JP2000071328A - 熱可塑性樹脂シートの延伸方法及び熱可塑性樹脂シートの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂シートの延伸方法及び熱可塑性樹脂シートの製造方法

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JP2000071328A
JP2000071328A JP10244961A JP24496198A JP2000071328A JP 2000071328 A JP2000071328 A JP 2000071328A JP 10244961 A JP10244961 A JP 10244961A JP 24496198 A JP24496198 A JP 24496198A JP 2000071328 A JP2000071328 A JP 2000071328A
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thermoplastic resin
stretching
resin sheet
sheet
cooling medium
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JP10244961A
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English (en)
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Kenji Tsunashima
研二 綱島
Jun Sakamoto
純 坂本
Tetsuya Machida
哲也 町田
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】製品収率の低下を招くという問題、さらに、製
品特性に関し製品シート幅方向の均質性の低下を招くと
いう問題を解決することのできる熱可塑性樹脂シートの
延伸方法を提供すること、また、そのような延伸方法を
用いた熱可塑性樹脂シートの製造方法を提供すること。 【解決手段】溶融した熱可塑性樹脂シートを移動冷却媒
体に接触させ、さらに、熱可塑性樹脂シートを輻射熱に
より加熱して延伸する方法において、該輻射熱を与えら
れる熱可塑性樹脂シート面が、該熱可塑性樹脂のガラス
転移温度Tg以上に保たれた前記移動冷却媒体に接した
面となるように構成したことを特徴とする熱可塑性樹脂
シートの延伸方法と該延伸方法を用いた熱可塑性樹脂シ
ートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂シー
トの延伸方法に関する。
【0002】更に詳しくは、幅収縮の小さい延伸方法に
関するものであり、特に、延伸区間に輻射熱を局部的に
与えて、延伸区間が短くても安定した延伸を実現する延
伸方法に関するものであり、さらにはシート端部の厚み
の薄いシートの延伸を行う場合でも、幅収縮の小さい延
伸を安定に行わうことを可能にする新規な熱可塑性樹脂
シートの延伸方法に関するものである。
【0003】また、該延伸方法を用いた熱可塑性樹脂シ
ートの製造方法に関する。
【0004】
【従来の技術】熱可塑性樹脂シートを長手方向に延伸す
る方法としては、通常、ロールなどにより加熱されたシ
ートを、2対のニップロール間に挟み込み、補助的に赤
外線などの輻射熱を与えて、該ニップロール間の周速度
差により延伸を行う方法が行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の延伸方法では、特に熱可塑性樹脂シートの幅が広く
なるにつれてロール径が大きくなるために延伸点間の距
離が長くなり、その結果、延伸で幅収縮が大きくなり、
製品収率が悪くなるという問題があった。このために、
シート端部の厚みを厚くして幅収縮を抑えようとするこ
とを行うと、多少の幅収縮は抑えられても、厚い端部を
捨てなくてはならないために、結局は、最終製品の収率
は悪くなるばかりか、さらに幅方向の品質特性の均質性
が劣るという新たな不都合点も招くものであった。
【0006】本発明は、製品収率の低下を招くという問
