JP2000218690A - 熱可塑性樹脂シートの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂シートの製造方法

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JP2000218690A
JP2000218690A JP11021349A JP2134999A JP2000218690A JP 2000218690 A JP2000218690 A JP 2000218690A JP 11021349 A JP11021349 A JP 11021349A JP 2134999 A JP2134999 A JP 2134999A JP 2000218690 A JP2000218690 A JP 2000218690A
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roll
sheet
thermoplastic resin
resin sheet
producing
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JP11021349A
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Kenji Tsunashima
研二 綱島
Jun Sakamoto
純 坂本
Katsutoshi Miyagawa
克俊 宮川
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面欠点のない、高品質な熱可塑性樹脂シート
を生産性良く製造すること。 【解決手段】熱可塑性樹脂シートをロールに接しながら
搬送・加熱・延伸・冷却する熱可塑性樹脂シートの製造
方法において、該ロールのうち、少なくとも一つのロー
ルが帯電ロールであることを特徴とする熱可塑性樹脂シ
ートの製造方法であり、帯電ロールを用いることによっ
てロールとシート間との滑りを防止して製膜を行う方法
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂シー
トの生産性、特に擦り傷、表面欠点などのない生産性の
良好な、表面特性に優れた熱可塑性樹脂シートを製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の熱可塑性樹脂シートの製造方法
は、ロール表面に接しながら加熱・延伸・搬送・冷却・
成形などが行われるプロセスにより構成されている。
【0003】しかしながら、このようにロールに接する
ときの最大の問題点は、特に、延伸ロールの場合には、
ロールの表面速度(周速度)とシートの線速度とが完全
には一致せず、シートはロール上で延ばされながら、擦
りながらロールから剥離していくために、シート表面は
擦り傷、転写などの表面欠点の多いシートしか得られな
いという問題点があった。
【0004】そこで、従来はロール上での延伸を防止す
るために、ロールの上にニップロールを設置して機械的
にロール上での延伸を止めたり、粘着性・把持力の大き
なゴム材質のロールを用いたりしていた。さらにシート
の上から空気を介して静電気を印加させてシートとロー
ルとの密着力を大きくすることが行われてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うないずれの方法を用いてもロール上での延伸は止める
ことができず、表面欠点のないシートは得られなかった
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題に鑑み、鋭意検討した結果、本発明に到達したもの
である。
【0007】すなわち、本発明の熱可塑性樹脂シートの
製造方法は、熱可塑性樹脂シートをロールに接しながら
搬送・加熱・延伸・冷却する熱可塑性樹脂シートの製造
方法において、該ロールのうち、少なくとも一つのロー
ルを帯電ロールとすること特徴とする熱可塑性樹脂シー
トの製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好ましい実施の
形態を説明する。
【0009】本発明は、熱可塑性樹脂シートの製造方法
であるが、本発明における熱可塑性樹脂とは、加熱によ
って流動性を示す樹脂であり、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ビニ
ルポリマー、およびそれらの混合体・変性体などから選
ばれた樹脂が代表的であり、本発明の場合、ポリエステ
ル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが好
