応が引き金となって始まる。即
ち、硬化反応は空気と接触している表面からしか進行し
ないため、一液エポキシ樹脂組成物[4]が容器内にあ
る場合等、体積に対して空気との接触面積の割合が小さ
い場合は、硬化速度は著しく遅くなる。逆に、薄く塗布
して体積に対する表面積の割合を大きくすると硬化速度
は大幅に大きくなり実用的なレベルとなる。従って、組
成物が容器内にある場合は、可使時間は、従来の2液タ
イプの数十分に比べて数十倍の長さになり、施工時の時
間的・量的な制約が大幅に軽減される。
【0038】本発明の一液エポキシ樹脂組成物[4]は
エポキシ樹脂用硬化剤[3]とポリエポキシ化合物
(D)からなり、エポキシ樹脂硬化剤[3]のポリエポ
キシ化合物(D)に対する配合量は、ポリエポキシ化合
物(D)のエポキシ基1個に対し、複素環含有ポリアミ
ド化合物(A)中の複素環基の加水分解によって生成す
る二級アミン中の活性水素の数が通常0.7〜1.3
個、好ましくは0.9〜1.1個になるように配合すれ
ばよい。この比率が0.7未満、あるいは1.3個を越
えると、硬化性の低下や硬化物の耐水性、機械的強度の
低下を招く。
【0039】本発明の一液エポキシ樹脂組成物[4]の
用途は何ら限定されるものではないが、例えば、重防食
塗料、自動車用電着塗料、粉体塗料などの塗料;塗り床
剤、防食コ−ティング剤、防水コーティング剤等のコー
ティング剤;家庭用接着剤、構造用接着剤、土木・建築
用接着剤、ホットメルト接着剤等の接着剤;シーリング
剤;低圧樹脂注入工法用樹脂、舗装材用樹脂、耐震補強
用樹脂などの土木用樹脂バインダー;プリント基板用積
層板、半導体用封止剤、絶縁材などの電子材料用樹脂等
の用途が例示される。
【0040】
【実施例】以下実施例により本発明を更に説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下に
おいて部は質量部を示す。 合成例1 攪拌装置、加熱装置、冷却管を備えた反応容器に、モノ
エタノールアミン304.6部、メタクリル酸メチル1
000部、ハイドロキノン1.0部を仕込み40℃で1
0時間反応させてガスクロマトグラフィー(GC)を測
定したところ、マイケル付加物M−1が約90%生成し
ていることを確認した。同様の反応容器にM−1を10
00部、2,2−ジメトキシプロパン3170部、アセ
トン1800部、BF3ジエチルエーテル錯体44.0
部を仕込み25℃で5時間反応させてGCを測定したと
ころ、複素環含有エステル化合物OXZ−1が、約95
%の収率で生成していることを確認した。ここへ酸化カ
ルシウム34.8部を仕込んで25℃で1時間撹拌した
のち、けい藻土(昭和化学工業(株)製;セライト#6
00)100部を濾過助剤として濾過し、中間体のOX
Z−1を減圧蒸留して得た。OXZ−1の構造は1H−
NMRで確認した。
【0041】攪拌装置、加熱装置、冷却管および分水器
付還流管を備えた反応容器に、先に得られたOXZ−1
を1000部、m−キシリレンジアミン225.4部を
仕込み、メタノールを留出させながら80℃で5時間反
応させてGCを測定したところ、両原料とも理論量に対
して、ほぼ100%消費されていることを確認した。こ
こから過剰の原料を減圧下で留去して、本発明の複素環
含有ポリアミド化合物HC−1を得た。HC−1は、数
平均分子量484、複素環基1個当たりの分子量24
1、粘度(25℃;B型粘度計)1250の黄褐色液体
であった。HC−1の1H−NMRによる分析及び1H−
NMRの分析データに基づく構造解析をした結果は次の
とおりである。1 H−NMRによる分析結果:1.24ppm(d、6
H)、1.30ppm(s、12H)、2.53ppm
(t、4H)、2.60ppm(d、4H)、2.84
ppm(m、2H)、3.47ppm(t、4H)、
4.46ppm(s、4H)、6.86ppm(d、3
H)、7.02ppm(t、1H) HC−1の1HNMRの分析データに基づく構造解析の
結果:下記の化学構造式(4)は、HC−1の1H−N
MRの分析データに基づく。
【0042】
【化5】
【0043】合成例2 攪拌装置、加熱装置、冷却管および分水器付還流管を備
えた反応容器に、合成例1で中間体として得られたOX
Z−1を1000部、イソホロンジアミン271.8部
を仕込み、メタノールを留出させながら80℃で5時間
反応させてGCを測定したところ、両原料とも理論量に
対して、ほぼ100%消費されていることを確認した。
ここから過剰の原料を減圧下で留去して、本発明の複素