題、さらに、製品特性に関し製品シート幅方向の均質性
の低下を招くという問題を解決することのできる熱可塑
性樹脂シートの延伸方法を提供することを目的とするも
のである。
【0007】また、そのような延伸方法を用いた熱可塑
性樹脂シートの製造方法を提供することを目的とするも
のである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
本発明の熱可塑性樹脂シートの延伸方法は、熱可塑性樹
脂シートを輻射熱により加熱して延伸する方法におい
て、該輻射熱を与えられる熱可塑性樹脂シート面が、該
熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上に保たれた移動
冷却媒体に接しする面となるように構成したことを特徴
とするものである。
【0009】すなわち、本発明の技術は、熱可塑性樹脂
シートを輻射熱により局所的に加熱して延伸する方法に
おいて、該輻射熱を与えられる熱可塑性樹脂シート面
が、該樹脂のガラス転移温度Tg以上に保たれた移動冷
却媒体に接する面になるように構成することにより、幅
収縮の小さい延伸を可能となさしめるものである。
【0010】また、本発明の熱可塑性樹脂シートの製造
方法は、上述した本発明の熱可塑性樹脂シートの延伸方
法を用いて、未延伸の熱可塑性樹脂シートを長手方向に
延伸することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施の形
態を説明する。本発明において、熱可塑性樹脂とは、加
熱によって流動性を示す樹脂であり、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリオレフィ
ン、ビニルポリマー、およびそれらの混合体・変性体か
ら選ばれた樹脂などが代表的なものである。
【0012】ポリエステルとは、分子主鎖中にエステル
結合を有する高分子化合物であり、通常ジオールとジカ
ルボン酸とからの重縮合反応により合成されることが多
いが、ヒドロキシ安息香酸で代表されるようなヒドロキ
シカルボン酸のように自己縮合するような化合物を利用
してもよい。ジオール化合物の代表的なものとしては、
HO(CH2 n OHで表されるエチレングリコール、
プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキセン
グリコール、さらにジエチレンギリコール、ポリエチレ
ングリコール、エチレンオキサイド付加物、プロピレン
オキサイド付加物等で代表されるエーテル含有ジオール
などであり、それらの単独または混合体などである。ジ
カルボン酸化合物の代表的なものとしては、フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、
アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、マレイン酸、
フマル酸、及びそれらの混合体などである。本発明の場
合、特にポリエチレンテレフタレートPETおよびその
共重合体、ポリブチレンナフタレートPBNおよびその
共重合体、ポリブチレンテレフタレートPBTおよびそ
の共重合体、ポリエチレンナフタレートPENおよびそ
の共重合体などが好ましい。これらの高分子化合物の繰
替えし単位は、好ましくは100以上、より好ましくは
150以上あるのがよい。固有粘度としては、オルトク
ロルフェノール(OCP)中での測定値として0.5
(dl/g)以上、好ましくは0.6(dl/g)以上
であるのがよい。もちろん、これらの高分子化合物に各
種の添加剤、例えばすべり材、安定剤、酸化防止剤、粘
度調整剤、帯電防止剤、着色剤、顔料などを適宜に併用
することもできる。
【0013】また、ポリアミド樹脂とは、主鎖中にアミ
ド結合を有する高分子化合物であり、代表的なものとし
ては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナ
イロン12、ナイロン11、ナイロン7、ポリメタ/パ
ラキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタ
ラミド/イソフタラミド、およびそれらの共重合体、混