ましく、特にポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が特に
好ましい。
【0010】ポリエステルとは、分子主鎖中にエステル
結合を有する高分子化合物であり、通常、ジオールとジ
カルボン酸とからの重縮合反応により合成されることが
多いが、ヒドロキシ安息香酸で代表されるようなヒドロ
キシカルボン酸のように自己縮合するような化合物を利
用してもよい。ジオール化合物の代表的なものとして
は、HO(CH2 )nOHで表されるエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキ
セングリコール、さらにジエチレンギリコール、ポリエ
チレングリコール、エチレンオキサイド付加物、プロピ
レンオキサイド付加物等で代表されるエーテル含有ジオ
ールなどであり、それらの単独または混合体などであ
る。ジカルボン酸化合物の代表的なものとしては、フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、マレイン
酸、フマル酸、及びそれらの混合体などである。代表的
なポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およ
びこれらの共重合体、ポリシクロヘキサンジメチレンテ
レフタレート(PCT)などを挙げることができ、中で
もポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレ
ンナフタレート(PEN)およびこれらの共重合体が好
ましく、特に、ポリエチレンテレフタレートおよびその
共重合体が好ましい。これらの高分子化合物の繰替し単
位は80以上、好ましくは120以上有るのがよい。固
有粘度としては、オルトクロルフェノール(OCP)中
での測定値として0.4(dl/g)以上、好ましくは
0.55(dl/g)以上であるのがよい。
【0011】もちろん、これらのポリエステル樹脂には
各種の添加剤、例えばすべり材、ブロッキング防止剤、
増量剤、安定剤、酸化防止剤、粘度調整剤、帯電防止
剤、着色剤、顔料、液晶ポリエステルなどの樹脂を併用
することができる。
【0012】また、ポリアミド樹脂とは、主鎖中にアミ
ド結合を有する高分子化合物であり、代表的なものとし
ては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナ
イロン12、ナイロン11、ナイロン7、ポリメタ/パ
ラキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレンテレフタ
ラミド/イソフタラミドおよびそれらの関連共重合体、
混合体などから選ばれたポリアミド化合物である。本発
明の場合、特にナイロン6およびその共重合体、ナイロ
ン66およびその共重合体が好ましいポリアミドであ
る。さらに、これらのポリアミドに柔軟ナイロンや、結
晶化し難いナイロン化合物を添加しておくと、キャスト
での結晶化防止や、得られた品質の低温柔軟性などを付
与できる点で好ましい。
【0013】さらに、ポリフェニレンスルフィド(PP
S)樹脂としては、分岐構造を実質的に含まない直鎖状
のPPS化合物が良い。
【0014】また、ポリオレフィン樹脂としては、ポリ
エチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、メチルペ
ンテンポリマー(MPP)、エチレンビニルアルコール
(EVOH)、酢酸ビニルポリマー(EVA)、および
それらの各種共重合体などである。
【0015】本発明の熱可塑性樹脂シートの製造方法
は、熱可塑性樹脂シートをロールに接しながら搬送・加
熱・延伸・冷却する熱可塑性樹脂シートの製造方法にお
いて、該ロールの内、少なくとも一つのロールに帯電ロ
ールを用いる熱可塑性樹脂シートの製造方法であり、該
帯電ロールが連続して配置されているときには、隣り合
う帯電ロールの極性は、お互いに逆極性になるようにし
た熱可塑性樹脂シートの製造方法に関するものである。
【0016】熱可塑性樹脂シートをロールに接しながら
搬送・加熱・延伸・冷却する場合、シートがロール上で
滑り、その結果シート表面に擦り傷・掻き傷などの表面
欠点が生じる事が多い。特に延伸・冷却などの延伸工程
に用いるロールの場合にはその表面欠点は致命的になる
ことがある。このために、ロールの上に機械的なニップ
ロールを設置したり、粘着性・把持力の大きなゴム材質
のロールを用いたり、さらにシートの上から空気を介し
て静電気を印加させてシートとロールとの密着力を大き
くすることなどが行われてきたが、いずれも効果はある
ものの、その程度が低いために表面欠点の皆無なシート
が得られていないのである。
【0017】そこで、本発明のように、少なくとも問題
となるロールに電荷を印加した帯電ロールとして熱可塑