環含有ポリアミド化合物HC−2を得た。HC−2は、
数平均分子量507、複素環基1個当たりの分子量25
4、粘度(25℃;B型粘度計)2740の黄褐色液体
であった。
【0044】合成例3 攪拌装置、加熱装置、冷却管および分水器付還流管を備
えた反応容器に、合成例1で中間体として得られたOX
Z−1を1000部、ジエチレントリアミン114.4
部を仕込み、メタノールを留出させながら90℃で6時
間反応させてGCを測定したところ、両原料とも理論量
に対して、ほぼ100%消費されていることを確認し
た。ここから過剰の原料を減圧下で留去して複素環含有
ポリアミド化合物HC−3を得た。HC−3は、数平均
分子量615、複素環基1個当たりの分子量205、粘
度(25℃;B型粘度計)4410の黄褐色液体であっ
た。
【0045】比較合成例1 攪拌装置、加熱装置、冷却管および分水器付還流管を備
えた反応容器にエチレンジアミン1000部、メチルエ
チルケトン2000部、トルエン2000部を仕込み、
容器内を窒素置換した後120〜130℃で12時間還
流脱水反応させた。反応の進行とともに生成する水は逐
次取り除いて、反応の進行をスム−ズにした。反応終了
後、過剰のメチルエチルケトンを減圧下で留去し、比較
のためのケチミン化合物CP−1を得た。ケチミンCP
−1は、ケチミン基1個当たりの分子量84の黄褐色液
体であった。
【0046】比較合成例2 攪拌装置、加熱装置、冷却管および分水器付還流管を備
えた反応容器に、4,4−メチレンビス(N−フェニル
−O−メチルカーバメート)285部(0.9モル)、
N−ヒドロキシエチル(2−イソプロピル)1,3オキ
サゾリジン540.8部(3.4モル)、ナトリウムメ
チラートのメタノール溶液3部(ナトリウムメチラート
=0.0167モル)を仕込み、窒素雰囲気下加熱して
110℃にする。その後6時間かけて常圧から1mmH
gまで減圧してメタノールをできるだけ留去した。次に
液温度を120℃に昇温し、過剰のN−ヒドロキシエチ
ル(2−イソプロピル)1,3オキサゾリジンを留去し
たのち室温まで冷却し、メチルエチルケトン10部に溶
解したp−トルエンスルフォン酸3.5部(0.017
7モル)を添加して30分撹拌する。次いで10部の酸
化カルシウムを添加して1時間撹拌したのちけい藻土を
濾過助剤として濾過して、比較のための複素環含有化合
物CP−2を得た。複素環含有化合物CP−2は、数平
均分子量490、複素環基1個当たりの分子量245、
粘度(25℃;B型粘度計)2600の黄褐色液体であ
った。
【0047】実施例1〜3、比較例1、2 複素環含有化合物HC−1、HC−2、HC−3、ケチ
ミン化合物CP−1、複素環含有化合物CP−2につ
き、保存安定性および物性を比較するために、表1のよ
うな配合にて下記項目について評価した結果を表1に示
す。 保存安定性(外観):表1に示す配合の組成物を窒素
置換した密閉容器中にいれ、50℃の雰囲気下に3か月
静置したときの組成物の状態を目視観察した。流動性を
保持しているものは○、ゲル化したものは×とした。 機械的物性:表1に示す配合の組成物を25℃、65
%で2週間養生させ、硬化させたときの引張強度および
伸びを測定した。
【0048】接着性:表1に示す配合の組成物をコン
クリート板と建験式接着力試験器用の鋼鉄製アッタチメ
ントの間に塗布し、25℃、65%で2週間養生させ、
硬化させた後、接着強度を単軸式の建研式接着力試験器
にて測定し、その際の接着面層の状態を観察した。ここ
でコンクリート材破したものを○、界面破壊または凝集
破壊したものを×とした。 塗膜強度:表1に示す配合の組成物を鋼鉄製の板に5
0μの厚さに塗布し、25℃、65%で2週間養生さ
せ、硬化させた後、JIS A 5400に規定された
方法に則って、耐屈曲性試験、鉛筆硬度試験を行った。
屈曲試験において折り曲げに耐えたものは○、割れや剥
がれの発生したものは×とした。
【0049】硬化速度:表1に示す配合の組成物を鋼
鉄製の板に50μの厚さに塗布し、25℃、65%に保
ち、1日後、2日後、3日後、7日後の鉛筆硬度(JI
S A 5400に規定)を測定した。 耐薬品性及び耐水性:表1に示す配合物を半径12m
m、厚み0.5mmの円盤状に注型して室温で7日間硬
化させて得られる硬化物を、表1記載の各試験液、水に
各々室温で7日間浸漬し、その質量変化を測定した。質
量変化は、特に示さない限り質量増を表す。 耐候性 表1に示す配合の組成物を鋼鉄製の板に50μの厚さに