合体などから選ばれたポリアミド化合物である。もちろ
ん、これらにポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリ
エーテル化合物を共重合したポリアミドエーテルや、ポ
リエステルと共重合したポリエステルアミド化合物でも
よく、さらに本発明の場合、特に結晶化しにくい多元共
重合体や、側鎖に多くのまたは大きな置換基を有する非
晶ポリアミド樹脂などに特に優れた効果を示す。
【0014】ポリフェニレンスルフィド(PPS)は、
架橋構造を実質的に有さない直鎖状のものが好ましい。
【0015】ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、メチルペンテンポリマー、エチレンビニルア
ルコール、酢酸ビニルポリマー、およびそれらの共重合
体などである。これらの高分子化合物に、各種の添加
剤、例えばすべり材、安定剤、酸化防止剤、粘度調整
剤、帯電防止剤、着色剤、顔料などを併用することがで
きる。
【0016】本発明は、熱可塑性樹脂シートに輻射熱に
より局所的に、すなわち、加熱幅としては、例えば30
mm程度以下の限られた部分に加熱して延伸する方法に
おいて、該輻射熱を与える熱可塑性樹脂シート面を、該
樹脂のガラス転移温度Tg以上に保たれた移動冷却媒体
に接した面とすることにより、長手方向延伸で幅収縮の
小さな延伸が可能になるのである。さらに詳しくは、溶
融した熱可塑性樹脂シートが移動冷却媒体に接する直前
位置の移動冷却媒体の表面温度が、該熱可塑性樹脂のガ
ラス転移温度Tg以上であり、かつ該樹脂の結晶化温度
Tcc以下の温度に保たれ冷却媒体上に密着させた後、該
シートを剥離する直前位置の、移動冷却体表面温度を該
樹脂のガラス転移温度Tg未満になるようにしてから剥
離して得られた熱可塑性樹脂シートの、該冷却媒体に接
した表面に輻射熱、特に局部的に輻射熱を与えながら延
伸する方法である。もちろん、通常の溶融樹脂シートの
冷却方法は、該溶融樹脂のガラス転移温度Tg未満に保
たれた冷却媒体に密着後剥離して樹脂シートを得るので
あるが、このようにして得られたシートに、赤外線など
の輻射熱を延伸区間に局所的・集中的に与えながら延伸
すると、延伸前に該シートに皺が発生し、均一な延伸が
不可能になるばかりか、端部の厚みが厚いときには均一
に延伸できなかったり、さらに薄膜シートの場合とか、
局所延伸をするために強い輻射熱を照射することでシー
トが溶断・破断することが多く、安定した延伸が得られ
ないのである。そこで、この局所的に強い輻射熱を与え
ても、シートが破断することなく、また、皺が入ること
なく均一に延伸するにために、本発明者は鋭意検討した
結果、本発明に達したのであり、すなわち、溶融体から
固化たシートを得るキャスト工程で特別な条件で製膜し
たものでなくてはならないのである。すなわち、溶融体
が冷却媒体に初めて接する冷却媒体の表面温度は、該樹
脂のTg以上、Tcc以下でなくてはならないのである。
このときの温度が、Tg未満であると、樹脂シートの冷
却媒体への密着性が劣り、得られたシートの厚みむらが
大きくなるばかりか、該シート表面の結晶化が進行せ
ず、腰のない、表面の柔らかいシートにしかならないた
めに、この表面に局所的な輻射熱を当てると上記のよう
な延伸欠点が生じるのである。また、このときの温度が
Tccを越えると、溶融シートと冷却媒体の密着力が急激
に弱くなり、得られたシートの厚みむら・平面性が悪く
なるばかりか、結晶性が高くなり、このため局所的な輻
射熱によっても均一に延伸できなくなるのである。
【0017】もちろん、移動冷却体に接した熱可塑性樹
脂シートが該移動冷却体から剥離する直前位置の移動冷
却体表面温度としては、該樹脂のガラス転移温度Tg未
満であることが必要である。これはTg以上では熱可塑
性樹脂シートが冷却媒体から剥離できないためである。
【0018】このような溶融体が設置するところの冷却
媒体の表面温度をTg以上にし、剥離直前の冷却媒体の
表面温度をTg未満にするには、固化したシートが冷却
媒体から剥離してから次の溶融体が接するまでの時間帯
に、外部から強力な近赤外、赤外、遠赤外などの輻射熱
源にて冷却媒体表面を加熱し、しかも冷却媒体内部には
該樹脂のTg未満の冷却媒体、例えば水を循環させてお