性樹脂シートを加熱・延伸・冷却などすることにより上
記表面欠点を解消する製造方法である。帯電ロールと
は、ロールに電圧が印加されているロールのことであ
り、具体的にはロールに帯電させる方法として、ロール
に直接あるいはロール軸受けなどに直流電圧を印加すれ
ばよい。電荷は正極でも負極でもよいが、安定性、密着
力などの点から負極の方が好ましい場合が多い。
【0018】このとき、シートとロール間に強い密着力
が必要な場合、例えば、帯電ロールの前後でロール間の
周速度が0.1%以上増速されているような引き延ばし
・延伸や冷却がなされる場合には、帯電ロールは一つで
はなく、その帯電ロールよりも前のロールも帯電ロール
としておくことがよい。このとき、隣り合う帯電ロール
の極性はお互いに逆極性になるようにした方が強い密着
力が得られるために好ましい。
【0019】さらに、強い密着力を得るには、本発明に
用いられる熱可塑性樹脂シートとしては、溶融押出され
た樹脂シートを冷却ドラムに密着して冷却固化するに際
し、この冷却ドラムに溶融樹脂シートが接すると同時に
帯電ロールにも接する、いわゆる帯電ロールと冷却ドラ
ムとに同時に挟み込まれながらに冷却固化された熱可塑
性樹脂シートを用いるのが良い。
【0020】これは従来から知られている空気を介在し
て電荷を印加しながらキャストするいわゆるピニング法
により得られたシートよりも、帯電ロールと冷却ドラム
とに同時に挟み込まれながらに冷却固化された熱可塑性
樹脂シートを用いる方が大きな密着力が得られるのであ
る。この原因は明確ではないが、帯電ロールに接しなが
らキャストしたシートには、エレクトレットのようにシ
ート中に電荷がトラップされているために帯電ロールで
大きな密着力が得られるのではないかと考えられる。
【0021】この帯電ロールは自由回転ロールでも、駆
動ロールであってもよいが、加熱・冷却などの機能を付
与する場合には駆動ロールにした方が使いやすい。ロー
ルに帯電させるにはロール表面に直接あるいはロール軸
受けなどに直流電圧を印加すれば良い。電荷は正極でも
負極でもよいが、安定性、密着力などの点から正極の方
が好ましい場合が多い。ロールに印加する電圧は100
V〜20kV、好ましくは1kV〜12kV程度の電圧
範囲が好ましい。流す電流値は、10mA〜1A、好ま
しくは20mA〜300mA程度と、通常の空気を介在
して印加する従来の静電印加法よりも多くの電流を流す
のが良い。本発明の製造方法で使用される帯電ロール用
のロールとしては、少なくともその表面が導電性である
ことが必要である。
【0022】通常、該ロールとしては、金属ロールを用
いるが、ゴムロール、セラミックロール、テフロンロー
ルなどの絶縁ロール表面上に導電性層を積層した積層タ
イプのものでも、金属とセラミック材料や、テフロン
(登録商標)などの絶縁・離型性に優れた高分子材料な
どを微分散させた様な金属コンポジットタイプのもので
もよい。
【0023】具体的には、導電性と剥離性・離型性が両
立するテフロンなどの絶縁・離型性に優れた高分子材料
が微分散された金属コンポジットタイプのロール表面な
どを用いることができる。帯電ロールの直径は、特に限
定されることはなく、通常150〜800mm程度と従
来延伸・加熱・冷却・搬送などに用いられていたロール
径のものがよい。帯電ロールの表面粗さは平滑であるこ
とが好ましく、最大表面粗さとして1S以下、好ましく
は0.6S以下、さらに好ましくは0.2S以下と平滑
であることが好ましい。帯電ロールの形状は、両サイド
は絶縁し、シート幅に相当する中央部のみ帯電ロールで
あるような形状である帯電ロールが使いやすい。
【0024】なお、帯電ロールへ直流電圧を印加する場
合、これ以外の部分は絶縁処理する必要があり、そのた
めに帯電ロールの回転軸受を絶縁セラミック軸受けにし
たり、回転軸にセラミックスリーブを被せたり、軸受け
台座に絶縁材を挿入する方法などの配慮が必要であり、
さらに熱媒を循環させる場合には、ナイロン樹脂などか
らなる絶縁性配管による接続など、装置により適宜必要
な絶縁方法を取り入れる必要がある。さらに、帯電ロー
ルの加熱・冷却には、電気絶縁性の冷媒を用いることが
必要であり、シリコーンオイル、植物油、鉱油などの絶
縁油や冷却空気、代替フロンなどから適宜選択できる。
【0025】本発明の製造方法では、静電印加は従来と
は異なり、空気を介在させずに樹脂シートへ直接印加し
て大きな電流(電荷密度)を与えたシートを用いることに
特徴があるために、該樹脂の室温での体積固有抵抗とし
ては、108 Ωcm以上、1018Ωcm以下、好ましく
は109 Ωcm以上、1015Ωcm以下と比較的広範囲
な抵抗値を持つシートに有効に働く。これは、従来の空
気を介在して静電気を印加する方法ではシートに大きな