塗布し、サンシャインウェザーメーターにて促進試験を
行った。 条件:カーボンアーク連続照射、ブラックパネル温度6
3±3℃、湿度50%RH、降雨条件60分中12分運
転(先降り運転)、運転時間200時間 評価方法:色差計にて△YIを測定した。
【0050】
【表1】
【0051】表1のとおり、実施例1〜3の本発明の一
液エポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化剤は、比
較のためのケチミン化合物CP−1および複素環含有化
合物CP−2を硬化剤として用いた一液エポキシ樹脂組
成物に比べて、いずれも良好な保存安定性と同等以上の
硬化特性および硬化物物性を示した。
【発明の効果】1)本発明の製法により得られる複素環
基含有ポリアミド化合物は、エポキシ化合物と一液化で
きる。又、この化合物は水分、湿分の存在下でエポキシ
化合物との急速な反応性を有する化合物である。 2)この化合物は、エポキシ化合物と一液化すると、水
分、湿分に接触しない限り、極めて保存安定性の良い一
液化エポキシ樹脂組成物が得られる。 3)この硬化剤を用いた本発明の一液エポキシ樹脂組成
物は、常温で湿気硬化可能であり、保存安定性、速硬化
性が優れ、作業性に優れた組成物である。 4)本発明は、このような組成物用の硬化剤成分等とし
て有用な複素環基含有化合物を新規に提供するものでも
ある。 5)本発明の製法、硬化剤、新規化合物及び組成物は上
記のような効果を奏するため、例えば、コンクリート、
木材、金属、ガラス等の基材に対する一液系の塗料、コ
−ティング剤、接着剤およびシ−リング剤として有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09K 3/10 C09K 3/10 L (72)発明者 岡部 純子 京都市東山区一橋野本町11番地の1 三洋 化成工業株式会社内 Fターム(参考) 4C056 AA01 AB01 AC02 AD01 AE01 AF01 BA03 BC08 4H017 AA04 AA31 AB08 AB09 AB17 AC16 AD06 AE03 4J036 AB01 AB17 AD08 AD09 AD21 AF15 AG04 AG06 AG07 AH07 AJ01 AJ02 AJ03 AJ05 AJ08 AJ09 AK03 AK11 DA10 DC38 JA01 JA06 JA07 JA08 4J038 DB001 GA09 JB37 KA03 4J040 EC001 EC021 EC091 EC121 EC261 EG022 HC01 HC10 HC12 JA12 JB04 KA16 LA05 LA07 NA12

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示される複素環含有
    ポリアミド化合物(A)。 【化1】 [式中、mは2〜10の整数;R1はm価のポリアミン
    化合物(B)の残基;R2は炭素数2〜10のアルキレ
    ン基;R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、直鎖もしく
    は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6の
    アルケニル基または炭素数6〜8のアリール基である
    か、R3とR4が結合して炭素数5〜7の炭素環を形成し
    ていてもよい;R5は水素原子またはメチル基であ
    る。]。
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、mが2である請
    求項1記載の複素環含有ポリアミド化合物。
  3. 【請求項3】 m価のポリアミン化合物(B)と下記一
    般式(2)で示される複素環含有エステル化合物(C)
    を反応させて、下記一般式(1)で示される複素環含有
    ポリアミド化合物(A)を得ることを特徴とする複素環
    含有ポリアミド化合物(A)の製法。 【化2】 [式中、mは2〜10の整数;R1はm価のポリアミン
    化合物(B)の残基;R3、R4はそれぞれ独立に水素原
    子、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、
    炭素数2〜6のアルケニル基または炭素数6〜8のアリ
    ール基であるか、R3とR4が結合して炭素数5〜7の炭
    素環を形成していてもよい;R5は水素原子またはメチ