くことにより達成できる。
【0019】このときに溶融体に静電荷を印加させて冷
却媒体への密着力を高めておくこともさらに有効であ
る。静電印加法とは、特公昭37−6142号公報など
で代表される溶融シートに対する冷却媒体への密着力向
上手段であり、溶融シートに静電印加する電圧は、6〜
35KV程度であり、溶融シートまでの最短距離は3〜
50mm程度であり、電極形状は、ワイヤ電極、ブレー
ド電極、箔状電極、円弧状電極、針状電極、テープ電極
など適宜のものを利用することができ、電極形状も任意
の複数の電極を選択できる。電極の太さや厚みは適宜に
設定できるが、できるだけ細く、薄い方が電荷を集中さ
せやすいて好ましい。また、溶融体に静電荷を付与する
電極を、移動冷却媒体で行う方法もあり、この場合の電
極は一つでよく、また比較的装置が簡便で、しかも操作
性に優れているため、全幅以上の幅にわたって静電荷を
印加できることができ、幅方向におけるシート端部およ
び中央部ともに密着力を向上させることができ、より好
ましい方法である。
【0020】なお、移動冷却媒体としては、通常はドラ
ムを用いることが多いが、ベルトなどの他の形態でもよ
く、また該冷却媒体の表面粗さは0.6μm以下、好ま
しくは0.2μm以下と超平滑であることが密着性向上
やシートの平滑性等には肝要である。
【0021】また、移動冷却媒体内を通水する熱媒温度
は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgより少し低温で
はあるが、従来一般に使用されてきた温度よりも少し高
温にしておくことにより溶融シートが接するときの表面
温度がTg以上に設定できるので好ましい。もちろん、
シート端部はシート中央部に比較してシート厚みが厚い
が、本発明の方法のように密着力が強くなるキャスト方
法ではシート端部が冷却不足で結晶化するようなことは
ないのである。特に、結晶化速度の遅いPETやPEN
の様な樹脂では、該樹脂溶融体の接地直前位置の媒体の
表面温度が熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上にす
るととともに、かつ剥離直前位置の媒体の表面温度を熱
可塑性樹脂のガラス転移温度Tg未満にすることによ
り、幅方向全面に均一なキャストが可能になる。
【0022】また、熱可塑性樹脂シートの厚さ形状は、
該シートの中央部厚さdcに対して、シート端部の厚さ
deの比率R(de/dc)は好ましくは1〜6、より好ま
しくは1〜4と端部の厚みは薄い方が本発明の効果をよ
り高く発揮させ得ること好ましいものである。従来、長
手方向に延伸すると、幅方向に幅収縮(ネックダウン)
が生じるために、これを避けるにはシート端部の厚みを
厚くして、特に薄めのものの延伸には、比率Rとしては
6を越える7〜10という高い値に設定して幅収縮を防
止していたのであるが、このように端部厚みを厚くする
と幅収縮は多少減少しても、端部は切り捨てて製品にな
らないために全シートに対する製品の収率が小さくな
り、効率的な延伸方法ではない。かといって端部厚みを
薄くすると延伸での幅収縮が大きくなるのみならず、収
縮により幅方向の特性が大きくバラツくようになり製品
として使用できなくなる。
【0023】そこで、本発明のような特殊なキャスト方
法と長手方向の延伸方法を用いることにより、たとえ端
部の厚みが薄く、比率Rが1〜4、好ましくは1〜2と
小さくても均一に長手方向の延伸が可能になるのであ
る。もちろん、長手方向延伸後に幅方向延伸をしない場
合等、場合によっては、該比率Rは1未満の0.8程度
であってもよい。
【0024】かくして得られた長手方向延伸シートの中
で、特に50μm程度以上の厚いシートでも通常は表裏
で光沢度、反射率、表面粗さ、滑り等の表面特性には差
はないことが多いが、本発明の条件によっては輻射熱を
与えた面を粗面化したり、艶消しにしたりすることがで
きる。
【0025】次に、本発明における熱可塑性樹脂シート
の製法について述べる。
【0026】溶融押出に使用する熱可塑性樹脂として
は、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンスルフ
ィドなどの原料と、必要に応じて、他の化合物の添加ブ