電流値を流すためには印加する電圧を高くする必要があ
るが、空気層を介在してシートに電流が流れるために、
空気層の絶縁破壊以下の電圧でシートに電流を流さなく
てはならないのでシートの体積固有抵抗はある程度小さ
くなければならないという必然性があったのである。と
ころが、本発明の方法によると、空気が介在しないの
で、シートの溶融比抵抗値は比較的高くても溶融樹脂シ
ートに帯電する電荷量が多くなるのである。
【0026】特に、帯電ロールに接する側の熱可塑性樹
脂シート表面の体積固有抵抗値が109 Ωcm以上と大
きくて、逆の空気に接する側の熱可塑性樹脂シート表面
の抵抗値は1013〜106 Ωcm程度と小さい方がシー
トに与える電流値が大きくなり強力な密着力が発現でき
るので好ましいことがある。
【0027】次に、本発明における熱可塑性樹脂シート
の製造方法をポリエチレンテレフタレート(PET)シ
ートの製造を例としてより具体的に示す。
【0028】原料としてポリエチレンテレフタレート
(PET)樹脂、または必要に応じて<他の化合物を添
加ブレンドした原料、例えば、液晶ポリマーや他のポリ
エステル樹脂、さらに酸化珪素、酸化マグネシウム、炭
酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、マイ
カ、タルク、カオリンなどの無機化合物、架橋ポリエス
テル、架橋ポリスチレン、エチレンビスステアリルアミ
ド、イオン性高分子化合物アイオノマー等の有機化合物
等を添加した原料、いったん溶融させた回収原料などを
混合した原料などを準備し、これを乾燥・脱水した後、
一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出
機などの溶融押出機に供給し、分子量、例えば固有粘度
[η]を極力低下させないように窒素気流下、あるいは
真空下で溶融押出する。
【0029】もちろん、溶融温度は<該ポリエステル樹
脂の融点Tm以上であることが通常であるが、いった
ん、該樹脂の融点Tm以上で溶融させた後に該融点Tm
以下、該溶融結晶化温度Tmc以上に冷却する、いわゆ
る過冷却状態で押出を行うこともできる。このような過
冷却状態での押出は、該樹脂の熱分解・ゲル化を減少さ
せる効果があるばかりか、低分子量オリゴマーの生成も
少なくなるために、ドラム汚れも少なくなりキャストし
やすくなるという効果もある。
【0030】次に、原料中の異物を除去するために、溶
融樹脂を適宜なフィルター、例えば、焼結金属、多孔性
セラミック、サンド、金網等で濾過しながら押出する。
かくして溶融されたポリエステル樹脂を成型用のTダ
イ、Lダイ、リングダイなどの任意の口金から押出し成
形するのである。このとき、口金から溶融樹脂シートを
鉛直方向へ押出されるようにするのが口金スジ解消や安
定キャストには好ましい。さらに好ましくは、口金ラン
ド方向も鉛直方向に向いていることがよい。
【0031】また、口金とキャストドラムの位置関係
は、特には限定されないが、口金がキャスティングドラ
ムの頂上に位置するよりも、シートの進行方向の上、さ
らに好ましくは鉛直方向がドラムの接線になるような位
置の方が厚み均質性、表面無欠点などにとっては好まし
い。このためにも口金形状は、烏口タイプの先端の尖っ
たものが好ましい。なお、口金から溶融シートを押出す
ときのドラフト比(=口金リップ間隔/押出されたシー
ト厚み)は、3以上、好ましくは5〜20の範囲とする
ことにより、厚みむらの小さい、平面性の良いシートが
得られやすい。
【0032】かくして溶融されたポリエステル樹脂を烏
口形状の口金から押出し、該溶融シートに10kV程度
に印加したワイアー電極で負極に帯電させた後、100
V〜10kVの負極電圧をかけた自由回転する帯電ロー
ルと冷却媒体であるキャスティングドラムとで同時に該
溶融シートを挟み込むようにして冷却媒体ドラムに密着
させて急冷する。
【0033】かくして得られたキャストシートは、加熱
・延伸・冷却・搬送などの後処理を行うが、特にロール
周速がシート線速度と異なるロールには、電荷を与えて
帯電ロールとすることによりロールとシートとが強い密
着力が発揮できるようになるのである。延伸方式がロー
ル延伸方式、逐次二軸延伸方式のようにロールを用いて
加熱・延伸・冷却するような場合には有効であり、特に
延伸したシートをさらにロールで延伸するような強力化
シートの製造方法の場合には非常に有効である。
【0034】具体的には、キャストシートを予熱ロール
によってTg以上に加熱し、周速度の異なるロール間に
よって長手方向へ2〜8倍延伸し、冷却ロールによって
シートを冷却する。このとき、ロールとしては全て帯電
ロールとしてもよく、また延伸などの必要なロールだけ
帯電ロールにしてもよい。次いで、長手方向へ延伸され
たシートをテンター式横延伸機に導かれ、シート両端を