    ル基;R6は炭素数1〜10のアルキル基である。]
  4. 【請求項4】 複素環含有エステル化合物(C)が、
    (メタ)アクリル酸エステル(a)に炭素数2〜10の
    アルカノールアミン(b)をマイケル付加させた下記一
    般式(3)で示される化合物(ab)とカルボニル化合
    物(c)との縮合物である請求項3記載の製法。 [式中、R2は炭素数2〜10のアルキレン基;R5は水
    素原子またはメチル基;R6は炭素数1〜10のアルキ
    ル基である。]
  5. 【請求項5】 複素環含有エステル化合物(C)が、
    (メタ)アクリル酸エステル(a)に炭素数2〜10の
    アルカノールアミン(b)をマイケル付加させた下記一
    般式(3)で示される化合物(ab)と2,2−ジアル
    コキシプロパン(d)との酸触媒(e)の共存下での環
    化縮合物である請求項3記載の製法。 [式中、R2は炭素数2〜10のアルキレン基;R5は水
    素原子またはメチル基;R6は炭素数1〜10のアルキ
    ル基である。]
  6. 【請求項6】 該酸触媒(e)がBF3ジエチルエーテ
    ル錯体である請求項5記載の製法。
  7. 【請求項7】 環化縮合反応の溶媒としてアセトン中で
    行う請求項5または6記載の製法。
  8. 【請求項8】 アルカノールアミン(b)が2−アミノ
    エタノールである請求項4〜7いずれか記載の製法。
  9. 【請求項9】 下記一般式(1)で示される複素環含有
    ポリアミド化合物(A)からなることを特徴とするエポ
    キシ樹脂用硬化剤。 【化3】 [式中、mは2〜10の整数;R1はm価のポリアミン
    化合物(B)の残基;R2は炭素数2〜10のアルキレ
    ン基;R3、R4はそれぞれ独立に水素原子、直鎖もしく
    は分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6の
    アルケニル基または炭素数6〜8のアリール基であり、
    3とR4が結合して炭素数5〜7の炭素環を形成してい
    てもよい;R5は水素原子またはメチル基である。]。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のエポキシ樹脂用硬化剤
    とポリエポキシ化合物(D)からなることを特徴とする
    一液エポキシ樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の一液エポキシ樹脂組
    成物を水分と反応させて硬化させてなるエポキシ樹脂硬
    化物。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の一液エポキシ樹脂組
    成物を主成分とすることを特徴とする塗料、コーティン
    グ剤、接着剤、シーリング剤、土木用樹脂バインダーま
    たは電子材料用樹脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003020449A (ja) * 2001-07-11 2003-01-24 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 導電性塗料及びそれを用いた導電性塗膜の形成方法
JP2012001723A (ja) * 2011-07-26 2012-01-05 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 導電性塗料の製造方法及び該導電性塗料を用いた導電性塗膜の形成方法

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JP2003020449A (ja) * 2001-07-11 2003-01-24 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 導電性塗料及びそれを用いた導電性塗膜の形成方法
JP2012001723A (ja) * 2011-07-26 2012-01-05 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 導電性塗料の製造方法及び該導電性塗料を用いた導電性塗膜の形成方法

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