レンドした原料、例えば、液晶ポリマーや他のポリエス
テル樹脂、さらに酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カ
ルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエ
ステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルク、カオリン
などの無機化合物、エチレンビスステアリルアミド、イ
オン性高分子化合物アイオノマー等の有機化合物等を添
加した原料、いったん溶融させた原料、さらには本発明
のフィルムの回収原料などを混合した原料などを準備
し、これを乾燥・脱水した後、一軸押出機、二軸押出
機、ベント押出機、タンデム押出機などの溶融押出機に
供給し、分子量、例えば固有粘度[η]を極力低下させ
ないように窒素気流下、あるいは真空下で溶融押出す
る。もちろん、溶融温度は、該熱可塑性樹脂の融点Tm
以上であるのが普通であるが、いったん、該樹脂の融点
Tm以上に溶融させた後に該融点Tm以下、該溶融結晶
化温度Tmc以上に冷却する、いわゆる過冷却状態で押
出を行った方が本発明の効果が出やすく好ましい。
【0027】さらに、このように過冷却押出することに
より、該樹脂の熱分解・ゲル化を減少させる効果がある
ばかりか、低分子量オリゴマーの生成も少なくなるため
に、ドラム汚れも少なくなりキャストしやすくなるとい
う効果もある。なお、異物を除去するために、適宜のフ
ィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サン
ド、金網等を用いることが好ましい。
【0028】口金とキャストドラムの位置関係は、特に
限定はされないが、口金先端のリップから、溶融樹脂シ
ートの移動方向にある移動冷却媒体上に引いた接線と、
該口金リップから地面に垂直に下ろした垂直線とのなす
狭角θが、75度以下、好ましくは該狭角θが0〜50
度、さらに好ましくは0〜30度になるように口金リッ
プ先端と移動冷却媒体との位置関係を設定することによ
り、安定なキャストが可能になることが多い。該口金か
ら溶融シートを押出すときのドラフト比(=口金リップ
間隔/押出されたフィルム厚み)は、好ましくは3以
上、より好ましくは7〜20範囲とすることにより、厚
みむらの小さい、平面性の良いフィルムが得られやす
い。
【0029】かくして溶融された熱可塑性樹脂シートに
静電荷を印加させて、冷却媒体のドラムに密着させて急
冷してキャストする。このとき、該溶融体の接地直前の
媒体の表面温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg
以上、結晶化温度融点Tcc以下にするととともに、剥離
直前の媒体の表面温度を熱可塑性樹脂のガラス転移温度
Tg未満にすることにより、安定した、強力な密着力を
有したキャストが可能になるばかりか、次の長手方向延
伸で安定した局所延伸が可能になるのである。
【0030】得られるシート断面形状は、通常の場合は
端部の厚みがかなり厚いものであるが、本発明の場合、
該シートの中央部厚さdcに対して、シート端部の厚さ
deの比率R(de/dc)は1〜6、好ましくは1〜4
と端部の厚みは薄い方が延伸性向上や、収率向上の点で
好ましい。
【0031】かくして得られたキャストフィルムを、長
手方向に延伸するが、このとき、なるべく延伸区間を短
くするために、局所的な輻射熱を、Tg以上の表面温度
を有した冷却媒体に接したシート面に与えて長手方向に
延伸するのである。このようにすることにより延伸区間
が短くなり、幅収縮の小さな延伸が可能になるのであ
る。
【0032】すなわち、赤外線などの輻射熱を延伸区間
に局所的・集中的に与えながら延伸すると、通常は延伸
前に該シートに皺が発生し、均一な延伸が不可能になる
ばかりか、端部の厚みが厚いときには均一に延伸できな
かったり、さらに薄膜シートの場合とか、局所延伸をす
るために強い輻射熱を照射することでシートが溶断・破
断する事が多く、安定した延伸が得られないのである。
そこで、この局所的に強い輻射熱を与えても、シートが
破断することなく、また皺が入ることなく均一に延伸で