クリップによって把持し熱風によってシートをTg以上
に加熱し、両端クリップの幅を広げることでシートを横
方向へ2〜8倍延伸する。
【0035】さらに長手方向に強度の強いシートにする
ために長手方向に再度ロール延伸するが、このときは、
全てのロールを帯電ロールにするのがよい。このときの
延伸温度は、樹脂のTgよりも30〜80℃高温で延伸
するのがよい。さらに必要に応じて熱風によってシート
を樹脂の融点以下の温度で熱処理してもよい。
【0036】かくして得られたシートは、磁気記録媒体
用、電気絶縁用、光学用、一般工業用などに広く利用で
きる。
【0037】
【物性の測定法】次に、本発明で使用した測定法につい
て以下に述べる。 1.ポリエステル樹脂の固有粘度[η] 25゜Cで、o−クロルフェノールを溶媒として次式よ
り求めた。
【0038】[η]= lm[ηsp/c] 比粘度ηspは、相対粘度ηr から1を引いたものであ
る。cは、濃度である。単位はdl/gで表わす。 2.ポリエステルの熱特性 セイコー電子工業製DSC RDC220型を用い、ポ
リエステルを20mg秤量し、窒素ガス雰囲気下20℃
/分の速度で昇温して300℃になった時点でクエンチ
し、再度20℃/分の速度で300℃まで昇温しながら
ガラス転移点Tg、結晶化発熱ピーク温度Tcc、融点
Tmを測定した。300℃に到達した後、さらに20℃
/分の速度で降温させ、結晶化発熱ピーク温度Tmcを
測定した。 3.体積固有抵抗R(Ωcm) ガードの付いた主電極電極と対電極間にシートを挟み込
み、この電極に直流電圧を印加し、次式からRを求め
る。
【0039】R=印加電圧V×主電極面積S/(測定電
流i×シート厚みD)
【0040】
【実施例】実施例により、本発明をさらに詳細に説明す
る。
【0041】実施例1 熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)(固有粘度[η]=0.62、Tgは70℃、冷結
晶化温度Tccは128℃、融点Tmは265℃、Tm
cは215℃、添加剤として平均粒径0.25μmの酸
化珪素粒子を0.1wt含有、285℃での溶融比抵抗
1010Ωcm)を用いた。該PET樹脂の含水率が20
ppm以下になるように乾燥した後、スクリュー径25
0mmのタンデム押出機に供給して285℃で溶融した
後に270℃に冷却した後、10μmカットの繊維燒結
金属フィルターを通過させて濾過し、これをカラス口タ
イプの幅1200mmのTダイ口金に導入し、溶融体シ
ートを鉛直方向(重力の方向)に押出し、この溶融シー
トを、直径200mm、面長950mm、表面がクロム
メッキされた表面粗度0.1Sの自由回転する回転トル
ク130gの帯電ロールと、直径2.0mのクロムメッ
キされた表面粗度0.1Sのキャスティングドラムで同
時に挟み込みながら100m/分の速度でキャスティン
グした。
【0042】このときの溶融樹脂シートのドラムに着地
する直前のシート幅は1050mmであり、帯電ロール
は該シートの中央部に接触させた。帯電ロールには電圧
3kVの直流負極電荷を印加し、60mAの電流を流し
た。さらに、冷却ドラムは接地し冷却水を通水し、表面
温度を25℃とし、帯電ロールには、冷媒として冷却空
気を流した。このようにしてキャスティングした結果、
高速でのキャスト密着性は良好であり、得られたシート
の表面性も良好であった。かくして得られたキャストシ
ートは90μm、幅1050mmであり、厚みむらの小
さい、平面性の優れた、表面欠点のない、非晶性のシー
トであった。
【0043】続いて、該押出シートをロール式長手方向
延伸機で延伸温度91℃で3倍延伸後、ガラス転移温度
Tg以下に冷却した。続いて該長手方向延伸シートの両
端をクリップで把持しながらテンタに導き、延伸温度9
6℃に加熱された熱風雰囲気中で幅方向に4.0倍延伸
後、150℃で定長熱固定し、さらに、この二軸延伸さ
れたシートを再度長手方向に延伸するために、予熱温度
130℃、延伸温度155℃に加熱されたそれぞれ帯電
したクロムメッキロール6本ずつのロール上で予熱(加
熱)および1.5倍延伸を行った。このときの帯電の極
性は、ロールの配列順に正、負と交互に直流の電圧を印
加した。
【0044】このように予熱・延伸ロールを帯電ロール
としたことにより、該ロール上でのシートの滑りはな
く、シート表面にも擦り傷、掻き傷などは皆無であっ
た。さらにこのシートを熱処理するためにクリップで把
持してテンターで200℃、および130℃で熱固定
し、厚さ6μmの二軸配向ポリエステルシートを安定な
状態で約450m/分という高速で巻取り製膜した。
【0045】かくして得られたシートは、表面欠点が全
くない平面性の優れたシートであった。 比較例1 再度の長手方向予熱・延伸ロールに印加する電圧を0と
する以外は、実施例1と全く同様にしてシートを製膜し
た。その結果、二軸延伸シート表面には擦り傷・掻き傷
が多く存在し、表面欠点の多いシートであった。 実施例2 実施例1で使用したPET単膜シート(溶融比抵抗10
10Ωcm)層の上に溶融比抵抗の低い107 ΩcmのP
ET層を溶融状態で2層に積層してから通常どうりに口
金から吐出させた。このときの積層比率は、溶融比抵抗
1010Ωcm層/溶融比抵抗107 Ωcm層=1/11
になるようにし、しかも溶融比抵抗の高くて薄い層を帯
電ロールに接するようにさせた。このようにして実施例
1と全く同様にしてキャスト速度を120m/分から1
50m/分まで増速しても均一な成形が可能であった。
かくして得られた厚さ6μmの二軸配向シートは表面欠
点もなく、透明性、延伸性、寸法安定性にも優れてい
た。
【0046】
【発明の効果】熱可塑性樹脂シートを帯電したロールに
よって加熱・延伸することにより、表面欠点のない、高
品質なシートを生産性良く製造することができる。この
ようにして製造されたシートは、工業材料、磁気材料、
包装材料として好ましく使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 5/18 CFG C08J 5/18 CFG // B29K 23:00 67:00 77:00 B29L 7:00 C08L 23:00 67:00 77:00 Fターム(参考) 3F049 AA06 DA12 EA12 LA15 LB07 4F071 AA14 AA43 AA54 AF39Y AH04 AH14 AH17 BB04 BC01 4F210 AA03 AA24 AA29 AE01 AG01 AJ11 AR08 QA03 QC02 QG01 QG18 4F213 AA03 AA24 AA29 AB17 AG01 WA08 WA10 WA53 WA83 WA84 WA97 WB02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂シートをロールに接しながら
    搬送・加熱・延伸・冷却する熱可塑性樹脂シートの製造
    方法において、該ロールのうち、少なくとも一つのロー
    ルが帯電ロールであることを特徴とする熱可塑性樹脂シ
    ートの製造方法。
  2. 【請求項2】該帯電ロールが、連続して配置されている
    とき、隣り合う帯電ロールの極性が逆であることを特徴
    とする請求項1記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  3. 【請求項3】該帯電ロールの周速度は、該帯電ロールの
    直前あるいは直後のロールの周速度と異なることを特徴
    とする請求項1または2記載の熱可塑性樹脂シートの製
    造方法。
  4. 【請求項4】該帯電ロールの周速度は、該帯電ロールの
    直前のロールの周速度に対して0.1%以上増速されて
    いることを特徴とする請求項1、2または3記載の熱可
    塑性樹脂シートの製造方法。
  5. 【請求項5】該熱可塑性樹脂シートは、該溶融シートを
    冷却ドラムに密着して冷却固化するに際し、該冷却ドラ
    ムと帯電ロールとで同時に挟み込まれながらに冷却固化
    した熱可塑性樹脂シートであることを特徴とする請求項
    1、2、3または4記載の熱可塑性樹脂シートの製造方
    法。
  6. 【請求項6】該熱可塑性樹脂シートの室温での体積固有
    抵抗値が、108 Ωcm以上1015Ωcm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4または5に記載の
    熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  7. 【請求項7】熱可塑性樹脂が、ポリエステル樹脂、ポリ
    アミド樹脂、ポリオレフィン樹脂から選ばれた樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6
    に記載の熱可塑性樹脂シートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002080619A (ja) * 2000-09-07 2002-03-19 Mitsubishi Polyester Film Copp ポリエステルフィルムおよび複合体
JP2004335255A (ja) * 2003-05-07 2004-11-25 Asahi Kasei Chemicals Corp ポリオレフィン製微多孔膜の製造方法

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