きるために、Tg以上の表面温度を有した冷却媒体に接
したシート面に近赤外のような輻射熱を与えて長手方向
に延伸すればよいのである。長手方向一軸延伸後に、幅
方向に延伸する逐次二軸延伸や、同時二軸延伸などの延
伸方法をさらに追加してもよい。延伸温度は、特に限定
されないが、該樹脂のガラス転移温度Tg以上であれば
よく、必要に応じて任意の温度を選択することができ
る。一方向の延伸倍率は、2〜8倍、好ましくは3〜6
倍程度がよい。延伸後、必要に応じて熱固定をしてもよ
い。
【0033】かくして得られた本発明にかかる熱可塑性
樹脂シートは、幅方向の厚みや品質の均質性に優れてい
るために、従来からフィルム用途として利用されている
包装用途、磁気記録用途、コンデンサー・電気絶縁など
の電気用途、グラフィック用途、受容紙用途等はもちろ
んのこと、熱寸法安定性、成形性、形状安定性、強靭性
に優れた新規なフィルム用途にも有効なものである。
【0034】
【物性の測定法】本発明で使用した測定法について以下
に述べる。
【0035】1.ポリエステルの固有粘度[η]:25
゜Cで、o−クロルフェノールを溶媒として次式より求
めた。
【0036】[η]= lm[ηsp/c] 比粘度ηspは、相対粘度ηr から1を引いたものであ
る。cは濃度である。単位はdl/gで表わす。
【0037】2.フィルムの厚みむら:アンリツ株式会
社製フィルムシックネステスタ「KG601A」および
電子マイクロメータ「K306C」を用い、フィルムの
縦方向に30mm幅、10m長にサンプリングしたフィ
ルムを連続的に厚みを測定する。フィルムの搬送速度は
3m/分とした。10m長での厚み最大値Tmax(μ
m)、最小値Tmin(μm)から、 R=Tmax −Tmin を求め、Rと10m長の平均厚みTave(μm)から 厚みむら(%)=R/Tave×100 として求めた。
【0038】3.熱的特性(Tm、Tg、Tmc) パーキンエルマー社製DSC−II型測定装置を用い、サ
ンプル重量10mg、窒素気流下で、昇温速度20℃/
分で昇温してゆき、ベースラインの偏起の開始する温度
をTg、さらに昇温したところの発熱ピークをTccと
し、結晶融解に伴う吸熱ピーク温度を融点Tmとした。
Tm+20℃で1分間保持した後、冷却速度20℃/分
で溶融体を冷却し、結晶化に基づく発熱ピーク温度をT
mcとした。
【0039】
【実施例】以下に、本発明をより理解しやすくするため
に実施例、比較例を示す。
【0040】実施例1 熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)(固有粘度[η]=0.65、ガラス転移温度70
℃、添加剤として平均粒径0.2μmの球形シリカを
0.1wt含有)を用い、常法に従い、原料を乾燥後2
50mmのタンデム型溶融押出機に供給して溶融(溶融
粘度は150Pa・s)後、5μm以上の異物を除去す
るフィルターを通過させた後、2200mm幅の烏口タ
イプのTダイ口金からLD間として8mm下にあるキャ
ストドラム上にシート状に静電荷を印加させながら成形
した。なお、冷却ドラム内部には65℃に保たれた温水
がドラム周面に均一に循環されているが、シートが接し
ていないドラム面、すなわち、剥離してから次の溶融樹
脂シートが着地するまでの部分に、60KWの強力な近
赤外ヒーターを接近して配置し、冷却媒体表面を加熱し
て該PET樹脂のTg以上である90℃に加熱した。な
お、ドラムは1800mm直径のステンレス製のドラム
で、ドラム表面は最大粗さRy=0.1μmに鏡面化さ
れたクロムメッキである。該冷却媒体上に130m/分
の速度で溶融PETシートを密着後、Tg以下に冷却し
た。このときに使用した口金リップから、シートの進行
方向にあるキャストドラム上に引いた接線と、地面への
垂直線とのなす狭角として、30度になるような位置
(リップ〜ドラム間LD間距離8mm)に口金をキャス
トドラムに対して配置した。なお、このときに使用した
印加電極は、0.1mm厚さ、幅25mmのテープ状ス
テンレス電極を用い、印加電圧は20kvであった。
【0041】かくして得られたキャストシートの中央部
厚みは120μmであり、端部のシート厚みは240μ
mと比率Rとして2になるように成形した。該シートの
厚みむらとしては長手方向、幅方向とも2%以下と小さ
いものであり、厚み均質性に優れており、さらに平面性
にも優れた、クレーターなどの表面欠点のない、非晶性
のシートであり、また端部も幅変動もなく、透明で完全
な非晶質のものであり、キャスト性に優れたものであっ
た。
【0042】続いて、該キャストシートをロール式長手
方向延伸機で55℃に予熱した後、15KWの近赤外線
を該キャストシートのドラム面に長手方向の照射幅とし
て10mmと限定して幅方向に均一に局部に照射して長
手方向に4.5倍急速延伸した。延伸状態は良好であ
り、皺の発生はなく、また端部厚みが薄いにもかかわら
ず、幅収縮は3%と非常に小さく幅方向にも均一な延伸
であった。
【0043】長手方向に延伸後、いったんTg以下に冷
却し、続いて該長手方向延伸シートの両端をクリップで
把持しながら幅方向延伸機であるテンタに導き、延伸温
度100℃に加熱された熱風雰囲気中で幅方向に4.1
倍延伸後、220℃で定長熱固定、および150℃で幅
方向に3%のリラックス熱固定し、エッジ端部をカット
して、厚さ6μmの二軸配向ポリエステルシートを、破
れることなく安定な状態で約550m/分という高速で
巻取り、およびエッジ処理して製膜することができた。
【0044】かくして得られたシートの厚みむらは、長
手方向で2%、幅方向で3%という厚み均質性に優れた
シートであり、しかも表面欠点がない平面性の優れたシ
ートであった。
【0045】実施例2 実施例1の長手方向延伸前のPETシートの厚さ断面形
状を比率R2から通常の8に変更する以外は実施例1と
全く同様にして厚さ6μmの二軸延伸シートを得た。
【0046】このときの長手方向延伸時の幅収縮は8%
と少し大きかったが、皺や破れなどの発生はなく良好な
延伸であった。
【0047】実施例3 実施例1で用いた二軸延伸後のシート厚みが75μmと
厚くなるようにキャストや延伸条件を多少変更して二軸
延伸シートを製膜した。すなわち、キャスト速度として
は12m/分と落とし、得られたキャストシートの中央
部厚みは1000μm、端部のシート厚みは3000μ
mであり、比率Rが3になるように成形した。
【0048】該シートの厚みむらとしては長手方向、幅
方向とも2%以下と小さいものであり、厚み均質性に優
れており、さらに平面性にも優れた、クレーターなどの
表面欠点のない、非晶性のシートであり、また端部も幅
変動もなく、透明で完全な非晶質のものであり、キャス
ト性に優れたものであった。これを該キャストシートを
ロール式長手方向延伸機で65℃に予熱した後、20K
Wの近赤外線を該キャストシートのドラム面に長手方向
の照射幅として18mmと限定して幅方向に均一に局部
に照射して長手方向に4.2倍急速延伸した。延伸状態
は良好であり、皺の発生はなく、また端部厚みが薄にも
かかわらず幅収縮は5%と小さく、幅方向にも均一な延
伸であった。長手方向延伸後いったんTg以下に冷却
し、続いて該長手方向延伸シートの両端をクリップで把
持しながら幅方向延伸機であるテンタに導き、延伸温度
108℃に加熱された熱風雰囲気中で幅方向に3.8倍
延伸後、220℃で定長熱固定、および150℃で幅方
向に3%のリラックス熱固定し、エッジ端部をカットし
て、厚さ75μmの二軸配向ポリエステルシートを、破
れることなく安定な状態で約45m/分で巻取り、およ
びエッジ処理して製膜した。
【0049】かくして得られたシートの厚みむらは、長
手方向で3%、幅方向で2%という厚み均質性に優れた
シートであり、しかも表面欠点がない平面性の優れたシ
ートであった。ただし、キャストドラム面でかつ延伸用
の輻射熱の接した表面の光沢度や表面粗さは、これとは
逆の裏面の光沢度や表面粗さに比べて少し低く、多少表
面が粗面化していた。
【0050】比較例1、2、3 実施例1で用いたキャストドラムへの輻射熱加熱をする
ことをやめ、ドラムを65℃に均一に加熱し、長手方向
の延伸時の輻射熱の容量を3種の値に変化させた(表1
の比較例1、2、3)以外は、実施例1と全く同様にし
て二軸延伸を行った。
【0051】その結果を表1にまとめて示すが、いずれ
の場合も長手方向の延伸で均一延伸ができなかった。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】樹脂のガラス転移温度Tg以上に保たれ
た移動冷却媒体表面に接した熱可塑性樹脂シート面に、
長手方向の延伸のために局部的な輻射熱を照射すること
により、幅収縮の小さい延伸が可能になるばかりか、シ
ート端部の厚みの薄いシートでも幅収縮が小さくて効率
的な製膜方法を提供するものである。
【0054】かくして得られたフィルムの用途も、感熱
転写リボン用ベースフィルムや、感熱孔版印刷原紙など
の厚み均質性に厳しい用途において、感度向上や転写効
率向上などの効果を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F207 AA17 AA24 AE01 AG01 AR06 KA01 KA17 KK66 KM16 KW41 4F210 AA17 AA24 AE01 AG01 AR06 QA02 QA03 QC02 QC06 QG01 QG11 QG18 QW12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融した熱可塑性樹脂シートを移動冷却媒
    体に接触させ、さらに、熱可塑性樹脂シートを輻射熱に
    より加熱して延伸する方法において、該輻射熱を与えら
    れる熱可塑性樹脂シート面が、該熱可塑性樹脂のガラス
    転移温度Tg以上に保たれた前記移動冷却媒体に接した
    面となるように構成したことを特徴とする熱可塑性樹脂
    シートの延伸方法。
  2. 【請求項2】溶融した熱可塑性樹脂シートが移動冷却媒
    体に接する直前位置の該移動冷却媒体の表面温度が、該
    熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg以上、該樹脂の結晶
    化温度Tcc以下に構成されたものであることを特徴とす
    る請求項1記載の熱可塑性樹脂シートの延伸方法。
  3. 【請求項3】移動冷却媒体に接した熱可塑性樹脂シート
    が該移動冷却媒体上から剥離する直前位置における該移
    動冷却媒体の表面温度が、該熱可塑性樹脂のガラス転移
    温度Tg未満に構成されたものであることを特徴とする
    請求項1または2記載の熱可塑性樹脂シートの延伸方
    法。
  4. 【請求項4】溶融した熱可塑性樹脂シートに対し静電荷
    を印加しながら移動冷却媒体上に該シートを密着させる
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の熱可塑性
    樹脂シートの延伸方法。
  5. 【請求項5】延伸後において、熱可塑性樹脂シートの幅
    方向のシート中央部厚さdcに対して、シート端部の厚
    さdeの比率R(de/dc)が1〜6であることを特徴
    とする請求項1、2、3または4記載の熱可塑性樹脂シ
    ートの延伸方法。
  6. 【請求項6】延伸後の熱可塑性樹脂シートの表面の粗さ
    が、表裏で異なることを特徴とする請求項1、2、3、
    4または5記載の熱可塑性樹脂シートの延伸方法。
  7. 【請求項7】請求項1、2、3、4、5または6記載の
    熱可塑性樹脂シートの延伸方法を用いて、未延伸の熱可
    塑性樹脂シートを長手方向に延伸することを特徴とする
    熱可塑性樹脂シートの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002172695A (ja) * 2000-12-05 2002-06-18 Toyobo Co Ltd 二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法

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JP2002172695A (ja) * 2000-12-05 2002-06-18 Toyobo Co Ltd 二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法

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